新京に於て分離せるsal mo nella c...
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28
山田=新京に於て分離せる
Salmo
nella
C群に就て
一〇
二
頁
, 昭
和
13年
. 35) 三
田村篤志鄭他3名, 東京醫事新誌.
3143號
, 1871頁
,
昭和
14年
. 36) 三田村篤志鄭他2名, 東京醫新
誌
. 3143號, 1886頁, 昭
和
14年, 37) 三田村篤志鄭, 醫事公論.1415號, 2794頁,
昭
和
14年
.
38) 三田村篤志鄭他4名, 日本醫學及健康保險. 3208號, 737頁,
昭
和
15年
.
39) 三
田
村篤志鄭他11名, 日本醫學及健康保險. 3208號, 743頁, 昭
和
15
年
. 40) 三
田村篤志郎他2名, 日本醫學及健康保險. 3208號, 752頁,
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15年
.
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,
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新京
に於
て分離
せる
Salmonella C
群
に就
て満洲國立徳
生技術廠(廠長
阿部博士)
山
田
秀
一 Yamada
S
yuiti
目
次
第
一章
緒
言
第
二章
菌株
の由來
第三章
一般檢
査成續
第四章
S.pgratyphi C
に就て
第
五章
S.cholcra
e suis
に就
て
第
六章S
.cholerae suis var, k
unzendorfに就
て
第
七章
考
按
竝
に結
論
文
獻
29
第
一章
緒
言
満洲に於ける
Salmonella C
群
は
日本内地に於けるが如き稀有なる
ものに非ざるものゝ如く、從つて從來と難も研究者により注目せられ之
に關する報告も亦比較的多し。
余も亦康徳七年
(一九四〇年)新京に於
て夫々の症状を呈せる患者より
分離せるSalmonella中C群に屬する
菌株三
一株を得た
るを以て之を精査
したる結果新知見を
得たりと信す
るを以て以下之を報告せんとす。
抑々日本及び満洲に於て分離せられたるSalmonella
C群の菌型は
S.paratyphi
C,S.cholerae
suis,S.cholerae suis
var.kunzendor
f,
S.typhi sui
s var.voldagsen,
S.thompso
n var.berlin,S.bareill
y,
S.montevideo,S.newport,
S.bovis m
orbificans(1-24)
及
び
報告者に
より種
々の名稱を附せられしT
hompso
n
類似菌(28)
、(29)
なり。吾人の保健
衛生上竝に防疫封策上緊要なる問題は先づ如何なる
菌型が如何なる分
布状態と頻度に於て吾人の生活圏内に
浸潤しあるかを闡明する事にし
て、余の新京に於けるC群の研究も亦その
意味に於て行はれたるもの
なり。
第二章
菌株の由來
余が新京千早病院、〇〇病院及び市防疫所より分興を受けしSalmonella
中
C群に屬
する菌株
は第
一表
の如く
三
一株
にして、.千早病院
の如く病歴な檢査す
る便宜
た與
へられしも
の以外
は詳細
なる菌株
の由來は不明
に屬
す
る
も
の
も
存
す。
特に○○病院
の菌株
に就
てはそ
の由來
た
明
かにな
し得
ざり
しは特殊
の事情
に基くも
のなり。
第
三章
一般檢
成
査
績
檢査せ
る三
一株
は総
て善通
寒天
に良
く發育
し、濕潤
せる
茨灰
青色圓形
の集
落
旭形成す
る兩端
鈍な
る短桿菌
にして、Anilin
色素に良く染
まり
Gram
陰性にし
て芽胞を形成せず、
周園性鞭
毛為有
して活濃
なる固有運動を示す。
葡
萄糖な分
解
して酸
竝に瓦斯な産
生し、乳糖及び薫糖
為分解
せず、牛乳な凝固せず、Gelati
n
な液化せず、Indolを産生せず、B.T.B.
乳精
な始
ぬ黄色
芝なし後再び青緑色
となす。
載
物硝子上凝集
反應
の結果
Salmo
nellaの各群
の0血清
(I.II:IV.V;VI.VII;
VI.VIII;
IX;III
.X.XXVI
)の中C群
のVI、VII
-血清
に
著明
に凝集し、尚同群
の皿、VIII-
血清に僅かに凝集
し、他群
の血清
には封
照た
る生理的食盤水同様凝集
せず。
即
ち以上
の成績
に依り全例C群に屬
する
Salmonella
なる事明なり。
此等
の亜物學的性駅は第
二表
の如し。含水
炭素
分解試驗
の基礎液はM.
Kris5
tensen及び
K.Bojlen(25)
が
Paratyphu
s B
菌
の
亜型別に際
し使
用
せ
る
Pepton
bouillonな
用ひ
一五種
の含水炭素な夫
々○。五%
の割に加
へ糞るも
のに就
て培養
二週間觀察
せり。Btter培地は培養
二〇時間
の
成績
を檢
する事
とし、Stern培
地及び
Bactopepton有機酸培地は
二週間、Simmons培
地は
一週問觀察
せり。
生物學的性
状により
三群に分
つ事た得、
第
一群四松
は
從來知
られれ
るC群
の
何
れの菌
型の培養型
にも屬
せざるも
のにして、第
二群四松
はその
生物學的性
状
はS.chol
erae suis
に
一致し、第三群
二三株
は
S.cholerae
suis var.ku
nzcndorf
の夫
に
一致す。
尚Maus食餌試驗
は全例陽性なり。
以下
生物學的性
状により三群
に分ちて各
々に就て
血清學的性状そ
の他た記載
する事
とす。
第
四章S
.paratyphi C
に
就
て
前章
に於て生物學的性
牀によう第
一群
域せ
ろ四株
(菌株
二號、
四號
七號、
一
山田=
新京に於て分離
せる
Salmonella
C
群に就て
一〇
三
30
山田=新京に於て分離せる
Salmo
nella
C群に就て
一〇四
第
1
表
31
第2表 生 物 學 的 性 朕
四號)は載物硝子上凝集
反應
の
成續第
三表
の
如
く、
特異相
H
抗原
と
し
て
"C
"
な有す
る二相性
の薗
にして、非
特異相
H抗原は
〃1.4.5
"に
し
て
三因
子々缺除
し、尚Vi抗原
な有す
る
ものな
り。即
ち血清學的性
状はK
auffmann
供
試
菌
株
S.paratyp
hi C "East
Africa"の如くVi抗原
た
有
す
る
S.
Paratyphi C
なり。
此の成續
た更に試驗管内凝集反應竝
に交
叉吸収試驗
によりて確む
るに第四
表
の如く
O抗原、特異相
竝に非特異相
H抗原
は夫
々
S.paratyphi C"
Hirrch
feld"に完全に
一致し、尚
第五表
の如
く腸
Typhus菌
とも共通
せる肩抗原な
有す
る事を確
認せり。從
て此
の四松
の
抗
原構造は
VI,VII,
Vi:C:1,4,5
なり。
此等四株
の生物學的性状は上蓮
の第
二表
の如く"
Hirschfeld
"及び"
East
Africa"の兩株ヒ異
り
Arabinos
eを分
解す
るも
Trehalos
eを分解
せ
ず、尚
Bitter-
Arabino
se陰性
にして
Simmons,
Arabinose陽性
なり。
此の生物學的性
状
の相
異は疫學的
に如何な
る意義た有
す
るやは今後
の研究
に待
つべきものな
山田=
新京
に於
て分離
せる
Salmo
nella C
群
に就
て
一〇
五
32
山
田=新京
に於て分離せ
る
Salmo
nella
C
群
に就て
一○六
第3表 載 物 硝 子 上 凝 集 反 應
其1使 用せるO-及H-血 清
其2使 用せ るO-及H-因 子血清
其3O-及Vi-凝 集反應
其4H-凝 集反應
第4表 第1群S.paratyphi Cの 試驗管 内凝集 反應竝 に吸收試驗
其1O-凝 集反應竝に吸収試驗
註:0は20倍 陰性以下各表共 同様
33
其
2
特異相H-凝集反應竝に吸
収試驗
其
3
非特異相H-凝集反應竝に吸収試驗
第
5
表
第
1群
S.paratyphi Cの
Vi凝集反應竝に吸
収試
驗
山田=新京
に於
て分離
せる
Salmonella
C
群に就て
一〇
七
34
山田=新京
に於
て分離せ
る
Salmo
nella C群
に就て
一〇八
るも
S.Paratyphi Cの培養
型を
一先づ第
六表
の如く
S.paratyph
i C
1.2.3
と
し
て分類す。
其
の
代表菌株
は
夫
々"Hirschfeld:,"East Africa及び
余
の
分離
せる"Sinkyo"とす。
東亜
に於て從來報告せられれ
る
本菌型
の中
丸山(1)、
正來(3)、青
木(5)及び濱野(8)の例は
S.paratyphi C
.1に
して、曾田等(4)及び
Tenb-
Heck等(6)の例
は
Trehalose
に就て檢査し居らず
S.paratyphi
C
2に非
ざる事
のみ明
なり。尚最近溝上(7)は
S.paratyphi
C,3に相當
するも
のに就ても記載す
る所あり象り。
第6表S.paratyphi Cの 培 養 學 的 型 別
S.paratyphi C
の満洲國
内に於
て檢出
されしは余の例
た以て最初
ざす
る故上述
の菌株
な分離
せ
る患
者
の臨牀症状
な以下
簡單
に記載
せん芝す。
(一)王永會、満
人男三六歳、苦力、新
京南關。昭
和
一五年
六月
一〇
日發病、同
月
一五日正午新京
千早病院に収容さ
る。
入院當時症状頗
る重篤にして脾應
た觸知
し得、薔薇疹及黄疸
た認
めず、體
温は三
七度
二分脈搏一二
五同
日採血して流血中
より菌
(二號株)三分離
し得ぬ
り。Widal
反應は
Typhus五〇倍陽性、Paratyph
us
A
及び
Paratyphus
B
二五倍陰性、尚
.Weil-Felix
房
反應
二五倍陰性なり。
翌
一
六日午前剛三時
ご○分死亡す。
(二)陳慶良、満人男
二四歳、苦力、新京
高砂
町。
昭和
一五年七月
一入日悪感
を伴ひ
て發熱
し、頭痛四肢痛及び下痢ありて、同月二二
日千早病院に収容
さる。
著明なる黄疸
ありて薔薇疹及出血無く
肝臓腫
大し脾臓
は觸知
し得す重聽
あり。
同月二四日流血中より菌(四號株)な分離
し、Widal反
應
Typhus,parat
yphus
A,Paratyphus B
及び
Weil-F
elix反應
す
べて二五倍陰性なり。體温
三九～
四〇
度、脈搏一二
〇～
一三〇にして入月
七日より
下肢に溢血を生
じ、入月
一〇日死
の轉歸な
とる。
(三)馬樹仁、満人男
ご入歳
、苦
力、
新京高砂町。
前例陳
と同
一宿舎にありて
昭
和
一五年七月
ご入日即ち陳
より
○
日遲れて
發病
し同
じく千早病院に入月
一
〇日に至り収容さる。
黄疸
及び全身
に紫
斑あり結膜甚
しく充血し、
肝脾た觸れ
す、意識瀕濁
し體
温四〇度以上なり。
入院當
日
Widal反應竝に
W
eil-F
elix反
應す
べて
二五倍陰性
にして同時
に流
血中
より菌
(七號株)を分離す。
翌九日午後
約
三〇竓
二囘腸出血あり、翌
々
一〇日午前
ご時
五〇分死亡す。
(四)李正煕、鮮人男
ご三歳、住所不定。行路病者
として
昭和
一五年
一〇月
二
五日収
容せられた
る
者にしてそ
れより
入日前牡丹江より來りれるも
のなり。發
病日
不明、入院當時體温
四〇度、脈搏
一ご○、
一日約
二〇囘水様
下痢便
あり、薔
薇
疹なく脾臓た觸
れず。白血球數一二
・○○○を算す。翌
二六日午後大量の腸出
血ありて翌
々二七B午後
二時死亡す。
二五H流血中より菌
(一四號株)為分離す。
第
五章S.cholerae suis
に
就
て
第
二群四株(菌株
一號、
六號、
一○號、
一七號)の生物學的性
状は
第
三章に述
べし如
く又第
二表
に表示
の如く
S.cholerae suis
に
一致
す。
そ
の特徴は
Arab
inose及び
Trehalose
非分解にして硫化水素を産生せでAmmon弱きる事な
り。載
物硝子上凝集反應
の成績は第
三表
の如く
特異相
H抗原
は"
C"
にして非特
異相H抗原は"
1.3.4.5"な
る
二相性
の
菌なり。
試
驗管内凝集反應竝
に吸
収試驗
の結
果Kauffman
n
供試菌株148S.cholerae
1348とO抗原、
特異相
及び非特異相H抗原夫
々完全に
一致せ
る事第七表
に表
示せろ如
し。
即
ち此の四
35
第7表 第2群S.cholerae suisの 試驗管 内凝集 反應竝 に吸牧試驗
其1O-凝 集反應竝 に吸収試驗
其2特 異相H-凝 集反應竝に吸収試驗
其3非 特異相H-凝 集反應竝に吸収試驗
株
は
S.cholera
e suis
VI,VII:C
"1,3,4,5なり。
こ
の中
一號、
一〇號、
一七號株
々分離せ
る
患
者
一ご名は輕症
Typhus象様
症状を
呈し良好な
る
經過を
とりしも、
六號称を分離せ
る
患者は黄疸及小出
血
鮎々認め極めて重篤な
る經過々
とり
途
に死亡
せる
も
のな
り。S.cholera
e sui
sの感染必す
しも常
に豫
後良
好ならざ
る事
は注目に値す。
第
六章S
.cholerae su
is var.
kunzendorf
orfに就
て
第
三群二一三株
は第
二表
に表
示せる如
く
其
の生物
學的性状
の特徴は
Arabinose及
Trehalos
e非分解
なる事第
二群即
ち
S.chole
erae suis
と同様
なるも、
硫化水素
を産
生し
Simmons'
Glucose陽性
な
る事
により之
と區別
し
得られ、
S.cholera
e suis var.
kunzendorfの性
状に
一致
す。
本群
の血清學的性状は載
物硝子上凝集反應
によ
り
O抗原VI、VIIにして、
H抗原は"1
.3.4.5"
な
る非特
異相單相
なる
事第
三表
の如し。次に本群
の
代表株
一株
(二
一號株)と
Kauffma
nn
供試菌株
S.cholerae
suis var.kunzendorf
1350との定量的
凝集
反應
竝に交
叉吸牧試驗
の結
果は
第入表
の如く
0抗原及びH抗原共に完
全に
致
す。
即ち本群は
生物學的にも血清學的
にも確實
に
S.cholerae
ae suis
var,kunzendorf
なり
と言
ふ事を得。
この二三株を
分離せ
る患者
の串病歴
の明なる
一入例中一三
例は
山田=新京に於て分離せるSalmonella C
群に就て
一〇九
36
山田=
新京に於て分離
せ
る
Salmonella C
群に就
て
一
一〇
第8表 第3群S.cholerae suis var. kunzendorfの 試 驗 管 内凝 集 反 應 竝 に吸 版 試 驗
其1 O-凝 集 反 應竝 に 吸 收試 驗
其2 H-凝集反應竝に吸收試驗
輕
症T
yphus様
症
状
を
呈
せ
る
も
のに
し
て、
他
の
五例
は
所
謂
熱
性
黄
疸
と
して
取
り
扱
は
れ
し患
者
な
り
。
そ
の中
一例
(五號
株
)は黄
疸
の外
に出
血
あ
り
死
の轉
歸
を
とり
た
るも
のな
り
。
S.cholerae suis var. kunzendorfのO
抗
原
は
單
一の
も
の
に
非
す
し
て、
一九
三
六年
Levine
及F
risch(26)
に
よ
り
A、B
に區
別
せ
ら
れ
、
翌
年K
auffmann(27)
は
之
を追
試
確
認
し
て
之
を
夫
々VI1、VII及VIIとせ
り。
余
の
二
三株
は第
八
表
の如
くそ
の
0抗
原
は
す
べて
Kauffmann供
試
菌
株
S.cholerae suis var. kunzendorf 1350
の夫
に
一致
し、
S.cholerae suis var. kunzendorf 5210と
は
異
り
、
即
ち
そ
のO
抗
原
は
VI1、
VIIな
り
。
VI1及
VI2因
子
の
Salmonella C
群
間
の分
布
は
甚
だ
興味
あ
り。
其
の成績
は
第
九
表
に
示
せ
る如
く
に
して
先
にK
auffmannの發
表
せ
し
所
見
を
確
認
せ
り。
O
抗
原
町、
VIIな
る菌
型
に
就
て
は
S.cholera
e suis var. kunzendorfはVI1又
はVI2の
何
れ
か
一方
のみ
を
有
し、
S.cholerae suis
はVI1の
み
を
有
し、S.paratyphi C
等
そ
の
他
の菌
型
は兩
因
子を
共
に有
す
。
又
O
抗
原VI、VIII
な
る菌
型
はVI1のみ
を
有
す。
但
し
こ
の場
合例
へば
S.newportを
以
てVI1因
子
血
清
は
完
全
に
吸收
せ
ら
れず
。
尚
D群
の
S.typhi
第9表 VI1及 びVI2抗原の
各 菌型間の分布
37
は
VI1のみを有するも
のにして、Salmonella
の各群間共通
のO抗原XIIと關聯して
興味あり。
Salmonella C群
間の菌型
の鑑
別に當
りVI1及びVI2因子血清を利用す
る事により
例
へば
S.paratyphi C
と
S.cholerae
suisとは非特
異相
H抗原3因子
の有無以
外に更に血清學的
に區別
し得
られ、又S
.cholerae suis var. kunzendorfを血清
學的に殆
ど同
一な
る
S.typhi suis var. voldagsen及びS.thompson var. berlin
より明らかに區
別し得
るものにして、實際的利用價値
の存
すうも
のなり。
第
七章
考
按
竝
に
結
論
余
は
新
京
に於
て分
離
せ
ら
れ
た
るS
almonella C群
に
屬
す
る菌
株
三
一
株
に就
て
生物
學
的竝
に血
清學
的
性
状
を精
査
し、そ
の菌
型
の決
定
を
行
ひ
た
り
。
從
來
の文獻
と同様
余
の場
合
そ
の
大部
分
即
ち
二
七株
はC
holera菌
に
し
て、
そ
の中
二
三株
は歐
洲
型
即
ちS
.cholerae suis var. kunzendorf
他
の四
株
は
ア
メ
リカ
型
即
ちS
. cholerae suis
なり
。
此
の割
合
は
從
來
滿
洲
に於
て最
も
多
數
の菌
株
を
調
査
せ
し北
野等(22)
の歐
洲
型
四
六株
、ア
メリ
カ
型
一六株
及
び
栗
田(14)
の歐
洲
型
二四
株
、ア
メ
リ
カ型
五株
と略
々同
様
の
比率
を
示
せり
。
此
の兩
型
の豚C
holera
菌
は滿
洲
に於
て
は
人
のS
almonella
に
よ
る
疾
患
中S.
typhi, S.paratyphi A
及
び
S. paratyphi B
に
次
で
重
要
な
る菌
型
なり
。
尚
これ等
の菌
型
に
よ
る
疾患
は常
に必
ら
ず
しも
良
好
な
る經
過
を
とる
に限
ら
ず
時
に
死
亡
例
を
見
る事
前
々章
及
び前
章
に述
べ
し
如
く
な
り。
S.paratyphi Cは
満
洲
に於
て分
離
せ
ら
れ
し
は
今
囘
を
以
て
最初
と
す
る
が
、
滿
洲
の周
圍
に於
て
は
既
に青
木(5)が
朝
鮮
に於
て、
Tenbroeck(6)
は北
京
に於
て分
離
し、
最
近
又
濱
野(8)は關
東
州
に於
て之
を報
告
せり
。今後
は滿
洲
に
於
て
相
當
注意
を要
す
べ
き菌
型
な
り。
尚
余
の
例
は
Trehalose
非
分
解
な
る事
はS
.paratyphi Cの
新
し
き培
養
型
と
し
て追
加
し
た
る
も
の
に
し
て、
今
後
の疫
學
的
考
察
の便
宜
の爲
に第
四
章
に
述
べ
し如
く
本
菌
型
の培養
型
を
三個
に分
類
せり。
Salmonella
の菌
型
の同
定
は
言
ふま
でも
な
く完
全
な
る交
叉
吸
收
試
驗
の
結
果始
め
て決
定
し得
る
も
の
にし
て、S.cholerae suis var. kunzendorf
の
O抗
原
の差
異
の如
き
は
之
に
より
始
め
て
知
り
得
る事
實
な
り。
又
此
の
0
抗
原
の差
異
を決
定
す
る事
は
疫
學
的
に頗
る有
意義
な
る
も
の
と考
へら
れ
る。
結
論。
一九
四
〇
年
新
京
に
於
て
夫
々
の症状
の患
者
より
分
離
せ
るSalmo-
nella C群
に屬
す
る菌
株
三
一株
に就
き
そ
の菌
型
を
決
定
し次
の如
き
成績
を
得
た
り
。
(1) S. paratyphi C
四
株
S. cholerae suis
四株
S. cholerae suis var. kunzendorf二
三株
(2) S. paratyphi C
四株
は共
に肩
抗
原
を
有
し、
生物
學
的
性
状
は
Trebalose
非
分
解
な
るも
の
な
り。
(3)
S. paratyphi C
の培
養
型
を
三型
に區
分
す。
(4)
S. cholerae suis var. kunzendorf二
三株
の
0
抗
原
は
す
べて
VI1、
VII
にし
てVI2、VIIな
る
も
の
は存
せず
。
稿を終
るに臨み御指導
竝に本稿の御
校閲を賜
はり
し
恩
師衞
生技術廠長阿部先
生に深甚な
る敬意
と謝意を表す。
文
獻
1) 丸
山芳登
, 臺灣
醫會誌. No.407, p.753, 明治44 2)Hayashi, T., Zbl.
山田=新京
に於て分離
せる
Salmonella
C
群
に就て
一
一
一
38
福永=マヲリア既往者の原蟲學的竝に血清學的研究
一
一二
Bakter., I. Orig., Bd.
98, S. 300, 1926.
3)
正來正也, 日傳
染
會
誌
. Vol.9,
p.1049. 昭
和
10. 4) 曾田長宗, 窪田一夫, 土持勝次, 東京醫事
新
誌
. N
o.2987.
p.1745, 昭
和
11.
5) 青木亮, 長崎醫會誌. Vol.
16. p.2611, 昭
和
13. 6)
Tenbroeck, C., Li, C. P. &Yu, H., J. exp. Med, Vol.
53, p.
307, 1931.
7) 溝
上
三
郎, 軍醫團誌. p.334, 昭和16. 8) 濱野滿雄, 小池晴
枝
, 日本
醫
學
健
康保險. No.3301, p.2042, 昭和17. 9) 瀧田順吾, 軍
醫
團
誌. No.
139, 大
正
14.
10) 藤井義治, 中央獣醫會誌. Vol.44, p.941
, 昭
和
6. 11)
永
田
三
六
, 林整繁, 滿洲醫會誌. Vol.20, 昭和9. 12) 村瀬渉,.
東
京
醫事
新
誌
. No.2932, p.1444, 昭和10. 13) 中黒秀外之, 軍醫
團
誌
. No, 277, p.
753, 昭
和
11
14) 栗
田愛之助, 軍醫團誌.
No.280, p.1211, 昭
和
11, No.
287, p.537, 昭和
12; No. 300, p.470, 昭
和
13.
15) 大塚一
三. 春
日久
治
,
日傳
染
會誌. Vol.13, p.73, 昭和13. 16) 寺邑章治, 松本一郎,
細
菌
學
誌
No.445, 昭和8.
17) 高野七郎, 細菌學誌. No.471, p.25,
昭
和
10. 18)
長
谷
川
彌
人, 高畠勲, 日傳染會誌. Vol.14, p.
137, 昭和
14. 19) 伊
佐
治
賢
三, 池
田選一, 臺灣醫會誌. Vol.31, 昭和7. 20) 杉田慶介, 臺
灣
醫
會
誌
Vol.
32, 昭
和
8. 21)
土持勝次, 洪蘭, 臺灣醫會誌. Vol.32, 昭
和
8. 22)
北
野
政
次
, 廣木彦吉, 山下勇, 熊西利男, 第14囘聯合微生物
學
會
記
録
, 118,
昭
和
15.
23) 廣
木彦吉. 決淳鈺, 山下勇, 大陸傳染病學會刊
行
物
. 第
1輯
,
昭和
16.
24) 山本
弘
, 第
1囘大陸傳染病學會記録.
33, 昭
和
16.
25)
Kristensen, M. u. Bojlen, K., Zbl. Bakter., I. Orig.,
Bd. 114, S. 86, 1929.
26) Levine, Ph. & Fricsh, A. W., Journ. of Imm., Vol.30, p.
63
, 1936.
27) Kauffmann, F., Z. Hyg., Bd. 120, S. 177, 1938. 28) 竹
中, 中川
, 菅
沼
, 京
都
府
醫
大
誌
Vol.30, p.1249, 昭和15. 29) 大橋久治,
實
驗
醫
誌
.
Vol.24, p.1341, 昭
和
15.
マラリア既往
者
の原蟲學的竝
に血清學的
研究
(承前)
九州帝國
大學
醫學部楠内
科教室
醫
學
士
福
永
一
男
Fukunaga Kazuo
第
三章
マ
ラリ
ア
既
往
者
に關
す
る
血清
學
的
研究
第
一節
各
種
マラ
リ
ア血
清
反應
に
就
て
マの診断
は原蟲
の確認
に依りて明か
とな
るは論を俟たす、
然
し乍
ら之は總
て
の場合
に可能
とは云ひ難
く、茲
に原蟲檢査以外
の
補助診斷法
が要求
せらる
ゞ所
以たり。
マ罹患
の場
合患
者の呈す
る臨牀症状或は血液像變化等を綜合して
血清
の補體結
合反應
、沈降反應、皮膚反應等
の種
免疫反應を試み以て
診
斷に努
力せ
られしも未だ實用價値を認むるには至
らざりき。然
るに
一九
ご入年H
enryが佛
國
アルギー
ルの第
二囘國際
マ學會
に於
て
マ患
者血清
のメラ
ニン沈降反應
に
依
る
診噺法を發表
するや以後陸續
として種
々の
血清反應が考案
せらる
ゞに至れり。
梅澤氏(9)は該
反應本態
竝に機構を精細
に研究
し以
て原法
の如き
少量
のア
ルカ
リ
添加は血清緩衝作
用の爲意義少く、
本反應は
メラ
ニン試藥
を蒸餾水
にて稀
釋す
る場合最
も鋭敏
に出づ
との理由より蒸餾水を
用
ふる簡略法を考案
し、赤司
民(2)は
ヘンリー氏原法
のメラ
ニンは抗元
として
作用す
るも
のにあらす
單に
Indicator
として反應を顯著なら
しむるに役立
つのみ
との見
解より、
弱
アルカリ性蒸餾水
と血清、之
に〇・五%フォ
ルマリン液を加
へて行
ふ簡
易法を發表し、
又
布目氏(23)
は
メラ
ニン抗元
代用として製造容易且實
用に
供し得
る塩規フ
ォル
マリン水
溶液
を以て行
ふ塩規反應を考案
し其
の價値を推奨
せり。小
田
・淺井兩茂鋤は
膠質
色
素
は電解質
に依り沈降
し特
に
マ血清が他
の血清
と該作用を異にす
るを認
め、
小
田・淺井氏血清
コンゴ
ロート沈降反應な
る診断法を發表せり。又
Grigoriva
(40)氏
は從來結核、妊娠等
の診斷
に供
せられ
し
Costa氏反應を
三日熱
マの診斷に應用
し
一〇〇%
の陽性率を得
たりと唱
ふるや、
以後各種各性
マに就て幾多
の追試を
見るに至れり。