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[ 見本 ] 本科 高 2実戦 京大コース文系数学 必修テーマ XMAPCA-Z1J1-06 前の設問の利用を考えてみる 今回の題材は次のだ。 整数 pqp ¸ q ¸ 0)に対して 2 項係数を p C q = p! q!(p ¡ q)! と定める。なお 0! = 1 する。 n k 0 以上の整数のとき, n+k+1 C k+1 £ # 1 n+k C k ¡ 1 n+k+1 C k ; を計算し,n によらない値になることを示せ。 m 3 以上の整数のとき,和 1 3 C 3 + 1 4 C 3 + 1 5 C 3 + Ý + 1 m C 3 を求めよ。 (千葉大) は与えられた二項係数の定義を利用して計算すれば n+k+1 C k+1 £ # 1 n+k C k ¡ 1 n+k+1 C k ; = k k +1 ……………………………… ([) となることが示せる。困るのはだ。二項係数の逆数の和には計算公式がない。定義を代入して も,シグマを用いて表してもうまくいかない。ここで注目してほしいのが前の設問である。二項係数に関する等式([)を示した。にも同じ二項係数が出てくるわけで,「何とかに利用できな いだろうか ?」と考えてみよう。すると,では「和を求める」ということと # 1 n+k C k ¡ 1 n+k+1 C k ; の部分が「1 つずれた値をもつ分数の差」となっていることから n P k=1 # 1 k ¡ 1 k +1 ; = # 1 1 ¡ 1 2 ; + # 1 2 ¡ 1 3 ; + Ý + # 1 n ¡ 1 n +1 ; =1 ¡ 1 n +1 が頭をよぎるはず。そこで,今回も同じやり方で解くことができないか考えてみよう。このことを 踏まえて,上の式と同じような形を作るために([)を変形してじゃまな部分を右辺にもっていくと 1 n+k C k ¡ 1 n+k+1 C k = k k +1 Þ 1 n+k+1 C k+1 と二項係数の逆数が登場する。そこで,右辺の分母の二項係数が C 3 の形となるように k =2 代入すると 1 n+2 C 2 ¡ 1 n+3 C 2 = 2 3 Þ 1 n+3 C 3 両辺の n =0 から n = m ¡ 3 までの和をとれば m¡3 P n=0 # 1 n+2 C 2 ¡ 1 n+3 C 2 ; = 2 3 # 1 3 C 3 + 1 4 C 3 + 1 5 C 3 + Ý + 1 m C 3 ; これより与えられた和は次のように求めることができる。 1 3 C 3 + 1 4 C 3 + 1 5 C 3 + Ý + 1 m C 3 = 3 2 m¡3 P n=0 # 1 n+2 C 2 ¡ 1 n+3 C 2 ; = 3 2 S# 1 2 C 2 ¡ 1 3 C 2 ; + # 1 3 C 2 ¡ 1 4 C 2 ; + Ý + # 1 m¡1 C 2 ¡ 1 m C 2 ;k = 3 2 S1 ¡ 2 m(m ¡ 1) k

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[ 見本 ] 本科 高2実戦 京大コース文系数学 必修テーマ

XMAPCA-Z1J1-06

前の設問の利用を考えてみる今回の題材は次の⑵だ。

整数 p,q(p ¸ q ¸ 0)に対して 2項係数を pCq =p!

q!(p¡ q)!と定める。なお 0! = 1 と

する。⑴ n,kが 0以上の整数のとき,

n+k+1Ck+1 £ # 1n+kCk

¡1

n+k+1Ck;

を計算し,n によらない値になることを示せ。

⑵ mが 3以上の整数のとき,和 13C3+14C3+15C3+Ý+

1mC3

を求めよ。

(千葉大)

⑴は与えられた二項係数の定義を利用して計算すれば

n+k+1Ck+1 £ # 1n+kCk

¡1

n+k+1Ck; = k

k+ 1 ……………………………… ([)

となることが示せる。困るのは⑵だ。二項係数の逆数の和には計算公式がない。定義を代入しても,シグマを用いて表してもうまくいかない。ここで注目してほしいのが前の設問⑴である。⑴は二項係数に関する等式([)を示した。⑵にも同じ二項係数が出てくるわけで,「何とか⑵に利用できな

いだろうか ?」と考えてみよう。すると,⑵では「和を求める」ということと # 1n+kCk

¡1

n+k+1Ck;

の部分が「1つずれた値をもつ分数の差」となっていることからnPk=1

# 1k ¡1k+ 1 ; = # 1

1¡12;+ # 1

2¡13;+Ý+ # 1n ¡ 1

n + 1 ;

= 1¡1n + 1

が頭をよぎるはず。そこで,今回も同じやり方で解くことができないか考えてみよう。このことを踏まえて,上の式と同じような形を作るために([)を変形してじゃまな部分を右辺にもっていくと

1n+kCk

¡1

n+k+1Ck=

kk+ 1 Þ

1n+k+1Ck+1

と二項係数の逆数が登場する。そこで,右辺の分母の二項係数が ○C3 の形となるように k = 2 を代入すると

1n+2C2

¡1

n+3C2=23Þ1

n+3C3

両辺の n = 0 から n = m¡ 3 までの和をとればm¡3Pn=0

# 1n+2C2

¡1

n+3C2; = 2

3# 13C3+14C3+15C3+Ý+

1mC3

;これより与えられた和は次のように求めることができる。

13C3+14C3+15C3+Ý+

1mC3

=32

m¡3Pn=0

# 1n+2C2

¡1

n+3C2;

=32

S# 12C2¡13C2

;+ # 13C2¡14C2

;+Ý+ # 1m¡1C2

¡1mC2

;k

=32

S1¡ 2m(m¡ 1)

k

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XMAPCA-Z1A2-00

 n を正の奇数とする。 (25点)

⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

[ 見本 ] 本科 高2実戦 京大コース文系数学 添削問題編

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XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

同様に が正の偶数のときは

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

[ 見本 ] 本科 高2実戦 京大コース文系数学 解答解説編

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XMAPCA-Z1C2-02とき

xn ¡ yn = (x¡ y)(xn¡1 + xn¡2y+Ý+ xyn¡2 + yn¡1)

もある。これらは覚えておくとよい。

2 ⑴を数学的帰納法で証明するa2i¡1 + b2i¡1(i = 1; 2; Ý)が a+ b で割り切れることを数学的帰納法で証明しよう。ⅰ i = 1 のときは a+ b となるので成り立つ。ⅱ i = k のとき成り立つと仮定する,すなわち

a2k¡1 + b2k¡1 = (a+ b)ck (ck は整数)が成り立つと仮定すると

a2(k+1)¡1 + b2(k+1)¡1 = a2k+1 + b2k+1

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a2k¡1 + b2k¡1)

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a+ b)ck

= (a+ b)(a2k + b2k ¡ abck)

a2k + b2k ¡ abck は整数なので,i = k+ 1 のときも成り立つ。ⅰ,ⅱより題意は示された。

・方針が見えないときは前の設問とのつながりを考えよ

方針が見えないときは前の設問の考え方や結果の利用を考えてみよう。とくに本問のように,設定に似ているところがあるときは利用できることが多い。

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数の

XMAPCA-Z1C2-02とき

xn ¡ yn = (x¡ y)(xn¡1 + xn¡2y+Ý+ xyn¡2 + yn¡1)

もある。これらは覚えておくとよい。

2 ⑴を数学的帰納法で証明するa2i¡1 + b2i¡1(i = 1; 2; Ý)が a+ b で割り切れることを数学的帰納法で証明しよう。ⅰ i = 1 のときは a+ b となるので成り立つ。ⅱ i = k のとき成り立つと仮定する,すなわち

a2k¡1 + b2k¡1 = (a+ b)ck (ck は整数)が成り立つと仮定すると

a2(k+1)¡1 + b2(k+1)¡1 = a2k+1 + b2k+1

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a2k¡1 + b2k¡1)

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a+ b)ck

= (a+ b)(a2k + b2k ¡ abck)

a2k + b2k ¡ abck は整数なので,i = k+ 1 のときも成り立つ。ⅰ,ⅱより題意は示された。

・方針が見えないときは前の設問とのつながりを考えよ

方針が見えないときは前の設問の考え方や結果の利用を考えてみよう。とくに本問のように,設定に似ているところがあるときは利用できることが多い。

XMAPCA-Z1C2-01

   

n を正の奇数とする。 (25点)⑴ a,bを正の整数とするとき, an + bn は a+ b で割り切れることを示せ。 (5点)⑵ m を正の整数とするとき, 2(1n + 2n +Ý +mn) は m + 1 で割り切れることを示せ。

(20点)

⑵の方針を立てることが本問で一番難しいところ。⑴と同様に n 乗があり,割り切れることを示すのだから⑴の利用の仕方を考える( ▲1)のがカギとなる。a と b に何をあてはめるとうまくいくかを試行錯誤して考えよう。

⑴ n が 3以上の正の奇数のとき(a+ b)(an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1)

・・・・・・・・・・

= (an ¡ an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1 + bn)・・・・・・

= an + (¡an¡1b+ an¡2b2 ¡Ý¡ a2bn¡2 + abn¡1)・・・・・・

+ (an¡1b¡ an¡2b2 + an¡3b3 ¡Ý¡ abn¡1) + bn・・・・・・

= an + bn・・・・・・

が成り立つ。an¡1 ¡ an¡2b+ an¡3b2 ¡Ý¡ abn¡2 + bn¡1 は整数なの

▲因数分解を利用する方針。「解説 1」参照。

・・・・・・

で,an + bn は a+ b で割り切れる。n = 1 のときも割り切れるので・・・・・・

題意は示された。 (証明終)・・・・・・

⑵ 2(1n + 2n +Ý+mn) を変形すると ▲1⑴を利用するために和がm + 1 となる 2 つずつのペアをつくる。2 倍をばらすのがポイントで,次のように1 2 Ý m

m m¡ 1 Ý 1

と並べるとわかりやすいだろう。

2(1n + 2n +Ý+mn)・・・・・・・・・・

= (1n + 2n +Ý+mn) + (mn +Ý+ 2n + 1n)・・・・・・

= (1n +mn) + f2n + (m¡ 1)ng+Ý+ (mn + 1n)・・・・・・・

=mPk=1fkn + (m+ 1¡ k)ng

・・・・・・・・

ここで,⑴より kn + (m+ 1¡ k)n はk+ (m+ 1¡ k) = m+ 1

・・・・・・・・・・・

で割り切れるので,2(1n + 2n +Ý+mn) は m+ 1 で割り切れる。・・・・・・

(証明終)・・・・・

1 因数分解⑴の「解答」では,n が 3以上の奇数のときに

xn + yn = (x+ y)(xn¡1 ¡ xn¡2y+Ý¡ xyn¡2 + yn¡1)

が成り立つことを利用した。また,n が偶数でも奇数でも成り立つ式として,n が 2以上の整数のXMAPCA-Z1C2-02

ときxn ¡ yn = (x¡ y)(xn¡1 + xn¡2y+Ý+ xyn¡2 + yn¡1)

もある。これらは覚えておくとよい。

2 ⑴を数学的帰納法で証明するa2i¡1 + b2i¡1(i = 1; 2; Ý)が a+ b で割り切れることを数学的帰納法で証明しよう。ⅰ i = 1 のときは a+ b となるので成り立つ。ⅱ i = k のとき成り立つと仮定する,すなわち

a2k¡1 + b2k¡1 = (a+ b)ck (ck は整数)が成り立つと仮定すると

a2(k+1)¡1 + b2(k+1)¡1 = a2k+1 + b2k+1

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a2k¡1 + b2k¡1)

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a+ b)ck

= (a+ b)(a2k + b2k ¡ abck)

a2k + b2k ¡ abck は整数なので,i = k+ 1 のときも成り立つ。ⅰ,ⅱより題意は示された。

・方針が見えないときは前の設問とのつながりを考えよ

方針が見えないときは前の設問の考え方や結果の利用を考えてみよう。とくに本問のように,設定に似ているところがあるときは利用できることが多い。

XMAPCA-Z1C2-02とき

xn ¡ yn = (x¡ y)(xn¡1 + xn¡2y+Ý+ xyn¡2 + yn¡1)

もある。これらは覚えておくとよい。

2 ⑴を数学的帰納法で証明するa2i¡1 + b2i¡1(i = 1; 2; Ý)が a+ b で割り切れることを数学的帰納法で証明しよう。ⅰ i = 1 のときは a+ b となるので成り立つ。ⅱ i = k のとき成り立つと仮定する,すなわち

a2k¡1 + b2k¡1 = (a+ b)ck (ck は整数)が成り立つと仮定すると

a2(k+1)¡1 + b2(k+1)¡1 = a2k+1 + b2k+1

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a2k¡1 + b2k¡1)

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a+ b)ck

= (a+ b)(a2k + b2k ¡ abck)

a2k + b2k ¡ abck は整数なので,i = k+ 1 のときも成り立つ。ⅰ,ⅱより題意は示された。

・方針が見えないときは前の設問とのつながりを考えよ

方針が見えないときは前の設問の考え方や結果の利用を考えてみよう。とくに本問のように,設定に似ているところがあるときは利用できることが多い。

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XMAPCA-Z1C2-02とき

xn ¡ yn = (x¡ y)(xn¡1 + xn¡2y+Ý+ xyn¡2 + yn¡1)

もある。これらは覚えておくとよい。

2 ⑴を数学的帰納法で証明するa2i¡1 + b2i¡1(i = 1; 2; Ý)が a+ b で割り切れることを数学的帰納法で証明しよう。ⅰ i = 1 のときは a+ b となるので成り立つ。ⅱ i = k のとき成り立つと仮定する,すなわち

a2k¡1 + b2k¡1 = (a+ b)ck (ck は整数)が成り立つと仮定すると

a2(k+1)¡1 + b2(k+1)¡1 = a2k+1 + b2k+1

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a2k¡1 + b2k¡1)

= (a+ b)(a2k + b2k)¡ ab(a+ b)ck

= (a+ b)(a2k + b2k ¡ abck)

a2k + b2k ¡ abck は整数なので,i = k+ 1 のときも成り立つ。ⅰ,ⅱより題意は示された。

・方針が見えないときは前の設問とのつながりを考えよ

方針が見えないときは前の設問の考え方や結果の利用を考えてみよう。とくに本問のように,設定に似ているところがあるときは利用できることが多い。

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