農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品jii)...

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農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革 誌名 誌名 食農資源経済論集 ISSN ISSN 03888363 巻/号 巻/号 691 掲載ページ 掲載ページ p. 25-35 発行年月 発行年月 2018年4月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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Page 1: 農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品JII) 表2は, JAさがの経常利益を部門別にみたものである。表から分かるように2015年とそれ以外の3

農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革

誌名誌名 食農資源経済論集

ISSNISSN 03888363

巻/号巻/号 691

掲載ページ掲載ページ p. 25-35

発行年月発行年月 2018年4月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

Page 2: 農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品JII) 表2は, JAさがの経常利益を部門別にみたものである。表から分かるように2015年とそれ以外の3

農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革

Self-reform for the increase of the agricu加ralincome and the revitalization of local agricu加re

金原書秀*・品川優**

Toshihide KANAHARA Masaru SHINAGAWA

1. はじめに

本報告に与えられた課題のキーワードである「農業所得向上」「地域農業活性化J「自己改革」は, 2つの

極から求められている。 1つは,中央からのものであり,時系列的には規制改革会議の「規制改革に関す

る第二次答申」(2014年),農協法改正に向けた与党とりまとめ,それを受けた全中の「JAグノレーフ。の自

己改革について」(14年),農協法改正(15年),農業競争力強化プログラム関連法案(17年)である。こ

のうちはAグ、ループの自己改革についてJでは,自己改革の基本目標として「農業者の所得増大,農業生

産の拡大,地域の活性化」を掲げ,農協法改正では「農協は,その事業を行うに当たっては,農業所得の

増大に最大限の配慮をしなければならなしリ(第7条2項)とする。したがって,中央からの自己改革の

最大のテーマは農業所得の増大に設定される。

いま 1つの対の極は,こうした中央のねらいを意識しつつも,率先して自己改革のあり様を組合員や

地域農業の実態に即して研錯し, 3カ年計画を策定して,その実践を着実に進めていく単協の動きであ

る。その 1つに,本報告の JAさがも位置付けられる。

JAさがは,すでに後述する第四次3カ年計画から独自に自己改革を進めている。ではJAさがが,農

業者の所得増大及び地域農業を活性化させるために,どのような自己改革に取り組んでいるのか,その

実態を明らかにすることが,本報告の目的である。

以下では,まずJAさがの概況として,正・准組合員の位置,販売事業実績,経営状況などを確認し(第

2節), JAさがの自己改革の内容を担い手の育成・確保,販売強化とコスト削減に注目するとともに(第

3節),事業のグループ。会社化と持株会社化(第4節),さらには信用事業代理店化への対応(第5節),准

組合員対策(第6節)などの取り組みも射程に入れて明らかにし,最後に JAさがの今後の課題について

整理する(第7節)。

2. J Aさがの基礎的指標

(1)組合員数・出資金

2007年に8農協(佐賀市,佐城,諸富町,富士町,さが東部,神埼郡,佐賀みどり,白石地区)が合併

してできたのが JAさがである。県下には,その他に JAからつ, JA伊万里, JA佐賀市中央の3農協

があるが,ほぼ県域をカバーする準一県一農協といえる。そのため管内は,都市部,平野部,中山間地

キJA佐賀県中央会 **佐賀大学経済学部

Key Words :自己改革,経済事業強化,新規就農者対策,持株会社化,准組合員対策

(25)

Page 3: 農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品JII) 表2は, JAさがの経常利益を部門別にみたものである。表から分かるように2015年とそれ以外の3

(単位 .入, s万内)

60 0曲 一

50.0<珂

40飢渇

30政均

20.依田

10.000

• lE組合員 。進級古員

図 1 J Aさがの正・准現にみた組合員及び出資金の後移

Zさ J)f経合員数Jiこは.法人等を含む.

2)[出資金jには.処分景清持分:士宮まない.

資料 fJ Aさがディスクヨージャー誌』{各年飯)より作成弓

域のすべての地帯を含む。加えて同

年に,経済事業の系統二段階制への

対応として,県経済連のすべての権

利義務を継承している点も特徴であ

る。

図1は, JAさがの組合員数と出

資金を正・准別にみたものである。

2013年の正組合員数は 44,126人,

f儲且合員数は 40,596人であり,全

組合員数に占める割合は前者が

52.1%,後者が 47.9%である。それ

が 15年には,正組合員数42,234人

に対し准組合員数が 45,452人と,

はじめて正組合員を上回っている。この傾向は 16年も続いており,准組合員数が全体の 53.6%を占め

ている。各年の増減率をみると,正組合員数は毎年2%ずつ減少しているのに対し,准組合員数は 2013

~14年が 0.6%増に過ぎなかったが, 14~15年 11.3%増, 15~16年 5.4%増と, 14年以降P儲旦合員が

急激に増えている。これは, JAさがの准組合員対策が関係しており,それについては後述する。

出資金は, 2013年の 231億円が 16年には 226億円へ減少している。正 ・准別にみると,正組合員の

出資金が 13年の 193億円から毎年2億円ずつ減少し, 16年には 186億円になっている。これに対し准

組合員のそれは, 13年の 35.6億円から 5千万~6千万円ずつ増え, 16年で 37.3億円へ増加している。

正 .f街星合員の出資金割合は,一貫して正組合員が 83%を占めている。

以上を整理すると,組合員数では准組合員が過半を占めるに至ったが,出資金ベースでは正組合員が

8割強と圧倒的多数を占めるというのが, JAさがの姿である。

(2)経済事業ー販売取扱高

経済事業のうち販売事業を確認すると(表1),取扱高の合計は 2014~16年ともに 1,100億円弱であ

る。部門別にみると(16年),最も多いのが畜産の 294億円で全体の 1/4強を占める。このうち品目では

牛枝肉 54.2億円,子牛 20.6億円が大きし、(表略,以下同じ)。第2位が野菜の 203億円で約2割を占め,

イチゴの 37.0億円,タマネギ 27.1億円,アスパラガス 23.4億円が突出して多い品目である。第3位は

表 1 J Aさがにおける販売取扱高 米の 164億円で,このうち「うるち」は(単位.百万円)

fQ14 _j__ J_~ _[ J_~年度 8⑪.2億,「もちJも 48.8億円と多いの金額 -T橋一歳1金額 i構成 I一一孟弱-i橋両一

一_Jt__________ [____rn_~,Jrnf\一一一.lQQ,斗_LQJ_,_§.~9.l____l_9_9_,_i__ LQ史,-1.J.~i--J9.9:_Q_ が, JAさがの特徴の 1つである。ま畜産 I 23, 626! 21. 61 26,591 i 24.列 29, 392! 26. 9 野菜 | 比例j22. 91 礼 62sj 22. ~I 20. 2羽 18. 5 た,果実も 100億円を超えており,そ

米 I 1s. 1231 13. s1 凶 悶j 13. ~I 此 3叫 15.0 の3割が1副判ミカンである。こうした果樹 I 10. 686: 9. 11 10. 952! 10.引 11, 171! 10. 2

麦 J 4, 168! 3. SJ 3, 765! 3.可 3, 515! 3. 2 取扱高の順位及び全体に占めるシェア大豆 I 3, 038! 2. SI 2, 878! 2.叶 2, 570i 2. 3 酪農 I 1. 691! 1. 51 1. 11sf 1. 61 1. 63of 1. 5 は,いずれの年度も概ね同じである。

その他 I 22. 654: 20. 71 22. 654: 21. l「 24. 499! 22. 4 資料 iJ Aさがディスクロージャー誌』(各年版)より作成,

(3)経常利益

(26)

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農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品JII)

表2は, JAさがの経常利益を部門別にみたものである。表から分かるように 2015年とそれ以外の3

年とでは傾向が大きく異なっている。これは 15年が変則的な結果のためである。そこで 15年について

は,あとで触れることにする。

表2 部門別経常利益の推移

計 ! 信用 共済 農業

2013 1 275 1, 173 776 1,535 14 l, 151 l, 082 895 l, 406 15 -1, 124 l, 019 l, 157 -580

16年度 1 179 1 028 1 188 1 207 2013 100. 0 92.0 60.9 120.4 14 100.0 94.0 77.8 122.2 15 100.0 90.7 102.9 51. 6

16年度 100.0 87.2 100.8 102.4 資料 r1 Aさがディスクロージγー誌』(各年版)より作戒。

’一一一》,

生活 営農指導

-145 -2,063 -91 -2. 140 -531 -2. 189 -232 -2 012 -11 4 -161. 8 -7 9 -185.9 47.2 194.8 -19 7 -170. 7

2013・14・16年の経常利益は 12億

円前後である。部門別にみると,農業

部門が最も多く 12億~15億円,次に

多いのが信用部門の 10億~11億円,

共済部門は 13・14年は8億~9億円

であるが, 16年には 12億円近くに達

するなどこれら 3部門が黒字を計上し

ている。これに対し,営農指導部門は

毎年20億~21億円の赤字,生活指導も 1億~2億円強の赤字である。佐賀県は農業県であり,かつ県

内の大部分をカバーする JAということもあり,農業部門での黒字が大きい点が特徴である。だが,農

業部門だけで営農指導及び生活部門の赤字をカバーできるわけではない。農業部門に加え,共済部門の

黒字によって,営農指導及び生活部門の赤字が補填されている。その結果,残る信用部門の黒字が,そ

のまま経常利益全体の黒字になっているというのが, JAさがの経営の全体像である。

これに対し 2015年のみ経常利益が 11億円の赤字を計上している。部門別では,農業部門が6億円の

赤字に転落している。これは,第1に,夏場の低温・日照不足等による米の生育不良,べと病の発生や

肥大期の高温乾燥によるタマネギの収量減の結果,事業収益が減少したためである。第2は,後述する

連結グノレープ会社に関連事業の一部を移管したためである。第3は, 2007年の税制改正における減価償

却費制度の見直しにより,過年度償却費を含む固定資産簿価の一括償却を 15年に実施したことで,事

業管理費のなかの減価償却費が 12億円増えた結果である。

また,生活部門も赤字が5億円に膨らんでいる。その理由は, 1つには,石油類の 28億円減など生

活部門の事業収益が 59億円減少したためである。いま 1つは,農業部門同様に,連結グ、ループ会社に

関連事業の一部を移管したためである。その一方で、共済部門は,全戸訪問の徹底と「ひと・いえ・くるま」

の総合保障の提供を推進したことで,前年に比べ 2.6億円増加し,黒字が 12億円弱まで増えている。

(4)剰余金

2013年からの4年間の当期未処分剰余金を示したのが表3である。ここでも経常利益同様に,特異な

15年とそれ以外とに区分してみてし、く。 13・14年の剰余金は9億円強, 16年は 11.6億円である。処

分別にみると,出資配当は一貫して 1.7億円前後であり,普通出資に対する配当金の配当割合は 0.75%

である。事業の利用分量に対する利用配当は 13・14年は2億円である。事業利用は,販売品受入高及

び肥料農薬供給高に対し配当されるが, 16年は配当を引き上げたことにより 4千万円多い 2.4億円にな

表3 当期未処分剰余金の推移 っている。また次期繰越は, 13・14年は

(単位:百万円) 1億円強, 16年は2億円を繰り越してい計 |出資配当利用配当積立金等次期繰越

013 I 920! 110 201 427 121 る。これら以外に, 4億~5億円強の積

14 I 903! 16s 201 421 112 立金(特別積立金等)がある。15 I 3,451: 168 202 6,029 212

16年 I 1. 155! 166 240 546 201 一方で,特異な 15年の剰余金は 35億

資料:『JAさがディスクロージャー出(各年齢よ習作成。 円である。このうち出資配当及ひ深lj用配

(27)

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当は,先の3年と同じであり,次期繰越剰余金は1億円多い2億円である。大きく異なるのは積立金の

60億円である。これは,外部出資(株式)を一部売却し,その売却益を原資に,後述する第四次3カ年計

画での農業振興対策と, TPP対応としての畜産酪農生産基盤強化といった新たな積立金を設けたためで

ある。

このような経営構造にあるなか,自己改革が求められている。しかし, JAさがは「第四次3カ年計画

(2016~18年度)」(以下「第四次計画J)を策定し,副題の「自己改革の実践Jから分かるように,独自に自

己改革を打ち出しすでにスタートしている。

3. 自己改革への取り組み

(1)第四次計画の重点具体策

第四次計画では,先述した全国の JAグループによる自己改革基本目標,すなわち①農業者の所得増

大,②農業生産の拡大,③地域の活性化の3つを,同様に基本目標としている。この基本目標を具体化

するための部門別重点具体策が,表4である。表中の「@」は,第四次計画で新たに取り組む新規事項で

あり,「OJは第三次計画の内容見直し,「ム」は第三次計画からの継続事項を指す。

このうち紙幅の関係から,主要な取り組みのみに絞りみていくことにする。なお,農業者の所得増大

及び農業生産の拡大の点では,営農販売部門及び営農経済部門が大きく関係している。両者は,必ずし

も分離できるものではないため,合わせてみていくことにする。

表4 J Aさがにおける第四次計蛮の異体的取り組み'@①集落営農組織の法人化等担い手対策の実践。②新規就農者の就農対策。③営農指導員の専門的人材育成と営農指導の強化。③集荷率の向上と実需者ニーズ戸応じた生産・販売事業方式の拡大

(A) 営農販売部門lo③属芸農家の生産基盤強化・機品化体型の推進による生産拡大

0 ⑤畜産磁農の生産基盤強化とブランドを活かした販売強化ム⑦施設の再編整備や成果物の集荷・販売の一元体制によるコスト

削減.生産者の負担軽減土販売力の強化。①生産資材コスト低減による農家所得の培大。②JA物流事業の改革による物流コストの低減

(B) 営農経済部門|ム③生産資材店舗の弾力的な価格設定と営農相談機能の強化ム②専任TA Cによる出向く取り組み体制の強化と営農指導員との連携

強化。①生活文化活動と高齢者の生きがいづくり等の取り組み強化

(C) 生活関連部門lo②JAくらしの宅配便の再構築によるサービス向上ム③給与所の再配置とセルフ化によるサーピス強化。③直売所設置と「農家レストランjの併設による地域活性化。①農業融資iこ関する栂談機能の強化ム②年金援込指定口座獲得と年金友の会活動の活性化

(D) 信用共済部門|ム③地域組合員・利用者に信頼される金融機関としての確立と顧客満足度向上

企③共済事業における組合員・利用者へのサーどス強化ム①生産組合・青年部・女性部三組織活動の活性化。②准組合員のJAさがとしての各種対応強化と広報活動の充実

(E) 総務管理部門|@③農協改革の実践に向けた人的体制と経織・機構の強化ム③緩合員・利用者の満足度向上に向けた専門的人材育成。③財務・経営の健全化士事務の効率化等によるコスト削減

註, r@Jは新規京り組み事項, fCJl主第三次3カ年許冨からの内容見基し事項,?とJ:土第三次3カ年子冨か色の継続事項,を

援すe

資料 J Aさが「第呂次3カ年計画Jよワ作或一

(2)新規就農者対策

農業生産の拡大の1っとして,新たな担い手の育成・確保が不可欠である。 JAさがでは新規就農者

対策として, 2017年4月から「トレーニング、ファーム(新規就農研修施設)」に取り組んでいる。トレーニ

ングファームは各地区(旧 JA)単位で,当該地区の行政と連携して取り組める地区から着手している。

(28)

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農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品JII)

トレーニングファームが受け入れる研修生の組数や,研修する品目,研修内容等も地区ごとで異なる。

トレーニングファームの第1号はみどり地区(武雄市,嬉野市,鹿島市,太良町,大町町,江北町)で

あり,同地区は都市・平野部に該当する。募集要件は,①青年就農給付金の対象者(45歳未満)であるこ

と,②1組2人以上(原則夫婦)であること,③対象品目はハウスキュウリとすること,④300万円の就

農準備金を用意できること,⑤研修後も同地区内で就農・居住できること,の5点であり,最大で3組

を受け入れる。研修期間は2年間である。

このうち③は,同地区(特に武雄市)で生産が盛んであることに加え,価格が比較的安定しており,収

益性が高いためである。 JAさがの見積もりでは,夫婦2人で反収20トン,キロ単価280円で計算する

と,売上高が 560万円になり,自家労賃を含めた所得は325万円(所得率58%)になるとみている。

2ヶ月弱の募集の結果,以下の3組を研修生として受け入れている。年齢は, 30代前半2組, 20代

前半1組である。このうち2組は地区出身者かっ居住者であり,実家も農業をしている。残る 1組は,

愛知県からの移住である。ただし,夫婦とも福岡・佐賀の出身であり,特に妻の実家は武雄市で、ハウス

キュウリを生産している農家である。したがって,いずれの研修生も現在の住居,及び研修後の農地,

住居の確保に問題はない。

JAさがは 60aを借地して, 30aにハウス 3棟を設置し,研修生には1棟ずつハウスを割り当て,実

践研修をおこなう。研修は,県の農業機関 OBやJAの営農指導員,地区内のきゅうり部会員等が指導・

助言する。研修に必要な農業機械(トラクターなど)は JAさがが購入し,研修生に無料でリースする。

それ以外の様々な生産資材や講師料等の人件費,借地料などのコストは,すべて JAさがが負担する。

その一方で,研修生が生産・収穫したキュウリの販売代金は JAさがに帰属される。したがって,研修

にともなう研究生の経済的負担はなく,研修生は家賃を含む生活費のみの負担で済む上,研修中の住居

なども地区内の自治体が斡旋するなど,研修生が研修に集中できる環境を整えている。研修終了後は,

JAさがや地区内の自治体等関係諸機闘が農地を紹介・斡旋し,ハウスの建設等にかかる補助金申請な

どの支援をおこなう。

また第2号は,山間部に位置する富士町地区で開設予定であり,現在研修生を募集している段階であ

る。募集要件は,①50歳未満であるとし,青年就農給付金の対象とならない 45~49歳の研修生に対し

ては, JAさがが独自に月額 10万円(年間 120万円)の研修奨励金を2年間支給する。②募集人数は原則

夫婦または親族2名以上とし,③対象品目立ハウスホウレン草である。これは,富士町の振興作物かっ

比較的早期に出荷が可能であるためである。④就農時の準備金として400万円程度の自己資金を有して

いること,⑤研修後も同地区(富士町)内に定住・就農できること,の5点であり,年2組(4名)を受け

入れる。研修期間や研修内容,その仕組み,居住支援等は,第1号のみどり地区と概ね同じである。

(3)販売強化・コスト低減

1)農産物の買取販売

中央からの自己改革では,農産物の買取販売の拡大をうたっている。 JAさがの場合,早場米のコシ

ヒカリで一部買取販売に近い取り組みをおこなっているが,数量にするとごくわずかでしかなかった。

ところが, 2017年からもち米において買取販売に取り組むことにしている。この場合の買取販売とは,

通常のものとは異なり「共同計算からの早期買取(集荷後価格決定方式)」を指す。すなわち,従来どおり

集荷開始から共同計算(概算金)による集荷・販売を進めるが,集荷確定後(2~3月頃)の時点の販売残

の全量を JAさがが買い取るという方式である。つまり一定量は,委託販売が現在進行形で進みつつ,

(29)

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販売残は一括買取するという委託と買取のミックス型といえる。この手法は,国も買取販売の1つの手

法として了承している。

生産者からすると,遅くとも 3月の年度末までには最終精算されることになり,従来よりも早期精算

になるというメリットが生まれる。その一方で,販売リスクを考慮することで,買取価格がこれまでの

最終精算額に比べ安価となる可能性も否定できない。そこで,生産者の所得増大を目的とするため, JA

さがで、は以下のノレーノレを定めている。米穀販売課が2~3月頃に2通りの試算,すなわちa)JAさがに

よる買取価格の試算と, b)従来の共同計算による残額精算額の見通し試算,をおこなう。その後, 3月

頃に農産物販売推進委員会を開催し, 2つの試算を比較検討した結果,生産者にとって a)が有利であれ

ば,共同計算からの早期買取をおこない, b)が有利であれば,これまでどおりの委託販売(共同計算)

を進めるということである。先述したように佐賀では,もち米の取扱高が米全体の 1/3を占めるため,

早期買取の導入は大きな転換といえる。

また,次に取り上げる生産から販売までの一貫体制も,加工 ・販売する農産物を生産者から買い取る

ことから買取販売の1っといえる。

2)生産から販売までの一貫体制

JAさがは, JAさがのグ『ループ会社と連携して,農産物生産から販売までの各段階で、積極的に関わっ

ていく一貫体制を構築している。その一例が,加工・業務用野菜(キャベツ ・タマネギ)である。近年,

加工・業務用野菜の需要が増加しており,それらが野菜需要全体の6割近くを占めている。加工 ・業務

用野菜も主に市場流通から確保するため,安定供給が難しく市場価格の変動も小さくない。そこで,図

2のような加工・業務用野菜の安定供給を図るための仕組みをつくり, 2016年から本格的に取り組んで

いる。

まず,この一貫体制を希望する生産者(組合員)は挙手をし,当該農家の園場条件を確認したのち,グ

ノレープ会社の「JA建設クリエイトさが」と農作業受委託契約を締結するとともに, JAさがが指定した取

引先と契約栽培を結ぶ。そののち,キャベツ・タマネギの育苗は良百生産をおこなうため,原則グノレー

プ会社の「バイオテック富士」がおこない,供給する。キャベツ・タマネギの定植及び収穫作業(収穫作業

は生産者が希望すれば本人でも可)は, JA建設クリエイトさがが請け負う。その間,生産者がおこなう

作業は,定植前の圏場準備(排水対策,

元肥など)と定植後の圃場管理(防除

等)のみである。収穫したキャベツ ・

タマネギは,生産者から JAさが園

芸部を通じて,契約栽培の取引先に

全量販売される。キャベツは,グソレ

ープ会社「JAさが富士町加工食品」

が買い取り,自社工場で加工したの

ち,大手ハンバーガー企業の原材料

や,大手コンビニのカット野菜の原

料として販売する。他方,図2には

タマネギのノレートが掲載されていな

いが,グループ会社「ジェイエイピパ

稼祭絡の-;立体観jの流れ

生産から簸亮!leで.き建羽根とJA":!ff、グループ言語止が車問しています.

{繰}バイオテヲフ富士I譲苗め生渡ー侠轄を、【録l JA縫控クリヱイトさが旬、国工・薬務舟野需の生霊lli大を包ろうと、•t掌

梁型民事務援を行コてい曾す.

東国

舷蹟袋町

W凶戸隠

u

’糊一一

(30)

生産から販売までの一実体制図2

資料、;「JA喜が資料jより抜粋。

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農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品JI!)

レッジ佐賀」が買い取ったのち剥き玉にし,それを冷凍食品等の原料として,食品製造・販売をおこなう

グループ会社「JAフーズさが」に供給・販売する。本格的に始動してまだ1年目ということもあるため,

2016年実績はタマネギ8.Sha,キャベツ 1.lhaであるが,これから面積が拡大していくものと思われる。

このように JAさがと複数のグループ会社とで役割を分担し,一貫体制を構築することによって,生

産者に対しては,労力削減による作付面積の拡大や所得向上に資するとともに, JAさがやグ、ルーフ。会

社にとっては,加工・業務用需要に対する安定供給,系統への集荷率の向上,買取販売の実績,労力支

援による生産者も組合員)との関係強化,グループ会社の機械や工場稼働率のアップ,それによる生産性

の向上,さらには地元経済の活性化にも資するといった幅広いメリットが生まれる。

3)コスト低減

農業者の所得増大に結び付けるコスト低減では,主として①肥料の満車直行比率,②フレコン供給比

率,③米の自賄倉庫の切替率,を引き上げることを掲げている。①は, 2014年度実績 15%を 16年度

20%→17年度23%→18年度25%に,同様に②は21%を22%→24%→25%へ,③も 42%を44%→73%

→100%,とする目標である。

JAさがの特徴は,必ずしも単価の引き下げなど金額による生産者のコスト低減を目標としているわ

けではないという点である。その背景には,金額でのコスト低減が農業者の所得増大の実感と結び付か

ないことに対する懸念がある。例えば,輸入に依存している肥料の場合, JAさがの努力により販売価

格を引き下げたとしても,為替変動によってはむしろ販売価格があがることもあり得る。その結果, JA

さがの努力は水泡に帰すとともに,組合員からは何も変わっていないと判断される可能性もある。その

ため他の外部要因に左右されず, JAさが自身が確実,かっ成果がみえる範囲でおこなうために比率で

の目標設定をしている。これらの比率が上昇すれば,それとリンクして自然と絶対額も下がると考えて

いる。

4.事業のグループ会社化

JAさがには, 2016年時点で 16の連結グ、ループ会社(株式 15社・有限会社1社)がある。事業分野で

みると,前節で触れたグループ会社以外にも青果物仲立業,飲料製造業, Aコープ,葬祭事業,建設業・

倉庫業,段ボール製造・販売など,まさしく農業生産・生活全般を網羅している。グループ会社のうち

最も古い会社が, 1950年設立の青果物仲立業であり, 2000年以降に立ち上げたものは3社に過ぎない。

JAさがになってから設立した会社は,「JA段ボールさがJとJAさが富士町加工食品の2社のみである。

したがって,そのほとんどは合併前の旧農協が古くから進めてきたものである。

JAさがが有するグループ会社の議決権比率はいずれも 50%以上であり,そのうち 100%出資が 10

社ある。 2016年のグループ会社 16社の経常利益の合計は 18億円, 1社平均で 1.1億円である。これ

らグループ会社は,第四次計画のなかではクローズアップして具体案を掲げていないが,それぞれの事

業部門と関連付けて組み込んでいる。

このように JAさがは,多くの事業をグループ。会社にしたが,それら事業の経常利益は比較的大きな

ものである。しかしJAさがにとっては,グループ。会社からの直接的な利益の還流はなく, JAさがの経

済的恩恵はグ、ルーフ。会社への原材料や資材の供給・販売ならびに出資配当に限られる。つまり,グルー

プ会社として独立させればさせるほど, JAさがの経営が細くなるということである。しかし,それら

事業を JAさがとして追求するとすれば,機動性がネックとなる。特に加工事業では,大規模な加工施

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Page 9: 農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品JII) 表2は, JAさがの経常利益を部門別にみたものである。表から分かるように2015年とそれ以外の3

〔仁王日目玉i]-[!至~5巨空~-:=包空!] ~翌日 巴豆日二巨三コ 区三EE三コ 包笠呂~[!吾妻B仁~ 巨翌翌日!錨コンブライアンス繍!J

Aさが

《持ち味会社を調官成するグループ重量投》

側JA建1!tウリエイトさが

。唱JAオート佐賀

舗はおマヲ将士H左翼

語講JA段ボールさが

鱗JAセレモニーさが

コスモ繍

飾品フーズさが

側ジェイヱイビパレッジ佐賀

’a・・’s--

噂舗嚇

鮒JAさが富士町加工食品

図3 待録会祉化のイメージ

買事手 CJA!きが貰斜J'i,誼怜(-篠修正〉.

設等への投資が不可欠であるが,その都度総代会に諮らなければならず,機動的かつ柔軟に動くことが

できない。また,各事業によってそれぞれの特性もあり,工場の交代制などの勤務形態や人事 ・労務管

理など JAさがが一本化してコントロールすることが困難なものも少なくない。そう したなかでのグル

ープ会社化である。

また,第四次計画と直接的には関係ないが, JAさがは 2017年中に持株会社2社を立ち上げ, JAさ

がが 100%出資しているグループ会社を,持株会社の傘下とする再編を打ち出している(図 3)。2社の

持株会社は「アグリ ・生活関連」と「食品加工」とし,前者には先の JA建設クリエイ トさがやその他ガソ

リンスタンド,建設関係,段ボーノレ製造・販売,葬祭事業等のグノレープ会社6社が入る(16年売上高 190

1・ 縛ぢ税金径の1••生.d)j広犬:•婁賓の所得増太に関する〉償費量イ#ージ · I

図4 持株会社下における生産から販売までの一貫体制

資料: IJ Aさが資料jより抜粋.

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農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品JII)

億円,経常利益 8.2億円)。他方,後者には先述したJAさが富士町加工食品,ジェイエイビパレッジ佐

賀, JAフーズさがの食品加工3社が入る(同 215億円, 5.7億円)。 JAさがは,現在保有しているこれ

ら9社の全株式を持株会社へ移転することで,「アグリ・生活関連」の資本金は 3.9億円,「食品加工」は

41.7億円となる。持株会社化することで,先に触れた生産から販売までの一貫体制も図4のような仕組

みに変わることになる。

持株会社化への移行は,第1にグループ。会社の統合・合併の場合,資産譲渡が煩雑であり,かっ給与

体系も異なること,第2にグループ会社が多くなってきたことに加え,各グループ会社の事業の広がり

によって,グループ会社間で重複する事業や業務が生じてきたためである。そこで総務や人事・労務管

理を共通化する持株会社化を選択している。第3に中央からの自己改革への対抗としての自己改革の実

践と,それを通じた農業者の所得増大に結び付けるためである。

なお, JAさがが 100%出資していないグループ会社6社は,特殊な事業については個人あるいは民間

企業への売却も視野に入れるが,多くは出資金を 100%にした上で順次持株会社へ編入していく予定で

ある。またAコープ事業は, Aコープ九州|と合併することが決定している。

5.信用事業代理店化への対応

部門別にみた経常利益は,信用事業が最も安定的な利益を計上しており,信用事業がほぼそのまま全

体の経常利益の黒字となっていた。 2016年における信用事業の運用利回りは,平均で 0.88%である。

このうち信連への預金は0.63%,有価証券 1.38%,農家等への貸出金 1.55%であり,利息の合計は 58.0

億円になる。

信用事業が代理店化されると,農家等への貸出も地域の実情に応じた柔軟な対応が難しくなるととも

に,運用収益はすべて手数料収益に限定される。その手数料水準がどの程度になるのか,現在農林中金

が9月をめどに算定しているところである。ただしその算定も,現在のどのような農協をモデ、ルとして

算出するのか,将来の方針を組み込んだ形で算定するのか,どこまで農協の職員や施設等を含め算定す

るのか,など算定の条件によって手数料水準は大きく異なる。また,手数料も全国一律なのか,農協の

規模等によって異なるのかなどにもよる。もし手数料水準が,現在の運用利回りを大きく下回るとすれ

ば,信用事業の代理店化は JAさがの経営を根底から崩すことになる。いずれにせよ,農林中金の算定

結果が出た上で,どのように対応するか検討してし、く予定である。

6.准組合員対策

JAさがでは2015年度以降,J儲且合員数が正組合員数を上回る状況に突入したことを図1で確認した。

そこには,正組合員の高齢化による脱退却儲[El.合員数の増加とし、う正反対の動きが強まっていることが

関係している。特に後者は,これまでの規制改革会議等などが農協の員外利用に対する規制を問題視す

るなか, JAは員外利用者を准組合員として取り込んでいくことで,員外利用に対する批判をかわす狙

いがあった。

准組合員として取り込むために,JAさがも全国の多くのJAで導入している総合ポイント制度を2011

年に導入している。総合ポイント制度は,正・准問わず組合員になることが制度入会の条件であり,入

会金は無料である。組合員になると入会ポイントがつき, JAさがの施設や事業の利用に応じてポイン

トが貯まる。貯まったポイントは, JAさがで使用可能な商品券と交換できる。こうしたポイントサー

ビスが受け入れられ,員外利用者からJ儲且合員となる人が増えてきたということである。したがって,

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J儲且合員とし、う形で積極的にJAさがの利用者を増やしてし、った結果である。

しかしその一方で, JAさがとしては過半を占めるようになった准組合員への対応も求められること

となる。すなわち,総合ポイント制度はJ儲且合員制度を通じて,これまでの一般消費者と JAさがとを

結び付けることに大きく貢献したのは事実であるが,それはあくまでも一般消費者が求めるニーズ(必要

な商品やポイントなど)とマッチしたに過ぎず,彼らが JAさが,あるいはJA自体の理解者・応援者で

あることを意味するわけではない。

そこで,彼らを単なる利用者・顧客としてだけではなく, JAさが及びJAの真の理解者・応援者にな

ってもらうために,「食jを入り口として以下の取り組みをしている。 1つは, JAさがの様々な施設等

に晶組合員を案内・紹介するツアーをおこない,その後に BBQ大会などのイベントをおこなうなど,

それらを通じて JAさがに対する理解を広め,深めている。いま 1つは, 2016年9月から准組合員を対

象とした広報誌「もぐっとさが」を年2回,作成・配布している。ただし, 4万人を超える池組合員全員

に配布すると多額のコストを要するため, 30~40歳代の子供をもっ,最も食の安全・安心に気を遣う主

婦層をターゲットに,計2万人に配布している。

上記の取り組みを通じて,准組合員に対しては JAさがへの理解者・応援者になってもらい,農業者

に対しては准組合員の事業利用による所得の増大を, JAさがは准組合員の意見を聞くツールとして事

業運営に反映させている。

7.おわりに

以上, JAさがの自己改革の内容や持ち株会社化,信用事業代理店化や准組合員対策などの取り組み

をみてきた。 JAさがでは,政府が求める自己改革よりも先んじて,あるいは見越して,広範な分野・

事業にわたり自主的に自己改革を進めている。それは,政府の自己改革とは関係なく,農協の使命は地

域農業をいかにして維持・発展させていくか農を通じていかに地域を活性化させるかに尽きるからで

ある。そのための「3カ年計画」であり,販売強化・コスト低減対策,生産から販売までのー頁体制とし

ての食品加工事業の確立などグ、ループ会社の再編,事業方式の見直し,である。

そのような農協の使命・役割を発揮するためには,農協は総合事業体でなければならない。総合事業

は,単なる事業部門間の相互補填ではなく,販売・購買・信用・共済・生活福祉などを総合的に展開し

なければ,農業振興と地域の活性化を成し遂げることができないからである。しかしながら,政府の「農

協改革」では,「信用事業の譲渡・代理店化」を打ち出しており,これへの対抗も念頭におきながら,自己

改革に取り組まなければならない。信用事業は,地域が,そして現場が主体的に展開してして総合事業

にとって,不可欠なものである。

さらにいえば,政府の「農協改革jへの対抗として打ち出されている一県一農協構想について, JAさ

がも現在の準一県一農協からー県一農協の実現に向けて引き続き取り組んでいくことも必要である。

Abstract

Japanese government regards the incr伺 sein agricultural income as the matter of priority in

“reformation of Japan Agricultural Cooperative (JA)”. And to achieve this, gov田 rmentnow seek the solution

伽 oughthe denial of function of JAs. On the other ha叫 thoughlocal JAs also acknowledge the necessity of

incr巴asingthe agricultural income, they紅 E仕yingto achieve this through the reformation of themselves. JA

Saga, the subject of this pap民 isthe most advanced case of this refoロnatorymovem巴nt.

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農業所得向上と地域農業活性化のための自己改革(金原・品川|)

JA Saga provides the回 iningand support for new farmers, selling dぽ buyingfor agricultural

products, and the cohぽentsystem that covers企omproduction to sales. fu addition, JA Saga reorganized its

subsidiaries into a holding company. By this, now JA Saga is able to expand their business and achieve the

incr巴aseof the agricultural income as well as白巳costreduction. The cas巴ofJA Saga suggests that as anothぽ

option for denial of its加 ction,JAs can su伍cientlyincr切 sethe agricu加ralincome through th世

self-reformation.

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