職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ ·...

39
平成 24 年度 厚生労働省委託事業 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版) 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

Upload: others

Post on 30-Nov-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

平成 24 年度 厚生労働省委託事業

職場のパワーハラスメントに関する

実態調査報告書(概要版)

東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

Page 2: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理
Page 3: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

1

目次

1. 調査概要 ........................................................................................................................2 2. 従業員からの相談等におけるパワーハラスメントの位置づけ ............................................3 3. パワーハラスメントの発生状況.........................................................................................4

3.1. パワーハラスメントの発生について ...........................................................................4 3.2. パワーハラスメントの内容と当事者の関係について ...................................................7 3.3. パワーハラスメントの発生傾向について ..................................................................10

4. パワーハラスメントが発生している職場とは .................................................................... 11 4.1. 従業員規模別のパワーハラスメントの発生状況 ...................................................... 11 4.2. パワーハラスメントが発生する職場の特徴 .............................................................. 11 4.3. 会社や上司へのモノの言いやすさとパワーハラスメントの関連 .................................13

5. パワーハラスメントの予防・解決のための企業の取組と効果 ...........................................14 5.1. 企業のパワーハラスメントの予防・解決のための取組意欲と取組状況......................14 5.2. パワーハラスメントの予防・解決のための具体的な取組事項 ...................................16 5.3. パワーハラスメントの予防・解決のための取組の効果 ..............................................18

6. パワーハラスメントの減少に向けて求められること ..........................................................21 6.1. 企業における課題..................................................................................................21 6.2. 従業員における課題 ..............................................................................................27 6.2.1. パワーハラスメントを受けても「何もしなかった」比率が高い ..................................27 6.2.2. パワーハラスメントに対する理解の促進 ..............................................................30 6.3. パワーハラスメントの予防・解決のための取組を行うために必要な対応....................33

7. まとめとパワーハラスメントの削減に向けて ....................................................................34

Page 4: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

2

1. 調査概要 本調査は職場のパワーハラスメントの実態を把握する目的で、従業員(正社員)30 人以

上の企業約 17,000 社及び民間企業に勤務している者 9,000 名に対して、2012 年 7 月から 9

月にアンケートを実施したものである。

表1 調査概要

企業調査 従業員調査

調査手法 郵送調査

※従業員数 30-299 人の企業に対しては、一部

質問を割愛した簡易版の調査票を送付

インターネット調査

調査実施時期 2012 年 7 月 30 日~9 月 4 日 2012 年 7 月

調査地域 全国 全国

サンプル数 4,580 社 (回収率 27.3%※)

※17,000 社に発送。配達不能の 252 件を除く 9,000 名

対象(者)条件 ・ 従業員(正社員)数 300 人以上の民間

企業全社(11,421 社)

・ 従業員(正社員)数 299 人以下の企業

については業種及び従業員数に応じ

て割付を行った

・ 20~64 歳の男女

・ 企業・団体に勤務する(公務員、自営

業、経営者、役員は除く)

・ 性・年齢、正社員と正社員以外で割付

を行った

サンプリング手法 300 人以上の企業は全数

30 人~299 人の企業は層化 2 段階抽出 マクロミル社の調査協力者パネルを使用

なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

に基づき、職場のパワーハラスメントを「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人

間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛

を与える又は職場環境を悪化させる行為」として調査を実施している。

Page 5: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

3

2. 従業員からの相談等におけるパワーハラスメントの位置づけ <従業員 1000 人以上の企業の 9割以上で従業員向け相談窓口を設置>

企業調査において、「従業員の悩み、不満、苦情、トラブルなどを受け付けるための相談

窓口」を設置しているかどうか質問したところ、回答企業の 70.7%が「社内に設置」してお

り、「会社とは独立した外部の組織(社外)に委託している」(28.9%)を含めると、73.4%

が従業員向けの相談窓口を設置している。

「社外」のみに設置している企業は 123 社で回答企業全体の 2.7%と少なく、社外に相談

窓口を外部に設置している企業(28.9%)のほとんどが社内と外部を併設している。

従業員 1000 人以上の企業では「社内に設置」が 94.0%と高く、「社外」も併せると 96.6%

とほとんどの企業で従業員向けの相談窓口を設置している。

一方、従業員 99 人以下の企業では「社内に設置」34.7%に対し、「社外」8.2%と「社内

に設置」が主流であることには変わりがないが、従業員向けの相談窓口の設置は 37.1%と

低く、従業員 100~299 人の企業(72.6%)と比べても半分以下の水準に留まっている。

図1 従業員向けの相談窓口の設置

<相談窓口への相談件数はパワーハラスメントに関するものが多い>

社内の相談窓口で受け付けている相談テーマを見ると、「セクシュアルハラスメント」

(90.9%)が最も多く、「パワーハラスメント」(81.3%)、「メンタルヘルス不調」(69.8%)、

「コンプライアンス」(65.7%)の順で続いている。

さらに相談内容で多く取り扱っているテーマの上位 2項目をあげてもらったところ、「メ

ンタルヘルス」(32.7%)が最も多く、「パワーハラスメント」(22.0%)、「セクシュアルハラ

スメント」(14.3%)が続いている。

相談窓口で受付対象としているテーマとしては、セクシュアルハラスメントが多いもの

の、実際の相談件数の上位項目としてはパワーハラスメントがセクシュアルハラスメント

を上回る結果となった。

70 .7

28 .9

26 .6

34 .7

8 .2

62 .9

69 .9

19 .6

27 .4

85 .3

35 .5

11 .8

94 .0

57 .5

3 .4

社内に設置している

会社とは独立した外部の組織に委託

設置していない

全体(n=4580)99人以下(n=1218)

100~299人(n=672)300~999人(n=2038)

1000人以上(n=621)

(回答:全員、%)

Page 6: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

4

図 2 社内相談窓口で取り扱うテーマ 図 3 社内相談窓口において相談の多いテーマ(上位2項目)

3. パワーハラスメントの発生状況 3.1. パワーハラスメントの発生について <パワーハラスメントに該当する相談を受けた企業の比率は 32.0%>

企業調査において、過去 3 年間に 1 件以上パワーハラスメントに関する相談を受けたこ

とがあると回答した企業は回答企業全体の 45.2%となっている。そのうちの 70.8%の企業

においてパワーハラスメントに該当する事案があったとの回答が得られた。

パワーハラスメントに該当する事案があった企業の比率は回答企業全体の 32.0%となっ

ている。

パワーハラスメントに関する相談およびパワーハラスメントに該当する事案の発生件数

を見ると、過去 3 年間にパワーハラスメントに関連する相談が 1 件以上あった企業におけ

る相談件数の平均値は 6.4 件、パワーハラスメントに該当する案件が 1 件以上あった企業

における件数の平均値は 3.5 件となっている。

90 .9

81 .3

69 .8

65 .7

47 .0

41 .0

6 .3

75 .7

70 .7

62 .2

54 .6

49 .2

40 .2

4 .3

90 .6

78 .3

71 .3

63 .2

49 .4

41 .9

7 .0

93 .0

81 .9

70 .2

65 .4

45 .5

39 .5

4 .9

96 .4

89 .7

72 .9

76 .2

48 .1

45 .4

11 .3

セクシュアルハラスメント

パワーハラスメント

メンタルヘルス不調

コンプライアンス

賃金、労働時間等の勤労

条件

人事評価・キャリア

その他

全体(n=3237)99人以下(n=423)100~299人(n=470)300~999人(n=1738)1000人以上(n=584)

(回答:社内に相談窓口を設置している企業、%)

14 .3

22 .0

32 .7

13 .8

16 .3

9 .5

4 .7

4 .3

9 .9

21 .5

11 .8

23 .4

14 .2

4 .0

9 .6

16 .2

28 .1

11 .5

19 .8

10 .9

5 .3

15 .9

21 .2

35 .3

13 .4

15 .2

9 .0

4 .0

20 .4

37 .3

36 .8

18 .7

11 .8

6 .5

7 .0

セクシュアルハラスメント

パワーハラスメント

メンタルヘルス不調

コンプライアンス

賃金、労働時間等の勤労

条件

人事評価・キャリア

その他

全体(n=3237)99人以下(n=423)100~299人(n=470)300~999人(n=1738)1000人以上(n=584)

(回答:社内に相談窓口を設置している企業、%)

Page 7: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

5

図4 過去3年間の相談件数 図5 相談のうちパワーハラスメントに該当した件数

<パワーハラスメントを受けたことがある従業員の比率は 25.3%>

一方、従業員調査では、過去 3 年間に「パワハラを受けたことがある」との質問には、

全体の 25.3%が「経験あり」と回答している。また、「自分の周辺でパワハラを受けている

のを見たり、相談を受けたことがある」では 28.2%が、「パワハラをしたと指摘されたこと

がある」では 7.3%が「経験あり」と回答している。

図 6 過去 3 年間のパワーハラスメントについての経験の有無

自分自身が最近 3 年間にパワーハラスメントを受けた者を年代別に見ると、30 歳代が

27.2%と最も高く、40 歳代 25.7%、50 歳代以上 24.8%と続き、20 歳代は 23.3%とやや低くな

っている。同様に性別で見ると、男性 26.5%に対し女性は 23.9%と、男性の方が若干パワー

ハラスメントを受けた比率が高くなっている。

さらに、職種と性別の切り口で見ると、管理職(男女合計)が 31.1%と最も高く、管理職

52 .9

34 .0

7 .4

1 .6

1 .0

0 .4

0 .3

0 .1

0 .2

0 .2

0件※

1~5件

6~10件

11~20件

21~30件

31~40件

41~50件

51~70件

71~100件

101件以上

25 .4

47 .0

17 .2

3 .5

1 .4

0 .5

0 .4

0 .1

0 .2

0 .2

0 .1

0 .1

0件

1~2件

3~5件

6~10件

11~15件

16~20件

21~30件

31~40件

41~50件

51~70件

71~100件

101件以上

※0件に「現在も過去もパワ

ハラに関する相談はない」、

「パワハラに関する相談を

受け付けていない」を含む

45.2%

70.8% 全体の

32.0%

(回答:過去3年間にパワハラに関する

相談があった企業 n=2083、%) (回答:全員 n=4580、%)

25 .3

28 .2

7 .3

74 .7

71 .8

92 .7

経験あり 経験なし

(回答:全員 n=9000、%)

パワハラを受けたことがある

勤務先で、パワハラを見たり、相談

を受けたことがある

パワハラをしたと感じたり、パワハラ

をしたと指摘されたことがある

Page 8: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

6

を除いた女性正社員 29.0%、男性正社員が 26.8%となっており、正社員以外の社員がパワー

ハラスメントを受けた比率は正社員に比べると低くなっている(男性 20.9%、女性

19.3%)。

図 7 過去 3 年間のパワーハラスメントを受けた経験の有無

23 .3

27 .2

25 .7

24 .8

31 .1

26 .8

29 .0

20 .9

19 .3

76 .7

72 .8

74 .3

75 .2

68 .9

73 .2

71 .0

79 .1

80 .7

経験あり 経験なし

20歳代(n=1900)

30歳代(n=2450)

40歳代(n=2050)

50歳以上(n=2600)

管理職(n=771)

男性正社員(n=3530)

女性正社員(n=1799)

男性正社員以外(n=750)

女性正社員以外(n=2150)

(回答:全員、%)

年齢別

性別×職種

Page 9: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

7

3.2. パワーハラスメントの内容と当事者の関係について <パワーハラスメントの相談内容は「精神的な攻撃」が多い>

企業調査、従業員調査ともに「パワーハラスメントの内容」については、「精神的な攻撃」

が際立って多くなっている点において、同様の傾向を示している。従業員調査の自由記入

からパワーハラスメントの内容を例示すると表2のようになる。

企業調査において、過去 3 年間にパワーハラスメントに関連する相談が 1 件以上あった

企業に、相談内容について質問したところ、「精神的な攻撃」が 69.6%と最も多く、「人間関

係からの切り離し」(21.2%)、「過大な要求」(16.8%)、「個の侵害」(15.4%)、「身体的な攻

撃」(14.7%)、「過小な要求」(6.7%)の順で続いている。

図 8(企業調査)パワーハラスメントに関連 図 9(従業員調査)あなたが受けたパワーハラス

する相談内容とパワーハラスメントに メントの内容

該当した事案

同様に、従業員調査では、「精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)」が 55.6%

と最も多くなっている。企業調査に比べると「過大な要求(業務上明らかに不要なこと、

遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)」(28.7%)と「過小な要求(業務上の合理性なく、

能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)」(18.3%)

の比率や順位がやや高くなっている一方で、「身体的な攻撃(暴行・傷害)」が 4.3%と低く

なっていることが特徴といえる。

<性別・年代により異なるパワーハラスメントの内容>

パワーハラスメントの内容について、性別、年代別にみると、女性や 20 歳代で「人間関

係からの切り離し」(女性 29.0%、20 歳代 30.8%)、「個の侵害」(女性 23.2%、20 歳代 26.2%)

が高くなっている。一方、男性や 30 歳代では「過大な要求」(男性 31.2%、30 歳代 33.3%)

69 .6

21 .2

16 .8

15 .4

14 .7

7 .2

6 .7

44 .2

9 .3

8 .6

7 .2

11 .2

2 .4

2 .6

精神的な攻撃

人間関係からの切り離し

過大な要求

個の侵害

身体的な攻撃

過小な要求

その他

相談内容

パワーハラスメントに該当

(回答:過去3年間にパワ

ハラに関する相談があっ

た企業 n=2083、%)

55 .6

28 .7

24 .7

19 .7

18 .3

4 .3

8 .6

精神的な攻撃

過大な要求

人間関係からの切り離し

個の侵害

過小な要求

身体的な攻撃

その他

(回答:過去3年間にパワハ

ラ を 受 け た こ と が あ る 者

n=2279、%)

Page 10: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

8

が高くなっており、性別や年代でパワーハラスメントの内容に違いが見られる。

(従業員調査)あなたが受けたパワーハラスメントの内容

図 10 性別 図 11 年代別

表 2 パワーハラスメントの具体的な内容

類型 内容(性別、年齢)

精神的な攻撃

・ 皆の前で大声で叱責。物をなげつけられる。ミスを皆の前で大声で言われる(女性、30 歳代)

・ 人格を否定されるようなことを言われる。お前が辞めれば、改善効果が 300 万出るなど会議

上で言われた。(男性、20 歳代)

・ 同僚の前で無能扱いする言葉を受けた。(男性、50 歳以上)

過大な要求

・ 就業間際に過大な仕事を毎回押し付ける。(女性、40 歳代)

・ 一人では無理だとわかっている仕事を一人でやらせる。(男性、20 歳代)

・ 休日出勤しても終わらない業務の強要。(男性、30 歳代)

人間関係から

の切り離し

・ 挨拶をしても無視され、会話をしてくれなくなった。(女性、30 歳代)

・ 報告した業務への返答がない。部署の食事会に誘われない。(女性、30 歳代)

・ 他の人に「私の手伝いをするな」と言われた。(男性、50 歳以上)

個の侵害

・ プライベートな事を聞いてきたり、相手は既婚者であるにも関わらず独身の私にしつこく交際

を迫った(女性、20 歳代)

・ 交際相手の有無について聞かれ、過度に結婚を推奨された。(女性、30 歳代)

・ 個人の宗教を、皆の前で言われ、否定、悪口を言われた。(女性、50 歳以上)

過小な要求

・ 従業員全員に聞こえるように程度の低い仕事を名指しで命じられた。(女性、20 歳代)

・ 営業なのに買い物、倉庫整理などを必要以上に強要される。(男性、40 歳代)

・ 草むしり(男性、50 歳以上)

身体的な攻撃

・ 足でけられる(女性、50 歳以上)

・ 胸ぐらを掴む、髪を引っ張る、火の着いたタバコを投げる(男性、40 歳代)

・ 頭をこずかれた(男性、50 歳以上)

55 .6

28 .7

24 .7

19 .7

18 .3

4 .3

8 .6

55 .8

31 .2

21 .5

17 .1

20 .4

5 .8

6 .3

55 .3

25 .2

29 .0

23 .2

15 .4

2 .2

11 .7

精神的な攻撃

過大な要求

人間関係からの切り離し

個の侵害

過小な要求

暴行・傷害

その他

全体(n=2279)男性(n=1325)女性(n=954)

59 .0

26 .9

30 .8

26 .2

14 .3

8 .4

7 .0

58 .6

33 .3

24 .5

19 .4

17 .6

5 .6

7 .1

55 .7

28 .3

25 .3

20 .7

20

3 .8

8 .9

50 .2

25 .4

20 .2

14 .6

20 .5

0 .6

10 .9

精神的な攻撃

過大な要求

人間関係からの切り離し

個の侵害

過小な要求

暴行・傷害

その他

20歳代(n=442)30歳代(n=666)40歳代(n=526)50歳以上(n=645)

(回答:過去3年間にパワハラを受けたことがある者、%) (回答:過去3年間にパワハラを受けたことがある者、%)

Page 11: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

9

<上位者から下位者へのパワーハラスメントが多い>

一方、パワーハラスメントの加害者と被害者の関係について見ると、企業調査、従業員

調査ともに「上司から部下へ」(企業 77.0%、従業員 77.7%)が圧倒的に多く、「先輩から

後輩へ」(企業 23.2%、従業員 15.7%)、「正社員から正社員以外へ」(企業 17.4%、従業

員 10.6%)と続いており、上位者から下位者への行為が大半を占めている。

図 12(企業調査)パワーハラスメントに関連する 図 13(従業員調査)あなたが受けた

相談の当事者の関係とパワーハラスメント パ―ハラスメントの加害者との関係

に該当した事案

(回答:過去3年間にパワハラに関する相

談があった企業 n=2083、%)

77 .0

23 .2

17 .4

13 .7

5 .2

4 .5

2 .7

1 .2

2 .1

44 .3

12 .2

9 .6

5 .3

2 .4

1 .6

1 .4

0 .8

1 .6

上司から部下へ

先輩から後輩へ

正社員から正社員以外へ

正社員の同僚同士

正社員以外の同僚同士

部下から上司へ

正社員以外から正社員へ

後輩から先輩へ

その他

相談内容

パワーハラスメントに該当

77 .7

15 .7

10 .6

4 .5

2 .4

1 .8

1 .6

1 .3

3 .6

上司から部下へ

先輩から後輩へ

正社員から正社員以外へ

正社員の同僚同士

正社員以外の同僚同士

正社員以外から正社員へ

後輩から先輩へ

部下から上司へ

その他

(回答:過去3年間にパワハラを受

けたことがある者 n=2279、%)

Page 12: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

10

3.3. パワーハラスメントの発生傾向について 企業調査におけるパワーハラスメントの相談件数の推移の傾向では、「以前(3 年前)と

比べて増加している」とする企業が回答企業全体の 16.5%であるのに対し、「以前(3年前)

と比べて減少した」(17.1%)、「過去には発生していたが、この 3年間はない」(5.8%)とい

うように、減少傾向にあるとする企業の比率が若干ではあるが高くなっている。

企業調査において、パワーハラスメントの相談件数が増えた(または減少していない)

理由の第一に「パワハラに対する関心が高まった」(45.5%)があがり、3 番目に「パワハ

ラについて相談しやすくなった」(40.8%)があがっている。「職務上のストレスが増加」

(43.4%)などパワーハラスメントの増加だけでなく、パワーハラスメントに対する関心や

相談のしやすさといった企業の取組が、パワーハラスメントに関連する相談が増える要因

となっていることがうかがえる。

図 14(企業調査)職場のパワーハラスメント 図 15 パワーハラスメントに関する相談

に関連する相談として取り扱った件数の傾向 が増えた・変わらない理由

パワハラに関する相

談があり、以前(3年

前)と比べて増加し

ている 16.5%

パワハラに関する

相談があり、以前

(3年前)と変わら

ない 20.3%

パワハラに関する

相談はあるが、以

前(3年前)と比べ

て減少している 17.1%

過去にはパワハラに関

する相談はあったが、 この3年間はない

5.8%

現在も過去もパワハ

ラに関する相談はな

い/把握していない 31.5%

パワハラに関する相談を受

け付けていない 7.6%

45 .5

43 .4

40 .8

37 .2

35 .8

34 .5

27 .4

12 .3

9 .4

7 .9

2 .3

6 .4

3 .0

パワハラに対する関心が高まった

職務上のストレスが増加している

パワハラついて相談しやすくなった

業務の負担が増加している(忙しい、残

業が多い)

就労意識の変化や価値観が多様化して

いる

職場のコミュニケーションが少ない/

減っている

管理職のパワハラに対する認識・理解

が低い/進んでいない

評価・処遇への不公平感、不満が増加

している

経営層のパワハラに対する認識・理解

が低い/進んでいない

正社員以外の比率が高まった

人員整理など過度な業務の合理化が

あった

その他

分からない

(回答:パワハラに関する相談が「以前と比べて増加している」

または「以前と変わらない」と回答した企業 n=1080、%)

(回答:全員。但し、簡易版調査票対象企業を除く n=2937)

Page 13: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

11

4. パワーハラスメントが発生している職場とは 4.1. 従業員規模別のパワーハラスメントの発生状況 従業員調査において、過去 3 年間にパワーハラスメントを受けたことがある者の比率を

勤務先の従業員規模別に見ると、従業員 100~299 人の企業で 27.4%と最も高くなっている

ものの、最も比率の低い 99 人以下の企業でも 25.0%ほど見られる。企業規模の大小に関わ

らずパワーハラスメントを受けたと感じている者が一定程度いることが分かる。

同様に業種別に見ると、「金融業、不動産業」が 27.6%と最も高いものの、比較的少ない

「卸売業・小売業 宿泊業、飲食サービス業」でも 23.3%ほどある。

(従業員調査)過去 3 年間にパワーハラスメントを受けた

図 16 従業員規模別 図 17 業種別

4.2. パワーハラスメントが発生する職場の特徴 <上司と部下のコミュニケーションが少ない職場やストレス負担がかかりやすい職場に多

いパワーハラスメント>

企業調査においては、パワーハラスメントに関連する相談がある職場に共通する特徴と

して、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が 51.1%と最も多く、「正社員や

正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場」(21.9%)、「残業が多い/休

みが取り難い」(19.9%)、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」(19.8%)が続い

ている。

一方、従業員調査における職場の特徴を、過去 3 年間に現在の職場でパワーハラスメン

トを受けたり・見たりした者(現在の職場でのパワーハラスメント経験者)と過去 3 年間

25 .3

25 .0

27 .4

25 .5

26 .9

全体(n=9000)

99人以下(n=3583)

100~299人(n=1287)

300~999人(n=1140)

1000人以上(n=2306)

(回答:全員、%)

25 .3

27 .6

26 .7

26 .1

24 .1

24 .0

23 .3

23 .0

全体(n=9000)

金融業、不動産業(n=606)

サービス業(n=2740)

製造業(n=1985)

運輸、情報通信業(n=862)

建設業(n=441)

卸売業・小売業 宿泊業、飲

食サービス業(n=1406)

その他(n=960)

(回答:全員、%)

Page 14: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

12

に現在の職場でパワーハラスメントを受けたり・見たりしたことがない者(現在の職場で

のパワーハラスメント未経験者)で比較を行なうことで、パワーハラスメントが発生して

いる職場の特徴を探った。現在の職場でのパワーハラスメント経験者の選択比率が高く、

かつ未経験者とのギャップが大きい項目として、「残業が多い/休みが取り難い」(経験者

40.5%、未経験者:22.2%、差:18.3 ポイント)、「失敗が許されない/失敗への許容度が低

い」(経験者:29.7%、未経験者:11.8%、差:17.9 ポイント)、「上司と部下のコミュニケ

ーションが少ない」(経験者:35.2%、未経験者:17.8%、差:17.4 ポイント)があげられ

る。

「正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている」については、現在

の職場でのパワーハラスメント経験者の選択率が 46.0%と最も高くなっているものの、未

経験者でも 38.1%と最も高くなっており、現在の職場に共通する特徴と考えられる。

企業調査では共通する特徴という質問の仕方をしているため、「上司と部下のコミュニケ

ーションが少ない職場」が突出して高くなるなど従業員調査の数値と違いはあるものの、

パワーハラスメントが発生する職場の特徴については同様の傾向が示されている。

図 18(企業調査)パワーハラスメントに関する 図 19(従業員調査)職場の特徴

相談がある職場に共通する特徴 (パワーハラスメント経験別)

46 .0

40 .5

35 .2

32 .1

31 .1

29 .7

29 .0

28 .8

28 .2

16 .0

15 .1

8 .3

6 .7

2 .6

3 .4

38 .1

22 .2

17 .8

30 .5

27 .5

11 .8

20 .0

17 .8

16 .8

12 .9

9 .6

6 .9

2 .2

1 .0

12 .6

正社員や正社員以外(パート、派遣社員など)など様々

な立場の従業員が一緒に働いている

残業が多い/休みが取り難い

上司と部下のコミュニケーショ ンが少ない

様々な年代の従業員がいる

従業員数が少ない

失敗が許されない/失敗への許容度が低い

従業員の年代に偏りがある

業績が低下/低調である

他部署や外部との交流が少ない

従業員同士がお互いに干渉しあわない

中途入社や外国人など多様なバックグラ ウンドを持つ

従業員が多い

従業員数が多い

従業員間の競争が激しい/評価と業績との連動が徹

底している

その他

当てはまるものはない

現在の職場でのパワハラ 経験者(n=2150)

現在の職場でのパワハラ 未経験者(n=6850)

5 1 .1

21 .9

19 .9

19 .8

12 .3

11 .1

10 .9

9 .4

7 .6

6 .3

6 .2

5 .7

4 .2

5 .0

10 .1

上司と部下のコミュニケーショ ンが少ない職

正社員や正社員以外など様々な立場の従

業員が一緒に働いている職場

残業が多い/休みが取り難い職場

失敗が許されない/失敗への許容度が低い

職場

他部署や外部との交流が少ない職場

様々な年代の従業員がいる職場

業績が低下/低調な職場

従業員数が少ない職場

従業員の年代に偏りがある職場

従業員同士がお互いに干渉しあわない職場

従業員数が多い職場

中途入社や外国人など多様なバックグラ ウ

ンドを持つ従業員が多い職場

従業員間の競争が激しい/評価と業績との

連動が徹底している職場

その他

パワハラ に関する相談があった職場に共通

する特徴はない

(回答:過去3年間にパワハラに関する相談があった企業。

但し、簡易版調査票対象企業を除く n=1571、%) (回答:全員、%)

7.9

18.3

17.4

1.6

3.6

17.9

9.0

11.0

11.4

3.1

5.5

1.4

4.5

1.6

-9.2

経験者と未経験者

の差(ポイント)

Page 15: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

13

4.3. 会社や上司へのモノの言いやすさとパワーハラスメントの関連 従業員調査における職場のコミュニケーションに関する状況に関する質問について、同

様に現在の職場でのパワーハラスメント経験者と未経験者で比較を行った。

「悩み、不満、問題と感じたことを会社に伝えやすい」という質問に対して経験者では

「あまり当てはまらない」、「全く当てはまらない」の合計の回答比率が 64.0%に対し、未経

験者では 35.9%と 2 倍近い差となっている。同様に、「悩み、不満、問題と感じたことを上

司に伝えやすい」という質問に対しては、経験者の同比率は 57.9%に対し、未経験者では

31.9%と、やはり否定的な回答の比率が 2倍近い差となっている。

一方、「同僚同士のコミュニケーションが円滑である」や「仕事以外のことを相談できる

同僚がいる」といった質問に対して、「あまり当てはまらない」、「全く当てはまらない」の

合計が現在の職場でのパワーハラスメント経験者の回答比率がそれぞれ 34.6%、39.9%とな

る一方で、「非常に当てはまる」、「まあ当てはまる」といった肯定的な回答も 36.0%、37.5%

と同等程度見られ、特に「仕事以外のことを相談できる同僚がいる」においては未経験者

との差も少ない。

現在の職場でのパワーハラスメント経験者の回答や未経験者との回答の差を見る限りに

おいて、コミュニケーション上の問題としては、「会社や上司に対する相談のしやすさ、話

しやすさ」といった点が重要であることがうかがえる。

図 20 悩み、不満、問題と感じたことを会社に 図 21 悩み、不満、問題と感じたことを

伝えやすい 上司に伝えやすい

図 22 同僚同士のコミュニケーションが円滑である 図 23 仕事以外のことを相談できる

同僚がいる

2 . 0

3 . 8

14 . 1

25 . 3

19 . 9

35 . 0

31 . 4

23 . 3

32 . 6

12 . 6

非常に

当てはまる

まあ

当てはまる

ど ち らとも

い えない

あ まり当て

はまらない

全く 当て

はまらない

(回答:全員、%)

現在の職場でのパ

ワ ハ ラ 経 験 者

(n=2150)

現在の職場でのパ

ワ ハ ラ 未 経 験 者

(n=6850)

2 . 4

4 . 8

20 . 3

32 . 2

19 . 4

31 . 1

27 . 9

20 . 7

30 . 0

11 . 2

非常に

当てはまる

まあ

当てはまる

ど ち らとも

い えない

あ まり当て

はまらない

全く 当て

はまらない

現在の職場でのパ

ワ ハ ラ 経 験 者

(n=2150)

現在の職場でのパ

ワ ハ ラ 未 経 験 者

(n=6850)

6 . 0

8 . 7

30 . 0

39 . 9

29 . 4

33 . 7

21 . 9

12 . 2

12 . 7

5 . 5

非常に

当てはまる

まあ

当てはまる

ど ち らとも

い えない

あ まり当て

はまらない

全く 当て

はまらない

現在の職場でのパ

ワ ハ ラ 経 験 者

(n=2150)

現在の職場でのパ

ワ ハ ラ 未 経 験 者

(n=6850)

8 . 4

7 . 8

29 . 1

31 . 2

22 . 6

30 . 9

21 . 2

18 . 1

18 . 7

11 . 8

非常に

当てはまる

まあ

当てはまる

ど ち らとも

い えない

あ まり当て

はまらない

全く 当て

はまらない

現在の職場でのパ

ワ ハ ラ 経 験 者

(n=2150)

現在の職場でのパ

ワ ハ ラ 未 経 験 者

(n=6850)

(回答:全員、%)

(回答:全員、%) (回答:全員、%)

Page 16: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

14

5. パワーハラスメントの予防・解決のための企業の取組と効果 5.1. 企業のパワーハラスメントの予防・解決のための取組意欲と取組状況 企業調査において、「職場のパワーハラスメントの予防・解決のための取組は経営上の課

題として重要か」を質問したところ、「非常に重要である」、「重要である」を合わせると、

回答企業全体の 80.8%が重要と認識している。

これを従業員規模別に見ると、従業員数が多いほど重要であると認識している比率は高

く、1000 人以上の企業では 91.7%に達している。一方、1000 人以上の企業に比べると低い

ものの、99 人以下の企業でも重要であると認識している比率は 68.5%となっている。従業

員規模による差は見られるものの、パワーハラスメントの予防・解決のための取組の重要

性に対する認識は全般的に高いことがうかがえる。

図 24(企業調査)職場のパワーハラスメントの予防・解決のための取組は

経営上の課題として重要か

<企業規模により異なるパワーハラスメントの予防・解決のための取組>

パワーハラスメントの予防・解決のための取組に対する重要性の認識がある一方、現在

パワーハラスメントの予防・解決のための取組を「実施している」のは回答企業全体の 45.4%

と半数を下回る結果となっている。

従業員数 1000 人以上の企業において「予防・解決のための取組を実施している」が 76.3%

となっているのに対し、99 人以下の企業では 18.2%と少なく、「現在実施していないが取組

を検討中」を合わせても 38.5%にとどまっている。

29 .8

18 .0

28 .4

31 .4

49 .0

51 .0

50 .5

55 .4

52 .6

42 .7

14 .8

22 .9

13 .4

13 .0

7 .1

3 .6

7 .3

2 .2

2 .7

1 .0

非常に

重要である重要である

どちらとも

いえない

あまり重要

ではない

0.2

0 .0

0 .3

0 .8

0 .3

全く重要

ではない

全体(n=4580)

99人以下(n=1218)

100~299人(n=672)

300~999人(n=2038)

1000人以上(n=621)

(回答:全員、%)

Page 17: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

15

図 25(企業調査)職場のパワーハラスメントの予防・解決のための取組の実施状況

従業員規模によるパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組状況の差は従業員調査

においても現れている。従業員が 1000 人以上の企業では、パワーハラスメントの予防・解

決に向けた取組を「積極的に取り組んでいる」または「取り組んでいる」とする比率が 51.9%

と半数を超えている一方で、従業員が 99 人以下の企業では 7.9%、100~299 人の企業でも

19.1%と、従業員 1000 人以上の企業と大きな差が見られる。

図 26(従業員調査)勤務先のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組の実施状況

45 .4

18 .2

40 .3

53 .9

76 .3

21 .1

20 .3

25 .0

22 .7

13 .4

33 .1

60 .9

34 .1

23 .2

10 .1

実施している現在実施していな

いが取組を検討中

特に取組を

考えていない

全体(n=4580)

99人以下(n=1218)

100~299人(n=672)

300~999人(n=2038)

1000人以上(n=621)

4 .6

2 .2

4 .5

11 .7

19 .5

16 .9

25 .7

40 .2

22 .9

20 .0

29 .0

28 .4

23 .5

34 .9

55 .1

34 .4

23 .4

11 .8

18 .1

16 .8

17 .6

18 .0

12 .8

1 .3

積極的に取り

組んでいる

6.6

取り組ん

でいる

ほとんど取り

組んでいない

全く取り組んで

いないわからない

全体(n=9000)

99人以下(n=3583)

100~299人(n=1287)

300~999人(n=1140)

1000人以上(n=2306)

(回答:全員:%)

(回答:全員、%)

Page 18: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

16

5.2. パワーハラスメントの予防・解決のための具体的な取組事項 パワーハラスメントの予防・解決のための取組として実施していることを確認したとこ

ろ、「管理職を対象にパワハラについての講演や研修会を実施した」が 64.0%で最も多く、

「就業規則などの社内規定に盛り込んだ」(57.1%)、「ポスター・リーフレット等啓発資料

を配付または掲示した」(40.7%)、「一般社員を対象にパワハラについての講演や研修会を

実施した」(38.0%)の順で続いた。

従業員規模別に見ると、「就業規則などの社内規定に盛り込んだ」については、従業員規

模に関わらず実施率が 50%から 60%程度ある一方、「管理職を対象にパワハラについての

講演や研修会を実施した」については従業員 1000 人以上の企業で 78.5%と高い一方で、従

業員 99 人以下では 41.0%と半数を下回っているなど差が見られる。また、取組の実施事項

数の平均値も 1000 人以上の企業の 3.7 個に対し、99 人以下の企業では 2.3 個と差が見られ

る。

図 27(企業調査)パワーハラスメントの予防・解決のために実施している取組

64 .0

57 .1

40 .7

38 .0

33 .7

23 .6

20 .5

19 .8

41 .0

48 .6

23 .9

27 .0

29 .3

21 .6

14 .9

13 .1

53 .9

62 .0

41 .0

32 .1

35 .8

19 .9

19 .6

15 .5

65 .1

57 .5

40 .3

37 .3

31 .8

23 .0

18 .5

18 .4

78 .5

57 .6

49 .4

47 .7

38 .2

28 .1

28 .9

28 .3

管理職を対象にパワハラについての講

演や研修会を実施した

就業規則などの社内規定に盛り込んだ

ポスター・リーフレット等啓発資料を配

付または掲示した

一般社員を対象にパワハラについての

講演や研修会を実施した

トップの宣言、会社の方針に定めた

職場におけるコミュニケーション活性化

等に関する研修・講習等を実施した

アンケート等で、社内の実態把握を行っ

社内報などで話題として取り上げた

全体(n=2080)

99人以下(n=222)

100~299人(n=271)300~999人(n=1099)

1000人以上(n=474)

(回答:取組実施企業、%)

Page 19: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

17

また、従業員調査において勤務先のパワーハラスメントの予防・解決のために実施して

いる取組を質問したところ、「パワハラについて相談できる窓口を設置している」が 44.1%

と最も高く、「就業規則などの社内規定に盛り込んでいる」(25.4%)、「パワハラについて

講演や研修会を行っている」(19.7%)の順で続いた。

図 28(従業員調査)勤務先がパワーハラスメントの予防・解決に向けて実施している取組

44 .1

25 .4

19 .7

16 .9

15 .1

13 .8

13 .6

12 .4

12 .4

2 .1

28 .0

81 .6

49 .9

52 .1

41 .6

35 .6

36 .6

32 .9

34 .6

28 .1

1 .5

3 .4

62 .4

33 .3

30 .4

22 .8

20 .0

19 .3

17 .8

15 .8

16 .4

1 .1

7 .2

21 .2

13 .8

4 .1

6 .9

6 .9

4 .5

6 .2

5 .0

5 .8

3 .1

50 .5

パワハラについて相談できる窓口を設置してい

就業規則などの社内規定に盛り込んでいる

パワハラについて講演や研修会を行っている

トップの宣言、会社の方針(CSR宣言など)に

定めている

ポスターやリーフレット等啓発資料を配付また

は掲示している

上司の部下への接し方等の研修・講習等を実

施している

アンケート等で実態把握を行っている

職場におけるコミュニケーション活性化等に関

する研修・講習等を実施している

社内報などで話題として取り上げている

その他

分からない

全体(n=4230)積極的に取り組んでいる(n=413)

取り組んでいる(n=1752)ほとんど取り組んでいない(n=2065)

(回答:勤務先がパワハラ予防の取組を「全く実施していない」、「分からない」を除く、%)

Page 20: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

18

5.3. パワーハラスメントの予防・解決のための取組の効果 企業調査においてパワーハラスメントの予防・解決のための取組として実施している項

目について、効果を実感しているかどうかの質問を行った。

効果を実感した比率が最も高いのは、取組実施率でも最も高かった「管理職を対象にパ

ワハラについての講演や研修会を実施した」で、実施企業の 77.3%で効果を実感している。

以下効果の高い順に取組をあげると「一般社員を対象にパワハラについての講演や研修

会を実施した」(70.6%)、「アンケート等で、社内の実態把握を行った」(62.1%)、「職場

におけるコミュニケーション活性化等に関する研修・講習等を実施した」(61.2%)の順で

高く、管理職や一般社員に直接的に働きかける取組において効果を実感している比率が高

くなる傾向が見られた。

取組の実施率については従業員規模による差が見られたものの、効果の点では従業員規

模による目立った違いは見られない。

「社内規定に盛り込んだ」や「啓発資料を配布または掲示した」といった取組は実施率

が相対的に高いものの、効果の実感としては低くなっている。一方、実施率は低いものの

「アンケート等で、社内の実態把握を行った」は、管理職、一般社員に対するパワーハラ

スメント研修会等の実施に次いで効果が高くなっている点が特徴的である。

図 29(企業調査)パワーハラスメントの予防・解決のために実施している取組で効果を実感で

きたもの

77 .3

70 .6

62 .1

61 .2

56 .4

49 .6

47 .9

46 .0

68 .9

71 .4

65 .0

57 .6

66 .7

52 .3

49 .1

45 .3

37 .9

76 .9

75 .3

71 .3

64 .2

57 .4

59 .8

46 .4

42 .3

42 .9

72 .7

75 .8

70 .5

64 .0

61 .3

55 .4

50 .0

46 .7

48 .0

64 .3

82 .0

71 .7

59 .1

60 .9

58 .0

50 .5

52 .6

46 .3

71 .4

管理職を対象にパワハラについての

講演や研修会を実施した

一般社員を対象にパワハラについて

の講演や研修会を実施した

アンケート等で、社内の実態把握を

行った

職場におけるコミュニケーション活性

化等に関する研修・講習等を実施した

トップの宣言、会社の方針(CSR宣言

など)に定めた

就業規則などの社内規定に盛り込ん

ポスター・リーフレット等啓発資料を配

付または掲示した

社内報などで話題として取り上げた

その他

全体99人以下100~299人300~999人1000人以上

(各取組の実施企業、%)

※本質問における母数は、「管理職

を対象にパワハラについての講演

や研修会を実施した」など各取組を

実施していると回答した企業として

いる。例えば「管理職を対象にパワ

ハラについての講演や研修会を実

施した」の「全体」について見ると、

実施企業1332社のうち、77.3%に

当たる1029社が効果を実感した取

組として「管理職を対象にパワハラ

についての講演や研修会を実施し

た」をあげたことを意味する。

Page 21: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

19

パワーハラスメントの予防・解決の取組を進めた結果、パワーハラスメントの予防・解

決以外に得られた効果としては、「管理職の意識の変化によって職場環境が変わる」が取組

実施企業の 45.7%で最も高く、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くな

る」(32.6%)、「管理職が適切なマネジメントができるようになる」(29.8%)といった項

目の比率が高くなっている。

図 30(企業調査)パワーハラスメントの予防・解決の取組を進めた結果、予防・解決以外に得

られた効果

45 .7

32 .6

29 .8

22 .4

15 .4

11 .2

9 .9

8 .1

4 .0

21 .0

管理職の意識の変化によって職場環境が変わる

職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くな

管理職が適切なマネジメントができるようになる

会社への信頼感が高まる

従業員の仕事への意欲が高まる

メンタルヘルス不調の減少

職場の生産性が高まる

休職者・離職者の減少

その他

特にない

(回答:取組実施企業。但し、簡易版調査票対象企業を除く n=1703、%)

Page 22: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

20

<パワーハラスメントへの取組の効果と職場のコミュニケーションの改善は表裏一体>

従業員調査において、勤務先が「パワハラの予防・解決の取組を進めた結果、職場に変

化が見られたか」を質問したところ、全体的には改善の度合いが最も高い「あなた自身や他

の人の働きやすさ」でも 10.4%にとどまっている。ただ、勤務先が「積極的に取り組んでい

る」企業について見ると、「あなた自身や他の人の働きやすさ」(24.2%)、「上司/部下と

のコミュニケーション」(23.2%)となっており、企業調査と同様の傾向が見られる。

(従業員調査)パワーハラスメントの予防・解決の取組を進めた結果、職場に変化が見られたか

図 31 取組を実施していない/分からない企業を除く 図 32 積極的に取り組んでいる

パワーハラスメントの相談がある職場の特徴として「上司と部下のコミュニケーション

の少ない職場」が最も多くあがったことを考えると、パワーハラスメントの予防・解決の

ための取組の効果を高めることと職場のコミュニケーションの改善は表裏一体の関係にあ

ることがうかがえる。

10 .4

9 .4

6 .9

6 .8

6 .7

67 .8

68 .8

68 .3

69 .6

69 .7

5 .2

4 .9

5 .2

6 .6

3 .8

16 .6

16 .9

19 .6

16 .9

19 .8

改善

された

変わら

ない

悪化し

ている

分から

ない

あなた自身や他の人の働きやすさ

上司/部下とのコミュニケーション

部下への指導のしやすさ

あなた自身や他の人の業務の負荷

職場の生産性

24 .2

23 .2

18 .6

17 .4

18 .2

64 .2

64 .4

63 .2

69 .5

67 .3

1 .7

2 .2

2 .9

3 .1

1 .9

9 .9

10 .2

15 .3

9 .9

12 .6

改善

された

変わら

ない

悪化し

ている

分から

ない

(回答:(左)勤務先がパワハラ予防・解決のための取組を「全く実施していない」、「分からない」を除く n=4230、

(右)そのうち勤務先が「積極的に取り組んでいる」 n=413、%)

Page 23: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

21

6. パワーハラスメントの減少に向けて求められること 6.1. 企業における課題 6.1.1. パワーハラスメントの予防・解決のための取組が効果を発揮するまでに時間が

かかる <パワーハラスメントへの取組実施期間が長いほど効果を実感>

企業調査において、パワーハラスメントの予防・解決のための取組の効果を取組実施期間

別に見ると(取組全般の実施期間であり、個別の取組の実施期間とは異なる)、いずれの取

組でも取組実施期間が長いほど、効果を実感している比率が高くなる傾向が見られ、研修

だけでなく、「就業規則」や「トップの宣言、会社の方針」などについて取組が普及浸透す

るまでには、一定程度の期間が必要となることがうかがえる。

図 33(企業調査)パワーハラスメントの予防・解決のために実施している取組で

効果を実感できたもの(取組実施期間別)

また、パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進めた結果、パワーハラスメン

トの予防・解決以外の効果としてあがった項目を取組実施期間別に見ると、取組実施期間

が 1年未満の企業で「特にない」が 33.3%と高くなっている。裏を返すと、取組実施から 1

年未満でも 7割近くが何らかの効果を感じていることがうかがえる。

65 .5

53 .3

45 .5

47 .4

36 .2

29 .2

31 .7

44 .4

71 .2

69 .7

55 .7

58 .5

53 .8

47 .9

39 .6

40 .5

79 .1

72 .0

68 .8

54 .1

59 .2

47 .7

50 .2

48 .5

83 .9

72 .0

63 .9

68 .1

59 .6

56 .2

54 .2

48 .5

管理職を対象にパワハラについての講演や

研修会を実施した

一般社員を対象にパワハラについての講演

や研修会を実施した

アンケート等で、社内の実態把握を行った

職場におけるコミュニケーション活性化等に

関する研修・講習等を実施した

トップの宣言、会社の方針(CSR宣言など)

に定めた

就業規則などの社内規定に盛り込んだ

ポスター・リーフレット等啓発資料を配付ま

たは掲示した

社内報などで話題として取り上げた

1年未満

1~3年未満

3~5年未満

5年以上

(回答:各取組の実施企業、%)

※本質問における母数は、「管理職

を対象にパワハラについての講演

や研修会を実施した」など各取組を

実施していると回答した企業として

いる。例えば「管理職を対象にパワ

ハラについての講演や研修会を実

施した」の「1年未満」について見る

と、実施企業84社のうち、65.5%

に当たる65社が効果を実感した取

組として「管理職を対象にパワハラ

についての講演や研修会を実施し

た」をあげたことを意味する。

Page 24: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

22

しかしながら、各項目をみると、「管理職の意識の変化によって職場環境が変わる」(5年

以上 50.8%、1 年未満 30.8%)、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良く

なる」(5年以上 39.6%、1年未満 16.7%)で、5年以上と 1年未満で 20 ポイント以上の

差が見られることをはじめ、取組実施期間が長いほど、総じて効果を感じる比率が高くな

っている。

図 34(企業調査)パワーハラスメントの予防・解決の取組を進めた結果、

予防・解決以外に得られた効果(取組実施期間別)

45.7

32.6

29.8

22.4

15.4

11.2

9.9

8.1

4.0

21.0

30.8

16.7

21.7

15.0

10.0

7.5

6.7

7.5

13.3

33.3

46.3

28.8

22.3

21.2

12.8

11.5

7.3

9.5

2.4

23.3

43.5

32.5

31.8

20.2

12.8

10.5

8.8

6.9

3.8

19.0

50.8

39.6

37.1

26.7

20.8

12.2

13.7

7.3

3.9

16.9

管理職の意識の変化によって職場環境が変わ

職場のコミュニケーションが活性化する/風通

しが良くなる

管理職が適切なマネジメントができるようになる

会社への信頼感が高まる

従業員の仕事への意欲が高まる

メンタルヘルス不調の減少

職場の生産性が高まる

休職者・離職者の減少

その他

特にない

全体(n=1703)

1年未満(n=120)

1~3年未満(n=546)

3~5年未満(n=421)

5年以上(n=591)

(回答:取組実施企業、%)

Page 25: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

23

<パワーハラスメントの予防・解決のための取組の実施期間が短いと相談件数が増加する

割合が高く、期間が長いと減少する割合が高い>

また、パワーハラスメントに関する相談件数の傾向について見ると、取組実施 1 年未満

の企業では「以前に比べ増加した」が 27.5%で、「以前に比べ減少した」(7.5%)、「以前はあ

ったがなくなった」(3.3%)を合わせた比率(10.8%)を上回っている。

これに対し、5年以上の企業では「以前に比べて増加した」が 19.1%へと減少し、「以前

に比べ減少した」(22.5%)、「以前はあったがなくなった」(8.5%)を合わせた比率(31.0%)

の方が高くなっている。前述のように、パワーハラスメントの取組を行うことで、パワー

ハラスメントに対する意識の高まりや相談のしやすさから一時的にパワーハラスメントに

関する相談は増えるものの、取組を続けることによってパワーハラスメント防止の効果が

あらわれて相談が減少する傾向が現れてくることがわかる。

図 35(企業調査)職場のパワーハラスメントに関連する相談として取り扱った件数の傾向

16 .5

27 .5

23 .3

19 .7

19 .1

20 .3

25 .8

19 .0

24 .9

25 .4

17 .1

7 .5

24 .0

26 .6

22 .5

5 .8

3 .3

4 .6

5 .0

8 .5

31 .5

25 .0

23 .3

20 .0

20 .0

7 .6

10 .0

4 .6

3 .1

3 .2

以前に比べ

増加した変わらない

以前に比べ

減少した

以前はあった

がなくなった

現在も過去

もない

相談を受け

付けていない

全体(n=2937)

1年未満(n=120)

1~3年未満(n=546)

3~5年未満(n=421)

5年以上(n=591)

(回答:全員。但し、簡易版調査票対象企業を除く、%) ※「全体」にはパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を実施していない企業を含む

が、取組実施期間「1年未満」~「5年以上」は取組実施企業に限定される。このため「1年

未満」~「5年以上」のn数を合計しても「全体」の数値には達しない。

Page 26: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

24

6.1.2. 企業がパワーハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題 <パワーハラスメントかどうかの判断の難しさが一番の課題>

企業調査において、パワーハラスメントの予防・解決の取組を進めるに当たっての課題

として最も比率が高かったのは「パワハラかどうかの判断が難しい」で、回答企業全体の

72.7%が課題としてあげている。この比率は従業員規模や取組実施期間を問わず高くなって

いる。

(企業調査)パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題、問題点

図 36 従業員規模別 図 37 取組実施期間別

72 .7

38 .0

33 .3

24 .3

22 .2

19 .7

19 .5

16 .7

15 .9

3 .2

2 .0

6 .2

64 .9

37 .0

26 .7

19 .0

25 .5

22 .3

20 .3

19 .5

17 .3

5 .0

2 .1

11 .7

73 .8

42 .6

30 .7

26 .8

25 .6

21 .7

20 .2

18 .9

16 .5

2 .7

2 .1

6 .0

76 .2

36 .8

35 .9

26 .1

20 .8

19 .1

18 .1

15 .0

16 .0

2 .9

1 .9

3 .6

76 .0

39 .3

41 .4

26 .6

16 .9

14 .3

22 .4

14 .7

12 .2

1 .4

2 .1

3 .9

パワハラかどうかの判断が難しい

発生状況を把握することが困難

管理職の意識が低い/理解不足

パワハラに対応する際のプライバ

シーの確保が難しい

適正な処罰・対処の目安が分からな

パワハラの予防・解決のための取組

を行うノウハウがない

一般社員等の意識が低い/理解不

社内に対応するための適切な人材

がいない/不足している

経営層の意識が低い/理解不足

パワハラの予防・解決のための取組

を行う費用が確保できない

その他

特に問題はない

全体(n=4580)

99人以下(n=1218)

100~299人(n=672)

300~999人(n=2038)

1000人以上(n=621)

72 .7

38 .0

33 .3

24 .3

22 .2

19 .7

19 .5

16 .7

15 .9

3 .2

2 .0

6 .2

76 .0

39 .8

39 .8

22 .8

19 .9

21 .6

18 .7

11 .1

18 .7

1 .8

1 .8

1 .8

72 .2

34 .9

33 .8

27 .0

20 .2

13 .9

18 .3

14 .6

12 .6

1 .7

2 .3

4 .7

74 .9

37 .6

35 .6

27 .7

16 .2

10 .9

19 .0

11 .9

9 .5

2 .0

3 .2

4 .6

74 .4

39 .1

30 .4

25 .9

13 .8

7 .1

18 .6

8 .1

6 .9

1 .1

2 .3

6 .6

パワハラかどうかの判断が難しい

発生状況を把握することが困難

管理職の意識が低い/理解不足

パワハラに対応する際のプライバ

シーの確保が難しい

適正な処罰・対処の目安が分からな

パワハラの予防・解決のための取組

を行うノウハウがない

一般社員等の意識が低い/理解不

社内に対応するための適切な人材

がいない/不足している

経営層の意識が低い/理解不足

パワハラの予防・解決のための取組

を行う費用が確保できない

その他

特に問題はない

全体(n=4580)

1年未満(n=171)

1~3年未満(n=699)

3~5年未満(n=495)

5年以上(n=665)

(回答:全員、%)

(回答:全員、%) ※「全体」にはパワ

ーハラスメントの予

防・解決に向けた取

組を実施していない

企業を含むが、取

組実施期間「1年未

満」~「5年以上」は

取組実施企業に限

定される。このため

「1年未満」~「5年

以上」のn数を合計

しても「全体」の数

値には達しない。

Page 27: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

25

「パワハラかどうかの判断が難しい」に続いて「発生状況を把握することが困難」

(38.0%)があがっており、こちらも従業員数、取組実施期間に関わらず多くなっている。

パワーハラスメントを発見したり、判断するといった点については、従業員規模や取組

実施期間に関わらず課題と感じている企業は多い一方で、「適正な処罰・対処の目安が分か

らない」(99 人以下 25.5%、1000 人以上 16.9%、1年未満 19.9%、5 年以上 13.8%)や「パ

ワハラの予防・解決のための取組を行うノウハウがない」(99 人以下 22.3%、1000 人以上

14.3%、1 年未満 21.6%、5 年以上 7.1%)など、発見、判断した後の対応に関する課題に

ついては、従業員規模の小さい企業や取組実施期間の短い企業で選択する比率が高くなる

傾向が見られる。

Page 28: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

26

<暴力を伴う行為は状況によらず避けるべきとの判断で一致>

企業調査において具体的な行為を示し、管理職として避けるべき行為に当たるかどうか

を質問したところ、「部下を叱責しながら近くにあったものさしで頭を叩く」(96.7%)、「ヤ

ル気を引き出そうとの意図で、「意欲がないなら会社を辞めるべき」とのメールを本人に送

るとともに、職場の同僚も宛先に入れて送信する」(96.6%)、「問題がある企画書について、

書類を投げつけて修正を命じる」(94.4%)、「会議室に一人だけで電話番をさせるなど本来

業務から疎外する」(92.4%)、「仕事を進める上で必要な情報を故意に与えない」(90.9%)

といった項目は「状況によらず避けるべき行為」と回答した比率が 9 割を超えて高くなっ

ている。この傾向は従業員規模や業種によらず同様であった。パワーハラスメントの基準

ではなく、管理職として避けるべきかどうかの目安であるため、厳し目にとっているもの

と思われるが、上記以外の項目については、この程度であれば「問題ない」と言い切れな

いところに判断の難しさがあることがうかがえる。

図 38(企業調査)管理職として避けるべき行為

96 .7

96 .6

94 .4

92 .4

90 .9

81 .9

80 .0

79 .9

77 .0

73 .2

72 .4

70 .2

67 .7

66 .0

61 .3

29 .9

28 .9

2 .1

1 .9

4 .1

5 .7

7 .4

16 .0

16 .9

17 .3

19 .7

23 .5

23 .2

26 .1

27 .9

30 .9

33 .0

46 .6

62 .2

1 .5

2 .0

2 .1

3 .0

2 .2

2 .9

1 .8

4 .0

22 .2

7 .0

状況に よ らず

避け る べき 行為

状況や当事者間の

信頼関係に よ る

1 .8

0 .9

0 .6

0 .7

0 .4

0 .4

0 .2

問題とは

い えない 行為

部下を叱責しながら近くにあったものさしで頭を叩く

ヤル気を引き出そうとの意図で、「意欲がないなら会社を辞めるべき」とのメー

ルを本人に送るとともに、職場の同僚も宛先に入れて送信する

問題がある企画書について、書類を投げつけて修正を命じる

会議室に一人だけで電話番をさせるなど本来業務から疎外する

仕事を進める上で必要な情報を故意に与えない

職場の従業員がいる前で机を叩き、声を荒げて指導する

手間がかかる部下に「今日はもう何も仕事しなくていいよ」と言う

明らかに納期に間に合わないとわかっていて、資料の作成を命じる

「説明してもわからないだろうから」という理由で打ち合わせから外す

「これ以上仕事でミスをしたら降格だ」と言う

能力に見合わない程度の低い業務を継続的に命じる

「そんな態度でよく仕事ができるな」と嫌みを言う

業務の相談をしている時、パソコンに向かったままで視線を合わさない

個人的な趣味・嗜好について必要以上に聞く

突然、開発プロジェ クトの責任者を外し、全く経験のない業務を与える

何度も遅刻を繰り返す部下に対し、同僚の前で叱責する

部下のミスについて「何をやっている!」と強い調子で叱責する

(回答:全員 n=4580、%)

Page 29: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

27

6.2. 従業員における課題 6.2.1. パワーハラスメントを受けても「何もしなかった」比率が高い 従業員調査において、パワーハラスメントを受けた後でどのような対応をしたかを質問

したところ、「何もしなかった」が 46.7%と最も多くなっている。

「何もしなかった」者の属性を見ると、性別では男性が 53.5%と高く、年代別では 40 才

代(50.0%)、50~64 才(49.0%)が、「性・職種別」では管理職(60.0%)、「男性正社員」

(52.5%)が高くなっている。

表 3(従業員調査)パワーハラスメントを受けた後、どのような対応をしましたか

パワーハラスメントを受けた後の対応について同一質問でクロス集計をしたところ、「社

内の担当部署」、「社内の相談窓口」、「会社が設置している相談窓口」、「労働組合」に相談

した人は平均で 2.1 項目、2.4 項目、2.9 項目、2.4 項目あげており、一箇所に相談するの

ではなく、複数に相談するなど、解決に向けた行動をとっていることがうかがえる。

相談した順序がどのようになっているかをこの質問から読み取ることはできないが、こ

れらの窓口に相談した人が「社内の同僚」、「社内の上司」にも相談している傾向が見られ

る。会社の窓口への相談の前段階として「同僚」や「上司」が機能していることが推察さ

れる。

(N)

人事等の社内の担当部署に

相談した

社内の相談窓口に

相談した

社内の同僚に相談した

社内の上司に相談した

労働組合に相談した

会社が設置している

相談窓口に相談した

会社とは関係のない

専門家に相談した

弁護士に相談した

公的な機関に相談した

しばらく会社を休んだ

会社を退職した

その他

何もしなかった

全体 2279 3.9 1.8 14.6 13.6 2.4 1.4 2.3 0.9 2.1 5.4 13.5 12.2 46.7性別 男性 1325 2.9 1.8 11.2 10.7 2.6 1.5 2.3 1.1 1.9 5.7 10.1 10.7 53.5

女性 954 5.2 1.7 19.3 17.5 2.0 1.2 2.4 0.7 2.4 5.1 18.1 14.2 37.3年齢 20才~29才 442 3.6 2.7 19.9 19.0 2.0 1.1 2.9 0.5 2.3 6.6 20.1 7.2 42.1

30才~39才 666 3.9 2.3 17.0 12.8 3.6 2.4 2.7 1.1 3.2 5.6 13.5 11.1 45.0

40才~49才 526 4.9 1.1 12.7 14.1 1.7 0.8 2.7 1.1 2.3 6.8 11.8 11.2 50.050才~64才 645 3.1 1.1 9.9 10.2 1.9 0.9 1.2 0.9 0.8 3.4 10.2 17.4 49.0

性・職種 管理職 240 3.3 1.3 10.4 10.4 2.5 0.8 1.7 1.3 2.5 3.3 2.9 10.0 60.0男性正社員 946 2.5 1.9 12.1 11.2 3.1 1.8 2.3 0.8 1.8 6.2 9.5 10.4 52.5

女性正社員 522 4.8 1.3 20.1 17.8 2.1 1.1 3.1 1.1 2.9 4.8 12.6 14.6 40.8男性正社員以外 157 3.8 1.9 8.3 8.9 1.9 1.9 3.2 1.9 2.5 5.1 24.8 15.3 45.2女性正社員以外 414 6.0 2.2 18.1 17.1 1.2 0.7 1.4 0.2 1.4 5.8 25.4 13.3 33.8

(%)

(n)

Page 30: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

28

表 4(従業員調査)パワーハラスメントを受けた後どのような対応をしましたか(質問間クロス)

人数が少ないものの、「担当部署」や「社内の相談窓口」、「会社が設置している相談窓口」

といった窓口に相談した場合、勤務先が「特に何もしなかった」比率は少なく(それぞれ

18.2%、15.0%、6.5%)、事実確認の実施等、解決に向けた取組を実施している比率は、

社内外を問わず何れかに相談した人全体の平均よりも高くなっている。

表 5(従業員調査)あなたがパワーハラスメントを受けたことを知った後、

会社はどのような対応をしましたか(パワーハラスメントを受けた後の対応別)

※パワーハラスメントを受けた後の対応は複数回答であり、各項目間に重複がある。

人事等の社内の担当部署

に相談した

社内の相談窓口に相談し

会社が設置している相談

窓口に相談した

社内の同僚に相談した

社内の上司に相談した

労働組合に相談した

会社とは関係のない専門

家に相談した

弁護士に相談した

公的な機関に相談した

しばらく会社を休んだ

会社を退職した

その他

何もしなか

った

全体 2279 3.9 1.8 1.4 14.6 13.6 2.4 2.3 0.9 2.1 5.4 13.5 12.2 46.7人事等の社内の担当部署に相談した 88 100.0 9.1 5.7 20.5 30.7 12.5 4.5 1.1 2.3 5.7 13.6 8.0 0.0社内の相談窓口に相談した 40 20.0 100.0 12.5 25.0 17.5 17.5 12.5 10.0 5.0 7.5 7.5 0.0 0.0会社が設置している相談窓口に相談した 31 16.1 16.1 100.0 29.0 32.3 16.1 22.6 3.2 6.5 25.8 12.9 6.5 0.0社内の同僚に相談した 332 5.4 3.0 2.7 100.0 28.0 4.8 2.1 1.2 2.7 3.9 9.9 7.8 0.0社内の上司に相談した 309 8.7 2.3 3.2 30.1 100.0 3.9 4.2 1.3 3.2 8.4 10.7 7.1 0.0労働組合に相談した 54 20.4 13.0 9.3 29.6 22.2 100.0 5.6 7.4 11.1 9.3 9.3 1.9 0.0会社とは関係のない専門家に相談した 53 7.5 9.4 13.2 13.2 24.5 5.7 100.0 3.8 11.3 28.3 17.0 5.7 0.0弁護士に相談した 21 4.8 19.0 4.8 19.0 19.0 19.0 9.5 100.0 33.3 23.8 19.0 9.5 0.0公的な機関に相談した 48 4.2 4.2 4.2 18.8 20.8 12.5 12.5 14.6 100.0 22.9 27.1 10.4 0.0しばらく会社を休んだ 124 4.0 2.4 6.5 10.5 21.0 4.0 12.1 4.0 8.9 100.0 27.4 8.9 0.0会社を退職した 307 3.9 1.0 1.3 10.7 10.7 1.6 2.9 1.3 4.2 11.1 100.0 6.5 0.0その他 277 2.5 0.0 0.7 9.4 7.9 0.4 1.1 0.7 1.8 4.0 7.2 100.0 0.0何もしなかった 1065 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0(単位%、20%以上100%未満=  、100%=   )

あなたに事実確認のための

ヒアリングを行

った

パワハラをした相手に事実

確認を行

った

あなたの上司や同僚に事実

確認を行

った

あなたの要望を聞いたり

問題を解決するために相談

にの

ってくれた

その他

特に何もしなか

った

会社はあなたがパワハラを

受けていることを認識して

いなかった

社内・社外を問わず相談をした人(休んだ、辞めた、その他、何もしなかったを除く)

732 17.9 16.4 12.7 20.6 7.9 35.4 16.7

人事等の社内の担当部署に相談した 88 48.9 34.1 33.0 30.7 9.1 18.2 8.0

社内の相談窓口に相談した 40 47.5 50.0 32.5 32.5 0.0 15.0 5.0

会社が設置している相談窓口に相談した 31 38.7 54.8 38.7 38.7 0.0 6.5 12.9

(%)

(n)

(n)

Page 31: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

29

実際に従業員が受けた行為を「パワハラと認めた」11.6%、「パワハラと認めなかった」

22.3%といったように明確な判断をした企業は 33.9%に留まり、「判断せずあいまいなまま

だった」(57.7%)が過半数となっている。

図 39(従業員調査)会社はあなたが受けた行為をパワーハラスメントと認めましたか

(回答:最近3年間にパワハラを受けたことがある者でかつパワハラを受けて「何も

しなかった」者及び「会社が認識していなかった」場合を除く n=940、%)

あなたが受けた 行為をパワハラ と認めた 11.6%

あなたが 受けた行為 をパワハラと 認めなかった 22.3% パワハラがあったとも

なかったとも判断せず

あいまいなままだった 57.7%

その他 8.4%

Page 32: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

30

6.2.2. パワーハラスメントに対する理解の促進 従業員調査において、パワーハラスメント経験があり、その後「何もしなかった」と回答した

者がパワーハラスメントと感じた内容は表6のようになる。背景がわからないため、短い記述で

はパワーハラスメントの有無の判断は難しいが、記述のなかには、パワーハラスメントでない可

能性があるものもあろう。

表 6(従業員調査)パワーハラスメントと感じた行為具体的な内容

(パワーハラスメントを受けた後に「何もしなかった」人の回答の抜粋)

内容 性別 年齢

女性というだけでやれる仕事の限界を決められてしまう 女性 20 歳~29 歳

何かにつけて業務命令と言う 女性 20 歳~29 歳

陰口 女性 20 歳~29 歳

舌打ちや、露骨にきつい言い方をされる 女性 20 歳~29 歳

個人的感情で叱責する 女性 30 歳~39 歳

身体的な特徴を皆の前でからかわれたり、休みの日に社長の個人的な買い物を頼まれた

り、業務中に煙草などのおつかいを頼まれた 女性 30 歳~39 歳

意見を押し付ける 女性 30 歳~39 歳

鞄の中を見られたり、「才能ないわ」などの暴言をはかれた 女性 30 歳~39 歳

「いい年をして結婚もしていない、子供もいないから下の者に対して愛情のある叱り方がで

きない」と言われた 女性 40 歳~49 歳

一人だけ情報をくれない 女性 40 歳~49 歳

ちゃんと仕事を教えてくれない 女性 40 歳~49 歳

自分の意見を言おうとした時に「あんたに聞いていない」と言われ無視された 女性 50 歳~64 歳

失敗した時に皆の前で大きな声で怒鳴られた。いたたまれない気持ちになった 女性 50 歳~64 歳

無視される 女性 50 歳~64 歳

ささいなことでもいちいち言いにくる 女性 50 歳~64 歳

6 時間ぐらい説教 男性 20 歳~29 歳

ミスをしたときに仕事と関係ないことまで言われたことがある 男性 20 歳~29 歳

嫌な事を言われた 男性 20 歳~29 歳

人前で叱られる 男性 20 歳~29 歳

直属ではない上司からいきなり怒鳴られた 男性 30 歳~39 歳

すぐ怒る 男性 30 歳~39 歳

正しい名前で呼ばない 男性 30 歳~39 歳

図面を何度も修正させられた 男性 30 歳~39 歳

仕事上にあまり関係のないと思われるヘアスタイルについて営業成績と営業スタイル等と

絡めて侮辱された 男性 40 歳~49 歳

土下座をさせ、ひたすら謝らせた 男性 40 歳~49 歳

頭ごなしに怒る 男性 40 歳~49 歳

プロパー社員と中途採用の待遇の格差が激しい 男性 40 歳~49 歳

言われた通りの仕事をしていたら突然「やらなくていい」と言われ、怒られた 男性 50 歳~64 歳

他部署の上司から、偉い人に言いつけて仕事ができない状態にするぞと脅された 男性 50 歳~64 歳

小ばかにした態度と言葉で長々説教された 男性 50 歳~64 歳

取引先の上司から「親方日の丸で働くな」と言われた 男性 50 歳~64 歳

Page 33: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

31

また、企業調査においては、パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進めるこ

とで懸念される問題として「権利ばかり主張する者が増える」(64.5%)、「パワハラに該当

すると思えないような訴え・相談が増える」(56.5%)といった項目が多くあがっている。

図 40(企業調査)予防・解決のための取組を進めることで起こる問題として懸念されるもの

(回答:全員。但し、簡易版調査票対象企業を除く、%)

64 .5

56 .5

52 .2

29 .7

13 .2

10 .0

6 .1

1 .1

15 .3

68 .3

60 .8

63 .3

32 .5

17 .5

10 .0

7 .5

0 .0

15 .0

68 .7

58 .4

56 .6

28 .4

13 .0

7 .3

5 .5

1 .3

15 .8

60 .8

57 .0

53 .9

28 .3

10 .2

8 .8

4 .3

2 .6

15 .2

59 .4

56 .3

53 .1

24 .4

11 .3

5 .4

6 .4

0 .3

19 .3

権利ばかり主張する者が増える

パワハラに該当すると思えないような訴え・

相談が増える

管理職が弱腰になる

上司と部下との深いコミュニケーションがと

れなくなる

OJTがやり難くなる

職場の雰囲気が悪くなる

職場の生産性が低下する

その他

特に懸念することはない

全体(n=2937)

1年未満(n=120)

1~3年未満(n=546)

3~5年未満(n=421)

5年以上(n=591)

Page 34: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

32

また、企業調査においてパワーハラスメントに関連する相談が増えたまたは変わらない理

由として、表7のように「「パワハラ」という単語、言葉だけが先行し、理解度が低いので

はないかと感じる。」、「権利ばかり主張するものが増えた」などのコメント(「その他」の

自由記述)があがるなど、従業員のパワーハラスメントに対する理解が必ずしも十分とい

えないことがうかがえる。

表 7(企業調査)パワーハラスメントに関する相談が増えた・変わらない理由

(「その他」の自由記述の抜粋) 内容 業種

軟弱な若者が増えた 製造業

従業員の捕らえ方が複雑化。「パワハラ」という単語、言葉だけが先行し、理解度が低いのではない

かと感じる。 製造業

「パワハラ」の理解不足から言葉だけが一人歩きしている 製造業

パワハラを楯に要求を押し通す(実際にある) 運輸

コミュニケーションの質が低下している 卸・小売

遅刻、さぼりなど指導に応じない若者が増えた 卸・小売

現代の日本社会に増えつつある個人主義(自分の中心)が増加。コミュニケーションツールが変化し

た(メールでしか言わない、言えない人が増えストレスをためる) 卸・小売

権利ばかり主張するものが増えた 教育

能力不足を他責にする 情報通信

相談者の認識誤りや過剰反応 電気ガス水道

学校でのいじめの延長なのか、安易にパワハラというケースが多い 医療福祉

コミュニケーションが取りにくい方が多くなってきている 医療福祉

Page 35: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

33

6.3. パワーハラスメントの予防・解決のための取組を行うために必要な対応 企業調査において、パワーハラスメントの予防・解決のための取組を行うための支援と

して、あると良いと思われることとしては、「管理職向けのパワハラに関する教育資料の提

供」(59.7%)が最も高く、次いで「パワハラの予防・解決のためのマニュアルの作成」(45.5%)、

「管理職向けのパワハラに関する研修の提供」(41.9%)があがっている。

取組を検討中の企業において、既に取組中の企業に比べてニーズが高くなっている項目

として「管理職向けのパワハラに関する教育資料の提供」(64.2%)、「パワハラの予防・解

決のためのマニュアルの作成」(56.5%)、「パワハラに関する取組状況のチェックリストな

どのツールの作成」(28.9%)、「パワハラの予防・解決に関して相談できる外部の支援機関

の紹介」(22.4%)があげられている。

図 41(企業調査)パワーハラスメントの取組を行うための支援

一方、既に取組を実施している企業においてニーズが高いものとしては、「管理職向けのパ

ワハラに関する研修の提供」(50.1%)、「一般社員向けのパワハラに関する研修の提供」

(34.0%)などがあげられる。

59 .7

45 .5

41 .9

37 .8

30 .2

29 .2

24 .7

24 .2

19 .7

14 .7

5 .2

60 .7

44 .7

50 .1

41 .8

32 .3

32 .1

34 .0

24 .2

19 .8

17 .5

2 .9

64 .2

56 .5

45 .7

38 .8

30 .1

29 .3

24 .1

28 .9

22 .4

15 .8

1 .9

55 .6

39 .7

28 .7

31 .8

27 .5

25 .3

12 .6

21 .2

17 .6

10 .4

10 .5

管理職向けのパワハラに関する教育資料の提供

パワハラの予防・解決のためのマニュアルの作成

管理職向けのパワハラに関する研修の提供

一般社員向けのパワハラに関する教育資料の提供

パワハラに対する社会全体の意識・理解を高める普及

啓発

他社の取組の好事例の紹介

一般社員向けのパワハラに関する研修の提供

パワハラに関する取組状況のチェックリストなどのツー

ルの作成

パワハラの予防・解決に関して相談できる外部の支援

機関の紹介

第三者による問題解決のためのアドバイス

特に支援は必要ない

全体(n=4580)

実施している(n=2080)

取組を検討中(n=967)

特に取組を考えていない(n=1515)

(回答:全員、%)

Page 36: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

34

7. まとめとパワーハラスメントの削減に向けて <パワーハラスメントの発生状況>

企業において従業員向けの相談窓口を設置している企業は全体の 73.4%あり、社内に設置

した相談窓口で取り扱いの多い相談テーマとして、パワーハラスメントはメンタルヘルス

の不調に次いで高くなっている。

実際に過去 3 年間にパワーハラスメントに関する相談を 1 件以上受けたことがある企業

は回答企業全体の 45.2%で、実際にパワーハラスメントに該当する事案のあった企業は回答

企業全体の 32.0%であった。

一方、従業員に関しては、過去 3 年間にパワーハラスメントを受けた経験がある者は回

答者全体の 25.3%見られ、勤務先の従業員規模や業種による大きな偏りは見られなかった。

一方、過去 3年間にパワーハラスメントを受けた経験者のうち、46.7%が「何もしなかっ

た」と回答しており、「社内の担当部署に相談」(3.9%)、「社内の相談窓口に相談」(1.8%)、

「会社が設置している相談窓口に相談」(1.4%)とパワーハラスメント予防・解決に向けて

会社が実施している窓口の利用は低い。

企業に寄せられるパワーハラスメントに関する相談の内容としては「精神的な攻撃」が

69.6%と最も多く、「人間関係からの切り離し」(21.2%)、「過大な要求」(16.8%)「個の侵害」

(15.4%)、「身体的な攻撃」(14.7%)、「過小な要求」(7.2%)の順となっており、当事者の

関係としては「上司から部下へ」、「先輩から後輩へ」、「正社員から正社員以外へ」といっ

た立場が上の者から下の者への行為が大半を占めている。パワーハラスメントの内容や当

事者の関係は、従業員調査においてもほぼ同様の結果が示された。

<パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組の実施状況>

回答企業全体の 80.8%が「パワハラの予防・解決を経営上の課題として重要」だと感じ

ている一方で、予防・解決に向けた取組をしている企業は 45.4%に留まり、特に従業員規模

の小さい企業においては 18.2%と 2 割を下回っている。

パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組として実施率が高いのは、「管理職向けの

講演や研修」で取組実施企業の 64.0%で実施され、「就業規則などの社内規定に盛り込む」

(57.1%)が続いている。実施している取組の効果が実感できるかという点については「講

演や研修」など直接従業員に働きかける取組の効果の実感が高い一方で、「就業規則に盛り

込む」といった事項では相対的に低くなる傾向が見られる。「就業規則に盛り込む」といっ

た対応は企業規模に関わらず実施できるものの、「講演や研修」といった対応は一定程度の

従業員規模がないと実施しにくいこともあり、特に従業員 99 人以下の企業での実施率が低

くなっている。

パワーハラスメントの取組の効果については、取組実施 1 年未満の企業でも 7 割弱が何

らかの取組の効果を実感しており、取り組むことで効果を感じられるものの、パワーハラ

Page 37: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

35

スメントの相談件数の減少などの効果が現れてくるまでにはある程度の期間が必要となっ

ている。

<パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進める上での課題>

今回の調査において確認できた課題として、以下があげられる。

企業はパワーハラスメントに該当するかどうかの判断が困難であると感じている

従業員から、必ずしもパワーハラスメントに該当すると言えない相談が寄せられ

ること

従業員向けの相談窓口の設置がない、あっても従業員が活用しないなど、企業が

パワーハラスメントの事実を十分に把握できていない

パワーハラスメントを受けた(と感じた)従業員のうち 4 割強が「何もしない」

こと

パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を実施することでパワーハラスメ

ントの相談件数の減少等、効果はあるものの、効果が現れるまで時間がかかるこ

これらの課題を踏まえた上で、パワーハラスメント削減に向けた取組を進めていく必要が

ある。

<パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進めるための 3つの視点>

今回の調査におけるパワーハラスメントの発生状況やパワーハラスメントの予防・解決の

ための企業の取組状況から、パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進めるため

には、以下の 3点を意識して進めていくことが重要である。

① 企業全体の制度整備(相談窓口の設置と活用の推進、パワーハラスメントの理解を促

進するための研修制度の充実等)

企業がパワーハラスメントの発生状況を把握するため、従業員がパワーハラスメン

トの実態を伝えるためには、どこにあるいは誰に相談すれば良いかを明確にする意味

でも相談窓口の設置は意義があり、パワーハラスメントの予防・解決の取組のための

第一歩と言える。

ただし、実際にパワーハラスメントを受けた者が、相談窓口に相談する比率は極め

て低いことから、単に相談窓口を設置するだけでなく、相談窓口が活用されるような

仕組み、解決につなげるアクションを促すような仕組み(職場)づくりもしていく必

要がある。さらにパワーハラスメントに関する研修制度や就業規則などの社内規定に

パワーハラスメント対策を盛り込むなどにより、パワーハラスメントの予防・解決に

向けた総合的な取組をしていくことが重要である。

Page 38: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

36

② 職場環境の改善

今回の調査により、パワーハラスメントが発生する職場の特徴として、上司と部下

のコミュニケーションが少ないことや、残業が多い、休みが取りにくい、失敗が許さ

れないことなどが挙げられているが、これらを原因とする従業員の疲労やストレスの

高まりが背景として考えられる。したがって、パワーハラスメントをなくすためには、

職場におけるコミュニケーションの活性化や、疲労・ストレスの少ない環境に改善す

ることが必要である。

パワーハラスメントの実態を把握し、解決につなげるアクションを促すためには、

従業員に相談窓口の活用を促すだけでなく、職場におけるコミュニケーションを活性

化しつつ、上位者がパワーハラスメントについて理解した上で、部下等とのコミュニ

ケーションを行うことにより、パワーハラスメントが生じにくい環境を作り出すとと

もに、パワーハラスメントに関する相談がしやすい職場環境を作り出すことが、パワ

ーハラスメントの予防・解決につながると期待できる。パワーハラスメントが生じた

場合に、相談窓口よりも上司や同僚に相談するケースが多く、上司をはじめとして職

場においてこうした相談があった場合の対応等についてのあり方についても検討を

進めておくと円滑に対処できることが期待できる。

また、職場における働き方についても、労使で十分話し合って、労働時間や業務上

の負荷によりストレスが集中することのないよう配慮することも、パワーハラスメン

トをなくすことにつながると考えられる。

③ 職場におけるパワーハラスメントへの理解促進

厚生労働省では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」を開催し、平

成 24 年 3 月に取りまとめた提言で、労使が予防・解決に取り組むべき職場のいじめ・

嫌がらせを「職場のパワーハラスメント」と呼ぶこと及びその概念についての整理を

踏まえ、働く人の誰もがこの問題の当事者になり得ることや、この問題に取り組む意

義を訴えるとともに、予防・解決に向け、職場の一人ひとりにそれぞれの立場からの

行動を呼びかけている。

この提言をもとに、各企業は自社の状況を踏まえ、労使の話し合いのもと、会社と

してのパワーハラスメントについての考え方を整理し、職場においてパワーハラスメ

ントの予防・解決への意識啓発を進めていくことで、パワーハラスメントかどうかの

判断やパワーハラスメントといえない相談が寄せられるといった課題の解決に近づ

くことが期待される。

パワーハラスメントの予防・解決のための取組を進め、パワーハラスメントに対す

る従業員の関心が高まることで、一時的にはパワーハラスメントの相談が増えること

も予想されるが、取組を進め、しっかりと相談に対応していくことで、各種取組の効

果が現れ、将来的にはパワーハラスメントをなくすことにつながると考えられる。

以上

Page 39: 職場のパワーハラスメントに関する 実態調査報告書(概要版)€¦ · マクロミル社の調査協力者パネルを使用 なお、本調査では、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」における概念整理

37