建設のライフサイクル全体で 3次元データを共有し ビジネスの...

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建設のライフサイクル全体で 3 次元データを共有し ビジネスの生産性を向上 イチケンが G R I D を活用したクラウド V D I を導入 B I M の利用によって建築業界の環境変化に備える ケーススタディ | イチケン

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建設のライフサイクル全体で3次元データを共有しビジネスの生産性を向上イチケンがGRIDを活用したクラウドVDIを導入BIMの利用によって建築業界の環境変化に備える

ケーススタディ | イチケン

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ケーススタディ|イチケン |建設のライフサイクル全体で3次元データを共有しビジネスの生産性を向上

ユーザープロフィール

組織名 :

業界: 総合建設業

地域: 日本

本社所在地: 〒105-0023東京都港区芝浦1-1-1(浜松町ビルディング)

設立: 1930年(昭和5年)6月

資本金: 43億2167万2065円

導入ソフトウェア

仮想デスクトップ環境:SSI Ultra VDI Cloud

キーアプリケーション:GRAPHISOFT ARCHICAD

概要

イチケンは「より豊かで快適な『くらし空間』を創造し続けることで広く社会へ貢献する」

というビジョンを掲げる総合建設業者。1930年に創業した同社はこれまで、商業施設の新築工事や内装・改装工事を中心とした建設事業により業容を拡大してきた。

2015~2019年度の中期経営計画では、2019年度の目標を売上高800億円、経常利益27億円としていたが、2年目に前倒しで達成。2017年度以降の3カ年を増収計画に上方修正するなど、好業績を収めている。

そんな同社が2017年6月に、VDI(仮想デスクトップ環境)と同時に「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」と呼ばれるソリューションを導入。ビジネスの生産性

を飛躍的に向上させることが大きな狙いだ。

BIMは、コンピュータ上に建物の3次元モデルを作成して、設計から施工・維持管理までの建設ライフサイクル全体で情報を蓄積・活用するためのソリューション。意匠を表現す

るためのモデルだけではなく、コストや部材など付随する情報も単一のデータベースで

管理することが大きな特徴だ。設計に変更が生じた場合は、平面図やパース、数量表な

ど関連する情報が自動的に修正される。手戻りが大きく削減できるため、建築業務全体

の生産性を向上できる。好業績である同社がBIMの導入を決断したのは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの後の経営環境を見据えてのことだ。

建設業を取り巻く環境は現在、オリンピック開催に向けたインフラ投資や大規模な再開

発事業などによって、堅調に推移している。ただし、人口減少局面にある日本では、オリ

ンピック後の建設需要は不透明だ。そこで同社では、持続的な成長を維持していくため

に、事業環境が堅調な今こそ長期を見据えた戦略的な投資が必要だと考えて、BIMの導入を決断したという。

2016年からBIMに関する本格的な情報収集を開始。既にBIMを導入している大手ゼネコンの話も聞いた。さまざま情報を分析した結果、BIMソフトには国内外で大きな実績を誇るGRAPHISOFT社の「ARCHICAD」を選定。このソフトの有効性を確認するために、東京本社に教育・研修用の専用ルームを設置し、そこに4台のBIMシステムを試験導入した。ハードウェアには、NVIDIAのGPUを搭載した高性能ワークステーションを選んだ。2017年には関西・福岡の各支店にも導入し、合計で13台まで拡大している。

チャレンジ

試験導入で現場の技術者がARCHICADを使ってみたところ、業務の生産性が大きく上がることが確認できた。そこで、同社ではBIMを全社的に導入することを決断する。

この時、導入プロジェクトのメンバーたちは、本格導入には膨大な投資が必要になること

を覚悟していた。ARCHICADをはじめとするBIMソフトは、高度な3次元グラフィック

ソリューション

AT A GLANCE

株式会社イチケン

総合建設業のイチケンが、ビジネスの生産性を飛躍

的に向上させるために「BIM(ビルディング・インフォ

メーション・モデリング)」を導入した。高度な3次元グ

ラフィック処理を実行するBIMソフトを、エスエスア

イ・ラボが提供するクラウドVDI(仮想デスクトップ環

境)サービスで動作させている。このサービスは、

NVIDIA GRIDを活用して、VDIでありながら複雑な

グラフィック処理を高速に処理できることが大きな

特徴だ。

NVIDIA GRIDを活用したクラウドVDIサービスの上で3次元データを共有できるBIMソフトを稼働することで建設ライフサイクル全体の生産性を飛躍的に向上

処理を実行するため、GPUを搭載した高性能ワークステーションが必要になるからだ。

プロジェクトメンバーが予算獲得に頭を悩ませていた頃に、技術本部設計部の部長を務

める福元明広氏が、あるソリューションに出会う。エスエスアイ・ラボが提供するクラウド

サービス「SSI Ultra VDI Cloud」だ。

SSI Ultra VDI CloudはVDI(仮想デスクトップ環境)をクラウドで提供するプライベート・クラウド・サービス。顧客企業専用のクラウド基盤の上に仮想化環境を構築し、専用

のクライアントソフトウェアでアクセスしてVDIを利用するサービスだ。Windowsだけでなく、Macやスマートデバイス(iOSとAndroidに対応)からも、Windowsのデスクトップ環境が利用できる。

クラウドVDIを提供するベンダーは少なくないが、SSIUltra VDI Cloudの大きな特徴は、「NVIDIA GRID」を活用することによって、高度なグラフィック処理にも対応できることだ。一般的なVDIの標準設定では、グラフィック処理もCPUが担っている。このため、3次元モデルを扱うようなエンジニアリング用途では十分なグラフィック処理性能を得られない。例えば、3次元モデルを画面上で高速に回転させるような処理では、本来再生されるべき連続画像が欠ける「フレーム落ち」が発生し、なめらかな動画とはならなく

なる。

これに対して、SSI Ultra VDI CloudのようにVDIの環境にGRIDを導入すると、サーバーに搭載しているGPUを仮想マシンが利用できるようになる。仮想マシンにそのままGPUを接続する形態ではなく、物理GPUを仮想化する「vGPU」という機能を提供することが特徴だ。これは、サーバーが搭載する全ての物理GPUを統合的に管理し、仮想マシンごとに必要なグラフィック処理性能を割り当てる機能である。これを利用すれば、例

えばCADやCAEなどの複雑な3次元処理を行うユーザーには大きなグラフィック処理性能を、高度な3次元処理を実行しないユーザーにはそれなりのグラフィック処理性能を割り当てることが可能になる。エスエスアイ・ラボでイチケンを担当する営業部マネー

ジャーの松岡昂一氏は、SSI UltraVDI Cloudを「新たなワークスタイルを提案するBIM on CLOUDソリューション」と評する。

このような仕組みを知ったプロジェクトメンバーたちは、自社の業務に最適だと判断した

という。松岡昂一氏のアドバイスを受けた結果、SSI Ultra VDI Cloudによって同社が思い描く環境を想定よりも低コストで実現できることが分かった。そこで、SSI Ultra VDI Cloudの導入を決断した。併せて、BIMデータを使った共同作業を可能にするコラボレーション基盤のクラウドサービス「BIMcloud」の導入も決めた。2017年6月から利用を開始し、40人が16台に接続できる環境を構築した。今後、接続可能なユーザー数や拠点を増やしていく計画だ。

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ケーススタディ|イチケン |建設のライフサイクル全体で3次元データを共有しビジネスの生産性を向上

試験導入で現場の技術者がARCHICADを使ってみたところ、業務の生産性が大きく上がることが確認できた。そこで、同社ではBIMを全社的に導入することを決断する。

この時、導入プロジェクトのメンバーたちは、本格導入には膨大な投資が必要になること

を覚悟していた。ARCHICADをはじめとするBIMソフトは、高度な3次元グラフィック

建設業界は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは好景気が続くと見込まれています。持続的な成長を維持するために事業環境が堅調な今、戦略的な投資としてBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入することを決断しました。NVIDIA GRIDを活用したクラウドVDIの上でBIMソフトが活用できるので、オンプレミス(社内運用)のシステムに比べて、初期導入費用やTCO(総所有コスト)が大きく削減できました。

株式会社イチケン取締役 常務執行役員 技術本部 本部長吉田 稔 氏

処理を実行するため、GPUを搭載した高性能ワークステーションが必要になるからだ。

プロジェクトメンバーが予算獲得に頭を悩ませていた頃に、技術本部設計部の部長を務

める福元明広氏が、あるソリューションに出会う。エスエスアイ・ラボが提供するクラウド

サービス「SSI Ultra VDI Cloud」だ。

SSI Ultra VDI CloudはVDI(仮想デスクトップ環境)をクラウドで提供するプライベート・クラウド・サービス。顧客企業専用のクラウド基盤の上に仮想化環境を構築し、専用

のクライアントソフトウェアでアクセスしてVDIを利用するサービスだ。Windowsだけでなく、Macやスマートデバイス(iOSとAndroidに対応)からも、Windowsのデスクトップ環境が利用できる。

クラウドVDIを提供するベンダーは少なくないが、SSIUltra VDI Cloudの大きな特徴は、「NVIDIA GRID」を活用することによって、高度なグラフィック処理にも対応できることだ。一般的なVDIの標準設定では、グラフィック処理もCPUが担っている。このため、3次元モデルを扱うようなエンジニアリング用途では十分なグラフィック処理性能を得られない。例えば、3次元モデルを画面上で高速に回転させるような処理では、本来再生されるべき連続画像が欠ける「フレーム落ち」が発生し、なめらかな動画とはならなく

なる。

これに対して、SSI Ultra VDI CloudのようにVDIの環境にGRIDを導入すると、サーバーに搭載しているGPUを仮想マシンが利用できるようになる。仮想マシンにそのままGPUを接続する形態ではなく、物理GPUを仮想化する「vGPU」という機能を提供することが特徴だ。これは、サーバーが搭載する全ての物理GPUを統合的に管理し、仮想マシンごとに必要なグラフィック処理性能を割り当てる機能である。これを利用すれば、例

えばCADやCAEなどの複雑な3次元処理を行うユーザーには大きなグラフィック処理性能を、高度な3次元処理を実行しないユーザーにはそれなりのグラフィック処理性能を割り当てることが可能になる。エスエスアイ・ラボでイチケンを担当する営業部マネー

ジャーの松岡昂一氏は、SSI UltraVDI Cloudを「新たなワークスタイルを提案するBIM on CLOUDソリューション」と評する。

このような仕組みを知ったプロジェクトメンバーたちは、自社の業務に最適だと判断した

という。松岡昂一氏のアドバイスを受けた結果、SSI Ultra VDI Cloudによって同社が思い描く環境を想定よりも低コストで実現できることが分かった。そこで、SSI Ultra VDI Cloudの導入を決断した。併せて、BIMデータを使った共同作業を可能にするコラボレーション基盤のクラウドサービス「BIMcloud」の導入も決めた。2017年6月から利用を開始し、40人が16台に接続できる環境を構築した。今後、接続可能なユーザー数や拠点を増やしていく計画だ。

サーバーNVIDIA Tesla M60 GPU

イチケン

SSIラボデータセンター

クラウドVDI

本社・東京支店本社・東京支店本社・東京支店福岡支店福岡支店福岡支店 関西支店関西支店関西支店

NVIDIA GRIDvGPU マネージャ

BIM CloudVMware vSphere(ハイパーバイザー)NVIDIA GRID(仮想GPU)

Ultra VDI Cloud

vGPU

NVIDIA グラフィックスドライバ

アプリケーション ARCHICAD® (BIM)

vGPUvGPUvGPU

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リザルト

導入したシステムは、高性能のワークステーションでなくても、複雑な3次元グラフィックが利用できるため、新たにハードウェアを導入する必要がない。オンプレミス(社内運

用)で導入するのに比べて、初期導入費が劇的に下がった。高性能なハードウェアを運用

管理する作業も必要がないので、同社ではTCO(総所有コスト)も大きく下がると見込んでいる。

さらに、クラウドサービスであるため、インターネットに接続する環境があれば、いつで

も、どこでも、どの端末からもBIMデータを活用できるというメリットもある。80~100カ所ある建設現場でも、スマートフォンやタブレット端末でBIMデータを閲覧できるのだ。今後は、協力会社との情報共有も進めていく計画だ。

働き方改革の推進につながることも、SSI Ultra VDI Cloudを選定するという決断を後押ししたという。オンプレミスで導入した場合は、高性能なワークステーションがある

環境、すなわちオフィスに来なければ仕事ができない。しかし、新体制では廉価なPCでも高度な3次元グラフィック処理を実行できるので、自宅や出先でも仕事ができる。同社では、介護や育児でオフィスに在席できる時間が少なくなった技術者が在宅勤務で仕事

をできるような体制を整備していく方針を打ち出している。

についての詳しい情報は

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(右から)株式会社イチケン 取締役 常務執行役員 技術本部 本部長 吉田 稔 氏/技術本部 設計部 部長 福元 明広 氏/技術本部 設計部(東京駐在) 課長 宮田 賢作 氏

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