自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調...

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平成16年度日本自転車振興会補助事業 使用済製品の自主回収システムの構築支援事業 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調査研究 報告書 平成17年3月 財団法人 クリーン・ジャパン・センター

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平成16年度日本自転車振興会補助事業

使用済製品の自主回収システムの構築支援事業

自主回収システムに係る法規制

と特例制度の活用に関する調査研究

報告書

平成17年3月

財団法人 クリーン・ジャパン・センター

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(背表紙)

自主回収システムに係る法規制と特例制度の活用に関する調査研究

平成 17年3月

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この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

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はじめに

本調査研究は、日本自転車振興会の平成 16 年度補助事業「使用済み製品の自主回収システ

ムの構築支援事業」として実施したものである。 わが国では、現在、循環型社会形成推進基本法の下、循環型社会に向けた取り組みが重

要課題となっている。製品の製造を担う産業界においては、製造工程で発生する産業廃棄

物のリサイクルに加え使用済みとなった自社製品を自ら自主的に回収しリサイクルするこ

とが期待されている(拡大生産者責任)。一方、産業界からも「企業の社会的責任

(CSR:Corporate Social Responsibility)」の観点から積極的にこの要請に応えていこうとす

る機運が盛り上がってきている。また、この要請を受け従前の「広域再生利用指定制度」を

強化する形で廃棄物処理法に「広域認定制度」が創設されなど、行政サイドの支援体制も整

備されつつある。しかし、多くの事業者においては自社製品を自ら自主的に回収し、リサ

イクルする意志があっても、いざ自主回収システムを構築しようとした時、廃棄物処理法

の規制への対応が困難であったり、あるいは使用済み製品のリサイクル推進のために設け

られた「広域認定制度」の内容や申請方法がよく理解できないことなどにより、自主回収シ

ステムを構築、運営することに困難を感じているのが実情である。

このため、様々な事業者が自主回収システムを構築する際の検討に役立つ、既存の自主

回収システムの具体的事例を踏まえ、実務上、何をどう準備し検討を進めればすれば良い

のかと言うことをまとめた「手引き」の作成が強く望まれている。 本調査研究の目的は、上記の要請に少しでも応えるために実施した。 実施に当っては、当センター内に専門家からなる委員会を設置し、明治大学法科大学院

の柳教授を委員長にお願いして関係団体・企業の担当者にご参画いただき、現在構築して

いる自主回収制度について検討中のものを含め制度内容その他貴重な情報を提供いただく

とともに、調査内容についてご指導、ご意見をいただいた。ご多忙の中ご協力いただいた

委員長及び各委員に厚く御礼申し上げる。 なお、本書は廃棄物処理法についてある程度の知識を有していることを前提として執筆

しているため、本書の活用にあたっては、「第 2 編 自主回収システム事例集」を先に通読

して自主回収システムのイメージを把握し、その後、「第 1 編 自主回収システムの構築」

を活用することをお勧めする。 平成 17 年 3 月

財団法人クリーン・ジャパン・センター

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「使用済み製品の自主回収システムの構築支援事業」 自主回収システムに係る法制度と特例制度の活用に関する調査研究委員会

委員名簿

(五十音順、敬称略)

委員長 柳 憲 一 郎 明治大学 法科大学院 法務研究科 教 授

委 員 朝 賀 広 伸 明治大学 法科大学院 教育補助講師

石 川 一 美 ヤマハ株式会社 環境管理部製品環境グループ グループマネージャー

伊藤 陽一郎 株式会社ノリタケボンデッドアブレーシブ

品質保証部 部 長

大 出 広 全日本寝具寝装具品協会 専務理事

柄 崎 晃 一 社団法人電子情報技術産業協会

IT リサイクル対応専門委員会 委 員 長

(株式会社日立製作所)

久 地岡 満 社団法人日本自動車タイヤ協会

リサイクル事業本部 部 長

塩ノ谷 淳一 日本アイ・ビー・エム株式会社

サービス事業プロダクト・サービス パーツ・オペレーション

リユース渉外担当部長

田 中 宏 和 全日本ベッド工業会 廃棄物対策委員会 委 員 長

(フランスベッド株式会社)

堀 井 茂 社団法人日本計量機器工業連合会 総務部 部 長

森 下 務 日本通運株式会社 エコビジネス部 部 長

渡 辺 始 三甲株式会社

合成樹脂事業部 東京支店 第 1 課 課 長

オブザーバー 経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課

事務局

中曽根 伸一 財団法人クリーン・ジャパン・センター 参 与

名 木 稔 財団法人クリーン・ジャパン・センター 企画調査部長

堀 口 昌 澄 アミタ株式会社 本社営業部ソリューション課 主任エキスパート

平木 みどり アミタ株式会社 本社営業部ソリューション課 主 事

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目次

TU調査研究の目的 UT 5

TU第 1 編UT TU自主回収システムの構築 UT 7

TU第 1 章UT TU使用済み製品の回収方法の概要UT 8

TU[コラム 1] 廃棄物とはUT 13

TU[コラム 2] 適正処理困難物UT 14

TU第 2 章UT TU「下取り」による自主回収システムの構築 UT 15

TU第 3 章UT TU廃棄物処理業の許可による自主回収システムの構築 UT 16

TU第 1 節UT TU自主回収の前提条件の整理UT 17

TU[コラム 3] 一般廃棄物と産業廃棄物の区分方法UT 17

TU第 2 節UT TUリサイクル・処分方法の検討UT 18

TU第 3 節UT TU自主回収ルートの検討UT 19

TU第 4 節UT TU自主回収に関わる廃棄物処理法の許可取得の検討UT 21

TU第 5 節UT TU廃棄物処理法の許可の申請UT 24

TU[コラム 4] 一般廃棄物処理業の許可取得が難しい理由UT 24

TU[コラム 5] 再生利用指定制度 UT 25

TU[コラム 6] 再生利用認定制度 UT 25

TU[コラム 7] 産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の設置についての特例UT 26

TU第 6 節UT TU自主回収システム運用時に排出者が行う廃棄物処理法の事務手続きUT 27

TU第 7 節UT TU自主回収した使用済み製品の処理費用についてUT 27

TU第 8 節UT TUまとめUT 28

TU[コラム 8] メーカーが廃棄物処理業の許可を受けて自主回収する事例 UT 31

TU第 4 章UT TU広域認定制度による自主回収システムの構築UT 32

TU[コラム 9] 広域認定制度の概略UT 32

TU第 1 節UT TU自主回収の前提条件の整理UT 33

TU[コラム 10] 一般廃棄物の広域認定制度について UT 34

TU[コラム 11] 一般廃棄物にも産業廃棄物にもなる使用済み製品の自主回収 UT 34

TU[コラム 12] 自主回収対象の使用済み製品UT 36

TU[コラム 13] 自主回収を行う主体UT 39

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TU第 2 節UT TUリサイクル・処分方法の検討UT 39

TU[コラム 14] 処理方法によって広域認定が認められなかった事例UT 40

TU[コラム 15] 広域認定制度の認定対象者の範囲UT 43

TU第 3 節UT TU自主回収ルートの検討UT 44

TU[コラム 16] 宅配便の利用UT 46

TU[コラム 17] JR貨物の利用UT 47

TU第 4 節UT TU処理の一連の行程の整理UT 51

TU第 5 節UT TU自主回収システムの管理方法の検討UT 53

TU[コラム 18] 適正な廃棄物処理業者を選定する UT 55

TU第 6 節UT TU自主回収・処分費用の受取り方法の検討UT 57

TU第 7 節UT TU広域認定制度における契約の締結UT 60

TU[コラム 19] 産業廃棄物処理委託契約書に記載する事項UT 63

TU[コラム 20] 事業系PCの自主回収に係る契約UT 64

TU[コラム 21] タイヤの自主回収に係る契約 UT 65

TU第 8 節UT TU行政への申請UT 66

TU[コラム 22] 広域認定制度の申請書類作成の苦労UT 67

TU第 5 章 UT TU自主回収システム構築に係る課題 UT 69

TU第 2 編UT TU自主回収システム事例集 UT 73

TU事例 1UT TU家庭系PCの自主回収システム事例UT 74

TU事例 2UT TU事業系PCの自主回収システム事例UT 78

TU事例 3UT TU研削砥石の自主回収システム事例UT 81

TU事例 4UT TU家庭から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例UT 83

TU事例 5UT TU事業者から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例UT 86

TU事例 6UT TU電気抵抗線式はかり(計量機器)の自主回収システム事例 UT 89

TU事例 7UT TUパレットの自主回収システム事例UT 91

TU事例 8UT TUレンズつきフィルムの自主回収システム事例 UT 93

TU事例 9UT TUガス石油設備機器の自主回収システム事例UT 95

TU事例 10UT TU事業系小形二次電池の自主回収システム事例UT 97

TU事例 11UT TU家庭系小形二次電池の自主回収システム検討事例UT 99

TU事例 12UT TUスプリングマットレスの自主回収システム検討事例 UT 101

TU事例 13UT TU大型電子楽器の自主回収システム検討事例 UT 104

TU事例 14UT TU寝具(布団類)の自主回収システム検討事例 UT 107

TU事例 15UT TU消火器の自主回収システム検討事例UT 109

TU事例 16UT TU鉛バッテリーの自主回収システム検討事例 UT 111

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TU事例 17UT TUガスボンベの自主回収システム検討事例UT 113

TU第 3 編UT TU法令の解説 UT 115

TU寄稿 廃棄物処理のQ&A UT 116

TU第 1 章UT TU自主回収システム構築に関連する法律 UT 123

TU第 1 節UT TU廃棄物・リサイクル関連法制度の概要とその課題UT 123

TU第 2 節UT TU自主回収システム構築と廃棄物処理法UT 124

TU第 3 節UT TU自主回収システム構築と独占禁止法UT 125

TU第 4 節UT TU自主回収システム構築に関わる処理施設を規制する法令 UT 127

TU[コラム 23] 通知、通達とはUT 129

TU[コラム 24] 行政指導とはUT 129

TU[コラム 25] 「ガイドライン」、「指針」、「基本方針」、「基準」とは UT 129

TU第 2 章UT TU使用済み製品の回収を義務付けている法律 UT 131

TU第 1 節UT TU資源有効利用促進法の指定再資源化製品についてUT 131

TU第 2 節UT TU容器包装リサイクル法の解説UT 133

TU第 3 節UT TU家電リサイクル法の解説UT 135

TU第 4 節UT TU自動車リサイクル法の解説UT 138

TU参考資料 UT 141

TU1.広域認定制度申請の手引き(環境省) UT 141

TU2.排出事業者とタイヤ販売店・販売会社との再生利用委託契約書 UT 141

TU(1)基本契約書UT 141

TU(2)承諾書(個別契約書)UT 141

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調査研究の目的

1.目的 わが国では既に家電リサイクル法等の個別リサイクル法により、特定の品目につ

いては事業者に自社製品の回収・リサイクル等を義務付けている。また、 近では個

別リサイクル法の対象品以外のものについても、市町村での適正処理が困難であっ

たり、資源の有効な利用を図る上で必要と思われる場合は、事業者が使用済み自社

製品を自主的に回収し、リサイクルすること(「拡大生産者責任」という。)が期待さ

れている。

特に平成 12年に制定された循環型社会形成推進基本法やその推進のために策定さ

れた循環基本計画において、循環型社会の形成に向けて事業者の果たす役割として、

事業者自らが使用済み自社製品を自主的に回収し、リサイクルすることが期待され

ている。また、事業者としても CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的

責任)の観点から積極的にこの要請に応えていこうとする機運が盛り上がってきてい

る。

しかし、多くの事業者においてはその意志があっても、いざ自主回収システムを

構築しようとした時、廃棄物処理法の規制への対応が困難であったり、あるいは規

制緩和のために設けられた特例制度の内容や申請方法がよく理解できないことなど

により、自主回収システムを構築し運営することに困難を感じているのが実情であ

る。

そこで本書は、事業者が製造、販売した製品の自主回収システムを構築すること

を支援するために、関係する廃棄物処理法上の法規制や特例制度について解説する。

さらに実績のある自主回収システムが廃棄物処理法の規制にどのように対応してい

るか、あるいはその特例制度をどのように活用しているかといった観点から紹介し

ている。

2.定義

(1) 自主回収 「自主回収」という用語の法令上の定義は存在しない。本書では、「製造事業者等

が、過去に自ら製造(輸入を含む)、加工又は販売した製品が使用済みとなったもの

を回収し、リサイクル等を行うこと」を自主回収と定義する。例えばメーカーが自

社の使用済み製品を回収したり、小売店が過去に販売した製品を回収し、リサイ

クルすることを本書では自主回収という。

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(2) 使用済み製品

流通の各段階や販売後に当該ユーザー等が不要と判断した製品をいう。必ずし

も使用済みのものに限らず、使用前のものであっても「使用期限切れ」、「賞味期限

切れ」、「予定が変更となり不要となった」等の理由により廃棄されるものを含む。 ただし、製造段階で発生する不良品、試作品等は除く。また、使用済みの製品

であっても中古市場等に「売却できるもの」は対象外とする。

(3) 廃棄物処理法、法 本書では、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を「廃棄物処理法」と略記する。

また、法令の引用においては「廃棄物処理法」を「法」と表記するものとする。

3.本書の活用方法 本書は、事業者が自ら製造(輸入を含む)、加工又は販売した製品を回収し、リ

サイクル等を行う自主回収システムを構築する際の手引きとなることを目的とし

て作成した。そこで本書では、自主回収システムの各プロセスにおいて関係する

法令の各条項の解説及び自主回収システムを構築するために検討すべき項目を具

体的事例を取入れながら解説している。自主回収システムの構築を検討する際の

基本設計、法規制への対応、具体的なシステム構築、行政への申請時等の参考と

していただきたい。

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第1編 自主回収システムの構築 使用済みの製品は、家庭や事業所から廃棄物等として日常的に発生している。廃棄物は、

家庭から排出されたものは市町村が、又、事業活動に伴い排出されたものは排出者が責任

をもって処理するのが原則である。しかし、市町村は大型の粗大ごみの処理に苦慮してお

り、事業者も自ら適正に処分することが困難であることが多い。そこで、このような使用

済み製品は廃棄物処理業者といわれる廃棄物処理法の許可を受けた事業者に委託し処理を

依頼することになる。 しかし、一方で不法投棄や廃棄物処理施設による環境汚染等、廃棄物に関する社会問題

が表面化しており、この対応として廃棄物の排出者は、処理を委託した廃棄物がきちんと

処理されるよう責任をもって管理することが求められている。 このような社会背景を受け、廃棄物の排出者や市町村は、メーカー・小売業者等に対し使

用済み製品を回収し、処理することを求め始めている。特に適正処理が困難な製品につい

てこの傾向が著しい。また、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の推

進という社会的な要請から、メーカー・小売業者等も積極的に使用済み製品の回収・リサイ

クル等に取組み始めている。 本編は、これから自主回収システムを構築しようと考えている事業者に対して、対象物

の特性を踏まえたビジネスモデルの構築、廃棄物処理法への対処及び特例制度活用の観点

から検討の要点を示し、その参考となることを期待している。

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第1章 使用済み製品の回収方法の概要 使用済み製品の回収は、メーカー・小売業者等が自主的に回収している例、法律により自

社製品の回収が義務付けられている例等、様々な事例がある。これらの事例を分析した結

果、使用済み製品の回収方法はいくつかの類型に分類することができる。本章では、使用

済み製品の様々な回収方法を概観する。 図 1 及び図 2 は、家庭から使用済み製品が排出される場合と、事業者から排出される場

合のそれぞれについて、メーカー・小売業者等が使用済み製品を自主回収するときの回収方

法の検討手順をまとめたものである。

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使用済み製品(家庭系)

買取り可能か

リース物件か

左の製品に該当するか

左の製品に該当する

・家電リサイクル法対象製品・自動車・容器包装

・スプリングマットレス・PC・小型二次電池・鉛蓄電池・廃二輪自動車

製品を販売するときに

(同種の)使用済み製品を無料で

回収

一般廃棄物処理業の許可を取得して回収一般廃棄物処理業の許可を取得して回収

「下取り」として回収「下取り」として回収

一般廃棄物広域認定制度を利用して回収

一般廃棄物広域認定制度を利用して回収

各リサイクル法の規定に従い回収

各リサイクル法の規定に従い回収

リース会社が回収リース会社が回収

事業者等が買取り事業者等が買取り

一般廃棄物処理業の許可を取得

しないで回収

YES

YES

YES

YES

YES

YES

NO

NO

NO

NO(処理費用を請求)

NO

NO

[D]

[E]

[F]

[A]

[B] [C]

*広域認定制度対象一般廃棄物

[G]一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可を取得している事業者を紹介一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可を取得している事業者を紹介

図2の★へ

※1

※1

図 1 家庭から排出される使用済み製品の自主回収方法の検討手順

Page 16: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

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<自主回収の範囲>

買取り

リース物件

左の製品に該当する

廃棄物の種類の判断

・家電リサイクル法対象製品・自動車

製品を販売するときに

(同種の)使用済み製品

を無料で回収

一般廃棄物処理業の許可を取得して回収

一般廃棄物処理業の許可を取得して回収

「下取り」として回収「下取り」として回収

産業廃棄物広域認定制度を利用して回収

産業廃棄物広域認定制度を利用して回収

各リサイクル法の規定に従い回収

各リサイクル法の規定に従い回収

リース会社が回収リース会社が回収

事業者等が回収事業者等が回収

産業廃棄物処理業の許可を取得

しないで回収

YES

YES

YES

YES

NO

YES

NO

NO

NO

NO(処理費用を請求)

[D]

[E]

[F]

[A]

[B] [C]

一般廃棄物 産業廃棄物

産業廃棄物処理業の許可を取得して回収

産業廃棄物処理業の許可を取得して回収

[B]

[G]一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可を取得している事業者を紹介一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可を取得している事業者を紹介

下取りされた製品を廃棄物として処分する場合★

使用済み製品(事業系)

※2

※2

図 2:事業者から排出される使用済み製品の自主回収方法の検討手順

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以下、図中の[A]~[G]について解説する。

[A] 製品販売・納入時に使用済み製品を無料で回収(「下取り」)

主に販売店等で行われ、「下取り」と称されている回収方法である。下取りとは、製

品を納入する際に無料で使用済み製品(納入した製品と同種のもの)を引取ることであ

り、この場合、廃棄物処理法の「許可」を取得しないで回収することができる。「無料」

の回収ではないとき、即ち処理費用を徴収して回収する場合は下取りではなく、[B]に該当する。(一般的には販売店等が使用済み製品を「買取って」引取ることも下取りとい

われることがある。しかし、本書では環境省通知に従い、「無料」の回収のみを「下取り」

というものとする。買い取る場合は[D]に該当する。) 第 2 章ではこの[A]による回収方法について解説する。

(例) ○オフィスのレイアウト変更等で不要となったオフィス家具は、新しく納入したオフ

ィス家具の納品時に下取り、処分している。

[B] 「廃棄物処理業の許可」を取得して回収

使用済み製品を回収する際に、その排出者から処理費用を徴収して回収する方法で

ある。回収・リサイクル等の主体となるメーカー・小売業者等は廃棄物処理法で定めら

れた「許可」を受けなければならない。これは、いわゆる営業許可の部類であり、一般

廃棄物は「一般廃棄物処理業」、産業廃棄物は「産業廃棄物処理業」の許可がなければ、

回収・リサイクル等を行うことができない。 第 3 章ではこの[B]による自主回収システムの構築について解説する。

(例) ○産業用研削砥石は砥石メーカーの関連会社が廃棄物処理業の許可を受けて使用済み

研削砥石を回収、処分している。

[C] 廃棄物処理法に規定する「広域認定制度」を利用して回収

廃棄物処理法では、使用済み製品の回収・リサイクル等を促進する目的でメーカー・

小売業者等が自主回収を行う場合、[B]の「許可」を不要とする特例制度を設けている。

これを広域認定制度といい、一般廃棄物、産業廃棄物それぞれについて個別に定めら

れている。この広域認定制度を利用すると、メーカー・小売業者等は「廃棄物処理業の

許可」が不要となるだけでなく、使用済み製品の排出者から処理費用を徴収して回収、

リサイクルすることが可能となる。 但し、一般廃棄物は広域認定制度の対象となる製品が限定されているため、対象外

のものは[B]の方法等で自主回収システムの構築を検討しなければならない。 なお、広域認定制度は、メーカー・小売業者等が申請し、環境大臣が認定する。平成

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17 年 3 月 31 日現在、産業廃棄物の広域認定を受けている事例は 63 件である。 第 4 章ではこの[C]による回収システムの構築を検討する。

(例) ○PC(パーソナルコンピュータ)など。詳細は第 2 編の事例集を参照のこと。

[D] 「買取り」により回収

使用済み製品の本体の再使用又は中古品として販売したり、使用済み製品に含まれ

る部品、部材を再利用できる場合には、メーカー・小売業者等は、代金を支払い排出者

から買取って引取ることがある。 本ケースもメーカー・小売業者等による自主回収ではあるが、回収する使用済み製品

は「廃棄物」に該当しない。このため、廃棄物処理法に規定する「廃棄物処理業の許可」

を取得せずに回収・リサイクルできることから、自主回収システムの検討対象とはしな

いものとする。(この回収方法も下取りといわれることがあるが、本書では環境省通知

に従い、 [A]の下取りとは区別して扱うものとする。) (例)

○グランドピアノ等のアコースティックピアノは、電子ピアノ等の電子楽器とは異な

り、製品寿命が長く半世紀以上使用できる。このため、中古製品の需要が多く市場

が確立されているので、使用済みとなった際に有償で買い取られることが多い。 [E] リース物件を回収

回収対象の使用済み製品がリース物件の場合、その製品の所有権はリース会社にあ

るので、リース会社はリース期間が終了した時点でそれを回収する。この返却に伴う

運搬は廃棄物の運搬とみなされていないため、自主回収システムの検討対象とはしな

いものとする。 [F] 法律で規定された義務による使用済み製品の回収

資源有効利用促進法、家電リサイクル法、容器包装リサイクル法及び自動車リサイ

クル法は、対象品目及び回収・リサイクル方法を定めたうえで生産者等に回収・リサイ

クルを義務付けている。 なお、資源有効利用促進法は、生産者等に指定再資源化製品(パーソナルコンピュー

タ、小形二次電池)の回収・リサイクルを義務付けているが、回収・リサイクルの仕組み

は該当の生産者等が自ら設計し構築することになっている。この際、生産者等は、廃

棄物処理法の規定に則り回収・リサイクル等を行わなければならず、実際には、[C]の広

域認定制度を利用し、回収・リサイクルを行っている。そこで本書では、資源有効利用

促進法の指定再資源化製品については自.主.回収に区分するものとする。

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[G] 使用済み製品の回収・リサイクル先を紹介する方法等

[A]から[F]とは異なり、メーカー・小売業者等は使用済み製品の回収は行わないが、

排出者が安心して処理を委託できる廃棄物処理業者を紹介する例がある。メーカー・小

売業者等は、廃棄物処理業者を全国的に把握し、排出者の問合せに対して廃棄物処理

業者を紹介する。これは、メーカー等が主体となって回収・リサイクル等を行っている

わけではないため、自主回収には区分しないものとする。 事業者によっては、廃棄物処理業者の紹介だけなく、前処理や再資源化するための

処理機器等を提供することもある。 (例)

○電子オルガン等大型の電子楽器は適正な処理が困難であることから、市町村によっ

ては収集していないことがある。全国楽器協会では東京都の委託を受け、電子オル

ガンなど大型楽器の処理業者を紹介している。 ○日本ガス石油機器工業会では、市町村に対し、家庭から廃棄される使用済みガスボ

ンベの処理に役立つ専用の破砕機の導入を支援している。

[コラム 1] 廃棄物とは

廃棄物とは、占有者が自ら利用しない又は他人に有償で売却できないために不要になっ

たものをいう。廃棄物は、その性状やそれが排出される形態によって産業廃棄物と一般廃

棄物に分類されている。 その物が廃棄物か否かの判断は非常に難しく、実務上は、わかりやすい判断基準として

排出者が廃棄物処理費用を支払ったならば廃棄物、排出者が代金を受け取ったならば廃棄

物ではない(商品)という判断がなされていることが多い。判断に迷う場合、行政に相談する

べきである。 ○産業廃棄物・・・事業活動に伴って発生した廃棄物で、廃油、廃酸、廃プラスチック類等、

廃棄物処理法施行令第 2 条で定める 20 種類をいう。 ○一般廃棄物・・・産業廃棄物以外の廃棄物をいう。家庭から排出される廃棄物の他、事業

活動に伴って排出しているが上述の 20 種類に該当しないものは一般廃

棄物(通称:事業系一般廃棄物)に該当する。

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[コラム 2] 適正処理困難物 市町村が処理する一般廃棄物のうち、全国的に適正な処理が困難となっているものをい

う。「廃棄物処理法」は、こうした廃棄物を環境大臣が「適正処理困難物」に指定できると定

めており、廃ゴムタイヤ・廃テレビ受像機・廃電気冷蔵庫・廃スプリングマットレスの 4 品目

が指定されている。市町村長は、適正処理困難物の処理が適正に行えるよう、製造者や販

売者などの事業者に協力を求めることができ、環境大臣は、経済産業大臣など管轄の大臣

に、そのための必要な措置を要請できる。 (EIC ネット(http://www.eic.or.jp/):環境用語集より)

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第2章 「下取り」による自主回収システムの構築 下取りによって使用済み製品を回収し、回収した者の責任で処理するという自主回収シ

ステムは広く商習慣として浸透している。ここでは下取りによる自主回収システムを構築

する際のポイントを解説する。 下取りは廃棄物処理法で明記された制度ではないが、環境省(旧厚生省)の通知の中にその

定義が示されている。廃棄物処理法の解釈、運用上の注意事項として通知されたものであ

る。 「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務

の取扱いについて」 (厚生省産業廃棄物対策室長通知 平成 12 年 9 月 29 日衛産第 79 号)

新しい製品を販売する際に U商慣習 Uとして同種の製品で使用済みのものを U無償 Uで引き取

り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。

本通知は、「商慣習」として下取りが行われている実態を運用面で配慮したものである。

ここでいう「同種の製品」とは他社製品も含むものであるが、同種とはいえない製品は自社

製品であっても下取りとはならない。この「同種」の判断もまた、商慣習が基準になると思

われる。 また、下取りは「無償で引き取」る行為であることに注意が必要である。廃棄物処理費用

をもらって引取る行為は、下取りではなく第 3 章のような廃棄物処理を受託した行為とな

り、廃棄物処理業の許可を受けていなければならないことになる。ここでいう「無償」とは、

収集運搬費用、処分費用に関わらず、引取る際に費用を一切受取らないということを意味

している。 使用済み製品を下取りしたときは、下取りを行った者が排出事業者となりそれを産業廃

棄物として処理したり、中古品として販売するのが一般的である。なお、家庭から排出さ

れた使用済み製品を一般廃棄物処理業の許可を取得し、処理費を徴収して回収した場合に

は、回収物は一般廃棄物扱いとなる。

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第3章 廃棄物処理業の許可による自主回収システムの構築 本章では、使用済み製品をの排出者から処理費用の徴収を行うが、廃棄物処理法の特例

は利用しないで自主回収システムを構築する際の要点を解説する。 本章で対象とする使用済み製品の自主回収は、次のようなケースが想定される。 (例 1)

製品 A を販売している小売店 X は、環境にやさしい小売店を目指し、使用済みの製

品 A を 1 台当たり 1,000 円の処理費を徴収して消費者から回収し、その後、リサイクル

業者にリサイクルを依頼した。 (例 2)

ある工場では、使用している機器の修理を自社で行ったが、そのとき生じた廃部品 Bの処理に困り、部品メーカーY に処理費用を支払う条件で回収を依頼した。そこで部品

メーカーY の営業担当者は、営業車でその部品 B を引取り、自社工場の廃棄物として処

理をした。

これらの例においては、小売店Xが回収する使用済み製品Aや部品メーカーYが回収す

る使用済み部品Bは、使用者が不要と判断し、費用を支払って処理を依頼していることか

ら廃棄物に相当すると考えられる。廃棄物処理法では廃棄物を運搬したり、リサイクル・

処分したりする事業者は、廃棄物処理業P

*Pの許可を受けなければならないと規定している。

したがってこれらの例では、廃棄物となる製品Aや部品Bを回収する小売店X、部品メー

カーYは廃棄物処理業の許可を受けていなければならない。

(注釈)*: 廃棄物処理業者には、廃棄物を回収・運搬する収集運搬業者並びに中間処理や埋立、リサイクル

を行う処分業者の 2 種類がある。また、廃棄物には一般廃棄物と産業廃棄物の 2 つの区分があ

り、廃棄物処理業者はそれぞれの区分に応じた許可を受けなければならない。例えば、例 1 の

小売店 X は一般廃棄物収集運搬業の許可、部品メーカーY は産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄

物処分業の許可を受けなければ、上記のように使用済み製品を回収してはならない。なお、「廃

棄物処理業」とは収集運搬業と処分業を総称した表現である。 なお、メーカー・小売業者等が関与することなく、他の事業者が使用済み製品の回収か

らリサイクル・処分まで全てを行う場合は、第 1 章における[G]の区分に該当し、本書の

自主回収とはならない。

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第1節 自主回収の前提条件の整理

自主回収システムを検討するにあたって、まず前提条件を整理する必要がある。これが

不十分な場合、第 2 節以降の検討をスムーズに進めることはできない。但し、実際にシス

テム構築を行う段階において、ここで整理した前提条件を見直すことも必要である。

(1) 自主回収対象の使用済み製品は一般廃棄物であるか又は産業廃棄物であるか 廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に区分されており、それに応じて取得しなければなら

ない廃棄物処理業の許可の種類も異なる。したがって、まず自主回収対象の使用済み製品

が一般廃棄物であるか又は産業廃棄物であるかを特定する必要がある。 【対象の使用済み製品が産業廃棄物の場合】 管轄の都道府県知事(保健所設置市は市長)から産業廃棄物収集運搬業や産業廃棄物処分

業の許可を取得しなければならない 【対象の使用済み製品が一般廃棄物の場合】 管轄の市町村長から一般廃棄物処理業の許可を取得しなければならない。但し、多くの

市町村では新たに一般廃棄物処理業の許可を取得することが難しいと言われている。許可

申請があっても許可を出さない自治体や、一般廃棄物処理業の許可を 1 社しか出していな

い自治体もある。一般廃棄物の自主回収を検討する場合は、早い段階から管轄の市町村と

の協議が必要である。

[コラム 3] 一般廃棄物と産業廃棄物の区分方法

排出形態に着目し、事業活動に伴って排出されたものではないもの、つまり家庭から

排出されたものは一般廃棄物となる。 次に、事業活動に伴って排出されたもののうち、木くず、紙くず、繊維くず、動植物

性残さ等に該当するものは、特定の業種から排出される場合のみ産業廃棄物となる(詳細

は廃棄物処理法施行令第 2 条参照)。そのため多くの事業者では一般廃棄物となる。 残りは、基本的に産業廃棄物となる。法律上は、産業廃棄物以外のものが一般廃棄物

であると定義されているため、廃棄物処理法施行令で規定された 20 種類に該当しないも

のを一般廃棄物と判断する。しかし実務においては、一般廃棄物から検討するほうがわ

かりやすい。 実際に使用済み製品を回収しようとした場合、同じ種類の使用済み製品ではあるが排

出者によって一般廃棄物であったり産業廃棄物であったりするので(パーソナルコンピュ

ータなど)注意が必要である。

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(2)自主回収する使用済み製品は何か 自主回収する使用済み製品を特定する。検討の際には、自主回収の対象製品だけではな

く、実際に自主回収を行った場合に回収が想定されるものも考慮する必要がある。例えば

ユーザーによって取外しが可能な付属品の回収や他社の類似製品が自社製品と誤って回収

される可能性がある場合、自社製品と一緒に処理をするのか又は混在のない回収方法を構

築するのかについてもこの時点である程度検討すべきである。

(3)自主回収する地域はどの範囲か 使用済み製品の自主回収を行う地域を明確にする必要がある。自主回収・リサイクル行程

の第一段階は使用済み製品を回収することであるが、回収を行うには廃棄物収集運搬業の

許可が必要である。この許可は、一般廃棄物の場合は市町村長、産業廃棄物の場合は都道

府県知事(保健所設置市は市長)により与えられるものであり、使用済み製品を積込む場所と

荷卸す場所それぞれの自治体の許可が必要である(広域認定制度などの一部特例措置を除

く)。したがって、自主回収を行うために許可が必要な自治体を特定するために対象地域を

決める必要がある。

(4)自主回収システムにおける自社の役割の決定 自主回収にあたり、自社が果たす役割を明確にしなければならない。つまり、自社で回

収を行うのか、リサイクル・処分の一端を担うのか又はこれら全てを行うのか、自主回収シ

ステムの管理だけを行い実際の処理は他の事業者に委託するのかなどを明確にしなければ

ならない。 繰り返しとなるが、メーカー・小売業者等が関与することなく回収からリサイクル・処分

まで全て他の事業者が行う場合については、本書では取り扱わない。

第2節 リサイクル・処分方法の検討

次に、回収する使用済み製品のリサイクル・処分方法を検討する。 処分方法が決まらなければ、リサイクル・処分業者を選定することができず、第 3 節の自

主回収ルートの検討を行うこともできない。しかしこの段階で、実際に処理委託するリサ

イクル・処分業者を確定させる必要はない。ここでは大まかな処理方法を念頭においた上で

第 3 節へ進み、全体を把握してから本節と第 3 節を並行して検討することが望ましい。

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第3節 自主回収ルートの検討

使用済み製品が排出される時点から、メーカー・小売業者等が回収し使用済み製品が処分

されるまでの流れをここでは「自主回収ルート」と定義する。自主回収ルートは、一般廃棄

物と産業廃棄物の両方を回収する場合には、それぞれが別の種類のものであるとして構築

しなければならない。なぜならば一般廃棄物と産業廃棄物はそれぞれ別の種類の許可が必

要だからである。例えばパーソナルコンピュータのように家庭にも事業者にも同じ製品が

普及していながら、排出時には排出者に応じて一般廃棄物又は産業廃棄物に区分される製

品がある。このような場合であっても、廃棄物処理法は一般廃棄物に対しては一般廃棄物

に関する許可、産業廃棄物に対して産業廃棄物に関する許可を取得することを義務付けて

いる。自主回収ルートはそれを踏まえて構築しなければならない。 なお、一般廃棄物の自主回収ルートを検討する場合には、一般廃棄物処理業の許可を受

けることが非常に難しいため、関係の市町村と早い段階から協議が必要である。自主回収

ルートが構築できても廃棄物処理法に定められた許可を受けられず、自主回収ができない

場合もある。 また、自主回収ルートが次に説明するような「再委託」や「区間委託」に該当する場合は、

廃棄物処理法が規定する手続を間違えやすいため、正しく理解して運用しなければならな

い。これらに違反した場合は罰則の対象となるので注意が必要である。

[廃棄物処理の再委託] ○一般廃棄物の場合

一般廃棄物の収集運搬やリサイクル・処分を受託した者は、その業務を他者(別法人)に委託してはならない。これを再委託の禁止という。(法施行令第 6 条の 12) 例えば、使用済み製品の回収を依頼された時、運搬車両が不足しているという理由か

ら、他の運送業者にこの使用済み製品の運搬を行わせることを再委託という。再委託先

の運送業者が廃棄物収集運搬業の許可を受けていても認められない。 ○産業廃棄物の場合

産業廃棄物の収集運搬やリサイクル・処分を受託した者は、その業務を他者(別法人)に委託してはならない。ただし再委託は、排出事業者の書面による承諾等があれば例外

的に認められる。これを再委託の原則禁止という。(法施行規則第 10 条の 6 の 3) なお、再委託は(原則)禁止となるが、次で解説する収集運搬の「区間委託」は認められ

ている。

[廃棄物収集運搬の区間委託と積替え保管] 廃棄物の運搬区間を区切り、区間ごとに別の廃棄物収集運搬業者に運搬を委託するこ

とを区間委託という。ただし区間委託を行うには、収集運搬業者は積替え保管を含む収

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集運搬業の許可を受けている必要がある。積替え保管の有無については許可証に記載さ

れている。区間委託は、一般廃棄物の場合も産業廃棄物の場合も認められているが、積

替え保管を含む一般廃棄物収集運搬業者は少ない。 ここで、本章の冒頭で示した 2 つの例を再掲し、再委託、区間委託について図を用いて

説明する。

(例 1) 製品 A を販売している小売店 X は、環境にや

さしい小売店を目指し、使用済みとなった製品 Aを 1,000 円/台で消費者から回収し、リサイクル

業者にリサイクルを依頼した。 使用済み製品Aは一般廃棄物である。小売店Xは、

自ら処分を行うのではなく、処分業者へ引渡す役目

を果たしており、一般廃棄物の収集運搬行為となる。

一般廃棄物は再委託が禁止されていることから、本

事例の場合は、排出者が小売店 X と一般廃棄物収集

運搬業者Cのそれぞれに収集運搬を委託する必要が ある。これを収集運搬の区間委託という。(図 3) な 図 3:一般廃棄物の区間委託

お、本事例は一般廃棄物の処理委託であるから契約

関係は図 3 のとおりだが、法律上は書面による契約

は行わなくてよい。

(例 2) ある工場では、使用している機器の修理を自

社で行ったが、そのとき生じた廃部品 B の処理

に困り、部品メーカーY に処理費用を支払う条件

で回収を依頼した。そこで部品メーカーY の営業

担当者は、営業車でその部品 B を引取り、自社

工場の廃棄物として処理した。 本事例を図示すると、図 4 のとおりとなる。排出

者は部品メーカーY と収集運搬委託契約、処分委託

契約(中間処理、 終処分)を締結し、部品メーカーYに処理を委託する。部品メーカーY は産業廃棄物収

集運搬業、産業廃棄物処分業の許可を受けていれば、

廃部品 B を引取り処理することができる。 図 4:産業廃棄物の自主回収

一般廃棄物業 許可業者

自主回収する者=小売店X

(一般廃棄物収集運搬業許可業者)

一般廃棄物収集運搬業許可業者C

引取り

【リサイクル】

【運搬】

【引取り】

<積替>

【引渡し】

収集運搬の委託

収集運搬の委託

処分の委託

排出者(製品A)

事実関係

物の流れ

保管・処分等を行う者(許可必要)

収集運搬を行う者(許可必要)

事実関係

物の流れ

保管・処分等を行う者(許可必要)

収集運搬を行う者(許可必要)

二次廃棄物の処分

自主回収する者=部品メーカーY(産業廃棄物処分業 許可業者)

【中間処理】

排出者(部品B)

自主回収する者=部品メーカーY産業廃棄物収集運搬業許可業者

収集運搬委託契約

処分委託契約

事実関係

物の流れ

保管・処分等を行う者(許可必要)

収集運搬を行う者(許可必要)

事実関係

物の流れ

保管・処分等を行う者(許可必要)

収集運搬を行う者(許可必要)

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ここで、メーカーY の営業担当者が多忙で、他の産業廃棄物収集運搬業の許可を受けてい

る運送業者 Z に運搬を委託したとする。この行為は産業廃棄物の収集運搬の再委託となる

(図 5)。この場合図 5 に記載された書類等を揃えなければならない。 また、部品メーカーY が回収した廃部品 B を、途中で積替えて運送業者 Z が運搬する場

合は区間委託となる(図 6、この場合 Y は積替え保管の許可も必要である)。排出者は部品メ

ーカーY、運送業者 Z とそれぞれ収集運搬委託契約を締結しなくてはならない。

図 5:産業廃棄物の再委託 図 6:産業廃棄物の区間委託

第4節 自主回収に関わる廃棄物処理法の許可取得の検討

排出者から使用済み製品を引取り、それを運搬、リサイクル・処分する事業者は、廃棄物

処理法で定められた許可を取得しなければならない。さらにこの許可は、扱うことができ

る廃棄物が種類ごとに限定されている。例えば、ある産業廃棄物処分業者の許可内容が、A県で廃プラスチック類のみを処分するものであった場合、その施設で一般廃棄物を処分す

ることができないだけでなく、産業廃棄物の木くずを処分することもできないということ

である。なお、リサイクル目的であるという理由であっても許可を取得せずに使用済み製

品の引取り、運搬、リサイクル・処分を行うことはできない。リサイクルを行う場合であっ

二次廃棄物の処分

(産業廃棄物処分業 許可業者)

【中間処理】

排出者

処分委託契約

産業廃棄物収集運搬業許可業者Z

収集運搬委託契約

積替地点=部品メーカーY

自主回収する者=部品メーカーY

産業廃棄物収集運搬業許可業者

収集運搬委託契約

二次廃棄物の処分二次廃棄物の処分

(産業廃棄物処分業 許可業者)

【中間処理】

排出者

処分委託契約

産業廃棄物収集運搬業許可業者Z

収集運搬委託契約

積替地点=部品メーカーY

自主回収する者=部品メーカーY

産業廃棄物収集運搬業許可業者

収集運搬委託契約

二次廃棄物の処分

自主回収する者=メーカー(産業廃棄物処分業 許可業者)

【中間処理】

排出者(部品B)

収集運搬委託契約

(A)

処分委託契約

産業廃棄物収集運搬業許可業者Z

再委託承諾書

再委託契約

(A)の内容の

一部を交付自主回収する者=部品メーカーY

産業廃棄物収集運搬業許可業者

二次廃棄物の処分二次廃棄物の処分

自主回収する者=メーカー(産業廃棄物処分業 許可業者)

【中間処理】

排出者(部品B)

収集運搬委託契約

(A)

処分委託契約

産業廃棄物収集運搬業許可業者Z

再委託承諾書

再委託契約

(A)の内容の

一部を交付自主回収する者=部品メーカーY

産業廃棄物収集運搬業許可業者

事実関係

物の流れ

保管・処分等を行う者(許可必要)

収集運搬を行う者(許可必要)

事実関係

物の流れ

保管・処分等を行う者(許可必要)

収集運搬を行う者(許可必要)

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ても、処理費用を徴収するなどそれが廃棄物に相当する場合は、廃棄物処分業や廃棄物処

理施設設置の許可を受けなければならない。 また、廃棄物処理業の許可には期限があり、一般廃棄物処理業は 2 年、産業廃棄物処理

業は 5 年で更新が必要となる。許可の内容や許可期限を確実に確認するには、廃棄物処理

業者に問い合わせるだけではなく、許可証を確認したほうがよい。管轄の行政の HP や、

行政(廃棄物担当窓口)へ直接問い合わせるのもよい。

廃棄物処理業

一般廃棄物処理業

一般廃棄物収集運搬業*

一般廃棄物処分業*

産業廃棄物処理業

産業廃棄物収集運搬業

産業廃棄物処分業

(許可権者) (概要)

市町村長

一般廃棄物の運搬を行う者が受けなければならない許可。運搬を開始する荷積地と運搬を終了する荷降地の両方の市町村長の許可が必要である。

市町村長

一般廃棄物の処分を行う者が受けなければならない許可。処分を行う場所の市町村長の許可が必要である。

都道府県知事(保健所設置市は市長)

産業廃棄物の処分を行う者が受けなければならない許可。処分を行う自治体の許可が必要である。

都道府県知事(保健所設置市は市長)

産業廃棄物の運搬を行う者が受けなければならない許可。運搬を開始する荷積地と運搬を終了する荷降地の両方の自治体の許可が必要である。

(許可の種類)

*一般廃棄物収集運搬業、一般廃棄物処分業の新規取得は難しいと言われているため、管轄の市町村に確認が必要

である。

図 7:廃棄物処理業の許可の種類と許可権者

また、一定規模以上の廃棄物処理施設を設置する場合には、一般廃棄物処理施設又は産

業廃棄物処理施設の設置許可が必要となる。この許可は、一般廃棄物処分業、産業廃棄物

処分業の許可とは別に受けなければならない許可であり、許可権者は一般廃棄物、産業廃

棄物いずれの場合であっても都道府県知事となる。 なお、廃棄物処理法には、これらの許可を一定の場合に限り不要とする規定がある。ま

た、商慣習という実態を考慮し、運用上、許可不要としている場合がある。これらについ

て以下に説明する。

(1)廃棄物処理業の許可を不要とする規定 廃棄物処理法において廃棄物処理業の許可を不要としている規定はいくつかある。具体

的には法施行規則第 2 条で一般廃棄物収集運搬業、法施行規則第 2 条の 3 で一般廃棄物処

分業、法施行規則第 9 条で産業廃棄物収集運搬業、法施行規則第 10 条の 3 で産業廃棄物処

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分業の許可を要しない者が列挙されている。しかし、これらの規定は通常、メーカー・小売

業者等は該当しないため、自主回収を行おうとするときは一般廃棄物の場合も産業廃棄物

の場合も廃棄物処理業の許可を受けなければならない。 また法第 9 条の 9、第 15 条の 4 の 3 には一般廃棄物又は産業廃棄物広域認定制度が定め

られており、この認定を受けた事業者は廃棄物処理業の許可が不要となる。これについて

は第 4 章で詳述する。 その他特例制度としては、上述の法施行規則第 2 条、第 2 条の 3、第 9 条、第 10 条の 3

の中に一般廃棄物又は産業廃棄物再生利用指定制度、法 9 条の 8、法 15 条の 4 の 2 に一般

廃棄物又は産業廃棄物再生利用認定制度という制度が規定されている。再生利用指定制度

とは、都道府県知事(一般廃棄物の場合は市町村長)による廃棄物処理業の許可が不要となる

特例である。再生利用指定制度は、再生利用を促進する目的で再生を行う廃棄物処理業者

を一般的又は個別に指定するものであり、現状では建築・土木資材の指定がほとんどである。

また、再生利用認定制度は、環境大臣の認定によって、都道府県知事(一般廃棄物の場合は

市町村長)による廃棄物処理業の許可だけでなく一般廃棄物又は産業廃棄物処理施設の設置

許可も不要となる特例である。これは対象となる廃棄物及び再生方法が特定され、それに

該当しない限り、再生利用認定制度の認定を受けることができない。(詳細は[コラム 5]、[コラム 6]参照) (2)もっぱら再生利用の目的となる一般廃棄物又は産業廃棄物

廃棄物処理法第 7 条、第 14 条では、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物又は産業廃棄

物のみの収集運搬・処分を業として行う者は収集運搬業、処分業の許可を受けなくてよいと

明記されている。この専ら再生利用の目的となる一般廃棄物又は産業廃棄物は、通常「専ら

物」といわれ、以下の通知によりその解釈が示されている。

U産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事

務の取扱いについて (厚生省産業廃棄物対策室長通知 平成 12 年 9 月 29 日衛産第 79 号)

産業廃棄物の処理業者であっても、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すな

わち、古紙、くず鉄(古銅等を含む。)、あきびん類、古繊維を専門に取り扱っている既存

の回収業者等は許可の対象とならないものであること。 ただし、許可の対象とならない(「許可不要である」の意)「回収業者等」とは、通知の品目を

「専門に取り扱っている」事業者に限定されている。これらの品目の処理について無条件に

許可の対象外となるわけではないので、注意が必要である。

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(3)通知により許可不要と解釈される場合 下取り行為は、廃棄物処理法の制定以前からすでに商慣習として行われていた歴史があ

る。その点は法律には明記されていないが、法律運用上の解釈として、下取り行為につい

ては産業廃棄物収集運搬業の許可が不要であることが通知で示されている。(第 2 章参照)

U産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事

務の取扱いについて (厚生省産業廃棄物対策室長通知 平成 12 年 9 月 29 日衛産第 79 号)

新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き

取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要である

こと。 第5節 廃棄物処理法の許可の申請

自主回収に関係する事業者の役割と廃棄物処理法で規定されるている必要な許可が明確

になれば、あとは必要な自治体の許可を受けるべく、許可申請を行うこととなる。 許可申請にあたっては、一般廃棄物、産業廃棄物それぞれに定められた運搬、保管、処

分に関する基準を遵守していることや、廃棄物処理法で定める欠格要件に該当しないこと

を証明する書類等を提出する。(法第 7 条、第 14 条参照)

[コラム 4] 一般廃棄物処理業の許可取得が難しい理由

一般廃棄物処理業の許可を新たに受けることは、産業廃棄物に比べ難しいといわれてい

る。そもそも一般廃棄物は、廃棄物処理法に定められているように市町村が責任を持って

処理しなければならないものであり、市町村は「一般廃棄物処理計画」を定め廃棄物処理行

政を行っている。また、処理の一部については、一般廃棄物処理業者に許可を与えて実施

させているが、この場合も一般廃棄物処理計画に基づいて行われている。 従来、市町村は、一般廃棄物処理業者が増えることで価格競争が生じ、安価な処理費用

が原因となり不適正処理が行われることを懸念してきた。そのため、一般廃棄物処理業の

許可を新たに与えない若しくは現状の一般廃棄物処理業の許可取得者数を維持する方針

が一般廃棄物処理計画に組み込まれていることがある。このような場合、一般廃棄物処理

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計画が変更されない限り、市町村が新たに一般廃棄物処理業の許可を与えることはないと

思われる。 なお、近年、一部の市町村において、許可要件を満たしている場合には一般廃棄物処理

業の許可を積極的に与えるという動きが見られはじめている。

[コラム 5] 再生利用指定制度 都道府県知事(一般廃棄物の場合は市町村長)が再生利用が確実である廃棄物のみの処

理を行う者を指定することで、再生利用を容易に行えるようにすることを目的とした制

度で、詳細は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第 9 条第 2 号及び第 10 条の 3第 2 号に基づく再生利用業者の指定制度について」(厚生省産業廃棄物対策室長通知 平

成 6 年 4 月 1 日衛産第 42 号)に記載されている。なお、専ら物については本指定から除

外される。 [再生利用指定制度による特例措置] 指定を受けた都道府県(一般廃棄物は市町村)内では廃棄物処理業の許可が不要となる。

ただし委託基準は遵守しなければならない。

[指定の方法] ① 個別指定

指定を受けようとする者の申請に基づき審査され、再生利用に係る廃棄物を特定

して指定される。再生利用個別指定業者指定証が交付される。 ② 一般指定

地方自治体内において同一形態の取引が多数存在する場合、再生利用に係る廃棄

物を特定した上で、廃棄物処理業者を一般的に指定する。指定を受けようとする者

の申請によらず、地方自治体の判断で独自に指定される。地方自治体で指定を受け

た個々の処理業者の状況が把握できないということがないよう、業界団体等の構成

員を一般に指定する方法をとる。

[コラム 6] 再生利用認定制度

[一般廃棄物再生利用認定制度] (法第 9 条の 8) 環境大臣の認定を受け、環境大臣が定める一般廃棄物の再生利用をする者は、一般

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廃棄物処理業の許可及び該当施設の一般廃棄物処理施設設置許可が不要となる。 環境大臣が定める一般廃棄物: ・(自動車用)廃ゴムタイヤ ・廃プラスチック類 ・廃肉骨粉

[産業廃棄物再生利用認定制度] (法第 15 条の 4 の 2) 環境大臣の認定を受け、環境大臣が定める産業廃棄物の再生利用をする者は、産業

廃棄物処理業の許可及び該当施設の産業廃棄物処理施設設置許可が不要となる。 環境大臣が定める産業廃棄物:

・(自動車用)廃ゴムタイヤ ・廃プラスチック類 ・汚泥(発生工程は限定)

[コラム 7] 産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の設置についての特例

これまで、一般廃棄物処理施設の設置許可を受けている処理業者は非常に少なく、新規

取得も難しかった。このことが一般廃棄物となる使用済み製品の自主回収システムを構築

する際の障壁となっていた。平成 15 年の廃棄物処理法の改正によって、一部の産業廃棄物

処理施設は、届出を行うことで一般廃棄物処理施設として使用できるようになった。一般

廃棄物の処理が開始できるのは、届出を行ってから 30 日後であるため注意が必要である。

表 1: 届出により一般廃棄物処理施設として使用することができる産業廃棄物処理施設

届出により一般廃棄物処理施設として使用

することができる産業廃棄物処理施設

左記の施設で処理することができる一

般廃棄物の種類 (左記の産業廃棄物処理施設で処理する産業廃棄

物と同様の性状を有する一般廃棄物であること)

1 廃プラスチック類の破砕施設 廃プラスチック類

2 廃プラスチック類の焼却施設 廃プラスチック類

3 令第二条第二号 に掲げる廃棄物の破砕施設 木くず

4 廃棄物の破砕施設 コンクリートの破片その他これに類す

る不要物

5 廃棄物の焼却施設 紙くず、木くず、繊維くず、動物若し

くは植物に係る固形状の不要物又は動

物の死体

6 産業廃棄物の 終処分場 (左記の産業廃棄物処理施設で処理する産業廃棄

物と同様の性状を有する一般廃棄物であること)

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但し、この届出には、①一般廃棄物処分業の許可証、②専ら物のみの処分を行うことを示す書面、

③一般廃棄物処分業の許可を要しない者に該当することを示す書面、④一般廃棄物広域認定制度

の認定証のいずれかを添付しなければならないため、これらを事前に準備する必要がある。

なお、一般廃棄物広域認定制度の申請時には、一般廃棄物処理施設設置の届出を行おうとして

いる産業廃棄物処理施設の設置許可を添付することで当該認定を取得し、その認定証を添付して

一般廃棄物処理施設設置の届出を行う(④)こととなる。

(法第 15 条の 2 の 4)

産業廃棄物処理施設の設置者は、当該産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物と同

様の性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるものをその処理施設において処理する

場合において、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その処理施設において処理する

一般廃棄物の種類その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出たときは、第 8 条第 1

項の規定にかかわらず、同項の許可を受けないで、その処理施設を当該一般廃棄物を処理する

一般廃棄物処理施設として設置することができる。

第6節 自主回収システム運用時に排出者が行う廃棄物処理法の事務手続き

一般廃棄物の場合、使用済み製品を排出する人(事業者)と、それを回収・リサイクルする

メーカー・小売業者等との間に必要な法律上の手続きは存在しない。 産業廃棄物の場合は、使用済み製品を排出する事業者は次の手続きをとらなければ廃棄

物処理法違反となる。これらは排出事業者に課せられた義務であるが、事務手続きとして

自主回収を行うメーカー・小売業者等にも関係する。自主回収システムを運用する際は、こ

れらの事務も確実に行えるように体制を整備しなければならない。 ○排出事業者は、自主回収を行う事業者(産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物処分

業者)それぞれと書面により委託契約を締結する。(図 8 参照) ○排出事業者は、回収を依頼した際はマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付し、排出

事業者の責任として、回収された使用済み製品が確実に 終処分されたことを確認

する。

第7節 自主回収した使用済み製品の処理費用について

本章では、メーカー・小売業者等は廃棄物処理業の許可を受けて使用済み製品の回収、

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再資源化を行うことを前提としており、回収・リサイクル等に必要な費用を使用済み製品

の排出者に請求することができる。これは回収する使用済み製品が一般廃棄物の場合で

あっても産業廃棄物の場合であっても同様である。

第8節 まとめ

本節では、メーカー・小売業者等が自主回収を行う際のポイントをまとめる。 第 1 章でも述べているように、メーカー等が廃棄物処理業の許可を受けて自主回収を行

う事例は少ない。したがって、第 4 章で説明する「広域認定制度」が持つ問題点と以下の要

目を比較し、どちらの自主回収方法を選択するのが良いか検討すべきである。

[メーカー等が廃棄物処理業の許可を受けて自主回収を行う事例が少ない理由]

○メーカー・小売業者等が、廃棄物処理業という許可を受けることへの抵抗感がある。 ○自主回収を行う範囲が広いほど取得しなければならない収集運搬業の許可が多くなる。

もしくは許可を受けている多数の収集運搬業者との連携が必要となり、そのための事務

が煩雑となる。 ○許可申請を行ったとしても、許可の取得に時間がかかる。特に一般廃棄物処理業の許可

は非常に取得が困難である。また、産業廃棄物であっても積替え保管の許可は通常の収

集運搬業以上に受けることが難しく、中には事実上認めない自治体もある。 以下に本章で解説した「廃棄物処理業の許可を取得して自主回収を実施するシステム」の

モデルを構築する。この検討手順に沿って本章の内容を再度レビューすることで、自主回

収システムの構築が実感できると思われる。(本ケースは産業廃棄物に関するものだが、一

般廃棄物の場合は①市町村ごとに許可を取得する、②一般廃棄物の許可の取得は困難であ

る、③処理委託契約書の作成は不要である、という違いがある。通常、一般廃棄物の自主

回収を本章の方法で実施するのは、産業廃棄物と比較して困難と思われる。)

廃棄物処理業の許可取得による自主回収システムのモデル構築

<設定モデル> ......................................................................................................................... あるプラスチック製の製品AをメーカーXが自主回収する。使用済みとなった製品Aは産

業廃棄物として全国で廃棄されている。メーカーXは、製品Aの流通経路 P

*Pを利用して自主回

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収を行う。メーカーXは排出者からの連絡を受け、運送会社を手配する。配送センター(5 ヶ

所)からは別の運送会社によってメーカーXの工場(2 ヶ所)へ戻される。メーカーXは回収さ

れた製品を破砕(2t/日)し、破砕後の物の処理を廃棄物処理業者に委託する。 *製品 A の流通経路:

メーカーの工場→配送センター(全国 5 ヶ所、100%子会社が運営)→ユーザー ................................................................................................................................................ 1. 前提条件

・自主回収対象物 :製品 A ・廃棄物の区分(種類) :産業廃棄物(廃プラスチック類) ・自主回収対象地域 :全国

2. 自主回収システムにおける自社の役割 回収は他社に依頼するが、回収した使用済み製品の 1 次処理は自社で行う。

3. 回収した使用済み製品のリサイクル・処分方法 ・1 次処理(自社) :破砕 ・2 次処理(他社) :再生プラスチックへ加工

4. 自主回収ルートの検討 ・自主回収ルート :製品の流通経路の帰りルート(図 8 参照)

【荷降地】収集運搬業許可

H県

【積込地】収集運搬業許可

A県B県C県D県E県

配送センター(5ヶ所)

排出事業者

処分業者(1ヶ所)

収集運搬業者D

メーカーXの工場(2ケ所)

収集運搬業者B

収集運搬業者C

全国

<所在地>

A県/B県C県/D県/E県

F県/G県

H県

【積込地】収集運搬業許可

A県 Z市(104箇所)

【荷降地】収集運搬業許可

A県B県C県D県E県

収集運搬業許可(積替保管)

A県B県C県D県E県

【荷降地】収集運搬業許可

F県 G県

処分業許可

F県 G県

【積込地】収集運搬業許可

F県 G県

処分業許可

H県

処分委託契約

収集運搬契約

収集運搬契約

処分委託契約

<2次マニフェスト>

<必要な許可>

<使用済み製品><1次マニフェスト>

図 8:製品 A の自主回収ルート

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5. 「産業廃棄物収集運搬業者 B」に関する検討 排出場所は日本全国に散らばっているため、メーカーX は、排出場所(47 都道府県及び 57

保健所設置市、計 104 箇所)と配送センターの所在地(5 箇所)の収集運搬業の許可を取得して

いる収集運搬会社 B を確保しなければならない。メーカーX と収集運搬業者 B とは廃棄物

処理法上は契約を締結する必要はないが、自主回収を円滑に実施するための契約や連絡体

制を整備しておく必要がある。1 社で 104 箇所の収集運搬業の許可を受けている会社は稀で

あるため、通常、数社~数十社の収集運搬業者 B と提携が必要となる。 6. 「配送センターに関する許可」の検討

配送センターでは回収した使用済み製品を一時保管する。配送センターは廃棄物処理法

では「積替保管場所」となるため、メーカーXの子会社は所在地を管轄する 5 ヶ所の都道府

県知事(保健所設置市は市長)のそれぞれから産業廃棄物収集運搬業(積替保管を含む)の許可

を取得する必要がある。 7. 「産業廃棄物収集運搬業者 C」に関する検討 配送センターとメーカーX の工場の所在地の収集運搬業の許可を取得している収集運搬

会社を確保する。5.と同様に、メーカーX と収集運搬業者とは廃棄物処理法上は契約を締結

する必要はないが、自主回収を円滑に実施するための契約や連絡体制を整備しておく必要

がある。 8. 「メーカーX が取得すべき廃棄物処理法の許可」の検討

メーカーXは、排出事業者から使用済み製品の処理を受託しているため、工場所在地F県、

G県それぞれで産業廃棄物処理業の許可を受けなければならない。本事例では破砕機による

廃プラスチック類の破砕を行っているが、産業廃棄物処理施設に該当しない処理能力P

*Pであ

るため、産業廃棄物処理施設設置許可は必要ない。 (注釈)*: 廃プラスチック類の破砕機は 5t/日以上の能力の場合、産業廃棄物処理施設に該当し、産業廃棄物

処理施設の設置許可を受けなければならない。 9. 2 次廃棄物の処理の検討 メーカーX は、破砕後の 2 次廃棄物について、マテリアルリサイクルを他の産業廃棄物

処理業者に処理費を支払って委託するため、許可を受けている産業廃棄物収集運搬業者、

産業廃棄物処分業者とそれぞれ産業廃棄物処理委託契約を文書で締結する必要がある。契

約書には産業廃棄物処理業者の許可証を添付することも忘れてはならない。 <運用時> 10. メーカーの役割及び廃棄物処理法上、排出事業者が実施すべき事務手続

自主回収システムの運営者であるメーカーは、排出事業者が廃棄物処理法に則り以下の

事務手続きを確実に行うよう支援すると共に自主回収システムが適切に運営されるように

管理する必要がある。 (1) 排出事業者とメーカーXは産業廃棄物処分委託契約を書面で締結する。 (2) 排出事業者は収集運搬業者 A、配送センターそして収集運搬業者 B とそれぞれ産業

廃棄物収集運搬委託契約(区間委託)を書面にて締結する。契約書には産業廃棄物処理

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業者の許可証を添付することも忘れてはならない。 11. 使用済み製品の回収、1 次処理

メーカーXは使用済み製品を回収し、1 次処理を実施する。 12. 2 次廃棄物の処理委託

メーカーXは破砕処理後の 2 次廃棄物について排出事業者として処理委託契約を行なっ

たうえで処理委託を実施する。 13. マニフェストの交付について 排出事業者は、使用済み製品を収集運搬業者 B に引渡す際にマニフェスト(積替え保管用)

を交付する。各収集運搬業者はマニフェストを適正に運用する。メーカーX の工場は、1 次

処理後に発生する 2 次廃棄物を収集運搬業者 D に引渡す際にマニフェストを交付する。こ

の際、排出事業者の交付したマニフェストとの紐付け管理も行うなどの適正な運用が必要

である。

[コラム 8] メーカーが廃棄物処理業の許可を受けて自主回収する事例

メーカーAは、産業廃棄物広域認定制度の認定を受けて、使用済み製品の自主回収を行

っている。ところが2種類ある使用済み製品のうち、認定を受けることが出来たものは1

種類のみであった。広域認定制度の認定の範囲で処理する場合、排出場所でこれらを分別

し、認定を受けた使用済み製品のみを回収しなければならず効率が悪い。また、ユーザー

ではこの2種類の使用済み製品を見分けることが難しい。そこでメーカーAでは、グルー

プ会社が産業廃棄物処理業の認可を受け、2種類の使用済み製品を回収し、再生・適正処

理しており、広域認定制度の利用頻度は少ない。 このように、回収できる製品が厳しく限定される広域認定制度ではなく、廃棄物処理業

の許可を受け、その許可の範囲内の様々な廃棄物を扱ったほうがよいことがある。特に回

収の範囲が狭く取得すべき許可の数が少ない場合は有効である。したがって広域認定を受

ける場合であっても、廃棄物処理業の許可の取得も検討しておくべきである。

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第4章 広域認定制度による自主回収システムの構築 第 3 章で解説した通り、メーカー・小売業者等が自主回収を行うには、廃棄物処理業の許

可を取得しなければならない。この許可申請には非常に手間がかかるため、メーカー・小売

業者等が行うことは実際には困難な場合が多い。これは自主回収を行う範囲が広くなるほ

どその傾向が顕著となる。 このような中、廃棄物処理法は平成 15 年の法改正においてメーカー・小売業者等が行う

自主回収を促進するために法改正前の「広域再生利用指定制度」をより強化する形で「広域

認定制度」が創設された。この広域認定制度の認定を受けると、廃棄物処理業の許可が不要、

マニフェストの交付が不要となるという特例措置が適用され、自主回収が促進される。 一方、すでに旧制度の認定を受けて自主回収を行っている事業者からは、認定を維持す

るための管理コストが膨大であるという点が指摘されている。この指摘は新制度において

も引継がれると考えられるので、これから自主回収システムを構築しようとする事業者は、

主に第 2 章の回収方法と比較し、より適切と考えられる方法で自主回収システムを構築す

る必要がある。 以下、広域認定制度の認定を受けて自主回収システムを構築するにあたり重要なことを

解説する。実際に自主回収システムを構築するときは、各節を並行して検討したり、前節

へ立ち返って検討したりすることも必要になる。 [コラム 9] 広域認定制度の概略

(参照:広域認定制度申請の手引き)

[広域認定制度とは] 広域認定制度とは、製品が廃棄物となったものであって、当該廃棄物の処理を製造

事業者等が広域的に行うことにより、当該廃棄物の減量・適正処理が確保されることを

目的として、廃棄物処理業に関する法制度の基本である地方自治体ごとの許可を不要

とする特例制度である。 [特例の内容]

・自治体による廃棄物処理業の許可が不要となる ・マニフェストの交付が不要となる(産業廃棄物の場合) 本制度の 大の効果は、収集運搬業の許可を要しない点にある。そのため、通常収集

運搬業の許可を受けていない製品納入業者に回収を委託できる。また、広域的に散在し

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ている消費者から少量ずつ廃棄される製品について、製品の物流網を活用して回収でき

る。 表 2:広域認定制度利用における廃棄物処理上の認可の要不要

広域認定制度を利用する場合 cf.広域認定制度を利用しない場合

不要 必要 廃棄物収集運搬業

の許可取得 収集運搬業者を指定し、申請す

る。

回収する地域の許可を受けてい

る収集運搬業者、又は多数の収集

運搬業者と提携する。

不要 必要 廃棄物処分業

の許可取得 リサイクル・処分等を行う者を指

定し、申請する。

リサイクル・処分等を行う者が許

可を取得する。

廃棄物処理施設

の設置許可取得 必要 必要

事務処理 ・記録作成必要(回収事業者) ・帳簿作成必要(処理業者)

産業廃棄物

の場合

・マニフェスト交付不要

・広域認定申請者はマニフェスト

に準じた管理システムが必要

・契約書が必要

・(排出者は)マニフェスト必要

・契約書必要

処理費用 請求可能 請求可能(収集運搬業取得前提)

[注意点]

一般廃棄物広域認定制度の場合、広域認定の対象となる一般廃棄物が限定されてい

る。(第 1 節参照)

第1節 自主回収の前提条件の整理

本節では、広域認定制度を利用して自主回収システムを検討する前に整理すべきことを

検討する。これらを明確にしなければ、自主回収システムの構築を検討することは困難で

ある。

(1)自主回収する使用済み製品は、一般廃棄物か産業廃棄物か 既述のとおり、廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に区分されている。広域認定制度の利

用を検討するには、まず自主回収する使用済み製品が一般廃棄物か産業廃棄物かを判断し

なければならない。なぜなら、一般廃棄物は認定を受けることができる一般廃棄物が限定

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されているからである。

[広域認定制度の対象となる一般廃棄物] ○廃スプリングマットレス (平成 15 年 11 月 28 日環境省告示第 131 号)

○廃パーソナルコンピュータ ○廃密閉形蓄電池 ○廃開放形鉛蓄電池 ○廃二輪自動車

これらに該当しない一般廃棄物は、広域認定制度の認定を受けることができない。この

場合、第 3 章の方法等で自主回収システムの検討を行うことになる。 一方、産業廃棄物については回収する製品が限定されていない。(2)の条件を満たしてい

るものであれば広域認定制度を利用することができる。

[コラム 10] 一般廃棄物の広域認定制度について 自主回収する製品が一般廃棄物に該当する場合、広域認定制度の活用は難しいのが現状

である。広域認定制度による特例の対象となる一般廃棄物は環境省告示により列挙されて

おり、これらに該当しない製品は広域認定制度を利用することができないからである。 環境省告示で列挙される一般廃棄物は、市町村で処理が困難となっているものが基本で

ある。その他の市町村で処理困難とされている一般廃棄物については、今後広域認定制度

の対象となる可能性がある。一方、市町村で処理困難ではない物品の場合、市町村による

処理が原則となっていることから、市町村等の要請がない限り告示に追加して事業者の自

主回収を促すことは政策上、難しいようである。 [コラム 11] 一般廃棄物にも産業廃棄物にもなる使用済み製品の自主回収

廃棄物となる製品の中には、パーソナルコンピュータのように全く同じ種類の製品が

事業者及び一般家庭で使用されているものがある。これらは全く同じ種類の製品として

流通しているにもかかわらずそれが廃棄された場合には、廃棄物処理法によって前者が

産業廃棄物、後者が一般廃棄物と区分される。このような場合、一般廃棄物は「一般廃棄

物の広域認定」、産業廃棄物は「産業廃棄物の広域認定」を受けなければならない。

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このような場合、一般廃棄物と産業廃棄物とでは全く異なる自主回収システムを構築

する方法又は一般廃棄物と産業廃棄物の両方の許可(認定)を取得してそれぞれのシステ

ムで行う方法が考えられる。以下、日本アイ・ビー・エム株式会社のパーソナルコンピュ

ータの回収・リサイクルシステムを紹介する。 日本アイ・ビー・エム株式会社のパーソナルコンピュータは、家庭で使用されるものと

事業者で使用されるものがある。したがって一般廃棄物と産業廃棄物が存在する。 ■家庭から排出されるパーソナルコンピュータ(一般廃棄物に該当)

有限責任中間法人パソコン 3R推進センターが日本郵政公社と

提携して構築した回収システム

を利用し、「エコゆうパック」を使

った戸口回収を行う。排出者が郵

便局へ持込むことも可能である。

郵便局へ回収されたパーソナル

コンピュータは、日本アイ・ビー・

エム株式会社の責任で、処理、再

資源化される。(第 2編事例 1 家

庭系 PC の自主回収システム事

例参照) 図 9:家庭系 PC の自主回収システム

■事業活動で使用され廃棄されるパーソナルコンピュータ(産業廃棄物に該当)

① 日本アイ・ビー・エム株式会社の HP から WEB 上で見積もり依頼。 ② 書面にて契約の締結。 ③ 日本アイ・ビー・エム株式会社と引取りの日程調整 ④ 日本アイ・ビー・エム株式会社が契約している収集運搬業者で回収され、同じく日

本アイ・ビー・エム株式会社が契約する処理業者に処理、再資源化を委託する。

(2)自主回収する使用済み製品は何か 自主回収する使用済み製品が一般廃棄物の場合、(1)に列挙した 5 製品しか広域認定制度

の認定を受けることができない。 産業廃棄物の場合は、次の条件を満たしていなければならない。これに合致しない製品

は広域認定制度の認定を受けることができない。

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広域認定制度の認定を受けることができない使用済み製品を回収しようとする場合は、

第 2 章の自主回収システム等の構築を目指すことになる。 [広域認定制度の対象となる廃棄物]

(法施行規則第 6 条の 13 及び第 12 条の 12 の 8)

1 通常の運搬状況の下で容易に腐敗し、又は揮発する等その性状が変化することによ

って生活環境の保全上支障が生ずるおそれがないもの 2 製品が廃棄物となったものであって、当該廃棄物の処理を当該製品の製造(当該製品

の原材料又は部品の製造を含む)、加工又は販売の事業を行う者が行うことにより、

当該廃棄物の減量その他その適正な処理が確保されるもの

次に、自主回収する使用済み製品を特定する。一般廃棄物、産業廃棄物に関わらず検討

の際には、単に自主回収する製品を特定するだけでなく、実際に自主回収を行った場合に

回収が想定される物も考慮する必要がある。広域認定制度の認定を受けようとする場合は、

申請の範囲に関わるためしっかりと検討する必要がある。 ここでパーソナルコンピュータを例に検討する。パーソナルコンピュータを廃棄する場

合、様々な付属機器、周辺機器も一緒に廃棄することが多い。そこで広域認定制度の認定

を受けて回収を行う場合は、様々な場合に対応できるよう周辺機器の回収も含めて申請を

行っている。回収できる機器類は[コラム 12]参照。どこまでを回収対象とするか環境省と

事前に協議する必要がある。

[自主回収する使用済み製品の検討のポイント] ① 自主回収する中心的な製品は何か。 ② ①の付属品や①と分離されずに回収することが想定される製品は何か。 ③ 自主回収時に自主回収する製品との違いが明確でなく誤って回収されることが予想

できる製品(同種の他社製品、回収対象ではない型番等)は何か。 ④ ①~③のうち、どこまでを認定を受けて回収する対象とするのか。又、回収の対象と

しない製品は、回収対象の製品との分別又は回収後の選別が可能であるか否か検討す

る必要がある。なお、他社製品の回収はやむをえない場合に限るのが原則である。

[コラム 12] 自主回収対象の使用済み製品 広域認定制度の対象となる製品には、製造事業者等が自ら製造、加工又は販売を行った

製品の他、その製品と一体的に販売される他社の製品やその製品と同一性状の他社製品も

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製造事業者等が回収するものも含まれる。

1 日本アイ・ビー・エム株式会社の事例 [一般廃棄物広域認定取得] 「家庭系 PC」として回収するもの 「家庭系 PC」として回収しないもの

・ノートブックパソコン本体 ・デスクトップパソコン本体 ・CRT(ブラウン管)ディスプレイ ・LCD(液晶)ディスプレイ ・ディスプレイ一体型パソコン

・別売のパソコン周辺機器 ・プリンタ ・PDA ・HDD ビデオレコーダー ・ワープロ専用機

日本アイ・ビー・エム株式会社ホームページ

http://www-6.ibm.com/jp/pc/service/recycle/personal/ 2 有限責任中間法人 JBRC の事例 [産業廃棄物広域認定取得]

回収する物(小形二次電池) 回収しない物 ・ニカド電池 ・ニッケル水素電池 ・リチウムイオン電池 ・小形シール鉛蓄電池(ヘッドホンステレオ、ハンディクリーナ、コードレステレホン、ビデオカメラ用に限る)

・乾電池 ・ボタン電池 ・その他使いきりの電池 等

(3)自主回収する地域(範囲)はどこか 自主回収する使用済み製品が排出される地域もしくは自主回収を行おうとする地域を明

確にする。広域認定制度の認定を受ける場合、自主回収する使用済み製品が一般廃棄物で

あっても産業廃棄物であっても、これらを回収する範囲(地域)は 2 以上の都道府県の区域を

対象としなければならない。 制度上、2 以上の都道府県が自主回収の範囲となっていれば広域認定制度の認定を受ける

ことができるが、逆に都道府県が 2 つ以上でも回収する範囲が狭い場合は、広域認定制度

ではなく第 3 章の自主回収システムを構築するほうが自主回収に係る事務管理業務を軽減

できる可能性がある。

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(4)自主回収を行う主体の検討 一般廃棄物又は産業廃棄物広域認定制度の認定を受けて自主回収する者は、「製造事業者

等P

*P」に限られている。単に他人の廃棄物を広域的に処理する者は申請の対象外である。

(注釈)*:「当該製品の製造(原材料又は部品の製造を含む)、加工、販売の事業を行う者」と規定されており、個人やこれ

らの者が設立した社団、組合、これらに類する団体(法人に限る)も製造事業者等に含まれる。(法施行規則第 6条の 13)

自主回収が検討される製品の中には、複数のメーカーが同種の製品を製造しており、1 社

が自社製品のみを回収することが困難な例もある。そのため、複数企業が共同で自主回収

を実施したり業界団体等が代表して自主回収システムを実施(運営)している例もある。但し、

広域認定制度の申請を行うことができるのは法人に限られている。法人とは株式会社の他、

社団法人、中間法人なども含まれるが任意団体では認められない。 資源有効利用促進法の指定再資源化製品や適正処理困難物等、社会的に回収システムの

構築が特に要請されている使用済み製品は、共同で自主回収システムを構築することが多

い。一方、企業の自主的な取組みの一環として回収される場合は事業者単独で実施される

ことが多い。自主回収する製品の特徴、業界の事情等を考慮し、自主回収を行う主体を決

定することが望ましい。 自主回収の主体に着目して事例を分類すると表 3 のような類型となる。これを参考に自

主回収の方法を検討の上、 も効率よい方法を模索する必要がある。詳細は[コラム 13]参照。

表 3:自主回収する主体の類型

自主回収する主体例 対象物(例) 自主回収の主体の事例

A 業界団体(社団法人) タイヤ 社団法人日本自動車タイヤ協会 小形二次電池 有限責任中間法人 JBRC

B 有限責任中間法人 PCP

*1P

有限責任中間法人パソコン 3R 推進

センター

PCP

*2P PC 各メーカー

C 業界として共通の自主回収シ

ステムとするが、回収は個々の

企業の責任で実施 消火器 消火器製造業者(検討中)

D 複数の事業者が共同で実施 PCP

*3P

株式会社日立製作所及び日本アイ・

ビー・エム株式会社

E 事業者単独 研削砥石 株式会社ノリタケボンデッドアブ

レーシブ (注釈) *1:生産者不在の場合 *2:家庭系 PC の場合 *3:事業系 PC の場合

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[コラム 13] 自主回収を行う主体

UA 社団法人が自主回収を行うことになった経緯 「タイヤリサイクル連絡協議会」という 4 つの業界団体が共同で広域再生利用指定制

度(広域認定制度の前身)の申請を検討していたが、任意団体の「タイヤリサイクル連絡

協議会」では申請できないことから、社団法人日本自動車タイヤ協会が代表して申請

した。広域認定制度への移行に伴い、これまで同様、社団法人日本自動車タイヤ協会

が申請する。なお、製造事業者等と共同申請の方法も検討している。第 2 編の事例 5参照。

UB 有限責任中間法人を設立して自主回収を行うことになった経緯 PC の場合、例えば使用者が自ら製造した PC やメーカーが不明なものなどが存在

する。そのため家庭系 PC の回収は、メーカーが明確な場合はメーカー、メーカーが

不存在の場合は自治体が回収する複雑な回収形態になってしまう。これを解消するた

め、有限責任中間法人パソコン 3R 推進センターを設立し、メーカー不存在の PC も

メーカーが明確な場合と同じ回収スキームで回収できるようにした。 UC 共通の自主回収システムで個々の企業の責任で自主回収を行うことになった経緯

(検討中の例であるが)消火器の回収は、同じ回収スキームであるがメーカーが個別

に広域認定制度の認定を受ける予定である。市場シェアの高いメーカー2 社がまずは

先行して行い、その後他のメーカーも同スキームで回収を行う予定である。 UD 複数の事業者が共同で行うことになった経緯

株式会社日立製作所及び日本アイ・ビー・エム株式会社の場合、回収量を増やすこと

によるコストの低減、事務手続きの分担を図るため、共同で事業系 PC の自主回収シ

ステムを構築した。家庭系 PC は有限責任法人パソコン 3R 推進センターに加盟する

多くの事業者が共同のシステムを構築している。 UE 事業者単独で行うことになった経緯

研削砥石や計量機器は事業者単独で自主回収システムを構築している。どちらの場

合も、顧客からの回収要望に対応する形で自主回収システムを構築しており、業界と

して自主回収システムを構築する動きが無かったため、事業者単独で自主回収を行っ

ている。 第2節 リサイクル・処分方法の検討 自主回収システムを構築しようと模索している事例の中には、処理方法が見つからない

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等の理由で自主回収を実現できない例がある。 広域認定制度の認定を受けて自主回収システムを構築する場合、リサイクル・処分方法の

検討が非常に重要である。それは、広域認定制度が、その趣旨に合致しない処理方法には

認定を与えないものとしているからである。まずは、どのような処理方法であれば認定を

受けることができるのかを理解し、それをふまえ具体的な処理方法の検討に入るのがよい。 1. リサイクル・処分方法を検討

広域認定制度は、メーカー等が使用済み製品を自主回収し、リサイクルを行う取り組み

を推進する目的で特例的な措置を定めたものである。したがって自主回収した使用済み製

品がリサイクルとならない場合は特例の対象とならない。この「リサイクル」とは、循環型

社会形成推進基本法第 7 条に規定する「循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則」に則

り、再使用、再生利用、熱回収の優先順位に従わなければならないという趣旨である。そ

のため、単なる焼却や埋立処分を行う場合は、適正処理が確保されていても認定の対象と

はならない。熱回収は、その廃棄物の性状から、直接再生利用するよりも熱回収すること

が適切な場合に限って認められる。 なお、再生後の製品の売却見込み価格や熱回収率については申請書類に記載する必要が

ある。

[コラム 14] 処理方法によって広域認定が認められなかった事例

メーカーAは広域認定制度の認定を取得し、自社で製造、販売した製品の使用済み品

を自主回収している。使用済み製品には、製品Xと製品Yの2種類がある。使用済み製

品Xは製品の原材料としてのリサイクル方法で認定をうけたが、使用済み製品Yは路盤

材の原料としては(広域認定制度が)意図しているリサイクル方法として認められにく

いとのことで、他の方法での認定を試みている。

2. リサイクル・処分業者を選定 1.で検討したリサイクル・処分方法を実施する処分業者を選定する。自主回収した使用済

み製品は、自主回収を行う製造事業者等の責任において適正に処理することになる。しか

し通常は自主回収した使用済み製品の処理を全て自ら実施することは困難であるため、他

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者に委託することになる。処理を委託する場合であっても、申請者である製造事業者等は

その使用済み製品が不適正処理された場合には、その原状回復をしなければならないなど

の責任を負うことになる。 広域認定制度の認定を受けてリサイクル・処分を行う事業者は、一般廃棄物処分業又は産

業廃棄物処分業の許可は不要となる。しかし、一般廃棄物の場合であっても産業廃棄物の

場合であっても次の処理基準を遵守しなければならず、これらが遵守できなくなった場合、

認定が取り消される可能性がある。

[処理を行おうとするものの基準] (法施行規則第 6 条の 16、第 12 条の 12 の 11)

・当該申請に係る処理を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。 ・当該申請に係る処理を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。

・廃棄物処理業に係る欠格要件のいずれにも該当しないこと。 ・不利益処分を受け、その不利益処分のあった日から 5 年を経過しない者に該当しないこ

と。

[処理施設の基準]

(法施行規則第 6 条の 17、第 12 条の 12 の 12)

・当該廃棄物の種類に応じ、その処分(再生を含む。)に適するものであること。 ・運転を安定的に行うことができ、かつ、適正な維持管理を行うことができるものである

こと。 ・施設の許可を要する廃棄物処理施設にあっては、施設の許可を受けたものであること。

・(一般廃棄物の広域的処理の場合)産業廃棄物処理施設にあっては、法第 15 条の 2 の 4 の

規定により一般廃棄物処理施設として設置し得るものであること。 ・保管施設を有する場合には、搬入された廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、

並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じたものであること。 ・施設の許可を要する廃棄物処理施設に該当しない処分(再生含む。)の用に供する施設は、

法施行規則第 4 条、第 12 条、第 12 条の 2 を参考とすること。

なお、広域認定制度により一般廃棄物処分業、産業廃棄物処分業の許可を不要とする特

例を受けるには、申請時にその特例を受ける対象事業者として申請しなければならない。

しかし、申請時に対象とした事業者の 1 社でも上記基準を遵守できなくなると、認定が取

り消される可能性がある。そこでそのようなリスクを低減するため、すでに一般廃棄物処

分業又は産業廃棄物処分業の許可を受けている事業者は、広域認定制度の認定の範囲に含

めないという方法がとられる場合もある。広域認定制度の認定の範囲をどこまで設定する

かは、申請者に委ねられているため、製造事業者にとってもっとも有益な範囲を設定する

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とよい。([コラム 15]参照)

3. リサイクル・処分業者の許認可を確認 第 3 章でも述べたとおり、一般廃棄物又は産業廃棄物のリサイクル・処分を行う場合、一

般廃棄物処分業又は産業廃棄物処分業の許可が必要である他、一定規模以上の一般廃棄物

又は産業廃棄物処理施設を保有する場合には廃棄物処理施設の設置許可を受けなければな

らない。 広域認定制度の認定を受けた場合、一般廃棄物処分業又は産業廃棄物処分業の許可は不

要となる。しかし、廃棄物処理施設の設置許可は認定の有無に関わらず必要である。これ

は、広域認定の申請者となる製造事業者等が自ら廃棄物処理施設を保有し、リサイクル・処

分する場合であっても同様である。廃棄物処理施設の設置許可が不要となる場合は、一般

廃棄物再生利用認定制度、産業廃棄物再生利用認定制度の認定を受けた者及び[コラム 7]の特例を利用した者だけである。

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[コラム 15] 広域認定制度の認定対象者の範囲

広域認定制度においては、廃棄物の広域的な処理を行うものとして環境大臣の認定を

受けた事業者と、その委託を受けて認定に係る処理を行う事業者について、廃棄物処理

業の許可を不要とするものである。 許可が不要となる者の範囲(認定の範囲)をどこまでとするのかという点は、申請者に委

ねられている。したがって認定の範囲は次のような類型が考えられる。(認定の範囲設定

は自由であるため、これ以外の類型もありうる。) 類型 1:収集運搬のみ 類型 2:収集運搬と中間処理 類型 3: 終処分まで含む

排出者

処分業者【中間処理】

収集運搬業者《広域認定の範囲》

リサイクル・終処分業者

収集運搬業者

製造事業者等

契約関係

物の流れ

処分等を行う者(許可不要)収集運搬を行う者(許可不要)

処分等を行う者(許可必要)収集運搬を行う者(許可必要)

排出者

処分業者【中間処理】

収集運搬業者《広域認定の範囲》

リサイクル・終処分業者

収集運搬業者

製造事業者等

排出者

処分業者【中間処理】

収集運搬業者《広域認定の範囲》

リサイクル・終処分業者

収集運搬業者

製造事業者等

図 10:広域認定制度の認定対象者の範囲の類型

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第3節 自主回収ルートの検討 排出者から使用済み製品の処理を委託された時点から、その使用済み製品を回収し、廃

棄物処理業者に引渡すまでの流れを構築する。 本節と第 2 節の検討内容は、次の第 4 節で申請書類に整理していく中で、一連の自主回

収の行程として調整することになる。 1. 排出者から廃棄物処理業者に引き渡されるまでの使用済み製品の流れの検討

排出者から廃棄物処理業者に使用済み製品が引き渡されるまでの流れを検討する。広域

認定制度の認定を受けて回収を行う場合、自主回収の一連の行程は自主回収する者が責任

をもって管理する必要があるが、ここでは実際に回収される使用済み製品の流れのみに着

目して回収ルートを検討する。 この流れには、製品の通常の物流ルートをさかのぼり、製造事業者等の工場へ戻される

タイプ、製品の通常の物流ルートの一部を併用し処理業者へ引き渡されるタイプ、製品の

通常の物流ルートとは異なる回収ルートを設けるタイプがある。自主回収を行う使用済み

製品の形状や、製品の商流、物流と合わせて検討することが望ましい。 排出者から廃棄物処理業者に使用済み製品が引き渡されるまでの流れは、様々な観点で

まとめることができる。ここでは使用済み製品の性状、特徴なども考慮して自主回収ルー

トを次のような類型にまとめた。

(1)店頭回収による自主回収ルートの類型 [小型製品] 図 11 は使用済み製品の回収を販売店で受け付ける方法

で、回収ボックスなどが設けられることもある。家庭から

排出される小型の使用済み製品を回収する場合に多くみら

れる回収方法である。しかし、事業者が排出する使用済み

タイヤも販売店で回収することがあり、その他、設置・取外

しに工事を伴う機器は設置工事を行った販売店等が引き取

ったりすることもある。このように、実際は製品の商流に

あわせて自主回収ルートを構築する必要がある。

図 11:家庭から廃棄される使用済み

製品の自主回収ルートの例

販売店 / 回収ボックス

排出者

持込み

運送業者

倉庫・回収拠点等

製品納入車両

納入時に引取り

リサイクル・処分業者

運送業者

販売店 / 回収ボックス

排出者

持込み

運送業者

倉庫・回収拠点等

製品納入車両

納入時に引取り

リサイクル・処分業者

運送業者

物の流れ

保管・処分等を行う者

収集運搬を行う者

物の流れ

保管・処分等を行う者

収集運搬を行う者

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(2)宅配便を利用する場合の自主回収ルートの類型 [中型製品] パーソナルコンピュータくらいの大きさの使用済み製品は、その大きさから宅配便で運搬

することが可能である。この大きさの使用済み製品の回収を収集運搬車両を使用して効率的

に行おうとすれば、車両 1 台分の使用済み製品を集めなければならない。しかし宅配便を

利用すれば、他の荷物と一緒に運搬できるため、1 箱単位でも効率よく回収することができ

る。 宅配便を利用した回収方法は、図 12 のとおり、排出者から直接リサイクル・処分業者まで

回収する方法や、地域ごとに設けた回収拠点まで宅配便で回収し、一定量溜まった時点で別

車両を手配する方法が考えられる。 ただし、宅配便の利用は、関係する運送業者や倉庫・回収拠点が非常に多くなり、広域認

定の申請に係る事務負担が大きくなるという欠点がある([コラム 16]参照)。また、他の荷物

と同じ車両で運搬するため、危険物でないこと、梱包状態、汚れの状態にも配慮し、広域認

定制度の認定の範囲で宅配便を利用するかどうか、別途検討する必要がある。 図 12 では、宅配便を用いると実際に存在する複数の運送業者や倉庫・回収拠点の表示は省

略している。

リサイクル・処分業者

運送業者

販売店 / 回収ボックス

持込み

物の流れ

保管・処分等を行う者

収集運搬を行う者

宅配便

宅配便

宅配便

倉庫・回収拠点等

排出者

図 12:宅配便を利用する場合の自主回収ルート例

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(3)大型で重量がある使用済み製品の自主回収ルートの類型 ここでは、宅配便で送付できない家具などの大型のものの回収について考える。 大型製品の商流は、販売店で売買契約を締結した後、配送センター等から直接顧客に製

品が納入されることがほとんどである。そのため、帰り便を利用すると、販売店ではなく

配送センター等に回収されることが多い。また帰り便を利用しない場合であっても、販売

店では大型の使用済み製品を保管するスペースを確保できないことから、配送センター等

に直接搬送されることが多い。大型製品は運搬車両への積込み作業が困難なことが多く、

専門作業員が複数名必要となることから運搬コストが高額になるという課題がある。 配送センター等の回収拠点に集められた使用済み製品は、廃棄物処理業者へ直接運搬さ

れる傾向がある。小型製品と異なり、運搬効率を高めるために使用済み製品を大量に集め

る必要が少ないためである。

排出者

倉庫・回収拠点等

納入時に引取り

リサイクル・処分業者

運送業者

物の流れ

保管・処分等を行う者

収集運搬を行う者

製品納入車両運送業者

図 13 大型製品の自主回収ルート例

[コラム 16] 宅配便の利用

広域認定制度の認定を受けた者は、廃棄物収集運搬業の許可が不要となる。したがって

広域認定制度の中では、使用済み製品を宅配便等で運搬することも可能である。 使用済み製品を宅配便で運搬できれば、家庭から廃棄される使用済み製品の回収が容易

となる。また、昨今の宅配便等は、バーコード等の導入により運搬状況や運搬経路などを、

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荷物 1 個単位で把握することが可能となっていることから、使用済み製品の回収ルートの

把握も容易である。ただし、宅配便を利用することができる使用済み製品は、例えば 30kg未満である等、運送約款に準拠しなければならない。 宅配便の利用にはこのような利点がある一方、広域認定制度の認定を受けるには、事務・

管理作業が膨大となるという欠点がある。 宅配便等の物流システムは、主体となる運送会社が顧客から荷物を引き受けると、その

会社の責任で届出先まで運搬されるが、実際の運搬は、その会社の関連会社、協力会社に

よって行われている。協力会社には大きな運送会社から中小の運送会社も含まれる。運搬

効率を考慮し、複数の倉庫・回収拠点等を経由する上、同じ運搬ルートであっても常に同

じ会社が運搬しているとは限らない。 宅配便は、このような運搬効率を追求した複雑な物流システムを構築しているために、

広域認定制度の認定を受けるためには事務処理負担が多大となる。広域認定制度の認定を

受けるためには、収集運搬、処分に関わる可能性のある全ての事業者の責任の範囲等を明

確にした名簿、代表者氏名、定款等を揃えなければならない。これらが変更されると、そ

の都度届出を行うことになる。また、使用済み製品が産業廃棄物の場合は、広域認定制度

の申請者と運搬を担当する各社とは再委託契約を締結しなければならない。この契約がな

い場合は、再委託基準違反となる。(使用済み製品が一般廃棄物の場合は契約は不要であ

る。) つまり宅配便等を利用した場合、運搬する可能性がある数多くの収集運搬業者に関する

情報を管理し、産業廃棄物の場合はさらに各社と再委託契約を締結しなければならない。

全国のあらゆる場所から宅配便で使用済み製品を回収しようとしたら、この管理作業は膨

大である。 終的には、宅配便等を活用することによって得られる利便と管理作業の煩雑さを比較

し、回収手段を検討しなければならない。

[コラム 17] JR 貨物の利用

全国規模で自主回収を行う場合、もしくはリサイクルを行う事業者が遠方である場合、

その運搬の一区間を列車が行うという選択肢もある。ここでは JR 貨物を利用した場合の

一般的な許可と契約関係を紹介する。 例えば、千葉県で廃棄される産業廃棄物 A を三重県で処理する場合を想定する。千葉県

から川崎駅(神奈川県川崎市)までは車両で運搬(甲社)し、川崎駅から名古屋駅(愛知県名古

屋市)までは JR が、名古屋駅から三重県の処分業者までは再度車両で運搬(乙社)したとす

ると、そのときの許可と契約は次のようになる。

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○甲社は千葉県と川崎市の産業廃棄物収集運搬業の許可か広域認定が必要。 ○JRは、川崎市と名古屋市の産業廃棄物収集運搬業(積替え保管不要P

*P)の許可又は広域認

定が必要。 ○乙社は名古屋市と三重県の産業廃棄物収集運搬業の許可か広域認定が必要。 ○排出事業者は、甲社、JR 及び乙社と産業廃棄物収集運搬の契約を締結する。広域認

定の場合は、排出事業者は製造事業者等と産業廃棄物処理委託契約を締結し、さらに

製造事業者等は甲社と JR と乙社と再委託契約を締結する。広域認定の契約について

は第 7 節を参照のこと。(収集運搬の区間委託に該当する。) (注釈)*:

U「規制改革・民間開放推進 3 カ年計画(平成 16 年 3 月 19 日閣議決定)」において平成 16年度中に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について

(環境省産業廃棄物課長通知 平成 17 年 3 月 25 日環廃産第 050325002 号)

第一 貨物駅等における産業廃棄物の積替え・保管に係る解釈の明確化 1 産業廃棄物のコンテナ輸送の定義 産業廃棄物のコンテナ輸送とは、コンテナ(貨物の運送に使用される底部が方形の器

具であって、反復使用に耐える構造及び強度を有し、かつ、機械荷役、積重ね又は固

定の用に供する装具を有するもの)であって、日本工業規格 Z1627 その他関係規格等

に定める構造・性能等に係る基準を満たしたものに産業廃棄物又は産業廃棄物が入っ

た容器等を封入したまま開封することなく輸送することをいうこと。 2 収集運搬の許可の範囲について 産業廃棄物のコンテナ輸送を行う過程で、貨物駅又は港湾において輸送手段を変更

する作業のうち、次の(1)及び(2)に掲げる要件のいずれも満たす作業については産業廃

棄物のコンテナ輸送による運搬過程にあるととらえ、廃棄物処理法施行令(昭和 46 年

政令第 300 号。以下「令」という。)第 6 条第 1 項第 1 号ロ若しくは第 6 条の 5 第 1 項

第 1 号ロに規定する積替え(以下単に「積替え」という。)又は令第 6 条第 1 項第 1 号ハ

若しくは第 6 条の 5 第 1 項第 1 号ハに規定する保管(以下単に「保管」という。)に該当

しないと解するものとすること。 (1) 封入する産業廃棄物の種類に応じて当該産業廃棄物が飛散若しくは流出するおそ

れのない水密性及び耐久性等を確保した密閉型のコンテナを用いた輸送におい

て、又は産業廃棄物を当該産業廃棄物が飛散若しくは流出するおそれのない容器

に密封し、当該容器をコンテナに封入したまま行う輸送において、輸送手段の変

更を行うものであること。 (2) 当該作業の過程で、コンテナが滞留しないものであること。

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(4)自主回収ルート検討における注意点 自主回収ルートは前述のような類型が考えられるが、これらは一般的な回収モデルであ

るため、実際の自主回収ルートはこれらの類型を個々の事情に合わせて修正したものにな

る。自主回収ルートの構築時には、以下のようなポイントにも配慮しなければならない。

[液体系廃棄物の場合] 液体という性状であることから、十分な強度を持った容器、流出防止のための配慮を

した運搬機材等、特別な配慮が必要となる。薬液等の交換時に納入業者が引取るなどの

事例がある。保管場所では飛散、流出、地下浸透防止などの徹底した対策が必要となる

ため、回収拠点を探すのが困難になると思われる。

[危険性、有害性のある廃棄物の場合] 危険、有害の度合いによって対策は異なるが、安全に配慮した自主回収ルートを検討

しなければならない。 例えばガスボンベ(卓上コンロ用ガスカートリッジ等)は、爆発の危険性を有するもので

あるが、「回収する前にガスを抜いておく」というルールの下で回収し安全性を確保して

いる。 ガスボンベは、家庭で穴を開けることができれば回収時の安全性が向上する一方、家

庭での穴あけ時の事故の可能性がある。そのため、安全に穴を開けることができる専用

機材の導入、穴あけ時の注意事項の周知、使いきりのルール化などの方法が模索されて

いる。このように、様々な角度から検討しながら自主回収ルートを探る必要がある。特

に危険性や有害性のある使用済み製品は、危険性・有害性を取り除き、それができない場

合は保管、運搬、処理時に他のものと混入しないような分別の工夫、安全に配慮した運

搬機器・処理機器を用意するなどの検討をする必要がある。

[汚れのひどい廃棄物の場合] 使用済み製品が汚れている場合、運搬車両や保管場所において汚染対策が必要である。

例えば、汚れが飛散しないよう密封する、保管場所を隔離する、保管する拠点の数をで

きるだけ少なくし、管理を行いやすくするなどの対策を検討することが望ましい。また、

回収する使用済み製品によっては、製品を運搬している車両で使用済み製品を持ち帰る

ことに抵抗感が生じる場合があり、この場合には別途車両を手配することになる。

2.収集運搬業者の選定 広域認定制度の認定を受けて収集運搬を行う者は、廃棄物収集運搬業の許可は不要とな

るが、下記の運搬基準、表示義務を遵守しなければならない。これらが遵守できない場合、

認定が取り消されるおそれがあるため、収集運搬業者を選定する際には十分確認する必要

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がある。 なお、認定の特例の範囲外で使用済み製品の収集運搬を行う事業者については、一般廃

棄物は一般廃棄物収集運搬業、産業廃棄物は産業廃棄物収集運搬業の許可を受けていなけ

ればならない。

[広域認定を取得する際の運搬基準] U広域的処理を行い、又は行おうとする者の基準

(法施行規則第 6 条の 16 及び第 12 条の 12 の 11)

・当該申請に係る処理を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。 ・当該申請に係る処理を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。

・廃棄物所業に係る欠格要件のいずれにも該当しないこと。 ・不利益処分を受け、その不利益処分のあった日から 5 年を経過しない者に該当しない

こと。 U広域的処理の用に供する施設の基準

(法施行規則第 6 条の 17 及び第 12 条の 12 の 12)

・当該廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、

運搬容器その他の運搬施設を有すること。 ・積替施設を有する場合には、当該廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並び

に悪臭が発散しないように必要な措置を講じたものであること。

[広域認定を受けた運搬車両の表示]

(法施行規則第 6 条の 19 及び第 12 条の 12 の 13)

広域認定を受けた場合、認定を受けた者が運搬車又は運搬船を用いて当該認定に係る廃棄

物の収集運搬を行うときは、次の事項を運搬車両、運搬船の外側に見やすいように表示し

なければならない。 1 当該認定に係る廃棄物の種類及びその収集又は運搬の用に供する運搬施設である旨

2 認定を受けた者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

3 認定の年月日及び認定番号 4 認定を受けた者の委託を受けて当該認定に係る収集又は運搬を行う者にあっては、

その氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 5 当該認定に係る廃棄物の処分(再生を含む。)を行う場所の所在地

自主回収の主体となるメーカー等は、(1)で検討した自主回収ルートでの運搬を確実に実

施できる収集運搬業者を選択・管理し、適正な収集運搬を担保しなければならない。そのた

め広域認定の申請には収集運搬を行う各法人について資料を作成しなければならない(第 4節参照)。混乱なく確実に管理・運用するためには、運送業者の数は少ないほうがよいかもし

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れない。 なお、広域認定制度の認定を受ける、受けないに関わらず、使用済み製品の収集運搬を

行う者は、廃棄物処理基準(法第 6 条の 2 第 2 項、第 12 条第 1 項)や帳簿の記載・保存義務(法第 7 条第 15 項、第 16 項、第 12 条第 11 項)等を遵守しなければならない。

第4節 処理の一連の行程の整理 第 2 節、第 3 節で検討した内容をふまえ、申請書類の形式に落とし込みながら、自主回

収システムの全体像を整理する。 処理の一連の行程を整理する際は、運搬する者、回収場所、処分業者の関係を図にする

と整理しやすい。第 2 編の各社の事例も参考にしてもらいたい。 広域認定制度の認定を申請しようとする場合、多くの書類を作成しなければならない。

それらのうち、現時点でも作成可能と思われる書類を以下に記した。これらは、申請する

際に準備すればよいものであるが、検討すべき事項、準備すべき事項の漏れ等を確認する

ことにもなるため、申請書類の作成も視野に検討を進めることをお勧めする。

表 4:広域認定制度申請のための書類(抄)

1 終処分が終了するまでの一連の処理行程を図式化したもの 2 処理に伴い生ずる廃棄物の種類、性状、処理方法を整理したもの 3 処理に関係する者の一覧表 (以下は例示。様式は自由。)

[廃棄物の収集運搬を行う者] 名称 代表者氏名 所在地 搬送先

1 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 2 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

[廃棄物の処分を行う者] 名称 代表者氏名 所在地 処理内容

1 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 2 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

[搬送先一覧] 名称 代表者氏名 所在地 1 ・・・ ・・・ ・・・ 2 ・・・ ・・・ ・・・

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4 処理や再生を行う施設の種類、場所、処理能力 (以下は例示。様式は自由。)所在地 名称

施設の所在地 代表者 氏名

施設の 種類

廃棄物の

種類 処理能力 許可番号

・・・ 1 ・・・・・・

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

・・・ 2 ・・・・・・

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

5 再生品又は熱回収によって得ようとする熱の利用方法及びこれらを他人に売却す

る場合にあっては、その主な取引先及び価格の見込み(以下は例示。様式は自由。)[再生品の利用方法]

再生品又は熱回収によって得られる熱の利用方法

再生品等の取引先

再生品等の価格の見込み(円/kg)

備考

1 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 2 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

6 生活環境に係る被害を防止するために必要な措置 7 申請者が広域的処理を行い又は行おうとする者の基準に適合することを示す書類

・技術管理者資格証書(写)、当該処理に係る業務経歴を記載した書類など ・直前 5 年の各事業年度における貸借対照表及び損益計算書 ・直前の 3年の各事業年度における法人税の納付すべき額及び納付済額を証する

書類等 ・欠格要件に該当しない旨を記載した書類 ・不利益処分を受け、その不利益処分のあった日から 5 年を経過しない者に該当

しない旨を記載した書類 8 受託者が広域的処理を行い又は行おうとする者の基準に適合することを示す書類

・誓約・保証書 など 9 施設の許可を要する廃棄物処理施設にあっては、許可を受けたものであること示

す書類 10 法第 15条の 2の 4の規定により一般廃棄物処理施設として設置しうるものである

を示す書類(一般廃棄物広域認定制度の場合のみ該当) 11 処分の用に供する施設が広域的処理の用に供する施設の基準に適合したものであ

ることを示す書類 ・誓約・保証書 など

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第5節 自主回収システムの管理方法の検討 本節以降では、前節までで検討した自主回収システムを確実、円滑に運用するために必

要となる事項を検討する。広域認定制度は、自主回収された使用済み製品の処理方法を認

定するものではなく、適正に運用されることも含めて認定するものである。したがって、

日々の運用体制についても適正に整備しなければならない。 広域認定制度では、自主回収するメーカー等に自主回収した使用済み製品が適正にリサ

イクル・処分されることを確保する責務があるものとしている。そのため、広域認定制度の

申請者は、自主回収の開始段階から 終的な処理が終了するまでの行程を何らかの形で管

理する仕組みを作り、適正処理を確保しなければならない。 廃棄物処理法では、産業廃棄物が適切処理されたことを確認する仕組みとして、排出事

業者がマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する制度を設けている(一般廃棄物には適用

されていない)。広域認定制度の認定を受けた場合、排出事業者によるマニフェストの交付

は産業廃棄物であっても一般廃棄物であっても不要となる。ただし上述のとおり広域認定

制度の申請者が、何らかの方法で自主回収の開始段階から 終的な処理が終了するまでの

行程を管理しなければならない。 以下に、標準的な管理方法を紹介する。これらの他にも「自主回収の開始段階から 終的

な処理が終了するまで」の管理方法としてよりよいものがあれば、それらを採用してもよい。

一方でこれらを行ったからといって、不適正処理が行われた場合の責任を免れるものでは

ない。広域認定制度の申請者(製造事業者等)は常に適正処理を確保する責任を負っているこ

とを忘れてはいけない。

1. 使用済み製品の回収の申込み 使用済み製品の自主回収は、使用済み製品を排出する者から回収の申込みが行われた時

点から開始される。そのため、どの行為が自主回収の申込みとなるかをきちんと整理する

必要がある。特に、2.の実際に回収するための車両手配等の申込みと違い、契約の締結に近

い位置づけとなる。 実務上は、電話、FAX、インターネット等を利用し、「回収の申込み」と「回収依頼(車両手

配等)」とが同時に行われる場合が多い。一方、「回収の申込み」と「回収依頼(車両手配等)」とが異なる事例もある。例えば、家庭系 PC の自主回収では、排出者は PC メーカーの窓口に

回収を申込むが、その後 PC を回収する日本郵政公社に PC の引取りを依頼しなければなら

ない。 なお、自主回収する使用済み製品が産業廃棄物の場合、排出者は広域認定制度の申請者

と書面での委託契約を締結する(第 7 節参照)ため、これが回収の申込みとなる。

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2. 使用済み製品の回収依頼方法 使用済み製品の排出者等は、1.で回収を行うことについて合意を得た後、具体的な回収、

もしくは持込について調整することになる。連絡先、連絡手段は自由に決められるが、傾

向として以下のようなタイプがあるので、参考にしてもらいたい。

[排出者からみた連絡先] ① 製造事業者等へ連絡。

・・・ 標準的な方法と思われる。排出者や回収拠点等から回収依頼を受けた製造事業者

等は、収集運搬業者に連絡し、回収車両を手配する。 ② 運搬を行う収集運搬業者に直接連絡。

・・・ 回収を行う収集運搬業者に排出者が直接回収を依頼する。前述の家庭系 PC はこ

の例である。回収を行う収集運搬業者の数が少なく限定されている場合に可能で

ある。 ③ 引渡し場所(回収拠点等)又は処分業者に連絡。

・・・ 回収先となる回収拠点や販売店、処分業者等に回収を依頼し、依頼を受けた者が

車両を手配し回収する。回収先が車両を持っている場合、特に下取りの場合など

が該当する。

[連絡手段] ○インターネット ○電話 ○書面 ○FAX 等

3. 処理が確実に行われることを確認・追跡する方法

産業廃棄物の排出から処理に至る「物の流れ」は、マニフェストを運用して管理されてい

る。しかし広域認定制度の認定を受けた者の場合、認定の特例の範囲内ではマニフェスト

の運用が不要である。その代わりに、申請者が使用済み製品の排出から 終処分までの一

連の処理の行程を統括して管理する体制を整備することが要求されている。この「統括して

管理する体制」の方法は任意であるが、申請者は常に広域的に処理される使用済み製品の運

搬・処分状況について把握し、不適正処理を未然に防止できるようにしなければならない。 方法としては次のようなものが考えられる。 ① マニフェスト(産業廃棄物管理票)を代用する。 ② 独自の管理伝票を作成し、運用する。 ③ インターネット等の IT システムで運用する。 等

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4. 適正なリサイクル・処分等を行う処理業者であることを確認する方法 3.において処理が確実に行われることを確認する方法を検討するが、そもそも信頼できる

廃棄物処理業者を選定することで、不適正処理の防止を図る必要がある。適正処理が確実

に行われる廃棄物処理業者であることを確認する方法として、次のようなものが考えられ

る。 ① 処理業者にヒアリング ② 処理業者の処理施設を確認 ③ 処理業者の過去の廃棄物処理実績を確認 等

[コラム 18] 適正な廃棄物処理業者を選定する [有限責任中間法人 JBRC の場合]

小形二次電池のリサイクラーの候補は当初 7 社あった。広域認定制度の認定を受ける

にあたって、リサイクラーの経営状況の調査や処理現場を訪問し、 終的に 2 社に限定

した。

[社団法人日本自動車タイヤ協会の場合] 適正処理を確保するため、廃棄物処理業者は「登録制」としている。処理業者の選定に

あたっては、まず、既存の廃タイヤの処理業者や販売店等にヒアリングし、候補となる

処理業者を選定した。その中から社団法人日本自動車タイヤ協会が独自に定めた要件(産業廃棄物処理業の許可の取得、財務状況、処理現場等の審査など)に沿って調査を行い、

調査に合格した処理業者だけを登録している。これらの処理業者には、タイヤ業界の動

向や法令、搬入手続き等の説明会を開催し、適正処理の周知を促している。

5. 適正処理を行っていることを確認する方法

広域認定制度の認定を受けた場合には、その認定の範囲に係る処理実績の報告を毎年行

うことが義務付けられている。したがって、国への報告義務を果たすための情報を収集で

きる体制も収集運搬業者、リサイクル・処分業者の協力を得て構築しなければならない。 報告内容等は、以下のとおりである。

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表 5:広域認定に係る処理に関する報告書

○廃棄物等の 1 年間の数量等 1. 廃棄物の種類ごとの数量

廃棄物の種類 数量(t) 構成比 1 ・・・ ・・・ ・・・ 2 ・・・ ・・・ ・・・

合 計 ・・・ 100%

2. 処理に伴い生ずる廃棄物(再生品を除く。)の種類ごとの数量

廃棄物の種類 数量(t) 構成比 1 ・・・ ・・・ ・・・ 2 ・・・ ・・・ ・・・

合 計 ・・・ 100%

3. 再生品の種類ごとの数量 再生品 数量(t) 構成比

1 ・・・ ・・・ ・・・ 2 ・・・ ・・・ ・・・

合 計 ・・・ 100%

4. 熱回収により得ようとする熱量 熱回収 熱量(kcal) 計算方法

1 ・・・ ・・・ ・・・ 2 ・・・ ・・・ ・・・

合 計 ・・・ 100%

[報告書の提出]

(法施行規則第 6 条の 24、第 12 条の 12 の 13)

認定を受けた者は、毎年 6 月 30 日までにその年の 3 月 31 日以前の 1 年間における

当該認定に係る廃棄物の処理に関し、当該廃棄物の種類ごとに次に掲げる事項を記載

した報告書を環境大臣に提出しなければならない。 1 氏名又は名称及び住所並びに法人の場合は代表者の氏名 2 認定の年月日及び認定番号 3 次の数量又は熱量 イ 当該申請に係る処理を行った廃棄物の種類ごとの数量 ロ 当該申請に係る処理に伴い生じた廃棄物(再生品を除く。)の種類ごとの数量 ハ 再生を行った場合にあっては再生品の種類ごとの数量 ニ 熱回収を行った場合にあっては当該熱回収により得られた熱量

なお、製造事業者等(申請者)と実際に収集運搬、リサイクル・処分を行う事業者は、廃棄

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物処理法で定める帳簿作成義務(法施行規則第 2 条の 5、第 10 条の 8)は免れない。これは一

般廃棄物の場合も産業廃棄物の場合も必要である。製造事業者等が作成する帳簿は、実際

に収集運搬、リサイクル・処分を行っている事業者が作成している帳簿を集約したものとな

る。帳簿の様式は自由であるため、前述の報告書の内容を網羅できる統一の様式としても

よい。 6. 上記を適切に運用するための社内体制の整備

1.~5.に加え、契約事務、処理に関わる支払い事務等を運用するための社内体制を整備し、

明確化する必要がある。これは、「○○部は××を行う」というように、できる限り具体的

にまとめ、必要に応じ専任の担当を置くことも検討する。広域認定制度の申請には、以下

のような書類を作成する必要がある。

表 6:広域認定制度申請のための書類(抄)

1 一連の処理の行程を申請者が統括して管理する体制 2 処理を他人に委託する場合における、処理が適正に行われるために必要な措置

第6節 自主回収・処分費用の受取り方法の検討

自主回収システムを構築するにあたり、もっとも問題となるのは使用済み製品の回収・処

分にかかる費用をどのように確保するかという点である。 本節の内容は、自主回収システム自体の経済性の検討だけでなく、製品の売上、使用済み

製品の回収率にも影響する。また自主回収・処分費用の経理上の扱いについても確認する必

要があるため、社内の関係部署や専門家を交えての検討をすることが望ましい。

1. 自主回収・処分費用の受取り方法 (1)製品価格に転嫁され、見かけ上、製品購入者の負担がない場合(内部化)

実質的には先払いと同じであるが、製品を購入する者には費用の内訳がわからない。使

用済み製品回収時の排出者の負担はゼロとなる(無料回収)。ただし、購入時と廃棄時の時間

差があるため、販売時に想定した処理費用と廃棄時の処理費用に差が生じるという問題が

ある。 また、廃棄費用を製品価格に転嫁した場合、廃棄費用分だけ製品価格が高くなり価格競

争の面で不利になることから、実際には廃棄費用は転嫁されず、単に製造事業者等がその

費用を負担することもありうる。

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(2)製品購入時に受取る場合 いわゆる「前払い(先払い)」である。製品購入時に、製品価格とは別に「自主回収・処分費用」

を徴収する。 前払いの場合、自主回収・処分費用が明確になる。そのため各社間で自主回収・処分費用

の競争が生じることになるが、現状は自主回収・処分費用の足並みは揃う傾向にある。ただ

し、自主回収・処分費用を業界で統一する等の協定を締結することは独占禁止法に抵触する

ため気をつけなければならない。

(3)製品廃棄時に受取る場合 使用済み製品を廃棄する際に排出者に費用負担を求めるもので、いわゆる「後払い」であ

る。前払い方式の、購入時と廃棄時で処理費用が変動してしまう等の問題は生じにくいが、

排出者が廃棄時に費用の支払いをするため、不法投棄等を助長するおそれがある。

(4)処理完了の報告があってから受取る場合 後払いの一種である。使用済み製品が適切に再資源化、処分されたことを報告してから

徴収する方法。産業廃棄物の場合にはこの方法が取られることがある。

2. 自主回収・処分費用の受取りに関する問題点 (1)前払い又は製品価格へ転嫁した場合のメリット、デメリット

[メリット] ○廃棄時に費用を負担する必要がないため、排出者による不法投棄が防止できる。

[デメリット] ○費用を社内管理する必要があるため、税金や経理処理の煩雑化が予測される。 ○販売から廃棄までの期間が長い場合は、廃棄時の費用予測が難しく、自主回収・処分

費用の計算が困難である。 ○資金を管理している組織が破綻した場合に資金が消失してしまう可能性がある。 ○費用を前払い、若しくは製品価格に転嫁されている製品とそうでない製品の区別を

する必要がある。

(2)後払いの場合のメリット、デメリット [メリット] ○処理費用を排出時に徴収できるため、管理が容易で、適正な自主回収・処分費用を確

保することができる。 [デメリット] ○排出者が廃棄時に費用を負担するため、不法投棄が発生しやすい。

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3. 自主回収・処分費用を受取る者(支払先) 前払い方式又は後払い方式で自主回収・処分費用を負担する場合であっても、その費用の

支払先は各事例によって異なっている。 [前払い方式] ○製品購入時に販売店が受取る

前払いの場合、販売店が製品購入者から費用を受取るのが一般的な方法である。

販売店は自主回収を行う製造事業者等にその費用を納付する。 [後払い方式] ○回収時に販売店が受取る

排出者が持込み、販売店が回収している場合は販売店が費用を受取ることが多い。 ○回収前に製造事業者等が受取る

製造事業者等に費用が振込まれたことを確認してから使用済み製品を回収する方

法である。銀行振り込み等で受取る方法や、コンビニエンスストア等でリサイクル

券を購入してもらう方法(例:旧フロン券)等がある。販売店が回収する上記の場合でも、

事前に製造事業者等が自主回収・処分費用を受取る場合もある。 ○収集運搬業者が受取る

使用済み製品を回収する収集運搬業者が費用を受取る。 ○収集運搬業者とリサイクル・処分業者がそれぞれ受取る

使用済み製品を回収する収集運搬業者と、リサイクル・処分業者がそれぞれ費用を

受取る。

4. 自主回収・処分費用の管理 業界団体や複数の事業者が共同で自主回収システムを構築しようとしている場合は、費

用の管理主体や費用の管理方法を検討しなければならない。 後払い方式の場合、費用の管理主体へ直接支払うような仕組みとすると管理を簡素化で

きる。 自主回収・処分費用を製品価格へ転嫁又は前払いする仕組みの場合、どのような方法で費

用を管理するかを検討しなければならない。通常は各社が受取った費用をそのまま費用の

管理主体へ預ける、もしくは、各社の製品売上高で按分した費用を管理主体へ預ける方法

がとられる。社団法人、中間法人等の団体が広域認定制度の申請者となる場合には、団体

の運営費と自主回収・処分費用を「会費」という形で納付し、その団体が廃棄物処理費用を負

担していることがある。 例えば小形二次電池自主回収システムの場合、会員となる小形充電式電池メーカー、小

形式電池使用機器メーカー、輸入事業者及び社団法人電池工業会が会費を有限責任中間法

人 JBRC に納付し、有限責任中間法人 JBRC はその会費を原資として小型二次電池の処理

及び小形二次電池の回収システムの普及のための費用に充てている。(第 2 編事例 10 事業

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系小型二次電池の自主回収システム事例参照)

5. 自主回収・処分費用に対する課税の問題 自主回収・処分費用を販売時に受取る(前払い)とき、その費用が収益とみなされる場合と

負債とみなされる場合がある。

[製品価格に転嫁した場合] 自主回収・処分費用を製品価格に転嫁すると、通常は販売した企業の収益とみなされ、

課税対象となる。

[リサイクル・処分費用を製品価格とは別に徴収した場合] リサイクル・処分費用を製品価格とは別に徴収した場合は、廃棄時に必要となるリサ

イクル・処分費用を販売した企業が預かっておく「預り金」となる。そのため、この部分

は課税されずに、負債として扱われる。 また、実際に支払った金額が預かり金額より少ない場合は、その部分は収益となり、

課税対象になると思われる。 いずれの場合でも、実態を税務署がどう判断するか問題が残るため、個別の相談が必要

となる。

6. 自主回収・処分費用の設定 販売実績に基づき回収量と場所を予測し、運搬・保管費用及びリサイクル・処分費用を乗

じて算出する方法がある。地域により運搬・保管費用やリサイクル・処分費用が異なるため、

注意が必要である。 自主回収・処分費用は、第 2 編の事例のヒアリング及び公開されている各種自主回収事例

によると、大型製品は 6,000 円~10,000 円程度、中型製品は 3,000 円~6,000 円程度のこ

とが多い。 第7節 広域認定制度における契約の締結 広域認定制度では関係者が多岐にわたるため、一連の行程を図式化し、契約関係を整理

したほうが事務手続き上のミスを防止できる。以下、一般廃棄物と産業廃棄物の場合に分

けて検討する。

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1. 一般廃棄物の広域認定制度における契約 廃棄物処理法では、一般廃棄物の排出者はその処理を製造事業者等(広域認定制度の認定

を受けた者)に処理委託する場合は委託基準を遵守しなければならない。一般廃棄物の委託

基準は、一般廃棄物処理業の許可を受けた事業者または広域認定制度の認定を受けた事業

者に引渡すことである。したがって、廃棄物処理法上は排出者と製造事業者等とは契約書

を作成する義務はない。 しかし、製造事業者等は自主回収システムの運用を確実なものにするために、排出者や

認定に関わるリサイクル・処分業者と契約を締結することが望ましい。特に認定に関わるリ

サイクル・処分業者とは、毎年の実績報告義務を果たすために必要な情報を収集したり、確

実に適正な処理を実施することの約定を明文化する意義から、契約書の作成が望まれる。

この契約書の作成は法律上義務化されたものではないが、自主回収システムの確実な運用

を担保するため準備しておくのがよい。 図 14 では、製造事業者等と排出者、製造事業者等と「広域認定の範囲」内の事業者、並び

に製造事業者等と「広域認定の範囲」外の処理業者がそれぞれ破線矢印で結ばれている。こ

の線は契約関係を表すものであるが、法律上契約書を作成する義務がないため、破線で記

している。

排出者

収集運搬業者《広域認定の範囲》

リサイクル・終処分業者

収集運搬業者

製造事業者等

システム運用上の契約関係

物の流れ

処分等を行う者(許可不要)収集運搬を行う者(許可不要)

処分等を行う者(許可必要)収集運搬を行う者(許可必要)

処分業者【中間処理】

図 14:一般廃棄物広域認定制度の認定を受けた場合の一般的な契約関係

2. 産業廃棄物の広域認定制度における契約 (1)排出事業者と製造事業者等との契約 [産業廃棄物処理委託契約]

一般廃棄物広域認定制度と同様、排出事業者は製造事業者等(広域認定制度の認定を受け

た事業者)に処理委託する場合であっても、委託基準を遵守しなければならない。産業廃棄

物の場合、排出事業者は使用済み製品を製造事業者等に引渡すだけでなく、製造事業者等

と書面による産業廃棄物処理委託契約を締結しなければならない。契約書を作成しない場

合、委託基準違反として排出事業者が罰せられることになる。

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(2)製造事業者等と認定の範囲内の処理業者との契約 [再委託契約] 産業廃棄物広域認定制度における製造事業者等は、産業廃棄物処理業者とみなされる(法

第 15 条の 4 の 3 第 3 項)。したがって、自らリサイクル・処分を行わず他者(別法人)に委託

する場合は、産業廃棄物の再委託に該当し再委託基準に基づく文書を作成しなければなら

ない(法施行令第 6 条の 12)。

(3)認定の範囲外の処理業者との契約 [産業廃棄物処理委託契約] 広域認定の範囲が中間処理までとなる場合、広域認定の範囲外の処理業者との契約につ

いては 2 つの考え方がある(図 15、図 16)。適正処理が確保され、広域認定制度の申請内容

が適切に運用されるのであれば、どちらの契約形態でも問題ない。 図 15 は、広域認定の製造事業者等と広域認定の範囲外の処理業者が契約を締結する方法

である。これは、広域認定の範囲内では製造事業者等が統括して管理をしているという考

えから、広域認定の範囲外への処理委託は製造事業者等が処理委託をしていると解釈し、

製造事業者等が産業廃棄物処理委託契約を締結するものである。ただし、この方法を採用

している実例は少ない。 図 16 は、広域認定の範囲内の中間処理業者から排出される 2 次廃棄物の処理委託と考え、

処分業者【中間処理】が広域認定の範囲外の処理業者と産業廃棄物処理委託契約を締結す

る方法である。

(4)自主回収システムの運用を確実なものにするための契約 製造事業者等は、法律上義務化されてはいないが、自主回収システムの確実な運用の確

保や毎年の実績報告義務に必要な情報収集のために契約書を作成しておくことが望まれる。

契約の形式は、再委託契約書の中に記載しても別途覚書を準備する形式でもよい。

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排出者

処分業者【中間処理】

収集運搬業者

《広域認定の範囲》

製造事業者等

(a)産業廃棄物処理委託契約

再委託承諾書

再委託契約書

倉庫・回収拠点等

収集運搬業者

リサイクル・終処分業者

収集運搬業者マニフェスト

マニフェスト

マニフェスト

aの契約内容(一部)の写し

再委託契約書

aの契約内容(一部)の写し

再委託契約書

aの契約内容(一部)の写し

再委託契約書

aの契約内容(一部)の写し

産業廃棄物収集運搬委託契約

産業廃棄物処分委託契約

排出者

処分業者【中間処理】

収集運搬業者

《広域認定の範囲》

製造事業者等

(a)産業廃棄物処理委託契約

再委託承諾書

再委託契約書

倉庫・回収拠点等

収集運搬業者

リサイクル・終処分業者

収集運搬業者

マニフェスト

aの契約内容(一部)の写し

再委託契約書

aの契約内容(一部)の写し

再委託契約書

aの契約内容(一部)の写し

再委託契約書

aの契約内容(一部)の写し

産業廃棄物収集運搬委託契約

産業廃棄処分委託

図 15: 製造事業者等が産業廃棄物処理委

託契約を締結する場合

図 16: 中間処理業者が産業廃棄物処理委

託契約を締結する場合

[コラム 19] 産業廃棄物処理委託契約書に記載する事項

産業廃棄物処理委託契約は書面で締結し、以下の内容が記載されていなければならない。

また、契約に係る処理業者の許可証を契約書に添付しなければならない。

1 産業廃棄物収集運搬の処理委託契約書記載事項 1 委託する産業廃棄物の種類及び数量 2 運搬の 終目的地の所在地 3 委託契約の有効期間

法定の処理委託契約

物の流れ

処分等を行う者(許可不要)収集運搬を行う者(許可不要)

処分等を行う者(許可必要)収集運搬を行う者(許可必要)

法定の処理委託契約

物の流れ

処分等を行う者(許可不要)収集運搬を行う者(許可不要)

処分等を行う者(許可必要)収集運搬を行う者(許可必要)

注釈:広域認定の範囲内はマニフェスト不要

注釈:広域認定の範囲内は

マニフェスト不要

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4 委託者が受託者に支払う料金 5 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その

事業の範囲 6 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあっては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替

え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において

保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限 7 6 の場合、当該委託契約に係る産業廃棄物が令第 6 条第 1 項第 3 号イに規定する安定型産業廃

棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの拒否

等に関する事項 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情

報 8 -当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項 9 -通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項 10 -他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項 11 -その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項 12 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項 13 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項

2 産業廃棄物処分の処理委託契約書記載事項

1 委託する産業廃棄物の種類及び数量 2 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又

は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力 3 産業廃棄物の処分( 終処分を除く)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る 終処分の場所

の所在地、 終処分の方法及び 終処分に係る施設の処理能力 4 委託契約の有効期間 5 委託者が受託者に支払う料金 6 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その

事業の範囲 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情

報 7 -当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項 8 -通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項 9 -他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項 10 -その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項 11 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項 12 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項

[コラム 20] 事業系 PC の自主回収に係る契約

日本アイ・ビー・エム株式会社は産業廃棄物広域認定制度の認定を受け、事業系パーソ

ナルコンピュータを自主回収している。 第 2 編の事例 2 のとおり、事業系パーソナルコンピュータを排出する事業者と日本ア

イ・ビー・エム株式会社は産業廃棄物処理委託契約を締結している。 通常、産業廃棄物処理委託契約といえば、紙の文書で行われるものであるが、本事例

では、処理委託契約の締結を WEB と紙面を活用し、次のような手順で実施している。

Page 71: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

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1.WEB で「事業系 PC 回収・リサイクル等・サービスのご提供条件」の提供(IBM) 2.WEB で見積依頼(排出者) 3.WEB で見積提供(IBM) 4.WEB で「御見積書兼注文書」発送依頼(排出者) 5.「御見積書兼注文書」発送(IBM) 6.「御見積書兼注文書」捺印→郵送(排出者) 7. PC 回収(IBM) 8. 「サービスの完了報告書」送付(IBM)

[コラム 21] タイヤの自主回収に係る契約

社団法人日本自動車タイヤ協会では、産業廃棄物広域認定制度の認定を受けるべく申

請準備中である。認定を受けるまでの経過措置として、旧広域再生利用指定制度のスキ

-ムによっている。タイヤ販売店等が、事業者が排出する使用済みタイヤを回収し、処

理を委託している。タイヤ販売店等と処理業者が契約を行っているが、社団法人日本自

動車タイヤ協会が回収類型ごとに締結すべき契約や用意すべき書面を提示し、指導して

いる。

委託契約と共に排出事業者から下記項目を含む承諾書を取り付ける  ① 委託した産業廃棄物の種類及び数量  ② 受託者の氏名又は名称  ③ 承諾の年月日  ④ 再受託者の氏名又は名称、許可番号

許可

中間処理業者

許可

収集・運搬業者

排出事業者

倉庫会社トラック運送会社

サブコンタクシー会社リース会社

レンタカー会社

委託契約

様式 6様式 7

委託契約

様式 9

委託契約

様式 8

タイヤ販売会社

フォークリフト販売会社

建設機械販売会社

トラック販売会社

委託契約

様式 5

廃タイヤの委託契約様式5:処理再生利用     委託用

収集運搬の再委託契約様式6:指定産廃収集運搬用     /積み替え保管なし様式7:指定産廃収集運搬用     /積み替え保管あり

中間処理・再生利用の委託契約様式8:指定産廃処分用様式9:指定産廃収集運搬     /処分兼用

TB型販売店

収運業者 +

中間処理業者

承諾書

図 17: タイヤ販売店等が、直接処理業者に処理を委託する場合

Page 72: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

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許可

中間処理業者

許可

収集・運搬業者

排出事業者

倉庫会社トラック運送会社

サブコンタクシー会社リース会社

レンタカー会社

委託契約

様式 14

委託契約

様式 8

タイヤ販売会社

フォークリフト販売会社

建設機械販売会社

トラック販売会社

委託契約

様式 5

廃タイヤの委託契約

様式5:処理再生利用     委託用

収集運搬の区間委託契約

様式10,12:指定産廃収集運搬用     /積み替え保管なし様式11,13:指定産廃収集運搬用     /積み替え保管あり

中間処理・再生利用の委託契約

様式8:指定産廃処分用様式14:指定産廃収集運搬     /処分兼用

TB型販売店

収運業者 +

中間処理業者

排出事業者からタイヤ販売会社までの収集運搬の区間委託契約

区間委託-1 様式10、様式11

承諾書

タイヤ販売会社から中間処理業者

までの収集運搬の区間委託契約

区間委託-2 様式12、様式13

+

図 18:タイヤ販売店等が、区間委託 P

*Pとなる場合

様式の種類 委託形態 付随する書類

様式 1

様式 2

様式 3

様式 4

様式 5 委託 承諾書

様式 6

様式 7

様式 8

様式 9

様式 10

様式 11

様式 12

様式 13

様式 14

様式 5 委託 承諾書

様式 15

様式 16

様式 17

様式 18

様式 19

様式 20

様式 21

様式 22

様式 23 収集運搬/中間処理業者 兼用

確認書タイヤ販売店

再委託

排出事業者

区間委託-1

区間委託-2

指定産業廃棄物

タイヤ販売店

収集運搬/中間処理業者 兼用

再委託

収集運搬業者

タイヤ販売会社区間委託-1

区間委託-2

タイヤ販売店(TB型販売店)(フォークリフト販売店)

(建設機械販売会社)(トラック販売会社)

タイヤ販売会社収集運搬/中間処理業者 兼用

委任状又は

確認書

委任状又は

確認書

確認書

収集運搬業者積み替え保管なし

積み替え保管あり

タイヤ販売会社積み替え保管なし

積み替え保管あり

中間処理業者

排出事業者

収集運搬業者

積み替え保管あり

タイヤ販売店(TB型販売店)(フォークリフト販売店)

(建設機械販売会社)(トラック販売会社)

タイヤ販売会社 収集運搬/中間処理業者 兼用

中間処理業者

収集運搬業者

誰と

収集運搬/中間処理業者 兼用

一般廃棄物

収集運搬業者

中間処理業者

タイヤ販売会社又は販売店

委任状又は

確認書

積み替え保管なし

積み替え保管あり

誰が 備考廃棄物の種類

委託

積み替え保管あり

積み替え保管なし

積み替え保管あり

積み替え保管なし

積み替え保管なし

積み替え保管あり

積み替え保管なし

 一般廃棄物   +指定産業廃棄物

図 19: 委託契約の様式の種類

第8節 行政への申請 本節では、広域認定制度を取得するまでの手順と申請書類について解説する。

*第 2 章第 3 節参照

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1. 広域認定モデルの構想の事前審査

処理工程図等、申請の内容が具体的に明記された資料を整える必要がある。申請書類が

完成している必要はないが、申請事項について説明できる段階であることが望ましい。

2. 申請書類の作成と提出 申請には、認定 1 件あたり 15 万円の納付が必要である。

[申請書類]

広域認定制度の申請を行う際は、表 7 の書類を作成する必要がある。これらは、事前

審査時に揃えておく必要はないが、関係する内容を準備することで審査を円滑に進める

ことにつながる。できる限り事前審査までに準備したほうがよい。 なお、申請書類に不備がある場合は、受理されないため注意が必要である。 表 7 の中、一番左の列の番号は、「0.」を除き、環境省発行の「広域認定制度申請の手引

き」で示された申請様式番号に対応している。

3. 審査 審査は、申請内容に基づき認定基準の適合や欠格要件の非該当等の確認を行い、必要に

応じて処理現場等の確認も行われる。標準処理期間は 3 ヶ月とされている。標準処理期間

とは、申請書類が受理された時から認定の許否が示されるまでに要する標準的な期間のこ

とであり、受理される前に通常行われる申請書類の修正や事前協議等の期間は含まれてい

ない。 [コラム 22] 広域認定制度の申請書類作成の苦労

「第 2 編事例 5 事業者から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例」では、収集運搬

を行う者は 660 社、処分を行う者は 160 社である。さらに、収集運搬を受託したことにな

る販売店は 16 万店ある。広域認定制度申請時はこれらについて一覧を作成し、申請書類

に添付することになる。申請書類に不備があれば申請書は受理されない。16 万店の一覧を

整備している間に、代表者が変更になれば申請書類を再度作成しなおす必要がある。認定

取得後も、一覧の内容に変更があれば変更届が必要となる。広域認定取得企業からは、こ

れらの膨大な管理業務に対する苦労の声があがっている。

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表 7:作成する申請書類 根拠条文凡例) 「法」:廃棄物処理法 「規則」:廃棄物処理法施行規則 「1 条②三」:第 1 条第 2 項第 3 号

申請内容 根拠条文

0. 申請者 法 9 条の 9② 1. 廃棄物の種類 規則 6 条の 18①一イ 2. 処理を行う区域 規則 6 条の 18①一ロ 3. 処理を行う者(受託者を含む)の住所及び氏名 規則 6 条の 18①一ハ 4. 終処分が終了するまでの一連の処理の行程 規則 6 条の 18①一ニ 5. 処理に伴い生ずる廃棄物の種類、性状及び処理方法 規則 6 条の 18①一ホ 6. 処理を行う者(受託者を含む)の事業内容及び責任

の範囲 規則 6 条の 18①一へ

7. 処理(再生を含む)の用に供する施設の種類、場所及

び処理能力 規則 6 条の 18①一ト

8. 廃棄物等の 1 年間の数量等 規則 6 条の 18①一チ(1)~(4) 9. 再生品又は熱回収によって得ようとする熱の利用

方法及びこれらを他人に売却する場合にあっては、

その主な取引先及び価格の見込み

規則 6 条の 18①一リ

10. 一連の処理の行程を申請者が統括して管理する体

制 規則 6 条の 18①一ヌ

11. 処理を他人に委託する場合における、処理が適正に

行われるために必要な措置 規則 6 条の 18①一ル

12. 生活環境に係る被害を防止するために必要な措置 規則 6 条の 18①一ヲ 13. 申請者が法人である場合にあっては、定款又は寄付

行為及び登記簿の謄本 規則 6 条の 18①二

14 申請者が個人である場合にあっては、住民票の写し 規則 6 条の 18①三 15. 申請者が広域的処理を行い、又は行おうとする者の

基準に適合することを示す書類 規則 6 条の 18①四

16. 受託者が広域的処理を行い、又は行おうとする者の

基準に適合することを示す書類 規則 6 条の 18①五

17 施設の許可を要する廃棄物処理施設にあっては、許

可を受けたものであることを示す書類 規則 6 条の 18①六

18. 法第 15 条の 2 の 4 の規定により一般廃棄物処理施

設として設置し得るものであることを示す書類 規則 6 条の 18①七

19. 処分の用に供する施設が広域的処理の用に供する

施設の基準に適合したものであることを示す書類 規則 6 条の 18①八

20. その他環境大臣が定める書類 規則 6 条の 18①九

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第5章 自主回収システム構築に係る課題

ここでは、現在自主回収を実施している事例や、自主回収を検討しているが実現できて

いない事例を参考として、自主回収を行うにあたっての課題をまとめる。自主回収システ

ムを構築する際には、事前にこれらの課題を念頭においておくことが望まれる。

1. 「下取り」による自主回収システムの構築における課題 (1)無償での回収

下取り行為は無償回収が必要条件(第 2 章参照)とされているため、収集運搬費用の徴収が

できないという課題がある。(ここでいう「無償」とは、処理費用を受取らない、すなわち収

集運搬費用と処分費用を受取らずに回収することである。) 商慣習として下取りが行われている事例の中には、大型製品や回収に専門作業員を必要

とする場合があり、これらは処分費用に比して収集運搬費用が高額となる傾向がある。収

集運搬費用は別途徴収し、処分費用が「無償」であることを下取りと定義づけられれば、下

取りによる回収がより促進されるものと思われる。商慣習として引取られているのであれ

ば、適正な収集運搬費用を徴収している限り、不適正処理の可能性は低いと考えられ、今

後の下取り行為の定義の見直しが望まれる。 (2)一般廃棄物と産業廃棄物の混在

家庭から排出される使用済み製品は、回収方法の違いによって、同種の製品が一般廃棄

物と区分されたり産業廃棄物と区分されたりする課題がある。 下取りで回収された使用済み製品は、下取りを行う事業者の事業活動の一環として回収

された物という考え方から、基本的に産業廃棄物に該当する。一方、販売店等が自ら廃棄

物処理業の許可を受け又は広域認定制度の認定を受けて自主回収を行った場合は一般廃棄

物となる。そのため販売店等では、同種の製品でありながら一般廃棄物となるものと産業

廃棄物となるものを区分して管理しなければならない事態が生じる。 これは、実務の現場の混乱を招くだけで、適正処理の観点からは必要性の低い規制と考

えられ、政策的な対策の検討が望まれる。

2. 廃棄物処理業の許可を受けて自主回収システムを構築する場合の課題 (1)産業廃棄物の許可範囲(地域)の細分化及び管轄数の多さ

産業廃棄物処理業、産業廃棄物処理施設の設置許可は、都道府県知事(保健所設置市は市

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-70-

長)に許可権限があり、現在全国で 104 箇所ある。収集運搬を全国規模で行う場合は、これ

ら 104 箇所の自治体で許可を受ける必要があるため、収集運搬業者の管理業務が非常に煩

雑となっている。 第 162 回国会では、都道府県の他、全ての保健所設置市が産業廃棄物の事務等を行うと

いう現在の仕組みを見直し、政令で指定する市が当該事務を行うこととする法改正案が提

出され、審議されている。これにより許可管轄行政の数が削減される可能性はあるが、現

時点ではどの程度削減されるかは未定である。

(2)廃棄物処理施設の設置許可取得が困難なこと 廃棄物処理施設の設置許可の取得は難しく、特に一般廃棄物処理施設の設置許可の取得

が困難という課題がある。これは、広域認定制度を受けようとする場合にも同様に課題と

なる(広域認定制度は廃棄物処理業の許可は不要となるが、廃棄物処理施設の設置許可は必

要である)。 平成 15 年の廃棄物処理法の改正により、一定の条件を満たした産業廃棄物処理施設は、

届出だけで一般廃棄物処理施設として利用できるよう規制緩和され、本課題について多少

の進展がみられた([コラム 7]参照)。 しかし、廃棄物処理施設の設置許可についてはまだ多くの問題が残されている。例えば、

産業廃棄物処理施設の設置の申請には、生活環境影響評価の実施、住民同意の取り付け、

各種書類の準備等が必要となり、設置許可を受けるまでに大変な労力がかかる。産業廃棄

物処理施設の設置許可を受けていなければ、前述の規制緩和策の利用もできない。また、

処理能力が 5t/日以上の金属くずの破砕・圧縮施設等、産業廃棄物処理施設には該当しないが

一般廃棄物処理施設には該当する施設への規制緩和措置が無いなどの課題が残されている。

3. 広域認定制度の認定を受けて自主回収する場合の課題 (1)過大な維持管理コストの発生 広域認定制度では、製造事業者等が認定の範囲内の処理業者の管理をしなければならな

い。そのために生じる膨大な事務作業が課題となっている。 ひとつには、日々の適正処理を確保するための情報収集・管理がある。これは回収する使

用済み製品や、関係する事業者が多いほど事務負担が増加する。さらに、申請内容に変更

が生じた場合には、その都度、変更届を提出しなければならず、その作業も煩雑となる。

特に、委託している処理業者の代表者が変更になったときは、変更届とその代表者の登記

事項証明書を提出しなければならず、申請者と処理業者双方にとって負担となっている。

これらの管理を製造事業者等に委ね、例えば年に一度の報告で済ます等の検討が必要と考

えられる。

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(2)適正な自主回収・処理費用の徴収額の設定の困難性 特にこれまで自治体が処理していた一般廃棄物を自主回収する場合、理論上は自主回収・

処理費用を排出者から徴収できるが、実際には排出者に高額な負担を求めることができず、

事業全体が赤字となることがある。 これは、これまで自治体で徴収していた処理費用が非常に安く、それを大きく上回る処

理費用を徴収しにくいためと考えられる。

(3)自主回収対象製品以外の物品の意図しない回収 実際に回収を始めると、当初予測していないものが混入することがあり、これらの扱い

が課題となっている。 混入する例としては、回収するものの付属品が一緒に回収されたり、冷蔵庫等の内部が

空洞となる製品の中に関係のないゴミが入っている場合などがある。これらの混入物は、

実際には回収した事業者が処理し、排出者には返却していない。これを厳密に言えば、申

請内容と異なる廃棄物の処理を受託していることになる。回収時点でのチェック等により

異物混入対策を可能な限り徹底することの他、法的に適正処理が可能なルールへの見直し

も必要と考えられる。 (4)広域認定の取消処分要件が厳格なこと

広域認定は、「広域認定の範囲」内の処理業者1社であっても、広域認定制度の基準に適

合しなくなった場合は認定を取消すことができるとされている。広域認定が取消されると

は、これまで運用されていた自主回収システムが利用できなくなることを意味し、社会的

な影響が大きい。 自主回収システムのごく一部の者による不注意起因のミスによって認定が取消され得る

という制度的な問題は、制度を運用しながら改善していく必要があると考えられる。 (5)一般廃棄物広域認定制度の認定対象品目の制限

一般廃棄物の広域認定制度は、産業廃棄物広域認定制度とは異なり、自主回収すること

ができる使用済み製品が環境省告示で列挙されているものに限られている。したがって、

消費者向けに商品を販売している製造事業者等が、広域認定制度の趣旨に則り自主回収を

検討した場合であっても、販売している商品が環境省告示に列挙されていないために自主

回収を断念しているという実態がある(大型電子楽器等)。

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第2編 自主回収システム事例集

自主回収を行っている事例を次のとおり紹介する。これから自主回収システムを

構築する参考になることを期待している。

[実現されている自主回収システム事例] [頁] 事例 1 家庭系 PC の自主回収システム事例 ................................. 74 事例 2 事業系 PC の自主回収システム事例 ................................. 78 事例 3 研削砥石の自主回収システム事例 .................................... 81 事例 4 家庭から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例 ........ 83 事例 5 事業者から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例 .... 86 事例 6 電気抵抗線式はかり(計量機器)の自主回収システム事例 .. 89 事例 7 パレットの自主回収システム事例 .................................... 91 事例 8 レンズつきフィルムの自主回収システム事例................... 93 事例 9 ガス石油設備機器の自主回収システム事例 ...................... 95 [検討中の自主回収システム事例] 事例 10 事業系小形二次電池の自主回収システム事例................... 97 事例 11 家庭系小形二次電池の自主回収システム検討事例 ........... 99 事例 12 スプリングマットレスの自主回収システム検討事例 ........ 101 事例 13 大型電子楽器の自主回収システム検討事例 ...................... 104 事例 14 寝具(布団類)の自主回収システム検討事例 ....................... 107 事例 15 消火器の自主回収システム検討事例 ................................. 109 事例 16 鉛バッテリーの自主回収システム検討事例 ...................... 111 事例 17 ガスボンベの自主回収システム検討事例.......................... 113

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-74-

1. 自主回収の経緯

パーソナルコンピュータ(以下「PC」とする)は、資源有効利用促進法で指定再資源化製品

に指定されており(第 3 編参照)、自主回収及び再資源化を行うこととされている。パーソナ

ルコンピュータは製造事業者等が自主回収、再資源化することで資源の有効な利用を促進

し循環型社会の形成に貢献する製品として選択された。また、家庭からのパーソナルコン

ピュータの廃棄量が今後増加することも想定して指定された。 事例 1 家庭系 PC の自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) ①PC を廃棄する消費者は、日本アイ・ビー・エム株式会社へ家庭系 PC の回収を申し込

む。 ②日本アイ・ビー・エム株式会社は、消費者に料金支払い用紙を郵送する。 ③消費者は料金を支払うP

*1P。

④日本アイ・ビー・エム株式会社から消費者に「エコゆうパック伝票」が送付される。 ⑤消費者が PC の梱包を行う。 ⑥消費者が郵便局 P

*2Pに持込む又は消費者が郵便局に戸口回収を依頼し、回収してもらう。

⑦郵便局へ集められた PC は、回収拠点の倉庫に運搬され、内容確認される。 ⑧回収拠点の倉庫から、日本アイ・ビー・エム株式会社が指定する再資源化業者へ運搬

され、再資源化、処分が行われる。 *1 PC リサイクルマークが貼付された PC であれば②③は省略できる。 *2 簡易郵便局は除く。

(補足)日本アイ・ビー・エム株式会社以外の PC メーカーも、日本アイ・ビー・エム株式

会社と同様に広域認定を取得し、自主回収を行っている。家庭系 PC については、

広域認定の申請、回収業務、再資源化先の指定は各メーカーで行うが、自主回

収の方法は上記①~⑧と同様で、業界で共通の回収インフラを使用している。 U2-2.費用

平成 15 年 10 月 1 日以降に販売された「PC リサイクルマーク」が貼付された PC は無

償で回収・再資源化される。「PC リサイクルマーク」が貼付されていないものは、消費

者が回収の申込時に料金を支払う。

1 家庭から排出された使用済み パーソナルコンピュータ

日本アイ・ビー・エム株式会社

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-75-

U2-3.統括して管理する体制U

PC3R推進センターの回収スキームで共同で利用する EDI システムで機器 1 台ご

とに処理状況(運送状況を含む)を管理している。機器の処理状況が変わるたびにメーカ

ーへ情報が送信される。メーカーは独自のシステムでその情報を管理する。メーカー

独自のシステムの部分は、日本アイ・ビー・エム株式会社が独自で回収システムを構築

している。 回収ルートは、業界団体である有限責任法人パソコン 3R 推進センターの共通ルート

を利用し、処理業者の選択にあたっても加盟メーカーが現地確認を分担して行った。 ■収集運搬業者を選定した要件

・製品の動脈物流で取引実績があり信頼関係が構築されていること。 ・廃棄物収集運搬の社内体制が整備されていること。 ・顧客と容易に連係がとれる、受・発注システムを有していること。 ・集荷物追跡システムが構築されており、機能していること。 ・業者数を可能な限り絞り込みながらも、より広い範囲をカバーできること。 ・動脈物流・静脈物流の行政処分を受けていないこと。

■処分業者を選定した要件

・適正処理実績があり、行政処分を受けていないこと。 ・処理業・処理施設等、許認可事項の確認と現地調査を実施すること。 ・破砕専門でなく 3R に関心を持ち、その実践が徹底されていること。

U2-4. 契約関係

・一般廃棄物であるため、消費者と日本アイ・ビー・エム株式会社の間では書面による廃

棄物の処理委託契約の締結は不要であるが回収委託規約への同意が条件となる。 ・収集運搬業者、処分業者と日本アイ・ビー・エム株式会社の間では、産業廃棄物の処理

委託契約に準じた契約を締結している。 3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・個人が回収先となるため、利便性の面から回収拠点をきめ細かく持つ必要があり、郵

便局の利用はこのスキームに大きな利便性をもたらした。 ・この製品は一般廃棄物であり自治体がすでに回収していたため、自治体の協力をお願

いすると共に、広報活動を行った。(自治体での回収制限) ・共通回収ルートの構築は、有限責任中間法人パソコン 3R 推進センターのもとで加

1

日本アイ・ビー・エム株式会社

家庭から排出された使用済み パーソナルコンピュータ

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-76-

盟・非加盟のメーカーが協力して実施したため、実行効果が大きくなった。労力の節

約(分散)とコストの低減にも大きな効果があった。 ・広域認定を維持するため、回収・再資源化を実施する廃棄物処理業者の登録内容の維

持管理(業者の変更、業者の代表者の変更など)に労力を要するとともに業者に対して

も負担をかけることになることが課題である。 ・エコゆうパックの取り扱いが、30kg までであり、それを超えると運送形態が変わるた

め、輸送費用が大幅に増大するのが課題である。 4. その他

パーソナルコンピュータは指定再資源化製品に該当するため、自主的に再資源化率を規

定している。 再資源化率 1 PC(その表示装置及びノートブック形のものを除く。) 50%(重量比) 2 PC(ノートブック形のものに限る。) 20%(重量比) 3 PC の表示装置(ブラウン管式のものに限る) 55%(重量比) 4 PC の表示装置(液晶式のものに限る) 55%(重量比)

*1 パーソナルコンピュータの製造等の事業を行う者の使用済みパーソナルコンピュータの自主回収及び再資源化に関

する判断の基準となるべき事項を定める省令(経産・環令第 1 号 平成 13 年 3 月 28 日)

1

日本アイ・ビー・エム株式会社

家庭から排出された使用済み パーソナルコンピュータ

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-77-

5. 一連の処理行程図

1

日本アイ・ビー・エム株式会社

家庭から排出された使用済み パーソナルコンピュータ

消費者【回収される物と処理料金】

日本郵政公社【全国2万ヶ所】

※簡易郵便局除く

輸送会社の倉庫<メーカー別に分類>

日本郵政公社

日本郵政公社

[

広域認定を受ける範囲]

一般廃棄物処分業許可業者

輸送会社

<戸口回収>

日本アイ・

ビー・

エム(

株)

1.回収申込み2.料金支払い用紙郵送3.料金支払い4.エコゆうパック伝票送付

1.回収申込み2.料金支払い用紙郵送3.料金支払い4.エコゆうパック伝票送付

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

・ノートブックパソコン本体 3,150円/台・デスクトップパソコン本体 3,150円/台・LCD(ブラウン管)ディスプレイ 3,150円/台・LCDディスプレイ一体型パソコン 3,150円/台・CRT(ブラウン管)ディスプレイ 4,200円/台・CRTディスプレイ一体型パソコン 4,200円/台*PCリサイクルマーク付のものは無料回収申込み~伝票送付

までの諸手続き

[ 梱包+エコゆうパック伝票貼付 ]

集荷依頼

持込み

運搬

運搬収集運搬委託契約

に準じた契約

処分委託契約に準じた契約

※情報の流れは、実際はもっと複雑である。ここでは顕著なもののみを記載した。

消費者【回収される物と処理料金】

日本郵政公社【全国2万ヶ所】

※簡易郵便局除く

輸送会社の倉庫<メーカー別に分類>

日本郵政公社

日本郵政公社日本郵政公社

[

広域認定を受ける範囲]

一般廃棄物処分業許可業者

輸送会社

<戸口回収>

日本アイ・

ビー・

エム(

株)

1.回収申込み2.料金支払い用紙郵送3.料金支払い4.エコゆうパック伝票送付

1.回収申込み2.料金支払い用紙郵送3.料金支払い4.エコゆうパック伝票送付

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

・ノートブックパソコン本体 3,150円/台・デスクトップパソコン本体 3,150円/台・LCD(ブラウン管)ディスプレイ 3,150円/台・LCDディスプレイ一体型パソコン 3,150円/台・CRT(ブラウン管)ディスプレイ 4,200円/台・CRTディスプレイ一体型パソコン 4,200円/台*PCリサイクルマーク付のものは無料回収申込み~伝票送付

までの諸手続き

[ 梱包+エコゆうパック伝票貼付 ]

集荷依頼

持込み

運搬

運搬収集運搬委託契約

に準じた契約

処分委託契約に準じた契約

※情報の流れは、実際はもっと複雑である。ここでは顕著なもののみを記載した。

Page 84: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-78-

1. 自主回収の経緯

パーソナルコンピュータ(以下「PC」とする)は、資源有効利用促進法で指定再資源化製品

に指定されており(第 3 編参照)、自主回収及び再資源化を行うこととされている。PC は製

造事業者等が自主回収、再資源化することで資源の有効な利用を促進し、循環型社会の形

成に貢献する製品として選択された。また、事業所からの PC の廃棄量が今後増加すること

を想定して指定された。 事例 2 事業系 PC の自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) 排出事業者は、インターネットを使って日本アイ・ビー・エム株式会社へ使用済み PC

の回収、処理を委託する。日本アイ・ビー・エム株式会社は、契約している収集運搬を

行なう運送業者、再資源化を行なう処理業者に委託し、排出事業者の使用済み PC を回

収し、処理、再資源化を行う。(平成 14 年 12 月 22 日 株式会社日立製作所と共同申

請で広域認定を取得) U2-2.費用

PC の回収・再資源化費用は、排出事業者が負担する。費用は日本アイ・ビー・エム株

式会社のホームページで公表されている。費用の算出方法については、家庭系 PC と同

様である。(http://www-6.ibm.com/jp/pc/service/recycle/pcrecycle/)

U2-3.統括して管理する体制 日本アイ・ビー・エム株式会社は、株式会社日立製作所と共同で回収スキームを構築

し、処理業者の選定についても株式会社日立製作所と連携して行った。 運用にあたっては、日本アイ・ビー・エム株式会社はマニフェスト(電子マニフェスト)

を交付し、処理状況を管理する。排出事業者は、日本アイ・ビー・エム株式会社の HPで処理状況を確認することができる。

U2-4.契約関係

・排出事業者は日本アイ・ビー・エム株式会社とWEB及び書面により使用済みPCの回

収・再資源化の委託契約を行う。 (産業廃棄物の広域認定の場合は、製造事業者等が認定された収集運搬業者と処理業者

に収集運搬・処理を委託する行為は再委託にあたる。収集運搬業者または処理業者が、

これを再度他の業者に委託することはできない。)

2 事業者から排出された使用済み パーソナルコンピュータ

日本アイ・ビー・エム株式会社

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-79-

3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・全国規模の収集運搬を行うためには主たる運送業者のみでなく、その運送業者が利用

する全ての運送業者を申請の範囲に含める必要があり大きな労力を費やした。 ・全国、同一料金で回収するため、回収拠点と処理拠点を適切に配置する必要がある。

拠点数が多ければ運送費は抑えられるが施設の維持にコストがかかり、その逆では運

送費が高くなり、その調整が難しい。 ・PC は、PC 納品時と同時に廃棄が行われない場合も多く、帰り便を使用したコスト削

減が難しい。広域認定の申請にあたっては、全国の処理業者を登録する際、処理業者

ごとに処理フローなどを用意しなければならず書類の準備が大変である。 ・広域認定を維持するため、回収・再資源化を実施する廃棄物処理業者の登録内容の維

持管理(業者の変更、業者の代表者の変更など)に労力を要するとともに業者に対して

も負担をかけることになることが課題である。

2 事業者から排出された使用済み パーソナルコンピュータ

日本アイ・ビー・エム株式会社

Page 86: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-80-

4. 一連の処理行程図

1.

2

日本アイ・ビー・エム株式会社

事業者から排出された使用済み パーソナルコンピュータ

排出事業者

日本アイ・ビー・エム(

株)

[

広域認定を受ける範囲]

収集運搬業者

回収センター

<中間処理>産業廃棄物処分業 許可業者

< 終処分>産業廃棄物処分業 許可業者

産業廃棄物収集運搬業許可業者

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

1.WEBで「事業系PC回収リサイクル・サービスのご提供条件 」の提供

2.WEBで見積依頼3.WEBで見積提供4.WEBで「御見積書兼注文書」発送依頼5.「御見積書兼注文書」発送6.「御見積書兼注文書」捺印→郵送7.「サービスのご案内」送付

1.WEBで「事業系PC回収リサイクル・サービスのご提供条件 」の提供

2.WEBで見積依頼3.WEBで見積提供4.WEBで「御見積書兼注文書」発送依頼5.「御見積書兼注文書」発送6.「御見積書兼注文書」捺印→郵送7.「サービスのご案内」送付

<再資源化>再生利用業者

産業廃棄物収集運搬業許可業者

申込み~契約までの諸手続き

引取り

引取り後支払い

WEBで処理

状況確認

収集運搬委託契約

収集運搬委託契約

収集運搬委託契約

電子マニフェスト

電子マニフェスト

運搬

運搬

排出事業者

日本アイ・ビー・エム(

株)

[

広域認定を受ける範囲]

収集運搬業者収集運搬業者

回収センター

<中間処理>産業廃棄物処分業 許可業者

< 終処分>産業廃棄物処分業 許可業者

産業廃棄物収集運搬業許可業者

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

1.WEBで「事業系PC回収リサイクル・サービスのご提供条件 」の提供

2.WEBで見積依頼3.WEBで見積提供4.WEBで「御見積書兼注文書」発送依頼5.「御見積書兼注文書」発送6.「御見積書兼注文書」捺印→郵送7.「サービスのご案内」送付

1.WEBで「事業系PC回収リサイクル・サービスのご提供条件 」の提供

2.WEBで見積依頼3.WEBで見積提供4.WEBで「御見積書兼注文書」発送依頼5.「御見積書兼注文書」発送6.「御見積書兼注文書」捺印→郵送7.「サービスのご案内」送付

<再資源化>再生利用業者

産業廃棄物収集運搬業許可業者

申込み~契約までの諸手続き

引取り

引取り後支払い

WEBで処理

状況確認

収集運搬委託契約

収集運搬委託契約

収集運搬委託契約

電子マニフェスト

電子マニフェスト

運搬

運搬

注:図中の広域認定を受ける範囲内の収集運搬委託契約は、排出事業者の

立場から見ると「再委託」となる。

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-81-

自主回収の経緯

使用者から回収、リサイクルの要望が多いため、自主回収システムを構築した。業界で

の自主回収はまだ少なく、業界として積極的に自主回収を行う方向には行っていないので、

自社での自主回収となった。 事例 3 研削砥石の自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) ①排出事業者から電話又は FAX で販売代理店・営業所に回収依頼が入る。 ②回収量が少ないときは販売代理店・営業所が新しい製品の納入時に引取る。回収量が

多いときは販売代理店・営業所が運送業者に依頼し、運送業者が引取りを行う。 ③運送業者は、引取った使用済み品を処分業者まで運搬する。

U2-2.費用 収集運搬費及び処分費は排出者が負担している。

U2-3.統括して管理する体制 [運送業者の選定]

・既に取引のある運送業者を中心に広域認定申請時に登録。 [処分業者の選定]

・産業廃棄物処分業の許可を受けているグループ会社がリサイクルを行っている。 ・2次廃棄物の処理業者は、許可、取引先状況、現地確認を行って選定している。

[管理体制] ・排出事業者にマニフェスト又は独自の管理票を交付してもらい、管理している。

U2-4. 契約関係 排出事業者は株式会社ノリタケボンデッドアブレーシブと処理委託契約書を交わす。

3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・研削砥石には大別するとビトリファイド研削砥石とレジノイド研削砥石がある。レジ

ノイド研削砥石は、焙焼炉で無害化して路盤材の原料としてリサイクルを行っている

が、路盤材への利用自体が、広域認定制度の意図しているリサイクル方法とは認めら

れにくいので、広域認定制度の認定範囲の収集運搬はビトリファイド研削砥石のみで

行っている。しかし排出者から排出される砥石は、ビトリファイド研削砥石とレジノ

イド研削砥石の両方があるため、現状は広域認定制度を利用することは少なく、都道

府県知事(保健所設置市は市長)の許可を得ている産業廃棄物収集運搬業者を利用して、

排出者から回収していることが多い。

3

使用済みビトリファイド研削砥石

株式会社ノリタケボンデッドアブレ

ーシブ

Page 88: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-82-

・排出事業者によっては、2 種類の砥石を同時に回収することができないならば、広域

認定の仕組みを使うメリットが少ないとのことで、通常の産業廃棄物として処理委託

していることが多い。 ・今後の課題は、処理方法、処理費用、再生砥石の利用用途の拡大である。

4. 自主回収システムの概略

< 終処分>産業廃棄物処分業 許可業者

<中間処理;破砕→再生砥材等製造>(株)ノリタケリサイクルセンター(産業廃棄物処分業 許可業者)

[

広域認定を受ける範囲]

産業廃棄物収集運搬業許可業者

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

(

株)

ノリタケボンデッドアブレーシブ

排出事業者

自主回収する物:ビトリファイド研削砥石【生産量-45,000t/年(業界全体)】

回収

運搬

(二次廃棄物)

収集運搬

委託契約

マニフェスト

運搬

処分委託契約

収集運搬業者の受注センター

集荷依頼

車両手配

販売代理店・営業所【60社】

集荷依頼

処理委託契約

回収

マニフェスト又は独自の管理票

再生砥石等として利用

支払い

回収

産業廃棄物処理委託契約

収集運搬業者

支払い

3

使用済みビトリファイド研削砥石

株式会社ノリタケボンデッドアブレ

ーシブ

Page 89: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-83-

1. 自主回収の経緯

これまで廃タイヤは、タイヤ販売店、タイヤ販売会社がその事業活動に伴って排出され

る産業廃棄物であるとの厚生省の見解にのっとり、下取り行為として回収していた。しか

し販売価格、整備料金に含めて処理費用を徴収していたため、タイヤ販売店、タイヤ販売

会社は法律違反の可能性を懸念していた。そこで社団法人日本自動車タイヤ協会(メーカー)、全国自動車タイヤ販売協議会連合会(タイヤ販売会社)と当時の通産省、厚生省の直接担当官、

全国産業廃棄物連合会のメンバーで「タイヤリサイクル研究会」を開催し、収集運搬業の許

可なく処理費用をもらって廃タイヤを引取り、適正な処理ル-トを確立できないか 2 年間

にわたり枠組みを検討した。 その結果、「指定一般廃棄物」として、一般廃棄物広域認定制度の対象品目ではなく、処

理業の許可を受けずに廃タイヤを取扱える規制緩和策が廃棄物処理法自体の中で規定され

ている。 事例 4 家庭から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) ①消費者は販売店に廃タイヤを持込む。 ②販売店は直接処理業者に委託するか、一度販売会社に持込む。 ③販売会社は市町村から委託された廃タイヤを引取る。販売店から委託された廃タイ

ヤとあわせ、処理業者に委託する。 U2-2.費用

・販売店において消費者から処理費を徴収している。 ・輸入タイヤなど社団法人日本自動車タイヤ協会の会員以外の廃タイヤであっても、処

理費を引取り時に請求しているため、確実に処理費用を徴収できる。 ・市町村からの引取りを要望された場合も市町村から費用を徴収するよう販売会社に

促している。 U2-3.統括して管理する体制

廃タイヤは、回収段階で産業廃棄物と外見上の区別がつかなくなるため、一般廃棄

物であってもマニフェストを適用している。 ・販売店等が直接処理を委託する場合、販売店等がマニフェストを交付する。 ・販売店等が販売会社に処理を委託する場合、販売店等は委任状を販売会社に交付し、

マニフェストは販売会社が交付する。

4

廃タイヤ

社団法人日本自動車タイヤ協会

Page 90: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-84-

U2-4. 契約関係 ・一般廃棄物であるため、消費者と販売店等の間では書面による廃棄物の処理委託契

約の締結は不要であり、実態としては口頭の契約となる。 ・同様の理由で、販売店等と処理業者とは書面による処理委託契約の締結は不要であ

るが、産業廃棄物処理委託契約に準じた契約を締結する。 ・販売店等が回収した廃タイヤの処理を販売会社に委託した場合、販売店等は委任状

を販売会社に提出し、販売会社は販売店等の代理人として処理業者と委託契約を締

結する。 3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・適正処理を確保するため、廃棄物処理業者は「登録制」としている。製造事業者等には

登録業者の情報を提供し、登録業者へ処理委託することを斡旋している。 ・処理業者の選定にあたっては、既にセメントなどに納入していた既存業者や、販売店

にヒアリングし、候補としてあがった処理業者について設備、能力などの詳細の調査

を行った。調査に応じる処理業者だけ採用することとし、タイヤ業界の動向や法律、

搬入手続きなどについて説明会を開催した。現場の抜き打ち調査も実施している。 ・登録は、社団法人日本自動車タイヤ協会が独自に定めた要件(産業廃棄物処理業の許可

の取得、財務状況、処理現場等の審査など)に合格した者としており、なかでも販売店

の登録は 15 万社に及ぶ。登録される販売店、処理業者の追加は申請書類の名簿に追加

すればよく、名簿の変更は、1 年に 1 回環境省へ報告する手続きとなっている。

4

廃タイヤ

社団法人日本自動車タイヤ協会

Page 91: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-85-

4.一連の処理行程図

消費者

販売店 【15万店】

収集運搬業者

情報提供

登録

登録

審査

確認書

処分委託契約

収集運搬

委託契約

マニフェスト

収集運搬委託契約に準じた契約

処分委託契約

に準じた契約

収集運搬委託契約

に準じた契約

登録

登録

産業廃棄物処分業 許可業者【160社】

産業廃棄物収集運搬業 許可業者【660社】

処分委託契約に準じた契約

マニフェスト

運搬持

込み

運搬

運搬

販売会社【210社】

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

は、①産業廃棄物処理業の許可業者は、

廃棄物処理法施行規則第2条、第2条の3の規定により、一般廃棄物処理業の許可を要しない。

②一般廃棄物再生利用認定制度による認定を取得した者である場合は、一般廃棄物収集運搬業、一般廃棄物処分業の許可及び一般廃棄物処理施設の許可は不要となる。

市町村

持込み

委任状

タイヤ販売専業者/ガソリンスタンド自動車整備工場/カーショップ 等

方法A方法B

情報提供

[

製造事業者等]

4

廃タイヤ

社団法人日本自動車タイヤ協会

Page 92: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-86-

1. 自主回収の経緯

販売店等が回収し、処理を行っている。処理の流れは一般廃棄物の場合と同様である。 ただし産業廃棄物の廃タイヤには、廃棄物処理法自体の中での規制緩和措置がとられてい

ないため、社団法人日本自動車タイヤ協会が申請者となり旧制度の広域再生利用指定を取

得し、実施している。(広域認定申請中) 事例 5 事業者から廃棄されるタイヤの自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) ①排出事業者は、販売店か販売会社に処理を委託し廃タイヤを引き取ってもらう。 ②製造事業者等(販売店と販売会社)は、回収した廃タイヤの処理を廃棄物処理法上の許

可を取得している収集・運搬、処分及び再生処理業者に再委託する。 U2-2.費用

・販売店において廃タイヤを引取る際、処理費を徴収するシステムとなっている。 ・本回収は、商取引と同時に行われることが多く、販売店は処理費を徴収しづらいとい

う報告がある。 U2-3.統括して管理する体制

・マニフェストを全廃タイヤに適用している。排出事業者がマニフェストを交付してい

る。

・全国9ブロックにタイヤ販売会社団体の事務局を置き、月次の発生量、収集運搬業者

及び搬入業者(中間処理業者、処分・再生利用先)毎の取扱い数量をタイヤ販売店、タ

イヤ販売会社、中間処理業者、処分・再生利用先に報告させ、取りまとめ、社団法人

日本自動車タイヤ協会の本部に報告する。

・回収システムに関係する会社は、タイヤ販売店15万店、タイヤ販売会社210社、更生

タイヤ工場40社、収集運搬業者660社、中間処理業者160社、セメント工場等50社ある。

U2-4. 契約関係 ・排出事業者は販売店等と処理委託契約(収集・運搬、処分等の一括契約)を交わし、

再委託の承諾書を交付する。 ・販売店等は、処理業者と再委託契約を締結する。

5

廃タイヤ

社団法人日本自動車タイヤ協会 (旧制度の「広域再生利用指定」で実施中。)

申請中

Page 93: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-87-

3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・適正処理を確保するため、廃棄物処理業者は「登録制」としている。製造事業者等には

登録業者の情報を提供し、登録業者へ処理委託することを斡旋している。 ・処理業者の選定にあたっては、既にセメントなどに納入していた既存業者や、販売店

にヒアリングし、候補としてあがった処理業者について設備、能力などの詳細の調査

を行った。調査に応じる処理業者だけ採用することとし、タイヤ業界の動向や法律、

搬入手続きなどについて説明会を開催した。現場の抜き打ち調査も実施している。 ・登録は、社団法人日本自動車タイヤ協会が独自に定めた要件(産業廃棄物処理業の許可

の取得、財務状況、処理現場等の審査など)に合格した者としており、なかでも販売店

の登録は 15 万社に及ぶ。登録される販売店、処理業者の追加は申請書類の名簿に追加

すればよく、名簿の変更は、1 年に 1 回環境省へ報告する手続きとなっている。

5

廃タイヤ

社団法人日本自動車タイヤ協会 (旧制度の「広域再生利用指定」で実施中。)

申請中

Page 94: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-88-

4. 一連の処理行程図

下記の処理行程により広域認定制度を申請中である。

販売店【15万店】

[

製造事業者等]

[

広域認定を受ける範囲]

申請者:

社団法人日本自動車タイヤ協会

情報提供

登録

登録

審査

確認書

①処理委託契約書

(収集・運搬及び処分)

②(

再委託)

承諾書

マニフェスト

収集運搬委託契約【再委託】

処分委託契約

【再委託】

収集運搬委託

契約

【再委託】

登録

登録

産業廃棄物処分業 許可業者【160社】

産業廃棄物収集運搬業 許可業者【660社】

処分委託契約【再委託】

マニフェスト

運搬

運搬

①処理委託契約書

(収集・運搬及び処分)

②(

再委託)

承諾書

運搬

運搬

販売会社【210社】

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

は、産業廃棄物再生利用認定制度による認定を取得した者である場合は、産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業の許可及び産業廃棄物処理施設の許可は不要となる。

排出事業者

5

廃タイヤ

社団法人日本自動車タイヤ協会 (旧制度の「広域再生利用指定」で実施中。)

申請中

Page 95: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-89-

1. 自主回収の経緯

取引・証明行為に使用する計量器については、計量法において「適正な計量の実施を確保」

するため検定等に合格したものの使用が義務付けられている。今回、本調査対象とした電

気抵抗線式はかりは計量法に規定される代表的な取引用計量器のひとつであり、そのほと

んどがスーパー、百貨店、個人商店及び物流関連等の場で取引行為に使用されている。 また、電気抵抗線式はかりは、計量法において 2 年ごとに定期検査が義務付けられてお

り、こうした実態からメーカーは各々のはかりの使用者名、使用場所、使用台数、検査時

期を把握しているという特徴を持つ。 上記事情からはかりの買い替え需要は、営業推進、製品の自主回収計画等が立てやすい

定期検査時が も多く、その際、顧客から製品の引取りを要求されることとなる。 事例 6 電気抵抗線式はかり(計量機器)の自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) 株式会社寺岡精工の製品出荷は製造工場である株式会社デジアイズから全国へ出荷

されるが、製品納入時の便を有効活用し、使用済み電気抵抗線式はかりの回収を行っ

ている。回収は、小型・軽量製品の場合は営業担当者が社内(株式会社寺岡精工)に持ち

帰った後、株式会社寺岡精工が委託契約する産業廃棄物収集運搬業者及び産業廃棄物

処分業者により回収・移動、処分を行っている。また、包装機付計量器などの大型・重

量製品については営業担当者が回収することが不可能な場合もあることから、製造会

社である株式会社デジアイズの指示のもと専属運送業者により製品を回収、株式会社

寺岡精工を経由して廃棄物収集運搬業者、処分業者で処分される。 U2-2.費用

株式会社寺岡精工は、回収品の再生利用を行わない故に、自社又は専属運送業者に

よる回収後は産業廃棄物として、収集運搬業者及び処分業許可業者へ委託契約書に基

づき、有償による処理を施している。 U2-3.統括して管理する体制

引取り日程の調整から処理までの管理業務は、株式会社デジアイズがマニフェスト

伝票の管理を中心に行っている。ただし、 終的には株式会社寺岡精工本社で処理結

果を管理している。 U2-4. 契約関係

株式会社寺岡精工が排出事業者として、産業廃棄物収集運搬業者、産業廃棄物処分

業者と処理委託契約を締結している。

6 使用済み 電気抵抗線式はかり(計量機器)

株式会社寺岡精工及び関連会社

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-90-

3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

特になし

4. 一連の処理行程図

使用者(大手スーパー、個人商店、物流関連)

回収する物:電気抵抗線式はかり

売買契約

産業廃棄物処分業 許可業者

引取り

処分委託契約

株式会社デジアイズ

回収依頼

集荷指示

産業廃棄物収集運搬業許可業者

下取り

マニフェスト

収集運搬

委託契約

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

(専属運搬業者)産業廃棄物収集運搬業

許可業者

株式会社寺岡精工

6 使用済み 電気抵抗線式はかり(計量機器)

株式会社寺岡精工及び関連会社

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-91-

1. 自主回収のC経緯CT[MH1] T

パレット、通い箱(コンテナー)等を製造し、リースを行っている。一部販売しているパレ

ット等もあり、使用済みとなったこれらの製品の回収を依頼されることがある。 事例 7 パレットの自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) ①排出事業者は、三甲株式会社へ使用済みパレット等の回収依頼を行う。 ②三甲株式会社は回収依頼に基づき、使用済みパレットを下取りし、自社もしくは廃

棄物処理業者に委託して再度製品化(マテリアルリサイクル)する。 ③リサイクルが完了したときは排出事業者にリサイクル報告書を提出する。

U2-2.統括して管理する体制 回収した使用済みパレット等は、自社のシステムで管理するとともに、社外に処理

を委託する場合はマニフェストを交付している。 U2-3. 契約関係

三甲株式会社が排出事業者として、産業廃棄物処理業者と契約を締結している。 3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

特になし

7

使用済みパレット

三甲株式会社

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-92-

4. 一連の処理行程図

排出事業者

回収する物:使用済みコンテナー(プラスチック製)使用済みパレット(プラスチック製)

<破砕処理等>

三甲株式会社

三甲株式会社

処分

委託契約

産業廃棄物収集運搬業許可業者

下取り

マニフェスト

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

製品納入車両

<破砕処理等>

委託加工先(産業廃棄物処分業 許可業者)

リサイクル製品販売

運搬

運搬

運搬

原料納入

回収依頼

リサイクル証明書発行

<リサイクル製品製造>

三甲株式会社

7

使用済みパレット

三甲株式会社

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-93-

1. 自主回収の経緯

インバースマニュファクチャリングの考え方に基づき、環境負荷低減を目的とした「循環

生産システム」を創り上げ、その一環として「写ルンです」の回収を行っている。 事例 8 レンズつきフィルムの自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) 「ミニラボ」で不要となったカメラ本体は、富士写真フィルム株式会社が販売した印

刷用紙を納入した際の箱(回収ボックスとして再使用)へ投入される。「総合ラボ」の者が

「ミニラボ」へ立ち寄った際にそれを回収(回収率約 60%)し、富士写真フィルム株式会社

が「総合ラボ」に印刷用紙を納入した際、それを回収している(回収率 100%)。回収され

たものは富士写真フィルム循環生産工場内でリユース及びマテリアルリサイクルされ

る。 U2-2.費用

レンズ付フィルム使用者、「ミニラボ」からは費用を徴収しない。「総合ラボ」には、

回収個数に応じた回収手数料を支払っている。したがって買取りに該当する。 U2-3.統括して管理する体制

特になし。 U2-4. 契約関係

リユースを主体にしており、廃棄物ではないという判断から廃棄物処理法上の契約は

締結していない。 3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・循環生産システム構築にあたっては、循環生産工場がある神奈川県との協議を重ね、

実現に至っている。 ・「写ルンです」販売時は、現像が「総合ラボ」でしか行われず、カメラ本体は「総合ラボ」

から全量回収することができた。しかし「ミニラボ(店頭で現像を行う)」の出現により、

不要となったカメラ本体は「ミニラボ」の廃棄物として廃棄されるようになり、回収が

困難となった。現在は、「ミニラボ」の協力の範囲で分別回収を行っている。 ・回収されなかった製品は、海外等で類似商品として販売されてしまっていることが多

い。これを防止する目的と、再生を行っている循環生産工場の稼動効率を向上させる

ためにも、回収率の向上が課題である。

8

使用済みレンズ付フィルム

富士写真フィルム株式会社

非廃棄物

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-94-

4. 一連の処理行程図

消費者

ミニラボ店

回収BOX

富士写真フィルム株式会社

<<<<

<<<<<

写真

現像依頼

自主回収する物:写ルンです

印刷用紙BOX

印刷用紙納入

回収協力依頼

総合ラボ[グループ会社約30社]

<保管>

無料回収

回収率:60%

回収手数料支払い

富士写真フィルム株式会社循環生産工場

回収印刷用紙納入

帰り便

訪問時に

持帰り

自社製品

他社製品返送

他社が回収した自社製品送付

回収率:100%

8

使用済みレンズ付フィルム

富士写真フィルム

非廃棄物

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-95-

1. 自主回収の経緯

産業構造審議会品目別廃棄物処理・リサイクルガイドラインの品目として指定されてお

り、取付工事を要する給湯器等の設備機器は現有の産業廃棄物ルートで回収・リサイクルが

行われており、「定点観測システム」により今後も回収・リサイクル率の確認をすることによ

り現行ルートを継続する。なお、参考までにガスこんろ(ガステーブル)やストーブ・ファン

ヒーターなどは、有価物として取引されることから、自治体による回収を基本としている。 事例 9 ガス石油設備機器の自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) ガス石油設備機器(給湯器付ガスふろがま等)は、取付、取外しに工事を要することか

ら、工事に伴う廃棄物としてその元請となる設置業者が排出事業者となるか、販売店

が下取りし、排出事業者として処理を行う。 現在は、各販売店の判断で独自の運用となっているのが実情である。

U2-2.費用 無料で回収する場合、又は 1,000 円程度を徴収している場合がある。

U2-3.統括して管理する体制 管理体制は確立していないが、定期的に「定点観測システム(販売店等に対するアンケ

ート調査)」を実施することにより回収・リサイクル率の確認をすることとしている。 U2-4. 契約関係

・販売店が排出事業者となる場合 販売店が処理業者に処理を委託する。販売店とガス石油設備機器のユーザー間では

売買契約は存在するが、廃棄物処理法に基づく契約は締結されない。 ・設置業者が排出事業者となる場合 販売店又はガス石油設備機器のユーザーと設置業者間では廃棄物処理法に基づく契

約は締結されない。 3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

特になし。

9 使用済みガス石油設備機器 (設置工事を要するもの)

製造業者 ヒアリング先:日本ガス石油機器工業会

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-96-

4. 一連の処理行程図

使用者

回収する物:ガス石油設備機器

販売店

(製造業者のグループ会社、個人商店)

回収率:72%(2004年)

無料~1,000円

設備設置業者

取付/取外/回収

有価物として販売

産業廃棄物収集運搬業許可業者

産業廃棄物処分業許可業者

日本ガス石油機器工業会

運搬

マニフェスト

収集運搬

委託契約

処分委託契約

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

アンケート

9

使用済みガス石油設備機器 (設置工事を要するもの)

製造業者 ヒアリング先:日本ガス石油機器工業会

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-97-

1. 自主回収の経緯

密閉形蓄電池(密閉形鉛蓄電池・密閉形アルカリ蓄電池・リチウム蓄電池。以下「小形二次電

池」とする)は、資源有効利用促進法で指定再資源化製品に指定されており(第 3 編参照)、自

主回収及び再資源化を行うこととされている。事業者により回収することが経済的に可能

であり、かつ再生資源の有効利用を図る上で特に必要なものとして指定された。 また、使用済み小型二次電池の回収は廃棄物処理法の適用も受けるため、有限責任中間

法人 JBRC は広域認定を取得(平成 16 年 12 月 2 日)し、全国的に回収する自主回収システ

ムを構築している。回収量は 1,150~1,250t/年である。産業廃棄物となった小形二次電池を、

有限責任中間法人 JBRC が窓口となり、契約している収集運搬業者(登録済)を利用して回収

し、契約している処分業者(許可あり)で処理をしている。 事例 10 事業系小形二次電池の自主回収システム事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) リサイクル協力事業者として登録した者は、ある程度の量が溜まった段階で有限責

任中間法人 JBRC に回収を依頼する。有限責任中間法人 JBRC は契約している収集運

搬業者へ連絡し、指定した処分業者(リサイクラー)までの運搬を委託し、処理を行う。 U2-2.費用

・排出事業者は、無償で使用済み小形二次電池の回収、再資源化処理を委託する。 ・回収、再資源化処理費用は、有限責任中間法人 JBRC が支払っているが、その原資は

有限責任中間法人 JBRC 会員の会費で賄われる。 U2-3.統括して管理する体制

・排出者は登録制としている。 ・処理業者は有限責任中間法人 JBRC が審査を行い、適合した者のみに処理を委託する

ものとしている。 U2-4. 契約関係

有限責任中間法人 JBRCが「リサイクラー」と認定している産業廃棄物処分業者2社と産

業廃棄物処理委託契約を締結している。また、運搬業者とも同様の契約を締結している。

3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・有限責任中間法人 JBRC は会員が製造、機器に使用した電池の重量に応じて半期ごとに

会費を徴収して活動、運営の原資としている。そのため徴収した会費と排出された小形

二次電池の回収・再資源化処理費用が一致しない可能性がある。有限責任中間法人 JBRC

10

事業系使用済み小形二次電池

有限責任中間法人 JBRC

Page 104: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-98-

は、中間法人法に基づく法人のため、社団法人のような税務上の特例適用が無く、期末

における剰余金は利益とみなされ課税対象として税金を納付しなければならない。 4.一連の処理行程図

リサイクル協力事業者

有限責任中間法人JB

RC

< 終処分>産業廃棄物

処分業許可業者

処分業者(リサイクラー)

登録

集荷依頼

集荷依頼

無料回収

運搬業者

収集運搬委託契約

処分委託契約

審査

運賃支払

再資源化処理量報告

処理費支払

会費納入

会員

・小形二次電池メーカー・小形二次電池使用機器メーカー・小形二次電池及び小形二次電池

使用機器の輸入販売事業者

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

[

広域認定を受ける範囲]

処理委託契約

材料メーカー

再資源化物の売却 廃棄物の処分

10

事業系使用済み小形二次電池

有限責任中間法人 JBRC

Page 105: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-99-

※本事例は、自主回収システム構築にむけて検討中のものである。 1. 自主回収の経緯 電池を使用する機器又は電池を販売する事業者は、資源有効利用促進法の前身である再

生資源の利用の促進に関する法律で、店頭での電池の分別回収に努めることとされていた。

そのため、全国的に店頭に回収ボックスが設置され、販売店等による回収が行われてきた。

資源有効利用促進法でも、密閉形蓄電池(密閉形鉛蓄電池・密閉形アルカリ蓄電池・リチウム

蓄電池。以下「小形二次電池」とする)は、事業者により回収することが経済的に可能であり、

かつ再生資源の有効利用を図る上で特に必要なものとして指定再資源化製品に指定されて

いる(第 3 編参照)。現在社団法人電池工業会では、有限責任中間法人 JBRC を設立し、この

一部の会員企業が資源有効利用促進法第 27 条に規定する認定を受け、回収ボックスを使用

した全国規模の自主回収システムを構築し、運用している。有限責任中間法人 JBRC は、

現在この自主回収システムについて広域認定の取得を検討している。 事例 11 家庭系小形二次電池の自主回収システム検討事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) リサイクル協力店に設置された黄色い「リサイクル BOX」が、消費者が投入した使用済み

小形二次電池でいっぱいになれば、リサイクル協力店が有限責任中間法人 JBRC に回収依

頼を行う。また、リサイクル協力自治体は、家庭から集めた小形二次電池が所定量貯まっ

たら、有限責任中間法人 JBRC に回収依頼を行う。そして有限責任中間法人 JBRC が運送

手配を行い、登録運送業者により回収され、指定された処理業者において再資源化処理さ

れる。 U2-2.費用

無償回収、再資源化処理が基本であり、その費用はすべて有限責任中間法人 JBRCが支払い、その原資は会員の会費で賄われる。

U2-3.統括して管理する体制 ・リサイクル協力自治体、リサイクル協力店は登録制としている。 ・処理業者(リサイクラー)は有限責任中間法人 JBRC が審査を行い、適合した者のみに処

理を委託するものとし、定期監査を実施している。 U2-4.契約関係

有限責任中間法人JBRCが「リサイクラー」として認定している処理業者と処理委託契約

を締結している。また、運搬業者とも同様の契約を締結している。

3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

11

家庭系使用済み小形二次電池

有限責任中間法人 JBRC 検討中

Page 106: 自主回収システムに係る法規制 と特例制度の活用に関する調 …...TU調査研究の目的 UT 5 TU第1編 UT TU自主回収システムの構築 UT 7 TU第1章

事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-100-

・使用済み小形二次電池は、それ単体では家庭から排出されたものか事業者から排出さ

れたものかの区別が難しく、家庭から排出された使用済み小形二次電池を回収する

BOX に事業者が排出したと思われる小形二次電池が混ざってしまうことがある。 ・有限責任中間法人 JBRC は、会員が製造または機器に使用した電池の重量に応じて半

期ごとに会費を徴収して活動、運営の原資としている。そのため徴収した会費と排出

された小形二次電池の回収・再資源化処理費用が一致しない可能性がある。有限責任中

間法人 JBRC は中間法人法に基づく法人のため、社団法人のような税務上の特例適用

がなく、期末における剰余金は利益とみなされ、課税対象として税金を納付しなけれ

ばならない。

4. 一連の処理行程図

サイクル協力自治体リサイクル協力店

有限責任中間法人JB

RC

処分業者(リサイクラー)

登録

集荷依頼

集荷依頼

無料回収

運搬業者

収集運搬委託契約

処分委託契約

審査

運賃支払

再資源化処理量報告

処理費支払

会費納入

会員

・小形二次電池メーカー

・小形二次電池使用機器メーカー

・小形二次電池及び小型二次電池

使用機器の輸入販売事業者

消費者

持込み

リサイクルBOX

[

広域認定を受ける範囲]

収集

材料メーカー

再資源化物の売却

11

家庭系使用済み小形二次電池

有限責任中間法人 JBRC

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

検討中

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-101-

※本事例は、自主回収システム構築にむけて検討中のものである。 1. 自主回収の経緯

消費者から排出されるスプリングマットレスは、一般廃棄物として市町村で処理するこ

とになるが、処理が難しい適正処理困難物に指定され、自主回収が求められ、自主回収シ

ステムを検討している。 なお、病院などから排出されるスプリングマットレスは産業廃棄物であり、処理施設が

整った産業廃棄物処理業者で適正に処理されているため、現時点での回収は検討していな

い。 事例 12 スプリングマットレスの自主回収システム検討事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) 販売店が販売時に、消費者から使用済みベッド(スプリングマットレスとフレーム等)

を下取りして回収する。販売店ではスプリングマットレスとその他のフレーム等に仕

分ける。 フレームも一般廃棄物であることから、自治体との連携を検討する。可能であれば、

事業系一般廃棄物として自治体に処理委託を行なう。 スプリングマットレスはさらに中間処理業者で再資源化する方法を検討中である。

U2-2.費用 現在検討中である。使用期間の長い製品であるため、処理費用の徴収時期(先払い、

後払い)の設定が難しいと思われる。 現在、東京都での回収費用は 800 円。小規模自治体では約 3,000 円となっている。

また、収集運搬費用は使用者の負担だが、処分費用は税金でまかなっている自治体も

ある。全日本ベッド工業会での以前の調査では、使用者の自宅から回収し処理を完了

するまでは 9,000 円以上になると試算している。 U2-3.統括して管理する体制

現在検討中である。販売店が下取りを行った段階から処理が完了するまでを全日本

ベッド工業会が管理する案があり、スプリングマットレス用マニフェストを作成、若

しくは通常のマニフェスト(産業廃棄物管理票)を準用する方法が検討されている。 U2-4. 契約関係

現在検討中である。一般廃棄物であるため廃棄物処理法上の契約書作成義務はない

が、製造事業者等と処理業者の間は、産業廃棄物の契約に準じた内容での契約締結を考え

ている。一般ユーザー(排出者)と販売店等の間では、売上時に伝票が発行される。

12

使用済みスプリングマットレス

各スプリングマットレス製造事業者 検討中

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-102-

3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

U3-1.スプリングマットレスが一般廃棄物であるという問題 ・ 大の課題は、スプリングマットレスが一般廃棄物に該当するため、それを処分する

施設は一般廃棄物処理施設の設置許可を取得しなければならないことであった。(平成

15 年度の廃棄物処理法の改正によりこの障害は緩和された。) U3-2.スプリングマットレスの重量・サイズの問題

大型であることから回収には専門業者が 2 名必要となるため、運送コストの問題が

ある。納入車両の帰り便を効果的に活用できないか検討している。 U3-3.販売量及び販売者の把握

現在、市場におけるスプリングマットレスの販売量として、半数以上が海外から輸

入されていると予測されており、スプリングを内蔵したベッドを、スプリングマット

レスとして輸入していない事業者もあるため、販売台数が不明確である。リサイクル

事業を行なうにも、国内事業者だけで実施し、万一事業自体が赤字となった場合、国

内事業者だけにしわ寄せを求めるわけには行かない。 適正処理困難物指定の商品であればこそ、どの程度国内生産され、どの程度海外か

ら輸入されているのかを把握する必要があると共に、ただ安ければよいとの気持ちで

輸入する事業者への責任追及は必要と考える。その為の対策をどの様に行なうのか、

現状、輸入している事業者には大規模事業者から小規模事業者もおり、その内容が不

明で、把握が難しいのが現状だが、通関時点でのデータ把握の方法など、国の主導で

実施しなければ出来ない現状である。

12

使用済みスプリングマットレス

各スプリングマットレス製造事業者 検討中

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-103-

4. 一連の処理行程図

販売店

<分別>

消費者

電気炉メーカー金属回収業者熱回収業者

詰め物スプリング

産業廃棄物収集運搬業許可業者

自治体

[

広域認定を受ける場合の範囲]

産業廃棄物収集運搬業許可業者

運搬

自主回収する物:スプリングマットレス【回収見込量-542千枚/年】

収集運搬業者

<中間処理; 電炉処理 >一般廃棄物処分業

許可業者

運搬

下取り

申請者:

未定

(

製造事業者等)

産業廃棄物収集運搬業許可業者

<中間処理; 分解処理 >一般廃棄物処分業

許可業者

運搬

運搬

一般廃棄物収集運搬業許可業者

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

スプリングマットレス用マニフェスト運搬

収集運搬委託契約に準じた契約

収集運搬委託契約に準じた契約

処分委託契約に準じた契約

処分委託契約に準じた契約

スプリングマットレス用マニフェスト

スプリングマットレス用マニフェスト

※本事例は自主回収システム検討段階のものである。

12

使用済みスプリングマットレス

検討中 各スプリングマットレス製造事業者

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-104-

※本事例は、自主回収システム構築にむけて検討中のものである。 1. 自主回収の経緯

大型電子楽器は、通常のピアノと異なり、4~5 年で中古市場に広がり始める。製品寿命

は 10 年程度であるが、その後も家庭に置かれ 20 年以上保有されることも多い。現在、一

般廃棄物として 30,000 台/年(推計)廃棄されているが、回収しない方針を定めている自治体

(全く回収しない自治体、処分場まで持込んだ場合のみ処分する自治体、回収は行わないが

処理業者を HP 等で紹介している自治体等)もあるため、自主回収等の対応を検討している

段階である。 大型電子楽器には、大きく分けて電子ピアノと電子オルガンの 2 種類ある。業界全体の

年間売上げ台数については、電子ピアノは近年売上げが伸びており約 14 万 4 千台だが、電

子オルガンは約 2 万 5 千台である。しかし、過去の実績は電子オルガンの方が多く、累計

販売台数は電子ピアノが 200 万台、電子オルガンが 300 万台である。 事例 13 大型電子楽器の自主回収システム検討事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略 [現状]

現状は、販売店が下取りした大型電子楽器の一部をヤマハ株式会社が下取りし、産

業廃棄物としてリサイクルしている。販売店が排出事業者として処理しているケース

もある。ヤマハが行っている電子オルガンのリサイクル率は 40%程度である。なお、

試験的にはマテリアルリサイクル 47%程度、サーマルリサイクル 47%程度可能との結

果が出ている。また、平成 15年度以降に販売した製品より易分解設計を採用している。 [広域認定の取得の検討]

まだ具体化していないが、将来的に広域認定の取得を検討する可能性がある。その

際、現在は下取りをしているため産業廃棄物扱いになるが、広域認定を取得する場合

家庭から排出されるものについては一般廃棄物になる。したがって告示による指定が

必要であるが、各自治体で処理が困難であるとの認識が広がっており、指定を受ける

可能性は少なくない。 広域認定を取得する場合は、大型電子楽器は電子機器の一種であるため、家電リサ

イクルや PC リサイクルで実績のあるところと仕組みを作れないかと考えている。

13 使用済み大型電子楽器 (電子ピアノ、電子オルガン) 検討中 ヒアリング先:ヤマハ株式会社 検討中

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-105-

U2-2.費用 U

過去の試算であるため参考値であるが、右記のよ

う結果が出ている。 U2-3.統括して管理する体制

おそらく業界全体で取組むことになると思われ

る。具体的な体制については検討中。 U2-4. 契約関係

検討中だが、後払い方式が有力。 3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・現時点での課題は、自主回収する物が大型であるため、場合によっては回収に専門作

業員が 2 名必要となり、回収費用が高額になることである。ユーザー宅からの回収に

関しては、製品の特殊性から楽器運送の実績のある運送業者(動脈系)から選定する可

能性が高い。 ・リサイクル費用の徴収方法も今後の検討課題となる。市場での滞留期間が 20 年程度

あり、中古市場も関係するため先取り方式は難しいと考えているが、製品自体が高額

であるため、費用の内部化の可能性も否定できない。

リサイクル費用 ¥5,000分別費用 ¥4,000 処分費用 ¥1,000

回収費用 ¥10,000拠点間物流費用 ¥1,000

13 使用済み大型電子楽器 (電子ピアノ、電子オルガン) 検討中 ヒアリング先:ヤマハ株式会社 検討中

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-106-

4. 一連の処理行程図 (大型電子楽器の現状での廃棄ルートの整理≠自主回収システム)

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

市町村 販売店

その他不明

収集運搬業者

新製品納入時に下取り(買取)

ヤマハ株式会社 リース会社

一般廃棄物処分業許可業者

産業廃棄物処分業許可業者

産業廃棄物収集運搬業許可業者

収集運搬業者

新製品納入時に下取り(買取)

回収

30,000台/年(推計) 5,000台/年(推計) 5,000台/年(推計)

※台数は、集計データのある電子オルガンを掲載

家庭から廃棄 音楽教室から廃棄

自主回収する物:大型電子楽器

排出者

13 使用済み大型電子楽器 (電子ピアノ、電子オルガン) 検討中 ヒアリング先:ヤマハ株式会社 検討中

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-107-

※本事例は、自主回収システム構築に向けて検討中のものである。 1. 自主回収の経緯

使用済みの寝具については一般家庭から処理に困っているという声が多いため、全日本

寝具寝装品協会が中心となって製造業者が主体となる自主回収システムの構築を検討して

いる。全日本寝具寝装品協会では、これまでに自主回収の実験等を実施している。 事例 14 寝具(布団類)の自主回収システム検討事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) 個々の製造業者が主体となり、寝具専門店が回収拠点の窓口で検討している。

U2-2.費用 検討中。

U2-3.統括して管理する体制 検討中。

U2-4. 契約関係 検討中。

3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

現在、以下のような課題があがっている。 ・回収した物の処理方法が確定できない。 布団の綿は染色されていないため、分別ができればリサイクルできる。しかし古繊維

業者は小規模事業者が多く、回収した布団を保管しておく場所がない。他の利用用途

としてはコンクリート型枠、熱回収である。回収した物の利用用途が確保しきれてい

ないため自主回収が滞っている。 ・店頭回収については、寝具専門店の協力は得やすいと考えているが、百貨店・量販店か

らは抵抗があると思われる。特に、都心の店舗では保管場所が少ないため問題となる。 ・店頭回収したものは、各社の配送センターへ持ち帰ることを検討しているが、衛生面

から、製品納入車両との混載は難しいと思われる。 ・自主回収をおこなう主体が明確ではない。布団業界の商流では、製造事業者は小規模

で問屋が大企業であるため、問屋による自主回収事例もある。一方製造事業者は焼却

炉を設置しているところが多いため、製造事業者が焼却することがある。現時点では

製造事業者が回収の主体となることを検討している。

14

使用済み寝具(布団類)

製造業者(検討中) ヒアリング先: 全日本寝具寝装品協会 検討中

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-108-

4. 一連の処理行程図

消費者

製造事業者等(メーカー、卸売業者、洗濯業者)

産業収集運搬業者許可業者

持込み/下取り

自主回収する物:家庭から排出される布団

産業廃棄物収集運搬業許可業者

<中間処理;焼却>

製造業者

(産業廃棄物処分業許可業者)

<中間処理;コンクリート型枠>

産業廃棄物処分業許可業者

79%

市町村

<中間処理;焼却>

市町村

回収

21%

販売店[排出事業者]

運搬

回収

運搬

運搬 運搬産業廃棄物収集運搬業許可業者

運搬

運搬 運搬

※本事例は、自主回収システム構築に向けて検討中のものである。

14

使用済み寝具(布団類)

製造業者(検討中) ヒアリング先: 全日本寝具寝装品協 検討中

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-109-

※本事例は、自主回収システム構築に向けて検討中のものである。 1. 自主回収の経緯

適正処理困難物の指定とはなっていないが、市町村での処理が困難である。多くの市町

村では回収していないという報告があり、平成 12 年から消防庁と消火器工業会が連携して

自主回収方法を模索している。自主回収方法の検討にあたっては以下の方法以外の回収方

法も検討しているが、まずは以下の方法で実施されると思われる。広域認定の申請は消火

器工業会ではなく、消火器製造事業者が個別に行うものとしている。 事例 15 消火器の自主回収システム検討事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) ①排出者は、消火器製造事業者へ廃棄の連絡をする。 ②排出者へ引取り依頼伝票が送付される。 ③排出者は処理費用を振込み、販売代理店へ持ち込む。又は回収を依頼する。 ④回収された消火器は消火器製造事業者に引き取られ、エコ消火器の原料へ再資源化

される。 U2-2.費用

排出者が製造業者へ振込方式で支払う予定。1,000~1,500 円/本を想定している。 U2-3.統括して管理する体制

伝票で管理する方法を検討している。排出者が伝票を記入し、運送業者がそれを引

取り自主回収する製造事業者へ引渡す。製造事業者が消火器を引き取ってから運搬費

用を支払う。 U2-4. 契約関係

検討中。 3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

・廃棄物の区分について、環境省、消防庁と協議をしたところ、消火器の消化剤が粉

末の場合、その部分については一般廃棄物扱いとなる(粉状の廃棄物に該当する産業

廃棄物の種類がないため)。一方、消火剤が液体の場合は廃酸や廃アルカリになるた

め、産業廃棄物となる。産業廃棄物と一般廃棄物両方の広域認定を取得するか、ど

ちらか片方を先に取得するかなど、今後の検討課題である。 ・一般廃棄物の場合、現時点では広域認定を申請することができない。環境省と協議

し広域認定への申請が可能となるよう、告示の改正が検討されている。 ・回収した消火器の処理は、大手消火器製造事業者が自社設備内に新たな設備を設置

15

使用期限切れ消火器

メーカー

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-110-

し、リサイクルを実施することになるが、これらの設備について一般廃棄物処理施

設の設置許可を取得することが今後の課題である。

4. 一連の処理行程図

排出者

自主回収する物:消火器生産本数-345万本(平成11年度実績)

消火器製造会社

持込み

戸口回収

収集運搬業者

回収申込み

引取り依頼伝票送付

料金振込み

¥1,000~¥1,500

収集運搬業者

収集運搬業者料金支払い

[

広域認定を受ける場合の範囲]

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

金属販売

分解↓

消化剤の再生

※本事例は、自主回収システム構築に向けて検討中のものである。

15

使用期限切れ消火器

メーカー

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-111-

※本事例は、自主回収システム構築にむけて検討中のものである。 1. 自主回収の経緯

従来、鉛の市況が好況だったため、鉛バッテリーは有価物として取引されていた。その

後、鉛相場の下落等により相対的にバッテリーの解体・鉛精錬コストが高くなり、使用済み

バッテリーの回収が停滞し始め、当時の通産省の指導に基づき下取りを基本とした「鉛リサ

イクルプログラム」による自主回収を開始した。しかし、輸入バッテリーの増大や、相場下

落時の不法投棄のリスク等の影響から、鉛相場の影響を受けない継続的・安定的なバッテリ

ーリサイクルシステムを構築する必要が生じ、現在広域認定の取得を検討している 中で

ある。4.一連の処理行程図は、検討段階の自主回収システムを図示したものである。 事例 16 鉛バッテリーの自主回収システム検討事例 2. 自主回収システムの概略

U2-1.概略(物の流れ) ①使用者が新規バッテリーを購入した際、バッテリーを交換し、不要となった使用済

みバッテリーを販売店が引取る。 ②回収業者は、販売店から使用済みバッテリーを回収し、バッテリー解体業者(リサイ

クラー)まで運搬する。 ③リサイクラーは、使用済みバッテリーを解体し、鉛再生のための原料として活用で

きるようにする。 U2-2.費用

・バッテリー販売時に製品価格とは別にリサイクル費を明示する。 ・電池製造事業者、電池販売事業者等指定再資源化事業者は、電池販売量に応じて協会

リサイクル費を納付する。 ・協会は、リサイクル費用(回収費、解体費)を回収業者とリサイクラーから成るジョイ

ント・グループに支払う。 U2-3.統括して管理する体制

検討中。 U2-4.契約関係

検討中。 3. 苦労したこと、工夫したこと、今後の課題

特になし

16

使用済み鉛バッテリー

有限責任中間法人鉛電池再資源化協会 検討中

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-112-

4. 一連の処理行程図

電池販売店【リサイクル費は製品価

格と別に明示】

バッテリー解体業者(リサイクラー)

<鉛回収> <二次廃棄物>

回収

< 終処分>産業廃棄物処分業 許可業者

自動車解体業者等[排出事業者]

[

広域認定を受ける場合の範囲]

産業廃棄物収集運搬業許可業者

運搬

運搬

マニフェスト

収集運搬

委託契約

処理委託契約

有限責任中間法人

鉛蓄電池再資源化協会

排出事業者

自主回収する物:鉛バッテリー

持込み

配車手配

配車依頼

支払い

運搬

契約

収集運搬業者

回収

使用済み製品の流れ

情報の流れ

マニフェストの流れ

契約関係

お金の流れ

収集運搬業の許可必要

処分業の許可必要

収集運搬業の許可不要

処分業の許可不要

広域認定を受ける範囲

電池購入・交換(持込み)

支払い

契約

回収

<ジョイント・クループ>

※本事例は、自主回収システム検討段階のものである。

16

使用済み鉛バッテリー

有限責任中間法人鉛電池再資源化協会

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-113-

※現在、検討中であり、以下は検討段階の情報である。 1. 自主回収の経緯

適正処理困難物には指定されていないが、多くの自治体での回収、処理が困難とされて

いる(焼却、運搬時の事故事例もあるため、自治体からは自主回収の要望が高い)。ガスボン

ベは、全国的に流通しており一般廃棄物となるため、事業者ごとに自主回収することは困

難である。しかし、ガスボンベは商品単価も安く工業会の規模も小さいため、工業会単独

ではなく自治体やエアゾール業界等と共同で自主回収システムを検討している。 事例 17 ガスボンベの自主回収システム検討事例 2. 現在の検討課題

・回収時の形態について 使用済みガスボンベは、穴を開ければ缶と同じ資源ごみとして扱うことが可能で

ある。しかし穴開け時の事故事例があるため、工業会では「使い切って廃棄」を推奨

している。自治体によっては「穴を開ける」ことを推奨しているところもある。 ・費用の問題①

廃棄処理システムは自治体が収集、分別し事業者が処理という方向でエアゾール

業界と共同で検討中であるが、トータルで一番コストを吸収できる方策を模索中で

ある。 工業会では、専用の破砕機を自治体に導入する方法が、環境負荷、危険性を踏ま

えベストであると考えている(自治体による分別収集が前提条件)。破砕機は 1,000 万

円~2,000 万円/台で、全国に導入した場合は約 62 億円となり、この投資を製造事業

者が引き受けた場合、10 年償却ではガスボンベ 1 本あたり 1 円の負担増と試算され

る。1 円増は末端価格にすると 100 円増となるため、製品単価が百数円のものに 100円増の実現は難しいと思われ、費用分担をどうするかが課題である。現在のところ、

松戸市、横浜市(6 台の導入で全市内分を処理)、札幌市、豊橋市で導入実績がある。

物流コストが高いため、容器包装リサイクル法の仕組みと合わせることで効率化さ

れると思われるが、問題は山積している。 ・費用の問題②

ガスボンベの製造事業者は中小企業が多く、市場にあるガスボンベの製造事業者

が 10 年間で数社倒産している。倒産した製造事業者が製造したガスボンベの処理費

用をどうするかも問題である。 ・自治体が回収した場合、一般廃棄物の越境移動が困難であり、全国的に自主回収システ

ムを構築するには多額の資金が必要となる。 ・特定家庭用機器のリサイクル工場に破砕機を導入する方法も検討したいと考えている。

17

使用済みガスボンベ

ヒアリング先:日本ガス石油機器工業会

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事例 No. 自主回収 の対象物

廃棄物の区分

1. 一般廃棄物 2. 産業廃棄物

自主回収を 実施する者

広域認定制度

活用の有無 有 ・無

-114-

・ガスボンベにはエアゾール缶も含まれているが、普及率もあり危険性が高いため別のシ

ステムとすることも検討できる。 ・家庭用、レジャー用、緊急時用品として社会的にも認知された商品であり、事業者とし

ての廃棄処理負担はある程度やむを得ないと考えている。 3. 一連の処理行程図(省略)

17

使用済みガスボンベ

ヒアリング先:日本ガス石油機器工業会

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-115-

第3編 法令の解説

寄 稿 廃棄物処理の Q&A 第 1 章 自主回収システム構築に関する法律 第 1 節 廃棄物・リサイクル関連法制度の概要とその課題 第 2 節 自主回収システム構築と廃棄物処理法 第 3 節 自主回収システム構築と独占禁止法 第 4 節 自主回収システム構築に関わる処理施設を規制する法令

1. 大気汚染防止法 2. 水質汚濁防止法 3. 騒音規制法 4. 振動規制法 5. ダイオキシン類対策特別措置法 6. 消防法 7. 土地利用、工場建設に関わる法令

8. 条例による規制 第 2 章 使用済み製品の回収を義務付けている法律 第 5 節 資源有効利用促進法の指定再資源化製品について 第 6 節 容器包装リサイクル法の解説 第 7 節 家電リサイクル法の解説 第 8 節 自動車リサイクル法の解説

参考資料

C(契約書など)CT[MH2] T

広域認定制度申請の手引き

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-116-

寄稿 廃棄物処理の Q&A

自主回収システムに係る法制度と特例制度の活用に関する調査研究委員会委員長

明治大学 法科大学院 教授 柳 憲一郎

質問 1 下取りが廃棄物処理法施行規則第 9 条の許可不要の者に記載されていないのに、許可不

要とされるのはなぜですか。 回答 廃棄物処理法の第 14 条第 1 項は、「産業廃棄物の収集又は運搬を業として行なおうとす

る者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事(保健所設置市は市長)の許可を

受けなければならない。但し、事業者、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集

又は運搬を業として行うものその他環境省令で定める者については、この限りではない」と

規定しており、産業廃棄物の収集運搬には業の許可が必要と規定している。なお、許可の

不要の者は本条但し書き及び法施行規則第 9 条に規定されている。 ところで、「下取り」とは、製品を納入する際に無料で使用済み製品を引き取ることが前

提に行われる商慣習である。下取りしたものの収集運搬に業の許可を要するか否かについ

ては、廃棄物処理法が下取り行為のことを明示していないので、「いわゆる下取り行為を行

う者は産業廃棄物収集運搬業の許可は必要か」との疑義照会がなされた。その結果、通達に

より、「新しい製品を販売する際に商習慣として同種の製品で使用済みのものを無償で引き

取り、収集又は運搬をする下取り行為については、収集運搬業の許可は不要」との回答がな

されている(産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業の許可に係る廃棄物の処理及

び清掃に関する法律適用上の疑義について(平成 5 年 3 月 31 日衛産第 36 号 問 10))。現状

はこの通知の解釈に則り、下取り行為は収集運搬業の許可が不要であるものとして運用さ

れている。なお、下取りの場合でも、下取りした物の運搬を自ら行わず、第三者に委託し

た場合には、許可不要とはならない点は注意すべきである。

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-117-

質問 2 一般廃棄物広域認定制度は対象製品が 5 種類しかないのはなぜですか。行政で処理が困

っていない一般廃棄物を広域認定制度の対象とすることはできないのですか。 回答 平成 15 年改正の廃棄物処理法では、第 9 条の 9(一般廃棄物の広域的処理に係る特例)及び第 15 条の 4 の 3(産業廃棄物の広域的処理に係る特例)の規定が追加され、環境大臣が廃

棄物の減量その他その適正な処理の確保に資する広域的な処理を行う者を認定し、その者

には、地方公共団体ごとの許可を不要とする特例措置を設ける制度を創設している。 広域認定制度の対象となる廃棄物は、①通常の運搬状況の下で容易に腐敗し、又は揮発

する等その性状が変化することによって生活環境の保全上支障が生ずるおそれがないもの、

②製品が廃棄物になったものであって、当該廃棄物の処理を当該製品の製造、加工又は販

売の事業を行う者が行うことにより、当該廃棄物の減量その他その適正な処理が確保され

るものという要件に合致するもので、一般廃棄物については、環境省告示(平成 15 年 11 月

28 日環告第 131 号)により以下の 5 種類が定められている(法施行規則第 6 条の 13)。 ① 廃スプリングマットレス ② 廃パーソナルコンピュータ ③ 廃密閉形蓄電池 ④ 廃開放形鉛蓄電池 ⑤ 廃二輪自動車 等が一般廃棄物になったもの

広域認定要件の廃棄物の減量化を推進するために生活環境の保全上支障がない製品が一

般廃棄物になった場合のみに限定はしているが、認定の対象範囲は、この制度が従来の広

域再生利用指定制度の発展型として設けられており、廃棄物の適正処理が確保される基準

をクリアする一般廃棄物となった製品が追加認定される可能性はあるものと思料される。

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-118-

質問 3 廃棄物処理法では、「もっぱら再生利用の目的となる廃棄物」を回収、処理する場合は廃棄

物処理業の許可が不要と聞いたのですが、ユーザーが使い終えた商品を回収し再生をする

場合は、収集運搬業の許可は不要と考えてよいのでしょうか。

回答 産業廃棄物の収集運搬を行なおうとする者は、所轄の都道府県知事の許可が必要である

が、自らその産業廃棄物を運搬する事業者や専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの

収集運搬を業として行なう者は許可不要とされている(法第 14 条第 1 項但書、法施行規則

第 9 条)。 したがって、ユーザーが不要となった商品を回収再生する場合、そのものが「専ら再生利

用の目的となる産業廃棄物」に該当するか否かが問題となる。その判断は、そのものの利用

が一般化され、技術開発がなされているかという観点からなされる。たとえば、古紙、く

ず鉄、空き瓶、古織物については、リサイクル技術や再利用が一般化されているので、許

可不要と考えられている(昭和 46 年 10 月 16 日環整第 43 号)。 設問の「もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物」のみの収集または運搬を業として行

う者以外の者であっても、都道府県知事は、再生利用されることが確実である産業廃棄物

を特定した上で、その産業廃棄物のみの処理を業として行う者を指定できるので、この指

定を受けると収集運搬業の許可を受けることなく収集運搬ができる。 なお、「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」以外の環境省令で定める一定の産業廃棄

物についても環境大臣の認定により、都道府県知事の業許可は不要のものがある。これは、

廃棄物の減量化の推進のために、生活環境の維持に支障のない産業廃棄物であって、「廃ゴ

ムタイヤ(自動車用に限定)」、「汚泥(掘削工事等の工事に伴って生じた無機性のものに限定)」があげられている。

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質問 4 見た目は同じものなのに、排出する人が異なると産業廃棄物と一般廃棄物に分かれてし

まいます。そもそも、どうして産業廃棄物と一般廃棄物は区分されているのですか。 回答 廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物とに区分されるが、一般廃棄物とは産業廃棄物以外

のものをいい(法第 2 条第 1 項)、産業廃棄物については、以下のように規定されている。す

なわち、法第 2 条第 4 項第 1 号は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、

廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラステック類その他政令で定める廃棄物を産業廃棄物とし

ており、この政令では、紙くず、木くず、繊維くず、ゴムくず、金属くず等 14 種類の廃棄

物を掲げている(法施行令第 2 条)。 しかし、一般廃棄物、産業廃棄物という区分にかかわらず、事業活動に伴って発生した

ものを産業廃棄物とし、その適正処理を事業者自らに課すことが法の本旨である。そのた

め、一般廃棄物であっても、事業活動に伴うものは適正処理義務が発生する(法第 3 条第 1項)。この事業活動とは、反復継続して行われる人為的な一定の行為であり、営利活動のみ

ならず、行政等の公的サービスも包含するものである(事業に関する解釈の判例として、大

阪地判昭和 54 年 7 月 31 日 判例タイムズ 410 号 150 頁)。 そこで、たとえば、家庭からの弁当くずは一般廃棄物であるが、社員の厚生福利活動の

一環として開催された運動会で出た弁当くずのようなものも事業活動によって生じた廃プ

ラスチック類として産業廃棄物に該当するということになる。 同じ弁当くずであってもそれが事業活動に伴うものか否かが一般廃棄物であるか産業廃

棄物であるかの判断のメルクマールになっているのであり、その意味では、一般廃棄物か

産業廃棄物かの区分よりは、処分責任主体に重点を移し、事業系廃棄物か家庭から出され

る生活系廃棄物かの区分の方がわかりやすいと思われる。

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質問 5 平成 15 年に、産業廃棄物処理施設が届出だけで一般廃棄物処理施設として利用できるよう

法改正があったそうですが、金属くずの破砕施設が認められていないのはなぜですか。 回答 平成 15 年の法改正によって、同様の性状を有する廃棄物の処理施設の設置許可の合理化

を図るため、一般廃棄物を産業廃棄物と同様の方法で処理する産業廃棄物処理施設につい

ては、届出によって一般廃棄物処理施設の設置許可を不要としている(法第 15 条の 2 の 4)。 この法改正の内容は、産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物と同様の一般廃

棄物として環境省令で定めるものをその処理施設において処理する場合には、あらかじめ、

環境省令で定めるところにより、一般廃棄物の種類その他環境省令で定める事項を都道府

県知事に届け出たときには、当該処理施設を法第 8 条第 1 項の許可を受けずして一般廃棄

物処理施設とすることができるとするものである。 この措置は、物の性状に応じた施設許可制度の合理化の一環として講じられたものであ

り、一般廃棄物、産業廃棄物の区分にかかわらず、物の性状に応じた効率的な処理・リサイ

クルを促進する観点から、同様の性状を有する一定の廃棄物の処理施設の設置の許可取得

をいずれか一方の許可で足りるとするものである。 環境省令では、環境省令に定める一般廃棄物は、以下の産業廃棄物処理施設の種類に応

じて定めるものとされ、廃プラスチック類の破砕施設、廃プラスチック類の焼却施設、木

くずの破砕施設、コンクリート破片の破砕施設、紙くず等の焼却施設、燃え殻等の 終処

分場(法施行令第 7 条第 14 号ハ)があげられている(法施行規則第 12 条 7 の 6)。 なお、平成 15 年環境省公表の産業廃棄物の排出・処理状況をみると、総排出量 406,000

千トンとなっており、その種類別排出量では、汚泥(189,181 千トン)が 46.6%、次いで、動

物のふん尿(90,489 千トン)22.3%、がれき類(58,829 千トン)11.5%、となっており、この三

種類で8割を占めている。廃プラスチック、木くずはそれぞれ 1.4%、金属くずは 2%であ

る。しかし、その処理状況をみてみると、再生利用率が高いものは、動物のふん尿(95%)、金属くず(83%)、がれき類(82%)、動物の死体(80%)等となっている。一方、再生利用率の

低いものは、汚泥(8%)、繊維くず(12%)、ゴムくず(16%)であり、さらに、 終処分の比率

が高い廃棄物として、ゴムくず(64%)、ガラスくず及び陶磁器くず(56%)、燃え殻(45%)、廃プラスチック類(45%)等となっている現状を鑑みると、効率的な処理・リサイクルの視点

から、再生利用率の低いものや 終処分の比率の高いものをまずは指定したものと思料さ

れる。

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質問 C6CT[MH3] T

ユーザーに対し、使用済み製品を回収、リサイクルするという内容を含んだ売買契約を

締結し、自主回収を実施したいと考えておりますが、問題はあるでしょうか。 回答 廃棄物処理法において産業廃棄物処理業の許可が必要とされているのは、廃棄物の収集

又は運搬を業として行おうとする者についてである。ここでは、ユーザーがその使用済み

製品の排出者であり、製造事業者等が自主的な回収を行う行為が廃棄物の収集又は運搬を

業として行うことに該当するかどうかが問題となる。T

質問 1 の下取り行為の場合には、商習慣として同種の製品を無償で引き取りをする場合

には、収集運搬業の許可は不要とされているが、売買契約で使用済み製品を引き取る場合

には、ただちに収集運搬業の許可が不要であるとする法的根拠はなく、一般的には業許可

が必要と考えられる。 従来は、通達で「化学薬品会社(甲)が、販売契約により自ら販売した化学薬品の使用

後の廃液を回収するときは、甲の行為は排出事業者による産廃の処理として法第14条第

1項に規定する産廃処理業の許可を要しない」(昭和 56 年 3 月 25 日産環第12号)が存在

したが、現在は廃止されている。 なお、リースやレンタル契約の終了後にユーザーが製品を返却する場合、その引き取り

にあたっては収集運搬業の許可等が不要と考えられていることは周知のとおりである。こ

の理由は、この行為が契約締結時の両者間の合意に基づいた“所有権を持つ者への返却”

に過ぎず、そもそも廃棄物であるかどうかという議論以前の問題と考えられているからで

ある。本事例の場合には、売買契約に使用済み製品を回収する旨定めた場合であるが、リ

ースやレンタル契約と異なり、その使用済み製品の使用・収益・処分の権限はユーザーに

委ねられており、ユーザーが約定どおりの行為をするという保証がない。 ユーザーが使用済み製品の使用・収益・処分の権限を有する限り、廃棄物であるかどう

かの判断は、ユーザーに帰属するということになり、廃棄物となれば、その収集運搬には

業許可が必要となると考えられる。

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質問 7 広域認定の範囲で処理委託をしていたとき、処理業者が不法投棄をしてしまいました。

広域認定の申請者にはどのような罰があるのですか? 回答 広域認定を受けていた者が処理委託している処理業者が不法投棄等の違法行為を行った

場合には、広域認定申請者は、認定取消しの処分がなされる可能性がある。 広域認定は、環境省令で定める廃棄物の広域的処理を一定の要件(処理内容・処理を行う

者・処理の用に供する施設が一定の基準に適合する場合)を満たす者について、都道府県知事

等の許可を不要とする特例制度であり、認定を受ける者は、事業を委託して実施する場合

には、その事業全体について適正処理を確保する責務を有するものである。およそ法の違

反行為がないことを前提として措定されているものである。したがって、法の違反の事実

が認められた場合には、認定を受ける適格性を欠くことになり、取消し処分の対象となる

と思われる(法第 9 条の 9 第 7 項及び第 15 条の 4 の 3 第 3 項)。また、従前の例では、広域

認定の取消しの実効性を担保するため、一年間などの一定期限を付して申請認定を認めな

い措置が講じられることがある。 さらに、廃棄物処理法第 16 条に規定する不法投棄禁止の主体は、「何人」であって、特別

の制限はない。不法投棄をした処理業者については、第 25 条第 1 項第 8 号により、5 年以

下の懲役もしくは 1,000 万円以下の罰金または懲役と罰金の双方を科せられることになる。

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第1章 自主回収システム構築に関連する法律 自主回収システムを構築するにあたり、関連する法律を解説する。第 1 節で廃棄物・リサ

イクル関連法制度の概要について解説した後、個別に関連する法律の解説を行う。公害防

止関連や独占禁止法など、廃棄物処理に直接関連がない法律についても触れている。ここ

では概要をまとめているが、実際にシステム構築をする際には改めて詳細調査をする必要

がある。 第1節 廃棄物・リサイクル関連法制度の概要とその課題

循環型社会元年といわれる平成 12年に、循環型社会形成推進基本法(平成 12年法律第 110

号、以下、「循環基本法」という。)が制定され、また、同時に関連の個別法が改正されるこ

とで、一体的な法の整備が図られた。すなわち、①建設工事に係る資材の再資源化等に関

する法律(建設リサイクル法:平成 12 年法律第 104 号)、②食品循環資源の再生利用等の促進

に関する法律(食品リサイクル法:平成 12 年法律第 116 号)、③国等による環境物品等の調達

の推進等に関する法律(グリーン購入法:平成 12 年法律第 100 号)が制定されるとともに、④

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃棄物処理法」という。昭和 45 年制定)、⑤再

生資源の利用の促進に関する法律(以下、「再生資源利用促進法」という。平成 3 年制定)の改

正が行われている(法律の名称も変更され、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効

利用促進法:平成 12 年法律第 113 号)。

○ 循環基本法 循環基本法のねらいは、循環型社会形成を推進するための基本的な枠組みを構築するこ

とにあるが、その内容は以下のとおりである。 循環型社会とは、「製品等が廃棄物等となることを抑制し、排出された廃棄物等について

はできる限り資源(循環資源)として活用し、循環的な利用が行われないものは適正処分を徹

底することによって実現される、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り

低減される社会」とされている(循環基本法第 2 条第 1 項)。 法の対象物としては、有価・無価を問わず「廃棄物等」として、一体的に捉え、製品等が廃

棄物等になることを抑制する一方で、発生した廃棄物等についてはその有用性に着目して、

「循環資源」として、その循環的な利用(再使用、再生利用、熱回収)を図るとしている。 廃棄物等の施策の優先順位として、①発生抑制、②再使用、③再生利用、④熱回収、⑤

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適正処分を法定化しているが、これは環境負荷の有効な低減という観点から定められた原

則である。そのため、環境負荷の低減に有効な場合には、必ずしもこの優先順位に従わな

くてもよいとされている。また、循環資源の循環的利用や処分は、環境保全上の支障が生

じないように適正に行われること、また、自然界における物質の適正な循環の確保に関す

る施策の配慮を定めている。 法は、事業者及び国民の排出者責任(廃棄物等を排出した者がその適正なリサイクルや処

理に関する責任を負うとする考え方 )を定めるとともに、拡大生産者責任 (Extended Producer Responsibility :製品等の生産者がその生産したものが使用され、廃棄された後に

おいてもその製品の適正なリサイクルや処分について責任を負うとする考え方)を位置づけ

ている。 ただし、本法は「基本法」であり、本法が国民・事業者等に対し直接規制を課すことはない。

一方、第 2 節から第 4 節及び第 2 章に記載されている法律は、国民・事業者等に対し直接規

制を課す内容となっている。

第2節 自主回収システム構築と廃棄物処理法

ここでは、自主回収システムを構築するにあたって必要となる、廃棄物処理法のポイン

トをまとめた。具体的な基準等は第 1 編の解説にも盛り込んでいるのでそちらを参考にす

るとよい。

[廃棄物処理法の対象] =廃棄物 廃棄物とは、排出者が自ら利用しない、又は他人に有償で売却できないために不要に

なったもので、一般廃棄物と産業廃棄物がある。それがリサイクルできるかどうかは直

接的な判断基準にはならない。 ・一般廃棄物=産業廃棄物以外の廃棄物。 ・産業廃棄物=事業活動に伴って生じた廃棄物で、政令で定める 20 種類。

(廃棄物処理法施行令第 2 条参照)

[廃棄物の処理方法] 廃棄物の処理は、一般的に以下のような手順で行われる。各手順には、一般廃棄物、

産業廃棄物それぞれ の場合について「処理基準」が定められおり、これらを遵守しなけ

ればならない。 発生→分別・保管→収集運搬→中間処理→ 終処分

さらに、廃棄物の処理を別法人に委託する場合は「委託基準」が適用される。

・一般廃棄物の委託基準:

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一般廃棄物処理業の許可業者に委託すること。[許可権者:市町村長] ・産業廃棄物の委託基準:

①産業廃棄物処理業の許可業者に委託すること。 [許可権者:都道府県知事(保健所設置市は市長)]

②産業廃棄物処理業者と書面で処理委託契約を締結すること。 ③委託しようとする産業廃棄物の運搬又は処分がその事業の範囲 P

*Pに含まれるも

のに委託すること。

このように、回収する廃棄物が一般廃棄物か産業廃棄物かによって許可の種類が異な

る。特に一般廃棄物処理業の許可は、市町村が定める一般廃棄物処理計画に含まれてい

る処理業者だけに出されることが多いため、新規での取得が困難である。さらに一般廃

棄物の広域認定は告示により対象が限定されているため、自主回収を検討するものが一

般廃棄物である場合は要注意である。 (注釈)*: 取扱える廃棄物の種類、処理の方法(収集運搬、処分等)など、どのような廃棄物を

どのように処理できるのかを示す範囲。この範囲と合致しない内容の処理を委託

すると、委託基準違反となる。

その他、産業廃棄物の処理を委託する場合には、処理が適切に行われているかを確認

するため、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を処理委託業者に交付しなければならない。

[廃棄物の処理施設] 廃棄物処理法で指定された廃棄物処理施設を設置している事業者は、自ら処理する場

合、他人の廃棄物を処理する場合に限らず、施設設置の許可を受けなければならない。

一般廃棄物処理施設の許可も、一般廃棄物処理業の許可と同様の理由で新規での取得が

困難であるため、一般廃棄物の自主回収をする場合は注意が必要である。[許可権者:都道

府県知事] 第3節 自主回収システム構築と独占禁止法

自主回収システムを構築する際には、独占禁止法についても気を配る必要がある。参考となる

資料として、公正取引委員会が公表した「リサイクル等に係る共同の取組に関する独占禁止法上

の指針」を以下に紹介する。

本指針は、主たる事業に付随してリサイクル等を行うメーカー、販売業者等の事業者(以下「事

業者」という。)が共同して又はその団体が取り組むリサイクル・システム P

*Pの構築及びリサイクル等に

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係る共同行為として、事業者間のリサイクル等に係る共同行為を通じて、製品市場やリサイクル市

場における競争秩序に悪影響を及ぼす場合には、独占禁止法上の問題が生じることになるとして、

平成 13 年 6 月 26 日に公正取引委員会が公表したものである。事業者が共同でリサイクル・シス

テムを構築する場合の大枠を示すものである。主な考え方は以下のとおりである。

(注釈)*:本報告書で「自主回収システム」といっているものとほぼ同様である。本節に限っては、

この表現を使用する。

1.リサイクル・システムの構築については、排他的なシステムとならない限り独占禁止法上

問題となる可能性は低い。

事業者が共同してリサイクル・システムを構築する場合において、新規参入者や既存事業者

が当該リサイクル・システムの利用を希望しているにも関わらず、合理的理由なく拒絶、制限する

ことで、製品市場における競争が実質的に制限される場合は、私的独占又は不当な取引制限

に該当する。

2.消費者等のユーザーから徴収するリサイクル費用について,その徴収方法,徴収時点及び

表示方法に関する自主基準を共同して設定することは,当該リサイクル費用の具体的な

額を取り決めることとならない限り,原則として独占禁止法上問題とはならない。 ・リサイクル費用の徴収額

リサイクル等に要するコストを各事業者が販売する製品の現行価格に上乗せする場合

に、いくら上乗せするかは各事業者の自主的な判断にゆだねられるべきものであり、事

業者が共同して上乗せする額を決定することは、価格の一部を事業者間で決定すること

に他ならず、独占禁止法上問題となる。

また、事業者団体が標準価格をパンフレットのようなもので示すことも、事業者間の自

由な競争に基づく価格形成が阻害されるおそれがあるため、独占禁止法上問題となる。

ただし、過去の価格に関する情報について、価格の分布を正しく示し、概括的に需要者

を含めて提供することは、事業者の価格設定の目安にならない限り、問題ない。

・リサイクル費用徴収方法、時点

リサイクル費用の徴収方法として、製品の本体価格に含める方法と、本体価格とは別

途徴収する方法がある。このリサイクル費用の徴収時点について自主的な基準を設定し

ても、その遵守を強制しないものである限り問題ない。

3.デポジット制度については、預り金の額と払い戻す額が同じである限り、原則として独占

禁止法上問題とはならない。

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第4節 自主回収システム構築に関わる処理施設を規制する法令 自主回収システムを構築するには、回収した使用済み製品を処理する設備が必要である。

その設備が廃棄物処理施設に該当する場合は廃棄物処理法で規定する施設の設置許可を受

ける必要がある。その他、その設備が廃棄物処理施設であるかないかに関わらず下記の法

律の適用を受ける可能性もあるため、検討しなければならない。自社で設備を保有してい

ない場合あっても、自主回収した使用済み製品の処理を委託する先が適正処理を行ってい

るかを把握するため、下記の法律の適用を確認すべきである。 なお紙面の都合上、下記の個別の法律は概略しか記載していない。実務においては再度

これらの法律の適用の有無について詳細に検討してもらいたい。 1. 大気汚染防止法

工場や事業場で、事業活動・建築物の解体等に伴うばい煙、粉じんの排出等を規制し、

有害大気汚染物質対策の実施を推進し、国民の健康の保護や生活環境を保全すること

を目的とする。 [規制対象]:ばい煙発生施設、粉じん発生施設等 [規制内容]:①施設設置・変更の届出、②測定義務、③排出基準の遵守 等

2. 水質汚濁防止法 工場や事業場から公共用水域に排出される水や地下浸透水を規制し、公共用水域・地

下水の汚濁防止を図り、国民の健康の保護、生活環境の保全を図る。 [規制対象]:特定施設(有害物質を含み、生活環境に係る被害を生ずる恐れのある

汚水や廃液を排出する施設(100 種類以上ある。例:廃油の油水分離施

設、廃プラスチック類の焼却施設等)) [規制内容]:①施設設置・変更の届出、②測定義務、③排出基準の遵守 等

3. 騒音規制法 工場等における事業活動、建設工事に伴って発生する騒音について規制を行うとと

もに、自動車騒音に関する許容限度を定め、国民の健康の保護、生活環境の保全を図

る。 [規制対象]:指定地域にある特定施設 [規制内容]:①施設設置・変更の届出、②規制基準の遵守 等

4. 振動規制法 工場等における事業活動、建設工事に伴って発生する振動について規制を行うとと

もに、道路交通振動に関する許容限度を定め、国民の健康の保護、生活環境の保全を

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図る。 [規制対象]:指定地域にある特定施設 [規制内容]:①施設設置・変更の届出、②規制基準の遵守 等

5. ダイオキシン類対策特別措置法 ダイオキシン類に関する必要な規制、汚染土壌にかかる措置等を定め、国民の健康

の保護を図る。 [規制対象]:特定施設(一定規模以上の廃棄物焼却炉、製鋼用電気炉、一部の非鉄

精錬炉等) [規制内容]:①施設設置・変更の届出、②規制基準の遵守 等

6. 消防法 火災の予防・警戒・鎮圧により国民の生命、身体及び財産を火災から保護するととも

に、火災・地震等の災害による被害を軽減し、社会公共の福祉の増進に資する。 [規制対象]:危険物の貯蔵、取扱い、運搬 [規制内容]:①貯蔵所、取扱所の設置の許可、②危険物取扱者の設置 等

7. 土地利用、工場建設に関わる法令 廃棄物処理施設の設置は、都市計画あるいは港湾計画に位置づけられていない区域での

設置が原則として禁止されている(建築基準法、港湾法の臨港地区)。建築基準法第 51 条で

は禁止の解除には都道府県の審議会の議を経る必要があることを定めている。また新たに工

場を設置する場合は工場立地法による規制も関係する。これら施設設置に関する詳細につ

いては本報告書では取り扱わないこととするので、別途関係資料を参照のこと。

①建築基準法 建築確認、都市計画に敷地の位置が決定していない廃棄物処理施設

の建築制限(許可) ②港湾法 臨港地区内における目的外構築物設置の制限(事前協議) ③工場立地法 施設設置等に伴う緑地面積の変更等の届出

8. 条例による規制

本報告書は、国の法律をその解説範囲としているため、各自治体で定めている条例や行

政指導については触れていない。したがって、実際に自主回収システムを構築する際には、

大規模な保管場所の設置、都道府県境を越えて廃棄物を移動する場合など、廃棄物関連の

条例や行政指導についての確認が必要である。

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[コラム 23] 通知、通達とは

廃棄物行政は通知(通達)行政といわれるほどたくさんの通知が発せられている。 通達とは、行政機関(上級行政機関)がその所掌事務について下級行政機関に対し示達す

る形式の一種であり、通知も同義である。つまり、通知は環境省が都道府県や市町村に

対し、法令の解釈について説明したり運用上の留意点を示したりするものである。厳密

にいえば事業者にとって通知の内容は法的拘束力がないが、法令の解釈や行政の考え方

をうかがい知ることができる情報として把握しておきたい。 一方、実務では行政機関が業界団体その他の私人に宛てて「通達」と呼ばれる文書を発

することがある。これは、下級行政機関に宛てたものではないので、内容の如何にかか

わらず法律上の「通達」には該当しない。学問的には行政指導の一種である。

[コラム 24] 行政指導とは

行政機関が、国民に対し一定の作為あるいは不作為を求めても、法的には国民はその

求めに応ずる義務がない場合があり、このような行政機関による、法的拘束力を持たな

い事実上の求めをいい、行政が行う指導、指示、勧告、勧奨、助言、注意、警告、あっ

せん等の行為を総括的に指す概念である。 法は、「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現する

ため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって

処分に該当しないもの」と定義(行政手続法第 2 条第 6 号)している。 判例は行政指導には必ずしも法律の根拠は必要でないとしている。 目的からみると、規制する目的で行われる行政指導は、営業自粛の指導、事業者に対

する一定事項の報告の指導、安全確保措置の指導等がその例であり、又法律に基づく正

式な是正命令を発する前に、相手方による自発的な改善に期待して行政指導を行う場合

もある。この他、情報の提供、職業指導、生活改善指導、経営助言等相手方に助成や保

護を与えるための助成的行政指導がある。

[コラム 25] 「ガイドライン」、「指針」、「基本方針」、「基準」とは

ある事項について、具体的な計画を策定し、又は対策を実施する際に、準拠すべきよ

りどころ又は準拠すべき基本的な方向を示すものをいう。

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「主務大臣が○○に関する指針を定め、その指針に基づき都道府県が○○計画を策定す

る」という形での立法例は数多い。

一方、行政立法(法規命令)・行政規則・行政計画のいずれにも分類し難い、政策目標・政

策方針等を設定する行政活動が増えてきており、その場合には指針のほか「基準」や「基本

方針」等の用語が法令上用いられることがある。通常は、行政機関による「告示」の形式で

公表される。

なお、安全・環境分野では、PCB 廃棄物収集・運搬ガイドラインのように、PCB 廃棄物

の収集・運搬を適正に行うため、廃棄物処理法その他の関係法令等に定められている収

集・運搬に係る基準を遵守する観点から必要となる技術的な方法及び留意事項を具体的

に示すものが多い(通常は更に各項目ごとに【解説】が付される)。これなどは、事業者お

よび都道府県知事に対する情報の提供(行政指導)であるとともに、行政庁による法令解釈

の公表という性格を有するものといえる。

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第2章 使用済み製品の回収を義務付けている法律 わが国には、製造事業者等に使用済み製品の回収を義務付けているリサイクル関連の法

律がいくつかある。本書では、自主回収システムの構築支援を目的としているが、このよ

うな法律も参考とすることができると考え、以下に代表的な法律の解説を行っている。特

に各節の「本法による回収の実施」と「回収促進のための特例措置」は、回収システムのあり

方や廃棄物処理法上解決すべき点を確認する上で参考となるだろう。 第1節 資源有効利用促進法の指定再資源化製品について

(正式名称:資源の有効な利用の促進に関する法律) 1.本法の概要 わが国が持続的に発展していくためには、環境制約・資源制約が大きな課題となっており、

大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムから、早急に循環型経済システムに移行

することが求められている。そこで、資源の有効な利用の促進に関する法律(以下「資源有

効利用促進法」という。)が、①事業者による製品の回収・再利用の実施等リサイクル対策を

強化するとともに、②製品の省資源化・長寿命化等による廃棄物の発生抑制、③回収した製

品からの部品等の再使用のための対策を新たに行うことにより、循環型経済システムを構

築することを目指し、平成 13 年に施行された。 本法では、次の業種及び製品を政令により指定し、指定された業種、製品について、事

業者が取組むべき対策についての「判断の基準」あるいは「表示の標準」を省令により規定し

ている。 ○特定省資源業種 ○指定表示製品 ○特定再利用業種 ○指定再資源化製品 ○特定省資源化製品 ○指定副産物 ○指定再利用促進製品

2.本法による回収の実施

これらのうち「指定再資源化製品」は、事業者が自主回収し、再資源化することが可能な

製品として指定したものである。「指定再資源化製品」は、それぞれ「判断の基準」として再

資源化の目標等が定められているが、家電リサイクル法や容器包装リサイクル法等のよう

に再資源化を行うスキームは明示されず、各事業者に委ねられている点に特徴がある。

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現在、指定再資源化製品として指定されているものは「パーソナルコンピュータ」と「密閉

形蓄電池」である(法施行令別表第 6 参照)。

3.回収促進のための特例措置 資源有効利用促進法第 31 条では廃棄物処理法における配慮規定があるが、廃棄物処理法

上の特例は設けられていないため、指定再資源化製品の自主回収は廃棄物処理法の規制に

従う必要があり、上記 2 品目とも広域認定制度を利用して自主回収を行っている。 以下、各指定再資源化製品の「判断の基準」を解説する。

(1)パーソナルコンピュータ

パーソナルコンピュータの製造等の事業を行う者の使用済みパーソナルコンピュータの

自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事項を定める省令(平成 13 年 3 月 28日経産・環令第 1 号)

[要約]

○あらかじめ事業者が定めた指定回収場所において自主回収する。(指定回収場所

以外での回収は妨げない。) ○指定回収場所における自主回収は、対価を得ないものとする。 ○事業者は、自主回収の実施状況をその途中であっても把握できるよう必要な措

置を講ずる。 ○単独又は共同で実施した自主回収の状況を公表する。 ○市町村から引取りを求められたときは、引取るものとする。 ○関係法令を遵守する。

[再資源化目標] 総重量に対する再資源化されたものの総重量の割合

表 8 パーソナルコンピュータの再資源化目標

パーソナルコンピュータ(その表示装置及びノートブック形のものを

除く。) 50%以上

パーソナルコンピュータ(ノートブック形のものに限る。) 20%以上 パーソナルコンピュータの表示装置(ブラウン管式のものに限る。) 55%以上 パーソナルコンピュータの表示装置(液晶式のもに限る。) 55%以上

(2)密閉形蓄電池

密閉形蓄電池の製造等の事業を行う者及び密閉形蓄電池使用製品の製造等の事業を行う

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者の使用済み密閉形蓄電池の自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事項を

定める省令(平成 13 年 3 月 28 日厚労・経産・環令第 1 号)

[要約] ○電池製造等事業者、電池使用製品製造等事業者(両者を総称し「電池製造等事業者

等」という。)は、指定回収場所又は回収ボックスの設置などを講じ、自主回収す

る。 ○電池製造等事業者等は、対価を得ないで自主回収する。 ○電池製造等事業者は、電池使用製品製造等事業者から小形二次電池の引取りを求

められたら、対価を得ないで引取る。 ○電池製造等事業者等は、自主回収に必要な情報を公表する。 ○電池製造等事業者等は、単独又は共同で実施した自主回収の状況を公表する。 ○市町村から引取りを求められたときは、引取るものとする。 ○関係法令を遵守する。

[再資源化目標] 総重量に対する再生資源として利用できる状態にされたものの総重量の割合

表 9 密閉形蓄電池の再資源化目標

密閉形鉛蓄電池 50%以上 密閉形アルカリ蓄電池(密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池に限る。) 60%以上 密閉形アルカリ蓄電池(密閉形ニッケル・水素蓄電池に限る。) 55%以上 リチウム蓄電池 30%以上

第2節 容器包装リサイクル法の解説

(正式名称: 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律) 1.本法の概要 循環型社会の構築を進めるためには、廃棄物の発生を抑制すること、使用済み製品の再

使用を図ること、廃棄物として排出されてしまったものは、再商品化を推進する必要があ

る。特に、一般廃棄物のうち、容量で約 2/3、重量で約 1/4 を占める容器包装廃棄物につい

ての適正な処理が緊急の課題となっている。 このため平成 7 年、循環型の新しいリサイクル社会の構築を目指し容器包装リサイクル

法が制定された。この法律は家庭から一般廃棄物として排出される容器包装廃棄物のリサ

イクルシステムを確立するため、消費者は分別排出、市町村は分別収集、事業者は再商品

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化するという各々の役割分担を規定している。本法は一部の小規模事業者を除く全ての特

定事業者に再商品化義務を課している。 2.本法による回収の実施

事業者が行う再商品化には 3 種類ある。1 つ目は市町村が分別収集したものを指定法人が

再商品化するパターンである(指定法人ルート)。事業者は、自らが行うべき再商品化義務の

履行を指定法人に委託し、事業者は委託量に応じた金額を指定法人に支払う。2 つ目は、同

じく市町村が分別収集したものについて、事業者が直接(又は委託して)再商品化を行い(独自ルート)、3 つ目は事業者が自ら回収し、自ら再商品化義務を履行するパターンである(自主回収ルート)。回収されたものの処理責任が 終的に事業者に課せられている点では、ど

れも自主回収ということができる。

(1)指定法人ルート 市町村が分別収集し、選別された分別基準適合物は、特定事業者の委託を受けた指

定法人が回収し、指定法人又は指定法人の委託を受けた者が再商品化する。 特定事業者と指定法人は再商品化委託契約を締結し、特定事業者は指定法人に再商

品化義務量に応じた再商品化委託料を支払う。(再商品化委託料の納付先は、指定法人

のほか、主務大臣の認可を受けた者に指定法人が委託することができる。) ほとんどの特定事業者はこの方法を選択している。

(2)独自ルート

市町村が分別収集し、選別された分別基準適合物を、特定事業者が回収し、再商品

化を行う。これを行うためには主務大臣の認定を受けなければならない。 (3)自主回収ルート

特定事業者が消費者から直接回収し、再商品化を行う方法を自主回収ルートといい、

主務大臣の認定を受けることができる。自主回収ルートは、販売店等で分別収集した

リターナブル容器を引き取り、再商品化するルートが一般的で、平成 15 年現在 74 の

事業者が認定を受けている。 3.回収促進のための特例措置

本法では、回収を促進するために、廃棄物処理業の許可を不要とする等の特例措置が設

けられている。ただし、以下のいずれの場合でも、一般廃棄物処理施設設置許可は必要で

ある。

(1)指定法人ルート

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指定法人は、再商品化業務を行う者として主務大臣に指定された者であり、指定法

人が再商品化業務を行う場合は、一般廃棄物収集運搬業及び一般廃棄物処分業の許可

は不要である(法第 37 条)。

(2)独自ルート 主務大臣の認定を受けた場合は、一般廃棄物収集運搬業、一般廃棄物処分業の許可

なく再商品化を実施できる。なお、特定事業者は他の者に委託して再商品化を行うこ

ともできる(法第 37 条)。

(3)自主回収ルート 認定を受けた場合であっても、廃棄物処理法上の特例は存在しないため、一般廃棄

物収集運搬業、一般廃棄物処分業の許可が必要である。 第3節 家電リサイクル法の解説

(正式名称: 特定家庭用機器再商品化法)

1.本法の概要 我が国は、高度経済成長期以来めざましい発展を遂げ、国民生活に格段の豊かさをもた

らした。しかし、その一方で大量生産、大量消費によって生み出された廃棄物は増加の一

途をたどり、生活環境を圧迫する大きな問題の原因となってきた。 このような状況の中で、循環型社会形成の一翼を担う特定家庭用機器再商品化法(以下「家

電リサイクル法」という。)が、エアコン、テレビ、電気冷蔵庫(電気冷凍庫)、電気洗濯機の

4 品目(以下「特定家庭用機器」という。)を対象として制定され、平成 13 年より施行された。

2.本法による回収の実施 この法律は、家庭や事業所から排出される特定家庭用機器廃棄物のリサイクルシステム

を確立するため、排出者(消費者・事業者)が収集・運搬及び再商品化等の料金を負担し、小売

業者は排出者から引取り、製造業者等へ引渡す義務を負い、製造業者等は再商品化等する

義務を果たすことを基本とし、特定家庭用機器廃棄物の効果的リサイクルと減量化を図る

ことを目的としている。 (1)排出者の役割

排出者は、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等が確実に実施されるよう小売業者に

引渡し、小売業者から費用を請求されたらその支払いに応じなければならない。

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(2)小売業者の役割

a.引取義務 小売業者は、過去に販売した特定家庭用機器、もしくは現在販売しているものと

同種の特定家庭用機器が廃棄物となったものの引取りを求められたときはそれを

引取らなければならない。 b.引渡義務

小売業者は、引取った特定家庭用機器廃棄物は自らリサイクルショップを行うか、

リサイクルショップに引渡す場合を除き、製造業者等に引渡さなければならない。 c.管理票の交付・保存義務

小売業者は、家電リサイクル券(管理票)を製造業者等に交付し、写しを排出者に

交付しなければならない。製造業者等から返送された家電リサイクル券は 3 年間保

存しなければならない。 d.料金の公表

収集運搬に関する料金を店舗に掲示等の方法で公表する。消費者の求めに応じ、

収集運搬料金、再商品化等料金の額を提示する。 (3)製造業者等の役割

a.引取義務 製造業者等は、指定引取場所において自ら製造した特定家庭用機器廃棄物の引取

を求められたときは、それを引取らなければならない。 指定引取場所の所在地等は公表しなければならない。

b.再商品化等実施義務 製造業者等は、引取った家庭用機器廃棄物について、基準以上の再商品化等を行

わなければならない。 c.料金の公表

再商品化等に必要な料金は公表しなければならない。 d.表示

製造業者等は、特定家庭用機器の見やすい場所に製造業者等の名称を表示しなけ

ればならない。 e.管理票の回付、保存義務

小売業者(又は指定法人)から交付された家電リサイクル券(管理票)に必要事項を

記入し、小売業者に回付しなければならない。家電リサイクル券の写しは 3 年間保

存しなければならない。 f.帳簿の作成、保存義務

必要事項を記載した帳簿を作成し、5 年間保存しなければならない。

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(4)指定法人の役割

a.再商品化義務の実施 指定法人は、製造業者等が明らかでない場合や特定製造業者等の委託により、再

商品化等に必要な行為を行う。 b.引取義務、引渡義務

製造業者等への引渡しに支障が生じている市町村や住民からの求めに応じ特定

家庭用機器廃棄物を引取り、製造業者等に引渡す。引取場所の所在地は公表するこ

と。 c.料金の公表等

収集運搬料金、再商品化料金を公表するとともに、市町村等からの求めに応じこ

れらの料金が記載された書類を提示しなければならない。 d.管理票の交付、回付義務等

再商品化等を自ら実施する場合、家電リサイクル券(管理票)に必要事項を記載し、

小売業者に回付するとともに写しを 3 年間保存しなければならない。特定家庭用機

器廃棄物を引取る場合、家電リサイクル券を製造業者等に交付し、その写しを排出

者に渡す。製造業者等から回付を受けたものは 3 年間保存すること。 e.帳簿の作成、保存義務

必要事項を記載した帳簿を作成し、10 年間保存しなければならない。 f.調査、普及及び啓発

特定家庭用機器廃棄物の排出、収集運搬、再商品化等の実施に関する調査、実施

の確保に関する普及、啓発を行う。 3.回収促進のための特例措置

○小売業者、環境大臣の指定を受けた指定法人、指定法人からの委託を受けた事業者

は、一般廃棄物収集運搬業、産業廃棄物収集運搬業の許可なく特定家庭用機器廃棄

物の収集運搬を行うことができる(法第 49 条第 1 項) ○環境大臣の指定を受けた指定法人、認定を受けた製造業者等は、特定家庭用機器一

般廃棄物と特定家庭用機器産業廃棄物の処分を行うことができる(法第 49 条第 2 項)。

ただし、一般廃棄物処理施設や産業廃棄物処理施設の設置許可は必要である。 ○産業廃棄物収集運搬業者は特定家庭用機器一般廃棄物の収集運搬も行うことができ、

逆に一般廃棄物収集運搬業者は特定家庭用機器産業廃棄物の収集運搬も行うことが

できる(法第 50 条)。

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第4節 自動車リサイクル法の解説 (正式名称: 使用済み自動車の再資源化等に関する法律)

1.本法の概要 自動車は年間 400 万台使用済み自動車として排出されるが、有用金属・部品を含み資源と

して価値が高いものであるため、従来は解体業者や破砕業者において売買を通じて流通し、

リサイクル・処分が行われてきた。その一方で、産業廃棄物 終処分場のひっ迫により使用

済み自動車から生じるシュレッダーダストを低減する必要性が高まっている。また、 終

処分費の高騰、鉄スクラップ価格の低迷により、従来のリサイクルシステムでは機能不全

に陥りつつあり、不法投棄・不適正処理の懸念も生じている状況にある。 このため、自動車製造業者等を中心とした関係者に適切な役割分担を義務付けることに

より、使用済み自動車のリサイクル・適正処理を図るための新たなリサイクル制度を構築す

るために、使用済み自動車の再資源化等に関する法律(以下「自動車リサイクル法」という。)が平成 17 年 1 月に完全施行された。適正処理を確認する仕組みとして電子マニフェスト制

度を義務化している点で、他のリサイクル関連法と異なる。

(1)自動車所有者の役割 自動車所有者は、使用済みとなった自動車を引取業者に引渡す。

(2)引取業者の役割

都道府県知事(保健所設置市は市長)の登録を受けなければならない。 自動車所有者から使用済み自動車を引取り、フロン類回収業者又は解体業者に引渡

す。

(3)フロン類回収業者の役割 都道府県知事(保健所設置市は市長)の登録を受けなければならない。 フロン類を適正に回収し、自動車製造業者等に引渡す。自動車製造業者等にフロン

類の回収費用を請求できる。

(4)解体業者の役割 都道府県知事(保健所設置市は市長)の許可を受けなければならない。 使用済み自動車のリサイクル・処分を適正に行い、エアバッグ類を自動車製造業者等

に引渡す。エアバッグ類について自動車製造業者等に回収費用を請求できる。

(5)破砕業者の役割 都道府県知事(保健所設置市は市長)の許可を受けなければならない。

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解体自動車のリサイクル・処分を適正に行い、シュレッダーダストを自動車製造業者

等に引渡す。 (6)自動車製造業者等の役割

製造又は輸入した自動車が使用済みとなった場合、その自動車から発生するフロン

類、エアバッグ類及びシュレッダーダストを引取り、リサイクルを行う。 3.回収促進のための特例措置

○主務大臣(経済産業大臣及び環境大臣)の指定を受けた指定再資源化機関とその委託

を受けた者は、解体業や破砕業の許可を受けないで解体や破砕を行うことができる

(法第 107 条)。 ○主務大臣の認定を受けた自動車製造業者等またはその委託を受けた者は、廃棄物処

理業の許可を受けないで自動車破砕残さなど(特定再資源化物品)の再資源化に必要

な運搬又は処分を行うことができる(法第 122 条)。 その他にも本法においては廃棄物処理法の特例が定められているが、詳細については法

第 122 条、第 123 条等を参照してほしい。

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参考資料

1.広域認定制度申請の手引き(環境省)

2.排出事業者とタイヤ販売店・販売会社との再生利用委託契約書

(1)基本契約書

(2)承諾書(個別契約書)

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