宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室 contents news let ter ·...

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CONTENTS ア テ ナ の う ご き ………………………………………………………1 池ノ上 克 学長 インタビュー………………………………………3 特 集: 女 性 役 員 に 聞 く ……………………………………………4 宮 大 で Jump! ~ 宮 崎 大 学 で 活 躍 す る 研 究 者 た ち ~ ………6 宮 崎 大 学 の 管 理 職 者 が イ ク ボ ス に! …………………………7 数 字 で 見 る 宮 崎 大 学 ………………………………………………8 Mの横顔 宮崎大学子育て応援プロジェクト…………………8 お 知 ら せ ………………………………………………………………8 平成 28 年 3 月発行 No.13 宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室 News Let ter 国立大学法人宮崎大学 清花アテナ男女共同参画推進室 http://www.miyazaki-u.ac.jp/kiyohana/ E-mail: [email protected] アテナのうごき 宮崎大学は、平成 27 年度未来みやざき子育て県民運動 の子育て応援優良企業表彰を受けました。この賞は、「未 来みやざき子育て県民運動推進協議会」に加盟する事業所 の中で、子育てのための環境づくりに取り組む企業に贈ら れるもの。本学が教職員の子どもを対象とした学内保育施 設の設置や学童保育の実施、育児に関する有給休暇の拡充 検討などを通じて、仕事と家庭の両立支援に取り組むとと もに、地域住民を対象としたイベント開催を通じて地域の 子育て支援にも積極的に取り組んでいることが評価されま した。 表彰式は、平成 27 年 8 月に開催された「子育てを考え る県民シンポジウム」の席上で行われ、原田 宏 研究・企 画担当理事が未来み やざき子育て県民運 動推進協議会会長で ある河野宮崎県知事 から表彰状を受け取 りました。 未来みやざき子育て県民運動 子育て応援優良企業表彰を受けました 均等・両立推進企業表彰において 宮崎労働局優良賞を受賞しました 宮崎大学は、平成 27 年度均等・両立推進企業表彰均等 推進企業部門において宮崎労働局長優良賞を受賞しまし た。本表彰は厚生労働省が女性の能力発揮促進や育児・介 護との両立支援等について模範となる企業を対象に行うも ので、宮崎労働局管内での均等推進企業部門受賞は 10 年 ぶり。男女共同参画の推進へ向けて独自の取り組みを継続 していることや、平成 25 年策定の「男女共同参画基本計 画」において具体的な数値目標を掲げ、女性の積極的な登 用・活用に取り組んでいることなどが評価されました。 平成 27 年 10 月、学内で行われた表彰式では、佐藤 俊 彦 宮崎労働局長より池ノ上 克 学長が表彰状を受け取りま した。表彰を受け池ノ上学長は「これまでの取り組み成果 が評価されるのはあ りがたいこと。女性の 活躍推進や就労環境 整備をさらに進め、地 域活性化にも貢献し たい」と述べました。 平成 27 年 11 月 23 日、本学木花キャンパスにおいて、トークセッション「インクルーシブに生きよう~宮崎からワー ク・ライフ・マネジメントを考える」を開催しました。ゲストとして登壇したのは、川島 高之さん(NPO 法人コヂカラ・ ニッポン 代表)、舩山 展丈さん(株式会社アラタナ 執行役員経営管理本部長)、木村 英二さん(宮崎県立都城工業高等学 校 教諭)、膳 憲太さん(エフエム宮崎 アナウンサー)の4名。「宮崎はワーク・ライフ・バランスを実現するための環境 が整っている」「一人ひとりがいろんな場面で役割を担うことで社会全体が活性化するのでは」など、各方面で活躍する ゲストが発するさまざまな思いに、参加者の皆さんは熱心に耳を傾けていました。 最後はコーディネーターの中川 美香さん(宮崎日日新聞社 論説委員)による「ダイ バーシティという多様性を認め合うという視点に加え、一人ひとりが持つ多面性を大 切にすることが重要。自分の中にある異分子を認めることで、他の人を認めることに もつながっていくのでは」という総括で、約 2 時間のセッションは閉じられました。 トークセッション終了後は、川島さんと舩山さん、木村さんと膳さんという組み合 わせで話題を深めるクロストークも行い、それぞれの会場で多彩な意見が飛び交って いました。 トークセッション「インクルーシブに生きよう」を開催しました

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Page 1: 宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室 CONTENTS News Let ter · きっずサマースクール はじめての親子企画を開催しました 学生向けキャリアセミナーを

CONTENTSア テ ナ の う ご き ………………………………………………………1池ノ上 克 学長 インタビュー………………………………………3特 集: 女 性 役 員 に 聞 く ……………………………………………4宮 大 で Jump! ~ 宮 崎 大 学 で 活 躍 す る 研 究 者 た ち ~ ………6宮 崎 大 学 の 管 理 職 者 が イ ク ボ ス に! …………………………7数 字 で 見 る 宮 崎 大 学 ………………………………………………8M の 横 顔 宮 崎 大 学 子 育 て 応 援 プ ロ ジ ェ ク ト …………………8お 知 ら せ ………………………………………………………………8

平成 28 年 3 月発行 No.13

宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室

News Let ter国 立 大 学 法 人 宮 崎 大 学  清 花 ア テ ナ 男 女 共 同 参 画 推 進 室h t t p : / / w w w . m i y a z a k i - u . a c . j p / k i y o h a n a /E - m a i l : i n f o - a t h e n a @ m e d . m i y a z a k i - u . a c . j p

アテナのうごき

 宮崎大学は、平成 27 年度未来みやざき子育て県民運動

の子育て応援優良企業表彰を受けました。この賞は、「未

来みやざき子育て県民運動推進協議会」に加盟する事業所

の中で、子育てのための環境づくりに取り組む企業に贈ら

れるもの。本学が教職員の子どもを対象とした学内保育施

設の設置や学童保育の実施、育児に関する有給休暇の拡充

検討などを通じて、仕事と家庭の両立支援に取り組むとと

もに、地域住民を対象としたイベント開催を通じて地域の

子育て支援にも積極的に取り組んでいることが評価されま

した。

 表彰式は、平成 27 年 8 月に開催された「子育てを考え

る県民シンポジウム」の席上で行われ、原田 宏 研究・企

画担当理事が未来み

やざき子育て県民運

動推進協議会会長で

ある河野宮崎県知事

から表彰状を受け取

りました。

未来みやざき子育て県民運動子育て応援優良企業表彰を受けました

均等・両立推進企業表彰において宮崎労働局優良賞を受賞しました

 宮崎大学は、平成 27 年度均等・両立推進企業表彰均等

推進企業部門において宮崎労働局長優良賞を受賞しまし

た。本表彰は厚生労働省が女性の能力発揮促進や育児・介

護との両立支援等について模範となる企業を対象に行うも

ので、宮崎労働局管内での均等推進企業部門受賞は 10 年

ぶり。男女共同参画の推進へ向けて独自の取り組みを継続

していることや、平成 25 年策定の「男女共同参画基本計

画」において具体的な数値目標を掲げ、女性の積極的な登

用・活用に取り組んでいることなどが評価されました。

 平成 27 年 10 月、学内で行われた表彰式では、佐藤 俊

彦 宮崎労働局長より池ノ上 克 学長が表彰状を受け取りま

した。表彰を受け池ノ上学長は「これまでの取り組み成果

が評価されるのはあ

りがたいこと。女性の

活躍推進や就労環境

整備をさらに進め、地

域活性化にも貢献し

たい」と述べました。

 平成 27 年 11 月 23 日、本学木花キャンパスにおいて、トークセッション「インクルーシブに生きよう~宮崎からワー

ク・ライフ・マネジメントを考える」を開催しました。ゲストとして登壇したのは、川島 高之さん(NPO 法人コヂカラ・

ニッポン 代表)、舩山 展丈さん(株式会社アラタナ 執行役員経営管理本部長)、木村 英二さん(宮崎県立都城工業高等学

校 教諭)、膳 憲太さん(エフエム宮崎 アナウンサー)の 4 名。「宮崎はワーク・ライフ・バランスを実現するための環境

が整っている」「一人ひとりがいろんな場面で役割を担うことで社会全体が活性化するのでは」など、各方面で活躍する

ゲストが発するさまざまな思いに、参加者の皆さんは熱心に耳を傾けていました。

 最後はコーディネーターの中川 美香さん(宮崎日日新聞社 論説委員)による「ダイ

バーシティという多様性を認め合うという視点に加え、一人ひとりが持つ多面性を大

切にすることが重要。自分の中にある異分子を認めることで、他の人を認めることに

もつながっていくのでは」という総括で、約 2 時間のセッションは閉じられました。

 トークセッション終了後は、川島さんと舩山さん、木村さんと膳さんという組み合

わせで話題を深めるクロストークも行い、それぞれの会場で多彩な意見が飛び交って

いました。

トークセッション「インクルーシブに生きよう」を開催しました

Page 2: 宮崎大学清花アテナ男女共同参画推進室 CONTENTS News Let ter · きっずサマースクール はじめての親子企画を開催しました 学生向けキャリアセミナーを

きっずサマースクールはじめての親子企画を開催しました

学生向けキャリアセミナーを開催しました

平成 27 年度女性研究者奨励賞3 名の研究者を表彰しました

 平成 27 年 10 月 15 日、木花キャンパスにおいて学生向

けキャリアセミナーを開催しました。講師は本学農学部ご

出身で、現在イェール大学医学部准教授としてご活躍の岩

切泰子先生です。医学基礎研究の最前線にいる講師の話が

聞けるということで、会場には多くの学生・教職員が詰め

掛けました。

 岩切先生は、本学農学部卒業後にアメリカで培った大学

院時代やポスドク時代の経験を基に、よきメンターに出会

うことの重要性や、シビアながらも充実した研究室運営の

面白さなどをお話しくださいました。講演に対して、学生・

教員から多くの質問が寄せられるなど、非常に活気あふれ

る時間となりました。

 当日のランチタイムには岩切先生を囲んで「女性研究者

交流会」も開催。今回は、自然科学分野を専門とする教員・

研究者を中心に 15

名 が 参 加。 岩 切 先

生との交流に加え、

学内研究者同士が

交流する場として

も有意義な時間と

なったようです。

 このほど、平成 27 年度宮崎大学女性研究者奨励賞の受

賞者が決定し、3 月 4 日に木花キャンパスにおいて表彰式

を開催しました。今年度の受賞者は下記の通りです。

◆平成 27 年度女性研究者奨励賞 受賞者◆

マドゥエスタ ラダ さん(医学部医学科 助教)姜 丹鳳 さん(医学獣医学総合研究科 修士課程 2 年)宇野 瑞穂 さん(工学研究科 修士課程 2 年)

 表彰式では、一人ずつ池ノ上学長から表彰を受け、「こ

れからも研究を続け、その成果を世界に発信し本学の発展

に貢献してほしい」という激励の言葉も寄せられました。

 受賞者の皆さんには表彰対象となった研究概要や今後の

目標・意気込みについて発表していただきました。それぞ

れの分野で熱心に研究に取り組んでおられるのが伝わって

くる内容で、参加した関係者も熱心に耳を傾けていました。

 受賞者の一人であ

る姜さんは「4 月か

ら 博 士 課 程 に 進 学

するので、受賞を励

みにさらに頑張りた

い」と感想を述べて

いました。

 3 月 20 日、日本寄生虫学会との共催により「高校生の

ためのサイエンス・カフェ~めくるめく研究者の世界 ま

さか寄生虫学者になるなんて!」を開催し、県内の高校

生およびその保護者など約 50 名が参加しました。このイ

ベントでは、全国各地で活躍する若手研究者 12 名がゲス

トとして参加。順天堂大学医学部の奈良武司先生の講義

の後、4 ~ 5 名の高校生と 2 名の研究者がグループにな

り、会場に用意された寄生虫に関する標本を見ながら説

明を行ったり、進路等について話す時間を設けたところ、

各グループとも非常に盛り上がっていたようです。

 参加した高校生からは「楽しかった。ぜひ他の分野で

も同じようなイベン

ト を 開 催 し て ほ し

い」「先生方の熱心

な姿をみてより一層

研究者になりたいと

思った」などの意見

が寄せられました。

日本寄生虫学会との共催によるサイエンス・カフェを開催しました

 今年も、夏休み期間の 13 日間で教職員の子どもを対象

とした学童保育を開催しました。さまざまなプログラムを

楽しんだり、学生サポーターのお兄さん、お姉さんとたく

さん遊んだり…と子どもたちの素敵な笑顔をたくさん見る

ことができました。

 今年は「親子で参加できる企画を開催してほしい」とい

う利用者の要望に応え、きっずサマースクール特別編とし

て、平成 27 年 8 月 29 日に「親子でチャレンジ☆フィル

ムケースロケット」を開催しました。あいにくの雨模様で

したが、菅本和寛先生(工学教育研究部)の指導・協力の

もと、清武キャンパスにおいてフィルムケースにクエン

酸や重曹を入れてロ

ケットを作製する実

験と飛距離コンテス

トを行い、会場には

たくさんの歓声や笑

い声が響いていまし

た。

ー昨年 10 月の学長就任後、精力的に学内を視察しておられるそうですが、どのようなことを感じておられますか?

 いろんな部署や現場を見て回るのは新鮮ですし、知らないこともたくさんあります。ずっと産婦人科医として働いてきましたから病院のことはよくわかりますが、それ以外のことは素人。素人なりに考えて質問したり、意見を伝えてみると、現場にいる方では気付かないことだったり、新しい取り組みのきっかけになったりするんですよ。

ー学長就任にあたり、新たに「女性活躍・人財育成担当理事」というポジションを設置されました。その意図をお聞かせください。

 男女共同参画推進については、住吉元学長や菅沼前学長の頃から積み上げられた実績があります。社会的な要請が高まっているだけでなく、学内の取り組みをさらに具体化するためにも、ある程度権限を持って実行できるポジションが必要だと考えました。ただ、職名に「女性」が入っているからといって伊達紫先生にお願いしたわけではないんですよ。基準はあくまでも能力と実績と意欲。新たなポジションに一番適しているのが伊達先生だったということです。

ー本学の女性活躍や男女共同参画推進に向けてどのようなビジョンをお持ちでしょうか。 医療現場では、医師が行う医療行為を看護師がサポートするという考え方が主流でした。しかし、看護学という学問が生まれ発展する中で、行うべき仕事は医師と看護師は異なっていて、それぞれが補完することでより高い医療が実現するという考え方に方向がシフトしています。社会における関係もそれと同じで、一人ひとりがそれぞれの能力を生かしてより豊かなものが生まれてくるのではないでしょうか。 しかし十分に能力を持ちながら、プロモーションがうまくいっていないケースもあります。きちんとがんばっている人が不利な取り扱いを受けないように対応することが非常に重要です。ピラミッド型の組織形態は効率的な組織運営に重要な形態ですが、能力を適切に評価してポジションを付与できる人事制度とうまく組み合わせることでさらに組織が活性化するのではないでしょうか。

ー多様な人財が活躍できる組織の実現へ向けて、当室への期待と、教職員の皆さんへメッセージをお願いします。

 清花アテナ男女共同参画推進室では、さまざまな切り口で学内の現場を見渡して、いろんな声を拾い上げてほしいですね。これまで見えていなかったものも見えるでしょうし、小さなことの積み重ねが次のステップにつながると思います。 私は、個人が豊かになるために働くという発想より、社会の一員としてしっかりと役割を果たすことで、おのずと自分の生活も豊かになり、生き方のクオリティも上がっていくものだろうと考えています。本学は宮崎のために存在する大学です。学生に対する教育はもちろん、地域のために何ができるかということを常に考え、地域活性化の拠点としての役割を果たしていかなければなりません。様々な職種の違いはありますが、教職員の皆さんそれぞれの立場でぜひ誇りを持って働いていただきたいと願っています。

(平成 28 年 1 月 14 日、学長室にて)※学内向け広報紙「アテナかわらばん」82 号より転載

池ノ上 克 学長 インタビューこれからの「宮崎大学と男女共同参画推進」

平成 27 年 10 月、本学では菅沼 龍夫 前学長の任期満了により、池ノ上 克 氏が新学長が就任しました。就任に当たっては執行部内に女性活躍・人財育成を担当するポストを新設、これまで以上に充実した体制での男女共同参画推進がスタートしたところです。そこにかける学長の思いや意気込みを聞きました。

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本学は平成 25 年に策定した「宮崎大学男女共同参画基本計画」の達成目標のひとつとして、役員等管理的立場にある女性の数を計画策定時の 1 名から 3 名に増やすことを掲げています。昨年秋に経営協議会の学外委員として坂佳代子先生が就任され、目標値を達成することができました。「女性の活躍推進法」成立など、昨今では国を挙げて上位職への女性登用の動きも加速しています。そんな中、本学の女性役員が何を思い、何を感じているのか ・・・ お一人ずつお話しを伺いました。

<パネリスト(五十音順)>加納 ひろみ さん(KIGURUMI.BIZ 株式会社 取締役工場長)桑畑 夏生 さん(NPO 法人宮崎文化本舗 インターンシップ事業担当)林 弘子 さん(宮崎公立大学長)福嶋 清美 さん(宮崎県 商工観光労働部労働政策課 地域雇用対策室長)宮田 理恵 さん(カテナ株式会社 代表)

<コーディネーター>中川 美香 さん(宮崎日日新聞社 文化部次長)

経営協議会 委員 坂 佳代子 先生 / 九州保健福祉大学 副学長

 

ー経営協議会委員として、本学をどのようにご覧になっていますか? 所属する九保大でも 2 年前に副学長に就任し大学の運営に関わってきました。そういう立場で宮崎大学の経営協議会に加わらせていただいて感じるのは、学長以下教職員の皆さんがしっかりと大学のこと、宮崎のことを熱心に考えておられるということ。先般採択された「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」でも、国や他大学との連携を通じて宮崎での人材育成について取り組んでくださるとのことで大変ありがたいと思っています。今後もぜひ本県高等教育機関においてリーダーシップを発揮していただきたいですね。

ーこれまでのご経験で苦労されたことはありますか? 私の母は常に夫を立てる人で、私も「妻とはそういうもの」と思っていました。ですから結婚したら体操選手は引退しようと考えていましたが、夫が「これからは女性も外へ出る時代。体操選手として活躍する人と結婚した覚悟は持っているから、頑張りなさい」と言ったのです。おかげで結婚後も 2 回目

のオリンピックに出場することができ、体操の世界でも十分に活動することができました。教員として日本体育大学に着任した頃は女性教員も少数でしたし、子育てしながら働くのは大変でした。それでも頑張れたのは、まわりに手助けしてくれる人がいたから。保育園や保育ママさん、それに同居していた義母や私たち夫婦の兄弟やたくさんの人の支えで乗り切ってきました。そうやって元気に頑張る姿を子どもに見せることができたのは、よかったなと思っています。

ーこれから社会ではばたこうという女性へのメッセージをお願いします。 私の周りには一途に目標に向かっていくことができる女性が多いように思います。これから重要なのは、そういう人にきちんと目を向けて能力を引き出し伸ばす存在だと思います。これまで指導してきた多くの学生たちが、それぞれ全国各地で活躍してくれているのは本当にうれしいことです。女性に限りませんが、誰しも自信を持って自分を発見してほしいと思いますし、悔いのない人生となるよう主体的に人生設計を立てて目標に向かってほしいですね。

ー本学評議員として 2 期目を迎え、感じておられることをお聞かせください。 最終的な意思決定の場である評議会では全学的な事項を議論・検討しますので、学部の中にいるだけではわからないことが見えてきます。学部長の先生方は学部を代表して会議に参加されますが、私は評議員として学部等の利害を超えた自由な立場から発言すべきだと考えています。 大切にしたいのは、議論すべき事柄の「芽」を逃さないということ。議論の流れから採用されることはないとわかっていても、あえて発言することもあります。結果が変わらずとも、少数の声をその場に届けることも私の役目だと考えているからです。

ー「女性の活躍推進」という国を挙げた動きについてどのようにお感じですか? ポジティブに受け取る人もいれば、押しつけでしかないと感じる人もいるでしょうが、女性の活躍そのものを推進する初期段階として数値目標を掲げることは大切ですね。評議会構成員も圧倒的に男性が多いのですが、やはり数的にもバランス取れていたほうが豊かな意見が出るのではと思います。

 喜ばしいことに、最近は産休・育休などを取得しながら働き続ける女性教員も増えていますが、そうした人が利用すべき環境・制度はまだ追いついていないと感じます。制度そのものをより使いやすくしていかなければ「活躍推進」は実現しないのではないでしょうか。

ー今後、大学が発展していくためにどんなことが必要だと思われますか? 多様な人材が豊かな能力を発揮して働くためにも、組織として人を大事にすることが重要だと思います。大学運営において効率や競争原理を求められる場面も少なくありませんが、本来大学とは教育機関であって人を育てる場です。そういう観点からも、学生・教職員に対するメンタル面でのサポートがもっと充実するといいなと思います。 あと、研究だけではなく、教育や社会・地域への貢献も含めて多面的に評価し、そうした成果を発信していくことが大学の成長につながると思います。宮大は「宮崎大学が好き」という学生の割合が高いそうですが、その結果も熱心に学生と向き合う先生方の存在があってこそだと考えています。

ー理事・副学長に就任して約半年、現在の率直な感想をお聞かせください。 女性研究者支援や男女共同参画推進という切り口としては、従来の業務と関連するところも多いのですが、今の立場だからこそできること、言えることがかなりあると感じています。例えば、女性教員の採用や登用という、進めなくてはならないけれどなかなか進まない部分も大学全体の人事制度の中にどう位置づけるかなど戦略的にとらえて進めることができるようになったと思います。 対象を女性に限定したような取り組みの場合、「女性優遇ではないか」と感じる方もいるようですが、どんな場合も「女性研究者のためになるか?」ということより「大学全体のためになるか?」という視点を大切にしたいと思っています。

ー任期中、どのようなことを目指して取り組んでいきたいとお考えですか? 大学を明るくしたいですね!社会において大学がなすべきことは「明るさをもたらすこと」だと思う

のです。日本を明るくできる研究、宮崎を明るくする取り組み…そういったことを具体化する資源を宮大はたくさん持っていると思います。 最近、宮崎ならではのことにチャレンジするよう心がけていて、1 月末はソフトバンクホークスの優勝パレードにも行きました。あのような「現場」に行くと、社会は本当にさまざまな人から構成されている、ということを実感します。地域の現場に目を向けることで、大学がなにをなすべきかというヒントが見えてくるのではないでしょうか。 そのためにも、“ きちんと学問をやる ” という大学としての土台があって、そこに人が正当に評価される環境と構成している人同士のつながりが欠かせません。社会が動けば、それに応じて新しい制度や取り組みにチャレンジしていくことが求められます。さまざまな変化にチャレンジする仕事の楽しさや醍醐味を多くの教職員と共有できたらいいですね。ポジティブにもネガティブにも意見を伝えることは重要ですから、そういった意見が飛び交うような雰囲気を大切にして職務を全うしていきたいと思います。

理事(女性活躍・人財育成担当)・副学長 伊達 紫 / 清花アテナ男女共同参画推進室長

特集:女性役員に聞く

評議員 石川 千佳子 先生 / 教育文化学部 教授

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―現在取り組んでいる研究の内容をお教えください。

 ビスマス系酸化物における光触媒材料の開発に取り組んでいます。光触媒材料とは、光を吸収しそのエネルギーを活用して化学反応を起こす物質です。光触媒材料として初めて認識された酸化チタンは、紫外線によって発現する強い酸化力を利用して、空気中の窒素酸化物(NOx)など有害な有機物を分解し無害化することができます。このような特性を屋外だけでなく室内でも活用するために、さまざまな元素を組み合わせて、可視光応答型の光触媒材料の開発が行なわれています。 私は、ビスマス系酸化物に少量の異種元素を加えて、それが光触媒活性にどのような影響をもたらすかを調べています。基本的には、試薬を混ぜ合わせて焼いた粉末を測定する。添加元素を変えたり、作り方 , 焼き方を変えたりして、日々いろいろな条件を試しています。また、光吸収などの諸物性は固体の電子構造と深く関係していますので、ワークステーションを使った電子構造計算にも挑戦しています。理論計算は、数分で終わるものから数ヶ月かかる場合もあって、忍耐力や冷静さが鍛えられました。

ーこれまでのキャリアで印象に残っている出来事はありますか?

 中学校卒業後に進学した北九州高専での恩師との出会いですね。高専入学時は「白衣を着てみたい」という程度の軽い気持ちだったのですが、松嶋茂憲先生には研究室に配属された当初から、興味を持ったものをいろいろと見せていただいたり、学会などでいろんな方に引き合わせていただいたり、どんどん研究に魅せられていくような体験を積み重ねさせてもらったと感じています。 本科 5 年生のときに初めて学会に参加させてもらったのですが、他の参加学生は大学院生ばかり。場違いなのでは…と不安だったのですが、研究に関するディスカッションもできて、いろいろと意見もいただけてとても楽

しい経験でした。「研究」というものが仕事として見えてきたきっかけだったように感じています。

―昨年夏開催の「九州・沖縄アイランド女性研究者支援シンポジウム in 鹿児島」にも参加されましたが、いかがでしたか?

 ワークショップやパネルディスカッションを通して、他大学の現役院生と研究職を目指すことに対する漠然とした不安感を共有できましたし、若手の先生方からはライフイベントを含めてどのようにキャリアアップしてきたかという経験を聞くことができ、とても有意義でした。また、若手の先生方がそれぞれの研究について生き生きと発表する姿を見て、改めて研究者という職業に対する憧れも強まりました。 私自身、今回のシンポジウムを通じて女性研究者や若手研究者に対する支援について知ることができたので、まだそういった支援の存在を知らない人たちに周知していければと思います。女性研究者と一口に言っても人それぞれ。まず私自身がそれぞれの生き方を受け入れる心を持つことが大切だと気づきました。女性研究者支援そのものにも多様性・柔軟性が求められると思います。

―これからの目標について教えてください。

 宮崎大学という新しい場所に来てみて、研究する場所は変わっても、自分がこれまで培ってきた研究の土台は生かせるんだということを実感できました。これから研究者としてのキャリアを積んでいくために重要なのは、向上心を持ち続けることとそれを引き出してくれる人と出会うことだと思います。宮崎大学でも酒井剛先生をはじめとする先生方に指導していただけてありがたいと感じています。博士課程に進学して、学生を指導する場面も出てきました。私がこれまで皆さんに育てていただいたように、私自身もアカデミックなポジションを得て後進を育てていく立場になれるといいなと考えています。

■農学工学総合研究科 博士課程 1 年 小袋 由貴 さん

平成 2 年福岡県出身。中学卒業後に北九州工業高等専門学校物質化学工学科へ進学。同校専攻科を経て九州工業大学の修士課程修了。平成 27 年 4 月から宮崎大学農学工学総合研究科博士課程に在籍、日本学術振興会特別研究員(DC1)。

宮大で Jump !~宮崎大学で活躍する研究者たち~

 宮崎大学にはさまざまな研究・教育にかかわる研究者が在籍しています。このコーナーでは、毎回異なるテーマにスポットを当て、活躍する研究者を紹介します。今回は、農学工学総合研究科で活躍する大学院生の登場です。

宮崎大学の管理職者が

イクボスに!宮崎大学では

役員および管理的立場にある教職員が「宮崎大学イクボス宣言」

を宣言!平成 28 年 3 月 2 日に開催した宣言式には教職員約 100 名が

参加、一斉に署名を行いました。

一人ひとりが宣言文へ署名

イクボス宣言を行った背景医学部附属病院も有する本学には、さまざまな業務に従事する多くの教職員が勤務しています。県内唯一の国立大学法人である本学は、学生教育はもちろん地域ニーズにも応えられる多角的な教育・研究環境を提供することが求められており、そのためにも教職員が意欲的に働き、十分な成果を上げることができる環境の実現が欠かせません。教職員の就労環境の充実ならびにワーク・ライフ・マネジメントの実現には、各職場を管理する立場になる教職員(=ボス)の理解と、部下への適切な働きかけが必要です。そこでボスとなる管理職自らが職場環境改善へ向けた意思を明確にすることを目的に宣言を行いました。

該当教職員 100 名が一斉に署名宣言式では、伊達 紫 女性活躍・人財育成担当理事による趣旨説明の後、池ノ上 克 学長が宣言文を読み上げ参加者へ披露。参加した教職員一人ひとりが宣言文への署名を行いました。会場では NPO 法人ファザーリングジャパン理事の川島高之さんからのビデオメッセージも流され、参加者は「イクボスは部下への理解を深めるとともに効率も高めるということ。今よりも求められるものが高くなるが、ぜひがんばっていただきたい」というコメントに耳を傾けていました。

今後の展開参加した教職員からは「楽しみながら仕事ができる環境を目指していきたい」「イクボスリーダーとしてこの宣言を発展させていきたい」といった声が数多く寄せられ、今後の変化が期待されます。宮崎県内ではすでに宮崎県知事・市町村長がイクボス宣言を行っています。次年度以降は学内での浸透・実践はもちろん、地域へ向けた展開も検討しています。

宮崎大学 イクボス宣言~宮崎大学におけるワーク・ライフ・マネジメントの向上を目指して~

 国立大学法人に求められる役割が多様化する中、地(知)の融合により生み出される宮崎大学としての個性を磨きながら高等教育機関としての付加価値を高めていくために、私は次の通り宣言します。

1. 私は、ワーク・ライフ・マネジメントを大学改革に不可欠な戦略として位置付け、既存の手法・意識にとらわれず、風通しのよい職場環境整備と風土の改善に取り組む「イクボス」となります。

2. 私は、教職員一人ひとりの個性の豊かさや多様な背景に目を向け、その個性と能力が最大限に発揮できるようきめ細かな配慮を行える「イクボス」となります。

3. 私は、学内及び地域社会におけるよきモデルとなるよう、また組織の一員としてより高い成果が上げられるよう、自らも充実した仕事と私生活を送る「イクボス」となります。

※「イクボス」とは?職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことを指す(性別は問わない)。

【NPO 法人ファザーリングジャパンウェブサイトより】

イクボスを目指して、みやだいもうくんも一緒に決意表明!

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国立大学法人 宮崎大学 清花アテナ男女共同参画推進室          http://www.miyazaki-u.ac.jp/kiyohana/          E-mail: [email protected]

木花キャンパス 〒 889-2192 宮崎県宮崎市学園木花台西 1-1        Tel&FAX:0985-58-7508 内線:(92)7508清武キャンパス 〒 889-1692 宮崎県宮崎市清武町木原 5200         Tel&FAX:0985-85-1252 内線:(95)2327

数 字 で 見 る 宮 崎 大 学宮 大 に ま つ わ る さ ま ざ ま な 数 字 を 紹 介 し ま す

の横顔-宮崎大学子育て応援プロジェクト

このコーナーでは宮崎大学で配布中の「子育てバッジ・シール」「子育て応援バッジ・シール」を利用している人にスポットを当てます

 30 年前、保健師志望の私は、臨床を経験してから保健師に転職しようと附属病院に就職しました。就職して 2 年目に結婚し、2 人の子どもを出産。あっという間に、育児と仕事に追われる日々となりました。その頃、子育て中の看護師は大変少なく、今のように子育て支援のシステムや延長保育などはありませんでした。保育園の迎えに行くと、わが子 2 人だけがポツンと待っているということも多くありました。さみしい思いもたくさんさせたと思います。病院から職員駐車場までの道は、移動時間がもったいなくて、ほぼ走っていました。そんな中、気持ちに余裕を失くし、育児にも仕事にも自信が無く、家庭を持っていることを弱みに思える自分がいました。 就職 6 年目、産婦人科に異動となり助産師の仕事を始めました。自分の育児経験が看護に生かせることがありました。また、家族の支えが私の大きな強みであると気づくと、助産師の仕事がとても楽しくなりました。そして 30 年、今も附属病院にいます。 現在、私は外来の看護師長をしています。外来看護師のほとんどが子育て真っ最中です。かつての私のように仕事と育児のジレンマに悩みながらも、スタッフ同士が支え合い、いきいきと看護をしています。彼女たちの、患者さんの思いに寄り添う、きめ細やかな看護は私の誇りです。 わが娘も看護師で、この春から育児休暇より復帰します。かわいい孫のためなら、楽しくババ力を発揮し子育て応援が出来そうです。

医学部附属病院 看護部 外来看護師長河潟 富士枝 さん

お知らせ教職員からの育児・介護に関する相談をお受けしています

お気軽にご相談ください! 清花アテナ男女共同参画推進室では、教職員の皆さんから、子育てや介護に関するご相談に対応しています。「妊娠したけれどどんな手続きをすればいいの?」

「妻と一緒に育児休業を取得したいけど、大丈夫?」「介護に関する施設について情報がほしい」など、さまざまな情報を取り揃えて、スタッフが対応いたします。資料だけ見たいという方のご来室や、お電話・メールでのご相談にも対応します。

専門家による相談も実施しています! また、より詳しいご相談にも対応できるよう、社会保険労務士および社会福祉士による専門相談も実施しています。開催日は下記の通りですが、個別のご相談を基本としていますので希望する日時での事前予約をおススメします。

◆介護 cafe(社会福祉士による相談) 木花キャンパス 奇数月の第 2 木曜日 10 ~ 14 時 清武キャンパス 偶数月の第 2 木曜日 10 ~ 14 時

◆社会保険労務士による相談会 木花キャンパス 偶数月の第 4 木曜日 10 ~ 14 時 清武キャンパス 奇数月の第 4 木曜日 10 ~ 14 時

※都合により日程が変更となる場合もあります。

35.5%学 部 学 生 に お け る 女 子 の 比 率

( 平 成 27 年 5 月 1 日 現 在 )

 本学では 4 学部で約 5,500 名の学生が学んでいます。(平成 28 年 4 月には地域資源創成学部が開設され 5 学部となります)。平成 27 年 5 月現在の学部生は 4,739 名で、そのうち 1,681 名が女子で全体の 35.5%を占めます。しかし、学部ごとの女子学生比率をみると…教育文化学部51.0%、医学部(看護学科含む)51.5%、工学部 10.3%、農学部 45.1%と、

工学部で特に低い割合となっていることがわかります。 この背景には、「理工系は女子が少ないから」「理工系は男子向きだから」というイメージが影響しているかもしれません。国も「科学技術基本計画」や「男女共同参画基本計画」などに基づき、理系分野で活躍する女性の育成・登用を目指しています。大学の学部選択も含め、まずは幅広い選択と可能性が性別にかかわらず平等に与えられているということを、子どもたちとその周りで支える保護者や先生方に伝えられる場面がどんどん増えてくるといいですね。