【東陽テクニカ 基調講演】ローカル5gの可能性と …e3%80%90%e6%9d...2020/4/13 1...

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2020/4/13 1 ローカル5Gの可能性と その実現に向けたビジネス展開 ⼤阪⼤学 ⼤学院⼯学研究科 電気電⼦情報通信⼯学専攻 三瓶 政⼀ 1 【東陽テクニカ Webセミナー】ローカル5G技術最前線!ローカル5G技術の未来 〜その課題と解決策〜 令和2年4⽉20⽇ 講演概要 5Gシステムの概要 伝送速度の⾼速化技術 無線サブフレームの短縮化 ヘテロジニアスネットワーク ネットワークの動的制御 ローカル5G ローカル5Gの基本 ローカル5Gを活⽤したビジネス展開 まとめ 2

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2020/4/13

1

ローカル5Gの可能性とその実現に向けたビジネス展開

⼤阪⼤学 ⼤学院⼯学研究科電気電⼦情報通信⼯学専攻

三瓶 政⼀

1

【東陽テクニカ Webセミナー】ローカル5G技術最前線!ローカル5G技術の未来 〜その課題と解決策〜

令和2年4⽉20⽇

講演概要

• 5Gシステムの概要• 伝送速度の⾼速化技術• 無線サブフレームの短縮化• ヘテロジニアスネットワーク• ネットワークの動的制御

• ローカル5G• ローカル5Gの基本• ローカル5Gを活⽤したビジネス展開

• まとめ

2

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5Gシステムの概要

3

伝送速度の⾼速化技術

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3

Link Budgetで観るビームフォーミングの必然性

伝送速度に⽐例

送信電⼒は⼀定

受信機性能の改善は限界

受信機送信電⼒

伝送速度Rの場合の

所要受信電⼒

送信機

電⼒

レベ

送信機設置場所 受信機設置場所伝搬路

伝送速度KRの場合の

所要受信電⼒

受信アンテナ利得

アンテナ利得のみが伝送速度⾼速化の鍵

送信アンテナ利得

セル半径の短縮化

5

Massive MIMOTE

TE

TE・伝送速度の⾼速化とミリ波の導⼊という⽬的のためには必須技術・アレイ素⼦数の超多素⼦化により,空間多重数が⼤幅に向上・ビームフォーミングにより,伝搬路特性はより安定化・光伝送の場合に近い無線リンク

・結果として伝送品質の遠近格差縮⼩へ・High mobility環境下でのビームトラッキング能⼒が最⼤の課題に(かなり解決に向けて前進)・無線アクセスの品質は⼗分⾼く,持続可能性があり,柔軟性は固定回線よりはるか

に⾼い 6

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超低遅延の実現

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無線サブフレームの短縮化ー無線アクセスでの低遅延対応ー

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5Gにおけるサブフレーム構成

メッセージ伝送時間

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サブキャリア間隔 = 15 kHz

サブキャリア間隔 = 30 kHz

サブキャリア間隔 = 60 kHz

サブキャリア間隔 = 120 kHz

サブキャリア間隔をN倍⇒パケット⻑は1/N 無線アクセスにおける遅延時間短縮

サブキャリア間隔の増⼤でスロット⻑は短縮化

ネットワークの動的制御−E2Eでの遅延対策−

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6

ネットワークを含む低遅延伝送対応

集中管理サーバ/コントローラ

制御器

被制御器群

制御器

被制御器群

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ネットワークを含む低遅延伝送対応

集中管理サーバ/コントローラ

制御器

被制御器群

制御器

被制御器群

低遅延制御対応

・映像や⾳声伝送は⼈の感覚で性能が決まるので4Gで⼗分・IoT/M2Mは⼈が介在しない機械のネットワーク(遅延時間は数ms以下も)

- End-to-End (E2E) での規格が必要な時代- ネットワーク全体での動的かつ柔軟な運⽤が不可⽋な時代に

Edge Server/Controllerクラウド内での不定な遅延時間を解消

Edge Server/Controller

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ヘテロジニアスネットワークー局所的トラヒック需要対応としてー

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ベストエフォートからユーザ要求のサポートへ

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・ 5Gでは,4Gのような⼈⼝カバー率に基づくセル配置に固執せず・ ヘテロジニアスネットワーク構成に基づいて,必要とされる場所に要求される

伝送能⼒を提供

・4Gまではベストエフォート- すべての基地局は同じ性能- スマホアクセスは,遅延に対しては⽐較的寛⼤

・5Gではユーザ要求のサポートが必要- 低遅延はスマートファクトリ,⾃動運転などで強く要求される事項

・そのため5Gではユーザ要求に応じた伝送能⼒の提供に基づいて基地局配置

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5Gにおけるヘテロジニアスネットワークの基本構成

各種制御情報のやり取り・呼制御・位置登録・Macro/Micro-cell接続制御

呼端末

ユーザ情報

チャネル

制御チャネル

呼Macro BS

端末 ユーザ情報

チャネル

制御チャネル

C/U分離を適⽤したセル

C/U分離を適⽤しないセル

・主な制御チャネルをマクロセルで対応することで,ハンドオーバなどの処理の複雑さ増加を抑制- サービスエリアにゾーンを敷き詰めなければな

らないという課題からの解放・マイクロセル経由でのサービスの多様化を実現・異常なトラヒック分布への対処能⼒を向上

Micro BS

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HetNet構成が5Gのシステム形態

異常トラヒックへの対処能⼒が格段に向上

ローカル5Gについて

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ローカル5Gの基本

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ローカル5Gについて• ローカル5Gの導⼊⽬的・役割

• IoTの普及に代表される通信需要の多様化への対応のため,携帯電話事業者による全国サービスの提供に加えて,地域需要や産業分野の個別需要に応じて柔軟に情報通信ネットワークを構築することが⽬標

• そのため,性能・品質の⾼い5G技術を適⽤• ローカル5Gのコンセプト

• 5Gを利⽤• 地域固有の需要に基づいて必要な通信環境を構築• 無線局免許を⾃ら取得することも,免許を取得した他者のシステムを利⽤することも

可能• 無線局取得を他者に代⾏してもらうことも可能

• 適⽤分野• ⾃⼰の建物内あるいは⾃⼰の敷地内で,建物または⼟地所有者への免許付与が基本• 建物または⼟地の所有者からシステム構築を依頼された者も,依頼を受けた範囲内で

免許取得可能• 他社の⼟地からの送信は,当⾯固定局との通信のみ

• ただし⼟地所有者に優先権あり,⼟地所有者が無線局開設をすることになったら話し合いによって調整することが免許の条件 18

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ローカル5Gの特⻑

191G

2G

3G

4G

5G

・低品質・低性能

性能/品質は固定通信並性能/品質は固定通信以上

【対Wi-Fi】・⾼セキュリティ・⾼信頼性・帯域独占

【対固定通信】・多様性・柔軟性・フレキシブル構成

【対放送】・コンテンツの多様性・ユーザ要求の反映・随時視聴

【対セルラ通信】・ 帯域独占・ セルラのカバレッ

ジ外でも設置可能

Local 5Gの実現

5Gの展開⽅向−産業分野における5Gの活⽤−• 5G適⽤のモティベーション

• ⽣産性向上• 導⼊エリア

• 建物(⼯場やオフィスの内部)• 敷地内(会社の敷地内で必要な部分)• 固定通信(敷地はまたがるものの,固定的に設置される送受信機間のリンク)

• 展開分野の例• スマートファクトリの実現

• 製造設備のディジタル化(サイバー/フィジカル連携によるシステム障害予測,故障確率の抑制,計画的システム更新実施による機器の故障率の抑制)

• ケーブルから5Gへ(ケーブル更新コストの抑制)• ディジタル化による⽣産管理の⼤幅⾰新(⼈⼿の抑制)• ロボットやインテリジェント化された機器による⼈の労⼒の抑制• 物の配送,運搬の⾃動化(⼈⼿の抑制)

• スマートオフィスの実現• オフィス機能のディジタル化(多様な情報の活⽤による業務関係情報の効率的な活⽤)

• 働く⼈の環境調整,体調管理• 業務推進のスマート化• ネットワーキングによる開放された空間での業務推進

• 業務間の情報共有による業務の効率化• 多様な情報の活⽤による新たな発⾒が起きる可能性の向上 20

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5Gの展開⽅向−地域における5Gの活⽤−• 5G適⽤のモティベーション(⽣産性の向上ではないものも多い)

• 防災のための情報収集と配信(⽣活空間のモニタリングと住⺠間の連携強化)• 住みやすい環境構築とそれに基づくサービス提供(⽣活環境の改善)• 住⺠⼈⼝の増加と,その結果としての税収の増加(インフラ維持経費)• ⽣産性の向上もあり(農林⽔産業など,地⽅展開された⼯場など)

• 導⼊エリア• 建物(地⽅展開された⼯場やオフィスの内部)• 敷地内(県庁や市役所,公⺠館内部)• 固定通信(各種モニタリングのための固定機器の通信)• 農林⽔産業の実施場所

• 展開分野の例• 住⺠ネットワークの強化(⼈を繋げる)• ビデオによる防災対応監視(⽣活環境モニタリング)• 農林⽔産業の新たな可能性,等価的に⼤規模システムと同等のシステム構築• 医療サービスを適切なタイミングで受けてもらえるための本⼈と医療機関連絡の⽰唆,

医療機関との連絡の仲介など(⽣活環境の改善)• ⾃動運転(⼈⼿のかからない)による衰退した交通インフラの補完(⽣活環境の改善)

21

5Gの重要な点

• 5Gは単なる情報配信ではなく,⼈⼿に代わる機能の実現に結びつくこと• ロボット,⾃動運転⾞,⼈の動きを⾒ながらの情報提供など

• 5Gの利点• ⼈⼿を極⼒使わないサービスが増⼤(⼈件費の抑制)• 予約を取り⼊れたOn Demandサービスが可能(サービスされる⼈の密度が⼩さい

場合にはこの点が重要)• 適切な後年度負担でのサービスの継続が可能

• 5Gは成⻑するネットワーク• 無線LANとの最⼤の相違点• 機能の維持ではなく,6G, 7Gと成⻑するネットワーク機能を活⽤

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ローカル5G/5Gのビジネス展開

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グローバルマーケット

⼤規模拠点

中規模拠点

中規模拠点

中規模拠点

中規模拠点

NW

遠隔制御部

⾃動搬送システム

グローバルマーケット

(a) 現在の構成

(b) これからの構成

各拠点の柔軟性強化by 5G

拘束条件に応じた流通の制御

5Gによる拠点分散化と拠点間連携

中規模拠点の連携による

仮想的⼤規模化

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マーケット(構築)

研究開発プロジェクト

国際会議のKeynote, Panelでの議論マーケット

の⾒⽅技術展開に対する主張の変化

将来のシステムイメージの変化

議論の内容と雰囲気

各種フォーラムでの議論マーケット全体構想

これまでの技術展開

参加企業の対応分野

参加企業の思惑,夢

各企業の対応

製品構成要素の調達戦略【対応のポイント】・⾃社が突出する部分の抽出・⾃社が対応する部分の⾒極め・システム構築上,上位に位置する企業との連携

技術の創出

知財の取得

標準化対応

他社との連携構想

製品構想 他社

標準化機関

5G以降のマーケットと各社の対応関係

知財の活⽤

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まとめ• セルラシステムの歴史では,4Gまでは,新たな無線アクセス技術を導

⼊が世代交代の意義• 5G以降は,セルラシステムの適⽤形態,適⽤分野などの⼤きな変化が世代交

代の意義に• したがってユーザが5Gに対して要求を出す時代に

• 5Gの本質• Vertical Sectorの接続の本格化

• ローカル5G• 産業分野での展開と地域での活⽤には,⽬的,展開形態に⼤きな違いが存在

• 産業分野は⽣産性向上が⽬的• 地域での展開は,⽣活環境の災害からの保護,住⺠サービスの形態の進化が⽬的

• 5G/ローカル5G+AI+ロボットは,労働⼈⼝減少に対する重要な対策• 24時間コンビニ• 感染対策として,⼈⼿を介さない物流,製造,納品 26