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骨形成促進効果を持つ細胞外マトリックスシート
の利用法
奈良県⽴医科⼤学
整形外科学
助教 清水 隆昌
関西・東海地区医系大学 新技術説明会
平成27年10月29日
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細胞・人工骨複合体移植
www.abcom.com
� 平成13年(2001年)〜産業技術総合研究所と共同
� ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(体性幹細胞)
� 80例
�人工足関節置換術への有効性
� 培養骨髄間葉系細胞搭載型(22関節)� 従来法(16関節)
NSNS
平均経過観察期間40ヶ月
【対象と方法】
⼿術時平均年齢 38歳(30-49歳)術後平均経過期間 7.5年(4-10年)
病期分類 stage2;1関節, 3A;4関節、3B;1関節病型分類 type C-1;1関節 , type C-2;5関節
【結果】
JOA score;術前平均60点 → 経過観察時平均67点すべての関節で圧潰が進⾏。
【結論】
遊離⾎管柄付き腓骨移植と骨髄間葉系幹細胞を
培養したβ-TCP顆粒の移植は従来法と比較し、明らかな有効性を示せなかった。
� 培養骨髄幹細胞搭載β-TCP顆粒を用いた遊離⾎管柄付き腓骨移植術(6関節)
奈良県⽴医科⼤学・川⼿健次 ほか (JOS 2013)
�ステロイド性⼤腿骨頭壊死症例への有効性
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�これまで我々が⾏った80例の再⽣医療において、感染、腫瘍化などの有害事象はなかった。
�再⽣医療は発展途上の分野であり、特に新規分野では、意図した治療効果が得られないこともある。
� 再⽣医療に要するコストに⾒合う効果を獲得できる症例を選別する必要あり。
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� 我々は近年、骨形成細胞シートを作成しその高い骨形成能を報告してきた。
� 骨形成細胞シートは、多くの骨芽細胞を含むだけでなく、BMPをはじめとする成⻑因⼦や、I型コラーゲンを細胞外基質に多く含むことで高い骨形成能を保持する。
J Tissue Eng Regen Med 2008, 2010Bone 2010,Biomed Res Int 2014, 2015Injury 2015PRS 2015 他
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� 特に高齢者では、骨髄細胞を⼗分な量だけ確保することが困難である。
� また骨再⽣医療にiPS細胞などを応用する場合でも、莫⼤な医療費が必要であり、費用に⾒合うだけの効果が得られないことが、骨再⽣医療の臨床応用の妨げになっているのが現状である。
課 題
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� 非常に骨形成が旺盛な骨形成細胞シートを液体窒素によって細胞のみを殺細胞処理し、骨形成因⼦や血管形成因⼦などを保持している細胞外基質を移植し、同種移植として用いることができれば、免疫抑制剤を必要としない、細胞レベルからの新たな同種骨移植が確⽴でき、骨再⽣医療において非常に有用な治療法となると考えられる。
目 的
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� 骨形成細胞シートに含まれる細胞を殺細胞処理して抗原性を低下させ、骨形成能だけを残した「細胞外マトリックスシート」を作製し、骨再⽣医療への応用を目指す
� 他家細胞を用いて細胞シートを作製し(同種移植)、移植までの時間を短縮する。
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【初期培養】大腿骨から骨髄細胞採取
スクレーパーで採取
骨形成細胞シート作製
骨形成細胞シート【骨形成細胞シート】高い骨形成能コラーゲン I型が豊富人工骨と組み合わせて移植可能注入移植可能
【二次培養】デキサメサゾンアスコルビン酸添加培地培養2週間後にスクレーパーで採取
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【細胞外マトリックスシート】解凍後もシート形状を維持している
低抗原性細胞外マトリックスシート作製
【殺細胞処理】凍結保護液を使用せずに液体窒素で凍結・融解を繰り返す
【骨折部に移植】・ラットの大腿骨骨折部に細胞外マトリック
スシートを移植した
・ラットの皮下に細胞外マトリックスシート
を注入移植した
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結 果⼤腿骨骨折モデル
骨折部
石灰化
骨折部
皮下注入移植モデル
細胞外マトリックスシートのみを皮下に注入移植
皮下に硬結あり
本法の優位性、特⻑
【他家由来】
• 他家細胞由来で細胞採取に伴う合併症が減る⇒ 患者の負担軽減
• 免疫抑制剤が不要である
【⽣産性】
• 自動培養システムに組み込めば⼤量⽣産可能⇒ 他家細胞(幹細胞等)の利用も
• 凍結保存下の輸送が可能⇒ 必要時に解凍して使用可能
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【骨形成効果】
• ⽣体由来の骨形成促進材料• 骨形成促進・骨癒合促進効果が期待できる
⇒ 骨癒合不全や骨壊死等、骨欠損等を対象
【操作性】
• 殺細胞処理後もシート状構造は維持されており従来の細胞シートと同様に操作できる
• 細胞シート注入移植法も可能
本法の優位性、特⻑
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• 発明の名称:移植用培養細胞シート及び移植用培養シートの製造方法
• 出願番号:特願2014-244084(未公開)• 出願⼈:奈良県⽴医科⼤学
• 発明者:清水隆昌、赤羽学
• 発明の名称:移植用の骨組織作製方法• 出願番号:特願2014-244090(未公開)• 出願⼈:奈良県⽴医科⼤学
• 発明者:清水隆昌、赤羽学
本技術に関する知的財産権
ご清聴ありがとうございました