都市計画基礎調査情報の オープン化に向けた取組 · 実際のデータを提供...
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Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
都市計画基礎調査情報のオープン化に向けた取組
令和元(2019)年11月
都市局 都市計画課 都市計画調査室長筒井 祐治
2019年日本都市計画学会全国大会ワークショップ
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都市計画基礎調査情報の概要
【例:建物階数別現況図】下図のように各建物について階数別に着色した図面を作成
<建物利用現況図>建物階数別現況図、建物構造別現況図、建築年別現況図 など
地 上 1 階地 上 2 階地 上 3 階地 上 4- 5階地 上 6- 7階地 上 8- 1 0階地 上 11 - 1 5階地 上 16階 以 上
ID 用途階数
構造 建築面積 延床面積 建築年 耐火構造種別
地上 地下
1 階 階 ㎡ ㎡ 年
2
3
…
<建物利用現況の調書(例)>
○都市計画法に基づき、都道府県が概ね5年毎に都市における現況及び将来の見通しについて調査
○例えば、「建物利用現況」の調査では、建物毎に用途、階数、構造などの情報を登記簿、固定資産課税台帳、建築確認
申請、空中写真、現地調査などから収集し、そのデータを基に調書、位置図、建物利用現況図を作成
人口規模
産業分類別の就業人口の規模
市街地の面積
土地利用
交通量
その他国土交通省令で定める事項
1 地価の分布の状況
2 事業所数、従業者数、製造業出荷額及び商業販売額
3 職業分類別就業人口の規模
4 世帯数及び住宅戸数、住宅の規模その他の住宅事情
5 建築物の用途、構造、建築面積及び延べ面積
6 都市施設の位置、利用状況及び整備の状況
7 国有地及び公有地の位置、区域、面積及び利用状況
8 土地の自然的環境
9 宅地開発の状況及び建築の動態
10 公害及び災害の発生状況
11 都市計画事業の執行状況
12 レクリエーション施設の位置及び利用の状況
13 地域の特性に応じて都市計画策定上必要と認められる事項
例えば
都市計画区域における調査の項目
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オープン化に向けた取組までの政府全体の流れ
※「都市計画運用指針」の改訂(H30.7)以前の主なものを抜粋
時 期 決定事項等 概 要
H27.2 「オープンデータをはじめよう~地方公共団体のための最初の手引書~」(地方公共団体オープンデータ推進ガイドライン補足資料)
都市計画基礎調査はオープンデータとして公開可能なものと位置づけ
H28.12 「官民データ活用推進基本法」 公布・施行 オープンデータの推進を国や地方公共団体に対し、義務づけ
H28.12 「規制改革ホットライン」で受け付けた提案への検討要請 提案事項 : 都市計画基礎調査の民間利用促進
H29.3 「地理空間情報活用推進基本計画」 閣議決定 G空間情報センターを中核とした地理空間情報の流通及び利活用の推進
H29.5 「世界最先端 I T 国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」閣議決定 分野横断的な施策のうち重点的に講ずべき施策 : 都市計画に関するデータの利用環境の充実
H29.6 「規制改革実施計画」 閣議決定 都市計画基礎調査の民間利用促進
H29.6 「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針) 閣議決定「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」 閣議決定
コンパクト・プラス・ネットワークの推進として、 都市計画情報の活用・オープン化
H30.6 「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針) 閣議決定「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」 閣議決定
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国土交通省における取組の流れ
都市計画基礎調査情報は、土地利用や建物等、都市に関する豊富な情報を有するが、個人情報保護との関係が未整理
データ項目やフォーマットなどが揃っておらず、自治体間の横並び比較や全国的なデータ利用がしにくい
データ利活用・提供にあたっての課題
①検討会の設置・検討
<構成員>有識者、業界関係者、地方公共団体等
<事務局>国土交通省
(H29.7~H31.1)
②都市計画運用指針の改正(H30.7) G空間情報センターにおける先行的公開
の実施
都市計画基礎調査データ流通研究会 <構成員>地方公共団体等 <事務局>東京大学生産技術研究所関本準教授・(一社)社会基盤情報流通推進協議会
③ガイドラインの作成個人情報保護の観点を踏まえた利用・提供の考え方を整理
④調査実施要領の改正オープンデータ・バイ・デザインを明確化
⑤技術資料の作成データフォーマット・コーディングの共通化
⑥ユースケース・分析手順書の作成データ利用、分析手順
⇒⑦地方公共団体へ通知・公表(H31.3)
地方公共団体向け
R1年度H30年度H29年度
への追加
の実施
86市町
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都市計画運用指針の改正(H30.7)
Ⅵ.都市計画基礎調査
1.(略)
2.調査結果の活用
都市計画基礎調査は、調査結果のデータやその変化を把握するにとどまらず、都市の持
続性や生活の質について、現況及び将来の見通しを客観的に評価するために活用すること
が重要である。
(中略)
都市計画に関する理解増進や住民によるまちづくり活動の推進、民間事業での
利用による地域経済の活性化、都市構造に関する他の都市との比較による
具体的な課題の把握や対応策の立案、その他社会問題の解決に資するため、
都市計画基礎調査情報について、個人情報保護等の観点にも適切に配慮しつつ
オープン化することにより、その利用・提供を進めることが望ましい。
こうしたデータの集計・分析や幅広い利用のため、GIS(地理情報システム)を活用すること
が望ましい。
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ガイドライン等によるオープン化の推進
H31.3通知(実施要領、利用・提供ガイドライン)等の全体像
○G空間情報センターにおける先行的なオープン化
実際のデータを提供
オープン化されるデータの利活用の推進
都市計画基礎調査で収集され地方公共団体が保有している人口、土地利用、建物等都市に関する情報のオープン化を促進。
そのうち、特に有用性の高い土地利用現況、建物利用現況のデータについて、地区(町・字等)単位で集計されたたデータのオープン化を重点的に促進。
・ 土地利用現況(土地利用の用途)・ 建物利用現況(建物の用途、階数、構造、建築面積、
延床面積、耐火構造種別)
コンパクト・プラス・ネットワークの取組を進めるため市町村間の横並びでの都市構造の比較
民間による新サービス企画立案のための基礎的分析等
*1)主催:東京大学生産技術研究所 関本准教授及び一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会
*2)官民問わずさまざまな主体により整備・提供される多様な地理空間情報を集約し、利用者が検索・ダウンロードして利用できる産学官の地理空間情報を扱うプラットフォーム (平成28年11月より運用)
「都市計画基礎調査実施要領」(平成25年6月28日 国土交通省都市局長通知の改訂)
「都市計画基礎調査情報の利用・提供ガイドライン」(今回新規策定)
上記実施要領及びガイドラインに係る技術資料(今回新規策定)
⇒ データ収集時からオープン化を想定して調査を実施(「オープンデータ・バイ・デザイン」)することを明確化
⇒ 個人情報保護等の観点を踏まえた都市計画基礎調査情報の利用・提供の考え方を整理
⇒ 全国ベースでの利用や都市間比較をより容易に行えるようにするためデータのフォーマット、コーディングを共通化、互換性を確保
都市計画基礎調査データ流通研究会(*1)に参加している7地方公共団体が保有する計86市町分の土地利用現況及び建物利用現況のデータを「都市計画基礎調査情報の利用・提供ガイドライン」等に準拠し地区(町丁・字等)単位で集計し、G空間情報センター(*2)において公開。
「都市計画基礎調査情報の利活用を始めよう」(今回新規作成)
⇒ 地方公共団体や民間事業者の担当者等がオープン化される情報を利用して分析する手順を分かりやすく解説
○スマートシティの推進
○政府のオープンデータ推奨データセットへの追加
○ガイドライン等の策定・公表 ○具体的なユースケースやその分析の手順書の作成
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「都市計画基礎調査情報の利用・提供ガイドライン」の概要
GIS等により、その位置と属性とが紐付けされている個別の土地や建物の情報
個人情報に該当する可能性
⇒ 個人情報に該当することにより、直ちに、利用・提供が禁止されるものではなく、情報の利用・提供により達成される社会公共の利益と影響を受ける個人の権利利益を衡量し、情報の内容、利用目的及び利用主体に応じた取扱いがされるべき
○ 個人情報の利用・提供に関する整理
○ 個人情報に該当する情報の範囲
都市計画基礎調査情報をさまざまな主体が容易に利用できるようにすること取組可能なものから速やかに進めること個人情報保護等の観点も踏まえ、情報を適切に扱うこと
単体では特定の個人を識別できない場合でも、地番や住居番号等の特定の土地や建物の所在を示す地理空間情報は、不動産登記情報や市販の住宅地図と照合することにより、特定の個人を識別することができる
ガイドラインの基本的な考え方
個人情報保護の観点からの留意事項
個人情報保護や著作権等の観点からも特に問題がない情報
⇒ 行政内外で可能な限り広範に利用できるようにするべき
個人情報に該当する場合であっても、利用の主体や目的、情報の内容を限定した利用・提供が可能と判断される場合がある
⇒ 例えば、都市防災や福祉、環境など都市計画以外の行政分野での利用、または、都市計画その他分野に関する学術研究
利用の主体や目的を限定しない提供⇒ 土地利用現況や建物利用現況の情報を個人が特定されないよう「地区にまとめる集計処理」を行ったものであれば広く利用可能⇒ 共通的な集計フォーマット、コーディングを整理
GIS等コンピュータで加工可能な形式での提供
情報・正確性の確保⇒ 公開した情報が訂正されることで正確性が向上されるという考え方がある⇒ 免責事項の明示、訂正の告知が必要
オープン化の取組をPDCAサイクルで評価 等
【集計表のイメージ】
情報を利用・提供する方法、留意事項等
(一般的に)
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スマートシティの実現
地図・地形データ
気象データ
交通(人流)データ防災データ
都市・地域におけるインフラデータはじめ、官民の様々なデータを収集・見える化
携帯電話基地局データやGPSデータ等からリアルタイムな人や車等の流れのデータを取得
衛星データやまちに取り付けられたセンサー等により、日照や風、温度のデータを取得
準天頂衛星システムを用いた高精度三次元地図の実現
BIM/CIM、施工履歴データ、点検記録データ等を一元的にデータ化
街やそれぞれの建物のエネルギーの流れや量などを見える化
水害・土砂災害等の各種ハザードマップや過去の災害履歴等をデータ化新技術 官民データ
エネルギーデータ
施設・構造物データ
・・・
出典:qzss.go.jp
出典:日立HP
出典:松阪市HP
様々な地域で、個別分野のシステム構築とともに
都市・地域全体を分野横断的に最適化
・・・ 移動、物流
エネルギー・環境防災・気象
観光 安心なまち
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○土地利用現況(位置、用途、面積)○建物現況(用途、階数、構造、 建築面積、延床面積、 耐火構造種別)
○都市施設、交通 等
今後の取組の方向性
都市計画基礎調査情報(データ)
○統計データ○センシングデータ○その他ビックデータ
その他官民データ
オープンデータ化
情報統合(可視化・分析・評価)
社会課題の抽出・可視化・解決
住民理解
商品・サービス
都市像
スマートシティ
コンパクト・プラス・ネットワーク
結果活用
新たな社会Society5.0の実現
証拠(データ)に基づく政策立案・決定