学部共通科目 科学と人間 暷後のディスカッション大会€¦ ·...
TRANSCRIPT
学部共通科目
科学と人間
最後のディスカッション大会
今日の予定
• 12:50~ マークシート配布(2枚)
• ~13:05 前回の小テストの解答・アンケート
• ~13:20 後半の講義のまとめ
• ~14:00 ディスカッション
• ~14:20 期末小テストと授業アンケート
• 来週は、アンケート結果公表・最後の一言・学部の授業評価アンケート
前回の小テストの解答
• 問1:日本で「児童虐待」がマスコミで大きく報道され始めた時期はいつか?
87%
①1940年代
②1950年代
③1980年代
④1990年代
問2
正しいものを選びなさい。
85%
①親に殺される子供が近年、増えている。
②児童虐待の通報処理件数は1990年以後、激増している。
③児童虐待は世界中のほとんどの国で大きな問題になっている。
問3
• セラピー的解決の問題点を下からひとつ選びなさない
66%
①全員の心に寄り添うことができない
②個人の費用負担が重い
③社会の問題を個人の問題として取り扱う
④解決に時間がかかる
問4
• 講師が説明した児童虐待問題が台頭した理由のなかで該当するものを下からひとつ選びなさい。
70%
①子育てできない親が増えたから
②家族が地域社会から孤立したから
③児童福祉の予算獲得が難しくなったから
④PTSDの母親が増えたから
問5
• 児童虐待の発生について正しいものを選びなさい。
80%
①児童虐待はどの社会階層の家庭にも同じように起こっている
②児童虐待は低階層の家庭に多い
アンケート1:今日の授業は常識を考え直すきっかけになったか?
26%
55%
17%
2%
1
2
3
4
①大いになった
②少しなった
③あまりならなかった
④ほとんどならなかった
社会問題が「構築」されるということを理解できたか。
17%
59%
22%
2%
1
2
3
4
①よく理解できた
②まあまあ理解できた
③どちらかというと理解できなかった
④全く理解できなかった
今日の授業は刺激的だったか
12%
44%
32%
12%
1
2
3
4
①非常に刺激的だった
②まあまあ刺激的だった
③どちらかというと刺激的でなかった
④全く刺激的でなかった
コメントについては、
ウェブページに掲示します。
後半の授業のまとめ
6/19 クローン、生殖技術と倫理的問題(渡部)
6/26 優生思想の歴史と生命倫理(山口)
7/3 PTSDの発見(内海)
7/10 病気の作り方(山口)
7/17 児童虐待の社会構築(上野加代子先生による講演)
クローン、生殖技術と倫理的問題(渡部)
• 生殖補助技術:人工授精、体外受精、顕微授精・・・
– 費用負担が重い、女性の精神的・身体的負担が重い、多胎の可能性が高い。
• 出生前診断:超音波診断、羊水検査、着床前診断
– 「異常」のある胚の選別。
• 遺伝子治療:体細胞への遺伝子導入、受精卵の遺伝子操作。– 「遺伝子改造」はSFではなくなりつつある。
– 「新優生学」へ。
課題Aさん、Bさん夫妻の子供Cちゃんが
骨髄性白血病骨髄性白血病骨髄性白血病骨髄性白血病にかかりました。骨髄移骨髄移骨髄移骨髄移植植植植しか助かる道はありません。しかし骨髄移植に登録している人(ドナー)と組織組織組織組織適合性適合性適合性適合性((((免疫免疫免疫免疫のののの型型型型))))が合う確率は2万分万分万分万分のののの1しかありません。その時点では適合するドナーがおらず、Cちゃんの命があ
るうちに提供者が出てくるかどうかわかりませんでした。兄弟兄弟兄弟兄弟がいれば、4分の1
の確率で適合します。
Aさん、BさんはCちゃんの命を救うために、
新新新新たにたにたにたに子供子供子供子供を産む決心をしました。
体外受精体外受精体外受精体外受精とととと着床前検査着床前検査着床前検査着床前検査を行い、Cちゃんと適合する型であることがわかった胚(Dちゃん)が、Bさんのお腹へ戻されました。そして生まれてきたDちゃんのちゃんのちゃんのちゃんの骨髄骨髄骨髄骨髄ををををCちゃんへちゃんへちゃんへちゃんへ移植しました。移植はうまくいき、Cちゃんは健康を
取り戻しました。
みなさんは、この話をどう思いますか?自分の考えを発表して下さい。
ちなみにこの話は実話実話実話実話です。
優生思想の歴史と生命倫理
• 戦前:「優生学」の誕生と流布。
–社会や国家全体の利益のために個人の遺伝的素質を改善する。
• 戦後:強権的側面の否定。「修正優生学」
–社会・国家中心的発想からの遺伝的改善という思想は残る。
• 1970年ごろ:優生学は「悪の思想」に。
• 1990年代以降:「新優生学」の台頭。
–個人主義的。分子生物学を背景に。
課題
• 「社会全体の利益」のために、「劣った遺伝子」を排除しようとすることは、正しくないことか?その理由は?
• 自分の子供の幸せを願って、子供の遺伝子を改造することは、正しくないことか?その理由は?
PTSDの発見(内海)
• PTSD(外傷性ストレス障害):個人の処理能
力を超えるほどの衝撃的な出来事に遭遇したことによって、フラッシュバック、麻痺、過覚醒などの症状が長期間にわたって出つづける。
• 鉄道事故、第一次大戦後に「発見」された。
• ベトナム戦争後、PTSD概念の登場。
– PTSD概念が登場した後で、その類似例を記録
の中に探すことで、「鉄道脊椎症」などが発見された。
–日本では、阪神大震災後にPTSDが社会的話題
に。
– PTSD概念が登場する以前に、PTSDは存在した
のか?
課題
• 近年、PTSDという「病気」が大きな話題に
なっている理由はなんだと考えられるか。そういう「病気」が、1990年代になって突然出現し
たのだろうか?そうでないとすれば、なぜ、突然話題になったのか?
病気の作り方(山口)
• カンギレムの思想:病気とは、一つの規範に縛られた生命の状態である。
–健康とは、多数の規範に対応できる余裕である。
–苦しむ病人が病気だと決める。
• 医学と国家:第二次大戦において、医学は国家プロジェクトとなる。
–生殖管理国家:国家は国民の健康や生殖に重大な関心を持つ。
–生活習慣病の発明。未成年者喫煙禁止法。
児童虐待の社会構築(上野)
• 児童虐待の一般的イメージ
–子育てできない母親。
–機能不全家族。
–どの家族にもおこりうる。
– PTSDを受けた母親。
–子供の心にも傷。
–専門家によるカウンセリングで解決する。
–早期発見・予防対策が重要だ。
児童虐待は激増している?
• 児童相談所での処理件数は激増–平成2年度→19年度で40倍に。
– 1,000件→40,000件
• 嬰児(乳幼児)殺しは激減– 1950年:400件→2000年:33件
• 児童虐待相談件数のデータは、児童虐待の数ではなく、児童相談所の「活動記録」。
カウンセリングで対応。
• アメリカでは、カウンセリングによる児童虐待への対応が一般化。
→相談件数は減るどころか激増。
経済的要因
• 各種調査データでは、児童虐待ともっとも関連の深い要因は「経済的困難」。
–仕事が忙しくて子供にかまっていられない=ネグレクト
–お金がないから子供のほしいものを買ってあげられない。
→そういう人たちにカウンセリング?
財政的問題
• 児童福祉施設:入所児童の数によって予算が配分される。
–日本の経済成長に伴って入所児童の減少。
–施設の経営が困難に。
→児童虐待問題によって入所児童が増加。
– 「児童虐待産業」
課題
• 「私たちは、物事の善悪・真偽を判断するときにどのようなものの影響を受けているか」について、自分でテーマを決めて論じなさい。なお、テーマとしては、特に、この講義を受講して重要だと思うようになった点を取りあげてください。
この課題を、児童虐待の問題について書いてもらっても構いません。ただし、金曜の授業を聞いた以上、「児童虐待が深刻化しているので真剣な対策が必要だ」などといったことは書けないはずなので、「なぜ私たちは児童虐待が深刻化していると思っている(思わされている)のか」といった観点から考えてください。
嬰児(乳幼児)殺しの件数が現在の12倍もあった1950年代にはまったく問題視されず、件数が激減している90年代になって問題になったのか。
「マスコミの報道にだまされてはいけない」的な回答も不十分ですよ。授業のファイルを見直すなどしてよく考えてください。
課題一覧
1)「Cちゃん」問題:骨髄移植のドナーを作るために出産することの是非について。
2)優生思想:「社会全体の利益」のために、「劣った遺伝子」を排除しようとすることは、正しくないことか?その理由は?
3)新優生学:自分の子供の幸せを願って、子供の遺伝子を改造することは、正しくないことか?その理由は?
4)PTSD:近年、PTSDという「病気」が大きな話題になっている理由はなんだと考えられるか。そういう「病気」が、1990年代になって突然出現したのだろうか?そうでないとすれば、なぜ、突然話題になったのか?
5)前提を反省:「私たちは、物事の善悪・真偽を判断するときにどのようなものの影響を受けているか」について、自分でテーマを決めて論じなさい。なお、テーマとしては、特に、この講義を受講して重要だと思うようになった点を取りあげてください。
復習小テスト
問1
• 次の検査のうち胚(胎児)を妊娠前に選別することが可能な診断法はどれか?
①超音波診断
②羊水診断
③着床前診断
④血液診断
⑤人間ドック診断
問2
• 日本で法律で禁止されているものを選べ。
①ヒトES細胞の作出
②ヒトES細胞から組織・器官の形成
③出産のための代理母の利用
④受精卵に対する遺伝子治療
⑤ヒトクローン個体の作出
問3
• 優生法(断種法)について正しいものを選べ。
①世界最初の優生法は、アメリカで制定された。②日本の優生保護法は、差別的だとして1970年に改正された。③各国の優生法は、「遺伝的に劣った人」を支援する民族衛生の考えにもとづいていた。④ドイツの優生法は、日本の優生保護法をモデルにしていた。⑤アメリカでは、優生思想は普及せず、優生法は制定されなかった。
問4
• 日本の優生保護法について、間違っているものを選べ。
①差別的であるとの批判にもかかわらず、1996年まで改正されなかった。
②精神病の人に対して、優生手術を行うことができると定めている。
③胎児に遺伝的異常が見つかった場合、中絶できると定めている。
④ライ病(ハンセン病)はウイルス性の病気で遺伝しないにもかかわらず、優生手術の対象とされた。
⑤ナチスの優生法をモデルに作られた。
問5
• 「新優生学」について、正しいものを選べ。
①1990年代以降、社会中心の考えをもとに流行した。
②自分自身の遺伝子を改造・増強しようという思想である。
③現在の倫理学では、論破することが難しい。
④1970年ごろ、「社会生物学」とともに広がった。
⑤現在の技術では遺伝子を操作することはできないので、まだまだ夢物語である。
問6
• PTSD診断の核となる3症状はどれか
①混乱・回避(麻痺)・抑うつ
②せん妄・疼痛・過覚醒
③再体験・抑うつ・幻覚
④記憶障害・憂鬱・不安
⑤再体験・回避(麻痺)・過覚醒
問7
• 次のうち、トラウマ・PTSDについて間違っているものは?
①出来事のあとの心身の変化は、異常な事態における正常な反応である
②PTSDは出来事のあと1ヶ月以上すぎないと診断されない
③遭遇した出来事によって、PTSDの発症率は変わる
④トラウマ体験をすれば、誰でもPTSDになる
⑤トラウマは、個人の対処能力を超えるような大きな打撃をもらたす状態のことをいう
問8
• 「生活習慣病」という言葉を作ったのはだれか。
①コッホ
②ベルナール
③カンギレム
④東大附属病院
⑤厚生省
問9
• 講師が説明した児童虐待問題が台頭した理由のなかで該当するものを下からひとつ選びなさい。
①子育てできない親が増えたから
②家族が地域社会から孤立したから
③児童福祉の予算獲得が難しくなったから
④PTSDの母親が増えたから
問10
• セラピー的解決の問題点を下からひとつ選びなさない
①全員の心に寄り添うことができない
②セラピーの個人費用負担が重い
③社会の問題を個人の問題として取り扱う
④解決に時間がかかる
ここからアンケート
• 新しいマークシートを用意してください。匿名です。名前・学籍番号は記入しなくてよい。
アンケート
Ⅰ. 授業の形式や方法について
問1:毎回の授業の冒頭で、学生の感想に対して教員がコメントを返すことについて、
①有意義だった
②どちらかというと有意義だった
③どちらとも言えない
④どちらかというと意味がなかった
⑤意味がなかった
問2:毎回小テストをすることは、
①有意義だった
②どちらかというと有意義だった
③どちらとも言えない
④どちらかというと意味がなかった
⑤意味がなかった
問3:パワーポイント(写真や文書のスライ
ド)を用いることによって講義が、
①分かりやすくなった
②どちらかというと分かりやすくなった
③どちらとも言えない
④どちらかというと不要
⑤不要
問4:ウェブページに授業ファイルを掲示することは、
①有意義だった
②どちらかというと有意義だった
③どちらとも言えない
④どちらかというと意味がなかった
⑤意味がなかった
問5:あなたはウェブページをどれぐらい利用しましたか。
①ほぼ毎週見ていた。
②試験前やレポート作成以外にも、ちょくちょく見ていた。(一ヶ月1~2回)
③試験前やレポート作成のための復習に利用した程度。(一学期間に2~3回)
④レポート課題の確認にしか利用していない
⑤ほとんど見なかった。
問6:節目でディスカッションを行うことは
①有意義だった
②どちらかというと有意義だった
③どちらとも言えない
④どちらかというと意味がなかった
⑤意味がなかった
問7:オムニバス形式(複数の教員が順に
講義を担当する形式)での授業は、
①よかった
②どちらかというとよかった
③どちらともいえない
④どちらかというとよくない
⑤よくない
問8:大教室・大人数で授業を行うことは、
①よかった
②どちらかというとよかった
③どちらともいえない
④どちらかというとよくない
⑤よくない
問9:一学期間を通しての授業の構成は、
①よく計画されていたと思う
②どちらかというとよく計画されていたと思う
③どちらとも言えない
④どちらかというと一貫性がなかった
⑤一貫性がなかった
Ⅱ:自分の受講態度について
• 問10:一学期を通じて、講義中に居眠り・おしゃべり・内職などよくないことを、
①ほぼ毎回の授業でしていた
②半分以上の授業でしていた
③半分ぐらいの授業でしていた
④数回の授業でしたことがある
⑤ほとんどしなかった
問11:この講義に対して自分は
①熱心に取り組んだ。
②どちらかというと熱心に取り組んだ。
③どちらともいえない。
④どちらかというと熱心に取り組んでいない。
⑤熱心に取り組んでいない。
問12:徳島大学での他の授業(教養科目など)
と比較して、この授業は、
①好きな授業だった。
②どちらかというと好きな授業だった。
③ふつー
④どちらかというと好きでない授業だった
⑤好きでない授業だった
問13:この授業を受けて、「一つの問題に対する多面的な思考」が
①よく分かった。
②だいたい分かった。
③どちらともいえない。
④どちらかというとよく分からない。
⑤分からない。
問14:一学期を通じて、この授業に満足しているか
①満足である。
②どちらかというと満足である。
③どちらともいえない。
④どちらかというと不満が残る。
⑤不満である。
問15:(入試委員会より依頼)昨年度、徳島大学総合科学部のオープンキャンパスに参加したか。
①参加した。
②そういうイベントがあるのを知っていたが、参加しなかった。
③そういうイベントがあることも知らなかった。
ご協力ありがとうございました
• アンケート用紙の裏側に、意見(この授業のよかった点、悪かった点)を書いてください。
• アンケート結果は、来週発表します。
• 来年度以降の授業改善に利用します。