能登の里山里海の持続可能な未来を創る 金沢大学 地域連携 ... ·...
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能登の里山里海の持続可能な未来を創る
金沢大学 地域連携プロジェクト
国立大学法人 金沢大学
[パートナー自治体]
石川県 輪島市 珠洲市 穴水町 能登町
能登「里山里海マイスター」育成プログラム 受講生募集案内
能登半島は、自然と伝統文化に恵まれており、2011年6月に「能登の里山里海」が、国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産
(GIAHS)の認定を受けました。一方、能登では人口減少、高齢化が急速に進んでおり、集落の維持すら困難な地域もあり、厳しい現実に直面しています。金沢大学では、能登の再活性化をめざして、2007年度から5年間、文部科学省科学技術戦略推進費を得て、「能登里山マイスタ-」養成プログラムを実施し、次世代の能登を担う人材育成に取り組みました。
私たちが想定した、能登が必要とする次世代の人材像は、①環境に配慮した農林漁業に取り組む「篤農(とくのう)人材」、②一次産品に二次(加工)、三次(サービス)の付加価値をつける「ビジネス人材」、③篤農人材やビジネス人材をつなぎ、地域ぐるみで新事業を創造する「リーダー人材」などです。このプログラムは2年間のカリキュラムであり、受講生は、金沢大学をはじめ全国の大学、研究機関、NPO等、その分野の第一人者から講義や実習を受けるとともに、地域の篤農家や有識者、リーダーの方々との交流、卒業課題論文の発表を通じて、夢と志の実現にむけて、5年間に62人の修了生が巣立ちました。そのうち東京など都会からの移住者14人は、能登に定住し、活躍の場を広げつつあります。「能登里山マイスタ-」養成プログラム
は、2012年3月完了しましたが、5年間の成果を継承し、さらに発展させる「新プロジェクト」が必要であるとの思いは、これまで強いパートナーシップを築いてきた奥能登地域の自治体(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)や地域の方々、石川県、金沢大学に共通したものでした。そこで本プロジェクトの実現に向けて、1年間にわたりこれらの方々と協議を重ねた結果、国の補助金に頼らずそれぞれが資金を持ち寄り
人材育成を実施すること、また珠洲市にある能登学舎だけでなく、輪島市、能登町、穴水町にも拠点を設置し、より地域課題に沿ったプログラムとすることを決意しました。冒頭に述べた「能登の里山里海」が世界農業遺産(GIAHS)の認定を受けたことは、私たちが取り組んできた、自然と調和し、生態系に配慮する農林漁業を基盤とした人材育成事業にとっても大きな弾みとなりました。いま、里山里海は、日本だけのものではなく、SATOYAMA SATOUMIとして、伝統文化と現代科学技術を統合し、生物多様性、景観に配慮し、地域の環境ポテンシャルに応じた持続的な自然資源利用のあり方として、グローバルな認知を受けています。本プログラムでは、能登の里山里海の素晴らしさを世界へ発信できる人材の養成を目指します。また、GIAHSサイトである能登と佐渡の交流、さらに世界各地のGIAHSサイト、SATOYAMA SATOUMIサイトとの交流を実現します。
能登の里山里海のすばらしさは言うまでもありません。いま、能登半島は、厳しい試練にさらされていますが、そのことがかえって、地域の方々と金沢大学の結びつきを強め、新しい協働の形が生まれつつあります。この人材育成事業は、まさにそれです。地域と大学が、それぞれのニーズとレソースを十分にすり合わせ、地域の現実問題の解決に取り組むことが重要です。大学の役割は、「大学でないとできないこと」を見きわめ、それを「大学らしくなく」果敢に実行することです。本事業において、大学でないとできないこと、それは研究と教育を介した人材育成です。
皆さんが、能登・日本の各地から、そして海外からも能登に来て、世界につながる魅力ある地域の創造にチャレンジされることを期待しています。
里山里海の自然資源を活かし、能登の明日を担う「若手人材」を求む
能登「里山里海マイスター」育成プログラムについて
金沢大学里山里海プロジェクト 研究代表 中村 浩二
中村浩二 ( なかむら・こうじ ) 金沢
大学教授・学長補佐、環日本海域環
境研究センター ( 生物多様性研究部
門 )。専門は生態学。国連大学高等
研究所等による「日本の里山・里海
評価 (JSSA)」 科学評価パネル共同議
長。金沢大学 「里山里海プロジェク
ト」 の代表、 能登キャンパス構想推
進協議会幹事長 (2011 年~ ) として
石川県の里山里海の保全、総合的活
用、地域再生をめざしている。
※世界農業遺産(世界重要農業資産システム、GIAHS:Globally Important Agricultural Heritage Systems)=世界の特筆すべき伝統的農業、文化、生物多様性を保全しながら、持続的発展をめざし、国連食糧農業機関が2002年に始めた認定制度で、2011年6月に「能登の里山里海」と「佐渡のトキと共生する里山」が日本で初めて認定された。能登は、里山里海の一次産業、景観、祭礼文化などがあり総合的に評価された。これまでにフィリピンのイフガオの棚田、中国ハニ族の棚田など、世界で12サイト(地域)が認定されている。
1能登「里山里海マイスター」育成プログラム
CONCEPT
▎人材育成の概要自ら学ぶ意欲を持ち、持続可能な地域社会の形成を目指す45歳以下の次世代リーダーが対象
NOTOSATOYAMASATOUMIMEISTER
プログラムでは、次の 2 点をポイントに人材育成を進めます
① 里山里海の豊かな価値を評価し、地域課題に取り組むマインドを持った人材の育成
② 自然と共生する持続可能な能登の社会モデルを世界に発信する人材の育成
能登の豊かな自然・文化を守り育てる生活を実践したい人
能登に定住し自然や文化を学びたい
金沢大学と共に里山里海を研究し、保全・活用方法を探したい人
里山里海についてより良く理解したい
能登の里山里海の、新しい価値を発見し、生業や仕事に活かしたい人
里山里海を仕事に活かしたい
1年間の講習 3年間で60人育成
卒業課題の公開プレゼン
卒 業 認 定
「里山里海マイスター」の称号授与
•多様な人との協働ネットワークから生まれる活動の広がり
•企画提案能力、発信力の向上で地域発展の核に
•里山里海を利活用する知恵を持つ次世代の伝承者に
実践科目基礎科目 習得
2 金沢大学 地域連携プロジェクト
CURRICULUM
「学び」を地域の実践に結びつけるプログラム
NOTOSATOYAMASATOUMIMEISTER
[カリキュラム(1年間、隔週土曜日9:00 ~ 16:00)]
実践的な知識・技能の修得を目指す
1. 講義•里山里海の生態系サービス•能登の風土と伝統技術•地域資源を活かしたブランド化戦略•6次産業化•バイオマスの活用•ニューツーリズム•耕作放棄地の新たな活用•過疎地域における公共交通のあり方
2. 演習•企画立案のノウハウ (ブレインストーミングから企画書作成まで)
•GIS 活用法
3. 実習•里山里海の環境調査•農村社会・農林漁家調査•先進事例調査
※記載の科目は一部例です
基礎科目(9:00~12:00)
•グループ編成•研究テーマの設定•計画と役割分担
実践科目(ゼミナール)(13:00~16:00)
テーマの設定
Step1
Step2
Step3
•勉強会•フィールドワーク•中間報告会
調査・実践
•卒業論文•企画書•活動実績報告書 等
報告書の作成
◦ 基礎科目では、能登の里山里海に関する講義や、その活用に必要となる技術の演習と実習を履修します。◦ 実践科目では、グループに分かれて学びたいテーマを決め、多角的に学んだり協働して活動を実践します。 グループごとに成果を報告書としてまとめ、報告会を通じて地域に発信します。◦ 一部の講義は公開講座として実施します。
▎多彩な講義・実習
4つの特色
1. 里山里海について学ぶ 能登の里山里海の自然と文化を総合的、科学的に学びます。
3. グループ形式の演習(ゼミナール)で実践をサポート
グループごとにテーマを決め、問題設定、実践力、コミュニケーション、プレゼンテーションなどの能力向上を図ります。
2. 実践のための演習・実習 地域資源を活用し、コミュニティビジネスや地域活動のための発想法や技術を学びます。
4. 充実したフォローアップ体制「能登里山マイスターネットワーク(OB会)」、能登の農林漁業者等による「里山マイスター支援ネット」、金沢大学「里山駐村研究員」、大学の研究者など、独自の支援ネットワークのサポートを受けられます。
3能登「里山里海マイスター」育成プログラム
〉〉 ゼミナールのテーマ例
以下のプログラムもゼミナールとして履修できます。
能登学舎
穴水教室
輪島教室 能登学舎輪島教室 地域課題プログラム
珠 洲
穴 水
輪 島
能 登
6 次産業化
過疎地交通
過疎地交通と福祉
バイオマス活用
棚田米、山菜、海藻等の資源活用によるビジネスプラン作成
地域住民にとっての公共交通の価値と必要性の評価
地域住民にとっての公共交通の価値と必要性の評価
森林・海藻等のバイオマス資源活用によるビジネスプランの作成
能登町教室
臨海教室
◦ 国際交流支援グループ「里山里海メイト」の組織化と研修◦ 国内外の学生や留学生、研究者を受け入れる交流プログラムの開発と実施
◦ 能登の里山里海をテーマにした国際ワークショップの開催
[体験交流プログラム] 棚田での稲作 里山のトキ観察会 祭り参加の文化交流 禅寺での座禅 海水から天然塩づくり 定置網漁船の乗船 など
[研究支援プログラム] 農林漁業と生物多様性 持続可能な里山里海の生業 保全と活用 など
実践科目(ゼミナール)
地域課題を共に学ぶ
[地域課題プログラム] 奥能登の4市町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)で開講されています。
[能登の世界発信プログラム] 世界農業遺産(GIAHS)に認定された「能登の里山里海」の価値を、大学と地域が協働して世界に発信し、国際交
流ネットワークづくりを通して人材を育成する取り組みです。
チーム A里山里海の生物多様性と生態系サービス①生きもの調査法と結果の評価②生きものを増やす工夫(農法、ビオトープなど)
チーム B地域コミュニティを深く知る①景観と集落の変遷 ②「自然の恵み」を活かした生活③都市住民との交流つくり
チーム C これからの能登の地域政策①地域交通 ②移住促進 ③高齢者の医療と福祉 など
4 金沢大学 地域連携プロジェクト
SUPPORT▎地域に根ざす充実したサポート体制
▎修了生へのフォローアップ
NOTOSATOYAMASATOUMIMEISTER
[学びの先輩からのアドバイス]〉〉 能登里山マイスターネットワーク
「能登里山マイスター」養成プログラムの修了生62人が中心となっ
て運営するネットワーク組織です。自治体や農協、商工会、自営業、
食品関連企業、起業家、就農者など多彩な方々との交流や相談がで
きます。
[農林漁業・地元企業の先輩たちからのアドバイス]〉〉 里山マイスター支援ネット
2008年7月に「能登里山マイスター支援連絡会(通称:マイスター
支援ネット)」は、受講生の研修の場を提供
し、修了生の就農・起業のサポートを担う
組織として設立されました。能登地域に
在住する農業法人代表、篤農家ら53人が参
加しています。現在、この支援ネットに民
間企業、商工会、地場産業関係者などの加
入を推進しつつあります。就農や起業を希
望する受講生や修了生は、この組織からア
ドバイスや農地の紹介、研修機会の提供を
受け、新規就農や起業を目指すことができ
ます。
このプログラムの修了生には、調査研究のサポー
ト、起業への情報提供などのフォローアップを実
施します。
[フォローアップ例]
◦ 連携企業や支援ネットとのマッチング
◦ 学会や研修会での発表のアドバイス
◦ 助成金の申請書、企画書づくりのアドバイス
◦ 里山里海の生態調査(動植物、水田、森林など)
へのアドバイス
◦ 実験器具や計測機器などの貸出
◦ その他
修了生の同窓会組織「能登里山マイスターネット
ワーク」メンバーとの交流を通じて、能登の若者ら
との異業種交流に参加できます。
移住の先輩からのアドバイス
地元の若手との交流
多様な人材と連携した新たな活動
就農や起業の希望者への助言
農林漁業の実習の協力
受講生を交えた課題解決型の共同調査
:マイスター支援ネット委員
:自治体および業種ごとの マイスター支援ネット委員数
[マイスター支援ネット委員の所在地]N
能登町 (12名)農業: 10名
サービス・加工業: 2名
奥能登以外 (3名)農業: 1名林業: 1名
サービス・加工業: 1名
穴水町 (4名)農業: 4名
輪島市 (15名)農業: 11名漁業: 4名
珠洲市 (19名)農業: 16名漁業: 3名
世話人代表
北風八紘 氏
[Point]
[Point]
5能登「里山里海マイスター」育成プログラム
能登「里山里海マイスター」育成プログラム 実施体制
地域自治体 金沢大学
学長・理事
[教育研究部門]•人間社会学域/理工学域/医薬保健学域•環日本海域環境研究センター•地域政策研究センター•先端科学・イノベーション推進機構•サステナブルエネルギー研究センター•留学生センター ほか多数
[社会貢献部門]•地域連携推進センター
教育研究・地域連携のための支援組織能登オペレーティング・ユニット
石川県
輪島市
珠洲市
穴水町
能登町
連携
事業実施
能登学舎(珠洲)
輪島教室 能登町教室 穴水教室運営委員会 教育スタッフ
▎自治体、企業との連携体制 珠洲市は、2006 年から金沢大学
との連携事業に取り組んでいます。
奥能登には美しく豊かな里山里海
のみならず、「揚げ浜式製塩」や「あ
えのこと」「祭り」といった伝統文
化が、今日まで受け継がれていま
す。FAO「世界農業遺産 (GIAHS)」
に認められた「能登」という地域
そのものをブランド化すべく、自
らの地域を改めて見つめ直し、今
後の持続的な発展につなげる取り
組みを進めています。
私は、「里山マイスター」1 期生
として学んだ知識を活かし、2012
年に㈱スギヨから独立した㈱スギ
ヨファームで、農業経営に取り組
んでいます。当社では、地域の皆
さんと協力し、遊休農地を利用し
ながら農業で地域復興に貢献する
ことを目指しています。能登島で
農業の経験を積み、将来の独立を
目指してみませんか。
金沢大学の持つ多彩なネットワークによるサポート
(講師派遣・実習協力ほか)
[地域の支援企業・団体]数馬酒造㈱/㈱加賀屋/㈱スギヨ/泉谷菓子舗
/興能信用金庫/明和工業㈱/㈱アクトリー/
㈱佃食品/柳田食産㈱/大積海産物/㈱ぶなの森
/ JAおおぞら/ JAすずし/ JA町野町/ JA内
浦町/ JFいしかわ/能登森林組合 ほか多数
能登里山マイスターネットワーク(同窓生組織)
(修了生62名を含む、里山マイスター OB/OG
ら)/マイスター支援ネット(地元農林漁業者・
実践者ら)/ NPO法人能登半島おらっちゃの
里山里海/ NPO法人やすらぎの里金蔵学校/
NPO法人奥能登日置らい/春蘭の里実行委員
会/珠洲市小泊地区振興会 ほか多数
[協力機関・研究組織]石川県立大学/石川県農林総合研究センター/
石川県水産総合センター/石川県畜産総合セン
ター/のと海洋ふれあいセンター/石川県産業
創出支援機構(ISICO) /国連大学いしかわ・か
なざわオペレーティング・ユニット/ JICA北陸
/新潟大学/宇都宮大学/龍谷大学 ほか多数
泉谷満寿裕 氏珠洲市長
能登地域 GIAHS 推進協議会長
川上和孝 氏株式会社スギヨファーム取締役
就農・起業・移住の支援◦ 大学と連携する珠洲市・輪島市・能登町・穴水町・石川県等から、空き家、農地の斡旋・定
住助成・支援金、雇用先や生活支援などの優遇措置を受けられます。
◦ 里山里海の自然文化の活用と保全につながる取り組みへの助成金「石川県・里山創成ファンド」
(上限200万円)、「珠洲市・里山里海応援基金」(上限50万円)等への申請を支援します。
◦ 修了生が所属する企業や農業法人等でのインターンシップなどを検討中です。
能登学舎〒927-1462 珠洲市三崎町小泊33-7
穴水教室
穴水さわやか交流館プルート〒927-0026 石川県穴水町大町ト3番地3
輪島教室(輪島里山里海塾)
旧南志見中学校〒928-0251 輪島市小田屋町ロ部4番地
臨海教室(ふるさと未来塾)
金沢大学環日本海域環境研究センター臨海実験施設〒927-0553 石川県能登町小木ム-4-1
のと海洋ふれあいセンター〒927-0552 石川県能登町越坂3-47
能登町教室(ふるさと未来塾)
ISHIKAWAPREFECTURE
Sendai
TokyoNagoya
KyotoKobe
Osaka
Fukuoka
■能登学舎へのアクセス・JR金沢駅より特急バスで約3時間[能登空港経由]・能登空港より車で約50分・金沢駅より車で約2時間15分
臨海教室能登町教室
輪島教室
穴水教室
NOTOSATOYAMASATOUMIMEISTER
ACCESS MAP
応募のお問い合わせ
金沢大学能登学舎TEL : 0768-88-2568 FAX : 0768-88-2899E-mail : [email protected]
http://cr.lib.kanazawa-u.ac.jp/meister/