東京都 追補5. 濱尾章二・松浦啓一編.2013.大都会に息づく...

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東京都 追補 著者 畔上 能力 雑誌名 植物地理・分類研究 60 2 ページ 14 発行年 2013-03-01 URL http://doi.org/10.24517/00053502 Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/d

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Page 1: 東京都 追補5. 濱尾章二・松浦啓一編.2013.大都会に息づく 照葉樹林の森.東海大学出版会. 6. 内野秀重.2013.八王子市で発見された新植物

東京都 追補

著者 畔上 能力雑誌名 植物地理・分類研究巻 60号 2ページ 14発行年 2013-03-01URL http://doi.org/10.24517/00053502

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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畔上能力(〒 193-0932 東京都八王子市緑町 900-16 TEL & FAX : 042-627-6388)

13.東京都 追補

(A) 植物誌前回,「各都道府県別の植物自然史研究の現状」

(本誌50巻2号 , 2002)において,「小笠原諸島,伊豆諸島を含む東京都全域の植物誌は,現状においてはない。また現在植物誌編纂の計画も無い。」と記した。2012年現在,東京都植物誌は無いが,2011年から植物誌編纂に向けての活動を,植物学研究者,在野の植物研究者の側から立ち上げたことをお知らせする。会長は村上哲明(首都大学東京,牧野標本館教授)。事務局は池田博(東京大学総合研究博物館准教授),大場秀章(東京大学名誉教授),加藤英寿(首都大学東京,牧野標本館助教),奥田重俊(横浜国立大学名誉教授),畔上能力(社・日本植物友の会理事)ほか。発端は東京都の2010年度版「東京都レッドリスト」,及び「神代植物公園,種多様性センター」設立に関する委員会の中で自然発生的に湧き上がったものである。現在は在野研究者,学者主導で活動中。専門書,研究資料とはべつに,区市町村レベルでの植物関係出版物のうち,東京都レッドデータブック作成の参考文献として活用させて頂いた出版物としては,つぎのようなものがある。1. パルテノン多摩編.2004.パルテノン多摩資料叢書第1集 : 多摩市の植物目録,(財)多摩市文化振興財団.2. 日野市環境情報センター編.2006.日野市高等植物目録2007.日野市環境情報センター年報 vol. 2. 3. 清瀬の自然を守る会編.2010.清瀬の植物-植物調査報告(付)植物リスト-,清瀬市.4. 石橋正行,七島花の会神津島.2011.神津島花図鑑,(株)日本出版ネットワーク.5. 濱尾章二・松浦啓一編.2013.大都会に息づく照葉樹林の森.東海大学出版会.6. 内野秀重.2013.八王子市で発見された新植物ハチオウジアザミについて.八王子市史研究,八王子市.(B) 研究機関東京都高尾自然科学博物館が2010年3月をもって閉館した。現在,八王子市教育委員会スポーツ生涯学習総務部(八王子市寺田町1455-3 旧稲荷山小学校内)に残存資料が保管されている。東京都立大学は現在首都大学東京に改名(2010)している。(C) 標本庫閉鎖した旧東京都高尾自然科学博物館に所蔵され

ていた標本は,前項に記した八王子市教育委員会スポーツ生涯学習総務部に収蔵されている。その他の標本庫については変動はないが,首都大学,東大では標本館の収納容量を拡充する必要性に迫られているとの話しを聞いた。研究の根幹にあたる重要な施設であり,今後の充実を期待している。(D) レッドデータブック東京都保全局は,1998年版『東京都の保護上重

要な野生生物種』の改訂版を,本土部については2010年,島しょ部については2011年に出版した。今回の主な改正点は,評価基準を最新の環境省レッドリストカテゴリー(2007)に準拠し,定量的な要件も可能な限り取り入れて評価したことである。植物以外ではあるが,甲殻類,クモ類,貝類を新たに対象とした。また,本土部と島しょ部とを別々に検討,別刷とした。本土部の地域区分は,区部,北多摩,南多摩,西多摩の4区分とした。評価基準は原則として環境省レッドリストカテゴ

リー(2007)に準拠,絶滅(EX),野生絶滅(EW),絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN),絶滅危惧ⅠA類(CR),絶滅危惧ⅠB類(EN),絶滅危惧Ⅱ類(VU),準絶滅危惧(NT)などを用いている。今回の検討対象種は899種で,絶滅種または絶滅危惧種として選定されたのは800種で,前回(1998)より158種増加した。今回の植物部会座長は,大場秀章,植物部会委員,

奥田重俊,池田博,加藤英寿,畔上能力,島しょ部では藤田卓(財・日本自然保護協会保護プロジェクト部準職員)が加わった。現在,保全局では『東京都の保護上重要な野生生

物種』(2010,2011)の解説版を作成中である。(E) 植物群落前回の森広信子氏の報告に準ずる。

<あとがき>現在,八王子市においては市制50周年記念事業として,八王子市史編纂事業が進められており,自然編の一部として現存植生図を載せている。本編とは別に資料編に植物目録を載せる計画で,現在市域を1キロメッシュで区切りフロラ調査を進めている。

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植物地理・分類研究 第 60 巻第 2号 2013 年 3 月