靴型歩行計測装置を用いた 歩行訓練支援システム 歩行 ... - jst1...
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靴型歩行計測装置を用いた 歩行訓練支援システム/
歩行ナビゲーションシステム
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 准教授 和田 親宗
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研究背景1-1 歩行訓練支援システム/歩行ナビゲーションシステム
患者自身による歩容の修正点の把握や理解が困難 ・ 実時間ではなく、歩行後の解析 ・ 口頭での指示:「右足にもう少し体重をかけて歩いてください」 → どのように修正すればよいかが、わかりにくい 歩行時の動的情報の取得が困難 ・ 転倒事故防止には、動的状況(歩行)の評価が必要 → 高価で大がかりな計測装置が必要 → 医師や理学療法士の主観判断に依存 自然な歩行状態の評価が困難 ・ 計測範囲に合わせて歩行を修正 ・ 日常生活とは異なる計測環境のため心理的な緊張 → 自然な歩行とは言えない
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研究背景1-2 歩行訓練支援システム/歩行ナビゲーションシステム
電子タグ
加速度α
足底圧力
歩容情報センシング装置
電子タグ
加速度α
足底圧力
歩容情報センシング装置
(1)無拘束での歩行情報取得技術の開発 (2)歩行情報のわかりやすい 実時間可視化技術の開発
(3)いつでもどこでもリハビリの実現
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新技術の基となる研究成果・技術 歩行訓練支援システム/歩行ナビゲーションシステム
IC タグ
歩容情報表示
無線送信
解析装置 靴型計測装置
靴型計測装置から取得した歩行に関する情報 (歩幅、歩行速度、圧力分布など)
無線送信
解析処理後、歩容の推定
リハビリプログラムに必要な歩容情報を表示し、 医学関係者や患者自身が歩行状態を把握する
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両足の相対位置が計測可能なセンサ配置・信号処理を検討
足位置、足角度の計測方法
足の回転
右足
両足間の距離
超音波センサ ジャイロ・加速度センサ
左足
この図の場合、
左足を基準にした座標系で右足の位置を決定
遊脚期(右足) 両足支持期 遊脚期(左足)
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・計測範囲:1m×1m ・距離計測精度: 両足支持期4cm程度 遊脚期は歩行距離の10%以下 ・圧力測定箇所数:9カ所
・データサンプリング周波数:15Hz, 30Hz ・重量:片足 約600g ・電源:片足 充電式単3電池×3本 ・連続動作:360分
靴型計測装置の開発
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歩容情報表示
リハビリテーション科医師、理学療法士、患者から意見をもとに、 見やすい・わかりやすい表示方法を開発
歩行軌跡 (S字歩行時)
足底圧
左 右 傾き
足底圧分布
高さ
足底圧
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歩容情報表示
左右バランス訓練用表示画面 対象:片麻痺患者、骨折患者、人工関節置換患者
左 右
体重の50%
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実時間呈示の有効性評価
模擬訓練
①直線性習得訓練 画面上の直線指標を見ながら、まっすぐ歩く ②歩幅調整訓練 画面上の横の補助線を見ながら歩幅を調整 ③荷重の練習 左右で異なる荷重をかける訓練(骨折時)や左右の荷重を均等化する訓練(片麻痺者) ④足の振り上げ訓練 足を所定の高さまで振り上げる訓練 → 患者一人で繰り返し実施可能
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歩行パターンの識別
健常者歩行 小刻み歩行 広い歩隔の歩行 右片麻痺歩行 パーキンソン病
→ 歩幅、歩隔や歩行のリズムにそれぞれ特徴的な点が記録されており、 臨床での評価に耐えうると 判断
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様々な場所での計測
・地面が柔らかい場合やスロープにおいて、圧力計測がうまく行えない場合があったものの、おおむね10メートル程度まで計測可能であった。 ・一般家屋の場合、靴とアンテナの間に家電があっても、5メートル程度は計測可能であった。ただし、通信ができない場合、靴型計測装置上のメモリにデータを保存し、通信が復活した時点で保存データを送るようになっている。
日常生活の場面を想定 (a)直線廊下(15m程度) (b)廊下のコーナー (c)浴室 (d)石畳 (e)芝生 (f)スロープ (g)一般家屋
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歩行障害者の万歩計への応用
市販の万歩計では、障害者の歩行の計測を行えない場合あり → 研究成果を利用すれば計測可能、運動量の評価への応用も可能
被験者A 被験者B
歩行様式 実際の歩数 試行回
本機 万歩計 本機 万歩計
(a)通常の歩行 1500
1 1497 928 1506 1464
2 1495 1025 1503 793
3 1496 1015 1498 1438
(b)小走り 200
1 200 200 196 130
2 198 198 183 136
3 199 200 182 182
(C)ゆっくり、足を上げない
200
1 200 68 200 88
2 200 27 200 89
3 199 15 199 163
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従来技術とその問題点
歩行訓練支援システム
・体重を免荷しトレッドミルなどの上を歩かせる
→患者は足の動きを把握できない
・床上にレーザ等を使い足位置を示す
→足の高さや軌跡、足底圧力の考慮なし
・計測装置により足位置や圧力を画面表示する
→高価、実時間でない/計測範囲の制限あり
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新技術の特徴・従来技術との比較
• いつでも(病院の閉まっているときでも)、どこでも(病院に行かなくても)歩行訓練を行うことができる。
• 計測装置は靴に内蔵。周囲に計測装置は不要。
• 医学関係者にとっては歩行の解析手法として、患者にとっては訓練装置として利用可能。
• 患者自身が歩行時注意点を把握することが可能であり、訓練効果が期待できる。
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想定される用途 その1
• いつでも、どこでも、リハビリ。
• 通信回線とカメラを使うことで遠隔リハビリ指導の実現。遠隔とは、自宅、訪問看護先、介護施設等(集団で訓練実施可)。
→訪問介護時や介護施設にリハ専門家がいない場合が多い。専門家の指導機会の増加、リハ専門医の負担軽減。
• 健常者に対する歩行評価や歩容改善訓練、運動時の足情報の解析。
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歩行訓練支援システム/歩行ナビゲーションシステム
ICタグ
情報呈示
GPS
絶対位置 移動支援 システム
電波マーカ
両足相対位置 ICタグ
情報呈示
GPS
絶対位置 移動支援 システム
電波マーカ 靴型計測装置
想定される用途 その2
RFIDタグやGPSと組み合わせることで、将来的にはどのような場所でも高精度に現在位置を特定することが可能となり、歩行者のための移動支援システムに有効な技術となる。 歩行時の詳細な道路状況(傾斜など)の計測が可能であるため、将来的にはバリアフリーマップなどの作成にも利用できる可能性がある。
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実用化に向けた課題
• 遊脚期の計測精度向上(高さ計測も含めて)
→階段昇降も計測可能
• GPS等とのデータ統合方法の開発
• 遠隔からの画像による指示方法の開発
• 靴型装置の小型軽量化、耐衝撃性・耐久性向上、長時間駆動の実現
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想定される業界
• 利用者・対象
・歩行訓練の必要な患者
・医師、理学療法士
・歩容や健康維持に興味のある健常者、運動選手
・歩行訓練を実施する施設
• 市場規模
人工関節置換者数(約7万人)、脳卒中患者(約200万人、この中の多くが片麻痺になる)の一部、健康産業
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企業への期待
• 従来にはないシステムであり、未知の部分は存在する。しかし、医療費抑制に伴い退院後の歩行訓練の必要性は高い。また、予防医療や健康産業の観点からも歩行についての関心は高い。
• センサ計測技術、センサ開発技術、システム化技術、福祉支援に興味を持つ企業との共同研究を希望。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :歩行訓練支援装置
• 出願番号 :特許第4581087号
• 出願人 :九州工業大学
• 発明者 :和田親宗
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産学連携の経歴
• 2005年-2006年 ㈱エーエスエー・システムズと共同研究
• 2007年、2009年 (株)有薗製作所と共同研究
• 2008年-2010年 (株)ロジカルプロダクトと共同研究
• 総務省 戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)
• (財)北九州産業学術推進機構 中小企業産学官連携研究開発事業
• 国土交通省 移動支援サービス技術研究支援事業
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問い合わせ先
国立大学法人九州工業大学
産学連携推進センター知的財産部門
TEL 093-884-3499
FAX 093-884-3531
e-mail [email protected]