『大風呂敷と蜘蛛の糸』 -...
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『大風呂敷と蜘蛛の糸』
女子大生が気球と凧で中間圏
をめざす話。
SFマガジン 2006 年 4 月号掲載
ハヤカワ文庫『沈黙のフライバイ』収録
ポイント
(1) 「中間圏」という穴場
(2) 大学レベルの宇宙開発
(3) クモのバルーニング
(4) ややペシミスティックな人間観
(1) 中間圏(Mesosphere)
中間圏の諸現象・イオンアウトフロー:高層大気から酸素が脱出。
・大気潮汐:夕方は東向き
・大気重力波:持ち上げられた大気の上下振動。高
度 90km で崩れる。
・夜光雲:高度 80km くらいに発生。氷の粒。
・流星:高 70~100km に常に飛来。
・電離層 D 層:高度 60km。中波を吸収。日中に存在
する。
・中間圏発光現象:スプライト、エルブス (elves)、ブ
ルージェット (blue jet)、巨大ジェット (gigantic jet)
日本で撮影されたスプライト
設定資料
(2)大学レベルの宇宙開発
北大の CAMUI ロケット
能代宇宙イベント
気球からカンサットを投下
ロケットガール養成講座
(3) クモのバルーニング
別称:ゴッサマー、雪迎え
(4) ややペシミスティックな人間観
逃避的。蜘蛛と人間の並置。
松浦氏による巻末解説
野尻の思考には『人間が特別の
生き物である』という感覚が希薄だ。
野尻の持論:
「人間は人間性にしか興味がない」
人間性=人間および人間が関わっ
たものすべて。道具、乗物、建物等
も含む。
「SFファンたるもの、人間性へ
の耽溺から脱すべき」
(粗雑にいうと)
人間性:文系の守備範囲
自然科学:耽溺から脱するツール
ハードSFで描かれる人間像
「たかが人間、されど人間」
個人的はこれで必要充分。
ご静聴ありがとうございました