診断に苦慮したリンパ腫様肉芽腫症の1例 - jrs.or.jp937 症 例...

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937 ●症 要旨:症例は 83 歳,男性.肺癌術後のフォローアップ中に両肺野に多発結節影,スリガラス影が出現した. 気管支肺胞洗浄,経気管支肺生検にて臨床的に器質化肺炎と診断してステロイドを開始した.陰影は一旦改 善したが,ステロイド減量中に再び両肺多発結節影が増大し,皮膚にも腫瘤が出現した.経気管支肺生検, 皮膚腫瘤の生検を行ったがリンパ球の浸潤を認めるものの悪性細胞や肉芽腫は認めなかった.リンパ増殖性 疾患の可能性を考え,皮膚生検標本の見直し,EB ウイルスに関する検査を追加してリンパ腫様肉芽腫症と 診断した.ステロイドに cyclophosphamide を追加して肺の結節影,皮膚腫瘤とも縮小したが,肺血栓塞栓 症で死亡した.リンパ腫様肉芽腫症は稀なリンパ増殖性疾患であり,貴重な症例と考え報告する. キーワード:リンパ腫様肉芽腫症,EB ウイルス Lymphomatoid granulomatosis (LYG),Epstein-Barr virus (EBV) Lymphomatoid granulomatosis(以下 LYG)は 1972 年に Liebow らによってはじめて報告された疾患概念 で,節外性,血管中心性,血管破壊性を特徴とし,多く の正常 T 細胞と少量の異型 B 細胞が浸潤するリンパ増 殖性疾患である .肺に疾患の主座があり,肺外病変は 皮膚,中枢神経に多い.近年,Epstein-Barr virus(以 下 EBV)が病因,病態に関与していることが明らかに なってきている.今回我々は肺の多発結節影と皮膚腫瘤 を呈し, LYG と診断した症例を経験したので報告する. 患者:83 歳,男性. 主訴:胸部異常陰影の精査. 家族歴:特になし. 既往歴:59 歳 真性多血症(hydroxycarbamide で治 療中). 生活歴:喫煙 30 本! 日×50年(20~70歳).機会飲酒. 現病歴:平成 17 年 8 月 23 日に肺腺癌の診断で左上葉 切除を行った(pT2N0M0).平成 18 年 8 月に縦隔リン パ節腫大,左下葉残存肺に結節影が出現し,肺癌の再発 と考えられたが無治療で経過観察とした.12 月 20 日左 下葉残存肺に結節影が多発しており,平成 19 年 1 月 10 日再診時には両肺野に多発結節影,スリガラス影がみら れた.気管支肺胞洗浄で総細胞数,リンパ球分画の上昇 がみられ,経気管支肺生検ではリンパ球,好中球などの 炎症細胞浸潤と肺胞隔壁の軽度線維性肥厚を認めたた め,臨床的に器質化肺炎と診断した.治療として 1 月 24 日より predonisolone(以下 PSL)30mg! 日の内服を開 始したところ陰影は著明に改善した.2 月 19 日より PSL 25mg! 日,3 月 19 日 よ り PSL 20mg! 日,5 月 1 日 よ り PSL 15mg! 日に減量したところ,5月14日の胸部CT で陰影は増大傾向を認めたため,5 月 17 日精査加療目 的で入院となった.また,同年 2 月頃から上口唇に腫瘤 が出現して増大傾向あり,他院皮膚科で精査中であった. 入 院 時 現 症:身 長 168cm,体 重 62kg,血 圧 132! 70 mmHg,体温 36.4℃,脈拍 66 回! 分,呼吸数 24 回! 分, SpO2 94%(室内気),表在リンパ節触知せず.上口唇 に潰瘍を伴った腫瘤あり,前額部にも小腫瘤あり(Fig. 1).心音,呼吸音は正常.バチ状指なし.下腿浮腫なし. 検査所見(Table1):ヘモグラムで白血球数,血小板 数の上昇を認めた.生化学では LDH の上昇を認めた. 腫瘍マーカーでは CEA,sIL-2R の上昇を認めた. 胸部 X 線および CT(Fig. 2,3):両肺野に多発結節 影を認めた(Fig.2).ステロイド治療後に一旦陰影は改 善したが,入院時 CT では両肺野に多発結節,腫瘤影, スリガラス影を認めた(Fig.3). 気管支肺胞洗浄液(Table1):総細胞数,リンパ球比 率の上昇を認めた.CD4! CD8 比の上昇を認めた. 入院後経過:鑑別診断として感染症(抗酸菌,真菌), 診断に苦慮したリンパ腫様肉芽腫症の 1 例 稲葉 平田奈穂美 牛島 最勝寺哲志 北岡 光彦 吉永 〒8620965 熊本市田井島 1―5―1 1) 熊本中央病院呼吸器科 2) 病理研究科 (受付日平成 21 年 3 月 6 日) 日呼吸会誌 47(10),2009.

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Page 1: 診断に苦慮したリンパ腫様肉芽腫症の1例 - jrs.or.jp937 症 例 要旨:症例は83歳,男性.肺癌術後のフォローアップ中に両肺野に多発結節影,スリガラス影が出現した.

937

●症 例

要旨:症例は 83歳,男性.肺癌術後のフォローアップ中に両肺野に多発結節影,スリガラス影が出現した.気管支肺胞洗浄,経気管支肺生検にて臨床的に器質化肺炎と診断してステロイドを開始した.陰影は一旦改善したが,ステロイド減量中に再び両肺多発結節影が増大し,皮膚にも腫瘤が出現した.経気管支肺生検,皮膚腫瘤の生検を行ったがリンパ球の浸潤を認めるものの悪性細胞や肉芽腫は認めなかった.リンパ増殖性疾患の可能性を考え,皮膚生検標本の見直し,EBウイルスに関する検査を追加してリンパ腫様肉芽腫症と診断した.ステロイドに cyclophosphamide を追加して肺の結節影,皮膚腫瘤とも縮小したが,肺血栓塞栓症で死亡した.リンパ腫様肉芽腫症は稀なリンパ増殖性疾患であり,貴重な症例と考え報告する.キーワード:リンパ腫様肉芽腫症,EBウイルス

Lymphomatoid granulomatosis (LYG),Epstein-Barr virus (EBV)

緒 言

Lymphomatoid granulomatosis(以下 LYG)は 1972年に Liebowらによってはじめて報告された疾患概念で,節外性,血管中心性,血管破壊性を特徴とし,多くの正常T細胞と少量の異型B細胞が浸潤するリンパ増殖性疾患である1).肺に疾患の主座があり,肺外病変は皮膚,中枢神経に多い.近年,Epstein-Barr virus(以下 EBV)が病因,病態に関与していることが明らかになってきている.今回我々は肺の多発結節影と皮膚腫瘤を呈し,LYGと診断した症例を経験したので報告する.

症 例

患者:83 歳,男性.主訴:胸部異常陰影の精査.家族歴:特になし.既往歴:59 歳 真性多血症(hydroxycarbamide で治

療中).生活歴:喫煙 30 本�日×50 年(20~70 歳).機会飲酒.現病歴:平成 17 年 8 月 23 日に肺腺癌の診断で左上葉

切除を行った(pT2N0M0).平成 18 年 8 月に縦隔リンパ節腫大,左下葉残存肺に結節影が出現し,肺癌の再発と考えられたが無治療で経過観察とした.12 月 20 日左

下葉残存肺に結節影が多発しており,平成 19 年 1 月 10日再診時には両肺野に多発結節影,スリガラス影がみられた.気管支肺胞洗浄で総細胞数,リンパ球分画の上昇がみられ,経気管支肺生検ではリンパ球,好中球などの炎症細胞浸潤と肺胞隔壁の軽度線維性肥厚を認めたため,臨床的に器質化肺炎と診断した.治療として 1月 24日より predonisolone(以下 PSL)30mg�日の内服を開始したところ陰影は著明に改善した.2月 19 日より PSL25mg�日,3月 19 日より PSL 20mg�日,5月 1日よりPSL 15mg�日に減量したところ,5月 14 日の胸部CTで陰影は増大傾向を認めたため,5月 17 日精査加療目的で入院となった.また,同年 2月頃から上口唇に腫瘤が出現して増大傾向あり,他院皮膚科で精査中であった.入院時現症:身長 168cm,体重 62kg,血圧 132�70

mmHg,体温 36.4℃,脈拍 66 回�分,呼吸数 24 回�分,SpO2 94%(室内気),表在リンパ節触知せず.上口唇に潰瘍を伴った腫瘤あり,前額部にも小腫瘤あり(Fig.1).心音,呼吸音は正常.バチ状指なし.下腿浮腫なし.検査所見(Table 1):ヘモグラムで白血球数,血小板

数の上昇を認めた.生化学では LDHの上昇を認めた.腫瘍マーカーではCEA,sIL-2R の上昇を認めた.胸部X線およびCT(Fig. 2,3):両肺野に多発結節

影を認めた(Fig. 2).ステロイド治療後に一旦陰影は改善したが,入院時CTでは両肺野に多発結節,腫瘤影,スリガラス影を認めた(Fig. 3).気管支肺胞洗浄液(Table 1):総細胞数,リンパ球比

率の上昇を認めた.CD4�CD8 比の上昇を認めた.入院後経過:鑑別診断として感染症(抗酸菌,真菌),

診断に苦慮したリンパ腫様肉芽腫症の 1例

稲葉 恵1) 平田奈穂美1) 牛島 淳1)

最勝寺哲志1) 北岡 光彦2) 吉永 健1)

〒862―0965 熊本市田井島 1―5―11)熊本中央病院呼吸器科2)同 病理研究科

(受付日平成 21 年 3月 6日)

日呼吸会誌 47(10),2009.

Page 2: 診断に苦慮したリンパ腫様肉芽腫症の1例 - jrs.or.jp937 症 例 要旨:症例は83歳,男性.肺癌術後のフォローアップ中に両肺野に多発結節影,スリガラス影が出現した.

日呼吸会誌 47(10),2009.938

Table 1 Laboratory findings

【BAL (lt.B8a)】【Serology】【Biochemistry】【Hematology】25.8%Recovery rate15.4 ng/mlCEA7.2 g/dlTP13,600/μlWBC

2.1×105/mlTotal cell count500 U/dlKL-63.3 g/dlAlb3%BaCell differential count11.6RF0.8 mg/dlT-bil7%Eo

41.4%AM(±)LE33 u/lGOT77%Seg5.6%Neut<3.5 U/mlMPO-ANCA17 u/lGPT7%Ly48.2%Ly<1.3 U/mlPR3-ANCA596 u/lLDH6%Mo2.4%Eo3,190 U/mlsIL-2R376 u/lALP13.9 g/dlHb2.4%Ba3.0 pg/mlβ-D glucan22.3 mg/dlBUN370万/μlRBC

negativeCytology(-)Cryptococcus-Ag1.0 mg/dlCr44.9%Hct(-)BacterianegativeQFT-2G141 mEq/lNa121.0 flMCV(-)Acid fast bacillus×2,560EBV-VCA-IgG5.47 mEq/lK37.7 pgMCH(-)TB-PCR×1,280EBV-EADR-IgG105 mEq/lCl31.0%MCHC(-)MAC-PCR×40EBV-EBNA0.79 mg/dlCRP42.6万/μlPlt13.1CD4/CD8

【Coagulation】5.2 μg/mlD-dimer

Fig. 1 (A) Skin lesions on admission. (B) A tumor of the forehead. (C) An ulcerated tumor of the upper lip.

悪性腫瘍(肺癌再発,悪性リンパ腫),間質性肺疾患(器質化肺炎),膠原病・血管炎症候群(Wegener 肉芽腫症),その他(サルコイドーシス,リンパ増殖性疾患)などを挙げ,精査を進めた.経気管支肺生検,皮膚腫瘤の生検をくり返し行ったが,リンパ球の浸潤を認めるものの悪性細胞や肉芽腫は認めず,診断は確定しなかった(Fig.4).肺と皮膚の病変は同じ病態と考えられ,sIL-2R の上昇,一時的にステロイドが有効であったこと,生検で診断がつきにくいことからリンパ増殖性疾患の可能性を考えて皮膚生検標本の見直し,及びEBVに関する検査を追加した.皮膚生検標本で異型リンパ球の一部はEBVencoded small RNAs in situ hybridization(以下 EBER-ISH)陽性であった(Fig. 5).EBV関連抗体ではEBV-VCA-IgG 2,560 倍,EBV-EADR-IgG 1,280 倍と著明高値を示した.また,EBV-DNA genome copy number は末梢血単核球中 127copies�µgDNA,血清中 172copies�

µgDNAと,EBVのウイルス量が末梢血中において増加していた.以上の結果より LYGと診断した.5月 23日より PSL 30mg�日に増量して 6月 22 日より cyclo-phosphamide 50mg�日を追加,6月 27 日より 100mg�日に増量した.皮膚腫瘤,肺結節影とも縮小傾向を認めたが,7月 1日肺血栓塞栓症を併発し呼吸不全で 7月 5日死亡した.剖検所見:肺には境界明瞭な白色の多発結節を認め

た.組織学的にはリンパ球を中心とした炎症細胞の浸潤を認め,異型リンパ球も散在していた(Fig. 4).異型リンパ球はEBER-ISH 陽性であり,LYG,Grade 2 と診断した(Fig. 5).#5リンパ節は腺癌細胞を認めた.また,肺動脈内に血栓を認めた.

考 察

LYGは 1972 年に Liebowらによってはじめて報告さ

Page 3: 診断に苦慮したリンパ腫様肉芽腫症の1例 - jrs.or.jp937 症 例 要旨:症例は83歳,男性.肺癌術後のフォローアップ中に両肺野に多発結節影,スリガラス影が出現した.

LYGの 1例 939

Fig. 2 (A) Chest X-ray showing multiple small nodules in both lungs 4 months before admission. (B, C) Chest CT scan showing multiple pulmonary nodules and ground-glass opacities along the bronchovascu-lar bundles or interlobular septa.

Fig. 3 (A, B) Chest CT scan 3 months before admission (after steroid therapy) reveals improvement. (C, D) Chest CT scan on admission shows multiple nodules and masses in both lungs.

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日呼吸会誌 47(10),2009.940

Fig. 4 (A) Lower magnification view of a skin-biopsy specimen shows multifocal infiltration of lymphoid cells. (B) Higher magnification view of a skin biopsy specimen shows atypical lymphocytes. (C) Lower magnification view of a lung biopsy specimen shows multifocal infiltration of lymphoid cells. (D) Higher magnification view of a lung biopsy specimen shows atypical lymphocytes.

Fig. 5 (A) Immunohistchemically, atypical lymphocytes of a skin-biopsy specimen are positive for EBV en-coding small RNAs by in situ hybridization. (B) Atypical lymphocytes of a lung biopsy specimen are posi-tive for EBV encoding small RNAs by in situ hybridization. (C) A few lymphocytes of a transbronchial lung biopsy specimen are also positive for EBV encoding small RNAs by in situ hybridization.

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LYGの 1例 941

れた疾患概念で,節外性,血管中心性,血管破壊性を特徴とし,多くの正常T細胞と少量の異型B細胞が浸潤するリンパ増殖性疾患である1).血管を中心に浸潤する細胞のほとんどがT細胞であることから以前はT細胞リンパ腫と考えられていたが,免疫組織学的手法,分子生物学的手法により多数の非腫瘍性反応性T細胞が目立つものの中心病態はEBVに感染し発症したB細胞性リンパ増殖性疾患であることが判明した2).組織学的構成細胞,異型細胞数,壊死の程度により

Grade 1~3 まで分類する3).肺に疾患の主座があり,肺外病変は皮膚(36~53%),中枢神経(10~35%)に多い4)5).胸部画像所見は多彩であり1)6)7),両側中下肺野優位の多発結節性病変で気管支血管束に沿った分布をしており,約 30%は空洞を伴う.間質陰影の増強や網状粒状影は 5~43%の症例で認められる.一方,肺門,縦隔リンパ節腫脹は頻度が低く,この症例でも縦隔リンパ節腫脹は LYGの病変ではなく肺腺癌の再発であった.LYGは浸潤細胞が多彩で病変周囲に非特異的な反応

像がみられるため診断がつきにくく,診断確定には比較的大きな検体を必要とする8).経気管支肺生検では診断率は約 15%と診断が困難であり,胸腔鏡下または開胸肺生検が必要となることが多い.この症例でも経気管支肺生検では診断がつかず,皮膚生検標本から LYGと診断した.経気管支肺生検の標本を見直すとリンパ球の少数はEBER-ISH 陽性であった(Fig. 5).(経気管支肺生検時)Grade 1 から(剖検時)Grade 2 への進行が示唆された.鈴木らはEBVの再活性化が LYGの発症に関与している可能性を報告しているが9),この症例もEBER-ISH 陽性で EBVとの関連が示唆された.真性多血症で hydroxycarbamide を内服していたことや肺癌の再発による宿主免疫能低下がEBVの再活性化,EBV感染細胞の異常増殖を引き起こして LYGの発症に関与した可能性がある.LYGの経過は自然消退するものから急速に進行する

ものまでさまざまであり,治療について一定の見解は得られていないが化学療法が基本となる.ステロイドにcyclophosphamide を組み合わせた治療や,Grade 3 に対しては悪性リンパ腫に準じた強力な化学療法が行われる.また,interferon-α2b が有効であったという報告10)

や rituximab に反応した報告11)もみられる.本症例ではPSLと cyclophosphamide による治療を行い,肺の結節,皮膚腫瘤とも縮小傾向がみられたが,肺血栓塞栓症の合併症で死亡した.検索した範囲で LYGと肺血栓塞栓症

の合併例はなく,肺血栓塞栓症は肺癌の合併症であった可能性が高い.この症例では胸部画像所見や皮膚病変の存在など

LYGとしては典型的であるが,肺癌の既往から当初肺癌の再発と考えたため確定診断,治療が遅れた.本症は稀なリンパ増殖性疾患であり,さらに症例を蓄積し,疾患概念,病態の解明,治療法を確立することが望まれる.

文 献

1)Liebow AA, Carrington CB, Friedman PJ. Lym-phomatoid granulomatosis. Hum Pathol 1972 ; 3 :457―558.

2)Guinee DJ, Jaffe E, Koss M. Pulmonary Lymphoma-toid Granulomatosis. Evidence for a proliferation ofEpstein-Barr virus infected B-lymphocytes with aprominent T-cell component and vasculitis. Am JSurg Pathol 1994 ; 18 : 753―764.

3)Lipford EH, Margolick JB, Longo DL. Angiocentricimmunoproliferative lesions : a clinicopathologicspectrum of post-thymic T-cell proliferations. Blood1988 ; 72 : 1674―1681.

4)Cadranel J, Wislez M, Antoine M. Primary pulmo-nary lymphoma. Eur Respir J 2002 ; 20 : 750―762.

5)三木 誠.リンパ腫様肉芽腫症.呼吸 2008 ; 27 :492―499.

6)Katzenstein AL, Carrington CB, Liebow AA. Lym-phomatoid granulomatosis : a clinicopathologicstudy of 152 cases. Cancer 1979 ; 43 : 360―373.

7)Lee JS, Tuder R, Lynch DA. Lymphomatoid granu-lomatosis : radiologic features and pathologic corre-lations. Am J Roentgenol 2000 ; 175 : 1335―1339.

8)比島恒和.Lymphomatoid granulomatosis.日胸2007 ; 66 : 210―215.

9)鈴木博貴,武田博明,岸 宏幸,他.リンパ腫様肉芽腫症の発症病態の検討―Epstein-Barr virus の再活性化の関与―.日呼吸会誌 2006 ; 44 : 492―498.

10)Wilson WH, Kingma DW, Jaffe ES. Association oflymphomatoid granulomatosis with Epstein-Barr vi-ral infection of B lymphocytes and response tointerferon-α2b. Blood 1996 ; 87 : 4531―4537.

11)Zaidi A, Kampalath B, Peltier WL. Succesful treat-ment of systemic and central nervous system lym-phomatoid granulomatosis with rituximab. LeukLymphoma 2004 ; 45 : 777―780.

Page 6: 診断に苦慮したリンパ腫様肉芽腫症の1例 - jrs.or.jp937 症 例 要旨:症例は83歳,男性.肺癌術後のフォローアップ中に両肺野に多発結節影,スリガラス影が出現した.

日呼吸会誌 47(10),2009.942

Abstract

A case of lymphomatoid granulomatosis

Megumi Inaba1), Naomi Hirata1), Sunao Ushijima1), Tetsushi Saisyoji1),Mitsuhiko Kitaoka2)and Takeshi Yoshinaga1)

1)Department of Respiratory Medicine, Kumamoto Chuo Hospital2)Department of Pathology, Kumamoto Chuo Hospital

An 83-year-old man was found to have multiple pulmonary nodules and ground-glass opacities after a left up-per lobectomy for non-small-cell lung cancer. After bronchoalveolar lavage and transbronchial lung biopsy, he wasput on a regimen of steroids for a tentative diagnosis of organizing pneumonia. Over the course of 3 months, theradiographic findings improved ; however, they progressively deteriorated during the steroid tapering period andnew skin lesions also appeared. Skin biopsy specimens showed lymphohistiocytic infiltration in which the atypicallymphocytes were positive for EBV encoding small RNAs by in situ hybridization ; we therefore diagnosed lym-phomatoid granulomatosis. The pulmonary and cutaneous lesions responded to steroid and cyclophosphamidetherapy, but the patient died unexpectedly due to a rapid onset of massive pulmonary thromboembolism.