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1 交通計画A 道路の計画と設計(p.161) 順序改訂版(2009.7.15道路の機能 避難路,消防活動,延焼防止 防災機能 都市の骨格形成,緑化,通風,居住環境の形成 電気,電話,ガス,上下水道,地下 鉄などの収容 公共施設の収容 空間機能 地域開発の基盤整備 生活基盤の拡充 土地利用の促進 沿道の土地,建物,設などへの出入り アクセ 機能 道路交通の安全確保 時間距離の短縮 交通混雑の緩和,輸送費の低減 自動車,自転車,歩行 者などの通行 トラフィッ 機能 整備による効果 道路の機能 道路の段階構成 道路の種類 自動車専用道路 完全出入制限 主要幹線道路 都市間・通過交通 出入制限 幹線道路 地区間を連絡 補助幹線道路 地区に入るための道路 区画道路 地区の中のアクセス道路 特殊道路(歩行者・自転車道)緑道・モール 道路の段階構成:通過交通の排除 ブキャナンリポート(1963)で提案 幹線分散路,地区分散路,局地分散路,アクセス道路 通過交通の排除 上位の道路:通過交通のみ 下位の道路:アクセス交通のみ 段階を飛び越えた道路を 直接連結しない 上位の道路で囲まれた空間 →居住環境地区 トラフィックゾーン・システム 都心部をいくつかのセルに分割 ゾーン間通過を規制 環状道路への迂回 イエテボリ(Sweden) ブレーメン(Germany)

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交通計画A道路の計画と設計(p.161)

順序改訂版(2009.7.15)

道路の機能

避難路,消防活動,延焼防止防災機能

都市の骨格形成,緑化,通風,採光

居住環境の形成

電気,電話,ガス,上下水道,地下

鉄などの収容公共施設の収容空間機能

地域開発の基盤整備

生活基盤の拡充

土地利用の促進

沿道の土地,建物,施設などへの出入り

アクセス機能

道路交通の安全確保

時間距離の短縮

交通混雑の緩和,輸送費の低減

自動車,自転車,歩行

者などの通行トラフィック機能

交通機能

整備による効果道路の機能

道路の段階構成

道路の種類

自動車専用道路 完全出入制限

主要幹線道路   都市間・通過交通 出入制限

幹線道路     地区間を連絡

補助幹線道路  地区に入るための道路

区画道路     地区の中のアクセス道路

特殊道路(歩行者・自転車道)緑道・モール

道路の段階構成:通過交通の排除

ブキャナンリポート(1963)で提案 幹線分散路,地区分散路,局地分散路,アクセス道路

通過交通の排除 上位の道路:通過交通のみ

下位の道路:アクセス交通のみ

段階を飛び越えた道路を

  直接連結しない

上位の道路で囲まれた空間

  →居住環境地区

トラフィックゾーン・システム 都心部をいくつかのセルに分割

ゾーン間通過を規制

環状道路への迂回

イエテボリ(Sweden) ブレーメン(Germany)

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地区道路計画

居住環境地区(生活の場)に通過交通の車が入らないようにする 道路の段階構成(入りにくくする) 都市計画的対応(車を使わずにすむ都市に)

地区内の車と歩行者・住民との衝突回避 空間的に分離する(歩車分離) 入ってしまった車をいじめて,スピードを落とさせる(歩車共存)

近隣住区論(C.A.Perry)1927

小学校区を単位に

広幅員幹線道路で囲む

公共建築物を中心に

商業地区(自動車交通が発生)は周囲に

徒歩の範囲で生活できるようにする

歩車分離の例ラドバーン方式(Radburn Layout)

•C.Stain I.Wright(1928)•クルドサック(袋小路)•自動車と歩行者の動線を完全に分離

カナダ・カルガリー高架歩道

Calgary's +15 walkway system16 kilometers and 58 bridges of elevated climate controlled pedestrian system provides convenient and easy accessibility to over 100 Downtown office buildings.

歩車共存(Woonerf:生活の庭)

1972年オランダデルフト

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コミュニティー道路(住宅地) コミュニティー道路・モール(商業)

道路の計画と設計の概略

道路の線形や工費は地形等の影響を大きく受ける

路線計画段階から、道路が無理なく設計できるかを確認しつつ、計画を進めたい

どのような性格の道路かに基づき概略を決める

道路構造令上の種別(○種○級) 設計速度→線形基準値(最小半径、勾配)→計画・設計

断面構成のイメージ→必要な幅員→計画

断面構成の基準値→設計            

実際に必要な車線数の決定 設計交通量と(車線あたりの)交通容量→設計

路線計画の手順(p165) 予備調査(道路網調査)

基礎資料収集整理→交通量推定→経済調査

概略計画(概略設計) 1/5万,1/2.5万地形図 比較路線帯、コントロールポイント

路線選定(計画調査) 1/5000地形図レベル 平面線形、縦断線形→土工量、工事数量→概略工費

測量、土質調査、関連公共事業調査、環境アセスメント

実施計画(実施設計) 1/1000~1/500地形図 平面線形、縦断線形、横断構成の設計→事業量・事業費

詳細土質調査、気象調査

  →舗装構成、土量計算、排水計画

コントロールポイント(p167)

技術的・社会的に大きな制約条件になる地点

自然条件(地形・地質土質・気象) 関連公共事業

環境条件(社会環境、自然環境) 文化財など(文化財、記念物) 公共施設

道路の技術基準(p163)

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道路構造令

道路構造令(昭和45年10月29日政令第 320号)

http://www.mlit.go.jp/road//////sign/kijyun/kozou/ss-kozou-index.html

最近の改正(車以外の機能→地域にあわせる) 平成5年:歩道の最小幅員拡大,滞留スペース,     

  車両の大型化への対応

平成13年:歩行者・自転車の通行空間,路面電車        の空間,「緑」空間,舗装の性能規定

平成15年:2車線高規格幹線道路,小型道路,         中央帯幅員の縮小

道路の多様な機能の重視 道路は、生活や経済活動に不可欠な基本的な社会資本として大きな役割を果たし、多様な機能を有する

道路構造決定の流れ◆道路の特性から必要となる道路の機能を確保するのに必要な道路構造を総合的に判断

◆地域に適した道路構造とするため、必要に応じ道路構造令を弾力的に運用

道路の種別(p182)

第四種第三種その他の道路

第二種第一種高速自動車国道・自動車専用道路

都市部地方部

それぞれについて,計画交通量・平地vs山地部・国道vs都道府県道vs市町村道により,1級~5級などに分類されている

道路の種別

道路の区分(○種○級)に合わせ,設計速度を決定.

同一の設計速度の区間長はできるだけ長くとり,運転者に混乱を与えないようにする.

設計車両(p186)

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弾力的な運用例(p163-165)

(a)都市のシンボルとなる道路の整備(b)地域の状況に応じた歩道などの整備(c)1.5車線的道路の整備(d)小型道路(乗用車専用道路)の整備(e)段階建設における暫定的な供用(f)拡幅の困難な都市計画道路の整備(g)既存交差点における横断面構成の再編

1.5車線的道路

道路構造令(平成15年改正)で,「小型道路」ができました 道路の線形設計の基本(p191)

自動車の(設計速度での)走行に対して、

力学的に安全・快適であること

地形条件などからみて、経済的であること

視覚的にも運転心理的に見ても良好であること

環境もしくは風景との調和が良いこと

線形要素の基準値(p192表6.13) 線形要素の基準値(p192表6.13)

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道路線形 Alignment(p107) 平面線形(Horizontal Alignment)

直線

円曲線

緩和曲線

縦断線形(Vertical Alignment) 縦断勾配

縦断曲線

立体線形設計

円曲線

曲線半径:遠心力によって車が外に滑らないことが必要

遠心力

力のつりあい

これより,

Rv

gGZ

2

)cossin(sincos GZfGZ

1

22

igRvfi

gRv

)(127

2

fiVR

片勾配・横断勾配

片勾配:遠心力の影響を打ち消す傾斜 最大値は10% 積雪寒冷地6%~8% 第4種(都市部一般道)つけなくてよい

横断勾配:排水のため中央から外に傾斜

標準値は1.5~2.0% 特に降雨が多い地域では2.5% 歩道・自転車道は1.5~2.0% バリアフリー(車椅子)が必要なところは1.0%

最小曲線半径の設計

設計で用いる横滑り摩擦係数fは,運転者

に作用する加速度,乗り心地に関係

f=0.10~0.15の数値を用いる

曲線半径はできるだけ大きく 緩和曲線

クロソイド曲線

運転者が単位時間に一定の角速度でハンドルを回転させたときの軌跡

クロソイドの基本式

接線角

緩和曲線の長さ 100m~20m 遠心加速度の変化率が0.30-0.75以下

緩和区間の走行時間が3秒以上

2ARL )2( RL

LRvp3

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曲線部の拡幅 視距(sight distance) 運転者が走行中に,道路上の前方を見通せる距離 安全性から見た線形の性能

停止視距 障害物の手前で停止するのに必要な距離

追い越し視距 2車線道路において対向車線に出て追い越しをするのに必要な距離

停止視距(stopping sight distance)

車線(車道)中心線上1.2mの高さから,中心線上0.1mのものの頂点を見通せる距離

停止視距の計算の根拠

運転者が知覚してからブレーキをかけるまでの走行距離

ブレーキが利いてからの自動車の制動距離

路面が湿潤状態のときの縦すべり摩擦係数で計算

gfVtVD

21

6.36.3

2

追越し視距

全追越し視距 d1+d2+d3+d4  80,65km/hの場合550m

最小追越し視距  d2+d3+d4                     350m

d1:追い越し車が加速しながら対向車線に移行する距離

d2:対向車線を走行し,追越を完了するまでの距離

d3:追い越し完了時の対向車との車間距離

d4:追い越しを完了するまでに対向車が走行する距離

縦断線形 縦断勾配:制限値(P202)

大型車の走行速度の低下を招く

合成勾配 s 10-11.5%以下に制限

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縦断線形

縦断曲線

2次放物線

縦断曲線半径

22110 200

||100

xLIIxIZZv

||100

21 IILR v

立体線形設計

透視図を用い,不自然な抵抗感や錯覚を

与えないものであることをチェックする

平面線形の設計の留意点 避けるべき平面線形の例

避けるべき縦断線形の例(1) 避けるべき縦断線形の例(2)

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縦断線形の改良例避けるべき平面線形と立体線形の組み合わせ

横断面の構成検討の流れ(p177) 横断面の構成

車線・中央帯・路肩・歩道の幅員 車線の幅員(一般の道路)

設計速度が高いほど広く取る

広すぎると交通流が乱れる. 3.75m~2.75mで設定

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車線の幅員(小型道路) 中央帯(median) 4車線以上の道路では必ず設ける

中央帯の機能

① 往復の交通量を分離し、対向車線への逸走による重大な事故を防ぐ。

② 道路中心線側の交通抵抗を減少させ、高速通行を可能にする。

③ Uターンや右横断を防止し、交通流の乱れを防止する。

④ 植樹や防眩設備を設け、眩光を防止する。

⑤ 道路標識、交通管理などの施設を設けるスペースとなる。

⑥ 平面交差点の流入部において右折車線を設けるスペースとなる。

中央帯

盛り上がりのある部分を「分離帯」,それ以外の部分を「側帯」最低幅員は1m~4. 5m(道路の区分による)

路肩(shoulder) 路肩の機能

① 車道や歩道、自転車道などに接続し、道路の主要な構造物を保護する。

② 故障車等非常時の停車スペースとし、事故と交通の混乱を防止する。

③ 側方余裕として交通の安全性と快適性に寄与する

④ 歩道などのない道路では歩行者などの通行部分となる。

積雪地では堆雪の機能もある

路肩 停車帯(都市部)

幅員は大型車を考慮するときは2.5m 乗用車を考慮するときは1.5m とする。

停車帯

停車の用に供する

駐車を禁止して、自転車などの二輸車用

付加車線やバス停とする

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環境施設帯(buffer zone) 道路交通に起因する騒音等の障害に対して、幹線道路の沿道の生活環境を保全するために設けられる道路(の一部分)

4 車線以上の幹線道路が、良好な生活環境の保全の必要がある住居専用地域などを通過する場合、車道の外側に設ける。

幅員は10m とする. 切土・盛土・高架の自動車専用道で、夜間に相当の重交通が見込まれる場合は20m とする

植樹帯、遮音壁、歩道、自転車道、通過交通を通さない副道などを設ける

環境施設帯の例

植樹帯

第4 種第1 級・第2 級の道路には、植樹帯を設ける.その他の道路には、必要に応じ設ける

異種交通の分離による安全性・快適性の向上という交通機能

市街地形成、防災および環境の各空間機能

植樹帯の幅員は、1.5m を標準とする

街並み形成、延焼防止、 

  景観形成、生活環境保全

  を考慮して幅員を決定

歩道・自転車道

歩行者、自転車、自動車の交通量に応じて歩道、自転車道等を設置する

交通量以外に、対象とする道路のネットワーク特性、地域特性を十分考慮する必要がある。

歩道の幅員(車椅子がすれ違える2m以上) 歩行者交通量が多い:3.5m 以上

自転車道の幅員:2m 以上

自転車歩行車道の幅員(3m以上) 歩行者の交通量が多い:4m 以上

上記の幅に路上施設,植樹帯の必要幅を加える

歩道の構造 歩道の設置例

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建築限界(clearance limit)

障害となる物を設けたり,置いたりできない

空間

車道+路肩の幅で,路面から高さ4.5m (特別の理由がある4.0mまで縮小可) 小型道路は高さ3.0m

歩道・自転車道では高さ2.5m

積雪地域の道路幅員

堆雪幅が確保できるように定める. 中央帯:3m以上

路肩:0.5m以上(堆雪時) 車道:1.5m以上(堆雪時)

標準横断構成(都市部) 標準横断構成(地方部)

歩行者・自転車・車椅子 交通容量と道路設計への応用

(2009.7.15説明分)

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交通容量とは(p169) 交通容量:一定の道路条件と交通条件の下で,単位時間内に,ある道路断面を通過できる自動車の最大数.

道路条件:車線数・幅員・線形

交通条件:大型車・右左折車の混入

交通密度K

交通容量

臨界密度

自由流 渋滞流

アメリカ:Highway Capacity Manual日本:

道路構造令

道路設計の手順(図6.2)p171 1車線あたりの交通容量の設定

基本交通容量(制約のない単路の容量) 可能交通容量(道路条件・交通条件の考慮) 設計交通容量(サービスの安定性←余裕)

設計のための交通量 30番目時間交通量(往復交通量) 年平均日交通量×K値 重交通率を加味した1方向交通量

車線数の決定

単路部の交通容量 (p171)

単路部:交差点にはさまれる区間

信号機,一時停止,踏切,分流,合流,織込がない

単路部の交通容量

2方向2車線道路

1方向1車線道路・多車線道路

基本交通容量と可能交通容量

理想的な道路の容量を条件に応じて補正

基本交通容量(p171) 基本的な道路条件,交通条件の下での乗用車の最大通過可能台数

2方向2車線道路:2500pcu/h(往復合計) この値は追越しを考慮したものであり、黄色中央線(はみ出し禁止)の道路では、実際に3200pcu/h程度の交通量が観測されているため、見直しが検討されている。

多車線道路・1方向1車線道路:2200pcu/h/車線(一方通行) Pcu:乗用車換算台数 passenger car unit 車道幅員3.5m,側方余裕幅1.75m,線形が良好

乗用車のみから構成,速度制限がない

可能交通容量(p172)

基本交通容量に,道路条件・交通条件から定まる補正率をかけて求める

車線幅員による補正率

側方余裕による補正率

沿道状況による補正率

大型車による補正(実台数を考える場合) その他の要因

車線幅員・側方余裕の補正率

設計の最小値は2.75m

0.882.75

0.822.50

0.943.00

1.003.25m以上

補正率車線幅員(m) 両側不足片側不足

0.910.950.250.860.930.00

0.950.980.501.001.000.75以上

補正率側方

余裕幅m

•車道端から•障害物までの距離

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沿道状況の補正率 駐停車の影響を考慮する必要がない場合

駐停車の影響が考えられる場合

0.85-0.90市街化している地域

0.90-0.95いくぶん市街化している地域

0.95-1.00市街化していない地域

補正率市街化の程度

0.70-0.80市街化している地域

0.80-0.90いくぶん市街化している地域

0.90-1.00市街化していない地域

補正率市街化の程度

大型車の影響 乗用車換算係数 ET

大型車1台をETpcuに相当すると考える

混入率,車線数,勾配の大きさ,勾配の長さ

   →表6.6(p174) 交通容量はpcuで考えるので大型車による低下は考えなくてよいが,大型車は多くのpcuを消費するので、通過できる実台数は減少する

実台数で容量を考えるには,補正率を用いる

TET TT

)100(100

0.330.50都市部

0.500.75地方部

自転車動力付二輪車

表6.7動力付二輪車と自転車の乗用車換算係数

表6.6 大型車の乗用車換算係数

可能交通容量の計算例 車線幅員3.25mの4車線道路で、側方余裕幅は外側0.6m、

内側0.4mの場合の片側2車線の可能交通容量を求めよ。なお縦断勾配は上り4%で勾配長1.6kmである。大型車混入率を50%とし、駐停車による影響がない非市街地とする。

基本交通容量:片側1車線         (pcu/h/車線) 車線幅員補正(表6.3)3.25m→

側方余裕補正(表6.4)両側不足で、平均値0.5mの値を用いて→  

沿道状況補正(表6.5)駐車無し非市街地→

可能交通容量は以上を掛け合わせて、

                           (pcu/h/車線)  2車線ではその2倍の4400pcu/h 

2200BC00.1L

95.0C98.0L

205098.095.000.12200CP

可能交通容量(実台数表示)

実台数で表す場合には、大型車混入率を考える必要がある

大型車の換算係数(表6.6)→ 補正率(式6.2)

可能交通容量は            台/h/車線

  片側2車線では 2340台/h となる

5.2TE

57.012550

100505.2)50100(

100

T

117057.02050

設計交通容量と車線数の決定 設計交通容量(余裕を見た1車線当り容量)

可能交通容量×計画水準による低減率

余裕を持たせて安定したサービスを提供

設計時間交通量(流すべき道路交通量) 計画交通量(年平均往復日交通量)          

            ×K/100(両方向合計pcu/h) 多車線道路の場合(D:重方向率を使用)

 計画交通量(年平均往復日交通量)           

           ×K/100×D/100(重方向pcu/h) 車線数≧(設計時間交通量/設計交通容量)

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わが国における計画水準

第1種(高速自動車国道)            水準1

その他の道路  水準2

計画水準3は用いない

都市部地方部

1.001.003

0.900.852

0.800.751

交通量/容量比(Q/C)の低減率

計画水準

年交通量順位図とK値(p187) 年間時間

  交通量順位図

設計時間交通量 Design Hourly Volume 30番目時間交通量30th highest hourly volume K値(Kfactor)

D値 往復時間交通量に対する重方向の割合

%10/ AADVDHVK

道路区間の交通状況評価(p190)

混雑度

昼間12時間交通量(pcu)/評価基準交通量

むしろ次の式のほうがわかりやすい

実交通量に対応する重方向時間交通量

 /設計交通容量(重方向) =実際の交通量/設計時の交通容量

混雑度の計算例(単路部) 先に可能交通容量を計算した都市部往復4車線区間の日平均交通量は40000台・日であった。K値=12%、D値=60%のときの混雑度を計算せよ。ただし、計画水準を2とする。

解答 現況の重方向時間交通量は

  40000×(12/100)×(60/100)=2880台/h 都市部で計画水準2より、設計交通容量の係数は

0.90で、設計交通容量は 2340×0.90=2106台/h 混雑度は、2880/2106=1.367=1.37

道路区間の交通状況評価(p190) 車線数の決定(計算例) 先に可能交通容量を計算した都市部に位置する道路について、将来の計画交通量が50000台/日(両方向)の場合の車線数を求めよ。

  計画水準は2、K値=10%、D値=60%とする

解答例

設計時間交通量

  50000×10/100×60/100=3000台/h 設計交通容量 1170×0.90=1053台/h/車線

必要(片側)車線数 3000/1053=2.8≦3 車線

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例題:車線数の決定(2)

設計交通容量を1290台/h/車線とした多車線道路を計画している。計画交通量(両方向)を50000台/日とした場合、何車線の道路を設計すればよいか。K値は12%、D値は60%とする。

重方向の設計時間交通量は

  50000×12/100×60/100=3600(台/h) 必要車線数は 3600/1290=2.79≦3 よって片側3車線必要で、両方向の車線数を同じとすれば6車線の道路となる。

サービス水準と計画水準(p175-177) 用意した交通容量に対する需要交通量の割合(Q/C)が小さければ (容量に余裕があれば)・・・

より自由に走行でき, 安全性,快適性が高くなる

重要性の高い道路はより大きな余裕を持たせる

設計基準交通量(p189)

車線数の決定など、道路の基本的計画に用いるときの基準(日)交通量

練習問題(交通容量と混雑率) 都市部の駐停車の影響がある人口集中地区における車線幅員3.0m 、側方余裕幅が0.75mと0.50mの2方向2車線道路の可能交通容量と設計交通容量を求めよ。計画水準を2とせよ。

なお縦断勾配上り5%で勾配長は0.8km、大型車混入率10%を用いて、設計交通容量を台数で表せ。

この区間の現在の平均日交通量(両方向)は16000台/日、K値=15%である。混雑度を求めよ。 注意:2方向2車線道路であるから、すべての計算は両方向合算値について行うこと