固形製剤製造工程における リアルタイムモニター手...

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固形製剤製造工程における リアルタイムモニター手法の開発 9回医薬品品質フォーラムシンポジウム 平成22128㈱パウレック 技術本部 研究開発部 長門琢也

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固形製剤製造工程における

リアルタイムモニター手法の開発

第9回医薬品品質フォーラムシンポジウム

平成22年1月28日㈱パウレック 技術本部

研究開発部長門琢也

製品品質

(溶出,含量均一性,

安定性など)

評価特性

(中間製品)

粒子径

結晶形

など

粒子径

混合均一性

水分

など

混合均一性

粒子径

粒度別含量

など

溶出性

含量均一性

水分

など

皮膜量

溶出性

水分

など

原料 造粒・乾燥 整粒 混合 打錠 フィルムコート

粒子径

など

操作因子

(製造装置)

製剤工程における製品品質の変動要因

各工程の変動の積み重ねで最終製品の品質が作り上げられる

日本PDA製薬学会技術教育委員会「PATと新しい品質保証の流れ」より引用

発表内容

平成16年度から政策創薬総合研究事業ヒュー

マンサイエンス研究会において、固形製剤の

単位操作工程における高度分析技術を用いた

工程中の品質モニタリングの可能性について

検討させていただきました。

これらの研究成果を中心に発表させていただ

きます。

弊社研究所設備(大阪粉体工学研究所)

ワースタ流動層による粒子コーティング

ワースター流動層概略

Exhaust Filter

Inlet

Exhaust

Draft TubeSpray Nozzle

Coating Liquid

レイアリング粒子の作製とSEM観察結果

HPC-L1%プロテクトコー

ティング

約400μm

アセトアミノフェン8wt%

テオフィリン8wt%

エテンザミド8wt%

賦形剤粒子

アセトアミノフェン(8wt%)

テオフィリン(8wt%)

エテンザミド(8wt%)

近赤外分析測定結果(レイアリング粒子)

いずれのレイアリング粒子についても核粒子セルフィアのスペクトル波形を示し、近赤外光は薬物層を透過していることが分かった。

赤:アセトアミノフェン桃:テオフィリン緑:エテンザミド

黒:HPC-L

青:核粒子(セルフィア)薄青:+アセトアミノフェン8%灰:+テオフィリン8%紫:+エテンザミド8%茶:+プロテクトコート1%

分析条件

測定装置Bulker Optics社製MPA

測定方式 拡散反射

分解能 4cm-1

スキャン回数 32回

コーティング粒子の作製とSEM観察結果

薬物レイヤリング(8wt%)

プロテクトコート(1wt%)

徐放性コーティング(50wt%)

賦形剤粒子

約400μm

エテンザミド8wt%レイアリング

HPC-L 1wt%プロテクトコート

徐放性被膜50wt%コーティング

近赤外分析測定結果(徐放性コーティング粒子)

0%青 10%赤 20%桃 30%黒 40%緑 黄緑50%

8500cm-1、5800cm-1付近でコーティング剤増加による吸光の変化が確認できる。

分析条件

測定装置Bulker Optics社製MPA

測定方式 拡散反射

分解能 4cm-1

スキャン回数 32回

多変量解析による実コーティング量との相関性

コーティング剤粉末の吸収波数域で解析

R2 = 0.9992

0

10

20

30

40

50

0 10 20 30 40 50

被膜量[%]

予測

値[%

]

主成分数7、寄与率99.92[%]、標準誤差0.496

off-line測定で被膜定量の可能性を確認

近赤外分析結果(腸溶性コーティング粒子)

先の徐放性コーティング粒子のときよりも検量線精度はやや低い。

分析条件

測定装置Bulker Optics社製MPA

測定方式 拡散反射

分解能 8cm-1

スキャン回数 120回

核粒子レイヤリング粒子10%Coating20%30%40%50%

被膜乾燥粉末

薬物レイアリング

20wt%コーティング

50wt%コーティング

核粒子径の異なるコーティング粒子で得られる検量線

SCP-100 CP-203

CP-305 CP-507

y = 0.9972x

y = 0.9945x

y = 0.9973x

y = 0.9941x

0

10

20

30

40

50

60

0 20 40 60理論被膜量[%]

スペ

クト

ルか

ら予

測さ

れる

被膜

量[%

]

SCP-102

CP-203

CP-305

CP-507

すべてのコーティング粒子で寄与率99.4%以上の高い相関性を示す

結果が得られた。

リアルタイム測定の可能性検討

NIRプローブを転動流動層内に直接挿入し、4成分粉体の混合状態をモニタリング

測定プローブ部位の粒子濃度変化、付着によって安定したスペクトルを得ることができなかった。

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1000 1500 2000 2500

[nm]

反射

波数

[-]

サンプリングプローブ方式の採用

① ② ③ ④

近赤外測定プローブ

徐放性コーティング操作中のスペクトルの変化

8500 ㎝-1

6000-5500㎝-1

CP-305へのコーティングNIR測定:94[sec]毎測定回数:130回

off-line測定と似た波形が得ら、コーティングの進行に伴う被膜成分による吸光の増加が確認された。

コーティング量や溶解速度定数のリアルタイム予測

0

10

20

30

40

50

0 50 100 150 200

コーティング時間[min]

コー

ティ

ング

率[%

]

測定コーティング率

理論コーティング率

46004800500052005400560058006000Wavenumber cm-1

0.02

00.

025

0.03

00.

035

0.04

0A

bsor

banc

e U

nits

スペクトル処理後

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0 50 100 150 200コーティング時間[min]

予測

され

るk[-

]

微粒子コーティングの被膜量モニタリング

乳糖200M原末 30wt%コーティング粒子(平均粒子径約80μm)

アセトアミノフェン原末 30%コーティング粒子平均粒子径約60μm

近赤外分析結果(乳糖原末へのコーティング)

2050-2250nm波長において被膜の増加による吸収の増加が各テストにおいて確認される。本波長域はエチルセルロースの結合音域である。

相関係数:0.991 相関係数:0.996

Test1 Test2

平均粒子径及びコーティング量の予測(乳糖原末へのコーティング)

0

20

40

60

80

100

120

0 20 40 60 80 100 120 140

コーティング時間[min]予

測平

均粒

子径

[μm

]

0

5

10

15

20

25

30

35

予測

コー

ティ

ング

率[%

]

予測平均粒子径[μm]

実測値[μm]

予測コーティング率[%]

コーティング率[%]

0

20

40

60

80

100

120

0 20 40 60 80 100 120 140

コーティング時間[min]

予測

平均

粒子

径[μ

m]

0

5

10

15

20

25

30

35

予測

コー

ティ

ング

率[%

]

予測平均粒子径[μm]

実測値[μm]

予測コーティング率[%]

コーティング率[%]

Test.1 Test.2

各テストからの平均粒子径及び理論コーティング率の予測値を示す。概ね良好な予測がされていることがわかる。但しTest2の粒子径は検量線の相関性の関係で予測値が少し前後していることがわかる。

近赤外分析結果(薬物原末コーティング)とリアルタイム予測

分析条件

測定間隔[sec]:60分解能[cm-1] :32測定時間[sec]:6スキャン回数:32

Test.1

Test.2

0

5

10

15

20

25

30

35

40

0 20 40 60 80 100 120 140

コーティング時間[min]

予測

コー

ティ

ング

率[%

]

Test1

Test1実コーティング率[%]

Test2

Test2実コーティング率[%]

NIRリアルタイムモニタリング(水分・平均粒子径)

0.000.200.400.600.801.001.201.401.601.802.002.202.402.602.803.003.203.403.603.804.00

12:3

6:33

12:3

7:26

12:3

8:24

12:3

9:29

12:4

0:39

12:4

1:55

12:4

3:17

12:4

4:44

12:4

6:17

12:4

7:56

12:4

9:42

12:5

1:33

12:5

3:29

12:5

5:34

12:5

8:14

13:0

0:01

13:0

2:21

13:0

4:51

13:0

7:30

13:1

0:15

13:1

3:06

13:1

6:04

13:1

9:10

13:2

2:24

13:2

5:45

13:2

9:15

13:3

2:52

13:3

6:39

13:4

0:36

13:4

4:38

13:4

8:40

13:5

2:55

13:5

7:10

14:0

1:34

14:0

6:05

14:1

0:40

14:1

5:23

14:2

0:16

14:2

5:17

14:3

0:21

14:3

5:32

14:4

1:19

14:4

6:48

14:5

2:27

14:5

8:10

15:0

3:59

15:0

9:58

15:1

6:02

15:2

2:13

15:2

8:32

15:3

5:05

15:4

1:39

15:4

8:23

時間

水分

%

0102030405060708090100110120130140150160170180190200

粒子

径(u

m)

NIRモニタリング水分値

LOD水分計参照値

NIRモニタリング粒子径(um)レーザー回折粒度分布測定結果[μm]6 区間移動平均 (NIRモニタリング水分値)6 区間移動平均 (NIRモニタリング粒子径(um))

流動層造粒におけるNIR技術による水分・粒度のモニタリング

適切な焦点距離に設定する。粉体の付着などが発生するときにはエアパージなどを採用。

水滴下時点から混合が進行している。終点は滴下終了後15秒程度で混合が完了している。

0→10%

0.01

0:00:20 0:00:30 0:00:40 0:00:50 0:01:00時間[sec]

吸光

度絶

対値

の変

化[-

]

VG25

VG100P

5 区間移動平均 (VG25)

5 区間移動平均 (VG100P)

水滴下

高速撹拌造粒におけるNIR技術による水分モニタリング

流動層造粒・コーティングにおけるレーザーによる粒子径モニタリング

粉 体

レ ー ザ

ウ ィ ン ドパ ー ジ エ ア

0

100

200

300

400

500

0 20 40 60 80

造粒時間[min]平

均粒

子径

D50[μ

m]

No.1

No.2

No.3

No.1,No.2液速度[kg/min]:12No.3液速度[kg/min]:22

造粒

0

50

100

150

200

250

300

0 500 1000 1500

コーティング時間[min]

粒子

径[μ

m] D10

D50

D90

コーティング

流動層造粒・コーティングにおけるFBRMによる粒子径モニタリング

間欠エアパージ方式粒子濃度が一定となる。

遮光長さを個数分布として測定

リアルタイム測定結果

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

0 4 8

12

17

21

25

29

33

37

41

45

49

53

57

61

65

69

73

78

82

86

90

94

98

102

操作時間[min]

粒子

個数

[1/se

c]

10~30μm 30~60μm

60~100μm 100~150μm

スプレー:0㎏ スプレー:4㎏ スプレー:8㎏ スプレー:10㎏

錠剤コーティングにおけるNIR技術によるモニタリング

錠剤コーティングにおけるNIR技術によるモニタリング

検討したモニタリングツールと単位操作工程

モニタリングツール

単位操作工程 測定項目 サンプリング方法

NIR 流動層造粒流動層粒子コーティング

微粒子コーティング

撹拌造粒

錠剤コーティング

水分

含量

粒子径(溶出予測)

接触式

非接触式

レーザ 流動層造粒流動層コーティング

粒子径

(体積基準)

接触式

FBRM 流動層造粒 粒子径

(個数基準)

接触式