変形性股関節症における インピンジメントテストおよび patrick...
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変形性股関節症における
インピンジメントテストおよび
Patrickテストの検討
富山県立中央病院 整形外科 上島謙一 中村琢哉 丸箸兆延 橋本典之
笹川武史 舩木清伸 香川桂 森永整
インピンジメントテスト
大腿骨寛骨臼 インピンジメント の診断に有用
Klaue K, 1991
Patrickテスト
股関節炎と坐骨神経痛との鑑別
Hugh T. Patrick 1917
床と水平になる
前に疼痛あり
・・陽性
CQ4.変形性股関節症の診断に
有用な特徴的身体所見は
Patrickテストは診断に有用
インピジメントテストに関しては?
・・諸家により相違あり( Grade C ) 森本ら 2011
Sutlive TG et al 2008
目的
変形性股関節症における
インピンジメントテスト及び
Patrickテストの精度、有用性
について評価すること
対象
股関節症例 n=96例143関節
腰椎症例n=42例58関節
criteria 股関節痛で受診
X線像 : 股関節症
臀部痛・下肢痛 のため
腰椎手術を受けた
除外: 股関節 or 腰椎手術既往,ON,RA,感染性疾患,馬尾腫瘍
2016年5月 - 2017年4月
股関節症例 (96例 143関節)
腰椎症例 (42例 58関節)
年齢 平均 66.5歳
(46–87歳) 平均67.3歳
(17–96歳)
性別 ♂ 13例 ♀ 83例
♂ 19例 ♀ 23例
病期 初期 27関節
進行期 52関節
末期 64関節
正常58関節
手術 74関節 42例
疼痛誘発に加え
拘縮による肢位不能例も陽性
• 感度 • 特異度
Patrickテスト
評価項目
結 果
55.9
93.7 96.6 86.2
0
20
40
60
80
100
インピンジメントテスト Patrickテスト
感度 特異度 (%)
各テストの感度・特異度
各テストの病期別感度
37.0
85.2
46.2
92.3
71.9
98.4
55.9
93.7
0
20
40
60
80
100
インピンジメントテスト Patrickテスト
初期 進行期 末期 全体
末期で最も高く、初期・進行期で低下
(%)
初期 初期 進行期 進行期 末期 末期 全体 全体 初期 進行期 末期 全体 初期 進行期 末期 全体
変形形態別 インピンジメントテストの感度
1次性OA 初期 2関節
進行期 14関節
末期 10関節
全体 26関節
感度 (%)
0 42.9 90 57.7
1次性OA 57.7%(15/26関節)
形成不全性OA 56.4%(66/117関節)
考 察
変形性股関節症の診断
インピンジメント、Patrickテスト
(関節唇損傷、仙腸関節疾患でも陽性)
⇒ 股関節症に対する精度の把握が必要
腰椎疾患との鑑別が重要
感度
Patrickテストが股関節症検出に有用
Patrickテスト
疼痛よりも拘縮で判定 ⇒ 精度向上 中村ら 2016
OA進行度による感度の差
初期・進行期で感度低下
< 関節唇損傷? 変形形態の違い
インピンジメントテスト
変形形態による
感度の違いなし
疼痛誘発への影響 関節拘縮?
関節水腫?
特異度
インピンジメントテストがより腰椎疾患
との鑑別能に優れている
腰椎症例
Patrickテスト陽性率 :13.8%(8/58関節)
インピンジメント〃 : 3.4% (2/58関節)
Tension sign陽性例
脊柱管高度狭窄例
神経の可動性低下が疼痛を惹起?
⇒
まとめ
変形性股関節症に対し
・インピジメントテストは特異度が
高く確定診断の補助に有用。
・Patrickテストは感度が高く
スクリーニングに有用。