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製造原価の把握と収益判断 ~IOT効果を経営⾰新にどのように活⽤できるか~ 2018年10⽉2⽇ 中⼩企業診断⼠ 松郎

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製造原価の把握と収益判断

~IOT効果を経営⾰新にどのように活⽤できるか~

2018年10⽉2⽇中⼩企業診断⼠ 秋 松郎

第1部 管理会計と原価管理

• 経営管理とも⾔われる経理には、⼤きく分けて2 種類の仕事があります。それは「財務会計」と「管理会計」です。

1.財務会計と管理会計の違い

財務会計 管理会計利⽤者 外部利害関係者 内部経営管理者利⽤⽬的 過去の事実の集計・報告

税務申告、⾦融機関報告意志決定、業績評価、コスト管理

ルール 会社法、税法、会計基準 なし関⼼の対象 過去 未来

• 製品別のコスト構造の把握

3.管理会計の⼿法 ①コスト構造の把握

利益を最⼤化させるためにはどちらの製品をより多く⽣産(受注)すれば良いでしょうか?

科⽬ 製品A 製品B

売上 1,000 1,000

総費⽤ 800 800

営業利益 200 200

利益率(%) 20.0% 20.0%

科⽬ 製品A 製品B

売上⾼ 1,000 1,000

材料費 400 300 変動費

外注費 150 100 変動費

労務費 100 150 固定費

減価償却費 110 190 固定費

光熱費その他 40 60 固定費

総費⽤ 800 800

営業利益 200 200 売上ー総費⽤

営業利益率 20.0% 20.0% 営業利益÷売上⾼

限界利益 売上ー変動費

限界利益率(%) 限界利益÷売上⾼

備考

• 固定費の配賦計算(賃率とマシンレート)

3.管理会計の⼿法 ①コストの把握(2)

製品Bの賃率を計算して下さい(⼩数点第2位以下は四捨五⼊)

労務費の賃率

製品グループ 製造時間 生産数量 労務費 時間賃率 個数賃率

製品A 90時間 20,000個 100,000 1,111.1円 5.0円

製品B 135時間 25,000個 150,000 1,111.1円 6.0円

合計 225時間 45,000個 250,000 1,111.1円 5.6円

※個数賃率=労務費÷生産個数

製造設備のマシンレート

製品グループ 設備取得代金 耐用年数 年稼働日数 稼働時間/日

時間当り

生産個数

マシンレート/

個数

製品A 1,100万円 5年 264日 8時間 190個 5.5円

製品B 2,000万円 6年 264日 8時間 208個 7.6円

合計 3,100万円 5.5年 264日 8時間 398個 6.7円

※マシンレート=設備取得代⾦÷(償却年数×年稼働⽇数×1⽇稼働時間×時間当り⽣産可能数)

製品グループ 設備取得代金 耐用年数 年稼働日数 稼働時間/日時間当り生産個数

マシンレート/個数

製品A 1,100万円 5年 264日 8時間 190個 5.5円

製品B 2,000万円 6年 264日 8時間 208個

合計 3,100万円 5.5年 264日 8時間 398個 6.7円

製品グループ 製造時間 生産数量 労務費 時間賃率 個数賃率

製品A 90時間 20,000個 100,000 1,111.1円 5.0円

製品B 135時間 25,000個 150,000 1,111.1円

合計 225時間 45,000個 250,000 1,111.1円 5.6円

製品Bのマシンレートを計算して下さい(⼩数点第2位以下四捨五⼊)。

• 固定費の製品別配賦計算例

3.管理会計の⼿法 ①コストの把握(3)

製品Bの労務費を賃率で、減価償却費をマシンレートで計算して下さい

固定費の配賦

科⽬ 製品A 製品B 合計 備考

⽣産数(個) 20,000 25,000 45,000

総時間(h) 90 135 225

時間割合(%) 40.0% 60.0% 100.0%

労務費 100 150 250 賃率×⽣産個数

減価償却費 110 190 300 マシンレート×⽣産個数

光熱費その他 40 60 100 時間割合

固定費合計 250 400 650

固定費の配賦

科⽬ 製品A 製品B 合計 備考

⽣産数(個) 20,000 25,000 45,000

総時間(h) 90 135 225

時間割合(%) 40.0% 60.0% 100.0%

労務費 100 賃率×⽣産個数

減価償却費 110 マシンレート×⽣産個数

光熱費その他 40 60 100 時間割合

固定費合計 250 60

限界利益と損益分岐点を把握する

3.管理会計の⼿法 ①コスト構造の把握(3)

固定費固定費

売上⾼→

変動費

固定費

変動費

売上⾼

総費⽤線(固定費+変動費)

固定費

変動費

総費⽤線(固定費+変動費)

利益

損失

売上⾼損益分岐点

製品A⽣産数 販売単価 売上⾼ 変動費 限界利益 固定費 営業利益

5,000 50 250,000 137,500 112,500 250,000 -137,5006,000 50 300,000 165,000 135,000 250,000 -115,0007,000 50 350,000 192,500 157,500 250,000 -92,5008,000 50 400,000 220,000 180,000 250,000 -70,0009,000 50 450,000 247,500 202,500 250,000 -47,500

10,000 50 500,000 275,000 225,000 250,000 -25,00011,000 50 550,000 302,500 247,500 250,000 -2,50012,000 50 600,000 330,000 270,000 250,000 20,00015,000 50 750,000 412,500 337,500 250,000 87,50020,000 50 1,000,000 550,000 450,000 250,000 200,00025,000 50 1,250,000 687,500 562,500 250,000 312,500

※限界利益=売上⾼−変動費

• 損益分岐点の計算式

3.管理会計の⼿法 ①コスト構造の把握(4)

製品Aの損益分岐点計算問題

売上⾼ 1,000千円変動費 550千円固定費 250千円

• 事例問題

3.管理会計の事例問題

(1)製品Bの損益分岐点売上を計算して下さい。(2)製品Bで50万円の利益を出すために必要な売上⾼はいくらでしょう?

<回答例>売上⾼ 1,000千円変動費 400千円固定費 400千円

• 売上⾼、売上総利益、限界利益の予算

3.管理会計の⼿法③予算管理(モニタリング)

★年前 3年前 2年前 1年前 今期計画 前期⽐部⾨A 330,000 300,000 290,000 230,000 220,000 95.7%部⾨B 50,000 70,000 90,000 120,000 135,000 112.5%部⾨C 29,000 31,000 29,500 30,000 31,000 103.3%

売上合計 409,000 401,000 409,500 380,000 386,000 101.6%部⾨A 52,800 45,000 37,700 28,537 27,296 95.7%部⾨B 11,500 16,800 21,600 28,611 32,187 112.5%部⾨C 1,740 1,860 1,770 2,153 2,224 103.3%

売上総利益 66,040 63,660 61,070 59,300 61,707 104.1%部⾨A 132,000 114,000 107,880 84,737 81,053 95.7%部⾨B 21,000 31,500 41,850 58,611 65,937 112.5%部⾨C 10,585 11,315 10,768 11,353 11,731 103.3%

限界利益 163,585 156,815 160,498 154,700 158,721 102.6%部⾨A 40.0% 38.0% 37.2% 36.8% 36.8% 100.0%部⾨B 42.0% 45.0% 46.5% 48.8% 48.8% 100.0%部⾨C 36.5% 36.5% 36.5% 37.8% 37.8% 100.0%

限界利益率(%) 40.0% 39.1% 39.2% 40.7% 41.1% 101.0%

(⾦額単位:千円)

予算と実績を検証できる様に部⾨別に予算を⽴てま

しょう★年前 3年前 2年前 1年前 今期計画 前期⽐部⾨A 330,000 300,000 290,000 230,000 220,000 95.7%部⾨B 50,000 70,000 90,000 120,000 135,000 112.5%部⾨C 29,000 31,000 29,500 30,000 31,000 103.3%

売上合計 409,000 401,000 409,500 380,000 386,000 101.6%部⾨A 52,800 45,000 37,700 28,537 27,296 95.7%部⾨B 11,500 16,800 21,600 28,611 32,187 112.5%部⾨C 1,740 1,860 1,770 2,153 2,224 103.3%

売上総利益 66,040 63,660 61,070 59,300 61,707 104.1%部⾨A 132,000 114,000 107,880 84,737 81,053 95.7%部⾨B 21,000 31,500 41,850 58,611 65,937 112.5%部⾨C 10,585 11,315 10,768 11,353 11,731 103.3%

限界利益 163,585 156,815 160,498 154,700 158,721 102.6%部⾨A 40.0% 38.0% 37.2% 36.8% 36.8% 100.0%部⾨B 42.0% 45.0% 46.5% 48.8% 48.8% 100.0%部⾨C 36.5% 36.5% 36.5% 37.8% 37.8% 100.0%

限界利益率(%) 40.0% 39.1% 39.2% 40.7% 41.1% 101.0%

• 販路別、製品別の限界利益を把握する(現状把握)• 製品別・⼯程別のボトルネック、無駄を発⾒する(課題の発⾒)• 限られた経営資源(ヒト、モノ、⾦、時間)を優先的に割り当てる

管理会計・原価管理の活⽤

第2部 IotとAIの概論と事例

第1部 人工知能(AI)の可能性1.人工知能(AI)研究の社会的背景(1)

(1)人口減少社会の到来

生産年齢人口は2030年に6,773万人、2060年には4,418万人(2010年人口比45.9%減)にまで減少が見込まれている

1.人工知能(AI)研究の社会的背景(3)スマイルカーブスマイルカーブとは、電⼦産業や産業機器分野における付加価値構造を表す曲線のことです。価値連鎖の真ん中に位置する製造と組⽴の付加価値が最も⼩さく、両端のR&Dと販売・アフターが最も⼤きくなり、その曲線が放物線状に広がることからスマイルカーブと名付けられています。

IT投資効果への期待の日米比較では、米国が新分野(新商品、新ビジネスモデル、新市場)に期待、日本はコスト削減、業務プロセス改善の期待が多い

第1部 人工知能(AI)の可能性Iot・人工知能(AI)推進の社会的背景(4)

第1部 人工知能(AI)の可能性Iot、人工知能(AI)で何ができるのか?

■劇的な生産性改善とエラーの減少(監視・自動チェック)

第1部 人工知能(AI)の可能性Iot、人工知能(AI)で何ができるのか?

■予測精度の向上(BiGデータの活用)

分析対象をBIGデータに広げることで、より高精度の予測を実現できる?

第1部 人工知能(AI)の可能性Iot、人工知能(AI)で何ができるのか?

■今まで不可能だったことが「出来る」様になる!?

IOTや人口知能(AI)の応用分野

IoT、ビッグデータ、人工知能をはじめとしたデータ利活用に関連した技術革新は、「第四次産業革命」とも呼ばれ、動力の獲得、革新、自動化に次ぐ新たな産業構造の変革の契機として、我が国経済へ大きな影響をあたえるものと考えられている。

第2部 AIのビジネス応用分野への展望

Iot、人工知能(AI)活用の具体例

第2部 AIのビジネス応用分野への展望Iot・AIの活用具体例(1)

設備の稼働状況確認の迅速化従来、遠隔地にある工場の状況を把握するためには、生産管理者等が電話等で現地の作業員に状況を確認する必要があった。

IOT導入により、管理用PC 画面を見るだけで、遠隔地にある工場の稼動状態が分かるようになり、

各工場への業務の振り分け等をスムーズに行えるようになった。

第2部 AIのビジネス応用分野への展望Iot・AIの活用具体例(2)

音を聞いて機械の不調を察知する「耳のいいAI」機械の発する音を超音波センサーで拾い、コンピューの深層学習により不調を

来した機械の出す雑音のパターンを理解させ、問題が顕在化する前に予防保全を

行うことができるというシステム

イスラエルのスタートアップ企業「3DSignals」

第2部 AIのビジネス応用分野への展望Iot・AIの活用具体例(4)

⼈⼿不⾜が深刻!⼯場・農業・建設現場を救うAI

ご清聴ありがとうございました

The future where human beings and AI coexist