搭載と高周波数 により tmpm470 - toshiba · 2018-05-07 · tpmd0001a の外観。...
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東芝デバイス&ストレージ株式会社
ACサーボモータ制御の課題とは
サービスロボットなどには、ACサーボモータが利用されている。ACサーボモータは、位置や方向、姿勢、速度などを制御するために利用されているモータである。ACサーボモータは、左右どちらの方向にも回転でき、複雑なサーボ動作が可能であり、サービスロボットの関節などに用いられる。 これまでサーボ動作には、ステッピングモータが利用されることが多かった。しかし、ステッピングモータは、位置決め精度が低く、許容以上のトルクが加わると脱調してしまう。そこで、高精度の位置決めや高速でも高トルクの力を発生でき、低消費電力で駆動可能なACサーボモータが用いられるケースが増加している。ACサーボモータを駆動させるためには、ベクトル制御と呼ばれる制御方法が使われている。その実現のために、産業機器用の高性能なマイコン、もしくはASICや製造後に構成を変更することができるFPGAの組み合わせにより構成するか、家電機器に用いられるようなマイコンの場合、位置制御やベクトル制御の計算を間引くなどのソフトウェアによる対応が必要になる。
効率的なモータ制御を実現するベクトル制御
ベクトル制御は、モータの回転を低速から高速まで効率よく制御することが可能だ。ただし、ベクトル制御は、非常に複雑な工程の制御方法が必要となり、CPUパワーが必要になる。そのため、これまでには高周波数クロックのマイコン、もしくはASICや FPGAにより実現してきた。東芝デ
アドバンストベクトルエンジンの搭載と高周波数CPUにより高速な応答を実現するモータ駆動用マイコンTMPM470TMPM470 ACサーボリファレンスモデルの活用で効率的なマイコン評価が可能
ロボティクス分野や、産業機器などのモータ・インバータ制御に利用されている ACサーボモータ。これまでは、サーボ動作には、ステッピングモータが利用されることが多かったが、位置決め精度が低く、許容以上のトルクが加わると脱調してしまう。この課題を解決するのが、ACサーボモータ制御方法の 1つである「ベクトル制御」と呼ばれる制御方法である。
バイス&ストレージでは、モータ駆動用マイコンにおいて、ベクトル制御をすべてソフトウェアで実現するのではなく、ユーザにより共通の制御部分に関しては、専用のコプロセッサを搭載したハードウェアにより動作させている。このハードウェアは、「ベクトルエンジン」と呼ばれている。 ベクトル制御の一部をベクトルエンジンに任せることで、CPUの負荷を軽減でき、通信や周辺制御などのACサーボモータの制御以外に、CPUパワーを使うことができる。また、サービスロボットなどに利用される小型のACサーボモータでは、電圧の変化に対して電流の変化具合を示すインダクタンス成分が、非常に小さくPWM周期ごとに発生する電流のリップルが大きくなる問題が発生することがある。この問題はパルス幅周期を決定するPWM周波数を高くすることで、電流のリップルを小さくすることが可能だ。
産業用アプリケーションに最適化された「TMPM470」 PWM周波数を高くするために、高周波数クロックを搭載した CPUを利用した場合、マイコンの電力消費量が増えてしまう場合がある。TMPM470 では、クロック周波数 120MHz の CPU と、ベクトルエンジン用いてCPU 負荷を軽減することで、100kHz の PWM周波数を実現することができる。また、AC サーボモータは、ほかのマイコンとの通信も必要となるが、以前は CPU 負荷が高い場合、高速な通信ができない場合があった。CPU 負荷の重いベクトル制御の処理をハードウェアに任せることで、余剰の CPU パワーを通信に用いること
1 アドバンストベクトルエンジンの搭載と高周波数CPUにより高速な応答を実現するモータ駆動用マイコンTMPM470
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ができる。 TMPM470 は、CPUコアに「Arm® Cortex®-M4」を採用し、ベクトルエンジンに非干渉制御やデッドタイム補償などの機能を追加した「アドバンストベクトルエンジン(以下、A-VE)」とエンコーダやホール IC の位置検出が可能な「アドバンストエンコーダ(A-ENC)」を搭載している。
TMPM470の機能を評価できるリファレンスモデルも提供
東芝デバイス&ストレージでは、用途にあわせたさまざまなソリューションを提供している。そのソリューションの 1つである、TMPM470 AC サーボリファレンスモデルの特長は、ベクトル演算処理用ハードウェアである A-VE と、位置制御、速度制御、トルク制御などのアプリケーションに応じた制御方法を組み合わせることができることである。TMPM470 を用いることで、CPU の負荷を大幅に低減し、高速 PWM駆動と高分解能なベクトル制御を実現できる。
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東芝デバイス&ストレージ株式会社 ミックスドシグナルIC事業部 ミックスドシグナルIC営業推進部
〒212-8520 神奈川県川崎市幸区堀川町580-1お問い合わせ TEL. 044-548-2241https://toshiba.semicon-storage.com/
ベクトル演算処理の一部を A-VE で動作させ、ソフトウェアの介在なしにADコンバータとモータ制御回路との連携動作を実現している。これにより、ソフトウェアによる処理時間を大幅に短縮することが可能になる。その一方で、ベクトル制御においても、速度制御や位置推定のようにシステム構成や制御方法による差が大きい部分においては、ソフトウェアで自由に開発することができる柔軟性も兼ね備えている。 さらに、MCUデバイスだけではなく、導入のための検討や学習などに使える「スタータキット」からアプリケーションを特定せずに使える汎用的な評価キット、アプリケーションに特化した評価キットまで、電圧・電流に応じた幅広いソリューションを提供している。 サービスロボット分野に対応したソリューションである TMPM470 AC サーボリファレンスモデルだけでなく、白物家電分野に対応したエアコン、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品で用いられるモータ・インバータ制御のリファレンスモデルも用意している。産業機器、白物家電の開発にかかわる方は、ぜひリファレンスモデルを検討いただきたい。
2 アドバンストベクトルエンジンの搭載と高周波数CPUにより高速な応答を実現するモータ駆動用マイコンTMPM470
高速 PWM制御かつ通信による複数台同時モータ制御
■低インダクタンスモータを駆動する場合 ※弊社実験環境による測定結果
■通信による複数台モータ駆動
PWM周波数 16kHz無負荷時
DC/DC変換回路
高速クロック(120MHz)&ベクトルエンジン
モータドライブ回路
TMPM470
PWM周波数 100kHz無負荷時
電流リップルが大きい 電流リップルが大きい
master
slave slave slave slave
ソリューションマップ
RS485
TPMD0001Aの外観。産業用ドローン向け 50Aクラスの ESCとしては最小・最軽量を実現している(2017年 12月現在、産業用途 ESC業界において。弊社調べ)
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危険なイメージが定着したドローン安心・安全の実現を目指す
現在、ドローンはホビー用と産業用の大きく2つに分類できる。ホビー用のドローンは、室内で遊ぶ小型のものや趣味の空撮用、競技用などが代表的だ。一方、産業用のドローンは、地質調査、土木調査、農薬散布、宅配便の配達、専門家による空撮などビジネス用途で幅広く使われている。特に産業用ドローンは、今後さまざまなビジネスが登場する可能性を秘めた有望な市場として期待されている。 一般的にドローンは、中央に慣性測定装置(IMU:Inertial Measurement Unit)とメインコントローラ、バッテリーがあり、4~ 8 枚程度のプロペラとモータ、各プロペラを制御する ESC(Electric Speed Controller)モジュールで構成されている。基本的に通信は、メインコントローラから各 ESCモジュールへの一方通行で、メインコントローラで計算されたプロペラの回転数などの情報を、ESCモジュールに伝えることで機体を制御している。 しかしこの構造では通信がメインコントローラからESCモジュールへの一方通行であるため、もし ESCモジュール
に問題が発生しても、その情報はメインコントローラに伝わらない。そのため、メインコントローラからESCモジュー
ルに情報が送られても、ESCモジュールがプロペラを制御できず、ドローン全体の制御が不能になったり、最悪の場合には墜落したりする。つまりESCに異常が発生しても迅速な事故予防が難しいのである。そのためドローンは
ベクトル制御とCAN双方向通信でドローン飛行の安全性をさらに向上させる省電力で長時間飛行を実現する業界初の最小最軽量ESCモジュール
目覚ましい普及の一方で、各地で墜落事故が後を絶たないドローン。その原因として、人的な操作ミスもあるが、部品の初期不良や故障などの技術的な問題もある。安定性の点から危険なイメージがいまだ根強く残るドローンだが、そうした課題を払拭し、安心・安全な飛行を実現するための新しいドローン用モータ駆動モジュールが登場した。
「危険」なイメージが定着し、現在では法律で飛行が制限されている場所もある。 そこで現在、日本のドローン研究者が、より安心・安全なドローンの実現を目指す取り組みを推進している。最大の課題は、品質が向上してきたとはいえ、日本の研究者が求めるレベルには達していない ESCモジュールだった。そこで、信頼性の高い高品質な ESCモジュールが強く求められており、この要望に応えるために登場したのが、東芝デバイス&ストレージの ESCモジュール「TPMD0001A」である。
ベクトルMCUと双方向通信を実現業界初の小型軽量 ESCモジュール
TPMD0001A は、ベクトル MCU(Memory Control
Unit)とCAN(Controller Area Network)通信による双方向通信を可能にした業界初の産業用ドローン向けESCモジュールである。33ミリ×36ミリ×14.5ミリという、50A
1 ベクトル制御とCAN双方向通信でドローン飛行の安全性をさらに向上させる
東芝デバイス&ストレージ株式会社
としてはクラス最小の筐体に、東芝でもっともハイエンドの制御用マイコン「TMPM475FYFG」を採用。さらに、最新の低耐圧 MOSFETを搭載することで、最適で高速なモータの制御を可能にしている。 ドローンは、総重量が重ければ重いほど推力が必要になり、電力消費量も多くなる。TPMD0001Aでは、攻めた基本設計により、クラス最軽量の 28グラムに抑えている。これは他社製品の約 2 分の1の重量だ。 最大の特長は、CAN 通信による双方向通信を実現したことである。電流、温度、電圧などの情報を、ESCモジュールからメインコントローラにリア
ルタイムに送信することができ、ESCモジュール側に異常が発生した場合、情報を迅速にメインコントローラに送信することができるので、正常に動作しているほかの ESCモ
ジュールをメインコントローラが制御することで、機体を制御不能にせず、墜落しない安心・安全なドローン飛行を実現できる。
急激な回転数変更でも低消費電力と高い安全性を実現
TPMD0001Aは、ベクトル制御方式により、モータの回転を少ない消費電力で制御することが可能だ。他社でもベクトル制御方式を採用している製品はあるが、多くはソフトウェアによる制御のためメインコントローラに大きな負荷がかかる。TPMD0001Aでは、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアも使って効率よく制御することで、メインコントローラへの負荷を最小限にし、省電力を実現。長時間飛行を可能にしている。 さらに、急上昇や急降下の場合、 すなわちプロペラの回転数を急激に変更する場合にも、モータの回転を高速かつ省
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東芝デバイス&ストレージ株式会社 ミックスドシグナルIC事業部 ミックスドシグナルIC営業推進部 〒212-8520 神奈川県川崎市幸区堀川町580-1
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電力で制御することが可能だ。2000rpmから 6000rpmへの急上昇における応答性比較では、他社製 ESCモ
ジュールの最大電流 101.2A、変動電圧 8.38Vに対し、TPMD0001Aは、最大電流 36.4A、変動電圧 2.44Vを実現。一方、6000rpmから2000rpmへの急降下における応答性比較では、他社製 ESCモジュールでは 0.58秒を要するのに対し、TPMD0001Aは 0.45秒を実現している。一般的な ESCモジュールのライフタイムは約 50時間だが、最大電流を抑えて部品への負担を減らすことで TPMD0001Aは約 2倍のライフタイムを実現している。 東芝デバイス&ストレージの強みは、エアコンや冷蔵庫、洗濯機など、家電のモータを制御するアプリケーション開発やマイコンのアルゴリズム開発で培った経験や実績、ノウハウであり、この技術を ESCモジュールに生かすことができることだ。東芝デバイス&ストレージでは、さらに安心・安全、墜落しないドローン技術の開発を推進することで、「ドローンは墜落の恐れがあり危険である」というイメージを払しょくすることを目指している。
2 ベクトル制御とCAN双方向通信でドローン飛行の安全性をさらに向上させる
TMPD0001Aと他社製 ESCにおけるモータの回転数変更 (2000rpm⇔ 6000rpm)時の応答性比較
他社製 ESC 東芝 ESC:TPMD0001A