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近傍銀河におけるIMF決定の可能性
2009/12/12 (土)丘 栞 (東大天文センター)
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1. 研究の背景と目標
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IMF(初期質量関数)
銀河形成史を左右する、重要な”パラメータ” ほとんどの星は集団で生まれる。 生まれる時の質量分布を表す。
α=2.35 (1~100Mo) α
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ユニバーサルではないIMFの例
最近の観測から、ユニバーサルではない例が見つかってきている。
銀河系の巨大な星団NGC3603 K-band Luminosity Function
→ top-heavy IMF (Harayama+, 2008)
high-z 銀河 high-zの星形成率と銀河の質量の関係
→ IMFのピークが重い側にある (Dave+, 2008)
α=1.74
質量星
の個
数
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R-バンド 表面輝度
log(Hα/FU
V)LSB銀河もnon-universal IMF ?(Meurer et al. 2009)
銀河の表面輝度と、Hα/FUVには相関がある。 表面輝度が低いほど、Hα/FUVも小さい。
Hα/FUVに影響を与えるものは・・・ ダスト吸収
星生成史(SFH)
星間物質の量
stochastic effects 金属量
IMF これらを検討した上で、Hα/FUV のバリ
エーションはIMFの違いによるもの。 LSB銀河は truncated 又は bottom-heavy
IMF
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Meurer et al. ②IMFとHα、FUVの関係
← Universal IMFを基準として、カットオフ質量、IMFの傾きを変えてみたときの明るさ。
主にフッラクスを支配するのは・・・ Hα O型星 (>20Mo) FUV O・B型星 (>3Mo)
constant SFR を仮定しているが、B型星の寿命は
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Meurer et al. ③ 結論
HSB銀河のhigh-Hα/FUVは、top-heavy + low-metallicity、またはバースト的な星生成で説明可能。
LSB銀河のlow-Hα/FUVはbottom-heavyまたはtruncated IMF (カットオフ質量)で説明可能。
そこで・・・
LSB銀河のIMFを(他の方法で)より正確に調べたい。この研究では、近傍のLSB 銀河中の star cluster に着目する。
カットオフ質量 IMFの傾きα 銀河の数
Hα/FU
V
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近傍のLSB銀河
LSB(低表面輝度) 銀河 カラーが青い。
HI ガスが多い。 低金属量。
太陽系近傍と環境が異なる。
近傍
銀河中のクラスターを分解できる。
クラスターの星は年齢が同じ
なので、より正確なIMFを見積もることが可能。
M(H
I)/L
(B)
金属量(Kennicutt+ 2001)
LSB
dI
DDO1548
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研究の目標と流れ
LSB銀河のカラー(青い)は、ユニバーサルからのずれを示しているのかもしれない。
近傍LSB銀河のIMFに、制限をつける。例えば・・・ truncated IMF(+ カットオフ質量はどれくらいか)
1.スタークラスターの、等級とカラーの進化モデルを作る。
2. 近傍LSB銀河のクラスターのカラーと、モデルを比較する。 SDSS, CFHTのデータ等
目標
流れ
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2. クラスターモデルとDDO154への応用
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クラスターモデルの概略
星の質量・年齢
星の光度
データ
質量光度関係+
Bolometric Correction
IMF
クラスターの光度・カラー
クラスターの年齢
クラスターの質量
パラメータ1
パラメータ2 (+ nebular continuum ??)
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Nebular Continuum の影響 若いクラスター (1μmで影響大。
バルマー端がある。
星のフラックスが相対的に弱い。
星だけの時に比べ、
U-Bは青く、B-NIRは赤くなる。波長(μm)
nebu
lar c
ontin
uumの
割合
3645Å
1
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STARBURST99によるクラスターモデル
STARBURST99 (Leitherer, 1999)を用いて、102,103,104Moのクラスターモデルを作る。
nebular continuumについては次のように、簡単な仮定をおく。
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クラスターモデルのカラーカラー
B-K
U-B
universaltruncated
top-heavy
bottom-heavy
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DDO154の場合 SDSS(u g), CFHT(J Ks)
を用いる。
SDSS ugr 合成画像から青いクラスターを中心に選んだ。
FWHMなどからクラスターと星・背景の銀河を区別。
近いクラスターどうしはガウシアンをフィットさせてフラックスを計算した。
sdss (ugr)
隣のクラスター
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u-gu
DDO154のクラスターをモデルと比較
データ点は、ほぼ全てアッパーリミット。
クラスター質量は102~104 Moくらい。 モデルから大きく外れていそうな点はほとんどない。
g-JKs
u-g
E(U-B)=0.001E(B-K)=0.03
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Stochastic Effect universal IMFが示す確率分布に従って、ランダムに星を
作って、105Moのクラスターをたくさん作ると・・・
U-B
V-K
B-V
0 0.5 1.0
(Bruzual, 2002)
モデルの周りにU-Bは0.1~0.2mag程度、V-Kは0.3magほど(特に100Myr以降)ばらつくが、概ねモデルに従っている。
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truncated IMF だと仮定して、どれくらいまで見分けられるか?
100Mo80Mo50Mo
30Mo
B-K
U-B
カットオフ質量を少しずつ変えてみる。 下:1 Moのまま 上:100, 80, 50, 30 Mo
80Moは確率的なばらつきとの区別はつけられない。
50Moは0.2mag程度差があるので、
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小さいクラスターの場合
クラスター質量が小さい場合、重い星がうまくサンプルされず低質量星が大質量星に比べ多くなる。
モデルの周りにばらつくというよりは、全体的にカラーがずれる。 U-Bは赤く、V-Kは青くなる。
ユニバーサルでないIMFの場合もカラーは全体的にずれるが、まだ検討できていない。
LSBではこれくらいのサイズのクラスターが多いと考えられるので要検討。
U-B
B-V B-VV-
K
104 Mo
105 Mo
103 Mo
105 Mo
104 Mo
103 Mo (Bruzual, 2002)
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3. まとめと今後
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まとめ
STARBURST99を使って、クラスターのカラーと等級の進化モデルを作った。
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今後
小さいクラスターでの stochastic effect を検討する。 すばるでデータがとれれば、少なくとも検出できているク
ラスターはカラーが正確に分かりそう。
U, B, J, Ks, Hαのイメージングをすばるのサービスプログラムに出した(結果待ち・・・)。
もう少し近いLSB銀河(Leo A, Sextan B)、銀河系やLMCの、すでにIMFが分かっているクラスターでモデル(特に若い部分)がどれくらい妥当か検討。
近傍銀河における�IMF決定の可能性1. 研究の背景と目標IMF(初期質量関数)ユニバーサルではないIMFの例LSB銀河もnon-universal IMF ?�(Meurer et al. 2009)Meurer et al. ②�IMFとHα、FUVの関係Meurer et al. ③ 結論�近傍のLSB銀河研究の目標と流れ2. クラスターモデルとDDO154への応用クラスターモデルの概略Nebular Continuum の影響STARBURST99による�クラスターモデルクラスターモデルのカラーカラーDDO154の場合DDO154のクラスターをモデルと比較�Stochastic Effecttruncated IMF だと仮定して、�どれくらいまで見分けられるか?小さいクラスターの場合�3. まとめと今後まとめ今後