涼風苑 リハビリテーション室 - tsuusho.com · 0.37: p
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医師(施設長)
介護支援専門員
看 護 師薬 剤 師介護福祉士介 護 職 員支援相談員
作業療法士理学療法士管理栄養士歯科衛生士事 務 職 員 合 計
111.50.525.611.5224112.5466.6
常勤換算
涼風苑では、ご利用者の認知・遂行機能をアセスメントする際に、「アレンの認知機能レベル分類※」(以下、ACL)を活用しています。作業療法やアクティビティケアが対象者個々の機能・能力に応じて提供できるように作業分析を活用した評価バッテリー(機能、能力判断のためのツール)
を開発し、臨床研究を進めています(資料1)。 老健施設は、専門的なチームリハビリテーションサービスが受けられるという役割を持ちます。涼風苑では、生活機能改善を目指して根拠のあるサービスを提供したいという作業療法スタッフの思いから、多職種協働のアクティビティケアや生
認知症短期集中リハビリ提供施設として、涼風苑では認知行為遂行能力について以下の4つの作業をアセスメントに活用しています。これらの遂行度とACL・FAST・FIMとの関連を研究しながら、作業評価を個別の作業に生かしています。
活支援へと展開しています。 また、認知症者を他者から切り離すことなく、ほかの利用者やご家族のご理解をいただきながら、共生・相互支援を支えています。苑内が一つのコミュニティであり、多様性の共生を特徴のひとつとしています。
認知症者を特別にしない支援をしたい
認知機能の評価に使える4つの作業
涼風苑 リハビリテーション室
〒301-0856 茨城県龍ヶ崎市貝原塚町3689TEL 0297-63-0008 / FAX 0297-63-0018
施設概要:設立/平成9年3月17日
リハビリテーション室 作業療法士・介護支援専門員高口 由紀/浅野 有子
アレンの認知レベルを活用した認知症の方へのリハビリ&ケアテーマ別
施設紹介
介護老人保健施設 涼風苑(以下、涼風苑)は、開設から17年目を迎える施設
で、認知症専門外来を持つ精神神経科池田病院を母体に、認知症短期集中リハビ
リテーションや生活行為向上のためのリハビリケアに力を入れてきました。ま
た、脳血管障害者の麻痺の改善や高次脳機能障害へのリハビリ支援でも定評があ
り、全老健のリハビリ専門研修施設に指定されています。
「認知症リハビリテーション」
介護老人保健施設
A4用紙を縦に使い、4分割の折り線をつけておき、サインペンで住所と名前を書きます。
記憶・見当識・ペン操作・失行・書字機能・注意力・遂行力を診ることができます。
折り紙見本(解説付き)を手掛かりに、折り紙を折ったり広げたりする4工程を行います。
視認知・工程理解・3次元構成・両手協応・作業の丁寧さ・注意力・遂行力などを診ることができます。
効果効果
重度 0.8 1 2 3 4 5 正常
アレンの認知レベル(ACL)概要
対象者概要 スピアマン順位相関係数:ー0.834 :p<0.01
ACL
介護度
3Ⅰ
Ⅱ
4
51
2Ⅳ
M
Ⅱ
3Ⅰ
Ⅱ
4
51
2Ⅳ
M
Ⅱ
認知症生活自立度
24年度の全入所利用者 183名 (男性58名、女性125名 年齢81.7±9.6歳)
生命維持期反射的反応、追視・知覚し反応・咀嚼嚥下・逃避反応
認知レベル 認知遂行機能状況のアウトライン 対応
FAST
レベル0.8
自動運動期理的欲求行動・行為、食事する、咀嚼嚥下、探索レベル1
姿勢運動期体位を変え、誘導に協力し動く、ペンを持つ、台を拭くレベル2
マニュアル行為期なじみの行為、名前・名詞を言う、指示下でセルフケアレベル3
目的志向目前上手く遂行するが状況変化に戸惑う、簡易試行レベル4
探索行為期より遂行工夫、助言や学習を活用、中度課題で試行錯誤レベル5
計画的に制御された行為期デモや教示で適切判断、自発工夫、創造性、難度課題レベル6
*さらに細分化された27段階の評価もあり、変化をとらえやすい
介護度と認知症自立度相関スピアマン順位相関係数0.37: p<0.01
介護度とACLの相関スピアマン順位相関係数-0.45: p<0.01
認知症自立度とACLの相関スピアマン順位相関係数-0.71: p<0.01
FAST
重度
7
6
5
4
3
2
1
正常
ACLとFASTは非常に相関が高い
3 4
5
10
22
16
1 1
17
26
1 1
1
9 12
11
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資料1
医師(施設長)
介護支援専門員
看 護 師薬 剤 師介護福祉士介 護 職 員支援相談員
作業療法士理学療法士管理栄養士歯科衛生士事 務 職 員 合 計
111.50.525.611.5224112.5466.6
常勤換算
涼風苑では、ご利用者の認知・遂行機能をアセスメントする際に、「アレンの認知機能レベル分類※」(以下、ACL)を活用しています。作業療法やアクティビティケアが対象者個々の機能・能力に応じて提供できるように作業分析を活用した評価バッテリー(機能、能力判断のためのツール)
を開発し、臨床研究を進めています(資料1)。 老健施設は、専門的なチームリハビリテーションサービスが受けられるという役割を持ちます。涼風苑では、生活機能改善を目指して根拠のあるサービスを提供したいという作業療法スタッフの思いから、多職種協働のアクティビティケアや生
認知症短期集中リハビリ提供施設として、涼風苑では認知行為遂行能力について以下の4つの作業をアセスメントに活用しています。これらの遂行度とACL・FAST・FIMとの関連を研究しながら、作業評価を個別の作業に生かしています。
活支援へと展開しています。 また、認知症者を他者から切り離すことなく、ほかの利用者やご家族のご理解をいただきながら、共生・相互支援を支えています。苑内が一つのコミュニティであり、多様性の共生を特徴のひとつとしています。
認知症者を特別にしない支援をしたい
認知機能の評価に使える4つの作業
涼風苑 リハビリテーション室
〒301-0856 茨城県龍ヶ崎市貝原塚町3689TEL 0297-63-0008 / FAX 0297-63-0018
施設概要:設立/平成9年3月17日
リハビリテーション室 作業療法士・介護支援専門員高口 由紀/浅野 有子
アレンの認知レベルを活用した認知症の方へのリハビリ&ケアテーマ別
施設紹介
介護老人保健施設 涼風苑(以下、涼風苑)は、開設から17年目を迎える施設
で、認知症専門外来を持つ精神神経科池田病院を母体に、認知症短期集中リハビ
リテーションや生活行為向上のためのリハビリケアに力を入れてきました。ま
た、脳血管障害者の麻痺の改善や高次脳機能障害へのリハビリ支援でも定評があ
り、全老健のリハビリ専門研修施設に指定されています。
「認知症リハビリテーション」
介護老人保健施設
A4用紙を縦に使い、4分割の折り線をつけておき、サインペンで住所と名前を書きます。
記憶・見当識・ペン操作・失行・書字機能・注意力・遂行力を診ることができます。
折り紙見本(解説付き)を手掛かりに、折り紙を折ったり広げたりする4工程を行います。
視認知・工程理解・3次元構成・両手協応・作業の丁寧さ・注意力・遂行力などを診ることができます。
効果効果
重度 0.8 1 2 3 4 5 正常
アレンの認知レベル(ACL)概要
対象者概要 スピアマン順位相関係数:ー0.834 :p<0.01
ACL
介護度
3Ⅰ
Ⅱ
4
51
2Ⅳ
M
Ⅱ
3Ⅰ
Ⅱ
4
51
2Ⅳ
M
Ⅱ
認知症生活自立度
24年度の全入所利用者 183名 (男性58名、女性125名 年齢81.7±9.6歳)
生命維持期反射的反応、追視・知覚し反応・咀嚼嚥下・逃避反応
認知レベル 認知遂行機能状況のアウトライン 対応
FAST
レベル0.8
自動運動期理的欲求行動・行為、食事する、咀嚼嚥下、探索レベル1
姿勢運動期体位を変え、誘導に協力し動く、ペンを持つ、台を拭くレベル2
マニュアル行為期なじみの行為、名前・名詞を言う、指示下でセルフケアレベル3
目的志向目前上手く遂行するが状況変化に戸惑う、簡易試行レベル4
探索行為期より遂行工夫、助言や学習を活用、中度課題で試行錯誤レベル5
計画的に制御された行為期デモや教示で適切判断、自発工夫、創造性、難度課題レベル6
*さらに細分化された27段階の評価もあり、変化をとらえやすい
介護度と認知症自立度相関スピアマン順位相関係数0.37: p<0.01
介護度とACLの相関スピアマン順位相関係数-0.45: p<0.01
認知症自立度とACLの相関スピアマン順位相関係数-0.71: p<0.01
FAST
重度
7
6
5
4
3
2
1
正常
ACLとFASTは非常に相関が高い
3 4
5
10
22
16
1 1
17
26
1 1
1
9 12
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資料1
テーマ別施設紹介「認知症リハビリテーション」
例えば、ロールピクチャー※などの作業療法場面では、ACL3レベルの方々には、紙を同じ長さになるようはさみで切る作業、ACL5レベルの方々には下絵に沿って巻紙を並べて貼り付ける作業を提供します。ACL6レベルでは、立体的な張子細工へと応用できます。このように認知機能・作業遂行度を評価することで、ACLごとの作業処方が可能になり、どのステップへレベルアップし、どのように支援するか、系統的な治療的作業を提供することを考え、集団作業においても個別の目標を立てて認知症、遂行障害への根拠あるアプロー
レクリエーション、アクティビティケアの充実チを目指しています。 アクティビティケアでは、憩いの部屋を活用して、おやつ作りや茶話会、ゲーム、回想法などの認知機能トレーニングを行っています。ほかにも太極拳やフラワーアレンジメント、農園芸、麻雀、音楽会、映画会などの活動メニューを準備しています。 また、BPSDや転倒の危険性の強い利用者には、スタッフが付き添いながらなじみの集まりを支援し、活動や気持ちを支えるようにしています。
ACLごとに作業を提供する際の手引き例を紹介します(資料2)。これらの作業療法の目標は、ケア場面で次のような生活課題につながっています。 例えば、ACL1レベルの利用者の反応を引き出し、追視や刺激への反応を改善することは、食物への反応を改善し、咀嚼嚥下活動を維持することにつながります(涼風苑では、食べることのチームリハビリに特に力を入れており、全老健の専門研修施設として役割を担っています)。 ACL3レベルの利用者では、日中活動を行い刺激を与えることで、夜間によく眠れるよう生活のリズムを整えます。機能的な座位保持のためにシーティングを工夫することで、作業の集中力や能力が高まります。個別の制作活動では、ご家族が本人の持っている力や表出する家族への気持ちに驚くという場面もあり、在宅ケアへの移行支援が課題です。
アレンの認知レベルごとの生活課題とニーズ ACL5レベルの利用者は十分にリーダーシップを担うことができるため、周囲の仲間を支援する力を発揮していただけるように介入します。同年代の相互支援は共感的な理解を生み、コミュニティを豊かにする可能性を持ちます。役割を持つことによって個々の利用者が意欲的になっていくのを感じます。 このように、個々の認知遂行レベルを把握して、集団の中でも個々の課題に応じた支援ができることを目指して努力を続けています。
涼風苑では故・小沢勲医師にナラティブアプローチを直接伝えていただいた経緯があり、ナラティブシートや、個人アルバム、その人の思いや切なさをスタッフも共有し、支援に生かしたいと努力を続けてきました。
今後の展望~パーソンセンタードから生活行為向上個別支援へ~
パーソンセンタードケアはもちろんですが、歩行機能、トイレ排泄、自分で食事ができる力、作業能力、意思表示や交流の能力、生活の楽しみなど、生活行為の向上を目指していきたいです。
折り紙に7cmの円をサイ
ンペンで書き、円をハサミで切り取ります。
視認知・理解・類推・用具
の使用・両手協応・注意
力・作業の丁寧さ・遂行力
を診ることができます。
円・正方形・六角形の凹み
に二等分されたブロックパ
ズルを組み合わせてはめ込
みます。
より複雑な視認知・構成・
類推・図地認知・試行錯誤
できる力・精神機能耐性・
注意力・遂行力を診ること
ができ、認知症初期段階の
スクリーニングにも有効な
課題です。
ロールピクチャーの様子。ロールピクチャーはさまざまな認知機能の利用者が能力を発揮して協働できる活用しやすい作業課題です
色かるたの様子。回想法や交流の手段として有効で自由なイメージを引き出すことができます。“夕方ってどんな色?”“楽しい旅の色はどの色?”など、話をふくらませます
ACL2~3レベルの作業療法。音楽やリズムが意識を賦活し、反応を引き出すこともある。一人より二人、共通の課題を持つ利用者を集団にするためにも認知遂行機能レベルをアセスメントすることが重要
効果効果
※丸く巻いた紙筒を並べて、絵を描いていくアートのこと
レベル1
認知レベル 目 的 作業療法としての処方
資料2ー1 アレンの認知レベルと作業療法例(音楽)
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6
意識・感情の賦活体を動かせる
発動性賦活・姿勢制御刺激に応じた行為
運動制御・気晴らし目的行為の拡大
行為制御・適応・調整・心理高揚
工夫・創造・集団参加・自信と意欲より有意義に活動しようとする
自己実現・役割確認貢献と人生の承認
さまざまな音・リズムに触れる。感覚入力・リズムに合わせて体をさする・タップする。懐かしいメロディー反応。
リズムに合わせて、支助されて太鼓や鈴を鳴らす。手拍子する。声を出す。
リズムに合わせて、打楽器を演奏する。耳慣れた歌は口ずさむ。関連回想。
ハンドベル、簡単な鍵盤演奏。歌詞カードを見て歌う。応用回想。
楽器を分担して合奏する。声を合わせて手拍子しつつ歌う。その歌の時代背景などの話がはずむ。人の歌を良く聞き支援できる。
カラオケ店で楽しむ。替え歌を作る。複雑なリズム模倣。和太鼓。指揮。
レベル1
認知レベル 目 的 作業療法としての処方留意
資料2ー2 アレンの認知レベルと作業療法例(園芸)
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6
意識・感情賦活反応を引き出す
環境や現実に関わる姿勢保持・行為誘発
マニュアル行動。声かけ、介入で行為遂行
目的志向行為。簡単な工夫・創造
他者と協調・共感的理解・計画的行為・発信
企画・社会的貢献・応用活動・自己実現・反省
香りの強い草花を嗅ぐ(ビニール袋にいれて)。花や葉に触れる。
手を添えられて水やり、収穫ができる。草花に触る。
種をまく、苗を植える。決められた時間に水をやる。成長を認識し、関連回想する。
判断して収穫する。花を生ける。間引きや枯れ花の手入れ。押し花。
協力して作業。季節、段取りを踏まえて作業。予測して計画。日誌や園芸便りを作成。
季節に応じた花壇・畑の企画管理。収穫の活用、調理。次回への創造
レベル1
認知レベル 目 的 作業療法としての処方留意
資料2ー3 アレンの認知レベルと作業療法例(調理)
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6
意識・感情賦活反応を引き出す
行為・活動賦活。二項行為。
興味・関心・素材や道具・感覚統合支援下三項行為
集中力・理解力精神耐久・自律性判断力
没頭性・達成感工夫・探索行為
創造性・役割やつながりの確認・自己表現・計画行為
調理中の匂いや音、調理する人の動きや熱を感じる。(場にいる意味)
混ぜる・こねる作業。材料の名前を言い、関連回想。味見する。
皮をむく。材料を切る。火加減をみる。盛り付ける。応用回想。テーブルふき。食器を準備。食器を洗う。
メニューを考える。米をとぐ、炊く。水加減、味加減をする。調理手順を確認しながら計画的に行う。
複数の調理を並行してできる。他者と役割分担しつつ協力して行う。
経済性・食べる人数、好み、季節に配慮して家族の食事を準備できる。材料の使い回し、あるもので献立ができる。
テーマ別施設紹介「認知症リハビリテーション」
例えば、ロールピクチャー※などの作業療法場面では、ACL3レベルの方々には、紙を同じ長さになるようはさみで切る作業、ACL5レベルの方々には下絵に沿って巻紙を並べて貼り付ける作業を提供します。ACL6レベルでは、立体的な張子細工へと応用できます。このように認知機能・作業遂行度を評価することで、ACLごとの作業処方が可能になり、どのステップへレベルアップし、どのように支援するか、系統的な治療的作業を提供することを考え、集団作業においても個別の目標を立てて認知症、遂行障害への根拠あるアプロー
レクリエーション、アクティビティケアの充実チを目指しています。 アクティビティケアでは、憩いの部屋を活用して、おやつ作りや茶話会、ゲーム、回想法などの認知機能トレーニングを行っています。ほかにも太極拳やフラワーアレンジメント、農園芸、麻雀、音楽会、映画会などの活動メニューを準備しています。 また、BPSDや転倒の危険性の強い利用者には、スタッフが付き添いながらなじみの集まりを支援し、活動や気持ちを支えるようにしています。
ACLごとに作業を提供する際の手引き例を紹介します(資料2)。これらの作業療法の目標は、ケア場面で次のような生活課題につながっています。 例えば、ACL1レベルの利用者の反応を引き出し、追視や刺激への反応を改善することは、食物への反応を改善し、咀嚼嚥下活動を維持することにつながります(涼風苑では、食べることのチームリハビリに特に力を入れており、全老健の専門研修施設として役割を担っています)。 ACL3レベルの利用者では、日中活動を行い刺激を与えることで、夜間によく眠れるよう生活のリズムを整えます。機能的な座位保持のためにシーティングを工夫することで、作業の集中力や能力が高まります。個別の制作活動では、ご家族が本人の持っている力や表出する家族への気持ちに驚くという場面もあり、在宅ケアへの移行支援が課題です。
アレンの認知レベルごとの生活課題とニーズ ACL5レベルの利用者は十分にリーダーシップを担うことができるため、周囲の仲間を支援する力を発揮していただけるように介入します。同年代の相互支援は共感的な理解を生み、コミュニティを豊かにする可能性を持ちます。役割を持つことによって個々の利用者が意欲的になっていくのを感じます。 このように、個々の認知遂行レベルを把握して、集団の中でも個々の課題に応じた支援ができることを目指して努力を続けています。
涼風苑では故・小沢勲医師にナラティブアプローチを直接伝えていただいた経緯があり、ナラティブシートや、個人アルバム、その人の思いや切なさをスタッフも共有し、支援に生かしたいと努力を続けてきました。
今後の展望~パーソンセンタードから生活行為向上個別支援へ~
パーソンセンタードケアはもちろんですが、歩行機能、トイレ排泄、自分で食事ができる力、作業能力、意思表示や交流の能力、生活の楽しみなど、生活行為の向上を目指していきたいです。
折り紙に7cmの円をサイ
ンペンで書き、円をハサミで切り取ります。
視認知・理解・類推・用具
の使用・両手協応・注意
力・作業の丁寧さ・遂行力
を診ることができます。
円・正方形・六角形の凹み
に二等分されたブロックパ
ズルを組み合わせてはめ込
みます。
より複雑な視認知・構成・
類推・図地認知・試行錯誤
できる力・精神機能耐性・
注意力・遂行力を診ること
ができ、認知症初期段階の
スクリーニングにも有効な
課題です。
ロールピクチャーの様子。ロールピクチャーはさまざまな認知機能の利用者が能力を発揮して協働できる活用しやすい作業課題です
色かるたの様子。回想法や交流の手段として有効で自由なイメージを引き出すことができます。“夕方ってどんな色?”“楽しい旅の色はどの色?”など、話をふくらませます
ACL2~3レベルの作業療法。音楽やリズムが意識を賦活し、反応を引き出すこともある。一人より二人、共通の課題を持つ利用者を集団にするためにも認知遂行機能レベルをアセスメントすることが重要
効果効果
※丸く巻いた紙筒を並べて、絵を描いていくアートのこと
レベル1
認知レベル 目 的 作業療法としての処方
資料2ー1 アレンの認知レベルと作業療法例(音楽)
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6
意識・感情の賦活体を動かせる
発動性賦活・姿勢制御刺激に応じた行為
運動制御・気晴らし目的行為の拡大
行為制御・適応・調整・心理高揚
工夫・創造・集団参加・自信と意欲より有意義に活動しようとする
自己実現・役割確認貢献と人生の承認
さまざまな音・リズムに触れる。感覚入力・リズムに合わせて体をさする・タップする。懐かしいメロディー反応。
リズムに合わせて、支助されて太鼓や鈴を鳴らす。手拍子する。声を出す。
リズムに合わせて、打楽器を演奏する。耳慣れた歌は口ずさむ。関連回想。
ハンドベル、簡単な鍵盤演奏。歌詞カードを見て歌う。応用回想。
楽器を分担して合奏する。声を合わせて手拍子しつつ歌う。その歌の時代背景などの話がはずむ。人の歌を良く聞き支援できる。
カラオケ店で楽しむ。替え歌を作る。複雑なリズム模倣。和太鼓。指揮。
レベル1
認知レベル 目 的 作業療法としての処方留意
資料2ー2 アレンの認知レベルと作業療法例(園芸)
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6
意識・感情賦活反応を引き出す
環境や現実に関わる姿勢保持・行為誘発
マニュアル行動。声かけ、介入で行為遂行
目的志向行為。簡単な工夫・創造
他者と協調・共感的理解・計画的行為・発信
企画・社会的貢献・応用活動・自己実現・反省
香りの強い草花を嗅ぐ(ビニール袋にいれて)。花や葉に触れる。
手を添えられて水やり、収穫ができる。草花に触る。
種をまく、苗を植える。決められた時間に水をやる。成長を認識し、関連回想する。
判断して収穫する。花を生ける。間引きや枯れ花の手入れ。押し花。
協力して作業。季節、段取りを踏まえて作業。予測して計画。日誌や園芸便りを作成。
季節に応じた花壇・畑の企画管理。収穫の活用、調理。次回への創造
レベル1
認知レベル 目 的 作業療法としての処方留意
資料2ー3 アレンの認知レベルと作業療法例(調理)
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6
意識・感情賦活反応を引き出す
行為・活動賦活。二項行為。
興味・関心・素材や道具・感覚統合支援下三項行為
集中力・理解力精神耐久・自律性判断力
没頭性・達成感工夫・探索行為
創造性・役割やつながりの確認・自己表現・計画行為
調理中の匂いや音、調理する人の動きや熱を感じる。(場にいる意味)
混ぜる・こねる作業。材料の名前を言い、関連回想。味見する。
皮をむく。材料を切る。火加減をみる。盛り付ける。応用回想。テーブルふき。食器を準備。食器を洗う。
メニューを考える。米をとぐ、炊く。水加減、味加減をする。調理手順を確認しながら計画的に行う。
複数の調理を並行してできる。他者と役割分担しつつ協力して行う。
経済性・食べる人数、好み、季節に配慮して家族の食事を準備できる。材料の使い回し、あるもので献立ができる。