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奈良県交通基本戦略 奈良県交通基本戦略 奈良県交通基本戦略 奈良県交通基本戦略 平成23年3月

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Page 1: 奈良県交通基本戦略 - pref.nara.jp · 歩行者の安全で円滑な移動を支える歩道については、県管理道路の歩道設置率 は約25%であり、全国平均の約40%と比べて低い整備水準となっている。

奈良県交通基本戦略奈良県交通基本戦略奈良県交通基本戦略奈良県交通基本戦略

平 成 23 年 3 月

奈 良 県

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目 次

1.策定の趣旨 ・・・・・・・・・・ P1

2.移動を巡る現状と課題 ・・・・・・・・・・ P2(1)「奈良の暮らし」における移動①現状②課題(a)移動制約者の顕在化(b)地域における公共交通の衰退(c)交通結節点における低い利便性(d)持続可能性の確保(2)「奈良への訪問」における移動①現状②課題(a)北部地域では、渋滞等による移動環境の低下(b)中南和・東部地域では、限定的な移動手段・不足する観光移動情報(c)徒歩や自転車による周遊観光の環境改善の必要性(d)来訪者の視点に立った公共交通利用環境の充実3.基本方針 ・・・・・・・・・・P11

4.「誰もが安心して暮らせるモビリティの確保」に向けた重点的な取組(1)安全で安心な歩行空間の確保 ・・ P12(2)交通施設のバリアフリー化の推進(3)過疎地域等における基幹的な生活交通の確保(4)市町村のコミュニティバス等への支援(5)交通結節点における利便性の向上5.「奈良の魅力を一層高める交通環境の充実」に向けた重点的な取組(1)公共交通機関の利用促進(北部地域) ・・ P14(2)自動車による周遊観光の促進(中南和・東部地域)(3)歩行環境及び自転車利用環境の充実(4)シームレスな交通環境の形成6.「持続可能な取組体制の構築」に向けた重点的な取組 ・・ P16(1)地域交通に関わる関係者の総力の結集(2)PDCAサイクルによる交通施策のマネジメント(3)県民や来訪者に対する啓発(4)交通分野における新技術の活用(5)交通サービスの調達手法の工夫(6)職員の交通計画技術の向上

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*1 モビリティ:移動の利便性等のこと*2 PDCA:Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)の頭文字を揃えたもので、計画、実行、検証、改善の流れを次の計画に生かしていくプロセスのこと*3 見える化:問題点などを視覚的に捉えるようにして、情報の顕在化・共有化を図り、これを問題解決に役立てる活動- 1 -

1. 策定の趣旨

通勤・通学、買物、通院等の日々の暮らしにおいて、県民がより自由に、ま

た快適に移動できる環境を整備することは、生活の質的向上、多様なライフス

タイルの実現、地域交流の拡大等を進める上で大変重要である。また、交通環

境を改善し、移動の利便性を高めることは、地域経済の活性化、地域の観光振

興等にも大きな効果があると考えられる。

現在、県内の暮らしにおける移動手段については、依然として自動車利用が

多いが、急速に進む高齢化により、今後は自動車を自由に利用することが困難

等となる県民の増加が見込まれる中で、過疎化が進み、バス路線の休廃止や減

便が進むなど、県内において暮らしを支える地域公共交通は危機的な状況とな

ることが危惧される。また、国においては、フランス国内交通基本法に見られ

る交通に関する権利等を踏まえて、国内における法制定に向けた議論が進めら

れているところである。

また、観光をはじめ、奈良を訪れた方々への「もてなし」という面から県内

の移動を見ると、県北部地域における観光シーズンの慢性的な渋滞等は来訪者

からの評価も低く、更なる来訪者の増加を図るためには、質の高い交通サービ

スの提供が必要である。

さらに近年、運輸分野における地球温暖化対策として、渋滞緩和を目的とし

た幹線道路ネットワークの整備等による道路交通対策や環境対応車の普及等の

自動車対策と併せ、公共交通の利用促進等による環境負荷の低い持続可能な交

通体系の構築が求められている。

「奈良県交通基本戦略」は、これらの移動に関する課題や社会的要請等を踏ま

え、これまでの県における取組の成果や経験を活かし、移動環境の改善に向け

て、今後の県における交通施策に関する指針として策定したものである。

本戦略では、「誰もが安心して暮らせるモビリティ

*1の確保」、「奈良の魅力を

一層高める交通環境の充実」及び「持続可能な取組体制の構築」を3つの基本

方針としている。

なお、本戦略の推進に当たっては、効果の高い取組を進めるため、PDCA

*2によるマネジメントサイクルや、県内における取組状況等の「見える化

*3(可視

化)」を重視することとしている。また、今後、リニア中央新幹線等の高速鉄道

や高速道路など高速交通体系の動向や、社会経済状況の変化等に適時・適切に

対応し、必要な見直しを図っていくこととする。

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*4 他の近畿5府県:大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、和歌山県- 2 -

2. 移動を巡る現状と課題

(1)「奈良の暮らし」における移動

① 現 状

県民の日常の移動手段を目的別に見ると、通勤については、県内に勤務してい

る方の約59%が自家用車を利用しており、他の近畿5府県

*4の平均約36%と比

較して、極めて高い自家用車利用率となっている。

また、普段の買物においても、主に利用する交通手段は、自家用車が約63%

となっており、次いで自転車・バイクが約19%、徒歩が約12%となっている。

出典:第4回京阪神都市圏パーソントリップ調査(平成12年10~12月)図1 通勤における交通分担率の状況

出典:奈良県民のくらしに関する調査(奈良県 平成21年10月)図2 普段の買物で主に利用する交通手段

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奈良県 全国平均歩道設置率 25.1% 40.1%段差が解消されている駅※7の割合 71.4% 82.9%ノンステップバス導入割合 10.1% 25.8%

*5 歩道設置率:県管理道路の全延長に対して歩道が設置されている道路延長の割合*6 バリアフリー基本構想:高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法) 第25条において、市町村が作成することができるとされている移動等円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想*7 段差が解消されている駅:乗降場ごとに、高齢者・障害者等の円滑な通行に適する経路を1以上確保している駅(1日当りの平均利用者が5千人以上の駅が対象)※ 鉄軌道駅の整備目標対象駅については、平成23年度からの「移動等円滑化の促進に関する基本方針」の改正において、1日当りの平均利用者が5千人以上の駅から、1日当りの平均利用者が3千人以上の駅へ変更される見込み(平成23年2月時点)*8 年間実車走行キロ:1年間に運行するバスの全便の距離を合計した値*9 都市部:鉄道駅乗降人員が5千人/日で、かつ駅勢圏の広い地域をもつ市町村*10 過疎地域:過疎地域自立促進特別措置法の要件に該当する市町村- 3 -

歩行者の安全で円滑な移動を支える歩道については、県管理道路の歩道設置率

*5は約25%であり、全国平均の約40%と比べて低い整備水準となっている。

また、交通施設のバリアフリー化については、エレベーター設置など段差が解

消されている駅の割合は約71%、ノンステップバスの導入率は約10%(平成2

2年3月時点)といずれも全国平均を下回っており、また、市町村が策定するバリ

アフリー基本構想

*6の策定も2都市(平成22年11月時点)にとどまっている状況で

ある。 表1 奈良県内の歩道設置率及びバリアフリー化の状況出典:道路統計年報2009(国土交通省道路局)出典:国土交通省バリアフリー・ユニバーサルデザインHP(平成22年3月)

県内では、175のバス路線(平成22年4月時点)が運行されている。

このうち奈良交通(株)が運行する160のバス路線では、輸送人員数が、平

成14年から平成21年の8年間で約75%までに減少している。年間実車走行

キロ

*8も同様に年々減少傾向にあり、平成13年に比べて平成21年では県全体で

約87%となり、特に都市部

*9以外の地域においては、約64%となっている。

過疎地域

*10においては、運行本数が1時間に概ね1本以下の路線が多く占めて

おり、1日の運行本数が5本未満の路線もある。

また、県内の鉄道駅は125駅(平成22年4月時点)となっているが、鉄道駅へ

のアクセス環境は十分ではなく、路線バスが乗り入れ可能な駅前広場が整備され

ている鉄道駅は、全体の約32%にとどまっている。

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*11 コミュニティバス:自治体が運営主体となり、一定の地域内を、その地域の交通需要に合わせて運行するバス*12 有償運行:乗客から対価を取る運行*13 無償運行:乗客から対価を取らない運行*14 デマンド型乗合タクシー:利用者の事前予約に応じて、その都度、運行経路や時刻表を設定して運行する形態。基本的には、予約のあった停車地のみを結んで運行することから、面的なエリアを効率的に運行することが可能。- 4 -

出典:奈良交通(株)資料を基に奈良県において作成(平成22年11月)図3 路線バスの輸送人員数および年間実車走行キロの伸び率公共交通の確保等を図るため、複数の市町村を跨り、病院等の拠点的な施設を

結ぶ広域的かつ基幹的な交通の確保については、県が交通事業者に対し運行支援

等を行い、路線バスの維持に取り組んでいる。また、昨年度からは幹線的なコミ

ュニティバス

*11として、過疎地域における広域通院バスの導入を進めているところ

である。

さらに、県内バスの一層の利用促進や利用環境を整備するため、県と奈良交通

(株)において連携協定を締結し、協働してバス交通の利便性向上等に取り組ん

でいる。

地域内の交通については、市町村が主体となってコミュニティバス等の運行が

行われている。その路線数は、有償運行

*12が69路線、無償運行

*13が54路線(平

成22年9月時点)となっており、年々コミュニティバス等の路線数は増加している。

また、運行する経路を特定しないデマンド型乗合タクシー

*14等の取組も進められて

いる。

しかし、その一方で、コミュニティバス等を運行している市町村の大半は、こ

れらの取組の目標や評価指標を予め設定することなく、また、約80%の市町村

において利用者の需要予測が行われないまま運行が行われている。

100.0

74.6

100.0

86.7

64.1

50

60

70

80

90

100

H13 H14 H18 H19 H20 H21

    路線バスの輸送人員数の伸び率    年間実車走行キロの伸び率(県内全域)    年間実車走行キロの伸び率(都市部以外)

(

)

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出典:地域公共交通に関する市町村アンケート結果(奈良県土木部道路・交通環境課 平成22年9月)図4 県内のコミュニティバス等の路線数の推移

出典:地域公共交通に関する市町村アンケート結果(奈良県土木部道路・交通環境課 平成22年9月)図5 目標と指標の設定有無(左)と需要予測実施の有無(右)鉄道駅等の交通結節点に関しては、乗継移動の短縮や待合環境の充実、路線や

運行状況等に関する情報の提供を求める声が高く、バス運行状況の情報提供等に

取り組んだところ「バスを利用しやすくなった」との回答が多かった。

県内の交通環境等に関して、昨年度、高齢化率の高い集落を対象に県が実施し

た「過疎地域における集落実態調査」では、10年前と比較した生活環境につい

ては、バスや鉄道等の公共交通機関が、「悪くなった」、「どちらかといえば悪くな

った」とする回答が6割を超えるという結果となった。

31 39 45 45 50 51 54 61 66 6931 37 38 38 39 43 47 47 51 5462 76 83 83 89 94 101 108 117 123020406080100120140

H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22路線数

有償運行 無償運行

②②②②目標目標目標目標はははは設設設設定定定定しているしているしているしているがががが指標指標指標指標はははは設設設設定定定定していなしていなしていなしていないいいい1111111134.4%34.4%34.4%34.4%③③③③目標目標目標目標のののの一一一一部部部部にににに指標指標指標指標をををを設定設定設定設定していしていしていしているるるる444412.5%12.5%12.5%12.5% ④④④④目標全目標全目標全目標全ててててにににに指標指標指標指標をををを設設設設定定定定しているしているしているしている00000.0%0.0%0.0%0.0% ①①①①目標目標目標目標とととと指指指指標標標標はははは設定設定設定設定ししししていないていないていないていない1717171753.1%53.1%53.1%53.1%

n=32(回答者数)②②②②需要予測需要予測需要予測需要予測をををを実施実施実施実施してしてしてしているいるいるいる666621.4%21.4%21.4%21.4% ①①①①需要予測需要予測需要予測需要予測をををを実施実施実施実施してしてしてしていないいないいないいない2222222278.6%78.6%78.6%78.6%n=28(回答者数)

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出典:奈良県の過疎地域における集落実態調査結果(奈良県地域振興部地域づくり支援課 平成21年7月)図6 生活環境について10年前との比較② 課 題

(a)移動制約者の顕在化

急速な人口減少や高齢化社会の進展等により、自家用車を自由に利用すること

が困難等の移動制約者の増加が見込まれているが、安全で安心な歩行環境の整備

や交通施設等のバリアフリー化は進んでいない。また、路線バス等の運行が減少

しており、特に、過疎地域においては、日々の生活における移動手段の確保が重

要な課題となっている。

(b)地域における公共交通の衰退

バス利用者の減少により、採算性の低いバス路線の休廃止や減便が進むなど、

都市部を含めて、公共交通の空白地域が拡がっており、交通サービスの地域格差

は拡大しつつある。また、地域の公共交通の確保を図るため、市町村が主体とな

り運行するコミュニティバス等の路線数が年々増えているが、その利用者数は低

調であり、運行に関する行政側の財政負担も大きくなっている。

(c)交通結節点における低い利便性

鉄道駅などの交通結節点において、エレベーター等円滑に乗換えを行うための

施設の整備や運行状況、乗換時間等の情報提供が不足している。また、待合環境

等が十分確保されていないなど、公共交通の利便性を高めるための環境整備が遅

れている。

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(d)持続可能性の確保

コミュニティバス等の継続的な運行にあたっては、計画的な運営の改善等を図

るため、利用者の需要予測等の調査分析や、路線バス等とのネットワーク化、地

域住民の利用活動等、行政や交通事業者、地域住民等の連携等を一層高める必要

がある。

(2)「奈良への訪問」における移動

① 現 状

観光における来訪者の交通手段は、自家用車の利用割合が約55%と高い状況

にある。

北部地域では、世界遺産を中心とした著名な観光施設に来訪者の自家用車や団

体バスが集中するため、観光シーズンには慢性的な交通渋滞が発生している。

写真 観光ピーク期の奈良公園周辺(奈良市内)出典:奈良県観光動向実態基礎調査報告書((財)南都経済センター 平成22年3月)図7 奈良県への来訪時における交通手段一方、中南和・東部地域では、これらの観光地を巡る鉄道網が形成されていな

いため、移動手段は自動車が中心となっている。

また、世界遺産をはじめとした歴史文化資源や温泉等の魅力的な観光資源は多

数あるものの、広範囲に点在している。

これまで、県では広域幹線道路をはじめとする道路整備等のハード対策を進め

るとともに、観光シーズンには、パーク&バスライド等のソフト対策も含めた渋

滞対策を実施してきた。

特に、北部地域では、平城遷都1300年祭の開催にあわせて、自家用車の流入抑

制策を展開した。自家用車から公共交通への利用転換を呼びかける積極的な広報

活動として、ラジオによる広域的な広報、広域観光拠点である高速道路のサービ

スエリアでのチラシの設置や県ホームページでの啓発等を実施した結果、公共交

通の利用率が高まるなど一定の成果が見られた。

自家用車自家用車自家用車自家用車55.3%55.3%55.3%55.3%鉄道36.2%バス5.6% その他2.9%

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*15 とくとくパーキング・奈良:阪神高速道路(株)の技術協力を受け実施している、ETCの多目的利用技術を活用したサービス*16 奈良おもてなしナビ:奈良の観光地の魅力向上や広域的な観光エリア間の円滑な移動案内等を目指し、身体的状況、年齢等を問わず、「いつでも、どこでも、だれでも」移動等に関する必要な情報の提供を行うサービス- 8 -

出典:奈良中心市街地交通処理対策検討委員会資料(奈良県土木部道路・交通環境課 平成22年7月)図8 1300年祭春季フェア(5/3)における来訪者の交通手段また、パーク&バスライドの利用効率を高めるため、ETCシステムの多目的

利用技術を活用し、利用者に当日の観光情報をメール配信するとともに、ETC

ポイントを付与する「とくとくパーキング・奈良

*15」を実施した。

現地では、来訪者をより分かり易く観光施設へ誘導するため、観光系のサイン

や案内看板の充実を図るとともに、携帯電話を使って観光名所やバスの乗継情報、

バリアフリー経路等の観光移動情報を提供する「奈良おもてなしナビ

*16」を実施し

た。

中南和・東部地域では、国や市町村等の関係機関と連携の下、自動車による周

遊観光を促進するため、ドライバーへの情報提供の役割を担う「道の駅」の情報

発信力を活用し、季節やターゲットに応じたテーマ性の高い観光情報をドライバ

ーに提供する社会実験を実施したところ、利用者から「予定外の観光ができた」

といった意見が寄せられるなど好評を得た。

また、広域のネットワークを有する有料道路事業者である西日本高速道路(株)

や阪神高速道路(株)と県との間で、観光振興等に関する連携協定を締結し、ドラ

イブ情報等の提供を行うことで、より広域からの集客に取り組んだ。

観光の移動手段のひとつである自転車については、県が大規模自転車道の整備

を進めてきたほか、明日香村をはじめとした地域では民間によるレンタサイクル

が定着するなど、自転車に関する利用環境づくりが進められてきた。また、平城

遷都1300年祭に併せたパーク&サイクルライド「古都りん」や広域乗捨型の「秋

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11.9 20.224.9 44.812.30.4 12.31.17.27.711.1 68.518.315.416.80.70 10 20 30 40 50 60 70 80

自家用車のほうが時間が早い自家用車のほうが費用が安い同行者に子供・高齢者がいる観光地間の移動が便利ドライブも観光のひとつ目的地への公共交通機関がない(あっても少ない) その他不明北部地域中南和・東部地域

(%)※複数回答

- 9 -

の奈良レンタサイクル」等、自転車による周遊観光の可能性を検証する社会実験

にも取り組んでおり、利用者からは「いつもの観光とは異なる新鮮な気分が得ら

れた」、「電車や自動車だけでは訪れることのない観光地を巡ることができた」な

どの高い評価が得られた。その一方で、走行空間の改善や現地での案内看板の充

実等を求める声も多かった。

県への観光客が自家用車を利用する理由としては、北部地域では「観光地間の

移動が便利」、「同行者に子供・高齢者がいる」などが多く、中南和・東部地域で

は、「観光地間の移動が便利」、「ドライブも観光のひとつ」、「目的地への公共交通

機関がない」という意見が多い。

出典:奈良県観光動向実態基礎調査報告書((財)南都経済センター 平成22年3月)図9 観光目的の来訪者が自家用車を利用する理由② 課 題

(a)北部地域では、渋滞等による移動環境の低下

観光シーズンを中心に自家用車や団体バスの駐車場待ち等による慢性的な渋滞

が発生し、来訪者等の移動や周遊に支障をきたしている。特に、奈良国立博物館

で開かれる「正倉院展」に向かう多くの団体バスの乗り入れや駐車待ち等により、

奈良市中心部の道路では渋滞が発生している。

(b)中南和・東部地域では、限定的な移動手段・不足する観光移動情報

鉄道網の空白地域であり、バス交通は、観光ツアーとして企画された商品はあ

るものの、通常の路線バスで周遊観光を行うには運行本数が少なく、自家用車利

用が中心の周遊観光となっている。

また、ドライバーに対する周遊観光情報をより効果的に提供する必要があるが、

「道の駅」においては、当該施設周辺の観光情報の提供に限定される傾向があり、

広域周遊観光に適した情報提供が必要である。

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- 10 -

(c)徒歩や自転車による周遊観光の環境改善の必要性

奈良の魅力である歴史文化や自然環境を楽しみながら周遊するためには、徒歩

や自転車による移動が有効である。しかしながら、観光地間を結ぶ経路において

も歩行空間等が連続していないなど、移動環境が充実しているとは言えない。

特に、自転車利用環境については、大規模自転車道は整備されているものの周

遊性の観点からは、ネットワーク、走行環境、利用環境等の整備が遅れているな

どの問題が残されている。

(d)来訪者の視点に立った公共交通利用環境の充実

来訪者は、県内の移動に不慣れな場合が多く、公共交通による目的地への円滑

な移動や広域周遊等を支えるために、来訪者の視点に立った公共交通機関のネッ

トワーク化や乗継環境の利便性、分かり易い案内情報の提供等に配慮した利用環

境が必要である。

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*17 道づくり重点戦略:奈良の今後5カ年(平成21年度~平成25年度)の道づくり重点戦略(平成20年12月策定)*18 シームレス:継ぎ目のないこと。利用者が複数のサービスを違和感なく統合して利用できること。- 11 -

3. 基本方針

今後増加が見込まれる移動制約者への対応や県外来訪者の増加に向けた移動環

境の改善等、これらの移動に係る社会的な課題に対しては、行政として一層の取

組を進めていくことが求められている。

このため、県では、「道づくり重点戦略

*17」に基づき、「選択と集中」の考え方に

より幹線道路等の社会インフラの整備に取り組むとともに、これらを活用した安

心で安全な移動手段の確保、来訪者をもてなす質の高い交通環境の創出など、移

動環境についても社会インフラのひとつとして位置づけ、その改善等に取り組む

こととする。

特に、広域行政体として一層のイニシアティブを発揮し、広域的、基幹的な移

動の改善等について重点的に取り組むこととし、関係者との連携を高め、市町村

に対しては地域内の移動環境の改善等を、交通事業者に対しては交通サービスの

向上等を促すとともに、地域住民等には取組に対する積極的な参加や主体的な協

力等を求めていくものとする。

また、これらの取組を通じて、過度な自動車利用の抑制を図り、徒歩や自転車、

公共交通といった環境負荷の低い交通体系への転換等、持続可能な地域社会を実

現するために、以下の3つの基本方針により重点的な取組を展開する。

(1) 「誰もが安心して暮らせるモビリティの確保」

通院や買物等といった日常生活に必要な移動に不安を感じることなく、県

民誰もが活き活きと暮らせるよう、安心した暮らしを支えるモビリティの確

保に取り組む。

(2) 「奈良の魅力を一層高める交通環境の充実」

来訪者の視点に立ち、移動に伴う負荷を軽減するとともに、より快適に県

内を移動できるよう、地域特性に応じた交通環境の充実や観光交通のシーム

レス

*18化等に取り組む。

(3) 「持続可能な取組体制の構築」

環境負荷の低い交通体系への転換や観光交通の魅力向上等を図るため、市

町村、交通事業者、地域住民、地元企業、NPO等の関係者の総力の結集や

PDCAサイクルの活用等、持続可能な取組体制の構築を行う。

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*19 フィーダー交通:フィーダー(feeder)とは、河川の支流という語源から、交通機関の支線のことを指す。幹線交通に交通を集中したり、幹線交通から交通を分散したりする役割を持つ。鉄道の場合には、バスやタクシー等の端末交通が、道路では幹線道路に接続する補助幹線道路や区画道路がこの役割を担う。- 12 -

4. 「誰もが安心して暮らせるモビリティの確保」に向けた重点的な取組

(1) 安全で安心な歩行空間の確保

高齢者等が安心して移動できる歩行空間を確保するため、鉄道駅や公共施設、

病院等を中心としたバリアフリー基本構想の策定を市町村に対して要請するとと

もに、当該基本構想や、安全で安心なまちづくり計画を策定する市町村に対して、

情報提供や講習会の開催等の技術的支援を行う。また、策定された計画に基づき

県管理道路の整備に重点的に取り組み、国や市町村と一体となって安全で安心な

歩行空間のネットワーク化を図る。

また、高齢者等の安心な外出をサポートするため、歩行時に休憩できる施設の

設置等を進める。

歩道のない通学路等においては、市町村や警察等と連携を図りながら歩行環境

の点検を行い、その点検結果に基づき、経路の見直しやカラー舗装化、注意喚起

サインの設置、交通規制の見直し等の速効対策に早期に取り組むとともに、地域

の協力が得られた箇所については、抜本的な対策に取り組む。

(2) 交通施設のバリアフリー化の推進

県内の交通施設のバリアフリー化に引き続き重点的に取り組み、特に乗降客数

の多い鉄道駅におけるバリアフリー化を進めるとともに、バリアフリー基本構想

における重点整備地区や公共施設、観光拠点周辺等においてノンステップバス等

の導入を促進する。

(3) 過疎地域等における基幹的な生活交通の確保

通勤・通学や通院等における鉄道やバス等の公共交通の利用を高めるため、移

動実態に関する調査分析を進めるとともに、交通事業者に対して運行サービスの

向上等を要請する。

複数の市町村を跨ぐ広域的な路線バスについては、地域における基幹的な移動

を担う路線を決定し、交通事業者と運行サービス(経路、運行頻度等)の実施に

関する運行契約の締結等を行うことにより、継続的な運行の確保を図る。

また、過疎地域については、市町村において必要と判断される広域的な路線バ

スについて、市町村との協調により、その路線運行の確保を図る。さらに、通院

時間にあわせた拠点病院への運行等、幹線的なコミュニティバスの運行について

取り組む。

なお、これらの取組に当たっては、幹線交通とフィーダー交通

*19との役割分担を

明確にするとともに、路線の再編を含めた運行の効率化や地域のコミュニティバ

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ス等との結節・ネットワーク化、地域住民によるバス利用促進の取組等について

評価を行い、その結果に基づき、取り組むものとする。

(4) 市町村のコミュニティバス等への支援

地域内の移動環境を高めるため、市町村が実施するコミュニティバス等の運行

について、利用者の需要予測や路線バス、タクシーとの役割分担、料金設定の検

討など、効率的な運行の実施に向けた調査分析を促進する。また、継続的な運行

を図るため、行政だけでなく、地元企業、地域団体等におけるコミュニティバス

等の運行に係る経費の負担や運行への参加協力など、地域が一体となって参画す

る取組に対して、重点的な支援を行う。

さらに、効率的にコミュニティバス等の運行を行うため、複数の市町村が協議

会等を設置し、共同して地域におけるコミュニティバス等の運行を行う場合には、

その取組に対して支援を行う。

地域における公共交通の継続的な利用を図るため、鉄道駅やバス停等の公共交

通を利用しやすい中心市街地等の活性化や、多くの地域住民が利用する生活利便

施設等の立地誘導等、市町村に対して交通施設を中心としたまちづくり・地域づ

くりを推奨するとともに、そのための計画策定を促進する。

(5) 交通結節点における利便性の向上

利用者が多く、鉄道をはじめとした多様な交通手段が結節する駅前広場等の利

便性を高めるため、乗換施設や待合空間等における運行情報の提供等に取り組む。

また、駅前広場等の乗継環境を充実するため、待合空間の整備を図るとともに、

バス乗場、タクシー乗場等については、公共交通の利用しやすさを高め、その利

用転換を促すために、市町村に対して広場機能の拡大や広場レイアウトの再配置

等を推奨するとともに、そのための計画策定を促進する。

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*20 ICT:情報通信技術(Information and Communication Technology)*21 奈良県自転車利用促進計画:自転車による広域的な周遊観光を促し、県内における滞在型観光の拡大による観光振興や地域活性化を目指すとともに、県民の健康増進や環境にやさしいまちづくり等を進めるために策定した計画(平成22年12月策定)- 14 -

5. 「奈良の魅力を一層高める交通環境の充実」に向けた重点的な取組

(1) 公共交通機関の利用促進(北部地域)

北部地域では、観光を目的とした来訪者交通について、自家用車から公共交通

への利用転換を促すため、関係機関と連携した広報を充実するとともに、公共交

通による周遊観光を促すため、バスターミナル等における各交通手段の乗継ぎな

ど結節点機能の充実や歩行空間の改善、料金施策など公共交通利用環境の向上を

図る。特に、奈良中心市街地である奈良公園から平城宮跡、西の京を含む地域で

は、自家用車の流入をできるだけ少なくするため、郊外でのパーク&バスライド

駐車場の設置やシャトルバスの運行等、移動の円滑化や周遊性を向上する施策を

実施するとともに、奈良公園周辺では、交通の流入を抑制し、駐車場の需要調整

や、徒歩や公共交通等による来訪者の周遊を高めるための取組を進める。

(2) 自動車による周遊観光の促進(中南和・東部地域)

中南和・東部地域では、自動車による周遊観光を促すため、市町村や関係機関

と連携を図りつつ、来訪者の移動実態に関する調査分析を進める。この分析結果

と、これまでの社会実験の成果を生かし、季節やターゲットに応じたテーマ性の

高い周遊観光ルートなどの情報を「道の駅」において、様々なメディアを通じて

提供する。なお、情報の提供に当たっては、県内外の「道の駅」や高速道路のサ

ービスエリア、パーキングエリアとの連携による情報ネットワークを構築するこ

とで、広い範囲から奈良への集客を図る。

また、鉄道や路線バスによる来訪者の周遊観光を促すため、例えば、コミュニ

ティバスやタクシーの観光利用を推奨するなど、公共交通による利便性の高い周

遊ネットワークの構築等に取り組む。

(3) 歩行環境及び自転車利用環境の充実

観光地における歩行環境を高めるため、市町村とともにベンチ等の休憩施設の

整備や多言語化された案内サイン等による情報提供を行うほか、携帯端末等の

ICT

*20を活用した歩行者の移動支援についても充実を図る。

自転車による周遊観光等を促すため、「奈良県自転車利用促進計画

*21」に基づき、

広域の自転車利用ネットワークを設定し、歩行環境にも留意し、その走行環境を

高める。更に、レンタサイクルの普及を推進するとともに、宿泊施設における受

け入れ体制の充実等の自転車観光を支援するサービスや、周遊ルートマップ等の

関連情報の充実を図る。

また、これらの利用環境の向上や情報発信とあわせて、イベント誘致やツアー

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の企画等にも取り組む。

(4) シームレスな交通環境の形成

公共交通による来訪者の効率的な移動をサポートするため、鉄道、路線バス、

コミュニティバス、タクシー等、交通手段相互のネットワーク化や接続の改善、

乗換え・乗継ぎに係る利便性の向上、チケットの共通化等、来訪者にとって分か

り易い、シームレスな交通環境の形成に取り組む。

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*22 モビリティ・マネジメント:一人ひとりのモビリティ(移動)が、社会的にも個人的にも望ましい方向に自発的に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通施策- 16 -

6. 「持続可能な取組体制の構築」に向けた重点的な取組

(1) 地域交通に関わる関係者の総力の結集

地域の公共交通は、それらが地域において利用されることによって、継続的な

運行が可能となるものであり、行政や交通事業者の取組とともに、公共交通の利

用者である地域住民、地元企業、NPO等による一体的な取組が不可欠である。

また、地域住民等相互の協力のもと、地域共助としての取組も考えられる。

このため、関係者の意見を集約する場として地域における協議会等を活用し、

公共交通の継続的な運行等に関して関係者の役割や取組内容等を明確にするなど、

地域交通に関わる関係者の総力を結集した取組を進める。

(2) PDCAサイクルによる交通施策のマネジメント

効果の高い交通施策を実施するためには、利用者の需要予測や対策手法の比較検

討等、地域の交通課題の十分な調査分析に基づく施策等の決定が必要であるとと

もに、施策の実施段階においては、継続的なモニタリング等を行い、実施状況の

評価と、それを踏まえた施策の改善等を進めていくことが必要である。このため、

協議会等の運営を地域に公開して行うとともに、PDCAサイクルを導入した交

通施策のマネジメントを進める。

また、地域の交通課題や交通施策の取組だけでなく、他の地域における交通施

策の取組等についても、県民が容易にその状況等を把握することができるよう、

県ホームページ内で分かり易い指標等を示しながら、その「見える化」に努める。

(3) 県民や来訪者に対する啓発

県民や来訪者による交通行動について、自動車利用から、徒歩・自転車・公共

交通の利用への自発的な行動の変化を導くモビリティ・マネジメント

*22を推進する

ため、地域住民、地元企業等が取り組む活動への支援を行う。

また、特に、新たに公共交通を運行する場合等においては、その施策の実効性

を高めるために、利用者に対して、その機会を捉えて取組の意義や必要性等の啓

発を図る。

(4) 交通分野における新技術の活用

走行性能、充電能力等に優れた電気バスの運行や、各交通モードを横断的に扱

うリアルタイムな交通情報の提供、ICTを活用した情報提供手法、ICカード

を利用した公共交通機関のシームレス化等、交通分野における新技術の活用に取

り組む。

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(5) 交通サービスの調達手法の工夫

行政や協議会等において、必要な交通サービス(交通手段、経路、運行頻度等)

を決定した後、その交通サービスを実施する交通事業者等の選定に当たっては、安

全運行の確保等を前提として、例えば、競争性・透明性を高める公募方式の活用や、

価格とともにサービスの改善提案等を総合的に評価する調達方式の活用、事業者等

のインセンティブを高めるための調達条件の設定など、交通サービスの調達方式の

一層の工夫に取り組む。

(6) 職員の交通計画技術の向上

広域的な交通計画や交通政策の企画立案、評価等に必要な技術力を高めるとと

もに、交通計画等に携わる技術者が少ない市町村に対する技術的支援を行うため、

先進都市における取組の調査や、職員を対象とした定期的な勉強会の実施、外部

講師を招いた講習会の開催等を行い、交通計画技術のスキルアップを図る。

また、技術研究発表会等の機会を設け、これまでの取組成果について発表する

など情報の発信と技術の蓄積、新たな知見の導入に努める。