No.170/2017

Contents

流通業界におけるビッグデータの活用

3 ビッグデータの技術とその適用　森田豊久11 マーケティングにおける消費行動の有効活用法　大久保龍一17 経済動向分析におけるビッグデータの活用　森脇大輔23 オムニチャネル時代における小売業の店舗力強化のためのデータ活用　菅野有機27 右脳で使う購買ビッグデータ　越尾由紀33 POS データ分析の要、JICFS/IFDB　小川　勝、高岡大志

特別報告

39 新たな段階を迎えたメーカーの共同物流　坂本尚登

海外流通の動き

45 成長するアセアン市場における味の素のロジスティクス活動　魚住和宏

GS1レポート

53 欧州に見る商品情報DB最新事例59 医療機関でのGS1標準の利用推進に向けて

流通政策の動き

61 改正個人情報保護法ガイドラインの概要

産業界の動き

63 電子レシート標準仕様策定活動について

流通レーダー

65 小売業66 総合政策67 物流68 海外

調査研究

69 医療機関におけるGS1標準活用事例　前川ふみ

物流システム

75 ネット通販増加に伴う不在再配達問題への対応　瀧澤幹典　

流通探訪

81 買い物弱者の生活を支える移動販売　編集部

2 流通とシステム　No.1７０　2０1７．３

流通業界における　ビッグデータの活用

　IoT などによって得られた膨大なデータ（ビッグデータ）で学習した AI（人工知能）をロボットに搭載し、人が行ってきた作業を代替する・・・近未来に予想されるこのような世界を“第₄次産業革命”と呼んでいる。経済産業省では来たるべき第₄次産業革命を日本がリードするための方向性を盛り込んだ「新産業構造ビジョン」を策定中だが、流通・物流分野における研究では、ビッグデータについて「消費者と直接的な接点を有する小売業が大量のリアルデータを保有しており、その規模は他の産業と比べても群を抜いている」としている（本誌168号参照）。本号ではこのような視点から、潜在的な活用の可能性が高いと思われる流通業界におけるビッグデータについて特集した。　まず「ビッグデータの技術とその適用」では、ビッグデータの定義、利活用方法、技術、課題などの基本的な事柄について日立システムズから紹介する。次に「マーケティングにおける消費行動の有効活用法」では、サイトの閲覧実績や店内の動線解析、電車の乗降履歴など増え続ける消費者行動証跡データを活用して「なぜその店や商品、サービスが選ばれたのか」という理由を解析するための富士通の取り組みを紹介する。　「経済動向分析におけるビッグデータの活用」では、POS データなどのビッグデータを経済統計に活用して、より正確な景気判断ができるようにするための内閣府の取り組みを紹介する。　「オムニチャネル時代における小売業の店舗力強化のためのデータ活用」では、忙しい店長が瞬時に情報を理解し、判断できるような ID–POS データの分析ツールについて、大手食品スーパーと共同で実証した SCSK の取り組みを紹介する。　「右脳で使う購買ビッグデータ」では、カスタマー・コミュニケーションズが提供する POS データおよび ID–POS データの分析ツールを活用したさまざまな取り組み事例を紹介する。タイトルの右脳、すなわち直感性を重視したツールの紹介で「21世紀のマーケティングはこのスピード感が勝負を決めるカギとなる」としている。　最後に「POS データ分析の要、JICFS/IFDB」では、流通業界におけるビッグデータの本命である POS データおよび ID–POS データの活用に欠かせない商品情報データベース、JICFS/IFDB について紹介する。