構造物の健全度診断のための試験...4 nsirbの特徴...

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Page 1: 構造物の健全度診断のための試験...4 NSIRBの特徴 NSIRBは精度のよい試験法で、以下の特徴があります。特徴 橋梁下部工の健全度を固有振動数で判定します。試験は簡易に実行できます。正確に固有振動数を測定します。目で見えない基礎の健全度も正確に判定します。

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構造物の健全度診断のための試験

必要条件

1.数多くの構造物を扱う

→ 簡単に実施できる

2.健全度を的確に判定できる

3.目に見えない基礎も判定できる

これらを備えた試験 → NSIRB

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重錘による橋脚の打撃の様子

NSIRBとは

重錘で橋梁下部工を打撃し、その応答から固有振動数を求め、それに基づいて橋梁下部工の健全度を診断する非破壊試験法

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NSIRBの特徴

NSIRBは精度のよい試験法で、以下の特徴があります。

特徴

橋梁下部工の健全度を固有振動数で判定します。

試験は簡易に実行できます。

正確に固有振動数を測定します。

目で見えない基礎の健全度も正確に判定します。

ベアホールカメラやビデオコーンなどの調査方法も有効であるが,ボーリング孔が必要である!

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fs: 固有振動数の標準値

健全度指標κの算出

健 全

詳細な調査および対策

NSIRBによる橋梁下部工の健全度判断手順

波形収録

fn:固有振動数

固有振動数の決定

Yes

No

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NSIRBの利用法以下の項目を速やかに精度よく行う。

1.平常時、非常時の対応

・構造物の劣化に対する健全度の判定

・自動車の衝突等に対する健全度判定

・近接工事の影響度の把握

2.災害時の対応

・地震による被害程度の判定

・洪水等の非常時の健全度判定

・被害程度に応じた交通規制の選択

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開発のフローチャート

指標の測定方法の検討

指標と構造物の変状との関係の検討

健全度判定基準の検討

判定に用いる指標の検討

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健全度判定指標の要件

健全度判定指標は次の条件を満足する

必要がある.

・精度がよい

・健全度を的確に反映できる

・測定が簡単

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判定に用いる指標の検討

・判定指標 固有振動数

・なぜ固有振動数か

固有振動数は構造物の質量(重量)と

ばね定数(強度)で決定される

Kfn:固有振動数

M:構造物の質量

K:ばね定数

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橋脚

橋桁

基礎

地盤沈下

橋桁

橋脚

ひびわれ

杭空隙

基礎

橋梁下部工の変状のイメージ

洗掘の例 地盤沈下の例

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固有振動数と健全度

1.構造物が災害(洗掘、地震等)を受けたとき、質量は変化しないが、躯体の剛性や地盤の強度は低下する。これはばね定数の低下となる。

2.固有振動数は質量とばね定数で決定されるからそれは固有振動数の低下となって現れる。

3.この低下率から、躯体の剛性や地盤の強度低下の程度が推定できるので、構造物の健全度が推定できる。

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STEP 1構造物を揺らす

固有振動数を決定するため

目的:共振現象を利用する

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構造物を揺らすには

1.列車等を走行させる → ばらつきがある

周波数が限られる

2.起振機を用いる → 時間、費用がかかる

3.構造物を打撃する → 簡単にできる

広い範囲の周波数を含む

以上より打撃を用いることとした。

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橋梁下部工の

NSIRB

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陸上部での打撃 水上部での打撃

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水上部の打撃の様子

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STEP 2振動を収録する

固有振動数を決定するために

収録するには振動計とパソコンを用いる

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打撃位置と構造物の揺れのかたち

1)天端付近を打撃

構造物は1次モードで揺れる

このモードは境界条件の影響を受けやすい

⇒下部工(基礎)調査の変状

2)躯体中央部を打撃

構造物は2次モードで揺れる

このモードは部材剛性の影響を受けやすい

⇒躯体の変状

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振動計の設置位置と極性方向

(振動モード判定のため)

橋軸直角方向に設置・打撃する.

トリガーチャンネルは打撃位置に近い振動計にする.

極性は統一させておいた方がよい.

用いる振動計は対象構造物の振動数帯域でフラット性を保っている.

計測機器

中間ピックアップ

下端ピックアップ

天端ピックアップ

重錘

打撃位置

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STEP 3収録波形から固有振動数を算出する

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時刻歴波形だけではその構造物がどのような振動特

性を持っているのかよく分からない.

→ 周波数毎の成分を表示する必要がある。

そこで

を用いる.

フーリエスペクトル解析

時間領域から周波数領域への変換

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フーリエスペクトルと位相差スペクトル

時刻歴波形(速度波形)

振幅スペクトル

位相差スペクトル

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健全度判定の方法

1)過去の固有振動数との比較2)固有振動数の標準値との比較

上記値がない場合の方法3)固有値解析による逆解析

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1)過去の固有振動数との比較

健全な状態な時点(例えば,竣工時)に収

録した波形から算出した固有振動数と比較.

⇒もっとも正確なやり方である.しかし,古い

構造物では試験を行っていないケースが

多い.

⇒今後,新設予定の構造物に対しては,

なるべく早い時点での試験実施を推奨.

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2)標準値算定式による値との比較

1)健全な橋脚の固有振動数の実測値を収集

2)収集したデータは1,000個以上(鉄道構造物)

(このうち精度のよい700個を使用)

3)統計解析により,基礎形式別に橋脚高さ,

土被り,桁重量などを要因として分析

4)解析結果から固有振動数の標準値を作成

⇒非常に簡易な方法であるが適用限界に注意.

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3)固有値解析による逆解析

・ 固有振動数の実測値にあうよう躯体の剛性や地盤の支持条件を変化させ,その変化率や絶対値から構造物の健全度を推定する方法.

・ 固有値解析から求まった躯体剛性および地盤ばね定数と設計基準から算出されるそれらの値を比較する。あるいは求まった値から設計計算を行い安全性を検討する。

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27解析モデル

解析モデルの作成

固有値解析

固有振動数

計算値≒実測値

振動モード

計算値≒実測値

地盤のばね定数(Kh,Kr)

部材の剛性(EI)の決定

部材の剛性の増減

地盤のばね定数の増減

Yes

No

No

Yes Kh

Kr

固有値解析による部材の剛性等の推定の考え方

Kh

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固有値解析シミュレーション

初期値

躯体 :E=2.7e6(tf/㎡)

基礎・地盤:N値・・・側面 N=5

底面 N=30

実測振動数:7Hz,解析振動数:3.46Hz

躯体剛性倍率:1.0,基礎・地盤剛性倍率:1.0

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固有値解析シミュレーション実測振動数:7Hz,解析振動数:6.29Hz

躯体剛性倍率:1.0,基礎・地盤剛性倍率:2.0

初期値

躯体 :E=2.7e6(tf/㎡)

基礎・地盤:N値・・・側面 N=5

底面 N=30

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固有値解析シミュレーション

実測振動数:7Hz,解析振動数:7.03Hz

躯体剛性倍率:1.1,基礎・地盤剛性倍率:3.0

初期値

躯体 :E=2.7e6(tf/㎡)

基礎・地盤:N値・・・側面 N=5

底面 N=30

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αの範囲 区分 処 置

α < 0.50 A2構造物の機能にかかわる変状または欠陥があって、運転保安、旅客および公衆などの安全並びに正常運行確保を脅かし、何らかの措置を必要とする。

0.50 ≦ α < 0.75 B変状または欠陥があって、現状ではAランクではないが、日常監視を十分にして、必要に応じて措置する必要がある。

0.75 ≦ α < 1.00 C軽微な変状または欠陥があって、日常検査の際、重点的に検査をすればよい。

1.00 ≦ α S 健全。

躯体の健全度(鉄道構造物)

)(設計基準の値躯体剛性の初期値

躯体剛性の解析値

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βの範囲 区 分 処 置

β < 0.50 A1 詳細な検査を行う

0.50 ≦ β < 0.75 A2 進行性の把握を行う

0.75 ≦ β B以上 現状では問題は少ない

基礎の健全度(鉄道構造物)

)( 3設計基準の値地盤ばね定数の初期値

地盤ばね定数の解析値=

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田代橋

位置図

NSIRBによる実際の調査例

北海道 今金町 田代橋

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橋梁下部工全景

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橋梁下部工全景

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測定状況

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橋脚の形状(P3橋脚)

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測定波形(P3橋脚)

橋脚天端

7.2Hz

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測定波形(P3橋脚)

橋脚中間

7.2Hz

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測定波形(P3橋脚)

7.2Hz

橋脚下端

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橋脚の形状(P4橋脚)

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測定波形(P4橋脚)

橋脚天端4.5Hz

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測定波形(P4橋脚)

4.5Hz

橋脚中間

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測定波形(P4橋脚)

4.5Hz

橋脚下端

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測定結果(固有振動数)一覧表

橋脚名称 一次モード 構造形式 GL~く体天端 備 考

P3橋脚 7.2Hz 壁 式 3.65m 低水敷

P4橋脚 4.5Hz 門型ラーメン 3.85m 低水敷

P6橋脚 3.5Hz 門型ラーメン 9.25m 河川中

P7橋脚 5.0Hz 門型ラーメン 3.95m 低水敷

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測定結果(固有振動数)測定結果

①壁式橋脚と門型ラーメン橋脚とを比較すると壁式橋脚の固有振動数が大きい値を示した

②同一構造で土被りが異なる場合は土被りの深い構造物の方が,その固有振動数は大きな値を示した

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健全度の推定

NSIRBにより得られた固有振動数を指標として,構造物の健全度を判定する場合には以下の3つの方法がある.

①供用開始時の固有振動数との比較を行う②構造形式ごとの標準値との比較を行う③固有値解析結果から構造物の健全度を推定する

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今回は初期値が無く,標準式の適用も難しい

→固有値解析結果から構造物の健全度を推定する方法により健全度を推定した!

-解析条件-・コンクリート:σ ck=21N/mm2を初期値した・断面:しゅん功図を参考に全断面有効として算出した・荷重:しゅん功図を参考に実荷重を算出した

(単位体積重量などは道路橋示方書・同解説を参照)

地盤定数は地質調査報告書より設計標準により定められる地盤バネ定数の算定式を用いて地盤バネを算出し,フーチング下端での集約バネとして鉛直・水平・回転バネ定数を考慮した.

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P3橋脚解析モデル図

6500

9950

750 2750 2750 1500 1500 750

7000 3000

10000

1500

1350

1825

1825

36506300

300 6500 2700 450

250 550

1000

300

3700

300

1200

1

2

3

4

5

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P3橋脚モード図(初期状態)

実測振動数 7.2 Hz

解析値 8.5 Hz

振動数も振動モードも一致しない!

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シミュレート倍率(P3橋脚)

部 材土被りによる

水平バネ

基 礎

鉛直 水平 回転

P3橋脚 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00

P3橋脚 1.00 0.87 0.30 0.87 0.30

く体および地盤のシミュレート倍率を変化させる!

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P3橋脚モード図(フィッティング完了)

実測振動数 7.2 Hz

解析値 7.2 Hz

振動数も振動モードも一致!

Page 53: 構造物の健全度診断のための試験...4 NSIRBの特徴 NSIRBは精度のよい試験法で、以下の特徴があります。特徴 橋梁下部工の健全度を固有振動数で判定します。試験は簡易に実行できます。正確に固有振動数を測定します。目で見えない基礎の健全度も正確に判定します。

53

P4橋脚解析モデル図

750 2900 2900 1500 750

30007300

750 750

11000

1000

1200400

6550

3850

6000 3600

900

6300 3125 175

1200400

9400

1000

12000

1300

800

1100

1100

1100

500500

1150

1425

1425

500

1100

20

19

18

17

16

15

14

13

12

11

10

1 2 3 4 5 6 7 8 9

32

33

34

35

36

37

38

39

4031

30

29

28

27

26

25

24

23

22

21

45 46 47 48 49 50

41 42 43 44

51

800

② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧

⑨ ⑳

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

32

33

34

35

36

37

38

39

31

40 41 42 43 44

45 46 47 48 49 50 51 52

53

1500 4300 1500 1725 1275

1800

900 900 900 800 800 1525 900

550 1067 1066 1067 550

1250

800

1100

1100

1100

1600

1650

900 900 712.5 537.5 1250 1075 900

800

3763 3763

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54

P4橋脚モード図(初期状態)

実測振動数 4.5 Hz

解析値 4.5 Hz

振動数は一致するが,振動モードが一致しない!

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55

シミュレート倍率(P4橋脚)

部 材土被りによる

水平バネ

基 礎

鉛直 水平 回転

P4橋脚 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00

P4橋脚 0.70 1.20 1.20 1.20 1.20

く体および地盤のシミュレート倍率を変化させる!

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56

P4橋脚モード図(フィッティング完了)

実測振動数 4.5 Hz

解析値 4.5 Hz

振動数も振動モードも一致!

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57

固有値解析の結果

固有値解析の結果,P3橋脚は基礎がP4橋脚ではく体が設計値を下回る結果となった

供用開始後の経年劣化による変状や,地震などの異常外力により構造物がダメージを受けたと推定

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58

変状の推定に対す検討

1993年北海道南西沖地震

またこの地震により近傍の奥尻島で大きな被害を受けた経緯もあることから,田代橋にも比較的大きな震度の地震力が作用したと推定できる

南西沖地震前(昭和62)に調査された地質調査結果と,平成19年に実施した地質調査結果を比較すると・・・

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59

B-115.50

0m

0 10 20 30 40 50

13.00

11.90

11.30

10.30

7.00 6.70

1.30

- 3.50

- 6.90

- 9.90

-10.90

-11.40

3

3

13

2

23

15

22

8

19

13

3

4

12

7

7

3

1

4

13

10

7

3

50

36

37

48

52

P-3橋脚土質条件

1200

600

▽12.885

100 100

300

3700

300

1000

469▽19.854

▽15.735

1900

450 1000 450

1300 1200 1300

側 面 図

850 2300 750

-14.365

4300

5700

8200

4000

3465

埋土

砂質土

砂質土

シルト

砂質土

砂質土

先端

1585

2850

15.735 5040302010

2

1

2/32

2

2

2/35

10

7

11

5

13

13

15

12

1

2

6

1/35

2/35

0/35

2/35

1/35

2/35

3

1/35

17

30

10

26

25

28

12

48

35

45

46

50/22

50/26

0

砂 礫

砂質シルト

砂 礫

砂質シルト

泥 炭

砂質シルト

細 砂

砂 礫

砂質シルト

シルト混じり細砂

シルト混じり細砂

シルト混じり細砂

シルト質細砂

礫混じり中砂

礫混じり細砂

32.30

26.35

25.20

38.00

31.05

16.00

20.20

17.10

14.20

15.10

7.60

6.30

2.70

1.60

7.15

dep = 38.0

0 mNo.B-

2

GH=15.37 m

設計委託業務土質調査報告書 昭和62年9月』『田代橋自歩道橋土質調査および 『土質調査実測値』

B-115.50

0m

0 10 20 30 40 50

13.00

11.90

11.30

10.30

7.00 6.70

1.30

- 3.50

- 6.90

- 9.90

-10.90

-11.40

3

3

13

2

23

15

22

8

19

13

3

4

12

7

7

3

1

4

13

10

7

3

50

36

37

48

52

P-3橋脚土質条件

1200

600

▽12.885

100 100

300

3700

300

1000

469▽19.854

▽15.735

1900

450 1000 450

1300 1200 1300

側 面 図

850 2300 750

-14.365

4300

5700

8200

4000

3465

埋土

砂質土

砂質土

シルト

砂質土

砂質土

先端

1585

2850

15.735 5040302010

2

1

2/32

2

2

2/35

10

7

11

5

13

13

15

12

1

2

6

1/35

2/35

0/35

2/35

1/35

2/35

3

1/35

17

30

10

26

25

28

12

48

35

45

46

50/22

50/26

0

砂 礫

砂質シルト

砂 礫

砂質シルト

泥 炭

砂質シルト

細 砂

砂 礫

砂質シルト

シルト混じり細砂

シルト混じり細砂

シルト混じり細砂

シルト質細砂

礫混じり中砂

礫混じり細砂

32.30

26.35

25.20

38.00

31.05

16.00

20.20

17.10

14.20

15.10

7.60

6.30

2.70

1.60

7.15

dep = 38.0

0 mNo.B-

2

GH=15.37 m

設計委託業務土質調査報告書 昭和62年9月』『田代橋自歩道橋土質調査および 『土質調査実測値』

既存土質柱状図

(S62調査)

土質柱状図

(H19調査)

既存土質柱状図

(S62調査)

土質柱状図

(H19調査)

南西沖地震で乱されたと推定される地層

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60

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61

P3橋脚モード図

(H19の地質調査結果を使用)

実測振動数 7.2Hz

解析値 7.2Hz

設計図から求まる解析値 8.5Hz

部 材土被りによる水平バネ

基 礎

鉛直 水平 回転

P3橋脚 1.00 1.00 1.00 0.43 0.43

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62

P3橋脚のような壁式構造の構造物は断面が大きいため上部構造は被害を受けにくい反面,基礎に大きな負担が掛ったのではないか?そのため,地震により基礎がダメージを受け、基礎のシミュレート倍率が低下したと推定!

推定結果

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63

P4橋脚のような門型ラーメン橋脚はフーチングから上の部材(上部構造)が比較的スレンダーな構造なので,地震時には上部構造が先行して降伏しエネルギーを部材の破壊で吸収できるので,基礎への負担が低減される.そのためく体のシミュレート倍率が低くなったと推定!

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64

・P3橋脚では低下した地盤が杭頭付近であった

・P4橋脚は基礎の位置がP3に比べ深いため影響を受けていない

P3橋脚 P4橋脚

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65

山陽新幹線高架橋の被害

柱部材の健全度診断 ~ NSIS

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66

柱の健全度判定

大地震後は交通阻害が大きく、NSIRBで使用するような重錘を運ぶのは容易ではない。

ラーメン高架橋の被害は一般に柱の損傷が多く、そのため柱の固有振動数を計測して、健全度を判定する方が、早く有利な場合がある。

そこで!

柱の損傷度を精度良く計測するため、柱の曲げ固有振動数を利用することとした。

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67

躯体や柱の健全度判定の問題点

躯体や柱の固有振動数を計測して、健全度を判定する場合は、振動数の領域に注意が必要である。

橋梁下部工全体系に比較すると10倍以上の振動数を持つ。

したがってこれに対応したシステムが必要。その

ためのシステムを NSIS とした。

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68

NSISとは

柱の曲げ振動の固有振動数を計測することにより、その健全度や地震時の損傷度を判定するシステム

1.強度そのものの測定

2.システム(計測機器)による測定

3.定量的評価

・強度そのものを測定するのでばらつきがでない

・変化の連続的把握が可能

・隠れた部分も診断可能

NSISの特徴

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69

NSIS 測定状況

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70

柱の曲げ振動の固有振動数とは

柱の重さ(質量)とその強さで決定される。これにより柱の強度を調査することができる。(悪くなっても質量は変わらない)

健全

クラック

ジャンカ

振動数が早い(早く揺れる)

振動数が遅い(ゆっくり揺れる)

固有振動数が高い 固有振動数が低い

時間の経過

地震の発生

台風、地盤沈下

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71

NSISの効果をあげるために

NSISは前述のように日常の維持管理や地震への対応に精度のよい調査および判定ができるが、最もよくその効果を発揮できるのは、構造物自身の固有振動数である。

したがって、地震の危険性が指摘されている地域や、重要な建物等においては事前に、それもできるだけ早い時期に、固有振動数を測定しておくことがよい。

また、この方法に基づいて構造物の地震対策システムも構築することができる。

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72

NSISの新しい活用法補強工事等の効果確認

劣化したコンクリート部材のひび割れ部に樹脂を注入して補修工事を行った.補修後,固有振動数が高くなったことから補修工事の効果を確認した.

断面補修工事前 断面補修工事後

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73

NSIRB・NSISの今後の活用法

この試験は兵庫県南部地震後、崩壊など大被害を免れた構造物の再使用の可否の判定に使用された。

現在は下記の項目への適用を実施している。

■ 橋梁下部工下部工以外の構造物への適用1.電柱の健全度診断

2.橋桁の健全度診断

3.その他支柱構造物全般への適用

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ご静聴ありがとうございました。

Thank you for your attention !