太陽光発電の環境影響評価に係る...

24
太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について 平成301030環境省大臣官房環境影響評価課 課長補佐 湯本

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Page 1: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

太陽光発電の環境影響評価に係る

検討状況について

平成30年10月30日

環境省大臣官房環境影響評価課課長補佐 湯本 淳

Page 2: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

図.2 FIT制度による設備導入容量の内訳資料:固定価格買取制度情報公開用ウェブサイト

(資源エネルギー庁)(http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/statistics/index.html)より作成

FIT制度が導入された2012年7月以降、太陽光発電の発電容量は急激に増加している。(図1)

FIT制度において認定を受けた再生可能エネルギーの導入容量は、平成29年3月末時点で3,539万kWである。太陽光発電の導入容量は3,350万kW(うち、非住宅分は2,875万kW)に達し、全体の約94.7%(非住宅分は約81.2%)を占めている。(図2)

(1) 太陽光発電の導入実態

太陽光

(住宅)

13.4%

太陽光(非住宅)

81.2%

風力 2.2%

中小水力 0.7% 地熱 0.03% バイオマス

2.4%

太陽光(住宅)

太陽光(非住宅)

風力

中小水力

地熱

バイオマス

図.1 太陽光発電の国内導入推移出典:エネルギー白書2018(資源エネルギー庁)

再エネ導入量:3,539万kW(平成29年3月末)

47

628

911

1766

865

4239

1062

2688

3605

1149

37

1.背景

1

Page 3: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

林地開発許可は平成24年度以降急増しており、そのほとんどが太陽光発電事業である。

(2) 林地開発許可処分と太陽光発電事業

図.3 林地開発許可における太陽光発電事業の件数

及び面積の推移

図.4 太陽光発電事業を目的とした林地開発許可に係る事業区域面積別件数

(平成24年度から28年度までの総計)出典:林野庁調査(H30個別調査)

2

Page 4: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

太陽光発電による環境影響等については、①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響③濁水の発生や水質への影響 ④森林伐採等の自然環境への影響⑤住民説明の不足などがあげられる。

(1) 新聞掲載事例調査結果

9

30

2 1 2 1

4 5

1 1 1

4

9

2 2

13

6 64

8 8

1311

7

30

2

10

1

13

1 1 1

4

1

0

5

10

15

20

25

30

35

自然災害

土砂災害

水害

パネル流出

パネル飛散

フェンス飛散

生活環境

気温変動

反射熱

風害

騒音

反射光

水質

地下水水質

水道水水質

濁水

水源

水象

海洋汚染

漁業影響

農業影響

自然環境

森林伐採

希少動植物

景観

人触れ

観光資源

設備撤去

住民説明

アセス要否

行政勧告無視

賠償責任

許認可

用地売却

防災・安全 大気環境等 水環境 生物・

生態系

事例数 (n=69)①項目ごとの問題事例整理結果

2.実態調査

図.5 項目ごとの問題事例

3

Page 5: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

◆問題事例の件数と開発規模との間には、直接的な相関は見られなかった。

◆土地利用別にみると、林地における事業で問題化する場合が多い。

②土地利用別の問題事例数集計結果

③敷地面積別の問題事例数集計結果

図.6 土地利用別の問題事例

図.7 敷地面積別の問題事例 4

Page 6: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

苦情や要望書等が寄せられた事業の事業実施前の土地利用については「林地」が142事業(50%)と最も多く、次いで「農地」が44事業(16%)である。

苦情や要望書等が寄せられた事業の事業実施前の地形について、「大部分が斜面であり、一部が平坦な地形」が67事業(33%)と最も多い。

図.8 事業用地の立地条件

(2) 自治体アンケート調査結果

①事業用地の立地条件

事業実施前の土地利用 事業実施前の地形

50%

16%

13%

4%1%1%1%

14%

n=281林地

農地

草地

ゴルフ場

牧草地

水面

湿地

その他

33%

25%

20%

17%

2% 3%

n=201大部分が斜面、一

部平坦

全て斜面

大部分が平坦、一

部斜面含む

全て平坦

水面

その他

5

Page 7: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

・苦情等があった項目は「土砂災害」が101事業(18%)と最も多く、次いで「景観」が67事業(12%)である。3番目に多い項目として「水の濁り」が52事業(9%)である。

・「その他」の内容は、陥没、土砂流出、土壌汚染、廃棄物等、多岐に渡る。

図.9 苦情等があった項目

②苦情等があった項目

18%

12%

9%

8%7%

5%4%3%

3%

3%2%2%

2%2%

20%

n=554 土砂災害

景観

水の濁り

反射光

動物、植物、生態系への影響

気温上昇

供用時の騒音(パワーコンディショナ等から)

水害(浸水被害、雨水の流出)

工事中の影響(騒音、振動)

水象

住民への説明不足等の地元との合意形成

森林の無断伐採

電磁波

工事中の影響(土ぼこり)

その他

6

Page 8: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

景観への影響について問題となった眺望点は「太陽光パネル近傍の住宅地」が32事業(27%)と最も多い。次に多いのが「事業区域のある市町村内」の30事業(26%)である。

問題となった眺望点と太陽光発電事業の実施区域からの水平距離は0m(隣接)~2,000mと幅がある。

図.10 景観に関する苦情のあった項目

③景観への影響

27%

26%12%

11%

7%

6%

6%

3% 2%

n=116 太陽光パネル近傍の住宅地

事業区域のある市町村内

観光スポット

自然公園

休憩地、展望地等

山岳地の登山道

その他

景観計画区域等法令等に基づき景観の保全が求

められる地域

周辺の市町村内

7

Page 9: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

動物、植物、生態系に関して問題となった動植物の種名、生態系の種類は次のとおり。

表.1 動物、植物、生態系に関して問題となった動植物の種名、生態系の種類(*事業ごとに整理)

④動物、植物、生態系への影響

事業実施前の土地利用 種名・生態系林地、農地、湿地 ハッチョウトンボ、カスミサンショウウオ、ナゴヤダルマガエル、モートンイトトンボ、イシモチソウ、サギソウ

林地、農地、湿地 ギフチョウ、ヒメギフチョウ(町で保護条例を制定)水面 ため池とその周辺の生態系(カワセミ、ツバメ、カイツブリ、カルガモ、ウチワヤンマ、ギンヤンマ、アキアカネ)

林地 ゲンジボタル林地 アカモズ、ミサゴ、サシバ、ノスリ、ハチクマ、オオタカ、ハヤブサ不明 樹木林地 ミゾゴイ林地 鳥類(種名不明)休耕地 オオタカ農地、耕作放棄地 コアジサシ、シロチドリの営巣、繁殖への配慮林地 海の生態系(漁業)、有害鳥獣生息林地 隣接遊水池周辺の生態系の変化及び水源の枯渇林地 コクラン林地 ホンゴウソウ、オオタカ林地 オオタカ林地 ニホンヤマネ、ニホンカモシカ、クマタカ、チシマウスバスミレ、アズマヒキガエル

林地、原野、公道 ウグイス、ウサギなど野生動物林地 魚類不明 魚類林地、別荘地 ササユリ、クルマバハグマ林地、草地、農地 種:サシバ、ホトケドジョウ、ムカシヤンマ、ヒメタイコウチ、オオコオイムシ、ニホンリス、シデコブシ 上記を含む生態系

林地、草地、農地 種:カキ(貝) 内湾(沿岸漁業環境)

林地、草地 種:クマタカ、オオタカ、サシバ林地、農地 スズラン草地 地域の里山全体(自然環境の保全の観点から)林地 カエル、ヘビ林地、牧草地、農地 サクラソウ、アマゴ、カジカ、イワナ、ヤマネ、カモシカ、特定植物群落林地、草地、農地 オオタカ林地、草地、農地 ムササビ、ヨタカ、ヤマコウモリ、ヒナコウモリ、クビワコウモリ、イヌワシ、ヤマネ

林地、草地、農地 イヌワシ、クマタカ、オオタカ、ナガレタゴガエル、ハコネサンショウウオ、ミゾゴイ、ヤマネ、草原性のチョウ類、森林性のコウモリ類

林地 特定の種名ではなく、事業区域の自然環境の破壊に対する苦情(事業区域が県立自然公園普通地域に指定されている。)

8

Page 10: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

反射光に関する苦情等の発生について、苦情等が寄せられている住宅の距離について、次のとおり。

図.11 反射光について苦情等が寄せられている住宅までの距離*最も遠い住宅までの距離

⑤反射光の影響

1314

32

0

2

4

6

8

10

12

14

16

0m以上~10m未満 10m以上~50m未満 50m以上~100m未満 100m以上

苦情

の件数

最長距離

反射光:距離ごとの苦情の件数 n=32

9

Page 11: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

供用時の騒音に関する苦情等の発生について、苦情等が寄せられている住宅の距離について、次のとおり。

図.12 供用時の騒音について苦情等が寄せられている住宅までの距離*最も遠い住宅までの距離

⑥供用時の騒音の影響

1514

3 3

0

2

4

6

8

10

12

14

16

0m以上~10m未満 10m以上~50m未満 50m以上~100m未満 100m以上

苦情

の件数

最長距離

供用時の騒音:距離ごとの苦情の件数 n=35

10

Page 12: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

事業実施前の土地利用について、「林地」が28件(42%)と最も多く、次いで「ゴルフ場」が15件(23%)である。

事業実施前の地形について、「大部分が斜面で一部が平坦な地形」が31件(62%)と最も多く、次いで「大部分が平坦で一部に斜面を含む地形」が14件(28%)である。

図.13 事業用地の立地条件

(3) 事業者アンケート調査結果

① 事業用地の立地条件

事業実施前の土地利用 事業実施前の地形

42%

23%

12%

11%

3%

3% 3% 1% 2%

n=66 林地

ゴルフ場

草地

農地

湿地

水面

その他

牧草地

採石場

62%

28%

6%

2% 2%

n=50大部分が斜面、

一部平坦

大部分が平坦、

一部斜面含む

全て斜面

全て平坦

水面

11

Page 13: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

地域住民を対象とした説明会等において意見が述べられた事業に伴う環境問題は「水の濁り」が17件(18%)と最も多く、次いで「土砂災害」が15件(16%)である。

上記の意見に対し、93%の事業で対策が実施され、残る7%では影響が小さいと考えられるため対策を実施していない。

図.14 事業に伴う環境問題に関する住民等意見と対策の実施状況

②事業に伴う環境問題

意見に対する対策実施の有無説明会等における環境問題に関する意見

18%

16%

15%13%

9%

8%

8%

7%6%

n=97 水の濁り

土砂災害

動物、植物、生態系への

影響工事中の影響(土ぼこり)

景観

工事中の影響(騒音、振

動)供用時の騒音(パワーコ

ンディショナ等から)反射光

その他

93%

7%

n=30

対策を実施

対策を行わなかった

12

Page 14: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

◆環境アセスメント等の実施状況について、環境アセスメント条例に基づき環境アセスメントを実施した事業は5事業であり、自治体のガイドラインまたは環境配慮指針に基づき又は自主的に環境アセスメントを実施した事業者は11事業である。また、自主的に

環境調査や保全対策は行ったが、住民、自治体との意見交換は実施していないのは27事業である。上記のいずれも実施していないのは7事業である。

図.15 環境アセスメントの実施状況

③環境アセスメント等の実施状況

54%

22%

14%

10%

n=50

自主的に環境調査等は実施したが、

地域・自治体との意見交換なし

自主アセス

いずれも実施なし

環境アセスメント条例

13

Page 15: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

環境アセスメント等を実施した事業のうち、景観への影響について調査・予測・評価を行ったのは19事業(43%)である。手法としては主要な眺望点からの眺望景観について、フォトモンタージュ等を用いて予測が11件(25%)と最も多い。次いで「その他」が5件(11%)と多く、これは現地調査による確認である。

景観の影響に関する懸念や苦情及び要望書の提出状況について、6事業(14%)に対して、工事実施前の段階で意見が寄せられている。

図.16 景観に関する調査予測評価の実施状況及び手法

④景観への影響

図.17 景観に関する懸念、苦情、要望の有無

問題となった眺望点 件数太陽光パネル近傍の住宅地や公民館、道路等 3登山道、休憩地、展望地等 1その他(対岸の住宅地、高速道路) 2

表.2 問題となった眺望点

57%25%

11%

5% 2%

n=44 景観は調査・予測・評価

の対象としていない

フォトモンタージュ

その他

文献調査

アンケート

86%

14%

n=42

懸念や苦情は寄せら

れていない

工事実施前(計画段階)

14

Page 16: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

環境アセスメント等を実施した事業のうち、土地の改変による動物への影響について38事業(88%)で太陽光発電施設の建設前に動物の調査を実施している。そのうち25事業(58%)は文献調査のみを実施しており、13事業(30%)で現地調査が実施されている。

植物への影響については14事業(70%)で調査を実施している。そのうち12事業(60%)で現地調査が実施され、文献調査のみは2事業(10%)である。

土地の改変による動植物への影響に関する懸念や苦情及び要望書の提出状況について、5事業(26%)に対して、工事実施前の段階で意見が寄せられている。

図.18 土地の改変による動植物への影響に関する調査予測評価の実施状況

⑤土地の改変による動植物への影響

動物の調査・予測・評価の実施状況

植物の調査・予測・評価の実施状況

図.19 土地の改変による動植物への影響に関する懸念、苦情、

要望の有無

58%30%

12%

n=43

文献調査のみ

現地調査

評価の対象と

していない

60%30%

10%

n=20

現地調査

評価の対象と

していない

文献調査のみ74%

26%

n=19

懸念や苦情

は寄せられて

いない

工事実施前(計画段階)

15

Page 17: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

環境アセスメント等を実施した事業のうち、水の濁りの影響について調査・予測・評価を行ったのは8事業(19%)となり、その全てが現地調査によるものである

水の濁りの影響に関する懸念や苦情及び要望書の提出状況について、3事業(19%)に対して、工事実施前の段階で意見が寄せられている。

図.20 水の濁りの影響に関する調査予測評価の実施状況及び手法

⑥水の濁りの影響

図.21 水の濁りの影響に関する懸念、苦情、要望の有無

81%

19%

n=43

水の濁りは評価対象

としていない

現地調査

81%

19%

n=16

懸念や苦情は寄せら

れていない

工事実施前(計画段階)

16

Page 18: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

環境アセスメント等を実施した事業のうち、土地の安定性への影響について、すべての事業で調査等を行っているとの回答がある。

土地の安定性への影響に関する懸念や苦情及び要望書の提出状況について、7事業(17%)に対して、工事実施前の段階で意見が寄せられている。

図.22 土地の安定性への影響に関する調査予測評価の実施状況及び手法

⑦土地の安定性への影響

図.23 土地の安定性への影響に関する懸念、苦情、要望の有無

問題となった苦情等の内容 件数工事中・供用後における土砂・濁水の発生・流出 1土砂災害等防止のための点検・管理体制 1沢部への盛土に対する懸念 1

表.3 土地の安定性への影響に関する懸念、苦情、要望の内容

72%

16%

12%

n=43地すべり地形等の確認の

地すべり地形等の確認及

び土地の安定性調査・予

測を実施

土地の安定性調査・予測

のみ83%

17%

n=42

懸念や苦情は寄せら

れていない

工事実施前(計画段階)

17

Page 19: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

環境アセスメント等を実施した事業のうち、太陽光パネルの反射光による影響について調査・予測・評価を行ったのは37事業(88%)である。手法としてはその他の反射光の予測が27件(64%)と最も多く、その内容は周囲の森林に遮られるため、あるいは周囲に住宅がないといった理由から反射光による影響は無いと予測するものが大半である。

太陽光パネルの反射光による影響に関する懸念や苦情及び要望書の提出状況について、4事業(10%)に対して、工事実施前の段階で意見が寄せられている。

図.24 太陽光パネルの反射光による影響に関する調査予測評価の実施状況及び手法

⑧太陽光パネルの反射光による影響

図.25 太陽光パネルの反射光による影響に関する懸念、苦情、要望の有無

問題となった苦情等の内容 件数住宅への影響 2動植物への影響 1車の運転への影響 1

表.4 太陽光パネルの反射光による影響に関する懸念、苦情、要望の内容

24%

12%64%

n=42

定量的に予測

予測は行ってい

ない

その他の予測 90%

10%

n=42

懸念や苦情は寄せら

れていない

工事実施前(計画段階)

18

Page 20: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

環境アセスメント等を実施した事業のうち、26事業(60%)で工事中の騒音、振動、大気汚染による影響について文献調査のみが実施されている。

工事中の騒音、振動、大気汚染による影響に関する懸念や苦情及び要望書の提出状況について、1事業(2%)に対して、工事実施前の段階で意見が寄せられている。

図.26 工事中の騒音、振動、大気汚染による影響に関する調査予測評価の実施状況及び手法

⑨工事中の騒音、振動、大気汚染による影響

60%19%

16%

5%

n=43

文献調査のみ

現地調査のみ

実施していない

現地調査及び文献調査を実施

19

Page 21: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

環境アセスメント等を実施した事業のうち、25事業(57%)で供用後の騒音による影響について文献調査のみが実施されている。

供用後の騒音による影響に関する懸念や苦情及び要望書の提出状況について、25事業(58%)に対して工事中に、1事業(3%)に対して供用後に、1事業(2%)に対して工事実施前の段階で意見が寄せられた。

図.27 供用後の騒音の影響に関する調査予測評価の実施状況及び懸念、苦情、要望の有無

⑩供用後の騒音の影響

供用後の騒音に関する調査予測評価の実施状況 供用後の騒音に関する懸念、苦情、要望の有無

⑪その他

その他、環境配慮の観点から特に積極的に取り組んだ事項として以下の回答がある。

事項 件数事業実施区域の下流に立地する既存住居の生活用水の確保策(現在、浅井戸・沢水を利用)について、該当する居住者と協議

1

動植物の調査結果に基づき保全措置を積極的に行っていく予定 1

表.5 環境配慮の観点から積極的に取り組んだ事項

57%20%

18%

5%n=44

文献調査のみ

現地調査のみ

実施していない

現地調査及び文献

調査を実施

58%37%

3% 2%n=43

工事中

懸念や苦情は寄せら

れていない

供用後

工事実施前(計画段階)

20

Page 22: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

環境アセスメントにおける太陽光発電事業の取扱い方には、

①太陽光発電事業を対象事業に位置付けている自治体、

②電気工作物の新設に含めている自治体、

③面開発の一種として位置付けている自治体、の3タイプがある。

山形県、長野県、静岡県、大分県、仙台市、神戸市、福岡市が①のタイプに該当(規模要件:いずれも面積)

面開発の一種として位置づけている自治体(③のタイプ)が多数。

①のタイプ、③のタイプにおいては、環境影響評価手続を実施した太陽光発電事業の事例(手続中のものを含む)がある。

条例アセスによる太陽光発電への対象範囲

<条例でカバーする太陽光発電の規模要件の範囲>

規模要件 該当自治体

50ha以上 山形県、長野県、静岡県

20ha以上大分県、仙台市、神戸市、

福岡市

注:森林の区域等特別な区域については、別途規模要件を定めている場合がある。

<太陽光発電事業にかかる環境影響評価の件数>

自治体 件数

青森県 1

宮城県 1

福島県 6

山梨県 2

長野県 3

三重県 4

自治体 件数

和歌山県 1

大分県 2

鹿児島県 1

神戸市 2

注:静岡県アンケート結果に基づく、平成29年11月時点の情報。

3.自治体の取組状況

21

Page 23: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

7月3日(火) 武部新環境大臣政務官(当時)記者会見(大規模太陽光発電事業について、「法アセスの対象とすることも含めて検討」する旨を表明)

「太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」設置

・第1回検討会 8月30日(木)→太陽光発電の導入状況及びそれに伴う環境影響について 等

・第2回検討会 10月11日(木)→太陽光発電の現地視察

【視察先】・グリーンパワー富津太陽光発電所・千葉・山倉水上メガソーラー発電所

・第3回検討会 10月12日(金)→太陽光発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方について

太陽光発電施設における環境影響評価項目選定の基本的考え方について

4.検討会の開催実績

22

Page 24: 太陽光発電の環境影響評価に係る 検討状況について太陽光発電による環境影響等については、 ①土砂災害等の自然災害の発生 ②景観への影響

大規模な太陽光発電事業については環境影響評価法の対象事業とし、法対象とならない規模の事業についても、各地方公共団体の実情に応じ、環境影響評価条例の対象とすることが考えられる。

さらに、環境影響評価条例の対象ともならないような小規模の事業であっても、環境に配慮し地域との共生を図ることが重要である場合があることから、必要に応じてガイドライン等による自主的で簡易な取組を促すべき。

※第3回検討会において委員より概ね了承済み

5.太陽光発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方について

全体イメージ

23

(今後の予定)

・第4回検討会 11月1日(木)調査、予測及び評価、環境保全措置、事後調査の基本的考え方について規模要件及び地域特性について

・パブリックコメントを経て、今年度内に報告書とりまとめ予定。