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農林水産物・食品の流通・加工構造 出典:農林水産省「農業競争力強化プログラム説明補足資料集」

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農林水産物・食品の流通・加工構造

出典:農林水産省「農業競争力強化プログラム説明補足資料集」

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フードシステムにおけるモジュール化の進展

生産調理消費

加工原材料 食品

生産調理消費

加工

原材料 食品

処理

半製品

プロセスを分解してモジュール化し、その活動をサブシステム(事業者)に割り振っていくことが、フードシステムの高度化

生産 消費調理処理 加工

原材料 食品半製品 調理品

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進む構造変化

• 加工・流通はどのように変わってきたか?

– 加工品・調理品・外食の拡大

– 分業の進展:生産工程の細分化

– 流通技術の進歩:コールドチェーン・ピッキング・トレーサビリティ

– 品質管理

※変化する体系にあわせた対応の必要性

• 農業自身も変わる

– 規模拡大

– 分業の進展:生産工程の細分化

– 品質管理

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生産

小売

外食

消費者

製造

物流

安全・品質基準の適合性評価と工程管理

工程管理GAP

工程管理GMP・HACCP

工程管理GDP・HACCP

工程管理GRP・HACCP

確認 確認 確認 表示

安全・品質管理の連鎖

究極の目標:チェーン末端(消費者)における安全・品質保証の実現

認証 認証 認証

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農業・食品に関する認証制度をめぐる事情:国内動向

• 食品安全基本法(2003年)

– 第4条:フードチェーンにおける安全性

• GAPガイドライン(農林水産省)2010年制定、2011・2012年改定

• 日本再興戦略2015– 食料産業における国際標準戦略検討会(農林水産省)2014年→食品安全マネジメント協会(JFSM)

– GAP推進協議会(農林水産省)2015年 ※我が国発の国際規格策定に向けた対応→ASIAGAP

– 食品衛生管理の国際標準化に関する検討会(厚生労働省)2016年→HACCP制度化(食品衛生法改正2018年)

– 2020東京オリパラ食材調達基準

• 未来投資戦略 2017– 知財戦略:規格・認証等戦略

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信頼問題の発生

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食品安全をめぐる事件・事故

• 1996年 O157食中毒の発生

• 2000年 広域集団食中毒事件

• 2001年 BSE感染、食肉偽装

• 2002年 無登録農薬使用問題

• 2007年~08年 食品偽装の多発

• 2008年 輸入冷凍ギョウザ、事故米問題

• 2011年 福島第一原発事故、牛肉ユッケO111食中毒

• 2013年 レストランメニュー偽装、冷凍食品農薬混入

• 2014年 異物混入写真ツイッターに掲載

• 2015年 ファストフードでの異物混入

• 2016年 廃棄食品の転売

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2007~08年食品偽装の多発

2007年1月 大手洋菓子業者による賞味期限改ざん

2007年8月 北海道菓子業者による賞味期限改ざん

2007年10月 三重県和菓子業者による賞味期限改ざん等

2007年10月 愛知県食肉加工業者によるブランド畜肉偽装

2007年10月 秋田県食肉加工業者によるブランド畜肉偽装

2007年11月 有名老舗料亭による産地偽装等

2008年1月 輸入冷凍ギョウザへの農薬混入

2008年6月 岐阜県食肉加工業者によるブランド畜肉偽装

2008年6月 大阪府水産物販売業者による産地偽装

2008年6月 兵庫県・徳島県水産物卸売業者によるうなぎ産地偽装

2008年9月 事故米不正転売事件

2008年12月 愛知県農産物販売業者によるたけのこ産地偽装

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食品表示110番への問い合わせ件数

資料:農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/jas/kansi/110ban.html)

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農林水産省の取り組み-食品企業の安全・信頼対策、標準化-

• 食品事業者の5つの基本原則(平成20年3月、平成28年1月改訂)

• HACCP、衛生・品質管理

– HACCP支援法(食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法) (平成25年6月改正)

– GAP等規格・認証等の推進に関する食品関係団体会議(平成29年6月)

• 食品安全管理・信頼確保に関する取組の標準化について

– 食料産業における国際標準戦略検討会報告書(平成26年8月)

– 食品安全マネジメント等推進に向けた準備委員会中間とりまとめ(平成27年5月)→JFSM発足(平成28年1月)

• フード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP) (平成20年度~)

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5つの基本原則(平成20年3月、平成28年1月改訂)

基本原則1 消費者基点の明確化

– 消費者を基点として、消費者に対して安全で信頼される食品を提供することを基本方針とします。

基本原則2 コンプライアンス意識の確立

– 取り巻く社会環境の変化に適切に対応し、法令や社会規範を遵守し、社会倫理に沿った企業活動を進めていきます。

基本原則3 適切な衛生管理・品質管理の基本

– 安全で信頼される食品を消費者に提供するために、適切な衛生・品質管理をしてきます。

基本原則4 適切な衛生管理・品質管理のための体制整備

– 適切な衛生・品質管理を行う体制を整備し、それが形骸化しないよう改善を行っていきます。

基本原則5 情報の収集・伝達・開示等の取組

– 消費者などの信頼や満足感を確保するため、常に誠実で透明性の高い双方向のコミュニケーションを行います。

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経験と信頼のループ

食の経験 食の信頼

食の信頼は食べることで築かれる

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経験と信頼のループの断裂

食の経験 食の信頼

-食品事故、偽装事件で食の信頼が損なわれる-他者の悪い経験が信頼を揺るがす-他の食品へも不信が波及してしまう

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フード・コミュニケーションの役割

食の経験 食の信頼

【フード・コミュニケーション】食品事業者からの発信

経験と信頼のループを強化する、復活させる

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食の安心における信頼の役割-基本モデル-

安全

規格・基準群

安心安全性への確信

望んでいる食品を確実に確保できると予想している状態

信頼

関係者の適切な行動への予想

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行政への不信

2000年以降の不信の循環と課題・対策

企業への不信

行政への不信

企業への不信

輸入品への不信

科学・行政への不信

広域食中毒

BSE

食品偽装

輸入冷凍餃子事件

放射性物質汚染

事故米事件

トレーサビリティー

原産国表示

衛生管理

フードチェーン管理

検査

フードディフェンス

企業への不信

農薬混入

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コミュニケーションのあり方

• 信頼を得るためのポイント(中谷内)

– リスクに対処する能力があるとみなされること(能力認知)

– 真面目に取り組むという動機をもっているとみなされること(動機づけ認知)

– リスクを管理する組織との主要な価値が類似していると感じられること(価値類似性認知)

↓消費者視点の必要性

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二つの議論

• 信頼の非対称性原理

– 信頼を得るにはたくさんの肯定的実績の積み重ねが必要

– 信頼を失うにはたった一つの否定的事実で十分

– 「確証バイアス」自分の考えに合致する情報はしっかり受け止めて、合致しない情報は無視する

• 二重非対称性モデル

– 事前の信頼レベルを維持する方向で後続する情報を受け止める

中谷内一也『安全。でも、安心できない・・・-信頼をめぐる心理学』ちくま新書

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課題

• 信頼を左右する情報提供に関する議論の変化

– マスメディアの役割

– SNSの影響

• 信頼構築に向けた企業と消費者との直接コミュニケーションの可能性

– 直接コミュニケーションの難しさ→FCPによる磨き上げ

– 直接コミュニケーションの市民の評価(SNSによる評判):アーンドメディアによる間接的な伝達

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企業のコミュニケーション手段~トリプルメディア~

• ペイドメディア(Paid Media: 企業が料金を支払うメディア) → マスメディア広告、ホームページ

• オウンドメディア(Owned Media: 企業が所有するメディア) → 広報、工場見学、出前授業

• アーンドメディア(Earned Media: 企業が(評判を)獲得するメディア) → インフルエンサー、サポーターのSNS

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安全・品質遵守への信頼をどのように形成するか

科学的証拠標準化適合性評価

経験伝統

人的関係

文化認証

オープンな社会・経済

クローズドな社会・経済

社会情勢、意図的な政策誘導

国際化輸出促進

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食品表示110番への問い合わせ件数

資料:農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/jas/kansi/110ban.html)

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取り組むべき要素~持続可能性~

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農業・食品に関する認証制度をめぐる事情-持続可能性条件-

• 責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)国連2006年– ESG投資:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)

• 持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)国連2015年

• 持続可能性に配慮した調達コード:東京オリ・パラ競技大会組織委員会

認証制度の利用と個別のコミュニケーションを組み合わせる必要性→現在のFCPの枠組みで対応可能か?

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なぜ食品安全や持続可能性等が重要視されつつあるのか?

近年の世界における食をめぐる状況

消費者の様々な価値感に基づく

ニーズ消費者が安心、信頼できる食品へのニーズの高まり

⇒「見えない価値」が重視

食品安全、環境保全、労働安全、人権保護

品質

基礎的価値

付加的価値

フードチェーンのグローバル化、複雑化

流通過程の不透明化

世界的な人口の増加で食糧が不足

環境破壊の進行

情報伝達手段の発達で様々な問題の情報伝達が迅速化

世界・個別の問題が消費者に見える化

見えない価値見える価値

価格機能デザイン

奴隷制度、児童労働

社会問題

生活水準の向上、ニーズの多様化

高品質商品へのニーズ

消費者の不信・不安が拡大

資料:農林水産省「食品安全、持続可能性等に関する規格・認証・知財」(平成29年4月)