学校評価の現状と課題 -...
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発表用資料 2006.3.15
学校評価の現状と課題
~高等学校を中心とした今後の学校評価の在り方を探る~
京都大学大学院教育学研究科 研究生
静岡県立青田高等学校 教諭 野澤 博文
連絡先:内線8097携帯090・6571・6193
表概要
平成14年4月に自己評価を行うことが努力義務化され、国の一制度として位置付けられる
ようになった学校評価も、導入後、間もなく4年が経過しようとしている。しかしながら、学
校評価への取組は地域間で大きな温度差があるのが現状で、こうした事態を重く見ている文部
科学省では、今年度中には学校評価のガイドラインを完成させ、来年度には、全国の小、中学
校での使用を求めていく方針であるとされる。また、自己評価の実施を義務化する方向も打ち
出している。こうした状況下で、本研究においては、①全国都道府県・政令指定都市教育委員
会に対する「学校評価の現状に関するアンケート」調査実施(匪匹珍照)②文部科学省への
聞き取り調査実施(匪画参照)③先進的、特徴的な取組をしている教育委員会への聞き取り 調査実施(匪亘司参照)④先進的又は特徴的な取組をしている高等学校への聞き取り調査実施
(匪司参照)、以上の手順を踏みながら、文部科学省、教育委員会、高等学校それぞれにお ける学校評価の現状と今後の役割、3アクターの望ましい関係について明らかにした。その中
で、高等学校が自律性を発揮しつつ、学校評価を実施していくために、特に重要となってくる
のが、学校現場における校長の「人材育成マネジメント」能力であり、学校評価も含めた学校
経営全般において、この要素が今後、大きな鍵を握っていくであろうことを指摘した。同時に、
学校の自律性拡大に伴う文部科学省、教育委員会が果たすべき新たな役割の可能性についても
明らかにし、学校の自律性がまだ成熟していない現段階こそ、文部科学省では、地域間の温度
差是正のために学校現場や教育委員会を支援していく必要があること、また、教育委員会では、
学校間の温度差是正のために学校現場への支援は勿論、第三者評価的な評価を実施し、評価結
果によって学校裁量予算が増減する枠組みを導入していくことにより、真の学校の自律性を育
んでいく必要があることを指摘した。
1.文部科学省における学校評価の在り方(文部科学省が果たすべき役割を4つに整理)
①ガイドラインを作成し最低基準を示すことで、学校評価の水準を引き上げること
②様々な外部評価主体の選択肢を示し、それらの適切な情報を提供すること
*「学校評議員」と「保護者」が有力な外部評価先
「年2回の外部評価点の学校訪問」(福島県)や「地元中学校長」(広島県)など、第
三者評価的な要素を取り入れる自治体もわずかながら見られる匪師紺
→第三者評価機関による全国的な外部評価の検討(イギリスの教育水準局「OfST玉:D」
の研究)とともに、様々な評価主体に関する情報やそれらの有効性について、幅広く
情報提供していくことが、地域間の温度差を解消するための有効な手段
1
③学校評価に携わるアセッサーやアドバイザーの育成
・直接評価に携わる学校現場の人間が的確な判断をし、「自校の学校教育の一層の充実」
の方向へと繋げていくことが基本
・学校現場に対して、学校評価の分析方法や利用方法についてアドバイスを行い、その
ような方向へ導いていくアドバイザーの育成も必要
→こうした人材育成こそ、地域間やまたは学校間による温度差を解消する有効な手段
④校長の人材育成マネジメント能力開発への支援→後述
2.教育委員会における学校評価の在り方
(1)先進自治体に学ぶ(調査した5自治体の学校評価への取組から学ぶべき点を整理)
・各自治体の取組・・・「導入」「定着」「活用」の3期のうちに位置付けるならば、「導入」
期、または「定着」期を迎えた自治体が多く、地域間や学校間で温
度差があるのが現状
*高等学校設置基準改正以前から、学校評価に取り組んでいる自治
体は全体の30.4%にすぎない匪卸側
*学校評価の今後の課題について、多くの自治体が、学校間の温度
差を筆頭に挙げている匝如1刷
上
「導入」期もしくは「定着」期を迎えた多くの自治体にとって参考になるのが、
①自治体が強い主導力を発挿しながら学校評価を推進している岐阜県の事例
②自治体として大枠で主導力を発挿しつつも、実際の運用などコアな部分では学校の自
律性を重視している三重県や大阪府に代表される事例
→こうした事例を参考に、それぞれの自治体に合った学校評価を定着させていくべき
・今回調査した5自治体における学校評価の運用上の示唆的な特徴
(D学校評価をより倍額性の高いものにするための評価システムが確立していること
・「自校評価(自己評価)と自校診断(外部評価)の有機的連携」(岐阜県)
・「学校経営品質の導入」(三重県)
・「人事評価と結び付けた学校評価や外部評価員制度の導入」(広島県)
→いずれの自治体の評価システムも、常に学校改善を指向し、学校経営に効果的に反映
させるような仕組みとして機能している
②授業評価が学校評価の中のひとつの柱として位置付けられつつあること
・大阪府では、平成15年度より学校評価とは別立てながら、既に授業評価が導入され
ている
・三重県や岐阜県でも、学校評価のひとつの柱として導入が進行している
→「授業評価が他の教職員(学年や教科の組織)に共有されて支援体制や教授組織の見
直しにつながっていくことによって、組織変容が惹起される1」点こそが重要
=学校評価の枠内・枠外に関わらず、授業評価への組織的取組や授業評価の学校評価へ
のフィードバックが重要
1木岡一明著『新しい学校評価と組織マネジメント』第一法規2003138貢
2
(2)今後の方向性と課題(今後の教育委員会の呆たすべき役割を2点に整理)
①ニュージーランドの教育機関評価局(EducationReviewO臨ce以下、EROと表記)が
行っている第三者評価相ミ大いに参考になり、日本においては、そのようなERO的な役
割をこ学校設置者である教育委員会が担うことが適切である可能性がある
学校間競争を意図して行う評価ではないこと ・EROの
回評価の主眼が、玉ROが導き出した評価結果及び勧告に対して個々の学
校がどれだけ学校改善を図ったかという点に置かれており、自己評価
を重視した評価であること
→今後、第三者評価もしくは第三者評価的な評価が導入されていくであろ
う流れの中で、教育の中立性を重視する日本にとって、こうした特徴
は受け入れられやすいと考えられる
◎日本において、 なぜ国ではなく、教育委員会が第三者評価的な評価を行
うべきか
画EROが導き出した評価結呆に対して、自ら責任を持ってフォローアッ
プを行うこと
→特にフォローアップについては、学校現場の実態を熟知している教育委
員会の方が、国に比べてはるかに機能的にその責任を呆たすことができ
ると考えられる
教育委員会=自己評価結果を基にした第三者評価的な評価を実施(成果チェックによる
Ⅱ 教育の質の保障)
学校=一定規模の予算の立案及び執行の権限(学校裁量予算の導入)
J
評価結果により、学校裁量予算の額が増減する枠組みを導入し、学校の自律性を重視す
る一方、学校改善がなされていない学校については、学校裁量予算が減少していくよう
な枠組みにしていくことも有効;・・学校改善を促す手段
・学校評価の中で、施設・設備面で改善が必要であるという意見が出てきても、現状の
学校予算枠内での改善が難しい現状
→教育委員会において「学校評価裁量予算枠」を設定し、学校評価結果に応じて予算
を優先的に配分していく枠組みを検討していくべき
②事務作業の簡素化に向けたコンピューターソフトの開発・導入など、教育委員会が積極
的に関与すること
→現在、岩手県、宮城県では、事務負担の軽減、集計結果の分析の効率化を図る目的で
「学校評価支援システム8」を試行、こうした取組は、大いに示唆的
2ここでは、学校と直接的に利害関係を持たない第三者が行う評価のことを指す。
a慶応義塾大学総合政策学部の金子都容教授の研究室が開発したインターネットを介する「学 校評価支援システム」(SQS)のことである。(btゆ:〟www.bⅦnkon.g$eC.keio.ae.jp)
3
3.高等学校における学校評価の在り方
(1)先進高等学校に学ぶ(調査した4高等学校の取組より得られた示唆的な事を3点に整理)
①学校評価を実施するために体系的な校内組織を整備し、組織的に学校改善に取り組んで
いくことの重要性
・大阪府立鳳高等学校(以下、鳳高校と表記)・・・鳳プロジェクト21
・大阪府立松原高等学校(以下、松原高校と表記)・・・学校自己診断委員会
・大阪府立吹田兼高等学校(以下、吹田兼高校と表記)・・・評価実施検討委貞会
・大阪府立大東高等学校(以下、大東高校と表記)・‥将来構想委貞会
→核になる組織を立ち上げ、それらの組織がイニシアティブを発揮しつつより多くの
教員が関わるような形で学校評価を実施、評価結果を組織的に学校改善に繋げている
例:表1-1 例:表1-1、表1-2
表1-1 大東高校の学校評価実施組織
校内 校外 日程
生徒 保護者 教職員 小中学生徒 小中学細見 地域
設問作成 各分掌 各分掌 事務局 各分掌 事務局 事務局 6~10月初旬
配布・実施・回収 各学年 pTA 各教科 事務局 事務局 事務局 10月下旬
データ処理 情報ネットワーク委員会(校内委員会の一組織) 11月
分析・活用 ・「大東高校を考える会」等において分析・討論 12~2月
・学校全体での分析・討論
・発表 ・今後の教育活動において有効活用
注:事務局とは、将来構想委貞会のことであり、「大東高校を考える会」とは、職員
会萬とは別に、全教貞が参加し、主に分科会形式で討論し合う会のことである
表1-2 大東高校の学校評価の成果の一例
②実施目的に合わせた分かり易い評価項目づくりや運用の重要性
③学校協議会(学校評義貞会)の有効活用
4
(2)今後の方向性と課題(A.高等学校において学校評価が果たすべき役割とB.学校評価
の定着・有効活用の鍵について言及)
A.①学校の特色を明示し、学校評価は、それらの有効性を検証するために、学校が自ら評
価を行い、また外部からも評価を受けながら、その方向性を決定・修正していく役割
②実施した学校評価の状況を、積極的に公開していくことで、中学生やその保護者たち
にとって、進学先の高等学校を選択していく上での情報源としての役割
B.①校長のリーダーシップによる学校改革の推進・教員文化の打破
「教育は教員の信念に基づき実施するものであり、生徒、保護者等の評価に影響され
るべきではないとする意見も学校現場に根強く残り、また、教員文化自体が保守的で
評価を嫌う傾向がある」という現実も学校現場には根強く、教員文化そのものが、一
連の教育改革を断行していく上での大きな抵抗勢力となっている
→校長の強力なリーダーシップこそ、最も有効な手立て
表1-3 校長のリーダーシップの分類
3つの観点 具体的な内容
学校経営マネジメント ・校長は、教職員のみならず生徒、保護者等の共通理解が得
られるような学校経営ビジョンを明確に示し、ビジョン実
現の方向へ組織全体を正確にリードしていくこと
組織改革マネジメント ・校長は、学校運営の効率化に向けて、学校行事や会議の精
選を図ったり、必要に応じて校務分掌組織を改編するな
ど、教職員に精神的、時間的ゆとりを生み出し、教職員が
意欲的に仕事を行う環境を整えていくこと
=従来の組織をスリム化したり、場合によっては、予算の制
約があるにせよ、可能な限りアウトソーシング4していく
手立てを考えていくことも必要
人材育成マネジメント ・一人ひとりの教職員の適性を把握し、適材適所による教職
員の能力開発を図ること
・学校経営の次代を担うミドルリーダー的な教員を養成する
.‰経営を応援してくれる外部の人材を育むこと ・加えて、校長自身が、教員評価においても、アセッサーと
しての役割が求められ、リーダーシップと同時にアセッサ
ーとしての能力を磨いていくこと
J
「人材育成マネジメント能力」が、リーダーシップの中でもとりわけ重要な要素にな
っていくと考えられる
4『朝日新聞』 2006年(平成18年)1月11日付記事によると、「ノJ、中高校で授業や補習、 進学指導などを予備校や進学塾に任せる“外注化’’が広がっている。東京都内の区立小中で
は、塾の先生が教える。高校ではさらに進み、関西でも大手予備校が大学進学向けの授業な
どに辞師を派遣している。」とし、アウトソーシングが進んでいる現状を示唆している。
6
◎校長の「人材育成マネジメント」能力開発を支援していく役割をどこが担うべきか
→文部科学省が、例えば、専門職大学院の整備、大学と教育委員会との連携等によ
るスクールリーダー養成においてイニシアティブを発揮し、学校現場や教育委員
会を積極的に支援することを、文部科学省の第四の役割として挙げたい
②校長が上記のようなリーダーシップを発挿し、(1)で述べた①体系的な校内組織の整
備、学校改善への組織的取組(診実施目的に合わせた分かり易い評価項目づくりや運用③
学校評義貞会の有効活用がなされた時、学校評価の定着、そして有効活用という大きな
課題の解決に近づいていく
4.今後の学校評価の在り方
図1-1 学校評価政策を通した3アクターの関係
学校評価の役寄り=①学校経営ビジョンの検証→学校改革へ結び付ける手段
②学校情報の発信→学校選択の情報源へ
・高等学校を中心にして、文部科学省や教育委員会が高等学校を支援していく体制
・教育委員会が、外部評価の実施によって高等学校の成果のチェックを行い、高等学校が
一定の結果責任を負う形で結び付いた関係
→今後、学校評価を推進し発展させていく上で、望ましい在り方であると考えられる ′
都道府県・政令指定都市教育委員会に対するアンケート調査の概要
..調査目的
・全国的な学校評価の現状を把握するとともに、各自治体の学校評価に対する具体的な取組
の様子やより効果的な学校評価の在り方を探っていく手掛かりとする。
先進的及び特色ある取組をしている自治体や高等学校をピックアップする。
L 2.調査対象及び回答率
調査対象は、全国都道府県・政令指定都市の教育委員会計61団体とし、最終的に、全体
で48団体(回答率78.7%)の回答が得られた。内訳は、都道府県教育委員会が47団体中
39団体(同83.0%)、政令指定都市教育委員会が14団体中9団体(岡64.3%)であった。
3.調査事項
質問1 平成16年度間の学校評価(自己評価・外部評価それぞれ)実施及び公表状況
質問2 学校評価制度実施に際しての自治体での準備開始時期
質問3 高等学校設置基準改正以前における自治体での学校評価導入状況
質問4 学校評価(自己評価・外部評価それぞれ)の実施に対する自治体の取組
価●外部評価それぞれ)の公表に対する自治体の醜 ・
質問7 所管学校における学校評価の評価項目、実施方法、実施回数、実施時期に関する自
治体の取組
質問8 学校管理規則における学校評価関連規定について
質問9 学校評価制度導入に際して、参考にした国・自治体・学校等
質間10 所管学校における学校評価の成果把握方牡
質問11学校評価の評価基準に客観性を持たせるための工夫
質問12 所管学校における学校評価結果の公表方法
質問13 学校評価の成具に対する考え
質問14 学校評価の課題に対する考え
質問15 学校評価に期待すること
質問川 現在の学校評価の具体的な問題点
質問17 先進的な取組や特色ある取組をしている所管学校
質問18 学校評価制度に関する自治体作成資料等
4.調査結果(本論に直接関係する部分を一部抜粋した)
質問1 平成16年度間の学校評価(自己評価・外部評価それぞれ)実施及び公表状況
自己評価実施率 95.7%(86.7%)
外部評価実施率 78.5%(55.9%)
注:()内は、平成15年度間実演を文部科学省HP「自己評価の実施状況(学
校種別)」の高等学校実施割合を転載した。
7
質問3 高等学校設置基準改正以前における自治体での学校評価導入状況
表1-1
回 答 項 目 自治槻 自 治 体 名
導入していた 9 那胤振棚、鵬県、錮県、三郎、大輔、広帥、大棚、京抑
(80.4%) 学校独自で導入 5 福井県、山梨県、京都府、島根県、仙台市
導入していなかった(69.6%) 32
合 計* 46
*無回答もしくは、調査していないと回答した自治体が2あった。
質問4、5 学校評価(自己評価・外部評価それぞれ)の実施・公表に対する自治体の取組
表1-2
学校評価の実施・公表に対する自治体の対応 自給臓
自己評価・外部評価ともに実施・公表を自治体が
義務付けている(「完全自治体主導型」) 20
自己評価・外部評価ともに実施・公表を各学校裁
量に任せている(「完全学校委任型」) 14
自己評価のみ実施・公表を義務付け、外部評価の
実施・公表は各学校裁量に任せている 10
(「自己評価自治体主導型」)
自己評価の実施・公表、外部評価の実施を義務付
け、外部評価の公表は各学校裁量に任せている 3
外部評価の実施のみ義務付け、その他は学校裁量に任せている 1
合 計 48
実施義務付け→33(68.8%)
学校裁量→15(31.3%)
*両者小数点第2位以下切り
上げたため、端数が出た
部評価
実施義務付け→24(50%)
学校裁量→24(60%)
質問6 外部評価の評価先(多い評価先を2つまで回答)
表1-3
回 答 項 目 1位回答 2位回答 合計
学校評義貞(類するものの含む) 19 19 38
保護者 23 19 42
地域住民 0 3 3
NPO 0 0 0
学識経験者によるチーム 0 1 1
コンサルタント会社 0 0 0
民間会社 0 0 0
その他(児童・生徒) 2 2 4
その他(地元中学校長) 1 0 1
合 計* 45 44 89
*未調査もしくは外部評価未実施という自治体が3あった。
8
質問7 所管学校が実施する学校評価の評価項目、実施方捷、実施回数、実施時期に対する
自治体の取組
表1-4
評価項目 実施方法 実施回数 実施時期
各高等学校の裁量に任せている自治体数 34(70.8%) 33(68.8%)
自治体主導で統一している自治体数 0(0%) 4(8.8%) 6(12.5%) 6(10.4%)
概ね自治体で統一している自治体数 13(27.1%) 8(16.7%) 8(16.7%) 10(20.8%)
合 計 48 48 48 48
削 「各高等学校の裁量に任せている」と回答のあった自治体のうち、4自治体で何らかの
共通領域や共通項目を設けていると回答があった。 当」
質問13 学校評価の成呆についての考え(成呆として考えられることを2つまで回答)
表1-5
回 答 項 目 1位回答 2位回答 合計
地域に開かれた特色ある学校づくりが推進された 8 8 16
保護者や地域住民からの学校への倍額度が増した 2 3 5
学校運営に保護者や地域住民の協力が得られやすくなった 1 1 2
教職員の意織改革が促され、学校経営にプラス効果が生まれた 9 10 19
学校長がリーダーシップをより発揮しやすくなった ● 1 3 4
次年度や次学期の学校改善につながった 16 12 27
生徒の意識改革につながった 0 0 0
その他(学校改善点・課題の明確化) 1 1 2
合 計* 38 38 76
*無回答もしくは、現段階で把握できていないと回答した自治体が10あった。(全体の弧8%)
質問14 学校評価の課題に対する考え(成果が上がっていないと考えられることを全て回答)
表1-6
回 答 項 目 自治体数
地域に開かれた特色ある学校づくりの推進 5
保護者や地域住民からの学校への信頼度 4
学校運営への保護者や地域住民の協力 8
教職員の意織改革の促進や学校経営へのプラス効呆 4
学校長のリーダーシップの発揮 3
次年度や次学期の学校改善 2
生徒の意識改革 16
その他(数値目標の設定基準等) 1
その他(課題なし) 5
合 計* 48
*無回答もしくは、現段階で把握できていないと回答した自治体が17あった。(全体の35.4%)
9
質問16 より効呆的な学校評価を目指しての改善点(改善点として考えられることを2つま
で回答)
表1-7
回 答 項 目 1位回答 2位回答 合計
年間の実施回数が少ない 0 3 3
自己評価のみで外部評価がなされていない 3 2 5
学校裁量に任せてあり各高等学校によって温度差がある 12 9 21
評価繚呆の未公表や公表方法 11 4 16
教職員の学校評価実施に対する意欲・関心が薄い 8 6 14
評価基準の不統一 0 6 6
その他(評価項目の設定) 1 0 1
その他(評価の活用) 1 0 1
その他(評価結呆をいかに改善に結び付けるか) 1 0 1
その他(個人情報となるべき内容や教員評価になるよう 1 0 1
な評価項目の設定)
その他(授業評価未実施) 0 1 1
合 計* 38 31 69
*無回答もしくは、現段階で把撞できていないと回答した自治体が10あった。(全体の20.8%)
4,アンケート分析結果
・全国的に見て、大阪府、京都府で平成10年度にそれぞれ学校評価を試行しているのが最
も早く、特に大阪府では、その時以来、継続した学校評価が実施されている。
・学校評価の実施・公表に対して、自治体の対応は大きく「完全自治体主導型」、「完全学校
重任型」「自己評価自治体主導型」の3つに分けられ、この分類から、自治体の学校評価に
対する姿勢が見えてくる。調査結果より、多くの自治体が、自治体主導で自己評価実施・
公表を義務付け、強いリーダーシップを発挿していることが分かった。また、外部評価に
関しては、自治体主導型と学校裁量型のほぼ半数という結果になった。
・大半の自治体が、外部評価の有力な評価先として保護者と学校評議員の2つを挙げており
現在のところ、この2つの評価先以外に大きな広がりを見せていない。
・学校評価の成果・課題について、多くの自治体で①地域に開かれた特色ある学校づくり②
教職員の意織改革による学校経営へのプラス効果③学校改善の3点について、何らかの成
呆を認めていることが分かった。反面、①学校運営への保護者や地域住民の協力②生徒の
意織改革の2点については、現在のところ成果が乏しいと考えていて、同時に、それらが
大きな課題となっていることが分かった。
・学校評価の改善点について、 一番回答数が多かった各学校の温度差について、今後、各自
治体がどのように改善していくのか注目されると同時に、自治体の政策(実施・公表の義
務付けや、具体的な運用等)がどのような方向へ向かっていくのか、注視する必要がある。
また、教職員の学校評価実施に対する意欲・関心が薄いという回答を示した自治体も多く
あり、今後、学校評価の実施にあたっては、学校現場から評価アレルギーを取り除き、教
職員の更なる意識改革を促していく必要があることが示唆されているといえる。
10
文部科学省に対する聞き取り調査の概要
1,調査目的
国の学校評価政策の現状や今後の方向性を伺うことで、自治体の学校評価行政の在り方や
学校現場でどのように対処していくべきかについて考えていく契機とする。
2.調査事項
(D学校評価実施調査について
質問1 学校評価実施調査の調査項目、今後の調査予定
質問2 学校評価実施調査の流れ
質問3 学校評価実施調査に関する特定自治体・学校への視察や調査の有無
②学校評価について
質問4 学校評価制度化に至る文部科学省の対応
質問5 地域の実情に応じた学校評価の現状に対する文部科学省の考え方
質問6 学校評価実施の数値目標
質問7 学校評価の基準と手引き(昭和26年文部省発行)の位置付け
質問8 学校評価制度化時における外部評価の位置付け
質問9 「自己評価の実施・公表の義務付け」、「外部評価の導入」に対する文部科学省の
考え方
質問10 大学における諷証評価と学校評価の関係
質問11外部評価の「外部」の概念に対する考え方
質問12 文部科学省の今後の学校評価政策の見通し
③その他
質問13 教員に対する人事考課制度導入についての文部科学省の考え方
3.調査結呆の概略
・平成16年度間学校評価実施調査については、過去2回の調査をベースに、調査項目を増
やして、より充実した調査を行う。
・文部科学省として、学校評価について最低限やらなければならない共通ガイドラインめ必
要性を感じており、今年度中にガイドラインの作成を行う。
・現在の自己評価の努力義務化を義務化する方向で、最終的に全ての初等中等教育段階の学
校で、学校自己評価が実施され、その結果が公表されるようになることを想定している。
・英国では教育水準局(0侶TED)が学校監査を実施しているように、我が国においても教
育の質について事後チェックを充実させるような方法を検討する必要がある。このように
第三者評価機関による全国的な外部評価の仕組みも含め、学校・地方自治体の取組の評価
を充実することについて、傾討中である。イギリス0岱TEDについても研究を行い、我が
国の学校評価システムを構築するにあたって、参考にできるところは参考にしたいと考え
ている。
11
5教育委員会に対する聞き取り調査の概要
1.調査目的
・アンケート調査の結呆を受けて、学校評価に対して先進的に取り組んできた、又は現在も
特色ある取組をしていると判断した岐阜県・三重県・京都府・大阪府・広島県の5自治体
を調査対象とし、それらの自治体の学校評価に対する取組を詳細に調査・分析することで、
示唆を得ると同時に、現在の学校評価が抱える課題や今後の学校評価制度の方向性を探る。
・同時に、学校評価政策上、どのように学校現場に対して主導力を発揮しているのかを把握
し、それらを比較検討することで、今後の自治体における学校評価政策の在り方を探る。
2.調査事項 注:自緋によって調査梱梢干異なっている場合もあるが、できる隈帽一することによって、比軸封しやすいようにした.
①学校評価制度導入以前について
質問1 学校評価制度導入以前の自治体の準備と各高等学校への指導・助言
質問2 学校評価制度導入以前の自治体独自の学校評価への取組
質問3 学校評価制度導入以前の自治体独自の学校評価実施に至る背景
②学校評価の実施・運用について
質問4 学校評価の具体的な運用に対する自治体の姿勢ならびに具体的な指導・助言
質問5 学校評価実施による学校現場への具体的な効果
質問6 学校評価実施における課題の分析と今後の方向性
質問7 学校評価の改善点に関する自治体の考え
質問8 外部評価の「外部評価者」に対する自治体の考え
質問9 学校評価に対する自治体独自の取組
質問10 他自治体との情報交換等
③その他
質問11学校評価を有効活用している又は効果を上げている高等学校の紹介
3.調査結果の概略等
・自治体の学校評価政策に対する姿勢の違いが明らかになった。今回の調査では、自治体が
かなり強い主導力を発押して、細かな評価項目まで規定しながら学校評価を推進している
岐阜県と、自治体として主導力を発揮しつつも、コアな部分では学校の自律性を重視して
いる他自治体の姿勢の違いが浮き彫りになった。当然ながら、教育委員会と学校現場とで
長年にわたって培ってきた関係があるので、どちらがよいとは一概には言えないが、今後、
他都道府県が学校評価を推進していく上で、両者のモデルが参考になるであろう。
・各自治体に共通しているのは、学校評価をより信頼性の高いものにするためのシステムが
構築されているということである。勿論、自治体によって成熟度に差はあるものの、例え
ば外部評価を自己評価と有機的に結び付けるシステムや学校経営品質の導入、学校協萬会
の有効的活用、教員人事評価制度と結び付けたシステム、外部評価委員制度が咳当し、こ
うした事例は、他自治体に示唆を与えるものと思われる。その一方、具体的な成異につい
ては、掴みかねている自治体が多く、今後、十分に検証していく必要があることを感じた。
12
4高等学校に対する聞き取り調査の概要
1.調査日的
・5府県教育委員会に対して聞き取り調査実施後、学校現場において学校評価を有効に活用
している事例が数多く、有益な情報が得られるであろうと判断した大阪府に対象を絞り、
学校現場で行なわれている学校評価の取組の様子や効果、課題等を、学校現場の目線から
伺うことにより、実際に学校評価を実施する上で、より具体的な効呆や課題を把握する。
・過去の実践事例や学校ホームページ等を参考にして、学校評価を有効活用してきた、また 現在も有効活用していると判断した鳳高校、松原高校、吹田東高校、大東高校の4校をピ
ックアップし、これらの高等学校では、どのようなビジョンの下、学校評価に取り組んで
いて、どのような成果を上げているのか、また、学校評価に取り組む上でどのように教育
委員会と連携を保っているのかを検討し、国、教育委員会、学校現場の関係の在り方を探
っていく契機とする。
2.調査事項
(》聞き取り調査対象高等学校について
質問1 高等学校の概要・特色ある取組
②学校教育自己診断制度導入について
質問2 学校教育自己診断制度導入時期
質問3 学校教育自己診断制度導入に至る準備時期、準備内容
質問4 学校教育自己診断制度導入に際しての教職眉・生徒等の反応
③学校数青白己診断、学校協議会の実施・運用について
質問5 学校教育自己診断の具体的な運用方法
質問6 学校協嶺会の具体的な運用方法
質問7 学校教育自己診断実施による具体的な効果
質問8 学校教育自己診断実施における課題、改善すべき点
質問9 学校教育自己診断に対する学校独自の取組
質問10 学校教育自己診断実施に対する教職員の受け止め方
質問11学校教育自己診断実施に対する生徒、保護者等への説明方法、受け止め方
④その他
質問12 学校評価全般に関する文部科学省、大阪府教育委員会に対する意見、要望等
3.調査結果の概略等
4高等学校の学校教育自己診断への取組の特徴を大きく捉えると、学校教育自己診断を利
用して、学校改善に対して組織的に取り組んでいること、評価項目や運用について、それ
ぞれ工夫した取組が見られること、学校協議会を有効に活用していることが挙げられる。
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