表1-2 マグネシウム地金の国内需給 -...
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308鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
1.需給動向
1-1.世界の需給動向
マグネシウムは、主に純マグネシウムを使用する合金成分添加や還元剤の需要と、粉・粒としての鉄鋼脱
硫材、触媒分野等への利用、マグネシウム合金を使用する構造材分野での需要がある。
添加材、還元剤用途としては、アルミ合金への主要成分としての添加剤やチタンやジルコニウム製造時の
還元剤がある。その他、触媒としての用途は医薬品や農薬、ポリ塩化ビニル等の製造用に金属マグネシウム、
水酸化マグネシウムや塩化マグネシウム等の化成品が使用されている。マグネシウムの還元性能を活かし、
マグネシウムの粉・粒が鉄鋼脱硫材として使用されている。
マグネシウムは実用の構造用金属では最も軽く、比強度、比剛性などが高いことから、マグネシウム合金
構造材としての利用はダイカストなどの鋳造材を主体に、自動車部品、二輪車部品、情報機器(ノート PC、デ
ジタルカメラ、携帯電話、ビデオカメラ等)、家電製品、鞄・スーツケースなどの部品等で使用されている。
世界の純マグネシウム生産量を表1-1、図1-1 に示す。2013 年の生産量は前年比113%の 973 千t であっ
た。純マグネシウムの主要生産国は中国、米国、ロシア、イスラエル等であり、2013 年は各国共に順調な生
産であった。
中国では主にドロマイト鉱石から熱還元法によりマグネシウムを生産している。米国やイスラエルでは塩湖
から塩化マグネシウムを採取し、電解法により生産を行っている。
その他に含まれるが、新規生産国として韓国で 2013 年に 9,000t、マレーシアでは 2012 年に 5,000t(初期生
産数量)が生産された。
2013 年時点で世界生産量の 82%を中国が占める。2004 年時点での中国比率は 69%であり、徐々に中国
の占有率が上昇している。中国依存度が高い鉱物としてマグネシウムは最たるものである。元々は中国以外
の国でも多く生産されていたが、価格面で中国企業に淘汰されてしまった。ユーザー側はマグネシウムの中
国依存に危機感を持ちつつも、今のところ価格を重視する姿勢に変化はない。
中国はマグネシウム価格をアルミ価格(180 円~200 円/kg)の 1.3~1.5 倍程度(234 円~300 円/kg)に設定
しているとされる。
中国では主にドロマイト鉱石から熱還元法によりマグネシウムを生産しているが、エネルギー消費が大き
いことや、環境問題等がある。ただし、中国でも青海省では電解法によるマグネシウム生産計画が進んでお
り、2~3年で生産・販売が開始する見込みである。現状1期工事が進行中で、年産能力は150 千t、水力発電
及び太陽光発電により電力を賄う。
マグネシウム生産分野においては、これまでのような中国への依存から脱却するため、豪州、ノルウェー、
カナダ、米国等においてマグネシウム製錬プロジェクトが計画されている。
豪州では 5,000t/年のパイロットプラントの建設が進んでいる。
ノルウェーでは 2018 年の稼働を目指した SilMg 社による 65,000t/年の製錬計画があるが、国際マグネシウ
ム会議の発表によれば、同プロジェクトはまだ資金集めの段階である。
カナダでも2017年の稼働を目指したAlliance Mg社による50,000t/年の製錬計画が開始しているが、国際マ
グネシウム会議の発表によれば、同プロジェクトは計画段階である。
米国では Department of Energy (以下 DOE)による海水を原料とした省エネマグネシウム製錬法の研究開
発が開始されている。上記新規製錬所からの生産が本格化するのは 2~3 年後の見込みであるが、最大でも
1 か所あたり数万 t/年規模の生産能力であり、世界の生産量に与えるインパクトはそれほど大きくないとみら
れる。
なお、これら新規の製錬所から販売されるマグネシウム価格は、中国と同等レベルの販売価格でなければ
競争は難しいだろう。
表 1-1 世界の純マグネシウム生産量
単位:純分千t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
中国 450 470 490 627 559 501 654 661 698 800 115% 82%米国※ 43 43 43 43 50 45 45 50 55 60 109% 6%ロシア 45 45 50 37 37 37 40 37 29 30 103% 3%
イスラエル 33 28 28 25 35 29 30 30 27 28 104% 3%カザフスタン 14 20 20 21 21 21 20 21 21 21 100% 2%ブラジル 11 6 6 18 15 16 16 16 16 16 100% 2%
その他 59 58 53 21 5 4 4 6 12 18 150% 2%
合計 655 670 690 792 722 653 809 821 858 973 113% 100%
出典:U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries Magnesium※米国の数値は推計。
0
200
400
600
800
1000
1200
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分千t)その他
ブラジル
カザフスタン
イスラエル
ロシア
米国
中国
図 1-1 世界の純マグネシウム生産量
CM Group 社の推計によれば、2013 年の世界マグネシウム地金需要は前年比111%の 792 千 t であった。
世界のマグネシウム地金需要のうち、44%を中国が占める。その他欧州が21%、米国が18%、日本が5%で
あり、その他の国・地域が 11%を占める。
中国での使用量増加は特定分野というより、アルミ合金、ダイカスト、鉄鋼脱硫、金属製錬等、全ての分野
で増加したためである。中国以外の国・地域の需要に関してはリーマン前の水準への回復途上にある。
マグネシウムの主な需要先はアルミ合金が 33%、ダイカスト(自動車)が 27%、鉄鋼脱硫が 15%、ダイカス
ト(その他)が 6%、金属製錬が 8%、その他が 13%である。2013 年はアルミ合金を除き、全用途での需要量
が伸びた。
今後の需要の伸びが期待されているものに自動車向けダイカスト製品がある。パワートレイン系(動力源か
らギア、シャフトなどを介して末端部分に動力を伝える機構)のマグネシウム化により軽量化が実現でき、燃
費向上に大きく寄与するとされている。
日本においては、日本マグネシウム協会を中心としてダイカストメーカー、自動車メーカーが参加した自動
車部品のマグネシウム化に関する検討会を開催しており、最近はそれらの活動を活発的に行っている。ただ
し、日本では鉄鋼技術が優秀なため、既存の鉄系材料の改良で軽量化を実現している面がある。
1-2.国内の需給動向
マグネシウムの国内需給を表1-2、図1-2に示す。また、合金添加材及び構造材料の用途別需要を図1-3、
図 1-4 に示す。
2013年のマグネシウム国内供給量は前年比88%の33,227t、需要量は前年比95%の36,263t と需要量・供
給量共に減少した。
添加剤等には主に純マグネシウまたはマグネシウム粉が使用され、構造材料にはマグネシウム合金が使
用される。ただし、マグネ射出成型品はマグネシウム合金粉が使用されている。
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 308 2015/03/18 13:32:12
309 鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
1.需給動向
1-1.世界の需給動向
マグネシウムは、主に純マグネシウムを使用する合金成分添加や還元剤の需要と、粉・粒としての鉄鋼脱
硫材、触媒分野等への利用、マグネシウム合金を使用する構造材分野での需要がある。
添加材、還元剤用途としては、アルミ合金への主要成分としての添加剤やチタンやジルコニウム製造時の
還元剤がある。その他、触媒としての用途は医薬品や農薬、ポリ塩化ビニル等の製造用に金属マグネシウム、
水酸化マグネシウムや塩化マグネシウム等の化成品が使用されている。マグネシウムの還元性能を活かし、
マグネシウムの粉・粒が鉄鋼脱硫材として使用されている。
マグネシウムは実用の構造用金属では最も軽く、比強度、比剛性などが高いことから、マグネシウム合金
構造材としての利用はダイカストなどの鋳造材を主体に、自動車部品、二輪車部品、情報機器(ノート PC、デ
ジタルカメラ、携帯電話、ビデオカメラ等)、家電製品、鞄・スーツケースなどの部品等で使用されている。
世界の純マグネシウム生産量を表1-1、図1-1 に示す。2013 年の生産量は前年比113%の 973 千t であっ
た。純マグネシウムの主要生産国は中国、米国、ロシア、イスラエル等であり、2013 年は各国共に順調な生
産であった。
中国では主にドロマイト鉱石から熱還元法によりマグネシウムを生産している。米国やイスラエルでは塩湖
から塩化マグネシウムを採取し、電解法により生産を行っている。
その他に含まれるが、新規生産国として韓国で 2013 年に 9,000t、マレーシアでは 2012 年に 5,000t(初期生
産数量)が生産された。
2013 年時点で世界生産量の 82%を中国が占める。2004 年時点での中国比率は 69%であり、徐々に中国
の占有率が上昇している。中国依存度が高い鉱物としてマグネシウムは最たるものである。元々は中国以外
の国でも多く生産されていたが、価格面で中国企業に淘汰されてしまった。ユーザー側はマグネシウムの中
国依存に危機感を持ちつつも、今のところ価格を重視する姿勢に変化はない。
中国はマグネシウム価格をアルミ価格(180 円~200 円/kg)の 1.3~1.5 倍程度(234 円~300 円/kg)に設定
しているとされる。
中国では主にドロマイト鉱石から熱還元法によりマグネシウムを生産しているが、エネルギー消費が大き
いことや、環境問題等がある。ただし、中国でも青海省では電解法によるマグネシウム生産計画が進んでお
り、2~3年で生産・販売が開始する見込みである。現状1期工事が進行中で、年産能力は150 千t、水力発電
及び太陽光発電により電力を賄う。
マグネシウム生産分野においては、これまでのような中国への依存から脱却するため、豪州、ノルウェー、
カナダ、米国等においてマグネシウム製錬プロジェクトが計画されている。
豪州では 5,000t/年のパイロットプラントの建設が進んでいる。
ノルウェーでは 2018 年の稼働を目指した SilMg 社による 65,000t/年の製錬計画があるが、国際マグネシウ
ム会議の発表によれば、同プロジェクトはまだ資金集めの段階である。
カナダでも2017年の稼働を目指したAlliance Mg社による50,000t/年の製錬計画が開始しているが、国際マ
グネシウム会議の発表によれば、同プロジェクトは計画段階である。
米国では Department of Energy (以下 DOE)による海水を原料とした省エネマグネシウム製錬法の研究開
発が開始されている。上記新規製錬所からの生産が本格化するのは 2~3 年後の見込みであるが、最大でも
1 か所あたり数万 t/年規模の生産能力であり、世界の生産量に与えるインパクトはそれほど大きくないとみら
れる。
なお、これら新規の製錬所から販売されるマグネシウム価格は、中国と同等レベルの販売価格でなければ
競争は難しいだろう。
表 1-1 世界の純マグネシウム生産量
単位:純分千t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
中国 450 470 490 627 559 501 654 661 698 800 115% 82%米国※ 43 43 43 43 50 45 45 50 55 60 109% 6%ロシア 45 45 50 37 37 37 40 37 29 30 103% 3%
イスラエル 33 28 28 25 35 29 30 30 27 28 104% 3%カザフスタン 14 20 20 21 21 21 20 21 21 21 100% 2%ブラジル 11 6 6 18 15 16 16 16 16 16 100% 2%
その他 59 58 53 21 5 4 4 6 12 18 150% 2%
合計 655 670 690 792 722 653 809 821 858 973 113% 100%
出典:U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries Magnesium※米国の数値は推計。
0
200
400
600
800
1000
1200
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分千t)その他
ブラジル
カザフスタン
イスラエル
ロシア
米国
中国
図 1-1 世界の純マグネシウム生産量
CM Group 社の推計によれば、2013 年の世界マグネシウム地金需要は前年比111%の 792 千 t であった。
世界のマグネシウム地金需要のうち、44%を中国が占める。その他欧州が21%、米国が18%、日本が5%で
あり、その他の国・地域が 11%を占める。
中国での使用量増加は特定分野というより、アルミ合金、ダイカスト、鉄鋼脱硫、金属製錬等、全ての分野
で増加したためである。中国以外の国・地域の需要に関してはリーマン前の水準への回復途上にある。
マグネシウムの主な需要先はアルミ合金が 33%、ダイカスト(自動車)が 27%、鉄鋼脱硫が 15%、ダイカス
ト(その他)が 6%、金属製錬が 8%、その他が 13%である。2013 年はアルミ合金を除き、全用途での需要量
が伸びた。
今後の需要の伸びが期待されているものに自動車向けダイカスト製品がある。パワートレイン系(動力源か
らギア、シャフトなどを介して末端部分に動力を伝える機構)のマグネシウム化により軽量化が実現でき、燃
費向上に大きく寄与するとされている。
日本においては、日本マグネシウム協会を中心としてダイカストメーカー、自動車メーカーが参加した自動
車部品のマグネシウム化に関する検討会を開催しており、最近はそれらの活動を活発的に行っている。ただ
し、日本では鉄鋼技術が優秀なため、既存の鉄系材料の改良で軽量化を実現している面がある。
1-2.国内の需給動向
マグネシウムの国内需給を表1-2、図1-2に示す。また、合金添加材及び構造材料の用途別需要を図1-3、
図 1-4 に示す。
2013年のマグネシウム国内供給量は前年比88%の33,227t、需要量は前年比95%の36,263t と需要量・供
給量共に減少した。
添加剤等には主に純マグネシウまたはマグネシウム粉が使用され、構造材料にはマグネシウム合金が使
用される。ただし、マグネ射出成型品はマグネシウム合金粉が使用されている。
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310鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
表 1-2 マグネシウム地金の国内需給 単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比
52,815 47,121 49,500 48,274 44,869 27,880 39,688 41,241 37,632 33,227 88%
52,815 47,121 49,500 48,274 44,869 27,880 39,688 41,241 37,632 33,227 88%
アルミ合金添加 19,128 18,312 18,694 20,237 20,124 17,552 20,185 19,616 19,485 18,800 96%鉄鋼脱硫剤 7,384 9,922 9,041 9,048 7,859 4,075 5,814 6,124 4,140 3,950 95%鋳鉄添加剤 2,545 1,534 2,548 2,526 2,352 2,238 2,358 2,306 2,327 2,340 101%非鉄金属精錬添加剤 539 420 525 584 724 600 400 1,193 740 60 8%
化学・触媒 - - - - - - - - 1,860 1,800 97%
小計 29,596 30,188 30,808 32,395 31,059 24,465 28,757 29,239 28,552 26,950 94%
ダイカスト 9,334 9,633 9,930 9,640 7,684 5,493 6,878 5,742 6,379 5,800 91%鋳物 97 80 95 109 92 120 76 92 55 70 127%マグネ射出成型 1,562 1,565 1,261 1,030 587 328 168 220 400 300 75%展伸材 - - - - - - - - 584 760 130%
その他合金 1,091 1,051 1,091 1,116 905 342 1,165 1,104 800 1,030 129%
小計 12,084 12,329 12,377 11,895 9,268 6,283 8,287 7,158 8,218 7,960 97%
4,093 3,066 2,823 2,286 1,795 1,241 897 1,340 606 620 102%
45,773 45,583 46,008 46,576 42,122 31,989 37,941 37,737 37,376 35,530 95%
2,405 878 1,164 979 923 530 1,805 2,375 787 733 93%
48,178 46,461 47,172 47,555 43,045 32,519 39,746 40,112 38,163 36,263 95%
4,638 660 2,328 719 1,824 -4,639 -58 1,129 -532 -3,036 571%
出典:1)財務省貿易統計、
2) 日本マグネシウム協会 「国内マグネシウム2013年需要実績/2014年需要予測」
純分換算率:マグネシウム合金90%、その他100%
※供給-需要は新地金のみを対象とするもので再生マグネシウム、工程内のリサイクル量は含まれていない。
※構造材のダイカストにおいては50~80%の工程内くずが発生し、これらのくずは製造工程内でリサイクルされている。
その他製品による。
小計
輸出(素材・製品)1)
合計
供給-需要※
※素材は純マグネシウム、超高純度マグネシウム、マグネシウム合金、高合金マグネシウム、マグネシウム粉、くず、製品はマグネシウム
需要
内需2
)
添加剤等
構造材料
粉・その他(防食・その他)
供給
輸入(素材・製品)1)
合計
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t) 供給
需要
図 1-2 マグネシウム地金の国内需給
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)
アルミ合金添加
鉄鋼脱硫剤
鋳鉄添加剤
化学・触媒
非鉄金属精錬添加剤
図 1-3 添加剤・還元剤などの用途別需要
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)
ダイカスト
その他合金
展伸材
マグネ射出成型
鋳物
図 1-4 構造材料の用途別需要
(1)アルミ合金添加
マグネシウム需要(内需)の53%を占めるアルミ合金添加はアルミ合金生産・需要の動きに連動し、2013 年
の需要量は前年比96%の 18,800t と減少した。過去10 年でも需要は減少傾向が継続している。
アルミ合金の主要用途は日本ではアルミサッシ、アルミ缶等の需要が大きい。その他自動車パネルへの需
要もある。
2014年は同用途での需要増加が見込まれる。なお、マグネシウムが多く添加されているアルミ合金は3000
系や 5000 系等である。
(2)ダイカスト
二番目の需要先であるダイカスト向けの 2013 年需要は前年比 91%の 5,800t と減少した。主要用途の自動
車生産が 2013 年は減少したことが影響した。
(3)鉄鋼脱硫剤
三番目の需要先である鉄鋼脱硫剤向けの 2013 年の需要量は前年比 95%の 3,950t と減少した。同用途で
は統計方法が変化しているため、表上では過去 10 年で数字が大きく変化しているが、概ね 4,000t~6,000t の
需要量で推移している。
脱硫剤においては、マグネシウムの代わりに安価な生石灰、石灰石、ドロマイト等が使用されるケースもあ
り、今後、同用途でのマグネシウム需要が減少する可能性もある。
(4)鋳鉄添加剤、その他
四番目の需要先である鋳鉄添加剤はノジュラー鋳鉄向けであり、2013年の需要量は前年比101%の2,340t
であった。ノジュラー鋳鉄は大口径水道管、自動車等の鋳鉄部品で使用されており、毎年安定して推移してい
る。
非鉄金属製錬添加は主にチタン製錬で用いられるものであり、チタンの生産減少の影響により、2013 年は
前年比8%の 60t と大幅減となった。
化学触媒用途は前年比 97%の 1,800t と減少した。主に化学反応用のグリニアル試薬用途である。2013 年
は減少したものの、比較的安定して推移している。
鋳物向けは主には航空機向け(主にヘリコプター)であり、試作品や特注品向け需要が多い。2013 年の需
要量は前年比127%の 70t と需要量が回復した。
マグネ射出合金は、ノート PC、一眼レフカメラやスマホ構造部品向けで使用される。マグネ射出合金は家
電等の分野における海外メーカーの台頭と、日系メーカーの海外生産移転に伴い、国内での需要量が減少し
ている。2013 年も前年比75%の 300t と減少した。
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 310 2015/03/18 13:32:13
311 鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
表 1-2 マグネシウム地金の国内需給 単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比
52,815 47,121 49,500 48,274 44,869 27,880 39,688 41,241 37,632 33,227 88%
52,815 47,121 49,500 48,274 44,869 27,880 39,688 41,241 37,632 33,227 88%
アルミ合金添加 19,128 18,312 18,694 20,237 20,124 17,552 20,185 19,616 19,485 18,800 96%鉄鋼脱硫剤 7,384 9,922 9,041 9,048 7,859 4,075 5,814 6,124 4,140 3,950 95%鋳鉄添加剤 2,545 1,534 2,548 2,526 2,352 2,238 2,358 2,306 2,327 2,340 101%非鉄金属精錬添加剤 539 420 525 584 724 600 400 1,193 740 60 8%
化学・触媒 - - - - - - - - 1,860 1,800 97%
小計 29,596 30,188 30,808 32,395 31,059 24,465 28,757 29,239 28,552 26,950 94%
ダイカスト 9,334 9,633 9,930 9,640 7,684 5,493 6,878 5,742 6,379 5,800 91%鋳物 97 80 95 109 92 120 76 92 55 70 127%マグネ射出成型 1,562 1,565 1,261 1,030 587 328 168 220 400 300 75%展伸材 - - - - - - - - 584 760 130%
その他合金 1,091 1,051 1,091 1,116 905 342 1,165 1,104 800 1,030 129%
小計 12,084 12,329 12,377 11,895 9,268 6,283 8,287 7,158 8,218 7,960 97%
4,093 3,066 2,823 2,286 1,795 1,241 897 1,340 606 620 102%
45,773 45,583 46,008 46,576 42,122 31,989 37,941 37,737 37,376 35,530 95%
2,405 878 1,164 979 923 530 1,805 2,375 787 733 93%
48,178 46,461 47,172 47,555 43,045 32,519 39,746 40,112 38,163 36,263 95%
4,638 660 2,328 719 1,824 -4,639 -58 1,129 -532 -3,036 571%
出典:1)財務省貿易統計、
2) 日本マグネシウム協会 「国内マグネシウム2013年需要実績/2014年需要予測」
純分換算率:マグネシウム合金90%、その他100%
※供給-需要は新地金のみを対象とするもので再生マグネシウム、工程内のリサイクル量は含まれていない。
※構造材のダイカストにおいては50~80%の工程内くずが発生し、これらのくずは製造工程内でリサイクルされている。
その他製品による。
小計
輸出(素材・製品)1)
合計
供給-需要※
※素材は純マグネシウム、超高純度マグネシウム、マグネシウム合金、高合金マグネシウム、マグネシウム粉、くず、製品はマグネシウム
需要
内需2
)
添加剤等
構造材料
粉・その他(防食・その他)
供給
輸入(素材・製品)1)
合計
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t) 供給
需要
図 1-2 マグネシウム地金の国内需給
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)
アルミ合金添加
鉄鋼脱硫剤
鋳鉄添加剤
化学・触媒
非鉄金属精錬添加剤
図 1-3 添加剤・還元剤などの用途別需要
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)
ダイカスト
その他合金
展伸材
マグネ射出成型
鋳物
図 1-4 構造材料の用途別需要
(1)アルミ合金添加
マグネシウム需要(内需)の53%を占めるアルミ合金添加はアルミ合金生産・需要の動きに連動し、2013 年
の需要量は前年比96%の 18,800t と減少した。過去10 年でも需要は減少傾向が継続している。
アルミ合金の主要用途は日本ではアルミサッシ、アルミ缶等の需要が大きい。その他自動車パネルへの需
要もある。
2014年は同用途での需要増加が見込まれる。なお、マグネシウムが多く添加されているアルミ合金は3000
系や 5000 系等である。
(2)ダイカスト
二番目の需要先であるダイカスト向けの 2013 年需要は前年比 91%の 5,800t と減少した。主要用途の自動
車生産が 2013 年は減少したことが影響した。
(3)鉄鋼脱硫剤
三番目の需要先である鉄鋼脱硫剤向けの 2013 年の需要量は前年比 95%の 3,950t と減少した。同用途で
は統計方法が変化しているため、表上では過去 10 年で数字が大きく変化しているが、概ね 4,000t~6,000t の
需要量で推移している。
脱硫剤においては、マグネシウムの代わりに安価な生石灰、石灰石、ドロマイト等が使用されるケースもあ
り、今後、同用途でのマグネシウム需要が減少する可能性もある。
(4)鋳鉄添加剤、その他
四番目の需要先である鋳鉄添加剤はノジュラー鋳鉄向けであり、2013年の需要量は前年比101%の2,340t
であった。ノジュラー鋳鉄は大口径水道管、自動車等の鋳鉄部品で使用されており、毎年安定して推移してい
る。
非鉄金属製錬添加は主にチタン製錬で用いられるものであり、チタンの生産減少の影響により、2013 年は
前年比8%の 60t と大幅減となった。
化学触媒用途は前年比 97%の 1,800t と減少した。主に化学反応用のグリニアル試薬用途である。2013 年
は減少したものの、比較的安定して推移している。
鋳物向けは主には航空機向け(主にヘリコプター)であり、試作品や特注品向け需要が多い。2013 年の需
要量は前年比127%の 70t と需要量が回復した。
マグネ射出合金は、ノート PC、一眼レフカメラやスマホ構造部品向けで使用される。マグネ射出合金は家
電等の分野における海外メーカーの台頭と、日系メーカーの海外生産移転に伴い、国内での需要量が減少し
ている。2013 年も前年比75%の 300t と減少した。
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 311 2015/03/18 13:32:13
312鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
展伸材は押出しや圧延、鋳造で製造される製品で、家電分野、音響機器部品、レース用のホイール等で用
いられており、2013 年は前年比130%の 760t と好調に需要が伸長しており、今後も需要の増加に期待が持て
る。新規需要では鉄道車両等での採用が期待されており、実現すれば需要量の増加が見込まれる。
その他合金や防食・その他用途では前年比で増加した。
2.輸出入動向
2-1.輸出入動向
マグネシウムの輸出入数量を表2-1、図2-1、図2-2に示す。2013年のマグネシウム輸入量は前年比88%
の 33,227t、輸出量は前年比93%の 733t であった。
輸入に関して、国内需要の減少の影響を受け、製品以外の全品目で前年比減となった。
輸出に関して、2013 年のくずの輸出が大幅に増加している要因は、日本で処理が難しい合金等のくずが輸
出されたためである。
表 2-1 マグネシウム輸出入数量
単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比
輸入 29,958 23,964 26,257 26,897 25,462 18,352 25,367 27,252 23,800 22,002 92%輸出 16 6 294 51 74 40 13 27 1 1 107%輸入 15 10 23 3 674 11 - 0 1 1 75%輸出 - - - - - - - - - - -輸入 10,854 10,328 11,603 10,689 8,853 4,746 7,725 7,054 7,444 5,544 74%輸出 267 350 646 728 735 474 1,749 2,300 576 295 51%輸入 97 77 69 70 884 45 48 28 33 88 266%輸出 - - - - - - - - - - -輸入 9,884 12,072 10,891 9,808 8,181 4,075 5,734 5,884 5,295 4,570 86%輸出 2,065 465 129 64 63 4 7 5 6 8 132%輸入 1,620 458 372 411 394 310 412 578 517 232 45%
輸出 23 40 24 106 21 1 24 4 185 390 211%
輸入 52,428 46,910 49,214 47,878 44,448 27,538 39,287 40,796 37,091 32,436 87%輸出 2,371 860 1,093 949 893 519 1,793 2,336 769 694 90%
輸入-輸出 50,057 46,049 48,121 46,930 43,556 27,019 37,494 38,460 36,322 31,742 87%輸入 387 211 286 396 421 341 401 445 541 791 146%輸出 34 17 71 30 31 11 12 39 19 39 208%
輸入-輸出 354 194 215 366 390 331 389 406 522 752 144%
輸入 52,815 47,121 49,500 48,274 44,869 27,880 39,688 41,241 37,632 33,227 88%輸出 2,405 878 1,164 979 923 530 1,805 2,375 787 733 93%
輸入-輸出 50,411 46,243 48,336 47,295 43,946 27,350 37,883 38,866 36,844 32,494 88%出典:財務省貿易統計
純分換算率:マグネシウム合金90%、その他100%
マグネシウムその他製品による。
純マグネシウム
超高純度マグネシウム
小計
素材
製品
マグネシウムその他製品
合計
※素材は純マグネシウム、超高純度マグネシウム、マグネシウム合金、高合金マグネシウム、マグネシウム粉、くず、製品は
マグネシウム合金
高合金マグネシウム
マグネシウム粉
くず
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)
超高純度マグネシウム
高合金マグネシウム
くず
マグネシウムその他製品
マグネシウム粉
マグネシウム合金
純マグネシウム
図 2-1 マグネシウム輸入数量
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)
純マグネシウム
マグネシウム粉
マグネシウムその他製品
マグネシウム合金
くず
図 2-2 マグネシウム輸出数量
2-2.輸出入相手国
2-2-1.純マグネシウム
純マグネシウムの輸入相手国を表 2-2、図 2-3 に示す。2013 年の純マグネシウム輸入相手国は、中国、ロ
シア、イスラエル、マレーシア等であり、輸入量のうち 98%を中国が占めている。
2013 年の純マグネシウムの全体輸入量が減少している一方、ロシアからの輸入量が増加(2011 年レベル
に回復)している。
表 2-2 純マグネシウムの輸入相手国
単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
中国 28,507 22,707 24,627 26,296 24,286 17,977 25,124 26,686 22,907 21,501 94% 98%ロシア 20 - 40 20 1,023 355 223 242 141 241 171% 1%イスラエル 6 - 61 30 59 20 20 207 258 198 77% 1%マレーシア - - - - - - - 77 495 62 13% 0%
その他 1,426 1,258 1,529 551 94 - - 40 - - - -
合計 29,958 23,964 26,257 26,897 25,462 18,352 25,367 27,252 23,800 22,002 92% 100%
出典:財務省貿易統計純分換算率:純マグネシウム100%
輸入
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)その他
マレーシア
イスラエル
ロシア
中国
図 2-3 純マグネシウムの輸入相手国
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 312 2015/03/18 13:32:13
313 鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
展伸材は押出しや圧延、鋳造で製造される製品で、家電分野、音響機器部品、レース用のホイール等で用
いられており、2013 年は前年比130%の 760t と好調に需要が伸長しており、今後も需要の増加に期待が持て
る。新規需要では鉄道車両等での採用が期待されており、実現すれば需要量の増加が見込まれる。
その他合金や防食・その他用途では前年比で増加した。
2.輸出入動向
2-1.輸出入動向
マグネシウムの輸出入数量を表2-1、図2-1、図2-2に示す。2013年のマグネシウム輸入量は前年比88%
の 33,227t、輸出量は前年比93%の 733t であった。
輸入に関して、国内需要の減少の影響を受け、製品以外の全品目で前年比減となった。
輸出に関して、2013 年のくずの輸出が大幅に増加している要因は、日本で処理が難しい合金等のくずが輸
出されたためである。
表 2-1 マグネシウム輸出入数量
単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比
輸入 29,958 23,964 26,257 26,897 25,462 18,352 25,367 27,252 23,800 22,002 92%輸出 16 6 294 51 74 40 13 27 1 1 107%輸入 15 10 23 3 674 11 - 0 1 1 75%輸出 - - - - - - - - - - -輸入 10,854 10,328 11,603 10,689 8,853 4,746 7,725 7,054 7,444 5,544 74%輸出 267 350 646 728 735 474 1,749 2,300 576 295 51%輸入 97 77 69 70 884 45 48 28 33 88 266%輸出 - - - - - - - - - - -輸入 9,884 12,072 10,891 9,808 8,181 4,075 5,734 5,884 5,295 4,570 86%輸出 2,065 465 129 64 63 4 7 5 6 8 132%輸入 1,620 458 372 411 394 310 412 578 517 232 45%
輸出 23 40 24 106 21 1 24 4 185 390 211%
輸入 52,428 46,910 49,214 47,878 44,448 27,538 39,287 40,796 37,091 32,436 87%輸出 2,371 860 1,093 949 893 519 1,793 2,336 769 694 90%
輸入-輸出 50,057 46,049 48,121 46,930 43,556 27,019 37,494 38,460 36,322 31,742 87%輸入 387 211 286 396 421 341 401 445 541 791 146%輸出 34 17 71 30 31 11 12 39 19 39 208%
輸入-輸出 354 194 215 366 390 331 389 406 522 752 144%
輸入 52,815 47,121 49,500 48,274 44,869 27,880 39,688 41,241 37,632 33,227 88%輸出 2,405 878 1,164 979 923 530 1,805 2,375 787 733 93%
輸入-輸出 50,411 46,243 48,336 47,295 43,946 27,350 37,883 38,866 36,844 32,494 88%出典:財務省貿易統計
純分換算率:マグネシウム合金90%、その他100%
マグネシウムその他製品による。
純マグネシウム
超高純度マグネシウム
小計
素材
製品
マグネシウムその他製品
合計
※素材は純マグネシウム、超高純度マグネシウム、マグネシウム合金、高合金マグネシウム、マグネシウム粉、くず、製品は
マグネシウム合金
高合金マグネシウム
マグネシウム粉
くず
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)
超高純度マグネシウム
高合金マグネシウム
くず
マグネシウムその他製品
マグネシウム粉
マグネシウム合金
純マグネシウム
図 2-1 マグネシウム輸入数量
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)
純マグネシウム
マグネシウム粉
マグネシウムその他製品
マグネシウム合金
くず
図 2-2 マグネシウム輸出数量
2-2.輸出入相手国
2-2-1.純マグネシウム
純マグネシウムの輸入相手国を表 2-2、図 2-3 に示す。2013 年の純マグネシウム輸入相手国は、中国、ロ
シア、イスラエル、マレーシア等であり、輸入量のうち 98%を中国が占めている。
2013 年の純マグネシウムの全体輸入量が減少している一方、ロシアからの輸入量が増加(2011 年レベル
に回復)している。
表 2-2 純マグネシウムの輸入相手国
単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
中国 28,507 22,707 24,627 26,296 24,286 17,977 25,124 26,686 22,907 21,501 94% 98%ロシア 20 - 40 20 1,023 355 223 242 141 241 171% 1%イスラエル 6 - 61 30 59 20 20 207 258 198 77% 1%マレーシア - - - - - - - 77 495 62 13% 0%
その他 1,426 1,258 1,529 551 94 - - 40 - - - -
合計 29,958 23,964 26,257 26,897 25,462 18,352 25,367 27,252 23,800 22,002 92% 100%
出典:財務省貿易統計純分換算率:純マグネシウム100%
輸入
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t)その他
マレーシア
イスラエル
ロシア
中国
図 2-3 純マグネシウムの輸入相手国
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 313 2015/03/18 13:32:13
314鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
2-2-2.マグネシウム合金
マグネシウム合金の輸出入相手国を表2-3、図2-4、図2-5 に示す。
2013 年のマグネシウム合金地金の輸入相手国は、中国、イスラエル、タイであり、中国が 91%を占める。
また、2013 年イスラエルからの輸入が減少している。タイからの輸入は、リサイクル材である。
2013年のマグネシウム合金地金の輸出相手国は、台湾、ベルギー、ブラジル等であり、台湾が79%を占め
る。
表 2-3 マグネシウム合金地金の輸出入相手国
単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
中国 9,851 9,614 10,783 10,274 8,814 4,746 7,721 7,033 6,921 5,044 73% 91%イスラエル - 2 23 - - - 4 2 437 345 79% 6%タイ - - - - - - - 1 86 156 182% 3%
その他 1,003 712 797 416 40 0 0 18 - - - -
合計 10,854 10,328 11,603 10,689 8,853 4,746 7,725 7,054 7,444 5,544 74% 100%
台湾 241 340 250 196 317 201 177 294 348 233 67% 79%ベルギー - - - - - - 0 - - 21 - 7%ブラジル - - - - - - 17 904 - 21 - 7%米国 0 - 334 452 385 197 1,374 900 210 18 9% 6%
その他 26 9 61 81 33 76 198 1,106 19 0 0% 0%
合計 267 350 646 728 735 474 1,767 3,204 576 295 51% 100%
出典:財務省貿易統計
純分換算率:マグネシウム合金50%
輸入
輸出
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t) その他
タイ
イスラエル
中国
図 2-4 マグネシウム合金地金の輸入相手国
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t) その他
米国
ブラジル
ベルギー
台湾
図 2-5 マグネシウム合金地金の輸出相手国
2-2-3.マグネシウムくず
マグネシウムくずの輸入相手国を表2-4及び図2-6に示す。2013年のマグネシウムくずの主要輸入相手国
は台湾、中国である。
表 2-4 マグネシウムくずの輸入相手国
単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
台湾 999 327 287 241 335 255 188 358 437 186 43% 80%中国 600 49 - - 28 - 20 20 40 40 100% 17%ベトナム - - - - - - 157 189 17 - - -
その他 20 81 84 170 31 55 47 11 23 5 24% 2%
合計 1,620 458 372 411 394 310 412 578 517 232 45% 100%
出典:財務省貿易統計純分換算率:くず100%
輸入
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t) その他
ベトナム
中国
台湾
図 2-6 マグネシウムくずの輸入相手国
2-3.輸出入価格
マグネシウムの平均輸出入価格を表 2-5、図 2-7 及び図 2-8 に示す。マグネシウムの 2013 年の平均輸出
入価格は、ほぼすべての品目で低下している。これは、輸入の大半を占める中国国内における生産過剰によ
り価格が低迷したためである。
表 2-5 マグネシウムの平均輸出入価格
単位:$/kg
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比
輸入 1.9 1.7 1.9 2.5 4.5 2.8 2.9 3.2 3.2 2.8 88%輸出※ 8.5 4.4 1.8 3.9 5.6 6.2 8.5 7.2 38.9 44.9 115%
輸入 8.5 15.8 7.1 48.9 7.1 8.2 - 61.5 26.8 9.7 36%輸出 - - - - - - - - - - -
輸入 2.40 2.19 2.17 2.73 4.88 3.34 3.28 3.53 3.81 3.41 90%輸出※ 1.74 1.84 1.85 2.11 3.19 3.13 3.14 3.12 3.05 3.02 99%
輸入 26.7 22.2 25.4 27.4 9.4 27.2 27.1 31.9 29.7 22.1 75%輸出 - - - - - - - - - - -
輸入 2.09 1.90 1.98 2.60 4.37 3.19 2.95 3.20 3.27 3.12 95%輸出 2.1 2.6 3.4 3.5 4.2 12.3 16.3 19.1 20.0 14.1 71%
輸入 0.53 0.77 0.93 1.07 0.99 0.77 1.14 1.51 1.97 2.02 102%
輸出 3.1 6.8 5.2 1.5 0.4 2.1 4.2 0.6 2.4 1.7 71%輸入 10.7 13.2 12.7 7.9 8.1 8.2 8.0 8.0 6.5 4.4 67%
輸出 23.3 25.1 7.4 32.8 46.3 52.8 57.5 24.9 50.9 51.6 101%
出典:財務省貿易統計
※純マグネシウム及び超高純度マグネシウムの平均輸出入価格。※マグネシウム合金及び高合金マグネシウムの平均輸出入価格。
製品
マグネシウムその他製品
原料
純マグネシウム
超高純度マグネシウム
素材
マグネシウム合金
高合金マグネシウム
マグネシウムくず
マグネシウム粉
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 314 2015/03/18 13:32:14
315 鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
2-2-2.マグネシウム合金
マグネシウム合金の輸出入相手国を表2-3、図2-4、図2-5 に示す。
2013 年のマグネシウム合金地金の輸入相手国は、中国、イスラエル、タイであり、中国が 91%を占める。
また、2013 年イスラエルからの輸入が減少している。タイからの輸入は、リサイクル材である。
2013年のマグネシウム合金地金の輸出相手国は、台湾、ベルギー、ブラジル等であり、台湾が79%を占め
る。
表 2-3 マグネシウム合金地金の輸出入相手国
単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
中国 9,851 9,614 10,783 10,274 8,814 4,746 7,721 7,033 6,921 5,044 73% 91%イスラエル - 2 23 - - - 4 2 437 345 79% 6%タイ - - - - - - - 1 86 156 182% 3%
その他 1,003 712 797 416 40 0 0 18 - - - -
合計 10,854 10,328 11,603 10,689 8,853 4,746 7,725 7,054 7,444 5,544 74% 100%
台湾 241 340 250 196 317 201 177 294 348 233 67% 79%ベルギー - - - - - - 0 - - 21 - 7%ブラジル - - - - - - 17 904 - 21 - 7%米国 0 - 334 452 385 197 1,374 900 210 18 9% 6%
その他 26 9 61 81 33 76 198 1,106 19 0 0% 0%
合計 267 350 646 728 735 474 1,767 3,204 576 295 51% 100%
出典:財務省貿易統計
純分換算率:マグネシウム合金50%
輸入
輸出
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t) その他
タイ
イスラエル
中国
図 2-4 マグネシウム合金地金の輸入相手国
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t) その他
米国
ブラジル
ベルギー
台湾
図 2-5 マグネシウム合金地金の輸出相手国
2-2-3.マグネシウムくず
マグネシウムくずの輸入相手国を表2-4及び図2-6に示す。2013年のマグネシウムくずの主要輸入相手国
は台湾、中国である。
表 2-4 マグネシウムくずの輸入相手国
単位:純分t
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
台湾 999 327 287 241 335 255 188 358 437 186 43% 80%中国 600 49 - - 28 - 20 20 40 40 100% 17%ベトナム - - - - - - 157 189 17 - - -
その他 20 81 84 170 31 55 47 11 23 5 24% 2%
合計 1,620 458 372 411 394 310 412 578 517 232 45% 100%
出典:財務省貿易統計純分換算率:くず100%
輸入
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(純分t) その他
ベトナム
中国
台湾
図 2-6 マグネシウムくずの輸入相手国
2-3.輸出入価格
マグネシウムの平均輸出入価格を表 2-5、図 2-7 及び図 2-8 に示す。マグネシウムの 2013 年の平均輸出
入価格は、ほぼすべての品目で低下している。これは、輸入の大半を占める中国国内における生産過剰によ
り価格が低迷したためである。
表 2-5 マグネシウムの平均輸出入価格
単位:$/kg
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比
輸入 1.9 1.7 1.9 2.5 4.5 2.8 2.9 3.2 3.2 2.8 88%輸出※ 8.5 4.4 1.8 3.9 5.6 6.2 8.5 7.2 38.9 44.9 115%
輸入 8.5 15.8 7.1 48.9 7.1 8.2 - 61.5 26.8 9.7 36%輸出 - - - - - - - - - - -
輸入 2.40 2.19 2.17 2.73 4.88 3.34 3.28 3.53 3.81 3.41 90%輸出※ 1.74 1.84 1.85 2.11 3.19 3.13 3.14 3.12 3.05 3.02 99%
輸入 26.7 22.2 25.4 27.4 9.4 27.2 27.1 31.9 29.7 22.1 75%輸出 - - - - - - - - - - -
輸入 2.09 1.90 1.98 2.60 4.37 3.19 2.95 3.20 3.27 3.12 95%輸出 2.1 2.6 3.4 3.5 4.2 12.3 16.3 19.1 20.0 14.1 71%
輸入 0.53 0.77 0.93 1.07 0.99 0.77 1.14 1.51 1.97 2.02 102%
輸出 3.1 6.8 5.2 1.5 0.4 2.1 4.2 0.6 2.4 1.7 71%輸入 10.7 13.2 12.7 7.9 8.1 8.2 8.0 8.0 6.5 4.4 67%
輸出 23.3 25.1 7.4 32.8 46.3 52.8 57.5 24.9 50.9 51.6 101%
出典:財務省貿易統計
※純マグネシウム及び超高純度マグネシウムの平均輸出入価格。※マグネシウム合金及び高合金マグネシウムの平均輸出入価格。
製品
マグネシウムその他製品
原料
純マグネシウム
超高純度マグネシウム
素材
マグネシウム合金
高合金マグネシウム
マグネシウムくず
マグネシウム粉
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 315 2015/03/18 13:32:14
316鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
($/kg) 純マグネシウム超高純度マグネシウムマグネシウム合金高合金マグネシウムマグネシウム粉マグネシウムくずマグネシウムその他製品
図 2-7 マグネシウムの平均輸入価格
0
10
20
30
40
50
60
70
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
($/kg)純マグネシウム
マグネシウム合金
マグネシウム粉
マグネシウムくず
マグネシウムその他製品
図 2-8 マグネシウムの平均輸出価格
3.生産者及び生産品目
日本におけるマグネシウム素材の主要生産者を表 3 に示す。
日本におけるマグネシウム合金地金生産とは、輸入純マグネシウムまたは輸入マグネシウム合金を溶解し、
元素添加することを示す。マグネシウム合金地金生産企業は、日本金属、中央工産、戸畑製作所の 3 社であ
る。栗本鐵工所は 2014 年以降からマグネシウム合金を生産開始予定である。
マグネシウム粉の生産企業は中央工産、関東金属、山石金属の 3 社である。
再利用(マグネシウム合金)塊生産企業とは、基本的に工場リターンくずを再溶解している企業である。国内
の自動車向け等のダイカストメーカーから出たスクラップ(国内発生)を再溶解し、その出元に戻している。再
利用塊生産企業は、小野田商店、小野田森村マグネシウム、中央工産、日本金属、日本マテリアルの 5 社で
ある。
表 3 主要生産者及び生産品目
企業名 マグネシウム合金地金 マグネシウム粉 再利用塊
中央工産 ○ ○ ○戸畑製作所 ○ - -小野田商店 - - ○小野田森村マグネシウム - - ○日本金属 ○ - ○日本マテリアル - - ○関東金属 - ○ -
山石金属 - ○ -出典:矢野経済研究所作成
4.リサイクル
国内回収量(再利用塊)に関する統計値が無いため、2013 年のリサイクル率は 0%となっている。ただし、
構造用のダイカスト、鋳物、射出成形から発生したスクラップが再度溶解され利用されていると推測される。
その他、合金添加剤需要で最も多いアルミ合金添加剤においては、マグネシウムではなくアルミニウム合
金元素としてリサイクルされている。
リサイクル率 =(使用済み製品からのリサイクル量)/(見掛消費)
見掛消費 =(国内発生量)+(素材の輸入量)-(素材の輸出量)
※ 使用済み製品からのリサイクル量とは、製品から素材に戻る量を示す。
※ 国内発生量には使用済み製品のリサイクルを含まない。
※ 素材は純マグネシウム、超高純度マグネシウム、マグネシウム合金、高合金マグネシウム、粉、くずの合計値
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 316 2015/03/18 13:32:14
317 鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
($/kg) 純マグネシウム超高純度マグネシウムマグネシウム合金高合金マグネシウムマグネシウム粉マグネシウムくずマグネシウムその他製品
図 2-7 マグネシウムの平均輸入価格
0
10
20
30
40
50
60
70
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
($/kg)純マグネシウム
マグネシウム合金
マグネシウム粉
マグネシウムくず
マグネシウムその他製品
図 2-8 マグネシウムの平均輸出価格
3.生産者及び生産品目
日本におけるマグネシウム素材の主要生産者を表 3 に示す。
日本におけるマグネシウム合金地金生産とは、輸入純マグネシウムまたは輸入マグネシウム合金を溶解し、
元素添加することを示す。マグネシウム合金地金生産企業は、日本金属、中央工産、戸畑製作所の 3 社であ
る。栗本鐵工所は 2014 年以降からマグネシウム合金を生産開始予定である。
マグネシウム粉の生産企業は中央工産、関東金属、山石金属の 3 社である。
再利用(マグネシウム合金)塊生産企業とは、基本的に工場リターンくずを再溶解している企業である。国内
の自動車向け等のダイカストメーカーから出たスクラップ(国内発生)を再溶解し、その出元に戻している。再
利用塊生産企業は、小野田商店、小野田森村マグネシウム、中央工産、日本金属、日本マテリアルの 5 社で
ある。
表 3 主要生産者及び生産品目
企業名 マグネシウム合金地金 マグネシウム粉 再利用塊
中央工産 ○ ○ ○戸畑製作所 ○ - -小野田商店 - - ○小野田森村マグネシウム - - ○日本金属 ○ - ○日本マテリアル - - ○関東金属 - ○ -
山石金属 - ○ -出典:矢野経済研究所作成
4.リサイクル
国内回収量(再利用塊)に関する統計値が無いため、2013 年のリサイクル率は 0%となっている。ただし、
構造用のダイカスト、鋳物、射出成形から発生したスクラップが再度溶解され利用されていると推測される。
その他、合金添加剤需要で最も多いアルミ合金添加剤においては、マグネシウムではなくアルミニウム合
金元素としてリサイクルされている。
リサイクル率 =(使用済み製品からのリサイクル量)/(見掛消費)
見掛消費 =(国内発生量)+(素材の輸入量)-(素材の輸出量)
※ 使用済み製品からのリサイクル量とは、製品から素材に戻る量を示す。
※ 国内発生量には使用済み製品のリサイクルを含まない。
※ 素材は純マグネシウム、超高純度マグネシウム、マグネシウム合金、高合金マグネシウム、粉、くずの合計値
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 317 2015/03/18 13:32:14
318鉱物資源マテリアルフロー 2014
マグネシウム(Mg)
5.マ
テリ
アル
フロ
ー
マグ
ネシ
ウム
のマ
テリ
アル
フロ
ー(2013
)
22,0
02
t需
要量
18,
800
t
需要
量3,
950
t
需要
量2,
340
t
4,5
70
t
8t
需要
量1,
800
t
需要
量60
t
需要
量620
t
需要
量5,
800
t
輸入
量5,5
44
t
輸出
量29
5t
需要
量760
t
需要
量300
t
232
t需
要量
70
t
390
t
需要
量1,
030
t
純分
換算
率:マ
グネ
シウ
ム合
金90%
、そ
の他
100%
その
他自
動車
用ホ
イー
ル等
の鋳
造部
品
中央
工産
中央
工産
山石
金属
-
関東
金属
主要
生産
企業
小野
田商
店
日本
金属
日本
マテ
リア
ル
小野
田森
村
マグネ
シウ
ム
戸畑
製作
所-
国内
生産
量主要
生産
企業 中
央工
産日
本金
属
マグ
ネシ
ウム
くず
鋳物
製品
航空
機部
品輸
入量
輸出
量
射出
成型
品ノ
ート
PC
・携
帯電
話・家
電
製品
・電
動工
具等
の筐
体再
利用
塊
-
展伸
材
鞄・ケ
ース
部品
など
非鉄
金属
精錬
添加
剤チ
タン
、ジ
ルコ
ニウ
ム
粉末
・そ
の他
鉄鋼
構造
用防
食ア
ノー
ド
マグ
ネシ
ウム
合金
地金
ダイ
カス
ト製
品
自動
車部
品国
内生
産量
-
鉄鋼
脱硫
剤鉄
鋼材
料
マグ
ネシ
ウム
粉鋳
鉄添
加剤
ノジ
ュラ
ー鋳
鉄国
内生
産量
-
輸入
量
輸出
量化
学・触
媒化
学・触
媒主
要生
産企
業
原料
素材
製品
・主
要用
途
ドロ
マイ
ト鉱
石等
純マ
グネ
シウ
ムア
ルミ
合金
添加
剤ア
ルミ
ニウ
ム合
金材
料輸
入量
輸
出入
のみ
国内
生産
あり
製造
フロ
ー
(国
内製
造あ
り)
リサ
イク
ルの
フロ
ー直
接の
輸出
入な
し製
造フ
ロー
(国
内製
造な
し)
1.需給動向
1-1.世界の需給動向
ケイ素(シリコン)は酸素に次いで2番目に多い元素で、資源量・埋蔵量は非常に多い。ケイ素はその多くが
酸化物(SiO2)の形で存在し、古くから研磨剤や耐火材、ガラスの原料として使用されてきた。また、鋼材の添
加剤としても使用される。製鉄の工程では電気炉において鉄1tあたり約4㎏前後のケイ素が添加される。ケイ
素合金として製鉄の脱酸素剤にも用いられるほか、ケイ素を混ぜた鋼板(ケイ素鋼板)は、うず電流による損
失が少なくなるため変圧器などに使われている。また、鉛レス黄銅にも添加される。
現在では、金属シリコン(単体金属)としての需要が多い。この金属シリコンは半導体、電子部品、太陽電池
部材、シリコーン、アルミニウム添加剤、機械部品などの用途で幅広く使用されている。これらの金属シリコン
の原料となる珪石には、カルシウムやアルミニウムなどの不純物の少ないものが求められており、限られた
地域でのみ採掘されている。
珪石からの金属シリコン製錬は電気炉で行うため大量の電力を使用し、発生する不純物の処理なども必要
である。日本はエネルギーコストや環境コストが高く、珪石から製錬するよりも金属シリコン(純度4N以下)や
フェロシリコン(以下FeSi)などの加工素材として輸入する方がコスト的に有利であり、供給は全て輸入に頼っ
ている。
世界のシリコン(FeSi・金属シリコン(純度4N以下))生産量を表1-1、図1-1に示す。2013年は前年比ほぼ横
ばいの7,700千tであった。主要生産国は、中国、ロシア、米国、ブラジルなどであるが、トップの中国が全体の
66%、2位のロシアは9%と、中国への集中が進んでいる。国別の生産量増減の状況を見ると、主要国の中で
は中国とブラジルが前年比微増、ロシアと米国が前年比微減であり、特に大きな変化はない。ただ、生産量5
位のノルウェーが2012年比で52%と半減近い減少率を示している。
トップの中国ではエネルギーコスト、環境コストの低さやスケールメリットを武器とした価格競争力を打ち出
しており、2位以下の国では価格競争力が低くなり中国に売り負けた結果、シリコン市場でのシェアが低下す
るケースもある。ノルウェーの生産量激減の背景には業界再編の他に中国との価格競争も影響しているもの
と考えられる。
シリコンの原料である珪石の鉱山資源は現時点で十分な埋蔵量があり、当面は資源枯渇の問題は発生しな
いものと考えられる。
表 1-1 世界のシリコン(FeSi・低純度金属シリコン(4N 以下))生産量
単位:純分千t2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比
中国 2,490 2,360 2,900 3,300 4,000 4,310 4,920 4,780 5,050 5,100 101% 66%ロシア 513 526 541 635 605 537 643 647 733 700 95% 9%米国 275 270 146 155 164 139 176 326 383 360 94% 5%ブラジル 225 226 226 265 259 224 224 225 225 230 102% 3%ノルウェー 298 278 150 221 235 301 303 297 339 175 52% 2%フランス 139 139 124 164 112 66 127 164 174 170 98% 2%南ア 149 131 144 149 154 116 137 142 132 130 98% 2%アイスランド 78 78 74 74 73 81 74 78 75 80 107% 1%ウクライナ 161 161 84 109 99 98 127 98 78 78 100% 1%インド 36 36 38 39 40 59 66 68 70 70 100% 1%ブータン - - - - - - - 61 61 61 100% 1%ベネズエラ 60 60 60 61 61 54 50 46 53 60 113% 1%カナダ 66 66 66 66 72 53 52 50 55 35 64% 0%スペイン 55 55 55 78 - - - - - - - -カザフスタン 67 68 68 68 - - - - - - - -マケドニア - - - 39 - - - - - - - -その他 255 289 297 180 288 266 394 383 349 430 123% 6%
合計 4,900 4,720 4,970 5,590 6,160 6,310 7,290 7,370 7,770 7,700 99% 100%
出典:United States Geological Survey「Mineral Commodity Summaries SILICON」 World Production
鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 318 2015/03/18 13:32:15