当院における 体圧分散マットレスの選択と...
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褥瘡の管理
看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師
山本由利子
平成26年9月1日モーニングセミナー
皮膚・排泄ケア認定看護師って何?
• 日本看護協会 認定看護師の一分野
• WOC領域の専門家です –Wound(創傷)
• 褥瘡・瘻孔・縫合創など
– Ostomy(ストーマ) • 術前ケア・社会復帰ケア・継続ケア
• 合併症
– Continence(失禁) • 尿失禁ケア
• 便失禁ケア
創傷管理における看護の専門性 • 創傷の予防ケア
–皮膚の健康を阻害する局所的・全身的因子を取り除き、皮膚の健康を促すトータルケア
• 創傷の治癒環境を整える
–創傷治癒を阻害する局所的・全身的因子を取り除き、自然治癒を促すトータルケア
看護師特定能力認証制度 創傷分野
• 医師の包括的指示のもとに医行為を実施
–検査の決定・実施
–皮膚表面の局所麻酔
–慢性創傷のデブリードマン
–慢性創傷の治療に必要な外用薬・創傷被覆材の選択
–皮下組織までの皮下膿瘍の切開排膿
–慢性創傷の局所陰圧閉鎖療法の実施
–慢性創傷のデブリードマン時の電気メスによる止血
–非感染創皮膚表面の縫合および抜糸
当院はいません
オストミーケアにおける 看護の専門性
• ストーマ造設前後のセルフケア確立への援助
–ストーマ受容の援助
–装具の選択
–ケア指導
–サポート体制の整備
• 退院後の継続ケア
–社会的環境の変化へのサポート
–長期的身体変化への指導
対象者が比較的少ない上に、専門性の高い領域のため、
認定看護師が主導権を持って行っていることが多い
ストーマ造設後の退院決定はWOCへ確認してください
ストーマの合併症
失禁ケアにおける看護の専門性
• 便・尿失禁の改善と予防ケア –排泄障害のアセスメント
• 生活指導 –自己導尿や排尿誘導など
–食事、飲水指導
• 失禁に伴う皮膚障害の改善と予防
対象者は多いが、
まだまだみんなの興味が少ないので 少し行っている程度
当院の褥瘡対策
褥瘡ハイリスク患者加算 算定
当院の褥瘡対策の柱
• 褥瘡発生リスクアセスメント
• 褥瘡の評価
• 褥瘡ハイリスク患者管理
• 褥瘡対策チームによる協働
• 褥瘡対策の知識レベルの向上
• 褥瘡対策用品の整備
褥瘡発生リスクアセスメント
入院時 褥瘡の有無・部位
日常生活自立度
日常生活自立度が低い BC
褥瘡発生危険スケール
OH(大浦・堀田)スケール等
発生危険がある
自立度が高いJA
何もなし!
発生危険がない 1週間ごと 褥瘡発生リスクのアセスメント
1週間ごと:褥瘡カンファレンスをして計画書の見直し
褥瘡対策に関する診療計画書:専任医師・専任看護師必要時主治医
障害老人の日常生活の自立度 (J、A)
J1:交通機関を利用して外出
J2:隣近所に外出
A1:屋内での生活は自立しているが、介助で外出、日中はベッドから離れて過ごす
A2:屋内での生活は自立しているが、外出が少なく日中は寝たきりの生活
障害老人日常生活の自立度 (B、C)
B1:ベッドの生活が主だが、車椅子に移乗し、食事・排泄はベッドから離れて行う
B2:ベッドの生活が主だが、介助で車椅子に移乗する
C1:1日中ベッドで排泄・食事・着替えに
介助を要し、自力で体位変換はする
C2:上記+自力で体位変換はしない
OH(大浦・堀田)スケール 評価項目 月 日
大浦/
堀田スケール
自力能力
□昏睡 3点
どちらでも ない 1.5点
□明瞭
□自力体変不能3点 □可能 □絶対安静 3点 □なし □両側麻痺 3点 □なし
病的骨突出 □強度 3点 □中、軽度
1.5点 □なし
関節拘縮 □あり 1点 □なし
浮腫 □あり 3点 □なし
合計点 □高度 □中度 □軽度 □なし 点
高度:10~7 中度:6~4 軽度:3~1 危険なし0
褥瘡がある!
皮膚科紹介
*褥瘡対策として紹介
主治医に依頼
褥瘡の評価(DESIGN-R)記録 *PDAで写真を撮影してカルテ保存
院内発生の場合:褥瘡発生報告書記録
褥瘡管理者に報告
1週間ごとに記録
第1・第3金曜日 褥瘡回診
褥瘡ハイリスク患者(診療報酬上)
ベッド上で以下の場合 ショック状態 重度の末梢循環不全
麻薬等の鎮痛・鎮静の持続
6時間以上の全身麻酔後 特殊体位による手術後
強度の下痢の持続
極度が皮膚の脆弱(超高齢・低出生体重児・黄疸等)
褥瘡の多発と再発
褥瘡があり、発生危険がある場合
入院中に1回500点算定
当院の褥瘡対策チーム
• 褥瘡対策委員会
– 皮膚科医師、看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士、事務(管財課)
– 病院全体の褥瘡対策管理
• 看護部褥瘡対策委員会
– 各病棟から1名
– 褥瘡調査
– 褥瘡勉強会
• 褥瘡担当者会(各病棟)
体圧分散の基本
• 身体にかかる圧力を低くする
–体圧分散マットレスの使用
– クッションの使用
–レストンスポンジの使用・・・
• 身体に圧力がかかる時間を短くする
–体位変換
–体圧分散マットレス(圧切替型)の使用
圧分散のポイント
• 重さを支える面積を広くする
体圧分散マットレスの効果
• 沈みこみ(接触面積を増やす) – 圧縮特性 – 厚み
• 包みこみ(接触面積を増やす)
– マットの変形能
• 接触部位を変える
– 圧切り替え機能 – ローリング機能
超Aランク 圧切り替え型高機能タイプ
アドバン
交換マットレス
箱あり
スポンジを あてたらダメ!
通常「超低圧」「厚手切替」 Cランク設定「低圧」「薄手静止」
OH高度
Aランク 静止型厚ウレタンタイプ
厚さ15cmの上敷きマットレス 箱なし
マキシフロート
柔らかい!
OH高度・中度
Cランク 静止型中厚ウレタンタイプ
厚さ8cmくらいの交換マットレス
サーモコントア
レストンZ1
安定感がある!
運搬用袋あり
OH中度・軽度
Eランク:病棟管理 静止型薄ウレタンタイプ
ハード面はEランクではない
夢柔力:ソフト面
OH軽度
体圧分散マットレスの選択
• 褥瘡発生危険度からの目安 – 高度 Aランク以上 – 中等度 Cランク以上 – 軽度 Eランク以上
• 寝返りできない場合:柔らかいもの – 選択するランク:超A、A、C、
• 座位になれる:少し硬めのもの – 選択するランク:C,E
• ギャッチアップする:厚みのあるもの – 選択するランク:超A、A
30度側臥位
・基本的に2時間毎の(2時間を超えない)体位変換を行ってもよい
・適切な体圧分散寝具使用下では4時間を超えない範囲で行ってもよい
・30度側臥位・90度側臥位とも行ってよい
・体形や好みに応じた側臥位を選択する
体位変換
体位変換後は
ポジショニング
まだまだ指導が必要です
乾燥した皮膚
スキンケアのポイント!
• 洗う
–刺激の少ない石鹸・洗浄剤で汚れを落とす
–機械的刺激を与えない
–よく洗い流す
• 与える
–除去しすぎた油分・水分を補う
• 守る
–外的刺激を皮膚に与えないようにする
保湿剤の例
尿・便失禁の皮膚
尿
便
アンモニア・湿潤
消化酵素成分 アルカリ性腸液
混合物:pH上昇
拭く・擦る機械的刺激
オムツの蒸れ
下痢の場合 アルカリ性が高い・酵素活性が高い
皮膚に付着しやすい
便秘の下痢?
下痢が続いています! 下痢止めがききません! おなかはぽっこりしてます!
それは・・・もしかすると 「便秘の下痢」かもしれません
直腸近くに硬い便の塊が詰まっており、その隙間から上部の柔らかい便が排出されている状態 まずは直腸内になる硬い便をとる その後排便コントロールを・・・
水分や刺激物から 皮膚を保護する
被膜を作る 撥水効果のあるものを塗る
当院に多い殿裂部の褥瘡は ギャッチアップが原因
褥瘡の評価
DESIGNーR 褥瘡経過評価用
• 深さ:0なし~5関節腔、体腔にいたる深さ
U 深さ判定不能
• 滲出液:0なし~6多量1日2回以上交換
• 大きさ:0なし~15(100以上)
• 炎症・感染:0なし~9全身的影響あり
• 肉芽形成(良性肉芽が占める割合)
0治癒、浅く評価不能~6全く形成されていない
• 壊死組織:0なし~2硬く厚い密着した壊死組織
• ポケット:0なし~24(36以上)
DESIGNーRの深さは? 創内の一番深い部分で評価 創縁と創底の段差・創底にみえる組織で判断 改善に伴い浅くなった場合にこれと相応の深さとして評価 • d0 皮膚損傷・発赤なし • d1 持続する発赤 • d2 真皮までの損傷 • D3 皮下組織までの損傷 • D4 皮下組織を超える損傷 • D5 関節腔・体腔に至る損傷 • U 深さ判定不能の場合
発生?
持続する発赤
• 発赤のみで皮膚の欠損がない状態
*圧迫しても消退しない発赤
DTI(deep tissue injury)
–皮膚表層よりも深部組織が障害されている状態
–最初「皮膚損傷がない暗紫色の斑」で発見
–時間が経つと全層壊死に陥る
引用:大浦武彦ほか編:TIMEの視点による褥瘡ケア、学研、2004
急性期の褥瘡・DTI 発赤・紫斑には
どのような治療がいいのか? • 外用剤(C1)
–創面保護効果
–油脂基剤・スルファジアジン銀
• ドレッシング(C1)
–創面保護・観察が容易
– ポリウレタンフィルム・視認性のよいドレッシング材
文献1)褥瘡ガイドブックより引用
真皮に至る損傷
• 創縁と創底に段差がない
皮下組織までの損傷
• 創縁と創底に段差があり、創底には脂肪層の壊死組織がある
皮下組織を超える損傷
• 創底に筋膜の壊死がある
関節腔・体腔に至る損傷
• 奥が深く確認できないことが多い
深さ判定不能
• 分厚い壊死組織で
深さがわからない
この褥瘡は? 深さ
浸出液:毎日1回ガーゼ(透明) 創の大きさ 2.0×3.0cm 感染 肉芽 壊死組織 ポケットを含む大きさ 4.0×4.5cm
こう評価する 深さ 皮下組織までD3 浸出液 中等量 e3 毎日1回ガーゼ(透明) 創の大きさ s6 2.0×3.0cm 感染 i0 なし 肉芽 g 1 良性肉芽90%以上 壊死組織 n0 なし ポケットを含む大きさ P9 4.0×4.5cm
(18-6=12) 創縁が浸軟・段差がある
ポケットが全周
日本褥瘡学会が主導権を握っている
まとめ
• ストーマ・瘻孔・褥瘡・失禁・・・
• 何かあればWOC相談室山本まで
ご相談ください
–PHS:6733
–TODOメール
•保健師フォルダ:山本由利子