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建設工学専攻 社会環境系 応用数学特論 AdvancedAppliedMathematics 1年前期2単位 吉田 文夫 授業の概要・方法 電子計算機や解析を必要とする専門分野においては,数値計算法は必須な科目といえる。本講義の目的は,数 値計算法の入門と応用に関し,種々の具体例を含めながら理解することである。 授業の到達目標 1.近似計算における誤差と精度を十分理解をしている。 2.補間法や方程式の数値解法等の技法を応用することができる。 3.差分法による微分方程式の数値解法の技法を応用することができる。 4.フーリエ解析や固有値問題の解析技法を応用することができる。 授業計画 第1回 数値計算の基礎 誤差,丸め誤差,打切り誤差および桁落 第2回 補間法 ニュートン補間,ラグランジュ補間,スプライン補間 第3回 数値積分法 台形公式およびシンプソン公式 第4回 数値積分法 モンテカルロ法 第5回 連立1次方程式 消去法と緩和法 第6回 常微分方程式 オイラー法とルンゲクッタ法 第7回 常微分方程式 多段法(陽形式・陰形式および予測子・修正子) 第8回 非線形方程式 はさみうち法,ニュートン・ラフソン法 第9回 固有値 ヤコビ法,LR法,QR法 第10回 高速フーリエ変換 フーリエ変換とアルゴリズム 第11回 最適化問題 条件付最適化問題,線形計画法 第12回 差分法と差分方程式 前進,後退,中心差分近似 第13回 偏微分方程式の数値解法 2次元波動方程式の差分化とシミュレーション 第14回 非線形偏微分方程式 バーガーズ方程式のシミュレーション 第15回 非線形偏微分方程式 KdV方程式のシミュレーション 履修の心得および準備等 大学初年次の線形代数および微積分の基礎知識を必要とする。 準備学習の内容 テキストや事前配布資料の予習と演習問題を解き,理解を深めておくこと。 成績評価方法 出席状況およびレポートによる。 課題等の実施結果については個々にコメントする。 教科書 必要に応じてプリントを配布する。 参考書,資料等 数値計算法:佐藤弘之著 森北出版 基礎 数値解析:松山 実著 昭晃堂 マイコンによる数値計算法:長嶋秀世,長嶋祐二著 昭晃堂 その他,必要に応じて随時紹介する。 9

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◆建設工学専攻 社会環境系

応用数学特論 Advanced Applied Mathematics

1年前期╱2単位 吉田 文夫

■授業の概要・方法電子計算機や解析を必要とする専門分野においては,数値計算法は必須な科目といえる。本講義の目的は,数値計算法の入門と応用に関し,種々の具体例を含めながら理解することである。■授業の到達目標1.近似計算における誤差と精度を十分理解をしている。2.補間法や方程式の数値解法等の技法を応用することができる。3.差分法による微分方程式の数値解法の技法を応用することができる。4.フーリエ解析や固有値問題の解析技法を応用することができる。■授業計画

第1回 数値計算の基礎 誤差,丸め誤差,打切り誤差および桁落

第2回 補間法 ニュートン補間,ラグランジュ補間,スプライン補間

第3回 数値積分法 台形公式およびシンプソン公式

第4回 数値積分法 モンテカルロ法

第5回 連立1次方程式 消去法と緩和法

第6回 常微分方程式 オイラー法とルンゲクッタ法

第7回 常微分方程式 多段法(陽形式・陰形式および予測子・修正子)

第8回 非線形方程式 はさみうち法,ニュートン・ラフソン法

第9回 固有値 ヤコビ法,LR法,QR法

第10回 高速フーリエ変換 フーリエ変換とアルゴリズム

第11回 最適化問題 条件付最適化問題,線形計画法

第12回 差分法と差分方程式 前進,後退,中心差分近似

第13回 偏微分方程式の数値解法 2次元波動方程式の差分化とシミュレーション

第14回 非線形偏微分方程式 バーガーズ方程式のシミュレーション

第15回 非線形偏微分方程式 KdV方程式のシミュレーション

■履修の心得および準備等大学初年次の線形代数および微積分の基礎知識を必要とする。■準備学習の内容テキストや事前配布資料の予習と演習問題を解き,理解を深めておくこと。■成績評価方法出席状況およびレポートによる。課題等の実施結果については個々にコメントする。■教科書必要に応じてプリントを配布する。■参考書,資料等数値計算法:佐藤弘之著 森北出版基礎 数値解析:松山 実著 昭晃堂マイコンによる数値計算法:長嶋秀世,長嶋祐二著 昭晃堂その他,必要に応じて随時紹介する。

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応用物理特論 Advanced Applied Physics

1年後期╱2単位 吉田 文夫

■授業の概要・方法自然現象における振動現象は多くの専門分野において基本概念として扱われている。本講義では,単振動から非線形波動現象までの広い振動・波動現象について理解する。また,シミュレーションによる数値解析手法も利用することにより,具体的な振動子系の力学的振舞を明らかにする。■授業の到達目標1.振動現象を理解し,数理的に記述することができる。2.波動現象を理解し,数理的に記述ができる。3.線形応答理論を具体的な応用問題に適用することができる。4.非線形系の概念を理解し,応用解析をすることができる。5.振動・波動現象の数理的な解析手法が習得できている。■授業計画

第1回 シミュレーション 単振動のシミュレーションと数値解析

第2回 力学系の差分化 数値解法と精度,差分近似

第3回 力学系の保存量 エネルギーと相平面

第4回 線形系 線形近似,微分方程式,種々のモデル

第5回 数値積分 数学的予備知識,ニュートン・コーツの公式

第6回 自由振動 MK系とMCK系

第7回 減衰振動 減衰振動,過減衰

第8回 線形定常応答 MK,MCK系の強制振動と共鳴曲線

第9回 線形過渡応答 周波数応答と応答倍率

第10回 衝撃応答 パルス応答,ステップ応答

第11回 非線形応答 定常応答とパルス応答

第12回 線形波動 波動方程式,弦の振動

第13回 非線形波動 浅水重力波,ソリトン

第14回 カオスの力学 ロジスティック方程式,ローレンツ系

第15回 生態系の力学 ロトカ=ボルテラ方程式

■履修の心得および準備等

大学初年次の物理学および数学の基礎(線形代数,微積分)知識を必要とする。

■準備学習の内容

テキストや事前配布資料の予習と演習問題を解き,理解を深めておくこと。

■成績評価方法

出席状況およびレポートによる。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

必要に応じてプリントを配布する。

■参考書,資料等

グラフィック振動論:戸川隼人・下関正義著 サイエンス社

建設系のための振動工学:吉原進著 森北出版

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計画システム分析特論 Advanced Systems Analysis for Planning

1年前期╱2単位 鈴木 聡士

■授業の概要・方法

計画立案プロセスにおいて,それにかかわる都市・地域および交通に関連したシステム分析の考え方とモデル

について理解を深める。特に,計画システムは社会経済システムと深くかかわりがあることから,経済学的な視

点での考察にも力点を置く。さらに,近年開発された計画システム分析手法を学ぶ。

■授業の到達目標

計画立案に関連したモデルとシステム分析手法について学び,具体的な事例や研究成果などに関する知見を広

げる過程をつうじて,それらを深く理解するとともに,応用方法を修得することを目標とする。

■授業計画

第1回 オリエンテーション 計画システム分析のフレームワークについて理解する。

第2回 都市システム分析 都市形成理論(都市化の経済・都市成長,等)を理解する。

第3回 都市システム分析 都市立地理論(産業立地理論・都市の自己発展理論,等)を理解する。

第4回 都市システム分析 都市規模と都市システムモデル(中心地理論・企業立地選択理論,等)を理解する。

第5回 交通システム分析 都市と交通,交通需要と費用便益分析について理解する。

第6回 交通システム分析 交通行動分析に利用される集計ロジットモデル,非集計ロジットモデル,重回帰モデルを理解する。

第7回 交通システム分析 交通問題と交通政策,交通システム計画について理解する。

第8回 公共の役割とシステム分析 政府の役割,公共財の意味について理解する。

第9回 公共の役割とシステム分析 公共財の供給(社会的限界便益,フリーライダー問題,公共財水準)について理解する。

第10回 公共の役割とシステム分析 税と分権のシステム(ティブーモデル,課税と経済損失)について理解する。

第11回 意思決定システム分析 AHP(Analytic Hierarchy Process)モデルを理解する。

第12回 意思決定システム分析 計画立案におけるAHPの応用について考える。

第13回 効率性評価システム分析 DEA(Data Envelopment Analysis)モデルを理解する。

第14回 効率性評価システム分析 DEAによるシステム効率性評価の応用について考える。

第15回 総括 計画システム分析の今後の方向性について考察する。

■履修の心得および準備等

受動的な姿勢ではなく,主体的な姿勢で講義に参加することを意識する必要がある。

■準備学習の内容

各回講義の前に資料を提供するので,その内容を事前に理解した上で講義に参加する必要がある。

■成績評価方法

各講義の積極的参加態度およびレポートなどを総合的に勘案して評価する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

なし(適宜配布)

■参考書,資料等

佐々木公明・文 世一:『都市経済学の基礎』,有斐閣アルマ,2000.

木下栄蔵:『入門AHP』,日科技連,2000.

刀根 薫・上田 徹 監訳:『経営効率評価ハンドブック』,朝倉書店,2007.

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社会環境政策特論 Advanced Technological Policy of Civil Engineering

1年後期╱2単位 関口信一郎

■授業の概要・方法

土木技術は,国土の安全・適正利用や生活環境の向上・改善に寄与する防災施設・道路・空港・上下水道・公

園等の社会資本施設の具体的な建設技術と,国土計画・地域計画・都市計画・交通計画・水資源管理等の企画・

調整等に必要なソフト技術を駆使した総合技術である。しかしながら,今日的には社会資本整備を巡る環境に厳

しいものがあり,次世代に引継ぐべき社会資本の必要性や計画段階・実施段階での効率性・透明性が強く求めら

れている。このため,時代の要請に即した土木技術の対応事例や国土計画・社会資本整備の具体的事例を通して

今日的な社会資本政策のあり方について考える。

■授業の到達目標

社会基盤整備を支える哲学・歴史を理解し,その政策・計画を行うために必要な視点と手法を習得する。

■授業計画

第1回 社会基盤整備を考える 東日本大震災と復興計画から社会基盤整備のあり方と方法について考察する。

第2回 土木と文明( ) 地球の水循環と人類の生活

第3回 土木と文明( ) 帝国を築いた道路

第4回 土木と文明( ) 物資輸送と水運

第5回 戦後わが国の経済社会の動向と公共投資

戦後わが国の経済社会と公共投資および社会資本整備の仕組

第6回 国土計画( ) 全国総合開発計画から三全総まで

第7回 国土計画( ) 四全総から国土形成計画まで

第8回 北海道の現状と課題 北海道の社会経済活動の現状と課題

第9回 国土計画( ) 北海道開発の歴史と総合開発計画

第10回 都市環境の技術政策( ) 日本近代都市計画づくりの歩み

第11回 都市環境の技術政策( ) 環境計画

第12回 都市環境の技術政策( ) 横浜を事例とした実践的環境計画

第13回 社会資本の整備手法( ) NPMと公共事業評価手法

第14回 社会資本の整備手法( ) アセット・マネジメント,社会資本の民営化手法

第15回 新しい時代の政策視点 都市および地域の防災,パブリック・リレーション(情報共有と信頼構築),財政制約・人口減少・環境重視社会における社会資本整備

■履修の心得および準備等

1.学部において「シビルエンジニアリング総論」「建設マネジメント」を履修していることが望ましい。

■準備学習の内容

特になし。

■成績評価方法

リポート等による総合評価

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

特になし。必要な資料は配布する。講義の理解を助ける参考文献(必須ではない)

越澤明著『後藤新平―大震災と帝都復興』(筑摩書房),合田良實著『土木と文明』(鹿島出版)

関口信一郎『シビルエンジニア廣井勇の人と業績』(HINAS出版)

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構造解析特論 Advanced Structural Analysis

1年後期╱2単位 小幡 卓司

■授業の概要・方法近年における構造物の解析手法は非常に進歩し,様々な構造解析が,目的に合致したソフトウェアを用いることにより,容易に解析出来るようになってきた。しかしながら,目的に合致した解析を行うためには,構造物の特徴や目的に応じて適切な解析方法とモデル化を行う必要がある。本講義では,まず構造解析の理論について理解を深め,実際に有限要素法による構造物の解析や,構造ヘルスモニタリングの知識を学習することによって,高度な構造解析を行う上での基礎知識を修得する。■授業の到達目標構造物において,何を目的として解析を行うのかを十分理解した上で,適切な解析手法の選択とモデル化を行うことができ,それらの解を用いて設計基準等に定められている安全性の照査や健全度の評価を実施できる判断力を身に付ける。■授業計画

第1回 構造解析の種類 微小変形理論,静的解析,動的解析,弾性解析,弾塑性解析,固有値解析,構造ヘルスモニタリング

第2回 構造解析の基礎 荷重と変位:F=Kx,応力度とひずみ:σ=Eε

第3回 マトリックス構造解析 変位の計算:x=K F,消去法による数値解析

第4回 構造物のモデル化⑴ 実構造物とモデル化の基礎,トラス構造とラーメン構造

第5回 構造物のモデル化⑵ はり要素,シェル要素,ソリッド要素

第6回 プリ・ポストプロセッサとソルバー 有限要素解析アプリケーションの基礎

第7回 有限要素解析の実践⑴ はり要素を用いた静的解析,固有値解析

第8回 有限要素法の実践⑵ シェル要素,ソリッド要素を用いた版の解析

第9回 構造物のモニタリング モニタリングの基礎,スマート構造物

第10回 A/D変換 アナログ/デジタル変換,サンプリング周波数,データ点数と解像度,ナイキスト周波数

第11回 計測技術 構造物の加速度,速度,変位の計測方法

第12回 データ解析技術 ノイズ処理,スペクトル解析,FFT,構造減衰,MAC,伝達関数,コヒーレンスなどのデータ処理技術

第13回 構造同定 入出力関係に基づいた構造物の性能評価

第14回 構造ヘルスモニタリング(SHM) 計測結果に基づいた構造物の健全度評価

第15回 総括 講義のまとめ

■履修の心得および準備等学部で学習した構造力学系科目を応用して,構造物の解析や健全度評価を実際に行うため,学部での構造系科目に精通していることが望ましい。■準備学習の内容事前に配布する資料などについて学習し,良く分からない部分については質問表を作成すること。可能であれば,自己所有のパソコンに必要なアプリケーションをインストールし,操作方法を理解しておくことが望ましい■成績評価方法事前学習での質問表,授業における理解度,演習問題およびレポートの成果により判定する。課題等の実施結果については個々にコメントする。■教科書使用しない。適宜,講義資料を配布する。■参考書構造力学(上)(下),崎元達郎,森北出版有限要素法 ABAQUS Student Edition付,山田貴博監訳,丸善新・地震動のスペクトル解析入門,大崎順彦,鹿島出版会システム同定の基礎,足立修一,東京電機大学出版局

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構造設計特論 Advanced Structural Design

1年前期╱2単位 小幡 卓司

■授業の概要・方法我が国の社会基盤構造物は,いわゆる高度成長期に多数造られ,老朽化が目立っている。本講義では,鋼・複合構造物を例として,その歴史,特徴から維持管理に至るまでのプロセスを理解することを目的とする。社会基盤構造物の計画,使用材料の性質,構造力学的特性,構造デザインなど,必要とされる様々な要素技術を学習することにより,実構造物の設計・建設・維持管理などに関して,充分な知識を身に付ける。■授業の到達目標社会基盤構造物の設計・施工・維持管理において,どのように構造力学が応用されるかを理解し,社会で実践できる能力を身に付ける。■授業計画

第1回 概説 鋼・複合構造物の定義,社会基盤構造物の歴史と特徴

第2回 力学および設計法の基礎 部材の設計法,曲げモーメントとせん断力,ひずみ

第3回 構造物の計画 構造物計画時の基本事項,構造物計画の流れと課題

第4回 構造物の形式選定 周辺環境と構造物の形式,地形条件と構造形式の選定

第5回 使用材料とその性質 鋼材・コンクリートの特性,性質,種類

第6回 構造力学特性(鋼構造) 引張・圧縮部材,梁部材,鋼板構造(面内,面外)

第7回 構造力学特性(コンクリート構造) コンクリート構造の分類,RC部材,PC部材,複合構造

第8回 構造物の動的応答とその対策 振動と構造物,耐震設計,耐風設計

第9回 構造実験と詳細構造解析 実験と解析の役割,構造実験,詳細構造解析

第10回 構造デザイン 意匠,構造計画,設計

第11回 構造物の製作(鋼構造) 工場製作,現場架設,架設方法とその選定

第12回 構造物の製作(RC,PC,複合構造) RC部材,PC部材,複合構造の製作と施工

第13回 品質管理と安全管理 品質・安全管理,製作・施工における技術開発

第14回 構造物の維持管理 構造物の劣化,維持管理,モニタリング,補修・補強

第15回 総括

■履修の心得および準備等学部での構造力学,鋼構造工学,コンクリート工学,橋梁工学の内容の実践になるので,これらの科目を復習しておくことが望ましい。■準備学習の内容それぞれの講義の内容について,教科書に記載されている内容を十分予習しておくこと。■成績評価方法授業中の質疑応答,演習問題とレポートの成果により判定する。課題等の実施結果については個々にコメントする。■教科書インフラ構造物入門,北田俊行編著,共立出版■参考書道路橋示方書・同解説,日本道路協会橋梁工学,中井 博,北田俊行著,共立出版鋼構造,三木三木千壽著,共立出版コンクリート標準示方書,土木学会,丸善新・地震動のスペクトル解析,大崎順彦,鹿島出版会

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構造動力学特論 Advanced Structural Dynamics

1年後期╱2単位 小幡 卓司

■授業の概要・方法地震で揺れる超高層ビル群,台風の襲来を受ける長大スパン吊橋,高波に洗われる防波堤…,これらの共通点は何だろう? この問いに対する一つの答えは,「時間的に変動する動的荷重を受ける構造物である」ということです。このような構造物の動的な応答性状や安全性・信頼性を検証するためには,『構造物の動的解析(Dynamics

of Structures)』に関する基礎知識が必要不可欠となります。この講義では,1自由度系・多自由度系の振動解析理論や地震動に対する構造物の応答解析の基礎を学びます。各講義題目について各自が事前に学習することを前提にして,当日の講義・演習および議論を進めます。■授業の到達目標集中質量・分布質量系の振動構成要素およびそれらの振動解析理論を理解し,解析的な理論展開や説明ができること。振動解析理論を構造物の動的解析に応用し,その解析結果を考察・評価できること。■授業計画

第1回 構造物の動的解析の概要 動的解析の基本的目標,動的問題の本質的特性,離散化の方法

第2回 1自由度系の振動解析⑴ 振動現象と解析理論の基本事項,運動方程式の定式化,一般化1自由度系

第3回 1自由度系の振動解析⑵ 非減衰・減衰自由振動,固有周期,減衰特性

第4回 1自由度系の動的応答解析 動的荷重に対する応答解析,動的増幅率,共振応答

第5回 非線形系の応答解析 材料非線形,増分形式の運動方程式,逐次積分法(運動方程式の数値解析法)

第6回 多自由度系の振動解析⑴ 自由度の選定,運動方程式の定式化(マトリックス表示),構造特性マトリックスの評価

第7回 多自由度系の振動解析⑵ 非減衰・減衰自由振動,振動数方程式,固有値問題の解法,振動モードの直交性・規準化

第8回 多自由度系の動的応答解析 規準座標とモード重畳法(モード解析法),運動方程式の直接積分法

第9回 変分原理による動的問題の定式化 一般化座標,Lagrangeの運動方程式,拘束条件と未定乗数

第10回 分布パラメタ系の振動解析⑴ 梁の曲げ振動,運動の偏微分方程式の定式化,せん断変形・回転慣性の影響,棒の縦振動

第11回 分布パラメタ系の振動解析⑵ 梁の曲げ振動(非減衰自由振動)の解析,固有周期・振動モード,棒の縦自由振動

第12回 構造部材の波動伝播解析 棒における波動伝播,波動方程式,伝播速度,弾性波の反射・透過

第13回 構造物の地震応答解析⑴ 地震波,地震動の特性を表す指標,応答スペクトル

第14回 構造物の地震応答解析⑵ 地震の入力機構,基礎並進による構造物の地震応答,モード重畳法と応答スペクトル法

第15回 構造物の地震応答解析⑶ 地震に対する非線形応答,非線形解析法,弾塑性応答挙動と部材の強度分布の影響

■履修の心得および準備等時間的に変動する荷重や構造物の応答に関する興味を持ち,現実の土木構造物の動的問題を常に意識・対比しながら,自主的な学習を続けることを期待します。■準備学習の内容毎回の講義題目に対応する教科書の該当箇所を事前に精読し,その概要および内容構成を把握しておくこと。また,参考書等によって講義内容の理解を深めること。■成績評価方法講義における議論および演習問題の思考過程に基づいて,理解度を総合的に評価します。課題等の実施結果については個々にコメントする。■教科書構造物の動的解析:R.W.クラフ,J.ペンジン著,大崎順彦他訳 科学技術出版社 1978■参考書,資料等構造物の動的解析[改訂2版]:A.K.チョプラ著,渡部丹他監訳 科学技術出版 2001入門建設振動学:小坪清眞著 森北出版 1996構造物の振動解析(新体系土木工学10):片山恒雄・宮田利雄・国井隆弘著 技報堂出版 1979

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非線形構造解析特論 Advanced Nonlinear Structural Analysis

1年後期╱2単位 高橋 義裕

■授業の概要・方法阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ,さらに性能設計という新しい概念の導入により,現行の構造設計においても,構造材料の非線形領域まで考慮したより高次の構造解析能力が要求される。このような背景の下で,骨組み構造物の非線形構造解析法,その耐震設計への応用,連続体の有限要素法および有限要素法による材料非線形解析などについて講義する。■授業の到達目標材料非線形の問題において,部材の弾塑性解析を理解し,静的解析,動的解析の両方において,骨格曲線を求めることができ,構造物の解析を行うことができる。■授業計画

第1回 マトリックス構造解析⑴ トラス及び骨組み構造物の弾性解析

第2回 マトリックス構造解析⑵ 構造物の弾塑性解析の基本

第3回 マトリックス構造解析⑶ 塑性ヒンジ法による弾塑性解析

第4回 マトリックス構造解析⑷ モーメント―曲率関係による弾塑性解析

第5回 骨格曲線 骨格曲線について

第6回 弾塑性解析と耐震性の照査 保耐法,非線形スペクトル法と弾塑性解析

第7回 耐震設計への応用 弾塑性解析法の耐震設計への応用

第8回 RC部材の非線形解析⑴ RC部材の非線形性と塑性変形性能の基本

第9回 RC部材の非線形解析⑵ 線材モデルを用いた非線形解析技術

第10回 RC部材の非線形解析⑶ 有限要素法を用いた非線形解析技術

第11回 複合構造の設計 土木学会における複合構造の設計技術

第12回 複合構造の非線形解析 SRC,CFT部材の非線形性と解析技術

第13回 性能照査に用いる非線形解析⑴ 土木学会示方書における非線形解析技術

第14回 性能照査に用いる非線形解析⑵ 道路・鉄道基準における非線形解析技術

第15回 まとめと試験

■履修の心得および準備等学部において,構造解析学(3年1学期),コンクリート構造工学(3年1学期),構造設計・維持管理工学(3年2学期)を履修していることが望ましい。■準備学習の内容事前に配布した資料をよく読み,構造物の動的解析に関する基礎的な事柄は復習することが望ましい。■成績評価方法演習課題を提示し,レポートの形で提出してもらい,試験の結果と総合して評価する。課題等の実施結果については個々にコメントする。■教科書講義用テキストは適宜配布する。■参考書,資料等道路橋示方書・同解説 V耐震設計編:日本道路協会 2002鉄道構造物等設計標準・同解説 耐震設計:鉄道総合研究所 1999塑性・粘弾性:山田嘉昭著 培風館 1980塑性の有限要素法:D.R.J.オーエン/E.ヒントン著 山田嘉昭訳 科学技術出版 1988マトリックス有限要素法:O.C.ツィンキーヴィッツ/R.L.テイラー著 矢川・大坪・三好監訳 科学技術出版 1996

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コンクリート構造設計特論 Safety and Design of Concrete Structures.

1年後期╱2単位 高橋 義裕

■授業の概要・方法

兵庫県南部地震では多くのコンクリート構造物が甚大な被害を受けたことから,従来よりも大きな地震動に対

するコンクリート構造物の構造解析法や設計法が学会基準に規定された。本講義では,この直下型の地震荷重ば

かりではなく,極低温・高温の温度荷重,高応力,衝撃荷重などの極限環境状態に置かれたコンクリート構成材

料の特性,および構造物の構造解析法や設計法について理解する。

■授業の到達目標

コンクリート構成材料の正確な特性に基づいて,種々の荷重条件を受けるコンクリート構造物の構造解析や設

計を行うことができる。

■授業計画

第1回 序論 極限環境・極限状態とは,対象となるコンクリート構造物,構造解析と設計理論の概要

第2回 極低温環境における構造材料の特性 極低温燃料の貯蔵施設,極低温環境下の力学特性・熱特性

第3回 極高温環境における構造材料の特性 火災環境,高温エネルギー施設,極高温環境下の力学特性・熱特性

第4回 高圧縮応力下の構造材料の特性 高水圧を受ける構造物,脆性から延性への変化,終局強度基準,亜弾性理論による構成則

第5回 高速度下の構造材料の特性 飛来物の衝突,構造材料のひずみ速度依存性

第6回 放射線環境 原子力発電所におけるコンクリートの利用,放射線の遮蔽,放射線による劣化

第7回 海岸などの高塩分環境 飛沫帯の環境,塩分の浸透理論,塩分による鉄筋腐食

第8回 酸などの化学的環境 酸・アルカリ・海水などによるコンクリートの劣化,アルカリ骨材反応

第9回 温度荷重に対する構造解析・設計理論 平均剛性法,ひび割れ断面に基づく設計法,高温クリープ解析法

第10回 耐久性設計法 従来の耐久性設計法,性能照査型の耐久性設計法

第11回 衝撃荷重に対する構造解析・設計理論 局部破壊と全体応答,裏面剥離限界厚さの評価式,貫通限界厚さの評価式

第12回 衝撃荷重に対する構造解析・設計理論 全体応答の解析・設計例

第13回 地震荷重に対する構造解析・設計理論 兵庫県南部地震および東北地方太平洋沖地震の被害状況,耐震設計法の変遷

第14回 地震荷重に対する構造解析・設計理論 レベル1地震動,レベル2地震動,直下型地震動,レベル1地震動に対する構造解析・設計法

第15回 地震荷重に対する構造解析・設計理論 レベル2地震動と直下型地震動に対する非線形構造解析・設計法

■履修の心得および準備等

本科目では,極限環境・極限状態におかれたコンクリート構造物の構造解析,設計理論を取扱うので,その基礎となる通

常のコンクリート構造物設計法について十分理解しておくこと。

■準備学習の内容

構造解析には有限要素法による数値シミュレーションを主に用いるので,有限要素法の基礎をあらかじめ学習してほし

い。

■成績評価方法

理解度を見るためにレポートを課す。このレポートと期末試験の成績を総合して評価する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

なし。

■参考書,資料等

なし。

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材料強度学特論 Advanced Fracture Mechanics

1年後期╱2単位 高橋 義裕

■授業の概要・方法

「破壊力学」とその「コンクリート構造への応用」について行う。初めに,「破壊力学」とはどういうものかに

ついて,その歴史的発展過程を踏まえながら概説する。そして,主に金属材料を対象として発展してきた線形破

壊力学,弾・塑性破壊力学について行い,次にコンクリート構造及びコンクリート構造設計への破壊力学の応用

について行う。

■授業の到達目標

1.線形破壊力学を理解し,説明できること。

2.弾塑性破壊力学を理解し,説明できること。

3.鉄筋コンクリート部材の破壊挙動を理解し,説明できること。

■授業計画

第1回 破壊力学の概説と歴史―1 ・初期の破壊力学 ・第2次大戦後の破壊力学 ・最近の破壊力学

第2回 破壊力学の概説と歴史―2 ・破壊力学の設計への適用 ・材料による破壊への影響 ・次元解析の概要

第3回 線形弾性破壊力学―1 ・応力集中におけるひびわれの影響 ・KとGとの関係

第4回 線形弾性破壊力学―2 ・グリフィスのエネルギーバランス ・エネルギー開放率

第5回 線形弾性破壊力学―3 ・不安定性とR-曲線 ・平面応力と平面ひずみ

第6回 線形弾性破壊力学―4 ・ひびわれの応力解析 ・ひび割れ先端部の塑性域 ・破壊基準としてのK-値

第7回 弾・塑性破壊力学―1 ・ひびわれ先端開放変位(CTOD)

第8回 弾・塑性破壊力学―2 ・J積分 ・J-積分とCTODとの関係

第9回 弾・塑性破壊力学―3 ・ひびわれ進展抵抗曲線

第10回 弾・塑性破壊力学―4 ・J-積分制御型の破壊

第11回 弾・塑性破壊力学―5 ・供試体の寸法効果

第12回 コンクリート構造への破壊力学の応用―1

・プレーンコンクリートの基本的力学特性の寸法効果と破壊力学・付着 ・定着特性と破壊力学

第13回 コンクリート構造への破壊力学の応用―2

・鉄筋コンクリート部材の挙動解析と破壊力学

第14回 コンクリート構造設計への破壊力学の応用―1

・現行基準への破壊力学導入の可能性

第15回 コンクリート構造設計への破壊力学の応用―2

・構造設計への破壊力学の適用と問題点

■履修の心得および準備等

学部で学習した「数学の基礎(線形代数・微積分)」関係,「構造力学」関係,「鉄筋コンクリート工学」関係について,

理解を深めておいてもらいたい。

■準備学習の内容

1.高等学校や大学初年度で学んだ「数学」や「力学」の基礎知識が必要不可欠です。

2.事前配布された資料等には必ず目を通し疑問点や質問事項を整理するとともに予習を行っておくこと。

■成績評価方法

演習課題を提示し,レポートの形で提出してもらい総合的に評価する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

T.L.Anderson著

Fracture Mechanis-Fundamentals and Applications.

― ―18

土質力学特論 Soil Mechanics

1年後期/2単位 小野 丘

■授業の概要・方法

地盤に作用する荷重と土の自重によって地盤内に発生する静的応力とその表現方法を,文献の精読を通して学

ぶ。

■授業の到達目標

土質力学の基礎となる応力解析,強度,ダイレイタンシー,限界状態などの内容を正確に理解して,それらの

適切な表現と解釈ができるようになること。

■授業計画

第1回 応力解析1 応力の定義

第2回 応力解析2 平面ひずみと軸対称

第3回 応力解析3 モールの応力円

第4回 土の強度 強度の定義

第5回 摩擦1 内部摩擦角と強度

第6回 摩擦2 せん断応力と直応力

第7回 一面せん断1 試験の特徴

第8回 一面せん断2 試験結果の解釈

第9回 一面せん断3 試験結果の表現

第10回 ダイレイタンシー1 ダイレイタンシーの定義

第11回 ダイレイタンシー2 土のダイレイタンシー

第12回 限界状態1 限界状態の定義

第13回 限界状態2 限界状態の表現

第14回 演習1 演習課題による理解の促進

第15回 演習2 演習課題による理解の促進

■履修の心得および準備等

講義では,テキストとして英文献を用いるので事前の十分な予習が必要である。必要に応じて課題を課す。テキストは事

前に配布する。

■準備学習の内容

事前に配布されるテキストを十分予習することが必須である。単語や文の表面的な意味の翻訳に終始するのではなく,内

容の理解に努めること。理解を促進するために関連する他のテキストの内容を参照することを推奨する。

■成績評価方法

講義内容の理解度,演習課題の達成度などを総合的に評価する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

講義に先立って配布する。

■使用文献

Soil Mechanics,3rd edition William Powrie CRC Press,2014

― ―19

地盤工学特論 Advanced Soil Foundation Engineering

1年前期╱2単位 上浦 正樹

■授業の概要・方法土木構造物は地盤の上に構成されるが,地震時にはその影響を地盤を介して受ける。本授業は地盤関係の事故事例に基づき,土質力学の活用について学ぶ。また,地震時の地盤の挙動を重点に耐震設計法に基づき,実際の事例によって進める。また,簡易なプログラムによって地震時の上部,下部,基盤の含む土木構造物全体の変位,応力を求め,地盤の液状化による影響を検討する。■授業の到達目標地盤の耐震設計法を理解し,地盤に関する事故や災害に応用できること。■授業計画

第1回 地質調査 構造物の暗転,地盤の支持力,地盤ばね係数

第2回 擁壁の設計法の要点 擁壁の設計法の特徴

第3回 杭の設計法の要点 杭の設計法の特徴

第4回 地盤関係構造物の事故事例研究⑴ 仮設構造物の事例

第5回 地盤関係構造物の事故事例研究⑵ 擁壁の事例

第6回 地盤関係構造物の事故事例研究⑶ 盛土の事例

第7回 地盤関係構造物の事故事例研究⑷ 舗装の事例

第8回 地盤関係構造物の事故事例研究⑸ 地下構造物の事例

第9回 地震動 設計震度と構造物のモデル化

第10回 杭の耐震設計⑴ 応答塑性率,当価線形法

第11回 杭の耐震設計⑵ 地盤固有周期,降伏震度スペクトル

第12回 杭の耐震設計⑶ 液状化判定,累積損傷度理論

第13回 杭の耐震設計⑷ 耐震性能照査

第14回 地盤の弾性論⑴ 地盤内の応力の推定法

第15回 地盤の弾性論⑵ 粒状体地盤の力学

■履修の心得および準備等

土質力学に興味のあるものの履修が望ましい。

■準備学習の内容

授業で示す課題を考察し,不明な点を調べて授業に臨むこと。

■成績評価方法

レポート等で総合的に判断する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

プリントを配布する。

■参考書,資料等

土質力学 山口柏樹 技報堂 1990

高有機質土の地盤工学 小暮敬二 東洋書店 1995

耐震設計法/限界状態設計法 鹿島建設土木設計部 鹿島出版会 1993

道路橋の耐震設計に関する資料 日本道路協会 1995

鉄道構造物等設計標準・同解説 基礎構造物・抗土圧構造物 鉄道総合研究所 1995

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都市システム計画学特論 Advanced Urban System Planning

1年前期/2単位 東本 靖史

■授業の概要・方法

これまでの都市計画や交通計画の変遷や役割について土木工学の視点から論考し,さらには人口減少や高齢社

会など,現在の社会情勢が抱える課題を解決する新たな都市システムの構築を目指すものである。また,実デー

タによる都市交通や都市経営のシステム分析手法についても取り上げ,実務と学理を融合した都市システムの体

系化について研究を進める。

■授業の到達目標

都市計画及び交通計画に関する基礎理論と応用を習得するとともに,都市交通・経営におけるシステム分析が

できる。

■授業計画

第1回 都市システム計画学序論 「都市」および「システム」の定義について考究し,都市システムに関する計画論について議論する。

第2回 日本の都市計画⑴ 日本の都市計画の変遷について論説し,新たな社会情勢に応じたまちづくりについて議論する。

第3回 日本の都市計画⑵ 都市計画の成立や近代都市計画への転換について論説し,都市計画の必要性について議論する。

第4回 日本の都市計画⑶ 全国総合開発計画における目標と戦略について論説し,国土発展の変遷や国土ビジョンの必要性について議論する。

第5回 都市・都心交通とまちづくり 北海道および札幌市における都市・都心の将来像について論説し,都市・都心交通のあり方について議論する。

第6回 地域交通とまちづくり 地域の将来像について論説し,地域交通とまちづくりのあり方について議論する。

第7回 都市交通におけるシステム 都市交通における分析の実例を紹介し,将来の都市交通について多様な視点から論説する。

第8回 都市経営におけるシステム 都市経営における分析の事例を紹介し,将来の都市経営について多様な視点から論説する。

第9回 都市交通・経営におけるシステム分析の実践⑴

産業連関分析や包絡分析法などの経営統計学や経済分析の適用方法について論説し,実データを用いたシステム分析の実践を行う。

第10回 都市交通・経営におけるシステム分析の実践⑵

第11回 都市交通・経営におけるシステム分析の実践⑶ 〃

第12回 地域公共交通⑴ 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律,地域公共交通網形成計画,地域公共交通再編実施計画など地域交通の現状について論説する。

第13回 地域公共交通⑵ 公共交通が抱える課題や必要性,持続可能な公共交通について論説し,地域交通のあり方について議論する。

第14回 地域公共交通⑶ コミュニティバスやデマンド交通,自動運転バスなど公共交通の先進事例を紹介し,地域と公共交通の連携について議論する。

第15回 新たな都市・交通計画 市民と行政と事業者の協働について論説し,新たな都市・交通計画について議論する。

■履修の心得および準備等

講義はできるだけディスカッションを通して,それぞれの考え方をまとめることに目標をおく。したがって,事前の準備

を十分に行い,議論ができるような準備をすることが重要であり,積極的なディスカッションへの参加,あるいはプレゼン

テーション能力の体得を重点的に行う。

■準備学習の内容

初等解析学の基礎を習得している。

■成績評価方法

毎回の授業への積極的参加,レポートの提出,プレゼンテーション能力および最終レポートの評価等を通して総合的に判

断する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■参考書,資料等

資 料:必要に応じて,適宜配布する。

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交通計画学特論 Advanced transportation Planning

1年前期╱2単位 堂柿 栄輔

■授業の概要・方法

都市交通の管理と運用に関し現状分析の方法や問題点の把握及びその対策について説明します。講義では,分

析手法の説明が中心になりますが,演習の成果を皆さんが発表する機会も作ります。日常の交通現象に関し,自

ら問題意識を持つように心がけてください。

■授業の到達目標

1.技術者として総合的な観点から都市交通の問題と課題を把握する。

2.都市交通が外部経済,外部不経済に与える影響を理解する。

■授業計画

第1回 多変量解析法について 多変量解析の考え方と必要性

第2回 単回帰分析 1 最小2乗法と回帰係数の決定

第3回 単回帰分析 2 相関係数の算出とその意味

第4回 単回帰分析 3 予測の方法。時系列分析と横断面分析

第5回 重回帰分析 1 最小2乗法と回帰係数の決定

第6回 重回帰分析 2 説明変数の選択

第7回 重回帰分析 3 重相関係数の算出とその意味

第8回 重回帰分析 4 編相関係数と多重共線性

第9回 数量化 類分析 1 説明変数の選択と尺度論

第10回 数量化 類分析 2 回帰係数の算出の手順

第11回 数量化 類分析 3 重相関係数の算出の手順

第12回 数量化 類分析 4 予測の方法

第13回 数量化 類分析 1 外的基準の意味

第14回 数量化 類分析 2 カテゴリーアイテムの設定

第15回 数量化 類分析 3 予測の方法

■履修の心得および準備等

修士論文の作成を念頭に,この講義で得た知見を利用するまたは応用する意識を心がけて下さい。

■準備学習の内容

1.都市交通問題及び課題について,日常生活の中で意識(実感)すること。

2.交通手段の選択に与える幾つかの容認について,自身の経験に基づき理解すること。

■成績評価方法

試験結果と,演習問題及び試験結果等により評価します。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

講義にて説明します。多変量解析に関する本の中から適当なものを選定します。

■参考書,資料等

講義にて説明します。

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道路工学特論 Advanced Road Engineering

1年後期╱2単位 平澤 匡介

■授業の概要・方法冬期気象が道路交通に与える影響は大きく,冬期道路交通確保のために様々な取り組みがなされている。講義では,北海道の気象特性,積雪寒冷地域における事業制度,道路構造・設計,雪対策について札幌市の事例も交えて理解を深め,冬期気象が道路交通に与える影響を経済的側面から評価する方法についても学ぶ。■授業の到達目標積雪寒冷地域の気象特性,冬期道路交通確保のための事業制度,冬期気象の道路交通への影響・課題を理解する。また,道路交通への影響の評価法として,費用便益分析マニュアルに基づく計算方法を理解・習得する。■授業計画

第1回 概説 道路工学特論の進め方

第2回 積雪寒冷地域⑴ 北海道の気象特性

第3回 積雪寒冷地域⑵ 雪寒法,積雪寒冷地域における事業制度

第4回 積雪寒冷地域⑶ 雪寒法,積雪寒冷地域における事業制度

第5回 積雪寒冷地域⑷ 札幌市における雪対策事業

第6回 冬期道路管理⑴ 除雪・排雪作業

第7回 冬期道路管理⑵ 凍結路面対策

第8回 道路構造・設計⑴ 積雪寒冷地における道路構造,設計

第9回 道路構造・設計⑵ 積雪寒冷地における道路構造,設計

第10回 冬期交通特性⑴ 冬期気象が道路交通に与える影響

第11回 冬期交通特性⑵ 冬期気象が道路交通に与える影響

第12回 交通への影響評価⑴ 費用便益の分析方法,道路交通の三便益

第13回 交通への影響評価⑵ 冬期の速度低下,交通事故による損失の評価

第14回 交通への影響評価⑶ 演習課題による理解の促進

第15回 総括 講義のまとめ

■履修の心得および準備等

普段からできるだけ英語文献を参照する。

■準備学習の内容

授業で示す課題,関連する英語文献の内容を理解・考察する。

■成績評価方法

授業への出席,レポート,演習問題等により総合的に判断する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

配布プリントを使用

■参考書

道路構造令の解説と運用 日本道路協会 2015

費用便益分析マニュアル 国土交通省 道路局 都市・地域整備局 2008

除雪・防雪ハンドブック(除雪編)日本建設機械化協会 2005

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鉄道工学特論 Advanced Railway Engineering

1年後期╱2単位 上浦 正樹

■授業の概要・方法鉄道工学は,計画学,機械工学,土木工学,電気工学,情報工学,文化史など多岐にわたる分野を総合的に取り扱う工学である。今年度の授業では,このうち鉄道工学全体と土木施設を主体に学び,交通計画での鉄道関係で用いられている手法の体系と概念を示し演習する。また,鉄道工学に関する英文の文献により技術論文の読み方を学ぶ。■授業の到達目標工学に応用分野に位置する鉄道において,鉄道技術に用いられている基礎的な技術を理解し説明できること。■授業計画

第1回 鉄道工学の法体系 日本の鉄道における法体系と規制緩和

第2回 鉄道工学の基礎 基本的な鉄道工学の概念

第3回 技術基準の体系 技術基準の対象,騒音問題,移動者円滑化

第4回 線形と高速化 線形決定方法 高速化に必要な技術,運転制御システム

第5回 曲線の設定 走行安全性 脱線係数 車両構造

第6回 緩和曲線 緩和曲線の種類と意義

第7回 勾配と縦曲線 勾配,縦曲線の設定による鉄道施設の影響

第8回 建築限界と車両限界 各種限界と関連するホーム設備,電力設備

第9回 軌道材料 軌道材料に関する文献(英文)により英文読解力の養成

第10回 軌道材料 軌道材料に関する文献(英文)により英文読解力の養成

第11回 軌道材料 軌道材料に関する文献(英文)により英文読解力の養成

第12回 現場調査の発表 鉄道施設を写真にとりその機能について討論

第13回 交通需要予測⑴ 四段階推定法での発生・集中交通量,分布交通量の予測

第14回 交通需要予測⑵ 交通機関分担,配分交通量の予測

第15回 計画の経済評価 鉄道建設の経済評価

■履修の心得および準備等

講義方式で進める。鉄道という総合工学体系から計画学や工学のあり方を考える機会としたい。又,現物の写真をとり討

論することでプレゼンテーション力を養成する。

■準備学習の内容

授業で示す課題を考察し,不明な点を調べて授業に臨むこと。

■成績評価方法

レポート等で総合的に判断する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

鉄道工学 上浦正樹,須長誠,小野田滋 森北出版 2000年

■参考書,資料等

新しい都市交通システム 都市交通研究会 山海堂 1997年

新軌道力学 佐藤吉彦 鉄道現業社 1997年

鉄道車両特論 沖島喜八 交友社 1982年

新体系土木工学 交通計画 森地茂,山形耕一 技報堂 1993年

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水循環工学特論 Advanced Hydrologic Cycle Engineering

1年前期╱2単位 嵯峨 浩

■授業の概要・方法

水の循環過程のなかで,特に蒸発散,降雨流出および融雪流出の素過程と工学的取り扱いについて論じる。そ

れぞれ,メカニズムの解明,工学的取り扱いの基本である計算モデルおよび計算を主とした演習から構成される。

演習は実際に観測されたデータを用い,パソコンを使って計算を行う。

■授業の到達目標

地球上における水循環,特に降雨流出系の循環を理解できること。具体的には,蒸発散,融雪現象や降雨流出

現象の支配方程式を数値計算で解析することができ,研究発表会等においては他の研究事例を理解できることで

ある。

■授業計画

第1回 水循環序論 水の循環について基礎的な知識と背景を述べる。

第2回 蒸発散の物理的メカニズム 蒸発,蒸散の発生メカニズムを論じる。

第3回 蒸発散の観測方法 従来行われてきた観測方法とその特徴を紹介する。

第4回 蒸発散量推定モデル 現在,実用に供される推定モデルとその取り扱いについて論じる。

第5回 蒸発散に関する演習 蒸発散量推定モデルを用いた演習を行う。

第6回 降雨流出の物理的メカニズム 降雨,河道流出のメカニズムを論じる。

第7回 単位図法とその数学的意味 流出モデルの基礎である単位図法を紹介し,流出モデルの数学的意味を論じる。

第8回 タンクモデル 非線形モデルとして良く使用されるタンクモデルとその特徴を論じる。

第9回 貯留関数法 非線形貯留関数法の取り扱い方とその特徴を論じる。

第10回 流出解析に関する演習 実際に観測された降雨流出データーを用いて,流出解析を行う。

第11回 流出解析に関する演習 実際に観測された降雨流出データーを用いて,流出解析を行う。

第12回 融雪流出の物理的メカニズム 融雪のメカニズムと流出の特徴を論じる。

第13回 融雪流出モデル 融雪モデルの紹介とその特徴を論じる。

第14回 融雪流出に関する演習 融雪流出計算に関する演習を行う。

第15回 総合演習 総合演習を行う。

■履修の心得および準備等

基本的な微分・積分および微分方程式の解法について復習しておくこと。また,演習はパソコンを用いて行うので,ベー

シックやフォートランなどの計算言語およびアルゴリズム作成の基礎知識を身に付けておくこと。

■準備学習の内容

気象,降雨,河川流出等を観察する習慣を身に付けておくこと。また,微分・積分学などに精通し,プログラミング技術

も十分に駆使できるようにしておくこと。

■成績評価方法

演習とレポートによる総合評価

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

特になし。配布プリントを使用。

■参考書,資料等

特になし。

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河川学特論 Advanced Potamology

1年前期/2単位 許士 達広

■授業の概要・方法

河川における水資源の開発および保全について治水,利水および環境への理解を深め,計画および管理のあり

方を修得する。特に経済学的評価や,流域とのかかわり,資源配分・運用の最適化について取り上げ,理解を高

める。

■授業の到達目標

・水需要計画及び運用について理解し,貯水池計画の手法を説明できる。

・水文統計における極値理論・検定の内容を理解し,計算できる。

・河川環境や公共経済の評価理論について説明できる。

■授業計画

第1回 日本の水資源問題 水資源の需給状況と頻発する水資源問題と河川防災

第2回 水資源計画 水需要計画の決定法

第3回 水資源計画 水収支と水資源配分

第4回 水文統計 毎年確率と非毎年確率

第5回 水文統計 極値分布の種類

第6回 水文統計 回帰と確率,プロッティングポジション

第7回 水文統計 極値の信頼限界

第8回 水文統計 平均値の差の検定⑴

第9回 水文統計 平均値の差の検定⑵

第10回 水資源施設の運用 治水・利水両面を考えた運用,危機管理手法

第11回 治水経済 想定氾濫被害額,妥当投資額の算定

第12回 環境経済 CVM等の環境の経済評価手法

第13回 利水経済 渇水被害額,利水目的毎の便益の算定

第14回 多様な水資源開発 地下水開発,塩水淡水化など

第15回 まとめ これからの水資源開発と管理

■履修の心得および準備等

河川工学,防災工学,環境統計学・演習,品質管理・演習で学習した内容を復習しておくこと。

■準備学習の内容

各講義において30分以上の予習・復習をすることが望ましい。

■成績評価方法

レポート等で総合的に判断する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

特に指定せず。

■参考書,資料等

基礎資料を随時配布。

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水環境工学特論 Advanced Water Environmental Engineering

1年前期╱2単位 余湖 典昭

■授業の概要・方法河川,湖沼および海域などの水環境に対して,各種の建設事業が与える影響について講義する。さらに環境影響を低減するための工学的手法,環境影響評価とその検証等について,既往の事例を取り上げる。なお水環境とは水域のみを意味するものではなく,水域周辺の土壌,植生および動物群集等を含むものであり,応用生態工学的な幅広い視点から水環境について講義・議論することを目的とする。■授業の到達目標水環境を総合的に理解することを目標とする。すなわち工学的技術に加えて,特に生態学的視点から水環境を理解する能力を身に着ける。■授業計画

第1回 水質基準⑴環境基本法と環境基準

環境基本法に定められている,水の環境基準の内容とその歴史的な変遷について学び,わが国の環境行政に関する理解を深める。

第2回 水質基準⑵水質汚濁防止法と排水基準

水質汚濁防止法に定められている排水基準の内容について学び,建設工事との関連性についても学ぶ。

第3回 建設工事による排水の発生 各種建設工事により発生する排水の量および質について,具体的な事例をもとに学ぶ。

第4回 建設工事による排水の処理 建設工事排水の処理法,および処理施設の設計の方法について学ぶ。

第5回 河川環境⑴新河川法

平成9年に改正された新河川法について学び,河川環境整備の手続き,環境保全の考え方について講義する。

第6回 河川環境⑵河川生態学(その1)

河川を生活の場とする,魚類,底生動物,付着藻類などの生態と共生関係について学び,河川生態系に関する理解を深める。

第7回 河川環境⑶河川生態学(その2)

河川生態系と重要な関係を持つ,流域の植生,動物の生態について理解を深め河川の役割に関する広い視点を養う。

第8回 河川環境⑷近自然工法(外国の事例)

スイス,ドイツなどの事例を参考に,河川の近自然工法について講義する。

第9回 河川環境⑸近自然工法(日本の事例)

伝統工法を含めて,わが国の近自然工法の実例を学ぶ。

第10回 湖沼環境 湖沼,貯水池などの停滞水域の水環境について富栄養化の問題を中心に学ぶ。

第11回 海域環境 主に内湾の水環境に注目し,具体的な事例を基に海域の水環境の理解を深める。

第12回 環境影響評価法 環境影響評価法の内容について学ぶ。特に制定に至る歴史,建設行為との関連性,手続きについて講義する。

第13回 環境アセスメント⑴ 既往の建設工事を事例として,環境アセスメントに関する調査計画の策定を行う。

第14回 環境アセスメント⑵ 前回に引続き調査計画の策定を行うが,特に内容に関して全体で議論を行い評価書の概要をまとめる。

第15回 環境アセスメント⑶ 実際の評価書と比較しながら,内容について全体で議論を重ね,問題点を明らかにする。

■履修の心得および準備等

この講義では,生物・生態学などの分野の知識も必要である。学生諸君には馴染みの薄い分野ではあるが,環境問題の理

解には不可欠な知識であり,広い視野を持って積極的に学ぶことを期待する。また現実的な種々の制約と環境への配慮を両

立させるためには,技術者としての力量が問われることになる。講義における議論を通して,技術の裏づけとなる環境に対

する哲学を学んでほしい。

■準備学習の内容

事前に講義資料を配布するので,事前に学習しておくこと。特に,工学分野以外の専門用語等については,事前に十分理

解しておくことが必要である。

■成績評価方法

出席状況,発言回数,レポートおよび試験結果を総合的に判断して評価する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

なし。

■参考書,資料等

講義時に随時配布する。

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環境情報工学特論 Advanced Environmental Information

1年後期/2単位 谷 宏

■授業の概要・方法様々なスケールの環境調査や災害調査,地域計画等の分野で利用されているリモートセンシングについて,デー

タの取得方法と特性,解析手法等の基本事項を習得することにより,画像データから抽出できる情報の本質を理解し,環境解析に応用する方法を学ぶ。また,環境解析にとって重要な地理空間情報の特性を理解し,地理情報解析システム(GIS)の応用について学ぶ。さらに,実際に衛星データや地理空間情報を使用した解析を行うことにより理解を深める。■授業の到達目標地上の環境情報を抽出できる技術であるリモートセンシングと地理情報システムについて,環境調査や土木事業に対して基礎資料を与えたり土地を合理的に管理したりする上での重要性を説明できる。具体的には,1)リモートセンシングの基礎理論および解析手法を説明できる。2)陸域の情報を解析する上で重要な技術であるGISの基本事項を列挙できる。3)目的に応じてリモートセンシングデータや地理空間情報の利用法を選択し計画することができる。■授業計画

第1回 衛星画像解析の基礎 プラットフォームとセンサの種類を知り,それぞれの特性を理解する。

第2回 放射の基礎 リモートセンシングに用いられる電磁波と関連する主要な法則を理解する。

第3回 分光反射特性 人工物・水・土壌・植生の分光反射特性の重要性を認識し,その応用を考察する。

第4回 地表面温度の推定 熱放射の計測を利用した表面温度の推定法を理解する。

第5回 リモートセンシングの画像処理⑴ カラー合成画像の作成,画像間演算の基礎と応用を学ぶ。

第6回 リモートセンシングの画像処理⑵ 幾何補正の重要性を認識し,処理法を理解する。

第7回 衛星データ解析(学外演習) カラー合成画像の作成とシュードカラー表示を理解する。

第8回 衛星データ解析(学外演習) 熱画像データを用いて地表面温度の分布を調査する。

第9回 土地被覆分類 土地被覆分類の原理と手法を理解し,その応用について考える。

第10回 マイクロ波リモートセンシング マイクロ波を用いたリモートセンシングの原理を理解し,その応用について学ぶ。

第11回 地理情報システム(GIS) 地理空間情報について学び,GISの原理と応用について理解する。

第12回 衛星データ解析(学外演習) 衛星画像から得られる植生指数と地表面温度の関係を調査する。

第13回 GIS解析(学外演習) 地理情報システム(GIS)を用いて地理空間情報の理解を深める。

第14回 GIS解析(学外演習) ダウンロード可能な地図情報を用いて主題図を作成する。

第15回 地理空間情報処理の応用 リモートセンシングとGIS技術の応用について実例を通して理解する。

■履修の心得および準備等画像や地図の情報を扱うため,それらの基礎知識を得ておくことが望ましい。■準備学習の内容一般のコンピュータソフトウェアの使用法に習熟しておく。■成績評価方法出席状況や講義・演習の理解度,レポートの内容から総合的に評価する。課題等の実施結果については個々にコメントする。■教科書なし。■参考書,資料等基礎からわかるリモートセンシング:日本リモートセンシング学会編,理工図書

GISと地理空間情報:橋本雄一,古今書院

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社会環境工学特論ゼミナールⅠ・Ⅱ Advanced Seminar on Civil EngineeringⅠ・Ⅱ

Ⅰ 1年後期/必修/3単位Ⅱ 2年前期/必修/3単位 建設工学専攻(社会環境系)各教員

■授業の概要・方法

土木工学の諸問題を対象に特定のテーマを設定し,指導教員がゼミナール形式で問題解決能力を育成する。

以下は,各教員による授業の概要である。

・高橋 義裕

ここでは,次のような内容について国内外の研究論文及び関連図書・資料に基づいてゼミナール形式で行う。

⑴ 鉄筋コンクリートはりのせん断耐力算定のためモデル化,

⑵ 鉄筋コンクリートスラブの押抜せん断耐力算定式の高精度化,

⑶ 鉄筋コンクリート部材の補修・補強に関する設計法の確立,等である。

・許士 達広

河川における治水,利水および環境に関する最近の課題について,文献や報告書等をもとに調査し,課題の

研究に必要な技術,例えば水文統計解析,最適水運用理論,土砂水理,河川生態等に関するゼミナールを行う。

・余湖 典昭

自然水域の水質は,化学的,物理的および生物学的な要因によって支配される。このゼミナールでは,これ

らの支配要因について学び,さらに水質の解析・予測手法について理解を深めることを目的とする。また寒冷

地の特徴である,積雪あるいは融雪洪水が水質環境に及ぼす影響についても学ぶ。ゼミナールは,主に既往の

研究論文を教材として,討論を主体とした方法で進める。

・堂柿 栄輔

我が国での都市交通の管理と運用について,現状での問題点とその解決の考え方を説明します。例えば都心

部での交通現象を見た時,限られた空間での交通主体の共存の方法が交通管理上の重要な課題となります。こ

の講義では,この「交通主体」と「共存」の考え方を中心に説明します。

・嵯峨 浩

このゼミナールは,降雨流出現象に関する基礎的事項について解析と演習を行う。具体的には,流出現象の

物理的メカニズムの解明や,集中型流出モデル及び分布型流出モデルの誘導とその適用手段等である。いずれ

もコンピューターによるアルゴリズムの構築とプログラミングは学生自身による。

・小野 丘

土と地盤の凍上現象を解析するために,主に土の凍結機構とその表現方法についてのゼミを行う。また,地

盤の凍結・凍上現象を正確に把握するための室内実験方法と得られる指標の解釈,結果に及ぼす諸要因の詳細

な解説を行う。これらを通して地盤の凍上現象についての本質的理解を促し,その工学的応用力を養う。

・小幡 卓司

社会基盤構造物としての橋梁を例として,余寿命,劣化の考え方,長寿命化などに関して,各種文献や論文

などに基づいて学習し,橋梁や付属構造物の点検に関して,十分な基礎知識を身に付ける。また,構造ヘルス

モニタリングと,それに関するデータ収集・解析方法,構造同定の基礎に関して習得する。これらを学ぶこと

によって,特別研究を遂行する能力を養うことを目的とする。

・鈴木 聡士

都市・地域計画および交通計画に関連した実例や研究事例などに関する情報を収集し,それらについて深く

考察する。また,計画に関連したシステム分析手法等の知識を広く習得するとともに,その応用方法について

ディスカッションする。

■授業計画

具体的な授業計画は設定したテーマによるため,指導教員がその都度設定する。

■履修の心得および準備等

1年前期の受講科目を十分に学習し,理解しておくこと。

■成績評価方法

指導教員がテーマに応じて設定する。

課題等の実施結果については個々にコメントする。

■教科書

テーマに基づき,指導教員が選定する。

■参考書,資料等

テーマに基づき,指導教員が選定する。

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▶送り変更

社会環境工学特別研究Ⅰ・Ⅱ Advanced Research on Civil EngineeringⅠ・Ⅱ

Ⅰ 2年前期/必修/3単位Ⅱ 2年後期/必修/3単位 建設工学専攻(社会環境系)各教員

■授業の概要・方法

以下は,各教員による授業の概要である。

・高橋 義裕

ここでは,ゼミナールにおいて行った議論に基づき研究を進め,修士論文作成のための研究指導を行う。研

究テーマの例としては次のようなものが考えられる。⑴鉄筋とコンクリートとの付着挙動について,⑵鉄筋コ

ンクリートスラブの押抜せん断耐力について,⑶連続繊維補コンクリートはりの曲げ耐力について,等である。

・許士 達広

ゼミナールで修得した技術をもとに,貯水池の最適計画および運用,魚類および底生動物の生息水環境,流

域の水収支や土砂収支,河道計画統計理論等各自が選定したテーマについて,修士論文を完成させるための研

究指導を行う。

・余湖 典昭

特定の自然水域(河川,湖沼,地下水など)を対象として,その水質,あるいは生物を含めた水環境を研究

テーマとする。研究手法としては,フィールド調査が基礎となる。研究目的は対象とするフィールドにより異

なるが,汚濁のメカニズムの解析,水質(水環境)の保全・回復あるいは解析・予測手法(モデル)の開発な

どがテーマとして挙げられる。

・堂柿 栄輔

修士論文の作成では,各テーマについての自身の問題意識と,データ処理の技術が必要です。これらのこと

は,学部及び修士課程での講義を通じて学んできましたが,得られた成果を相手に伝える方法や技術も非常に

重要なことです。この講義では,蓄積された知識を整理し,問題解決の施策を提案する技術を指導します。

・嵯峨 浩

山地流域における流出メカニズムの解明及び防災対策の一環として,融雪流出も含めた流出予測モデルの構

築に関する研究を行う。より理想的な流出モデルの開発が主なテーマとなるが最終的には,予測理論とのカッ

プリングを目指す。

・小野 丘

モールド型凍上試験機やモデル試験機を用いた精密な凍結・凍上実験および数値解析を通して,凍結中およ

び凍結・融解後の地盤や構造物が示す挙動を明確にするための研究を行う。特に,凍上発生機構,自然凍上の

量的解析,斜面の凍上解析などをテーマとし,地盤の凍上現象とそれが与える影響に関する未解明な部分の一

端を明らかにする研究を進める。

・小幡 卓司

社会基盤構造物に関して,卒業研究や社会環境工学特論ゼミナールで学んだ理論や手法を生かして,現在発

生している問題点について学生自身が主体的にテーマ設定を行い,それに応じた実験や解析を通じて,修士論

文の完成に向けた指導を実施する。また,プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力の向上を目指し,

原則として,土木学会北海道支部などへの論文投稿・発表を行う。

・鈴木 聡士

ゼミナールにおいて収集した都市・地域計画および交通計画に関する知見や情報,さらには習得したシステ

ム分析に関する手法や知識を活用して,各自が興味のある研究テーマを設定する。その上で,修士論文を完成

させるための研究指導を行う。

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