地理情報を考慮したP2P ストリーミングOptimized P2P Streaming
with Geographical Informationg p
後藤研究室 修士2年
5109B021‐9 大村淳己
【関連発表】【関連発表】大村淳己,高田和也,後藤滋樹, Location Based Clusteringを用いたP2Pストリーミング, 電子情報通信学会技術研究報告, vol. 110, no. 373, IN2010 124 pp 37 42 2011年1月
1
IN2010‐124, pp.37–42, 2011年1 月.
目次目次
1. 研究背景
2. 研究目的
3 提案内容3. 提案内容
– Location Based Clustering
ピース選択アルゴリズム Earliest First– ピース選択アルゴリズム Earliest First
4. 実験① クラスタリング実験① クラスタリング実験
② ピース選択アルゴリズム改造実験
③ クラスタ内ダウンロード実験③ クラスタ内ダウンロ ド実験
5. まとめ
2
研究背景研究背景
• 高画質動画の数が増し,ユーザの動画に対する需高画質動画の数が増し, ザの動画に対する需要も高まっている.
• 限られたリソースの中で如何にして安定した配信が• 限られたリソ スの中で如何にして安定した配信が行えるかが長年の技術的な課題となっている.
• 従来のクライアント サーバモデルの配信ではスケー• 従来のクライアント‐サーバモデルの配信ではスケーラビリティに限界があり,加えて非常にコストが高い.
3
研究目的研究目的• 目的
① 地理情報に基づいたP2Pネットワークを構成することでトラン① 地理情報に基づいたP2Pネットワークを構成することでトランジットコストを減らす.
② ストリーミングシステムに適したアルゴリズムをBitTorrentに適②用することにより,P2Pを利用したストリーミングシステムを実現し,実ネットワークであるPlanetLab上で評価する.
成果物• 成果物
– BitTorrentを利用したロケーションベースの高画質ストリーグミングシステム.
4
提案内容Location Based Clustering
• ピアの地理情報(緯度・経度)を用いてクラスタリングを行い,( )P2P通信をそれぞれのクラスタ内に閉じる.ピア間通信におけるトランジットコスト減少.
近接ピア選択による通信速度の向上.
Intelligent LeecherIntelligentTracker Original
Seeder
Normal Seeder
5C1 C2 CN
BitTorrentBitTorrent
• 2001年に開発された大容量コンテンツ配信向けソフトウェア及びプ ト 最も普及し る及びプロトコル.最も普及しているP2Pの一つ.
• トラッカーから受け取ったピアリストから接続先を決め,
ピ ば な単 すピースと呼ばれる小さな単位で相互通信する.
• 用語– トラッカー
• ピアやピアの持つファイル情報の管理
– リーチャ
Trackerリ チャ
• ダウンロード中のピア
– シーダ
• ダウンロードが完了したピア
6BitTorrentNetwork
既存BitTorrentシステム通常 ト カ通常のトラッカー
ピア情報登録処理
NormalTracker
通常のトラッカーは単純なRequest
処理ピア情報の管理を行うだけ.
P2PピアUserDB
ピアリスト渡し処理
xx.xx.xxx.xxxxx.xxx.xx.xxx
7
xx.x.xxx.xxx…
提案BitTorrentシステムイ リジ ト ト カインテリジェント・トラッカー
IntelligentTracker地理情報
取得処理クラスタリング
処理
ピア情報登録処理
Request取得処理 処理処理
クラスタリング結果P2PピアUserDBDB
ピアリスト渡し処理xx.xx.xxx.xxx
8
xx.xxx.xx.xxxxx.x.xxx.xxx…
提案内容ピ 選択 ゴリズム 改造ピース選択アルゴリズムの改造
• BitTorrentのピース選択アルゴリズムをストリーミング配信に適した形 に変更する適した形のEarliest‐Firstに変更する.
既存手法 採 手法既存手法Rarest‐First
採用手法Earliest‐First
ピースの取得が再生と無関係↓
ユーザの待ち時間 大
ピースの取得が再生と相関関係↓
ユーザの待ち時間 小ユ ザの待ち時間 大 ユ ザの待ち時間 小
9
実験一覧実験 覧
• 実験1:クラスタリング実験– クラスタリング手法の概要とその評価を行う.
• 実験2: ピース選択アルゴリズム改造実験– ピース選択アルゴリズムを実際に動かし評価する.
• 実験3: クラスタ内ダウンロード実験– 実験1,2で得られた結果を元に,PlanetLab上で評価を行う.
10
PlanetLabPlanetLab
• PlanetLabはインターネット上に展開する大規模テストベッド.2010 年11月の時点で世界519拠点1138 ノ ドが稼働中月の時点で世界519 拠点1138 ノードが稼働中.
• 問題点
一部地域にノードが集まっている.
生ネットワークゆえにノードが不安定.
大学機関のネットワーク経由がほとんど.
PlanetLabノードの参加国PlanetLabノードの分布図
42%29%US
EU
JP
21%
4%
4%JP
PL
その他
11
実験1 :クラスタリング実験実験1 : クラスタリング実験
• 目的
ノ ドの地理情報に基づいたクラスタリング手法に いて検– ノードの地理情報に基づいたクラスタリング手法について検討する.今回利用したPlanetLabノード数は618.
• 実験内容• 実験内容
– ノード数増減時のクラスタ数の変化について
12
実験1-1 : ド数増減時 ク タ数 変化ノード数増減時のクラスタ数の変化について
• オリジナルシーダのみ*(n=30, k=4),全ノード参加時( 618 k 15)を結んだ線形関数を利用する(n=618, k=15)を結んだ線形関数を利用する.
• PAM (Partition around medoids)をクラスタリングアルゴリズムとして採用.
参加ノ ド数に応じた
16
参加ノード数に応じた
クラスタ数の変化
101214
タ数
468
クラスタ
02
30 83 36 89 42 95 48 01 54 07 60 18
13
3 8 13 18 24 29 34 40 45 50 56 61
参加ノード*コンテンツ配布者側が用意するシーダ
実験2:ピース選択アルゴリズム改造実験比較手法比較手法
既存手法既存手法
全ピースにRarest‐First適用 (通常のBTアルゴリズム)
提案手法(1)
全ピ スにRarest First適用.(通常のBTアルゴリズム)
提案手法(1)
最初の100ピースをEarliest First 残りのピースはRarest‐First
提案手法(2)
最初の100ピ スをEarliest First,残りのピ スはRarest‐First.
提案手法(2)
全ピースにEarliest‐First適用
14
全ピ スにEarliest‐First適用.
実験2:ピース選択アルゴリズム改造実験実験2: ピ ス選択アルゴリズム改造実験
• 目的– ピース選択アルゴリズムを改造し,PlanetLab上でダウンロード実験を
行い,ストリーミング配信に適していることを示す.
• 実験内容• 実験内容– CentOS‐5.5‐x86_64‐LiveCD (694.4M) をストリーミングコンテンツと見立
ててダウンロード.1ピース256KB,2Mbps配信とすると1ピースの再生時間は1秒,計50分弱の動画となる.
※ CentOSを選んだ理由はシーダが豊富で効率的に実験できるため.
評価項目• 評価項目– ダウンロード速度の比較
– 累計待ち時間の比較
パラメタ 値
コンテンツサイズ 694.4M– 累計待ち時間の比較CentOS‐5.5‐x86_64‐LiveCD
配信ビットレート 2Mbps
ピ スサイズ 256KB
15
ピースサイズ 256KB
実験2‐1: ピース選択アルゴリズム改造実験ダウ ド速度 比較ダウンロード速度の比較
4500
3500
4000
2500
3000
速度
(KB/s)
2000
ウンロード速
1000
1500
ダウ
提案手法(2)がもっとも低速=>しかし再生に間に合っているなら問題ない
0
500
2Mbps
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450
経過時間 (sec) 16
実験2‐1: ピース選択アルゴリズム改造実験経過時間と待ち時間の関係経過時間と待ち時間の関係
取得ピースが動画再生と無関係のためバッファによらず待ち時間は改善していない
バ ピ ダ
• waiting time : コンテンツを再生してからの待ち時間,buffer時間は含まない
• buffer :再生開始時の初期バッファリング時間バッファ時間に初期ピースをダウンロードできるため待ち時間を大幅に削減できている
提案手法(1)よりさらに削減できている
• buffer : 再生開始時の初期バッファリング時間
• try : 再生ピースが存在しない時の再検索回数
300
buffer=10sec, try=3
提案手法(1)よりさらに削減できている
300
buffer=30sec, try=3
200
250
300
間(sec)
200
250
300
100
150
200
計待
ち時
間
100
150
200
0
50
100
累計
0
50
100
0
0 100 200 300 400
経過時間 (sec) 17
0
0 100 200 300 400
経過時間 (sec)
実験3: クラスタ内ダウンロード実験概要概要
• 実験内容
3‐1: 全ノード参加時 (ノード数618,クラスタ数15)
• アジア地区 (class 15)
• アメリカ東海岸地区 (class 3)
• 南米地区 (class 2)
• 評価項目– 各クラスタの平均通信速度
– 各クラスタの累計待ち時間の分布
18
実験3‐1: クラスタ内ダウンロード実験各ク タ 平均通信速度各クラスタの平均通信速度 RF: Rarest First 既存手法
EF: Eariest First 提案手法
2500
3000
EFでは通信速度が低下
1500
2000 ピース番号を考慮する必要がないRFの方が通信速度がよいことが分かった
500
1000 地区のネットワーク状況
に大きく依存
よいことが分かった.
0
500
RF EF RF EF RF EF
に大きく依存
Downは配信ビットレートを大
2Mbps
RF EF RF EF RF EF
アジア地区 米東海岸地区 南米地区 C2
幅に上回っている.
22
C15 C3
実験3‐1: クラスタ内ダウンロード実験各ク タ 累計待ち時間 分布
RF: Rarest First 既存手法
各クラスタの累計待ち時間の分布
buffer = 10sec buffer = 30secEF: Eariest First 提案手法
buffer 10sec buffer 30sec
各クラスタにおいて提案手法EFの各クラスタにおいて提案手法EFの各クラスタにおいて提案手法EFの累計待ち時間を少なく抑えることができた.
各クラスタにおいて提案手法EFの累計待ち時間を少なく抑えることができた.
23C15: アジア,C2: 東アメリカ海岸,C3: 南米
まとめまとめ
① 地理情報を利用したノードのクラスタリングを行うことによ高 狭 範り,通信局所性を高め,地理的に狭い範囲で通信を行うこと
ができた.
② ストリ ミングに適したピ ス選択アルゴリズムを採用した② ストリーミングに適したピース選択アルゴリズムを採用したことにより,ユーザの再生時の累計待ち時間を減少させユーザビリティを向上させることをPlanetLab上の評価で確認ユ ザビリティを向上させることをPlanetLab上の評価で確認した.
• 課題– インテリジェント・トラッカーの負荷状況の考慮.
– オリジナルシーダの運用方法.
– VoDオリジナルサーバとのハイブリッドシステム.
24