Download - 「屈折率と誘電率(1)」...411-3 屈折率の考え方:比較 出射側 E z t kz tx C sin cos ZZ00 B kz 各双極子放射 透過オリジナル光 波数:真空中(添字:零)
(付録)「屈折率と誘電率(1)」
1. 屈折率の考え方2. 分極電流と円電流3. 分極振動と電流密度4. アンペールの法則の修正5. 複素電気感受率6. 補足:世界観(実空間と複素空間)
暫定版修正・加筆の可能性あり
注意:整理しましょう!
前回:付録(401)のアプローチ1. 電子振動子模型を利用して媒質を電気双極子の集団としてモデル化2. 薄いシート媒質中の分極振動(電気双極子の集団運動)による電気双極子放射を考慮3. オリジナル光と電気双極子放射光との間で起きる干渉(重ね合わせ)で位相遅れ(屈折率)と損失のメカニズムを説明4. 位相遅れ(屈折率)と損失は同一現象(分極振動)を起源とする。5. 説明省略:位相遅れ(屈折率)と損失は相互依存関係にある(クラマース・クローニヒの分散公式)。
今回:付録(411、412、413)のアプローチ1. 電気双極子放射は考慮しない。位相遅れ(屈折率)と損失のメカニズムについて説明はしない。2. 媒質中の誘電率を定義して屈折率と損失を媒質固有のものと考える。3. 定義の仕方:誘電率(電気感受率)を複素数として扱い、 屈折率と損失をそれぞれ実部と虚部に対応させる。4. 複素誘電率扱いのため振動電場も複素数扱い。5. 同じ物理現象を別の角度から考察(教科書的なアプローチ)
411-1
411-2
薄いシート状の物質を透過する光
平面波近似
説明1. 入射光波の振動電場Eが電子振動の
強制力となる2. シートに含まれる分極が集団として
振動を開始(同位相)3. 各分極が双極子放射
シート透過後の光波1. 双極子放射に寄与しなかった「透過
オリジナル光」と「双極子放射光」の和
ご注意1. 「双極子放射光」は四方八方に拡がるけれども、今回は出
射側のみに注目する。2. 境界面での反射は後方双極子放射光による。(詳細省略)3. 出射側の「ある一点」で考えるなら、光波は「透過オリジ
ナル光」と様々な角度から届く「双極子放射光」の「積分的な」和となる
透過オリジナル光+各双極子放射
オリジナル光
入射側
出射側
411-3
屈折率の考え方:比較
出射側
( ) ( ) ( )0 0sin cosxE z t k z tB k zC = − + −
各双極子放射 透過オリジナル光 波数:真空中(添字:零)
0 0 0
0
kc
= =
光速 誘電率前回のモデル:分極振動による双極子放射の影響を考慮• 入射光波(オリジナル光)の振動電場Eが電子振動の強制力となる• 分極振動:シートに含まれる分極が集団として振動を開始• 双極子放射を利用して「位相遅れ」と「損失」を説明
透磁率
角速度
今回のモデル:教科書的なアプローチ
• 分極振動で位相おくれ(屈折率)や損失が発生することを事実として受け入れる。• 誘電率(電気感受率)を定義して分極振動による位相おくれや損失を上手に表現する。• 定義の仕方は電気感受率を複素数扱いして、実部を屈折率、虚部を損失にそれぞれ対応づける。• 電気感受率は媒質固有であり、与えられるものとする。• 誘電率(電気感受率)が複素数なので電場も磁場も複素表示を使用• 自然界が「実数の世界」であることを考慮すると、「複素電場」「複素磁場」「複素誘電率」はやや「人
為的、抽象的な量」である。世界観については最終頁で補足する。• 非磁性体を扱うため、透磁率は不変、「真空中の透磁率」を使用
電気感受率の役割:電磁場(光)と物質の相互作用の一切をこれに集約して表現する真空中:電気感受率は零、真空中の誘電率(実数)媒質中:電気感受率は非零(複素数)、媒質中の誘電率(複素数) 0
411-4
分極電流と円電流(1)
時間経過
原子核(不動)電子(振動)
( ) 0 cosx t x t=
電子位置
電子の位置:x成分
分極振動:とりあえず何らかの理由で電子位置が変化
もし、y成分が以下のように記述できるなら円運動
( ) 0 siny t x t=
電子:円運動
( )tr
円電流
( ) 0, ,x y x= =r r
( )
0
0
sin , cos
,2
I
r
I t t
evv x I
x
= −
= = =
速度ベクトル負号:電子のため
0 02 2
e d e d
x dt x dt
→−−= ⎯⎯⎯→ =r rr r
I I結論:分極振動は円運動のx成分である。もちろん、y成分と考えてもよい。
電子の速度
反転:位置ベクトル負から正電荷の向き
原点原子核
誘電分極:electronic polarization分極電流:polarization current電流密度:current density
411-5
分極電流と円電流(2)
円電流密度:とりあえず「大きさ」のみ 電子の円運動:ドーナッツ状領域(点線)に限定反転:位置ベクトル(負電荷から正電荷の向き)
( )tr
断面積:S
2
0
1
2
I AJ e v eNv
S Sx m
= = =
電子は1個:N:単位体積当たりの電子数
( )0
0
1,
2N x t
Sx= = r
電流密度:ベクトル表記
( )0, ,d d
eN eN N e C m x tdt dt
= = = = =r p
J v p r r
電子振動子の電気双極子モーメント原子1個:電子と原子核で構成注意:円電流の場合、電気双極子の長さは一定、回転運動
( )3 2
,xx
x x x
d NpdP C m CJ P Np
dt dt m m
= = = =
P:誘電分極(dielectric polarization) 、但し、x成分のみN:単位体積当たりの電気双極子数で読み替え
分極振動:円運動のx成分である分極振動による電流密度:x成分のみ
ベクトルの大きさ電子と原子核間の距離
411-6
分極振動と電流密度
( )xxx
d NpdPJ
dt dt= =
誘電分極(dielectric polarization) :x成分のみ
分極振動による電流密度:x成分のみ
x xP Np=
誘電分極:振動電場(electric field)に誘われて(induced)分極(polarization)振動する電気双極子の集団運動。但し、文字通りの意味は誘電体中の分極P:誘電分極(dielectric polarization) ベクトルN:単位体積に存在する電気双極子数
( )
,
, ,x y z
N Ne
P P P
= =
=
P p r
P
一般化しましょう!
誘電分極ベクトル
( ) ( )t e t=p r
伸縮する電気双極子モーメントベクトルの向き:負から正電荷注意:ベクトルは回転しません!
( )tr
電気双極子の長さベクトル方向:負から正電荷大きさ:電気双極子の長さに対応注意:• 電気双極子の長さは時間変化• 電気双極子は伸縮• 回転運動はしない!• 本当は原子核は動かない
ベクトル:分極振動による電流密度
( )d Nd
dt dt= =
pPJ
( )x t
伸縮する電気双極子モーメント:向き(x軸)矢印の向き:負から正電荷
( ) ( )xp t ex t=
青丸:電子、赤丸:原子核
時間経過
時間経過
本当は原子核は動かない
411-7
絵解き:分極振動(1)
数え方:電気双極子
1. 振動方向が一致すれば2. 電気双極子が横に並んでも3. 電気双極子が縦に並んでも4. 関与する個数が等しければ5. 電気双極子モーメント総量は同じ6. 一例:個数5
( )5 5e e= → =p r r p
( )5 5e e e+ + = =r r r p
r
r
r
r
r
r
r
r
( )( )3 3 9 9e e= =r r p
二次元の場合
青丸:電子、赤丸:原子核
原点
e− 0e
電気双極子モーメント:参照403-10ベクトルの向き:負から正電荷、大きさ:間隔
負電荷 正電荷
r
3r
3e−
3e
二次元でも:1. 振動方向が一致:電気双極子モーメント総量は2. 関与する電気双極子数に比例、一例:個数9
5e
5e−r
411-8
絵解き:分極振動(2)
伸縮する電気双極子モーメント• 例:横並び(一次元)• 本当は原子核は動かない
( )tr
青丸:電子、赤丸:原子核
( ) 0t =r
時間経過
伸縮する電気双極子モーメント• 例:縦並び(一次元)• 本当は原子核は動かない
媒質中双極子数は巨大ほぼ永遠に続く
時間経過
( )tr
( )tr ( )tr
( )tr
点線矢印:個々の電気双極子の伸縮状態
411-9
絵解き:分極振動(3)
r
r
r
9e−
9e
媒質中の電気双極子数は巨大:「N:単位体積に存在する電気双極子数」で「誘電分極ベクトル」を定義
9e
9e−
9e−
9e
3r
3r
3r
青丸:電子赤丸:原子核
( )( )9 3 27 27e e= =r r p
半周期後
一周期後
分極振動による電流密度:参照411-6
( )( )2
d N d AN N e
dt dt m
= = = =
p PJ P p r
分極振動:電気双極子の集団運動三次元の場合:一例:27個、但し、現実の媒質では「電気双極子数は巨大です!」
( )( ),
,C C
tt d dS
t
=
P r
H r l n内
411-10
磁電誘導:ファラデーの電磁誘導の法則の逆過程物理現象:電場Eの時間変化により非零渦巻磁場Hが誘起される。
磁場Hと電場Eで表記すると
( )( )
0
,,
C C
tt d dS
t
=
E r
H r l n内
本来のアンペールの法則とは、物理現象:電流(電子)が流れると渦巻磁場Hが発生実在する電子による電流
( ) ( ), ,C C
t d t dS = H r l J r n内
括弧内:変位電流、電場Eが存在できる空間(場)さえあればよい。電子不要の仮想的な電流(真空中でも変位電流は可)。
n E
ループC
面積分:閉ループCの内側
線積分の向き
法線ベクトル 電場E
アンペールの法則の修正(1)
次頁参照:真空中の誘電率
光と物質(電子)の相互作用:分極電流により非零渦巻磁場Hが誘起される。言い換えると:誘電分極( dielectric polarization )の時間変化により非零渦巻磁場Hが誘起される。
括弧内:電子電流実在する電子による電流
括弧内:分極電流多数の電気双極子の集団運動(分極振動)による電流真空中では分極電流零
d
dt=
PJ
分極電流密度参照:411-8
( )( ),
,C C
tt d dS
t
=
P r
H r l n内
411-11
( )( )
0
,,
C C
tt d dS
t
=
E r
H r l n内
解答:「真空中の誘電率」のままでよい。• 磁電誘導は電場Eの時間変化により非零渦巻磁場Hが誘起
される物理現象• 但し、光と物質(電子)との相互作用とは無関係であり、
「媒質中の誘電率」の起源とはならない。
アンペールの法則の修正(2)
媒質中の誘電率の起源はどこ?再掲:分極電流により非零渦巻磁場Hが誘起される。
解答:分極電流多数の電気双極子の集団運動(分極振動)による電流が媒質中の誘電率の起源
d
dt=
PJ
分極電流密度参照:411-10
磁電誘導:ファラデーの電磁誘導の法則の逆過程(再掲)疑問:媒質中でも誘電率は「真空中の誘電率」のままでよいのか?通常、添字の「m」は省略されるが、媒質中の振動電場Eを強調するために使用
導入:電束密度D
( )( )
( )0 m
,, ,
C C C
t dt d dS dS
t t dt
= = + =
D r D
H r l n E P n J内 内
変位電流密度:displacement current density
媒質中の誘電率は電束密度Dに含まれる:参照411-16
411-12
アンペールの法則の修正(3)
物理現象:渦巻磁場Hが発生する事象を全部まとめる!
( ) ( )( ),
, ,C C C
tt d t dS dS
t
= +
D r
H r l J r n n内 内
電流:電子は自由に移動 電束密度D:「渦巻磁場H発生に振動電場Eが関与する部分」(定義を見よ!)振動電場E + 振動電場Eに誘われて伸縮する電気双極子の集団運動(誘電分極)
• 電束密度Dをいくら眺めても分極の有無は分からないから、電束密度Dは「極めて人工的な」物理量• もし、分極の有無を明確にしたいなら、電場Eと誘電分極ベクトルPを利用しなければならない。
d
dt=
DJ
変位電流密度:displacement current density
定義:電束密度Delectric flux density 0= +D E P 真空中:分極無
0=D E
( ) ( )( ) ( )m
0
, ,, ,
C C C C
t tt d t dS dS dS
t t
= + +
E r P r
H r l J r n n n内 内 内
振動電場Eによる変位電流 電気双極子の集団運動による分極電流媒質中の誘電率の起源
真空中の誘電率のまま(permittivity) 媒質固有アンペールの法則の修正:媒質中(分極有)
( )m , tE r重要:通常、添字の「m」は省略されるが、媒質中の振動電場Eを意味する
電流:電子は自由に移動
411-13
アンペールの法則の修正(4)
( ) ( )( ) ( )m
0
, ,, ,
C C C C
t tt d t dS dS dS
t t
= + +
E r P r
H r l J r n n n内 内 内
背景:媒質
( ) ( )( )m
0
,, ,
C C C
tt d t dS dS
t
= +
E r
H r l J r n n内 内
背景:真空
添字m:媒質中の振動電場E
添字v:真空中の振動電場E仮定両者間で同一
電流:電子は自由に移動
ややこしいかな!• 両者間で同一の渦巻き磁場Hが観測されたとすれば• 電束密度Dは分極の有無と無関係なので両者間で同一 0 0m v = + =D E P E
/ /m m v→ E P E E
誘電分極ベクトルPは振動電場Emと同じ向き(お詫び:異方性媒質は無視)
電気双極子モーメント:位置ベクトルは負から正電荷の向き
mE
媒質中の振動電場Em
分極:媒質固有
( )N N e= =P p r
+ −
− +P
411-14
アンペールの法則の修正(5)
別の言い回し!• 最初、背景は真空、渦巻き磁場H、電束密度Dを観測する• 途中で背景が媒質(分極有)に変化しても、磁場Hが不変であったとすれば• 電束密度Dも不変となるから、電束密度Dを比較しても分極の有無は分からない• 振動電場Eを比較すれば分極の有無が分かる
vE最初:振動電場Ev 途中で:振動電場Em0v m m v → = −E E E E P
vE
もう一度書きます!• 両者間で同一の渦巻き磁場Hが観測されたとすれば• 分極効果により媒質中の振動電場Emは真空中の振動電場Evより小さくなる
• 電束密度Dは分極の有無と無関係なので両者間で同一
0 0m v = + =D E P E 媒質中の振動電場Emと
誘電分極ベクトルPは同じ向き/ /m m v→ E P E E
簡単のため:電気双極子1個からなる分極青丸:電子、赤丸:原子核
mE
媒質中の振動電場Em
0−P
誘電分極Pによる電場
重要:• 媒質中の振動電場Emと誘電分極ベクトルPは同じ向き• 誘電分極Pによる電場 は振動電場Ev、Emと逆向きの関係
0−P
分極Pによる電場
P
− +
+ −
411-15
磁性体とアンペールの法則
アンペールの法則の修正版(変位電流を追加:同時存在を許す)• 非磁性体でも磁性体でも渦巻磁場Hは不変、磁場Hは「磁性」の効果を含まず、極めて「人工的な」物理量
( ) ( )( ),
, ,C C C
tt d t dS dS
t
= +
D r
H r l J r n n内 内
アンペールの法則の修正版(変位電流を追加:同時存在を許す)• もし、磁性体と非磁性体の違いを明確にしたいなら、磁場(磁束密度)Bと磁化ベクトルMを利用しなければならない。
( )( )
0
,1,
C C C
td t dS dS
t
− = +
D rB M l J r n n
内 内
( ) ( ) ( )0
1, , ,H r B r M rt t t
= − 非磁性体なら
00, = =M B H
真空中の透磁率magnetic permeability
電束密度D: electric flux density
説明省略:EーH対応0= +B H M
0= +D E P 誘電分極P: dielectric polarization
磁化(ベクトル)M: magnetization
説明省略:磁化(ベクトル)M
説明省略:EーB対応 0 0B H M = +
411-16
複素電気感受率
電気感受率χ: electric susceptibility• 複素数:振動電場Eと誘電分極Pの振動のタイミング
(位相)が異なるかもしれない!• 電子振動子模型でのブランコを思い出してほしい!
(参照:401)• 振動電場Eとブランコ振動間の位相ずれを考慮
( ) 0 , ReN ffe N= = = =P E r p
世界観:実数の世界と複素数の世界
橋渡しのルール:
• これまでは、電場E、誘電分極P、電束密度Dとも複素数扱いでも実数扱いでもよかった。黒色表示:• これまでは、誘電分極Pに電気感受率χは陽に現れなかった。(Pとrは位相ずれありません)
ところが、複素電気感受率χを導入した時点で• 振動電場Eと誘電分極P間の位相ずれを表現するために複素表示• 簡単のため、誘電分極Pが電場Eに比例(線形電気感受率)これからやりたいこと• 電気感受率の実部が屈折率、虚部が損失に対応することを確認(これが定義)• ブランコを勢いよくこぎたいのであれば、「いつ、どこで、どちらの方向に」力を与えればよいのか?(光損失の場合)
注意:実数表示と複素数表示赤色(正実数)青色(複素数)但し、強調したいときのみ
( ) ( )Re Re exp cosi t kzf AA t kzf = → − = − +
0 , , =
⎯⎯⎯→P E
D E P
光の世界での分極表現電気感受率
電子の世界での分極電気双極子モーメント
入射光波:振動電場E
E
r
( )N eP r
' ''' '' ', '' 0 ~ 1
2 2ni i
= − → + −
411-17
複素電気感受率と屈折率
媒質中の誘電率(複素数):ε• 真空中(実数)でも媒質中(複素数)でも形式上同じ• 誘電率の形式的な置換で何が見えてくるか?• 形式的な置換:ε0→ε
光速:誘電率を含む(誘電率置換)• 真空中:実数• 媒質中(非磁性体):とりあえず複素数扱い
複素電気感受率
屈折率変化:Δn電気感受率の実部に対応
注意:複素屈折率の実部(赤色)はお馴染みの屈折率。では、屈折率(電気感受率)の虚部とは何? → 損失
負号:虚部、理由:虚部を減衰率と対応させるため(次頁)
0
0
0 0 0
1 1cc
→= ⎯⎯⎯→ =
10
0
1 12
nc
c
= = = + ⎯⎯⎯→ +
' ' ''
Re 1 , 1 , Im2 2 2
n nnn n
= = + = − = = −
屈折率はどうなる?• 真空中:n=1• 媒質中:とりあえず複素数扱い
( )0 0 1 = + = + =D E P E E
411-18
複素電気感受率と損失
真空中の波数:実数 媒質中の波数:複素数
単位断面積当たりの光強度は電場E振幅の自乗に比例 電気感受率の虚部:損失に対応減衰率:Γ>0
光増幅:Γ<0
負号:虚部
( )
0
00 0
0 0
00
00
, ~ 12
'''exp exp 1 , ' ''
2 2
'' 'exp exp 1
2 2
c ck
c c
ki t z i t k z
k nc n
A k A
A
i z i
kz i t k z
→
→= ⎯⎯⎯→ = = = +
− → − + + = −
= − − +
( )2expA z −
0 '', ' ''k i = = −
'' 0 0 →
'' 0 0 →
納得:複素電気感受率の実部と虚部 = 媒質の屈折率と損失
形式的な置換
複素電気感受率の虚部に注目!
411-19
誘電分極と複素電気感受率
誘電分極P(スカラー表示)複素電気感受率の役割光の世界と電子の世界の橋渡し
( ) ( ) ( )0, , ,x xz t z t NeP E tx z = =
電子の世界での誘電分極p:電気双極子モーメントN:単位体積に存在する電気双極子数
( ) ( ),N N e e zxN t= = →p r P
これからやりたいこと!:参照412
1. 振動電場Eに対してどんなときに分極振動は追従できる?2. 実は、追従できるときは電気感受率は実数なので屈折率のみ3. このとき光から電気双極子へのエネルギーの移動はない(透明媒質)4. どんなときに追従できない5. 実は、追従できないときエネルギーの移動がおきる(損失)。6. ブランコを思い出しましょう!7. 電気感受率が複素数でなければならない必然性が見えてきた!
( ),xE z t
誘電分極:振動電場Eに誘われて伸縮する電気双極子の集団運動
( ),ex z t
( ),ex z t
( ),ex z t
黒矢印:電子振動、振動方向:x軸
( ) ( ) ( )
( ) ( )
( ) ( )
( ) ( )
0, , ,
, exp
, exp arg
, Re ,
x x
x
P E x
E k
x
z t z t Ne z t
z t i t z
z t i t z
z t t
k
xx z
= =
−
→ − − =
= 位相遅れ:ブランコを加速、減速するタイミングを決める(エネルギーの移動)
光の世界での表現電気感受率
電子の世界での表現電気双極子
411-20
誘電分極:言葉の問題
英語の方が分かりやすいかも!• A dielectric(誘電体) is an electrical insulator that can be polarized by an applied electric field.• Dielectric polarization (誘電分極) describes a state of well aligned electric dipoles inside the material.• An electric dipole(電気双極子)is a pair of positive and negative charges whose positions are slightly shifted from
their average equilibrium positions.In summary• When a dielectric is placed in a constant electric field, electric charges do not flow (an insulator).• When a dielectric is exposed by an alternating electric field, electric dipoles inside the material start expansion and
contraction in order (coherently) causing a flow of alternating current (polarization current or displacement current)
媒質中の電気双極子数は巨大:「N:単位体積に存在する電気双極子数」で「誘電分極ベクトル」を定義
分極振動による電流密度
( )( )2
d N d AN N e
dt dt m
= = = =
p PJ P p r
電気双極子モーメント:electric dipole
言葉の整理• 誘電体:直流電場(電圧)に対しては絶縁体、外部電場により電気双極子が整列する物質• 誘電分極:外部電場によって電気双極子が整列している状態(詳細省略:強誘電体の自発的な分極)• 分極電流:外部振動電場に誘われて整列状態を保ちながら伸縮する電気双極子の集団運動(誘電分極)による電流• 電気双極子:基準となる地点からエネルギーが等しい量だけ正負に分極している正負電荷の対
誘電分極:「振動電場Eに誘われて伸縮する電気双極子の集団運動」と書きましたが• 正確に言えば:伸縮しなくても整列すればよい。集団運動でなく整列状態。• 外部振動電場の場合、電気双極子は集団で伸縮運動する。その結果、分極電流が発生。分極電流は変位電流の一種である。• 誘電分極の「誘」の意味は「induced」ではなく「dielectric(誘電体)」の意味です。• もちろん、振動電場Eに誘われて伸縮しているのは事実ですが
411-21
補足:世界観(実空間と複素空間)
我々の世界は四次元実関数(位置、時間) ⇔ 複素関数が支配する複素数の世界は人間が勝手に想像した別世界• 簡単のため位置固定、単一角周波数• 時間領域(スカラー)実関数• 赤色:実関数、青色:複素関数
( ) ( )Re ft tf =
( ) ( ) ( )
( ) ( ) ( ) ( )*
cos exp exp
2 2Re
x
x x x
x
x
E A A
E E E
E A A
E
t t t i t i
t t t t
= + = =
= = +
複素電気感受率:我々の世界に属する物理量(実数)ではない
' '' Re 'i = − → = =
誘電分極(実数):我々の世界に属する物理量(実数)
( ) ( )( ) ( )0 0
0
* *
Re2
x x
xx
t tEtP
Et
E
+ = =
疑問:我々の世界に属する物理量(四次元実関数)としての電気感受率は存在する? → 存在する(因果律:参照421)但し、別のルール(フーリエ変換)で想像した別世界が必要
複素電気感受率の実部と虚部:媒質の屈折率と損失
大きな間違い!:我々の世界に損失という物理量はない?
時間領域関数が必要
411-22
補足:世界観のポンチ絵
我々の世界は唯一• 四次元実関数(位置、時間)であり、時間軸(因果律)はあっても角周波数軸はない!• 別世界はルール次第で幾らでもこしらえることができる。• 簡単のため、我々の世界を位置固定、時間領域に限定
我々の世界
実数、実関数、実ベクトル時間領域、因果律
( ) ( ) ( ), ,E t P t t
別世界A
別世界B
( ) ( )Re ft tf = 複素数、複素関数複素ベクトル時間領域 ( ) ( ),E t P t
( ) ( )1
2
i tft e df
−=
ルールA
ルールB
フーリエ変換(時間領域)
定義:電気感受率• 複素電気感受率は時間領域ではなく角周波数領域関数である(次回確認:参照412)。• 従って、別世界Aのルールでは複素電気感受率は実世界(我々の世界)に戻れない。• ルールAで戻れる関数はあくまでも時間領域複素関数。但し、不備を知っていれば問題なし。• ルールAは非常に簡単なルール(初心者向き)。• ルールBは複素電気感受率を実世界(我々の世界)に戻すことができる。• ルールBはself-consistentである。但し、フーリエ変換は少々ややこしい。• ルールBはルールAを含む(説明省略)。• 実世界の電気感受率は時間領域実関数であるが、因果律を含む話なのでこれ以上深入りしません。
角周波数領域
( ) ( ) ( ), ,E P