FUJITSU SEMICONDUCTORDATA SHEET
(
DS04–27200–10
ASSP 電源用 (AC / DC コンバータ )BIPOLAR
スイッチングレギュレータ・コントローラプッシュプル , シングルエンド機能切替え可)
MB3759■ 概要
MB3759は周波数固定パルス幅変調方式のスイッチングレギュレータ用コントロール ICです。スイッチングレギュレータの制御回路に必要とされる機能のほとんどを内蔵していますので , 部品点数削減と , 工数の軽減が可能となります。
■ 特長・ 200 mAの負荷駆動可能・プッシュプル , シングルエンド出力の機能選択が可能・ダブルパルスが防止されている・デッドタイムが調整可能・誤差増幅器の同相入力範囲が広い・低電源電圧時の出力誤動作防止回路内蔵・減電圧特性の優れた 5 V基準電圧を内蔵・パッケージは SOP 16ピン が 1 種類
■ アプリケーション・電源モジュール・産業用機器・AC/DCコンバータ など
Copyright©1986-2011 FUJITSU SEMICONDUCTOR LIMITED All rights reserved2011.5
MB3759
■ 端子配列図
■ ブロックダイヤグラム
(TOP VIEW)
(FPT-16P-M06)
+IN1
−IN1
FB
DT
CT
RT
GND
C1
1
2
3
4
5
6
7
8
16
15
14
13
12
11
10
9
+IN2
−IN2
VREF
OC
VCC
C2
E2
E1
+
+
−
−A1
A2
TOSCRT
+IN1
6
+IN2
−IN1
−IN2
CT 5
4
2
16
15
3
Q
Q
8
9
11
12
14
7
10
C1
E1
C2
E2
VCC
VREF
GND
13
1
DT
FB
= 0.2 Vデットタイムコントロール
リファレンスレギュレータ
PWMコンパレータ
誤差増幅器 1
誤差増幅器 2フィードバック
アウトプットコントロール
OC
2 DS04–27200–10
MB3759
■ 絶対最大定格
* : 4 cm 角の両面エポキシ基板に実装時 (1.5 mm 厚 )。なお , セラミック基板では , 3 cm × 4 cm (0.5 mm 厚 )。
<注意事項> 絶対最大定格を超えるストレス (電圧 , 電流 , 温度など ) の印加は , 半導体デバイスを破壊する可能性があります。したがって , 定格を一項目でも超えることのないようご注意ください。
■ 推奨動作条件
<注意事項> 推奨動作条件は , 半導体デバイスの正常な動作を保証する条件です。電気的特性の規格値は , すべてこの条件の範囲内で保証されます。常に推奨動作条件下で使用してください。この条件を超えて使用すると , 信頼性に悪影響を及ぼすことがあります。データシートに記載されていない項目 , 使用条件 , 論理の組合せでの使用は , 保証していません。記載されている以外の条件での使用をお考えの場合は , 必ず事前に営業部門までご相談ください。
項目 記号 条件定格値
単位最小 最大
電源電圧 VCC ⎯ ⎯ 41 V
コレクタ出力電圧 VCE ⎯ ⎯ 41 V
コレクタ出力電流 ICE ⎯ ⎯ 250 mA
増幅部入力電圧 VI ⎯ ⎯ VCC + 0.3 V
許容損失 * PD Ta≦+ 25 °C ⎯ 620 mW
動作周囲温度 Ta ⎯ −30 +85 °C
保存温度 Tstg ⎯ −55 +125 °C
項目 記号規格値
単位最小 標準 最大
電源電圧 VCC 7 15 32 V
コレクタ出力電圧 VCE ― ― 40 V
コレクタ出力電流 ICE 5 ― 200 mA
増幅部入力電圧 VIN −0.3 0 ∼ VR VCC − 2 V
FB端子流入電流 ISINK ― ― 0.3 mA
FB 端子流出電流 ISOURCE ― ― 2 mA
基準電圧出力電流 IREF ― 5 10 mA
タイミング抵抗 RT 1.8 30 500 kΩ
タイミング容量 CT 470 1000 106 pF
発振周波数 fosc 1 40 300 kHz
動作周囲温度 Ta −30 +25 +85 °C
DS04–27200–10 3
MB3759
■ 電気的特性
(続く)
(VCC = 15 V, Ta = +25 °C)
項目 記号 条件規格値
単位最小 標準 最大
基準電圧部
出力電圧 VREF IO = 1 mA 4.75 5.0 5.25 V
入力安定度 ΔVR(IN) 7 V ≦ VCC ≦ 40 V, Ta = +25℃ ― 2 25 mV
負荷安定度 ΔVR(LD) 1 mA ≦ IO ≦ 10 mA, Ta = +25℃ ― −1 −15 mV
温度変化率 ΔVR/ΔT −20℃ ≦ Ta ≦ +85℃ ― ±200 ±750 μV/℃
出力短絡電流 ISC ― 15 40 ― mA
立上り時出力禁止電圧 ― ― ― 4.3 ― V
上記ヒステリシス幅 ― ― ― 0.3 ― V
発振部
発振周波数 fosc RT = 30 kΩ, CT = 1000 pF 36 40 44 kHz
周波数設定バラツキ ― RT = 30 kΩ, CT = 1000 pF ― ±3 ― %
周波数入力安定度 ― 7 V ≦ VCC ≦ 40 V, Ta = +25℃ ― ±0.1 ― %
周波数温度変化率 Δfosc/ΔT −20℃ ≦ Ta ≦ +85℃ ― ±0.01 ― %/℃
デッドタイムコントロ|ル
入力バイアス電流 ID 0 ≦ VI ≦ 5.25 V ― −2 −10 μA
最大デューティ (各出力 ) ― VI = 0 40 45 ― %
入力電圧
0 %デューティ VDO ― ― 3.0 3.3 V
最大デューティ VDM ― 0 ― ― V
誤差増幅部
入力オフセット電圧 VIO VO (pin3) = 2.5 V ― ±2 ±10 mV
入力オフセット電流 IIO VO (pin3) = 2.5 V ― ±25 ±250 nA
入力バイアス電流 II VO (pin3) = 2.5 V ― −0.2 −1.0 μA
同相入力電圧範囲 VCM 7 V ≦ VCC ≦ 40 V −0.3 ― VCC − 2 V
電圧利得 AV 0.5 V ≦ VO ≦ 3.5 V 70 95 ― dB
帯域幅 BW AV = 1 ― 800 ― kHz
同相信号除去比 CMR VCC = 40 V 65 80 ― dB
出力電流(3ピン )
シンク ISINK −5 V ≦ VID ≦ −15 mV, VO = 0.7 V 0.3 0.7 ― mA
ソース ISOURCE 15 mV ≦ VID ≦ 5 V, VO = 3.5 V −2 −10 ― mA
出力部
コレクタ遮断電流 ICO VCE = 40 V, VCC = 40 V ― ― 100 μA
エミッタ遮断電流 IEO VCC = VC = 40 V, VE = 0 ― ― −100 μA
飽和電圧エミッタ共通 VSAT(C) VE = 0, IC = 200 mA ― 1.1 1.3 V
エミッタフォロワ VSAT(E) VC = 15 V, IE = −200 mA ― 1.5 2.5 V
出力制御端子入力電流 IOPC VI = VREF ― 1.3 3.5 mA
4 DS04–27200–10
MB3759
(続き)
■ 測定回路図
(VCC = 15 V, Ta = +25 °C)
項目 記号 条件規格値
単位最小 標準 最大
P
W
M
コンパレ|タ
入力スレッショルド電圧 VTH 0 %デューティ ― 4 4.5 V
入力シンク電流 (3 ピン ) ISINK VO (pin3) = 0.7 V 0.3 0.7 ― mA
電源電流 (標準接続 ) ICC V(pin 4) = 2 V, 測定回路図 ― 8 ― mA
静止電源電流 ICCQV (pin6) = VREF, 入出力端子オープン ― 7 12 mA
スイッチング特性
立上り時間
エミッタ共通
tr RL = 68Ω ― 100 200 ns
立下り時間
tf RL = 68Ω ― 25 100 ns
立上り時間 エミッタ
フォロワ
tr RL = 68Ω ― 100 200 ns
立下り時間
tf RL = 68Ω ― 40 100 ns
VCC
VCC = 15V
OUTPUT 1
OUTPUT 2
C1
E1
C2
E2
VREF
GND
VD
VC
DT
FB
RT
CT30 kΩ
1000 pF
TESTINPUT
50 kΩ
+IN1
+IN2−IN1
−IN2OC
150 Ω /2 W
150 Ω /2 W
DS04–27200–10 5
MB3759
■ 動作波形
■ 発振周波数
■ 出力論理表
OC 入力 出力形式
GND シングルエンドまたはパラレル出力
VREF プッシュプル
3.0 V
VC
VD
OUTPUT 1
OUTPUT 2
ON ON ON
ON ON ON
ON
=
= 0 V
CT端子電圧
f OSC RT × CT
1.2
CT : µFf OSC : kHz
RT : kΩ
=
6 DS04–27200–10
MB3759
■ 標準特性曲線
(続く)
5
6
3
4
1
2
0
VREF
ΔVREF
IO = 1 mA
0 10 20 30 40
5
0
−5
10
0
−10
−20
−25−30
+500 +25 +75 +100
VCC = 15 VIO = 1 mA
基準電圧
V R
EF (
V)
電源電圧 VCC (V)
基準電圧変動 −動作周囲温度特性基準電圧 − 電源電圧特性
動作周囲温度 Ta (°C)
発振周波数- RT, CT特性
発振周波数
fosc
(HZ)
最大デューティ-デッドタイムコントロール電圧特性 (シングルエンド )
デッドタイムコントロール電圧 VD (V)
最大デューティ
TO
N/T
(%)
基準電圧変動
ΔV
RE
F(m
V)
基準電圧変動
ΔVR
EF
(mV
)
VCC =15 V
CT = 470 pF
1000 pF
0.01μF
0.1μF
1 M
500 k
200 k
100 k
50 k
20 k
10 k
5 k
2 k
1 k2 k 5 k 10 k 20 k 100 k 200 k 500 k
RT (Ω)
VCC = 15 VCT = 1000 pFRT = 30 kΩOC = GND
Ta = 0°C
0
20
40
60
80
1001 2 3
0
Ta = +25°C
Ta = +70°C
最大デューティ-デッドタイムコントロール電圧特性 (プッシュプル )
デッドタイムコントロール電圧 VD (V)
最大デューティ
TO
N/T
(%)
VCC = 15 VCT = 1000 pFRT = 30 kΩOC = VREF
Ta = 0°C
Ta = +70°C
0
10
20
30
40
501 2 3
0
Ta = +25°C
DS04–27200–10 7
MB3759
(続き)
(続く)
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2VCC = 15 V
Ta = 0°CTa = +25°C
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
0 50 100 150 200 0 50 100 150 200
VCC = 15 V
Ta = +70°C
Ta = 0°C
Ta = +25°C
Ta = +70°C
VOUT
400 Ω
0
2.5
5
7.5
10
0 1 2 3 6 0 10 20 30 40
ICC
ICCQ5 V
4 5
6
4
5
3
1
2
0
8
コレクタ飽和電圧-コレクタ出力電流特性
コレクタ飽和電圧
VS
AT (
C)
(V)
コレクタ出力電流 IC (mA)
エミッタ飽和電圧-エミッタ出力電流特性
エミッタ飽和電圧
VS
AT (
E) (V
)
エミッタ出力電流 IE (mA)
低電源電圧時誤動作防止回路特性
出力電圧
VO
UT
(V)
基準電圧 VREF (V)
電源電流-電源電圧特性
電源電流
ICC,IC
CQ
(mA
)
電源電圧 VCC (V)
IOL
IOH
00
0.55
1.010
1.515
1
2
3
4
5
0
0.2
0.4
0.6
0.8VCC = 15 VTa = 0°C
VOLTa = +25°C
VOH
Ta = +70°C
Ta = +70°C
Ta = +25°C
10 100 1 k 10 k 100 k 1 M
Ta = 0°C
VCC = 15 VΔVO = 3 V
100
90
80
70
60
20
10
0
50
40
30
電圧利得-周波数特性
電圧利得
AV
(dB
)
周波数 f (HZ)
誤差増幅器出力電圧-出力電流特性
出力電流 IOL, IOH (mA)低レベル出力電圧
VO
L (V
)
高レベル出力電圧
VO
H (V
)
8 DS04–27200–10
MB3759
(続き)
0
200
1000
0 +20 +40 +60 +80 +100
800
400
600
SOP
0
200
1000
800
400
600
0 10 20 30 40
Ta = +25°C(200, 10) (100, 10)
(200, 5)
(100, 5)
(100, 0)
(0, 0)
(IO, IR)(mA)
許容損失-電源電圧特性
許容損失
PD
(mV
)
電源電圧 VCC (V)
許容損失-動作周囲温度特性
許容損失
PD
(mW
)動作周囲温度 Ta (°C)
DS04–27200–10 9
MB3759
■ 基本的な考え方スイッチングレギュレータは , 高い効率を得ることができます。ここでは , チョッパ方式を例にその動作原理について考えます。図において , Dは Qがオフの間 , インダクタンス Lの電流経路を形成しています。Qは出力を定常状態で保つような周波数でコントロールされ , スイッチング動作を行っています。Qがオンしている間スイッチング素子は飽和状態となり , オフしている間は遮断状態となっていますので , シリーズレギュレータのパストランジスタのように常時アクティブ状態にあるのに比べ , スイッチング素子の損失は非常に小さくなります。
Qが導通している間 , 入力電圧 VINは LC回路に供給され , Qが遮断されると Lに蓄えられたエネルギーは , Dを通して負荷に供給されます。そして , LC回路は入力を平滑して出力電圧を供給します。ここで , 出力電圧 VOは次式で与えられます。
上式より , 入力電圧の変動はデューティサイクル (Ton/T)をコントロールすることにより補償できます。今 , VIN が減少すれば制御回路がデューティサイクルを大きくするように働き , 出力電圧は一定に保たれます。
Lを流れる電流は , Qがオンの間は入力より出力に流れ , オフの間は Dを通して供給されます。そのため , 平均入力電流IINは出力電流と Qのデューティサイクルとの積に等しくなります。
Qのスイッチング損失や Dの損失を考えなければ , 変換効率は理想的に次のようになります。
理想的な変換効率は 100 (%)となります。しかし , 実際にはスイッチング素子などでの損失があり , これらの損失を少なくするためには , 実用的な範囲においてスイッチング周波数を下げたり , 出力電圧と入力電圧の比を最適に設計するなどの検討が必要です。
VO =Ton + Toff
Ton VIN = T
Ton VIN
Q : ON L
Q : OFF
Q
DVIN C VO RL
Q :スイッチング素子D :フライホイールダイオード
IIN =T
Ton IO
η =PIN
PO × 100 (%)
=VIN × IINVO × IO × 100
=VIN × IO × Ton / TVIN × IO × Ton / T × 100
= 100 (%)
10 DS04–27200–10
MB3759
■ スイッチング素子
1.スイッチングトランジスタの選定スイッチングレギュレータの成否を決定するのは , スイッチングトランジスタだと言っても過言ではありません。一般にトランジスタを選ぶには下記を基準に考えます。・耐圧・電流・電力・速度耐圧 , 電流 , 電力は , 使おうとするトランジスタの ASO(Area of Safe Operation : 安全動作領域 )がそれをカバーしているかどうかを調べます。速度 (スイッチング速度 :上昇時間 tr, 蓄積時間 tstg, 下降時間 tf)は , 効率に関係し電力にも影響します。図は , チョッパ方式とインバータ方式におけるトランジスタの負荷線と VCE − IC波形です。チョッパ方式の場合 , ダイオードがコレクタをクランプしているため比較的扱いやすい回路です。ただ , ターンオン直後にピークが見えますが , これはダイオードによるものですので後述することにします。一方 , インバータ方式の場合は , 2 次側のダイオードでクランプされていますが , 1次側から見るとリーケージインダクタンスが存在しています。これにより , インダクティブスパイクが発生し , VINの 2倍の電圧に加算される格好になりますので十分注意が必要です。
IN
QD C
VOLIC
VCE
on
IN
D1
D2
L VO
IC
on
off
VIN 2 VINVCE
TonVCE
2 VIN
VIN
t
TonIC
t
TonIC
VCE Ton
IC
off
VINVCE
t
C
t
チョッパ方式 インバータ方式
DS04–27200–10 11
MB3759
下図は , スイッチング用パワートランジスタの順バイアス時 ASO特性の一例です (2SC3058A)。使おうとするトランジスタにおいて , その ASO特性が負荷線を完全に満足するかを見ます。次に , 下記条件が満たされているかどうかを確認し , 満足していればスイッチング動作は安全に行えると考えてよいでしょう。・オン状態の ASOを規定するときに , 選定したオン時間を上回らないこと・オフ状態の ASOを規定するときに , 選定した条件を満足すること・ジャンクション温度によるディレイティングが行われていることスイッチングトランジスタの場合 , ジャンクション温度はスイッチング速度に密接な関係があります。これは , 温度が上昇してくるとスイッチング速度が遅くなるためで , スイッチング損失にも影響を与えます。
2.ダイオードの選定ダイオードは , スイッチング速度を十分考慮して選ぶ必要があります。とくに , チョッパ方式の場合は効率とノイズに関係しスイッチングレギュレータの性能を大きく左右します。ダイオードの逆方向回復時間がトランジスタのターンオン時間よりも遅れると , 負荷電流の 2倍以上もの突入電流が流れ , 効率を下げ , ノイズ (スパイク )の原因となります。ダイオードを選ぶ目安としては , 逆方向回復時間 trrがトランジスタの trよりも十分に速いものを選ぶと良いでしょう。
2SC3058A (450 V, 30 A)
TC = +25°CIC (Pulse) max.
IC max.
D.C.
Pw=500µs
1 ms
10 ms
5 10 20 50 100 200 500 1000
20
50
10
5
2
1
0.5
0.2
0.1
0.05
順バイアス安全動作領域
単一パルス
コレクタ電流
IC (A
)
コレクタ •エミッタ電圧 VCE (V)
12 DS04–27200–10
MB3759
■ 実用回路での応用
1.誤差増幅器の利得調整FB端子 (3ピン ) に外部回路を接続したり , 増幅器の利得調整を行う場合 , バイアス電流が大きくならないよう注意する必要があります。FB端子 (3ピン ) は , シンク電流によりローレベルにバイアスされるため , 外部回路からシンク能力を超える電流が流れ込むと出力信号のデューティサイクルに制限を与えます。利得調整に適した回路構成を示します (下図を参照してください )。また , 出力段に容量性負荷がある場合は , 応答時間に影響を及ぼすため , 極力容量性負荷を避けるような設計が必要です。
2.発振器の同期動作発振器は , CT端子 (5ピン ) と GND端子 (7ピン ) を接続することにより発振を停止できます。また , 外部より信号を供給する場合は , 内部発振器は停止させ CT端子 (5ピン ) に入力してください。この方法を利用して , 複数の ICを同期動作させることができます。ひとつの ICをマスタとし , ほかの ICを図のように接続することにより , 同期動作が可能です。
OUT
RF
Vo
RIN
R2
R1
VREF
+
−
RT CT VREF RT CT
マスタ スレーブ
DS04–27200–10 13
MB3759
3.休止期間の設定方法負荷変動等によりFB端子電圧が三角波電圧以下になる可能性があります。この時 , 出力トランジスタがフルオンに近い状態になります。これを防止するために出力トランジスタの最大デューティを設定します。そのために , 下図のようにVREF
電圧より抵抗分圧にて DT端子 (4ピン )電圧を設定してください。DT 端子電圧が三角波電圧よりも低いとき , 出力トランジスタはオンとなります。最大デューティの計算式は三角波振幅≒ 3.0V, 三角波下限電圧≒ 0.0 V, DTオフセット電圧 (≒ 0.2V)のとき次のようになります (他チャネルも同様です )。・プッシュプル時
・シングルエンド時
また , 最大デューティ設定を必要としない場合は Vdt=0.0 Vの電圧設定にしてください。
・DTで休止期間を設定する場合
「■標準特性曲線」の「最大デューティ-デッドタイムコントロール電圧特性」を参考にしてください。
=3.0V
3.0V - (Vdt + 0.2V)3.0V
2.8V - Vdt 50 = 50最大デューティ(%)
=3.0V
3.0V - (Vdt + 0.2V)3.0V
2.8V - Vdt100 = 100最大デューティ(%)
14
Ra
VdtRb
4
VREF
DT
Vdt(V)=Ra + Rb
Rb VREF
14 DS04–27200–10
MB3759
4.ソフトスタートデッドタイムコントロール (DT) 端子 (4ピン ) を使用してソフトスタート機能を設けることができます。
電源投入時 Cdは , まだチャージされず DT入力は VREF端子 (14ピン ) に吊られ , 出力トランジスタをオフする方向へ行きます。次に , Cd Rdの定数で DT端子 (4ピン ) の入力電圧が低下し , 出力のパルス幅は徐々に増加し制御系を安定に動作させます。この場合 , デッドタイムとソフトスタートを同時に行いたい場合は , OR接続にしてください。
5.出力電流制限方法 (検出抵抗を出力側に入れるフォールドバック型 )(1) 一般的な例
VREF
DT
Cd
Rd
ソフトスタートのかけ方
Cd
Rd R2
R1
DT
VREF
VREF
R3
RSVO
R1
R5
R2R4
VIO
IO
GND
VO
VO1
00 IL3 IL2
IOIL1
+
−D
DS04–27200–10 15
MB3759
・初期制限電流 IL1
ダイオードが逆バイアスされているため ,
となります。ただし , VIOはオペアンプの入力オフセット電圧で −10 mV≦ VIO≦ +10mVとなり IL1のバラツキ要因となります。そのため , 例えば IL1のバラツキを ±10%以内に抑えようとした場合 , オフセット電圧のバラツキ要因だけを考えても , (1)式より ,
は少なくとも 100 mV以上の設定が必要です。・変極点 IL2
ダイオードが順バイアスとなる点のため , (1)式の VOに を代入します (VDはダイオードの順方向電圧 )。
・最終制限電流 IL3
VO = 0時の制限電流は , R2≫ R1 の場合 RSの両端電圧と R5の両端電圧がバイアスする点となります。
R3//R4は R3, R4の並列抵抗で R3R4/(R3 + R4) です。ここで , R3//R4≪ R5のとき (2)式は ,
となります。また , R3, R4, R5とダイオード Dは VO = 0時の制限電流 IL3を決定するとともに , 電源投入時のスタータの役目も兼ねています。・スタータ回路について下図のように R3, R4, R5, Dのスタータ回路がない場合 , 電流制限回路動作後の出力電流 IOは ,
となります。電源投入時などで VO = 0のとき , 出力電流は IO = −VIO/RSとなり , オフセット電圧 VIOが正の場合 , 出力電流は負で制限され , 出力電圧が立ち上がらなくなります。そのため , 検出抵抗を出力側に入れるフォールドバック型の場合 , 後述する方法を除きスタータ回路は必ず入れてください。
VO > R3 + R4
R4VREF となり
RS IL1 =R1 + R2
R1 VO – VIO
∴IL1 =R1 + R2
R1RS
VO
RS
VIO– (1)式 (ただし ,R2 >> R1)
R1 + R2R1
( VO + VEE ) − ( R2 >> R1 ) IO = RS
1RS
VIO
R3 + R4R4
VREF − VD
RS
VIOIL2 =R1 + R2
R1RS
R4 / (R3 + R4) · VREF – VD –
RS IL3 = R3R4 + R3R5 + R4R5
R4R5 VREF − R3R5 VD − R4R5 VD − VIO
(2) RS
VIO∴IL3 =
RS
1 (R3 + R4
R4 VREF − VD ) − 1 + (R 3 // R 4) / R5
1式
RS
VIOIL3 C =
RS
1 (R3 + R4
R4 VREF – VD ) –
IO =R1 + R2
R1RS
VO
RS
VIO−
RSVO
R1
R2
VIO
IO
GND
VO
VO
0IO
IL1
VIO > 0 VIO < 0
+
−
16 DS04–27200–10
MB3759
(2)ダイオードを省略した例
電流制限後の出力電流 IO は ,
となります。ここで , VO> VREFの場合 , R3, R4を通して基準電圧源に電流が流れ込みますが , 基準電圧の安定化上200 μA以下になるよう設計してください。
(3)外部に安定した負電源がある場合
電流制限後の出力 IOは ,
となります。出力が瞬時ショートのとき , VO*が過渡的に負電圧となる場合があります。このとき , オペアンプの入力に−0.3 V以下の電圧が印加されないよう R1に印加される電圧を 300 mV以下に設定してください。
VOR1
R1+R2 >
IORS
VO
R1
R4
R2
GND0
0
R3
VIO
VREF
+
−
VO
R4R3+R4
R1R1+R2
< R4R3+R4
IOIL1
IO =RS
1 [(R1 + R2
R1– VREF – VIO ] (R2 >> R1)
R3 + R4R4
) VO +R3 + R4
R4
R1
R2
VIO
−VEE
RS
VO∗
VO
VO
VO
00 I L5 I L1
IO
IO
+
−
IO =RS
1R1 + R2
R1– (VO + VEE)
RS
VIO(R2 >>R1)
DS04–27200–10 17
MB3759
6.電源電圧供給回路例(1)ツェナダイオードによる供給
(2)三端子レギュレータによる供給
7.出力トランジスタの保護回路例MB3759は , モノリシック ICの性質上サブストレート (7ピン )に対し , ダイオード電圧 (≒ 0.5 V)以上の負電圧が印加された場合 , IC内部に寄生効果が生じ , 回路動作異常を引き起こします。したがって , IC内の出力トランジスタで直接トランスなどを駆動する場合 , 次のような対策を施してください。
(1)ショットキーバリアダイオードにより , 出力トランジスタから寄生効果を除く
VCC = VZ
R
C
MB3759
VCC
MB3759
VCC = VIN − VZ
VIN
VZ
VIN
VZ VCC
AC
VCC
MB3759
三端子 REG.
8
9
11
SBD10
18 DS04–27200–10
MB3759
(2)ダイオードのアノード側にバイアスを持たせ , 出力トランジスタの低レベル側をクランプする
(3)バッファトランジスタを介して , トランスを駆動する
8 11 14
7.5 kΩ
0.1 µF1.2 kΩ
= 0.7 V
VCC
8
9
DS04–27200–10 19
MB3759
8.回路例(1)チョッパ方式
AC 100 V
1 Ω
15 V
50 Ω
2 kΩ
1 mH
24 V2.5 A
2200 μF
10 kΩ
100 kΩ
10 kΩ
16 kΩ
5.1 kΩ
0.22 μF
10 μF
47 kΩ
2.2 kΩ
5.6 kΩ
5 kΩ300 Ω5.1 kΩ 2200 pF
0.1 Ω
FB
−IN1
VREF
−IN2
+IN1
+IN2
DT
E1
C1
E2
RT
C2
CT
OCGND
VCC
+
20 kΩ
+
++
+
20 DS04–27200–10
MB3759
(2)インバータ方式
AC 100 V
15 V
33 Ω100Ω
100Ω33 Ω
A
B
A
B
300 Ω
20 kΩ
10 kΩ
100 kΩ
2.2 kΩ
5.6 kΩ
0.1 Ω
5.1 kΩ
16 kΩ
10 kΩ
5.1 kΩREF
5 kΩ
10 µF47 kΩ
VREF
E1
C1
C2
E2
RT
OC
CT
FB
GND
0.22 µF
2200 µF
+IN1
−IN2
+IN2
−IN1
24 V2.5 A
DT
VCC
+
++
+
2200 pF
+
DS04–27200–10 21
MB3759
■ 使用上の注意・プリント基板のアースラインは,共通インピーダンスを考慮し設計してください。
・静電気対策を行ってください。・半導体を入れる容器は,静電気対策を施した容器か,導電性の容器をご使用ください。・実装後のプリント基板を保管・運搬する場合は,導電性の袋か,容器に収納してください。・作業台,工具,測定機器は,アースを取ってください。・作業する人は,人体とアースの間に 250 kΩ~ 1 MΩの抵抗を直列にいれたアースを使用してください。
・負電圧を印加しないでください。・- 0.3 V以下の負電圧を印加した場合,LSIに寄生トランジスタが発生し,誤動作を起こすことがあります。
22 DS04–27200–10
MB3759
■ オーダ型格型格 パッケージ 備考
MB3759PFプラスチック・SOP, 16ピン
(FPT-16P-M06)
DS04–27200–10 23
MB3759
■ RoHS指令に対応した品質管理 (鉛フリー品の場合 ) 富士通セミコンダクターのLSI製品は , RoHS指令に対応し , 鉛・カドミウム・水銀・六価クロムと , 特定臭素系難燃剤PBB
と PBDEの基準を遵守しています。この基準に適合している製品は , 型格に “E1”を付加して表します。
■ 製品捺印 (鉛フリー品の場合 )
■ 製品ラベル (鉛フリー品の場合の例 )
INDEX
MB3759XXXX XXX
E1
鉛フリー表示
SOP-16
2006/03/01 ASSEMBLED IN JAPAN
G
QC PASS
(3N) 1MB123456P-789-GE1 1000
(3N)2 1561190005 107210
1,000 PCS
0605 - Z01A 10001/11561190005
MB123456P - 789 - GE1
MB123456P - 789 - GE1
MB123456P - 789 - GE1
Pb
鉛フリー表示
JEITA規格 JEDEC規格
鉛フリー型格は末尾に「E1」あり。中国で組立てられた製品のラベルには「ASSEMBLED IN CHINA」と表記されています。
24 DS04–27200–10
MB3759
■ MB3759PF推奨実装条件【弊社推奨実装条件】
【実装方法の各条件】 (1) IR (赤外線リフロー )
(2) 手半田付け (部分加熱法 ) コテ先温度 :Max 400 °C時間 :5 s以内 / ピン
項目 内容
実装方法 IR (赤外線リフロー ) ・手半田付け (部分加熱法 )
実装回数 2回
保管期間
開梱前 製造後 2年以内にご使用ください。
開梱~ 2回目リフロー迄の保管期間
8日以内
開梱後の保管期間を超えた場合
ベーキング (125 °C , 24 h) を実施の上 ,
8日以内に処理願います。
保管条件 5 °C~ 30 °C, 70%RH以下 (出来るだけ低湿度 )
260 °C
(e)
(d')
(d)
255 °C
170 °C
190 °C
RT (b)
(a)
(c)
~
Hランク:260 °C Max
(注意事項 ) パッケージボディ上面温度を記載
(a) 温度上昇勾配 :平均 1 °C/s~ 4 °C/s
(b) 予備加熱 :温度 170 °C~ 190 °C, 60s~ 180s(c) 温度上昇勾配 :平均 1 °C/s~ 4 °C/s(d) ピーク温度 :温度 260 °C Max
255 °C up 10s以内(d’) 本加熱 :温度 230 °C up 40s以内
or 温度 225 °C up 60s以内
or 温度 220 °C up 80s以内
(e) 冷却 :自然空冷または強制空冷
本加熱
DS04–27200–10 25
MB3759
■ パッケージ・外形寸法図
最新の外形寸法図については , 下記 URL にてご確認ください。http://edevice.fujitsu.com/package/jp-search/
プラスチック・SOP, 16ピン リードピッチ 1.27 mm
パッケージ幅×パッケージ長さ
5.3 × 10.15 mm
リード形状 ガルウィング
封止方法 プラスチックモールド
取付け高さ 2.25 mm MAX
質量 0.20 g
コード(参考) P-SOP16-5.3×10.15-1.27
プラスチック・SOP, 16ピン
(FPT-16P-M06)
(FPT-16P-M06)
C 2002-2010 FUJITSU SEMICONDUCTOR LIMITED F16015S-c-4-9
0.13(.005) M
Details of "A" part
7.80±0.405.30±0.30(.209±.012) (.307±.016)
–.008+.010
–0.20+0.25
10.15
INDEX
1.27(.050)
0.10(.004)
1 8
916
0.47±0.08(.019±.003)
–0.04+0.03
0.17
.007+.001–.002
"A" 0.25(.010)
(Stand off)
0~8°
(Mounting height)2.00
+0.25–0.15
.079+.010–.006
0.50±0.20(.020±.008)0.60±0.15
(.024±.006)
0.10+0.10–0.05
–.002+.004
.004
.400*1
*2
0.10(.004)
単位:mm(inches)注意:括弧内の値は参考値です。
注1)*1印寸法はレジン残りを含む。
注2)*2印寸法はレジン残りを含まず。
注3)端子幅および端子厚さはメッキ厚を含む。
注4)端子幅はタイバ切断残りを含まず。
26 DS04–27200–10
MB3759
MEMO
DS04–27200–10 27
MB3759
富士通セミコンダクター株式会社〒 222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜 2-10-23 野村不動産新横浜ビルhttp://jp.fujitsu.com/fsl/
電子デバイス製品に関するお問い合わせ先
0120-198-610受付時間 :平日 9時~ 17時 (土・日・祝日 , 年末年始を除きます )携帯電話・PHSからもお問い合わせができます。※電話番号はお間違えのないよう , お確かめのうえおかけください。
本資料の記載内容は , 予告なしに変更することがありますので , ご用命の際は営業部門にご確認ください。本資料に記載された動作概要や応用回路例は , 半導体デバイスの標準的な動作や使い方を示したもので , 実際に使用する機器での動作を保証するも
のではありません。従いまして , これらを使用するにあたってはお客様の責任において機器の設計を行ってください。これらの使用に起因する損害などについては , 当社はその責任を負いません。本資料に記載された動作概要・回路図を含む技術情報は , 当社もしくは第三者の特許権 , 著作権等の知的財産権やその他の権利の使用権または実施
権の許諾を意味するものではありません。また , これらの使用について , 第三者の知的財産権やその他の権利の実施ができることの保証を行うものではありません。したがって , これらの使用に起因する第三者の知的財産権やその他の権利の侵害について , 当社はその責任を負いません。本資料に記載された製品は , 通常の産業用 , 一般事務用 , パーソナル用 , 家庭用などの一般的用途に使用されることを意図して設計・製造されてい
ます。極めて高度な安全性が要求され , 仮に当該安全性が確保されない場合 , 社会的に重大な影響を与えかつ直接生命・身体に対する重大な危険性を伴う用途(原子力施設における核反応制御 , 航空機自動飛行制御 , 航空交通管制 , 大量輸送システムにおける運行制御 , 生命維持のための医療機器 , 兵器システムにおけるミサイル発射制御をいう), ならびに極めて高い信頼性が要求される用途(海底中継器 , 宇宙衛星をいう)に使用されるよう設計・製造されたものではありません。したがって , これらの用途にご使用をお考えのお客様は , 必ず事前に営業部門までご相談ください。ご相談なく使用されたことにより発生した損害などについては , 責任を負いかねますのでご了承ください。半導体デバイスはある確率で故障が発生します。当社半導体デバイスが故障しても , 結果的に人身事故 , 火災事故 , 社会的な損害を生じさせないよ
う , お客様は , 装置の冗長設計 , 延焼対策設計 , 過電流防止対策設計 , 誤動作防止設計などの安全設計をお願いします。本資料に記載された製品を輸出または提供する場合は ,外国為替及び外国貿易法および米国輸出管理関連法規等の規制をご確認の上 , 必要な手続き
をおとりください。本書に記載されている社名および製品名などの固有名詞は , 各社の商標または登録商標です。
編集 プロモーション推進部