6.2-16
ⅲ.騒音レベルの合成
騒音レベルの合成には、次式を用いた。
L = 10・log10Σ10L i/10
ここで、 L :合成騒音レベル(dB)
Li:予測地点における音源からの騒音レベル(dB)
c.予測地域・予測地点
予測地域は、調査地域と同様とした。予測地点は、音の伝搬の特性及び土地
利用の状況等をふまえて、予測地域における騒音に係る環境影響を的確に把握
できる地点とした。具体的には、東西それぞれの敷地境界のうち、増設エリア
に最寄りの 2 地点とした(図 6.2-10)。
図 6.2-10 予測地点と増設エリア
d.予測時期
建設機械の稼働台数は図 6.2-11 に示すとおりである。基礎工事は、全工程で
実施し、6 月目をピークに減少する。据付工事は、5 月目から 25 月目にかけて
実施し、15 月目から 19 月目にかけて 600 台/月以上で推移する。築炉工事は 10
月目から 20 月目にかけて施工する。予測時期は、工事計画に基づき建設機械の
種類・台数を設定し、騒音に係る環境影響が最も大きくなる工事着工後 6 月目
6.2-17
とした。
工事は、週 6 日、8 時~18 時の時間帯に実施する計画である。
図 6.2-11 建設機械の稼働台数
e.予測条件
ⅰ.建設機械のパワーレベル
予測時期に稼働する建設機械の規格、稼働台数、パワーレベルを表 6.2-6 に
示す。パワーレベルが最も大きいのは、基礎工事で使用する杭打機(119dB)で
ある。
表 6.2-6 予測時期に稼働する建設機械のパワーレベル
工事
区分 建設機械 規 格
予測時期の稼働台数
(台/日)
パワーレベル (dB)
杭打機(油圧ハンマー) 45kW~180kW 6 119 3)
ラフタークレーン 25~50t 吊 9 108 3)
コンクリートポンプ車 60m3/h 5 107 2)
バックホウ 0.7~1.5m3 11 106 2)
ダンプトラック 10t 積 9 102 3)
基礎
工事
ブルドーザー 5~50t 2 105 2)
ラフタークレーン 25~50t 吊 5 108 3)
トラック 4~10t 積 1 102 3) 据付
工事
ユニック車 4t 2 102 3)
0
400
800
1,200
1,600
1月
目
2月
目
3月
目
4月
目
5月
目
6月
目
7月
目
8月
目
9月
目
10月
目
11月
目
12月
目
13月
目
14月
目
15月
目
16月
目
17月
目
18月
目
19月
目
20月
目
21月
目
22月
目
23月
目
24月
目
25月
目
稼動
台数
(台
/月)
築炉工事据付工事
基礎工事
6.2-18
ⅱ.建設機械の稼働位置
予測時期の建設機械の稼働位置は、図 6.2-12 に示すとおり設定した。
図 6.2-12 建設機械の稼働位置(工事着工後 6 月目)
6.2-19
②予測結果
建設作業騒音の予測結果は、表 6.2-7 と図 6.2-13 に示すとおりである。敷地
境界-1 は工事エリアから約 70m の距離に位置しており、建設作業の騒音レベル
は 67dB になると予測される。敷地境界-2 は工事エリアから約 200m 離れており、
かつ工事エリアから予測地点の間には石炭ヤード(高さ 17m)が存在すること
から、敷地境界-1 よりも減衰の効果が大きく 49dB になると予測される。敷地
境界の予測結果は、騒音規制法に基づく特定建設作業の規制基準「敷地境界線:
85dB 以下」を満足している。
表 6.2-7 建設作業騒音の予測結果(工事着工後 6 月目)
時間帯騒音レベル (L A5:dB) 予測地点 工事区分
現 況 将 来
環境保全目標 (dB)
敷地境界-1 基礎工事、
据付工事 58※1 67
敷地境界-2 基礎工事、据
付工事 56※1 49
85 以下※2
※1:敷地境界-1 及び敷地境界-2 の現況値は、工事を行う時間帯(8 時~
18 時)の測定結果(LA5)を示したもの。
※2:騒音規制法に基づく特定建設作業の規制基準(第 2 号区域)
6.2-20
図 6.2-13 建設機械の稼働時に発生する騒音 (事業開始から 6 月目)
6.2-21
2)工事用資材等の搬出入により発生する騒音
①予測の手法
a.予測手順
道路交通騒音の予測手順は図 6.2-14 に示すとおりであり、道路交通騒音の予
測モデル(ASJ RTN-Model 2008)を用いて定量的に予測した。具体的には、走
行速度をもとに A 特性音響パワーレベルを設定し、道路条件等を加味して単発
騒音暴露レベルの計算を行い、車線別・車種別に等価騒音レベルを計算した。
予測地点における騒音レベルは、工事計画から時間別・車種別交通量を勘案し、
等価騒音レベルを合成して求めた。
図 6.2-14 騒音の予測手順(工事車両の走行)
6.2-22
b.予測の基本的な手法
ⅰ.A 特性音響パワーレベルの設定
自動車走行時の騒音の A 特性音響パワーレベル LWA は、次式より求めた。
A 10logWL a b V= +
ここで、LWA: A 特性音響パワーレベル
a :車種別に与えられる定数(定常走行区間※で、小型車類(乗 用車+小型貨物車)は 46.7、大型車類(中型車+大型車)は53.2)
b :速度依存性を表す係数(定常走行区間※で 30)
V :走行速度(km/h)
※定常走行区間:自動車専用道路、または信号交差点から十分
離れた一般道路で、自動車がトップギアに近
いギア位置で走行する区間。走行速度 V は
40km/h 以上、140km/h 以下で定める。
ⅱ.単発騒音暴露レベルの計算
1 台の自動車が道路上を単独で走行するときの予測点における A 特性音圧
レベルの時間的変化(ユニットパターン)は、対象とする道路をいくつかの区
間に分割し、各分割区間の中点を代表点として予測地点までの音の伝搬を計
算して求める。道路上を 1 台の自動車が走行したとき、 i 番目の音源位置に
対して予測点で観測される A 特性音圧レベル LA, i は、次式により求めた。
A, A, 1020 log 8i W i iL L r= - -
ここで、 LA :i 番目の音源位置から予測点に伝搬する騒音の A 特性音圧
レベル(dB)
L WA:i 番目の音源位置における自動車走行騒音の A 特性音響パ
ワーレベル(dB)
r :i 番目の音源位置から予測点までの直達距離(m)
6.2-23
ユニットパターンの時間積分値(単発騒音暴露レベル LAE)は次式により求
めた。
A, /10
AE 100
110 log 10L ii
L tTæ ö
= ×Dç ÷è ø
å i
ここで、LAE :単発騒音暴露レベル(dB)
T 0 :基準時間( = 1s)
L A :A 特性音圧レベル(dB)
ti :音源が i 番目の区間に存在する時間(s)
ⅲ.等価騒音レベルの計算
エネルギー平均である等価騒音レベルL Aeq は、対象とする 1 時間あたりの交通
量 N(台/3,600s)を考慮し、次式により求めた。
AE /10
Aeq,1h 10
AE 10
10 log 103,600
10log 35.6
L NL
L N
æ ö= ç ÷è ø
= + -
ここで、L Aeq :等価騒音レベル(dB)
L AE :単発騒音暴露レベル(dB)
N :1 時間あたりの交通量(台/h)
以上の計算を車線別・車種別に行い、それらの結果を合成計算して、予測点
における騒音レベルを求めた。
c.予測地域・予測地点
予測地域は、調査地域と同様とした。予測地点は、音の伝搬の特性及び土地
利用の状況等をふまえて、予測地域における騒音に係る環境影響を的確に把握
できる地点とし、運搬車両の走行ルートのうち、環境基準が適用され、かつ定
常走行となる地点とした(図 6.2-15)。
6.2-24
図 6.2-15 道路交通騒音の予測地点
d.予測対象時期等
工事用資材の運搬は、図 6.2-16 に示すとおり計画している。予測時期は、工
事計画に基づき運搬車両の種類・台数を設定し、騒音に係る環境影響が最も大
きくなる工事着工後 6 月目とした。陸上輸送は、週 6 回、9 時~17 時の時間帯
に走行する計画であり、予測時期には往復約 5,000 台が走行する。
図 6.2-16 工事用資材の運搬計画(運搬車両)
0
1,000
2,000
3,000
1月
目
2月
目
3月
目
4月
目
5月
目
6月
目
7月
目
8月
目
9月
目
10月
目
11月
目
12月
目
13月
目
14月
目
15月
目
16月
目
17月
目
18月
目
19月
目
20月
目
21月
目
22月
目
23月
目
24月
目
25月
目
運搬車
両台
数(台
/月
)
6.2-25
e.予測条件
ⅰ.道路条件
予測地点の道路断面構造は、図 6.2-17 に示すとおりである。また、予測地点
は、南側の官民境界の地上 1.2m の高さとした。
図 6.2-17 予測地点の道路断面構造
ⅱ.走行速度
走行速度は、規制速度である 50km/h とした。なお、対象道路の実測値も平均
50km/h であった。
ⅲ.交通量
時間別車種別交通量は、図 6.2-18 と表 6.2-8 に示すとおりとした。現況の交
通量は、8 時~9 時及び 17 時~18 時の時間帯に増加するため、工事車両はこの
時間帯に運搬車両の走行台数(往復 198 台)は、時間帯毎に均等に配分し、現
況交通量に加算した。将来の交通量は、工事用の大型車両が走行することによ
り、現況に比べ 2%増加する。
図 6.2-18 予測地点の交通量
0
500
1,000
1,500
2,000
8~9
9~10
10~11
11~12
12~13
13~14
14~15
15~16
16~17
17~18
時
交通
量(台
/h)
工事車両(将来増加分)
大型車以外(現況)
大型車(現況)
6.2-26
表 6.2-8 時間別車種別交通量の設定
将来(台/h) 現況(台/h)
工事車両 全体 時
大型車 大型車以外 大型車 大型車以外 大型車 大型車以外
8~9 270 1,200 0 0 270 1,200
9~10 330 564 26 0 356 564
10~11 366 708 26 0 392 708
11~12 576 648 24 0 600 648
12~13 192 822 24 0 216 822
13~14 342 756 24 0 366 756
14~15 318 768 24 0 342 768
15~16 342 660 24 0 366 660
16~17 294 744 26 0 320 744
17~18 90 1,578 0 0 90 1,578
3,120 8,448 198 0 3,318 8,448 合 計
11,568 198 11,766(2%増)
備考)カッコ内は、現況に対する増加率を示す。
②予測結果
運搬ルートにおける道路交通騒音の予測結果は表 6.2-9 に示すとおりである。
工事用車両の走行時の騒音レベルは 64dB であり、現況と変わらない。また、予
測結果は、騒音に係る環境基準「幹線交通を担う道路に近接する空間:70dB 以
下」を満足する。
表 6.2-9 道路交通騒音の予測結果
等価騒音レベル
(LAeq:dB) 環境保全目標(dB)
予測地点
現況 将来 環境基準 要請限度
運搬ルート 64 64 70 以下※1 75 以下※2
※1:騒音に係る環境基準(幹線交通を担う道路に近接する空間)
※2:騒音規制法に基づく自動車騒音の要請限度(c 区域のうち車線を有
する道路に面する区域)
6.2-27
(2)土地又は工作物の存在及び供用
1)施設の稼働により発生する騒音
①予測の手法
a.予測手順
施設の稼働に伴う騒音の予測手順は図 6.2-19 に示すとおりである。
内壁面における騒音レベルは、各機器の音源のパワーレベルから施設の稼働
時に発生する騒音レベルを計算した。これに建屋の壁面による透過損失を考慮
し、損失分を差し引く。予測地点における寄与騒音レベルは、音の伝搬理論式
を用いて、施設外壁から受音点までの距離に応じた騒音レベルを求めた。予測
地点の騒音レベルは、寄与分とバックグラウンド騒音レベルを合成して算出し
た。
図 6.2-19 騒音の予測手順(施設の稼働)
6.2-28
b.予測の基本的な手法
ⅰ.内壁面における室内騒音レベル
音源(点音源)から r1m 離れた地点の騒音レベルは、次式より求めた。
屋内に複数の音源がある場合、受音点におけるそれぞれの室内騒音レベルは
次式により合成した(図 6.2-20)。
10
110log 10
=
é ùê ú=ê úë ûå
wiLn
wi
L
ここで、 wiL :音源に対する受音点の騒音レベル(dB)
図 6.2-20 騒音の伝播の状況
音 源
10 21
410log4in wQL L
Rrpæ ö
= + +ç ÷è ø
1
2
2
2m
m1
m
in
w
LLQr
SR R
S
aa
a
=-
ここで、 :室内騒音レベル(dB)
:各機器のパワーレベル(dB)
:音源の方向係数(床上に音源がある場合= )
:音源から室内受音点までの距離( )
:室定数( )
:室全表面積( )
:平均吸音率
6.2-29
ⅱ.外壁面における室外騒音レベル
壁を隔てた 2 地点の騒音レベルの差は、次式より求めた。
ⅲ.敷地境界の騒音レベル
室内に設置する機器の稼働に伴う敷地境界における騒音レベルは、次式によ
り求めた(図 6.2-21)。
・r<a/πの場合
(面音源と考える)
・a/π<r<b/πの場合
(線音源と考える)
・b/π<rの場合
(点音源と考える)
,L
a b b ar
ここで、 :敷地境界における騒音レベル(dB)
:壁面の寸法(m) >
:外壁側屋外受音点から敷地境界までの距離(m)
図 6.2-21 有限寸法の音源の捉え方
6
=
= - -out
in
L LL TL
10log 5
10log 11
= + -
= + - -
out
in
aL LraL TLr
2
2
10log 8
10log 14
×= + -
×= + - -
out
in
a bL Lra bL TLr
10 logout in
in
out
SL L TLSi
LLTL
Si
a= - -
2
・
ここで、 :外壁面における音源側の騒音レベル(dB)
:外壁面における室外の騒音レベル(dB)
:外壁の透過損失(dB)
:外壁の表面積(m )
6.2-30
屋外に設置する機器の稼働に伴う敷地境界における騒音レベルは、以下に示
す半自由空間における点音源からの距離減衰を求める理論式を用いて求めた。
L i =LW - 20・log10r - 8 + ΔLd
ここで、 L i :予測地点における音源iからの騒音レベル(dB)
LW :音源 i のパワーレベル(dB)
r :音源 i から予測地点までの距離(m)
ΔLd :回折に伴う減衰に関する補正量(dB)
回折に伴う減衰に関する補正量ΔLd(dB)は、音源、回折点及び受音点の幾
何学的配置から決まる行路差δ(m)を用いて次式で計算した。
-10log10δ-18.4 1≦δ
ΔLd = -5±15.2sinh-1(|δ|0.42) -0.073≦δ<1
0 δ<-0.073
※式中の±符号は、δ<0(受音点から音源が見通せる)の場合に+、δ≧0 の場
合に-とする。
ⅳ.予測地点の騒音レベル
予測地点における騒音レベルは、複数の音源による寄与騒音レベルを下式で
合成して求めた。
c.予測地域・予測地点
予測地域は、調査地域と同様とした。予測地点は、音の伝搬の特性及び土地
利用の状況等をふまえて、予測地域における騒音に係る環境影響を的確に把握
できる地点とした。具体的には、他事業場に面する東西それぞれの敷地境界の
うち、施設に最寄りの 2 地点とした(図 6.2-22)。
= +10・log(10 / 10 10 / 10)
ここで、 :予測地点における騒音レベル(dB)
:予測地点における寄与騒音レベル(dB)
:予測地点のバックグラウンド騒音レベル(dB)
n bL L
n
b
L
L
L
L