2011.05.10 H.Kamijo 1
ISO/TS16949概要
2011年5月
上條 仁
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ISO/TS16949 発行・改定の歴史
1987年
1994年
1996年
1997年
1999年
2000年
2002年
2003年
2006年
2008年
2009年
ISO9000S-1987発行 VDA6(独)発行
ISO9000S-1994発行 QS9000(米)、AVSQ(伊)、EAQF(仏)発行
ISO/TC176テルアビブ総会
→各国自動車品質マネジメントシステムリクアイメントの国際統一化の要求提出
ISO/TC176リオ総会
→自動車パイロットプロジェクト発足。国際的統一リクアイメント作成活動開始
ISO/TS16949-1999発行
ISO/TS16949-2000に対応する改訂作業開始
(社)日本自動車工業会が改訂作業に参加
ISO9001-2000発行
ISO/TS16949-2002発行
12月:ISO9000S-1994→2000更新期限(1994版消滅)
12月:QS9000がISO/TS16949へ移行(QS9000消滅・マニュアル類は存続)
ISO9001-2008発行
ISO9001-2008追補改正を受け発行
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ISO/TS16949の動向(図解)
1987 1994 2000
ISO/TS16949
QS9000
2003 2006
QS9000単独
ISO9000S-1987 ISO9000S-1994 ISO9001-2000
’94 1995 1998
1999 2002
ISO9000S-1994ISO9000S
ISO
ISO9000S-1994ISO9000S-2000
ISO9001-2008
2009ISO9000S-2008
定期見直
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ISO/TS16949規格構造・審査範囲
ISO/TS16949規格部分
審査の範囲
各社固有要求事項
業界固有共通要求事項
ISO9001要求事項
•2002年11月6日(水)(財)日本規格協会主催説明会資料より編集作成
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各国自動車会社のISO/TS16949採用状況
・米国(Big3)QS9000又はISO/TS16949を要求ダイムラークライスラーはISO/TS16949を推奨
・仏(PSA、ルノー)ISO/TS16949を要求
・伊(フィアット)更新又は新規の認定はISO/TS16949
・独(VW) VDA6.1を要求、ISO/TS16949でも可(BMW) ISO/TS16949への適合を要求
・日本(日産)ISO/TS16949への適合を要求但しQS9000、VDA6.1、EAQF、AVSQでも可
(トヨタ、ホンダ他)現状では要求は不明、各社の経営判断による
注:「ISO/TS16949への適合を要求」とは、適合していることを顧客へ示せば良く、第3者認証は要求していない
•2002年11月6日(水)(財)日本規格協会主催説明会資料より
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ISO/TS16949のねらい
・不適合の予防に重点をおいた継続的改善検査で除くのではなく、発生を予防しパフォーマンスを継続的に改善
・バラツキとムダの低減製造工程を安定させレベルを上げ、品質と生産性を継続的に改善
・サプライチェーンにおける欠陥の予防自分の企業だけでなく供給者(下請け)を含めた不適合の予防
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主な追加要求事項としては、
・ビジネスプランの運用と目標管理
・パフォーマンスを重視したデータの活用と顧客満足の向上
・クロスファンクショナルチーム活動による新製品開発計画
・生産部品承認プロセス(PPAP)活動
・製品開発に加えて製造プロセスの開発管理
・予防保全と製造ツーリングマネジメント
・供給者のQMS開発とISO9001の適合要求
・特殊特性の指定とコントロールプラン(CP)活用による製品の実現プロセスの運用
・計測システム解析と試験所(ラボ)要求事項
・先入先出の実施による在庫回転と在庫管理
・製造プロセス監査、及び製品監査を加えた内部監査
・操業パフォーマンスの継続的改善とパフォーマンス実績重視
ISO9001に対して
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認証フロー
認証機関との審査・認証契約締結
予備審査(オプション)
第一段階審査(準備状況確認)
第二段階審査(生産事業所審査・登録審査)
フォローアップ
是正処置完了
認証判定・登録証発行
・適用範囲の明確化
・オプションだが通常実施
・認証範囲確認、文書レビュー・12カ月間のシステム運用実績の確認・第二段階審査へ移行の可否判断
・プロセスアプローチに基づく審査・要求事項(ISO/TS16949)の審査・顧客固有要求事項の審査・コアツールの活用状況確認
・是正処置実施状況確認
・不適合事項対応完了確認
・認証
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認証準備
プロジェクトチーム結成
教育実施
文書作成
システム構築
マネジメントシステム運用
認証審査準備
・ISO/TS16949そのもの、コアツール
・TS対応品質マニュアル・コアツールマニュアル・TS対応手順(文書)、記録
・多機能チーム(CFT)結成・コアツールを活用した運用スタート
・各プロセス運用及び記録作成・内部監査【監査員教育→監査実施)・マネジメントレビュー開催
・製品設計、製造工程、工程設計・不良およびクレーム対応・教育体制、顧客要求事項、改善状況
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ISO/TS16949認証スケジュール(例)
'11/5 '11/6 '11/7 '11/8 '11/9 '11/10 '11/11 '11/12 '12/1 '12/2 '12/3 '12/4 '12/5 '12/6 '12/7 '12/8 '12/9 '12/10 '12/11 '12/12 '13/1 '13/2 '13/3
活動計画策定
プロジェクトチーム結成
キックオフTS基本
コアツール
内部監査員
プロセス分析・営業
・設計
・工程設計
・量産
・検査検証・支援プロセス(該当時)
・マネジメント
品質マニュアル見直し
規格・基準作成見直し
職制展開
内部品質監査
マネジメントレビュー審査機関へ申告
予備審査
第一段階審査
第二段階審査
認証
認証審査
ISO/TS16949認証スケジュール(大日程)
推進項目
準備
教育
システム構築
運用
認証取得宣言
予備審査
第一段階審査
第二段階審査
認証
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ISO/TS16949認証プロジェクトチーム
所属○○設計 ○○ ○○○○設計 ○○ ○○ ○○○○設計 ○○○○製造 ○○○○製造 ○○ ○○○○管理 ○○ ○○○○管理 ○○○○品証 ○○ ○○ ○○○○検査 ○○○○品証 ○○ ○○ ○○ ○○○○設計 ○○ ○○○○製造 ○○ ○○○○管理 ○○○○購買 ○○ ○○○○設計 ○○ ○○○○製造 ○○ ○○
ISO/TS16949認証プロジェクトチームメンバー表
分科会名 主査 事務局チームメンバー
氏名
設計 ○○部長 ○○課長
製造 ○○部長 ○○課長
生産管理 ○○部長 ○○課長
品証 ○○部長 ○○課長
内部監査 ○○部長 ○○課長
購買 ○○部長 ○○課長
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自動車産業の品質システム要求事項“ISO/TS 16949-2009”
では,いわゆる“コアツール”と呼ばれる技法があるが、この通り
実施するかは顧客次第である。
技法としては,5種類
1.APQP(先行製品品質計画)
2.PPAP(生産部品承認プロセス),
3.FMEA(故障モード影響解析)
4.MSA(測定システム解析)
5.SPC(統計的工程管理)
コアツール
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新製品の設計から量産に至るすべての段階で、製造部門
品質保証部門をはじめ会社の総力を挙げた体制を作ること、
ポイントごとに、経営(トップ)の進行指示を得て確認しながら
進めること。これにより、仕事の手戻りを防ぎ、新製品当初の
品質、納期の問題を未然に防止すること。コンカレント・エンジ
ニアリングの思想が貫かれている。
コアツールの中でもAPQPは,製品のコンセプトの段階から製品設計,工程設計,妥当性確認,
顧客承認を経て量産に至る広い範囲のプロジェクト活動であり,品質マネジメントの中核をなす
ものである。
◎目的
1.APQP & CP (Advanced Product Quality P lanning & Control Plan)
製品品質計画 と 管理計画書
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製品品質計画とは、製品の設計・開発から量産に至る活動計画で、下記内容を主体に推進する。①顧客要求に合致した製品開発・設計及び生産 ②変更内容の明確化③後工程での仕様変更防止 ④低価格で納期通りの納入
インプット・市場調査結果・顧客要求保証内容と要求品質・類似品におけるチーム経験・事業計画とマーケティング戦略(製品/工程のベンチマーキング)
・製品/工程の構想・他社、自社製品の信頼性調査・取引先の開発
開発構想決定/承認
開発の承認(設計着手) 試作 量産試作 量産開始
計画
製品の設計と開発
工程の設計と開発
製品と工程の認定
生産
フィードバックと評価と是正処置
①プログラムの
計画と定義
②製品設計・開発の検証
③工程の設計と展開の検証
④製品と工程の妥当性確認
⑤フィードバックの評価・是正活動
①のアウトプット(②へのインプット)
・設計目標の設定(信頼性と品質目標)・開発日程計画書作成・試作部品表の作成・試作工程の作成・製品/工程の重要特性の項目リスト
・試験/評価設計の計画作成(新測定機器/試験法の準備)・FTAの実施・品質計画と責任の割付
②のアウトプット(③へのインプット)
・QFDの実施・設計FMEAの実施・PDCロット信頼性評価試験(外注品・購入品を含む)(全寸法・性能・耐久・材料試験)・生産性・組立性見当と評価(生産設計)・製品/工程の重要特性実力把握・設計検証の実施・DR・TRの実施・管理計画書の作成・製作図の作成(CAE・技術計算等)・技術的な仕様(製作図に含まれないスペック、基準)
・製品・材料の安全性評価、環境影響評価・生産可能性の審査/評価報告作成
③のアウトプット(④へのインプット)
・QFDの見直し・修正・工程フローチャートの作成(内作・外作の決定)
・工程FMEAの実施・試作品信頼性評価試験・DR・TRの実施・工程能力Ppk把握(計画/実施)と改善・特性マトリックスの作成と方策検討・管理計画書の見直し・修正・包装仕様の検討・製作図の見直し・修正・設計・製造変更点管理表の発行・品質問題に対する是正処置・量産先行品の生産指示(生産可能性の審査/評価報告)
④のアウトプット(⑤へのインプット)
・QFDの見直し・修正・工程フローチャートの見直し・修正・設計・工程FMEAの見直し・修正・量産先行品信頼性評価試験・測定システム評価(ゲージR&R)と改善
・工程能力Ppk、Cpk把握と改善・生産部品承認手続き(PPAP)・包装仕様評価と決定・最終仕様の検証(設計書・製作図・他)
・量産管理計画書の検証・品質問題に関する是正処置
・コスト低減・生産性向上・リードタイム短縮
・工程能力改善・顧客満足向上
⑤のアウトプット(継続的改善事項)
1.1 製品品質計画(APQP)の概要
計画 PLAN
実行 DO
検証 CHECK
処置 ACT
技術とコンセプトの開発
製品/工程の開発とプロトタイプ検証
製品と工程の認定
ベンチマークの認定 フィードバック
と評価と是正対策
計画と定義
製品設計と開発
工程の設計と開発
製品と工程の認定
製品品質計画PDCAサイクル
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1.2 管理計画書(CP)の概要
(1)目的:顧客要求事項に従った品質の良い製品を製造するのに役立てること。・システム全体に対して価値を付加するような管理方法を設計・選択・実施する系統的なアプローチ
・プロセス及び製品の変動を最小限に抑えるために用いるシステムの総括文書
(2)書式は限定しないが、マニュアル記載内容全てが入っていることが必要である。管理計画書は作業標準としては使っては不可である。管理計画書は、生きた文書として扱い関連文書と併用すべき(次ページ参照)製品を生産している限り、維持し、変更点等により見直し更新していく。
(3)管理計画書作成において、効果的な工程管理と改善のために有効とされる情報・工程フローチャート(全工程)・システム/設計/工程のFMEA・特殊特性一覧・類似する部品(製品)からの教訓(過去の不良、管理内容等)・チームの工程に関する知識・設計審査(DR)・最適化の手法(QFD、DOEなど)
QFD:Quality Function Deployment品質機能展開、DOE:Design of Experiment実験計画法
(4)メリット・品質:無駄を減らし製品品質を改善する。変動要因を特定するのに役立つ・顧客満足:顧客にとって重要な特性に関して管理が重点を置かれ、品質低下をせずに
コストダウンに結びつく・情報伝達:関連文書との連携がよくなる。
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プロセスフロー図
特殊特性を決める
管理計画書 作業標準
クレーム品質事故
D・FMEA↑ ↓
P・FMEA
FMEAから特殊特性が見つかることあり
CP(管理計画書)の見直しに入る
危険度データの変更により重要特性が変わる
改善
改善からくるものもある
ISO/TS16949の活動とは?
QS9000講演会(H12.6.13、安藤黎二郎先生)板書説明より編集追加
この図において、ぐるぐると回って、CPやFMEAが変更されるので、CPやFMEAは“活きている文書”という。
この回っている状態が、ISO/TS16949のシステムである(リンクをもって回っている)→継続的改善につながる。
CPやFMEAの変更が無いとき、このシステムは活動していないことになる。
このため、CPだけでなく、FMEAを全工程に適用させるのである(全工程を考慮する)
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顧客のすべての設計記録や、仕様の要求変更を適性に理解
していることを明らかにすること。
見積もり時の生産量で実際に部品を製造する場合に、これら
の要求事項に合わせた生産能力があることを示すこと。
部品番号、技術的な変更、製造場所、材料の購入先、製造工程の項目を指定して
厳守することを要求している。
これに変更が必要な場合は、顧客への通知と再承認の提出が必要であり、この
手順を守ること。
◎目的
2.PPAP (Production Parts Approval Process)生産部品承認プロセス
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保管/提出要求事項
S:組織は指定された顧客の製品承認部門に提出すること、そして適切な場所(製造場所を含む)に記録のコピー又は文書化した品目を保管すること。
R:組織は適切な場所(製造場所を含む)に保管すること、そして要請があれば、顧客代表が容易に利用可能であること。*:組織は適切な場所に保管すること、そして要請があれば顧客に提出できること。
1 2 3 4 5販売可能な製品の設計記録 R S S * R-所有権を持つ要素(部品)/詳細 R R R * R-その他全ての要素(部品)/詳細 R S S * R
2 設計変更文書(該当する場合) R S S * R3 顧客の技術承認(要求のある場合) R R S * R4 DFMEA R R S * R5 プロセスフロー図 R R S * R6 PFMEA R R S * R7 管理計画書 R R S * R8 計測システム分析調査 R R S * R9 寸法測定結果 R S S * R10 材料/性能試験結果の記録 R S S * R11 初期工程調査 R R S * R12 認定試験所の文書 R S S * R13 外観承認報告書 S S S S R14 量産サンプル部品 R S S * R15 マスターサンプル R R R * R16 検査具 R R R * R17 顧客固有の要求事項 R R S * R18 部品提出保証書 S S S S R- バルク材料要求事項チェックリスト(注1) S S S S R
要求事項提出レベル
1
注1:バルク材料PPAPについてのみ(該当しない場合不要)
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FMEA(故障モード影響解析:Failure Mode and Effects Analysis)
FTA(故障の木解析:Fault Tree Analysis)
システムを構成する部品・要素などが故障に対し、その故障がどのような影響を及ぼすか解析し、致命度の大きい故障モードを未然に除去する目的で用いられる設計の信頼性評価法
好ましくない事象(トップ事象)からその原因を逐次下位レベルに展開、トップ事象とその原因との関係を、定性的、定量的に把握するために用いられる解析手法
FTA
3.FMEA と FTA
FMEA
製品/工程の故障とその影響を認識し、評価すること、故障の発生する機会を除去または削減できる行動を特定し、それらのプロセスを文書化すること。不良の未然防止活動、リコール対策。
◎目的
取られた
処置
及び
完了日
厳
し
さ
発
生
頻
度
検
出
R
P
N
処置結果
現行の
設計管理
予防
現行の
設計管理
検出
検
出
R
P
N
推奨
処置
責任者
及び
目標完了
期限
品目/
機能/
要求事項
潜在的
故障モード
潜在的
故障影響
厳
し
さ
分
類
潜在的
故障原因
発
生
頻
度
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ステ
ップ
設計・
技術部署
生産技術
部署
検査管理部署
製造・検査作業
品質保証部署
運営方法
研
究段階
設
計段階
生
産準
備段階
量
産段階
図面・スペック
初回FMEA
図面・スペック
第2回FMEA
保安・重要特性リスト
サブ設計審査
本設計審査
工程計画・検査計画
工程のFMEA
工程のFMEAの検討
サブ工程審査
本工程審査
工程能力把握特性の決定
工程能力の評価
生産確認
設計・工程のFMEAと保安重要特性リストの見直し
量産
選定基準
実施決定者
実施時期
FMEA検討会
選定基準
実施決定者
実施時期
FMEA検討会
FMEAの維持と管理
◎設計構想の基本的検討が主○機能・性能・材料・強度、機構上の弱点の摘出
◎前半はカーメーカの要求事項と情報の反映が主○システムへの影響度合いの調査等◎後半はフィージビリティの面から見た故障モードの調査が主○工作方法、故障モードの検知方法等
(イ)設計構想が新規または大幅にかわっている新製品で、とくに安全性・信頼性を高度に要求される製品
(ロ)既存製品で故障モード等の調査が不十分なために、大きな設計品質問題が発生している製品
(イ)研究段階→技術部長が独自で決定(ロ)設計段階→技術部長が生産技術部長、工場長と協議のうえ決定
(イ)研究段階→研究試作図作成時(ロ)設計段階→手配図作成時
(イ)主管→技術部(ロ)参画→関連各部門の専門スタッフ
(イ)設計のFMEAを実施した全ての製品の製造工程(ロ)大きな製造品質問題が発生している製造工程
(イ)内製品→生産技術部長(ロ)外製品→工場長
工程計画の段階で工程のおおまかな構想ができあがった時点で設備調達前までに完了
(イ)主管→生産技術部(内製品)、工場(外製品)(ロ)参画→技術部、品質保証部、仕入先、その他専門スタッフ
主管部署は、故障発生時点および設計変更、工程変更のたびにFMEAを見直し、FMEAを最新の情報で管理する。
FMEA活用のためのシステム例(参考)
システムの維持と改善(主管・品質保証部署)
設計のFMEAの検討
設計のFMEAの検討
設備調達
日科技連信頼性工学シリーズ7「FMEA、FTAの活用」(塩見弘・島岡淳・石山敬幸著)P110図4.4
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社長
役 員 会 経営企画
品質保証
原価管理
量・納期管理
安全推進
教育推進
環境管理
経理
人事
品質管理
(機能別管理システム)
(機能別主管部門)商
品企画
開発設計
生産技術
購買
製造
販売
サービス
(標準化と品質管理 Vol.57 No.7 P87より)
D
P CA(一貫性)
(総合性)
付録・機能別管理の組織の一例
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計測及び試験装置のシステムの変動解析に適用する
統計的手法である。測定システムの相互が持つ誤差及び
測定者による測定値の差異を把握し、その測定値が、測定
バラツキと成り、製品に影響を与えないようにすること。
測定装置だけでなく、計測する人を含め、必要かつ十分な計測値が得られる
ことを確実にするために、計測システム全体の検証が要求される。
工程能力あるいは工程性能の評価をはじめ、合否判定基準の設定や各種測定
データの誤差評価等に必須である。
意思決定の基となる測定値が、どの程度信憑性があるかを評価するために重要。
◎目的
4.MSA (Measurement System Analysis)
測定システム解析
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4.1 MSA補足説明・測定システム解析の対象は、コントロールプラン(管理計画書)に引用されている測定シス
テムに適用すること(ISO/TS16949の7.6.1測定システム、に記載事項)
・ゲージ設計段階にて、その測定能力から、機能性ゲージに対する部品に至るまでのリスク
範囲を分析するFMEAプロセス(設計及びプロセスFMEA)の使用がある。これは保全及び
構成計画開発の一助になる。
・工程の変動を効果的に管理していくためには、
工程が行っているべきこと(仕様及び技術的要求事項により定義されるもの)
上手くいかなくなる可能性があること
工程が行っていること(工程のパラメータ又は結果を評価することにより得られる)
に関する知識が必要。
特に、「上手くいかなくなる可能性」に対しては、工程故障モード影響解析(PFMEA)が
有効である。潜在的な工程の不具合に関連するリスクを定義し、同じような不具合が発生
する前に、それに対する是正処置を提案する。PFMEAの結果は管理計画書に変換され
る。
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製造工程を効果的・効率的に管理し,適合製品を一貫して
製造し,製品品質を継続的に改善すること
工程管理の背景として、変動(バラツキ)共通原因と特別原因
がある。工程を分析するのに管理図が有効である。
◎目的
5.SPC (Statistical Process Control)
統計的工程管理
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5.1 管理図の効果・管理図は、工程変動を理解し、統計的管理状態の達成を助けるための情報を提供する。
・工程が統計的管理状態にある場合、その性能を予測できる。そのための生産者、顧客共に
一定の品質レベルを期待できる。
・管理図は、共通原因の変動の減少、及び工程センタリングの改善(ねらい値調整)を可能と
するための情報を提供し、より高い品質、より低いコスト、より高い生産性を達成するのに
役立つ。
・管理図は、工程性能に関する情報交換を行う際の共通言語になる。
・管理図は、変動の特別原因と共通原因を識別することにより、局所的な処置、又は全体的
な処置を選択する際の助けとなる。
統計的管理状態:変動が共通原因のみの場合。
共通原因:長期間に渡って安定し、繰り返し性のある分布を持つ工程内に存在する多数の変動要因のこと。
共通原因のみの存在で、それが変化しない場合、工程アウトプットの予測が可能。
特別原因:工程に常に作用を及ぼしているわけではない変動要因。突発不良。