調理で気をつけること
洗う
除く
加熱する
15
16
調理を始める前に必ず手を洗いましょう。
• きれいに見えても手に微生物はついている。
手の甲 手のひら
(McGinley et al (1988)の報告をもとに作成)
③調理:微生物を付けない
①
②④
③
場所 生菌数
① 約250,000個
② 約3,400個
③ 約1,000個
④ 約890個
成人の手についている生菌数
(26人の平均)① 爪と指の間を掻き取り②-④ 4cm2拭き取り
1. 流水で汚れを簡単に洗い流しましょう。
2. せっけんをつけて十分に泡立てましょう。
3. 手のひらをあわせてよくこすり、次に手のひらと手の甲をあわせてよくこすりましょう。
4. 両手を組むようにして指の間をよく洗いましょう。
5. 爪の間も十分に洗いましょう。
6. 親指は、反対側の手でねじるようにして洗いましょう。
17
7. 手首も忘れずに、反対側の手でねじるようにして洗いましょう。
8. 洗った手が再び汚れないように、蛇口をせっけんで洗い流してから水を出し、流水でせっけんと汚れを十分に洗い流しましょう。
9. 清潔な乾いたタオルなどで水気を拭きとりましょう。
10. 手洗い完了!
• 時計や指輪、アクセサリー、つけ爪などを外して手を洗う。
• 丁寧に手を洗うと、手の細菌は減る。
• 2度洗いが効果的。
18
19
清潔な手で調理しましょう。 手や指に傷がある場合は、調理をしない。
• どうしても調理しなければならない時は調理用の手袋などで手を覆う。
• 健康な人の皮膚にも、食中毒菌(黄色ブドウ球菌)はいる。
• 素手で握ったおにぎりは、食中毒の原因になることがある。
③調理:微生物を付けない
<最近の事例>2015年7月、愛媛県で家庭で調理した炊き込みおにぎりを食べた30名のうち、14名に吐き気、嘔吐、下痢などの症状がでた。
20
野菜や果実は流水でよく洗いましょう。
野菜 2010~2012年 2013~2015年
カイワレ 0.4% (1/252) 0% (0/151)
キュウリ 0 % (0/315) 0% (0/175)
みつば 1.3% (2/153) 0% (0/ 57)
レタス 0 % (0/288) 0% (0/206)
市販野菜のサルモネラ汚染率
注( )の中の数字:検査の結果陽性となった検体数/検査した検体数
(厚生労働省の汚染実態調査(2013,2016)をもとに作成)
③調理:微生物を付けない
21
一尾ものの魚や殻付きの貝は、流水でよく洗いましょう。
食品 2008年 2009年
二枚貝 8.5%(19/224) 15%(24/161)
鮮魚 3 %( 6/183) 0%( 0/ 28)
市販の二枚貝・鮮魚の腸炎ビブリオ汚染率
(厚生労働省科学研究費補助事業報告(2008-9)をもとに作成)
注1( )の中の数字:検査の結果陽性となった検体数/検査した検体数
③調理:微生物を付けない
• 腸炎ビブリオは、真水(水道水)の中で増えることはできない。
22
生肉は洗わないようにしましょう。
• 生肉を洗うと食中毒菌が飛び
ちり、まわりに付いてしまう
可能性がある。
市販鶏肉のカンピロバクター汚染率
注( )の中の数字: Suzukiらが2002~7年に雑誌掲載された論文を収集・分析した結果、陽性であった検体数/検査された検体数
③調理:微生物を付けない
• 食中毒菌(カンピロバクター)は
少量(500~800個/ヒト)でも
• 感染する。
部位 汚染率
モモ肉 56.8%(158/278)
ムネ肉 59.9%(112/187)
(Suzuki and Yamamoto(2009)の報告をもとに作成)
23
食品の解凍は電子レンジや冷蔵庫または流水を使いましょう。
• 室温でゆっくり解凍すると、食中毒菌が増える可能性がある。
• 素早く解凍 電子レンジ 流水
• 低い温度で解凍 冷蔵庫(1~5℃)
③調理:微生物を増やさない
24
食材を切るときは、加熱しないで食べるものを先に、加熱するものを後にしましょう。
• 生の鶏肉をまな板に置くと、カンピロバクターがまな板にうつることがある。
• そのまな板に食品を置くと、カンピロバクターが食品にうつることがある。
③調理:微生物を付けない
25
③調理:カビの生えた食材は使わない
調理前に変色や異臭がないか食材の状態を確認しましょう。
• 食品の保存中に、カビが生えているかもしれない。
• 目に見えるカビの部分を取り除いても、カビやカビ毒
は食品に残っている可能性がある。
• カビが生えていたら、思い切って捨てる。
写真1:かびが生えた切り餅写真2:写真1の赤枠付近をかびの菌糸が青く見えるように染色し顕微鏡で観察したもの(糸くず状に見えるのがカビの菌糸)
写真提供:千葉大学真菌医学研究センター矢口 貴志
写真1 写真2
• 野草や山菜には天然毒素を含むものがある。
ワラビにはプタキロサイド
フキにはピロリジジンアルカロイド
• 適切な “アク抜き”によって、毒素は減る。
• “アク抜き” で毒素は完全になくならない。一度に
たくさん食べない、食べ続けない。2
26
③調理:アク抜き
“アク抜き” が必要な食材は、適切にアク抜きをして食べましょう。
<アク抜きの例>
ワラビ フキ
写真:日本特用林産振興会HPから引用
0102030405060708090
100
乾燥ヒジキ 水戻し ゆで戻し ゆでこぼし
%
27
③調理:乾燥ひじきの調理
乾燥ヒジキを戻した水は捨て、さらにヒジキを水洗いをしましょう。
ヒジキ中の無機ヒ素の
含有量の変化
5割減 8
割減
9割減
• ヒジキ中の有害物質(無機ヒ素)は、水戻しなどにより減らすことができる。
30分水に浸して水洗い
水に入れゆでる。沸騰後5分間ゆでて水洗い
水戻し後、お湯でゆでる。沸騰後5分間ゆでて水洗い
28
③調理:生の魚介類
魚介類を生食する時はアニサキスに注意しましょう。
• アニサキス(寄生虫)の幼虫は、サケ、サバ、サンマ、タラ、イカ等に寄生する。白っぽく太い糸のように見える(長さ2~3 cm、幅0.5~1 mm)。
• 生きたアニサキスを食べてしまうと、激しい腹痛、吐き気等を引き起こす。ヒトの体内では繁殖しない。
• 加熱調理するとアニサキスは死滅する。
• 魚を丸ごと購入した場合は、すぐに内臓を除く、目で見てアニサキスを除く。
水産教育・研究機構提供
渦状に巻いた幼虫
サケに寄生したアニサキス