特殊撮影法CT概略
大学院補足資料
2019.11.26改定
特殊撮影特殊な方法ないし装置を用いて撮影する
• CT(エックス線CT)• Computed Tomography(コンピュータ断層撮影法)
--- エックス線(電磁波)
• MRI
• Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴撮像法)--- 磁場、RFパルス(ラジオ波帯域の共鳴周波数をもつ電磁波パルス)
• US
• Ultrasonography(超音波撮影) --- 音波
エックス線CT
• エックス線コンピュータ断層撮影
• 物体に多方向からエックス線を照射し、透過エックス線強度という投影データからの逆変換にて元の物体の2次元(3次元)的なエックス線減弱係数の分布を計算する。
• 原理:ラドン変換、逆フーリエ変換
• 実際:畳込み逆投影法(convolution
backprojection法)
エックス線の減弱
線減弱係数:μ1
厚さ:d
線減弱係数:μ2
厚さ:d
I0
I1
I2
I1= I0 × exp(-μ1×d)
I2= I1 × exp(-μ2×d)
I2= I0 × exp{-(μ1+μ2)×d}
= I0 × exp{-∑μi×d}
逆投影の基本的な考え方
2 3
6 1
5
7
8 43
9
a b
c d
5=a+b
7=c+d
8=a+c
4=b+d
3=a+d
9=c+b
第1世代のCT
多元1次連立方程式を解くのと同等
実際の画像再構成第3世代での例
ex. FBP法p(r,θ)
フーリエ変換フィルタ補正(Tf)
フーリエ逆変換逆投影(Bp)
↓
出力画像f(x,y)
p(r,θ)=R・f(x,y) --- f(x,y)の投影(ラドン変換)f(x,y) = R-1・p(r,θ) = Bp・Tf・p(r,θ) ---逆ラドン変換
p(r,θ)
x
y
rθ
r
f(x,y)
CT画像は断「面」ではない断「層」ピクセル(pixel)とボクセル(boxel)
CT画像は通常平面として観察するので便宜的にpixelとして扱うことが可能
実際には、体軸方向に厚みを持った断面であり、平面的にはpixelとして扱えても、boxelである。
この単位体積(boxel)内の減弱係数の平均値から計算した値がboxelのCT値として扱われる。
CT値H.U.(ハンス・フィールドユニット)
• 各ボクセル内部の減弱係数の平均値に相当。
• 水のCT値を 0、空気のCT値を-1000 とした相対的な値※
=空気の減弱係数を 0 と仮定※
金属
空気
水
-1000
0
脂肪
血液
軟組織
骨
-100
~12
28~60
200~1500
凝固血液60~80
エナメル質約2000
𝐶𝑇値 =𝜇組織
−𝜇水
𝜇水
× 1000 ---式(1)
※120keVでの線減弱係数は 0.000175cm-1 程度で「ゼロ」ではなく、式(1)に当てはめると-999.1 程度となるが、空気でのキャリブレーションにて、-1000に設定している。
空気のCT値を -1000 とした時の式(1)
−1000 =𝜇空気
−𝜇水
𝜇水
× 1000
−𝜇水 = 𝜇空気 − 𝜇水𝜇空気 = 0
ウィンドウ中心(レベル)と幅
0
255
WL
WC表示装置(モニタ)で扱えるのは256階調
WW
ウィンドウ中心(レベル)と幅
35-165 235
0
255
WL = 35
WW = 400
表示装置(モニタ)で扱えるのは256階調
400
ウィンドウ中心(レベル)と幅
0
255
WL = 1000
WW = 4000
表示装置(モニタ)で扱えるのは256階調 4000
1000-1000 3000
軟組織を中心とした画像
硬組織を中心とした画像 メタルアーチファクト
関連用語• SDCT, MDCT, VCT
• S: Single, M: Multi, D: Detector, V: Volume
• Dual source CT
• MPR
• Multi-Planar Reformation (Reconstruction)
• Curved MPR
• MPVR (V=Volume)
• MIP
• Maximum Intensity Projection
• Virtual CT Endoscopy
検出器が一列の装置シングルチャンネル
検出器が複数列の装置マルチチャンネル
L : 使用する検出器全体の幅=マルチでのビーム幅L = l ×使用列数
l : 1つの検出器の幅=シングルでのビーム幅
l LL l Ll LLl
ビームピッチ:3/4
ディテクターピッチ:3
ピッチ:p = s / d (シングルの場合 L = l で「ヘリカルピッチ」)d = ビーム幅(シングル:l, マルチ:L) --- ビームピッチd = 一つの検出器幅(= l , コリメーション幅) --- ディテクターピッチs : 管球1回転あたりのテーブル移動距離
ヘリカルスキャン
ヘリカルピッチ=ビームピッチ=ディテクターピッチ
Partial volume effect部分容積効果
CT撮影時 CT撮影後
参考資料・利用ソフト• 「CT撮影技術学」(オーム社、日本放射線技術学会監修、辻岡勝美・花井耕造共編, 2009)
• 「画像処理アルゴリズム」(近代科学社、斉藤恒雄, 1993)
• 医用放射線技術学研究室(加藤秀起)
• https://hidekikato1952.wixsite.com/radiotechnol
ogy/free-software
• ソフトウェア:光子と物質との相互作用断面積,質量減弱・エネルギー転移・吸収係数 (Phics_3 for
Windows, 2018.09.28)