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08/6/11 M2 池田
豊
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目的
茶カテキンには一般的に抗酸化作用や抗菌作用、抗がん作用が報
告され、医薬品や機能性食品としての応用が期待されている。
しかし、茶カテキンは苦く、すぐに酸化されてしまうので医薬品や
天然の食品添加物としての利用が難しいという問題がある。
この論文では、NMR法を利用してβ-シクロデキストリンとEGCgと の包接化合物の基礎的な特性を調査し、この問題の解決につなげ
ることを目的とする。
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茶カテキンの分子構造
O
O
HO
OH
OH
OH
OH
C
O
OH
OH
OH
O
O
HO
OH
OH
OH
C
O
OH
OH
OH
Epicatechin gallate (ECg)Epigallocatechin gallate (EGCg)Gallate基
O
OH
HO
OH
OH
OH
O
OH
HO
OH
OH
OH
OH
Epicatechin (EC) Epigallocatechin (EGC)
O
OH
HO
OH
OH
OH
2
3A
B
C
1
Catechin (C)
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CDの環状構造
1級水酸基
2級水酸基
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結果
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B B’
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ビシナルカップリング定数3Jと二面角φの関係
φ
図
Karplusによるビシナル相関関係、すなわちビシナル
プロトンに対する二面角(φ)と結合定数との関係
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核オーバーハウザー効果(NOE)について
あるスピンの磁気共鳴の遷移を共鳴周波数の電磁波を照射したときに、その
スピンと磁気的な相互作用している別のスピンの磁気共鳴の強度が変化する 現象のこと
核オーバーハウザー効果 (NOE) とは
・感度の低いスピンのシグナルを増強することが可能
・化学結合では近傍にないが、空間的には近傍にあるようなスピンの対を知ることができる
特徴
特定のプロトンを照射したスペクトルからスペクトルのシグナルがない領域を照射
した1Hスペクトルを差し引いたスペクトルのことで、このように差をとることにより強 度が増加した吸収だけが残る。
NOE
差スペクトルとは
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B B’
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β-CD
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A
B
C
B’
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結果
・β-CDとEGCgは1:1で包接化合物を生成していることがわかった。
・包接化合物の構造については、EGCgのA環がβ-CDの内部で包接 されていることが判明した。
・NMR法により得られたデータによって予想したモデルとAM1計算法 を用いたモデルは一致した。
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二次元NMRとは?ある化合物のNMRスペクトルを縦および横軸にそれぞれ取る
両軸のスペクトル内のピーク同士に相関が有ると、
交点にピークが現れる(クロスピークと呼ぶ)。
相関(correlation)とは?・ 隣接・
近くの原子に結合している
・
空間的に近い
など、スピン結合の存在を見るスペクトル間の相関を見るNMRをCOSY (Correlation Spectroscopy)と呼ぶ
スペクトル間の相関を見るNMRをCOSY (Correlation Spectroscopy)と呼ぶ
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・回転座標系におけるオーバーハウザー効果を見る分光法。核オーバーハウザー効果の差スペクトルの有用な二次元測定法。
・ROESY法はすべての大きさの分子に対して用いられる。(NOESY法)は小さい分子 に対してはあまり役に立たない。NOESYは主に、生体高分子に対して用いられる。
・NOESYおよびROESYは両方とも互いに空間的に近接した、典型的には4.5Å以下 の距離にあるプロトンの相関を見る測定法である。
・ROESYはH-H間の(空間を通じての)相互作用の相関を考えるから、その見かけ およびやり方はCOSYに似ている。
ROESY法
スライド番号 1スライド番号 2茶カテキンの分子構造CDの環状構造スライド番号 5スライド番号 6スライド番号 7スライド番号 8スライド番号 9スライド番号 10ビシナルカップリング定数3Jと二面角φの関係スライド番号 12スライド番号 13核オーバーハウザー効果(NOE)についてスライド番号 15スライド番号 16スライド番号 17スライド番号 18スライド番号 19スライド番号 20スライド番号 21スライド番号 22スライド番号 23スライド番号 24スライド番号 25スライド番号 26スライド番号 27二次元NMRとは?スライド番号 29