-- - 0 - --
-- - 1 - --
外反母趾に関係する筋肉・骨格名称
母指末節骨 ぼしまっせつこつ
長母指屈筋腱 ちょうぼしくっきんけん
母指外転筋 ぼしがいてんきん
長母指屈筋 ちょうぼしくっきん
脛骨
腓骨
前面
背面
断面図
ヒラメ筋
脛骨 けいこつ
腓骨 ひこつ
中足指節間関節 ちゅうそくしせつかん かんせつ
内側楔状骨 ないそくけつじょうこつ
-- - 2 - --
外反母趾の原因と改善方法の前に 外反母趾の場合、大きく分けて、ハイヒールなどの外的な要因と、ふくらはぎや足の
裏などの筋肉の緊張によるものがあります。 ◎ハイヒールなどの外的要因 ◎足の筋肉の緊張による原因 先天性のものなど、ほかにもありますが、まずはこの2つの原因と改善方法を理解し
ていれば、通常の外反母趾には対応が出来ます。 (本書に記載が無い症状や先天性の場合、直接お会いしたときに拝見させていただき
ます) また、急激な痛みを伴い、炎症を起こし腫れている場合は応急処置として病院での診
察をお勧めします。
-- - 3 - --
外反母趾とは 『外反母趾』とは、足の親指(母指)が外側に反っている状態を指します。 中足指節関節(親指の第二関節)から指先側が、小指側に反ってしまいます。 先にお伝えしたように、親指の第二関節が小指側に反るためには、2つのことが原因
になります。 ◎ ハイヒールなどの外的要因 ハイヒールなどの外的要因の場合、今以上の症状の悪化を防ぐには、
外的要因であるハイヒールなどを出来る限り履かないことも重要
になります。 関節に外的な力を加え続けた場合、関節内の骨と骨が接触し、関節
内の軟骨や骨が磨り減り、また、関節間の靭帯が伸びていきます。 (大腿骨(太ももの骨)などの太い骨ですら、外的な力を加え続け
た場合変形します) これらの場合、少しずつの変形ですので、痛みを感じないまま変形
が進みます。
内側 外側 内側
外側
通常 外反母趾
中足指節間関節
-- - 4 - --
◎ 足の筋肉の緊張による原因 ハイヒールなどの外的要因ではない場合ほとんどが、ふくらはぎの筋肉の緊張が原因
です。 また、外反母趾による内側の痛みは、筋肉や靭帯が伸びたままになり、縮む力が働き
続けることによる筋肉の緊張が原因です。 (耐える力)
外反母趾による痛みの仕組み わかりやすく説明します。 (1)ふくらはぎの筋肉『長母指屈筋』の緊張により、
長母指屈筋が縮む。 (長母指屈筋の緊張の原因は、長母指屈筋周辺(ふくらはぎ) の筋肉の緊張により起こることが多い)
(ふくらはぎの筋肉の緊張は、腰の筋肉の緊張により 起こる)
長母指屈筋
長母指屈筋腱
長母指屈筋
脛骨
腓骨
前面
背面
断面図
ヒラメ筋
-- - 5 - --
長母指屈筋が縮むことにより、長母指屈筋腱が かかと側に引っ張る力が働く。
長母指屈筋腱は、母指末節骨(親指の末節骨)に
結ばれています。 (2)長母指屈筋腱がかかと側に引っ張る力
が働くことにより、中足指節関節が内側 に飛び出す。
中足指節関節が内側に飛び出す原因は、母指末
節骨に長母指屈筋腱の先端が結ばれており、母
指末節骨(ぼしまっせつこつ)が、かかと側に
引っ張られるが、内側楔状骨(ないそくけつじ
ょうこつ)があるため、中足指節関節が内側に
飛び出す力が働くためにおこります。
長母指屈筋腱
中足指節間関節 ちゅうそくしせつかん かんせつ
内側楔状骨 ないそくけつじょうこつ
-- - 6 - --
(4)中足指節関節が内側に飛び出した場合、中足指節関節の
内側にある靭帯や、母指外転筋などが伸びたままになり、常に
縮む力(耐える力)を働かせることにより、靭帯、腱、筋肉が
緊張していきます。 2ヶ月以上緊張し続けた靭帯、腱、筋肉内には、緊張させてい
る成分であるカルシウムの滞留量が多くなり、筋肉の伸縮運動
がうまく出来ず、老廃物等の排泄が困難になります。 筋肉の緊張⇒カルシウムの滞留⇒伸縮運動の低下 ⇒さらにカルシウムの滞留 ひどい外反母趾となり、レントゲンで撮影した場合、母指中足骨が張り出したように
見えますが、カルシウムを多く含んだ靭帯、もしくは腱の肥大が映って、母指中足骨
が張り出しているように見えます。 また、ほとんどの場合は、母指中足骨の中足指節関節部分が内側に出っ張っているだ
けなので、骨が変形し、肥大したのではないかと心配をすることはありません。 説明がわかりにくいかもしれませんが、外反母趾の原因はふくらはぎの筋肉の緊張が
原因になっています。 ふくらはぎの筋肉を軟らかくすればいいのですが、外反母趾の場合、ふくらはぎの場
所にある長母指屈筋が緊張しており、長母指屈筋はふくらはぎの中心に近い部分にあ
るため、緩消法を行っても、簡単に軟らかくすることは出来ません。 そこで、まずは痛みを取り除くことから始め、変形した指を元に戻すという順番で行
います。 痛みを取り除く、また、緊張した筋肉、腱を取り除くことも出来る場所から順番に行
っていきます。
-- - 7 - --
痛みを感じる原因 事故・怪我・ウィルスなど、原因のはっきり分かっている痛みを除けば、痛みの原因
は筋肉の緊張が原因です。 (筋肉が硬くなっている) 筋肉が緊張する原因は、3つあります。 1、筋肉を動かすことによる緊張(老廃物の滞留) 2、筋肉を動かさないために起こる緊張(カルシウムの滞留) 3、骨格の歪みによる、筋肉の緊張(耐える力で、老廃物とカルシウム) ※薬の副作用でも硬くなります。 外反母趾の場合、 2、3、 が関係しています。 2、筋肉を動かさないために起こる緊張(カルシウムの滞留) 筋肉を動かさないと、カルシウムが筋肉内に滞り筋肉を緊張させます。 緊張させているカルシウムは、排出されづらく筋肉内に滞るため、いつまでも筋肉は
緊張し続けます。 そして、緊張した筋肉は伸縮しづらいため、その周辺の筋肉は今まで以上の運動を必
要とし、さらに緊張し続けます。 緊張する筋肉の範囲(体積)は、どんどん大きくなります。 まさに悪循環という感
じです。 また、老廃物や乳酸などは、筋肉の伸縮により、筋肉から排出されますが、筋肉の緊
張が激しい場合、筋肉は伸縮できず、排出が正常にできなくなっていきます。 外反母趾の原因は、ふくらはぎの緊張とお伝えしましたが、ふくらはぎを緊張させる
原因は、腰の動かさずに硬くなった筋肉が原因になります。 腰の筋肉の緊張から、足への血行不良により、ふくらはぎの筋肉の老廃物の排出がう
まくできないために緊張していきます。
-- - 8 - --
3、骨格の歪みによる、筋肉の緊張(耐える力で、老廃物とカルシウム) 外反母趾は、『長母指屈筋』の緊張により、長母指屈筋が縮み、
長母指屈筋腱がかかと側に引っ張る力が働くことにより、中足
指節関節が内側に飛び出します。 中足指節関節の内側にある靭帯や、母指外転筋などが伸びっぱ
なしになり、常に縮む力(耐える力)を働かせることにより筋
肉や腱が緊張して痛みが出ます。
痛みが消える仕組み 痛みの原因は、筋肉の緊張です。 では本題の、痛みを無くすにはどのようにすればいいのか? それは緊張した筋肉を軟らかくすればいいのです。 筋肉を軟らかくするには、筋肉からカルシウムなどの緊張成分、乳酸などの痛みの成
分を排出すればいいだけなのです。 筋肉を動かすことによる緊張、いわゆる”筋肉痛”の状態は、方法がわかればストレ
ッチでも乳酸の排出は行うことができます。 (緊張成分 = 乳酸など)
痛みの場所
母指外転筋 ぼしがいてんきん
-- - 9 - --
痛みを消すためには 直接痛みを感じている中足指節関節の周辺から、痛みを取る方法を説明します。 痛みを消すためには、緩消法を利用します。
通常、腱・筋肉が伸縮していない場合、 筋肉・腱の長さが10とします。 中心から半分に分けた場合、 左右とも 5 になります。
腱・筋肉が収縮し、8の長さの場合、 中心から半分に分けると、 左右とも 4 になります。
筋肉が伸び、12の長さの場合、 中心から半分に分けると、 左右とも 6 になります。
このバランスよく、決まりよく伸縮してい
る腱・筋肉を軟らかくするには、筋肉の伸
縮を行う際、バランスを崩して動かしてあ
げることで、腱・筋肉内の緊張成分が排出
されます。
緊張成分が排出された場合、 筋肉は軟らかくなります。 腱、筋肉は軟らかくなれば、 痛みが消えます。