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1 改変型DNAメチル化酵素および それを用いたDNAメチル化解析法 神奈川工科大学応用バイオ科学部 応用バイオ科学科 教授 飯田 泰広 2019827

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Page 1: 改変型DNAメチル化酵素および それを用いたDNAメチル化解 …...BS-seq ・鋳型量が必要→シングルセルでは困難 ・ヒドロキシメチルは生物的には非メチルと同義→誤った解析結果

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改変型DNAメチル化酵素およびそれを用いたDNAメチル化解析法

神奈川工科大学応用バイオ科学部

応用バイオ科学科

教授 飯田 泰広

2019年8月27日

Page 2: 改変型DNAメチル化酵素および それを用いたDNAメチル化解 …...BS-seq ・鋳型量が必要→シングルセルでは困難 ・ヒドロキシメチルは生物的には非メチルと同義→誤った解析結果

クロマチンへの後天的な修飾により遺伝子発現が制御されることに起因する遺伝学的あるいは分子生物学的事象

Gene

expression

gene

silencing

5’ CG 3’

3’ GC 5’

5’ CG 3’

3’ GC 5’

5’ CG 3’

3’ GC 5’

5’ CG 3’

3’ GC 5’

5’ CG 3’

3’ GC 5’

Dnmt1

エピジェネティクスとは

DNAメチル化の維持と遺伝子発現

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◎がん関連DNAのメチル化異常: 大腸がん、肝がん、前立腺がん、急性骨髄性白

血病、 乳がん、肺がん、膀胱がん などヒストン修飾異常: 前立腺がん、乳がん、膀胱がん、胃がん、

肺がん、肝がん、 腎がん、ろ胞性リンパ腫、神経芽細胞腫 など

◎その他: 糖尿病、高血圧、アレルギー性疾患、神経変性疾患、精神疾患、脂肪細胞機能の変化 など

メチル化解析

・正確な診断ができる・基礎研究・薬剤開発・再生医療

エピジェネティクスと病気

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ATGGTTCACGTAGTACCC

m

ATGGTTCACGTAGTACCC

m

ATGGTTCACG TAGTACCC

m

ATGGTTCACGTAGTACCC

m

ATGGTTCACGTAGTACCC

m

ATGGTTCACGTAGTACCC ATGGTTCAUGTAGTACCC

切断(メチル化感受性制限酵素)

変換(バイサルファイト処理)

濃縮(メチル化CpGに特異的に結合するタンパク質)

エピジェネティクスの解析法1

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エピジェネティクスの解析法2

Hpa II 消化

アダプター付加

Msp I 消化(Hpa II のアイソシゾマー)

PCR

MIAMI法 メチル化DNA免疫沈降法(MeDIP法)

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エピジェネティクスの解析法3

メチル化の位置を特定できるのはバイサルファイトシークエンスのみ

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ACGTTAmCGGTmCGA

AUGTTA CGGT CGA

ATGTTA CGGT CGA

Sequence

Sodium

bisulfite

Unmethylated region Methylated region

C is converted to U mC isn’t converted

U is readed as T mC is readed as C

Bisulfite sequencing (BS-seq)

非メチル化領域 メチル化領域

シトシン→ウラシル シトシンのまま

チミンとして検出 シトシンとして検出

○●●

バイサルファイトシークエンスの原理

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7~9割 3~1割

① DNAの断片化

②ヒドロキシメチル化についてもメチル化と同様に変換される

バイサルファイト処理の問題点

: unmethylated (C)

: methylated (mC)

: hydroxymethylated (hmC)

BS-seq

● ● ○

・鋳型量が必要 → シングルセルでは困難

・ヒドロキシメチルは生物的には非メチルと同義 → 誤った解析結果

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単一細胞

新規メチル化解析法

メチル化解析

メチル化DNAの種類

Takeshita K., et al,PNAS, 108(22),

9055-9059 (2011)

Dnmt1

polymerase

PCR(DNA増幅)

Dnmt1

DNAメチル化

新規メチル化DNA解析法の提案

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755-1616BAH1―MTase

BAH1 BAH2 Catalytic domain

163-1616PCNA binding

domain―MTase

BAH1CXXCRFTS BAH2 Catalytic domain

384-1616RFTS―MTase

BAH1CXXCRFTS BAH2 Catalytic domain

646-1616CXXC-MTase

BAH1CXXC BAH2 Catalytic domain

1-1616Full-length

16161139 Catalytic domain

ⅠⅣⅥ Ⅶ ⅨⅩ

TRDKG repeat

1

PCNA binding domain

BAH2BAH1CXXCRFTS

-1000

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

10000*

***

*

RLU

: p<0.05, : p<0.01***646-1616 of hDnmt1

was able to reduce de novo activity

CG / CG CG / mCG CG / hmCG

Dnmt1のサブクローニングと活性評価

hemi-mCG

DNA

hemi-mCG

DNA

Unmethylated

CG DNA

Zhang ZM., et al, J Mol Biol., 427(15):2520-31(2015)

BAH1,2

Active site

TRD

RFTS

CXXC

・DNA CG

BAH1,2

Active site

TRD

・RFTS

CXXC

BAH1,2

Active site

TRD

CG

・DNA

RFTS

CXXC

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+

hDnmt1

646-1616

1 20

N=1

N=6

N=2

N=3

N=4

N=5

1 20

N=1

N=6

N=2

N=3

N=4

N=5

1 20

N=1

N=6

N=2

N=3

N=4

N=5

: 0 %

: 0 %

: 100 %

+

hDnmt1

646-1616

+hDnmt1

646-1616

+hDnmt1

646-1616

MLH1 CpG island, CG 20 / 384 bp

1 20HeLa

gDNAPCR

Construction

of plasmid

M.SssI(CpG Methyltransferase)

0

組換えDnmt1の機能評価

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① Denaturation &

primer annealing

② Extension

③ ExonucleaseⅠtreatment

④ hDnmt1

(646-1616)

treatment

⑤ Bisulfite

conversion

⑥ PCR &

sequencing

T C T

ヒドロキシメチル化部位を特定可能

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Mix

White cells Black cells

100

cells

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

4.5

5

*

*White

Black

Rel

. to

whi

te

Gen

e ex

pres

sion

leve

ls

: p<0.05*

Novel methodⅠ+ BS-seq

n=1

n=2

n=3

n=4

n=5

n=6

BS-seq

n=1

n=2

n=3

n=4

n=5

n=6

mRNA → Real-time PCR

gDNA → BS-seq

MITF-M promoter Black (100 cells)

White (100 cells)

1 8

41

Black (100 cells)

White (100 cells)

Tyrosinase promoter

(CG 4 / 547 bp)

(CG 8 / 316 bp)

BlackExpression

WhiteSuppression

組換えDnmt1の新規メチル化評価法への適用

メラノーマ細胞での発現量 メチル化の評価

従来法では正しく評価できていない可能性

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実用化に向けた課題

• ヒドロキシメチル化を排除してメチル化を解析することは可能となっている。

• しかし、メチル化の維持とPCRは別ステップで行っている。

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変性

アニーリング

伸長

メチル化の維持

今後の展開マイクロ流路と組み合わせた新規メチル化評価法

(株)ASICONのHPより

課題・流路への

DNAポリメラーゼ と組換えDnmt1の固定化

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想定される用途

• ヒドロキシメチル化の影響を受けないDNAのメチル化解析。

• 鋳型量の少ないサンプルのDNAメチル化解析(神経細胞などの難組織培養細胞含む)

• エピジェネティック創薬

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 :メチル化酵素及びそれを用いた

メチル化解析方法

• 出願番号 :特願2019-027858

• 出願人 :神奈川工科大学

• 発明者 :飯田泰広、前田翔大

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産学連携の経歴

• 2007年-2008年 産業技術総合研究所の受託研究

• 2009年-2011年 ジュジュ化粧品(株)と共同研究実施

• 2017年-2019年 磐田化学工業(株)と共同研究実施

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お問い合わせ先

神奈川工科大学

工学教育研究推進機構

リエゾンオフィス

TEL 046-291-3277

FAX 046-291-3221

e-mail [email protected]

[email protected]