diploma master

面の書き換え操作による形態変化を用いた設計手法の提案 建築設計とは、様々な条件を整理した結果をかたちに翻訳する事ではないかと考えている。 様々な条件や設計者の思想をビジュアライズすることが設計であり、生まれるかたちが成果物であるとするならば、かた ちの種類が表現の限界となり、かたちを発見する事は表現の幅を広げることに繋がるのではないだろうか。 本研究はかたちの発見による表現の幅の拡張を目的とし、フラクタル幾何学の生成原理を基に形態操作を行い約 1000 個の 実験モデルを提案するものである。 フラクタル幾何学とはベンワー・マンデルブロが導入した幾何学の概念であり、樹木の枝分かれや海岸線など、図形の部 分と全体が相似となっているものを指す。フラクタルは様々な分野で応用されており、建築設計の分野においてもタイリン グや全体構成を考える理論としてフラクタル幾何学が用いられている事例が見られる。それらの多くは 1 種類の図形を相似 として扱うものである。もし、複数の図形を用いたフラクタル幾何学を表現するとしたらどのような形態が生まれるのだろ うか。 このような問いから「複数の図形を融合し、中間図形を生成する操作」(以後本研究では、この一連の流れを書き換 え操作と記す。)による形態操作に新たなかたちが生まれる可能性を見出した。 本研究では図形を 3 次元の空間としてとらえ、「書き換え操作」を新たな形態操作の手法として提案を行う。書き換え操 作により生まれた実験モデルは、そのまま建築空間とするにはやや強引さを感じるものとなったがいくつかのモデルには表 現の幅を広げるための種となる可能性を見出した。そして実験モデルを応用として、3 つの敷地に建築空間の提案を行った。 書き換え操作により起る形態変化がシークエンスに富んだユニークな空間をつくった。

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Page 1: diploma master

面の書き換え操作による形態変化を用いた設計手法の提案建築設計とは、様々な条件を整理した結果をかたちに翻訳する事ではないかと考えている。 様々な条件や設計者の思想をビジュアライズすることが設計であり、生まれるかたちが成果物であるとするならば、かたちの種類が表現の限界となり、かたちを発見する事は表現の幅を広げることに繋がるのではないだろうか。 本研究はかたちの発見による表現の幅の拡張を目的とし、フラクタル幾何学の生成原理を基に形態操作を行い約 1000 個の実験モデルを提案するものである。 フラクタル幾何学とはベンワー・マンデルブロが導入した幾何学の概念であり、樹木の枝分かれや海岸線など、図形の部分と全体が相似となっているものを指す。フラクタルは様々な分野で応用されており、建築設計の分野においてもタイリングや全体構成を考える理論としてフラクタル幾何学が用いられている事例が見られる。それらの多くは 1種類の図形を相似として扱うものである。もし、複数の図形を用いたフラクタル幾何学を表現するとしたらどのような形態が生まれるのだろうか。 このような問いから「複数の図形を融合し、中間図形を生成する操作」(以後本研究では、この一連の流れを書き換え操作と記す。)による形態操作に新たなかたちが生まれる可能性を見出した。 本研究では図形を 3次元の空間としてとらえ、「書き換え操作」を新たな形態操作の手法として提案を行う。書き換え操作により生まれた実験モデルは、そのまま建築空間とするにはやや強引さを感じるものとなったがいくつかのモデルには表現の幅を広げるための種となる可能性を見出した。そして実験モデルを応用として、3つの敷地に建築空間の提案を行った。書き換え操作により起る形態変化がシークエンスに富んだユニークな空間をつくった。

Page 2: diploma master

Morphingとは?

Morphing とは、映画やアニメーションで使用されるコンピュターグラフィックス手法のひとつで、ある物体から別の物体へと自然に変化する映像をみせるものである。変身・変化を意味するメタモルフォシスの中間部分から命名されたという説とmove( 移動)+morphology( 形態)の合成語であるという説がある。

・通常のフラクタルプロセス 1種類の図形を用いた操作の反復のより生まれるものが多い。

・書き換え操作を用いたフラクタルプロセス 2種類の幾図形を融合する操作の反復により生まれる。

書き換え操作:2種類の幾何学を融合する操作。

フラクタルについて

 フラクタルとはベンワー・マンデルブロによる造語であり、ラテン語の形容詞 fractus から作られ、不規則で断片的なものという意味である。フラクタルを扱う幾何学(フラクタル幾何学)は、これまでユークリッド幾何学が「形のないもの」として取り扱わなかった雲、山、樹木、海岸線などの形を扱うことができる。フラクタルの代表例としていくつかを上げるとコッホ曲線(図 1) シェルピンスキーのギャスケット(図 2) ヒルベルト曲線(図 3) があげられる。これらに共通するのは簡単なルールの反復で生まれた自己相似性を持った幾何学であり、自然界の様々な場面において同じ状態を見る事が出来る。(図 4)

図 1 コッホ曲線

図 2シェルピンスキーのギャスケット

図 3 ヒルベルト曲線

図 4 自然界に見られる様々なフラクタル

back ground

書き換え操作は 3Dモデリングソフト Rhinoceros のプラグインである Grasshopper のツール「srfMorph」コマンドを利用し行うもので、「srfMorph」コマンド

とはMorphing と呼ばれるコンピュータグラフィックスの手法を利用し、「対象面の形状に合わせて立体幾何学を変形する」という働きを持つものである。

21変形回数

3 4

 フラクタルについてと、書き換え操作による図形操作のプロセスについてのまとめである。書き換え操作はGrasshopper の「SrfMorph」ツールを利用し行った。

Page 3: diploma master

形態操作実験の概要 「面を書き換え操作」を様々な図形に行なう事でどのような形態変形が起きるか実験するための概要である。まず実験で利用するためのツールについて述べ、次に実験対象図形の選定。最後に具体的な実験方法をまとめた。

Grasshopper,SrfMorph コマンドについて SrfMorph とは grasshopper の機能のひとつでありMorphing という概念を利用したコマンドである。(図 7)G に入力した図形を Sに入力した面に移動、変形させる機能を持っている。R端子は入力されたジオメトリーに対し最小限となる box を描くものである。入力端子U,V,W は面の分割数、及び高さ情報である。この数値を変化させる事で生成されるモデルに違いが生まれる。(図 8)U,V とは UV 座標の事であり、入力された数値は対象面の分割数を意味する。Wは変形後の図形の高さ情報である。(図 9)

変形させる図形

位置情報の基準となる図形

書き換える面

Uの分割数

Vの分割数

高さ

図 7 SrfMorph コマンドの説明

w

vu(u,v)

位置情報を2D座標で表示したもの。

図 8 u,v,w の数値と生成形態結果の関係

u=1,v=5,w=2000 u=5,v=5,w=4500

図 9 サーフェス上での u,v,w 座標の関係

SrfMorph コマンドの変形原理の確認 実験に用いる SrfMorph コマンドは、Grasshopper のツール機能ではあるが、オリジナルコードは不明であり、機能の詳細はブラックボックス化されている。そのため書き換え操作実験を行うのに先行して原理を明らかにするための実験を行った。( 図 10) この実験はコマンドのG端子に正 3角形を入力し、正 3角形を回転させると書き換え面(4角形)上で 3角形がどのように移動、変形するかの考察を行ったものである。この実験から G端子の図形は寸法や曲直とは無関係に仮想box 内での相対的な位置情報を維持したまま、対象のサーフェスに書き換えられる事がわかった。操作の過程を ( 図 11) にまとめた。

回転した事で図形を

包む最小限の box が大きくなった。

G入力 =正三角形

生成結果

図 10 SrfMorphコマンドの原理について

R 端子に接続する事で図形を包む最小限の仮想 Box が生まれる。

寸法や曲直とは無関係に、box 内の相対的位置関係を維持したまま対象面に書き換えられる。

G接続=対象面の形状に合わせ変形させる図形。

3. 側面が複数種類の図形で構成される場合

4. 曲面を用いた場合

1. 底面と側面の図形が同じ場合

正五角台塔双側正三角柱 三角台塔  双側台塔欠損斜方 20・12 面体

三角錐 変形双 5角錐正十二面体 四角台塔四角形

4. 曲面を用いた場合

2. 底面と側面の図形が異なる場合

双三角錐 三角柱 ねじれ三角柱 五角錐台六角錐台 五角錐星形 十角錐七角錐

切頭二十面体

ドーナツ円錐球放物面 曲面

対象図形 対象とする図形はモデリングソフト Rhinoceros でコマンド化された図形及び筑波大学准教授である三谷純氏のHP(http://mitani.cs.tsukuba.ac.jp/polyhedron/) にまとめられた多面体データから図形を選択利用した。また、SrfMorph の変形原理から、この実験において重要なのは図形の底面と側面の関係である事がわかった。これらの関係性から対象図形を 4種類に分類した。(図 12)

図 12 対象図形のまとめ基本の書き換え操作 加えるパラメータと生成結果の変化

対象面の U.V 分割数を変化させる

端子 G に入力するモデルに回転を加える

・コンポーネント端子 G と S に同じ幾何学を入力する

G

S

対象面の U.V 分割数を変化させる

・コンポーネント端子 G と S に異なる幾何学を入力する

G

SG

w の値を端子 G に入力する図形の 2 倍とする

図 13 実験方法のまとめ

実験方法  以上の原理、対象図形を基に書き換え実験を行う。まず、基本となる書き換え操作だが、同じ立体の底面をコマンド端子 G, 側面を S に入力するパターンと、端子のGと Sに全く違う立体を入力するというパターンの 2つが考えられる。まず、この操作を繰り返す事でモデルの生成を行う。さらに 2つのパターンにパラメータを加える事で形態生成の幅を広げる。パラメータの種類は、① U,V の分割数を変化させる。②wの値を端子 Gに入力する図形の 2倍とする。③端子 Gに入力するモデルに回転を加える。の 3つとし、それぞれを 2つのパターンに与えたものが主な書き換え操作パターンとなる。以上の操作を対象図形に行い変形の傾向を把握する。(図13)

図 11 書き換え操作の流れ

Page 4: diploma master

trigonal pyramid

plan isome

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4 plan 5

基本パターン

elevation 1 elevation 2 elevation 3

基本パターンに回転を加える

elevation 4 elevation 5

plan isome

plan elevation

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4 plan 5

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4 elevation 5

三角錐を利用した書き換え実験結果である。三角錐はすべての変数に対応し、様々な変化が見られた。基本パターンを回転する事で基本パターンとは全く違う形態が生まれた。面の分割数を増やすと線状の形態に変化していく。

plan isome

面を分割

u1v1 pl

u1 v1 el

u10v1 pl

u10v1 elu5v10 el

u5v10 pl u10v10 pl

u10v10 el

square pyramidsquare

elevation plan

 錐台とは錐体から、頂点を共有し相似に縮小した錐体を取り除いた立体図形である。基本の変形パターンではプロポーションを維持しながら変形しているが、面の分割数を変化させた場合をみると、原型がわからない程、線的な形状に変形している。

plan isome

基本パターン

plan isome

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4

基本パターンに回転を加える

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4

面を分割

plan isome

u1v1 pl

u1 v1 el

u1v5 pl

u1v5 el

u5v10 el

u5v10 pl u10v5 pl

u10v5 el

u5v5 pl

u5v5 el

u10v10 pl

u10v10 el

u10v1 pl

u10v1 el

実験結果

側面を同じ図形の底面で書き換えた場合全ての図形を紹介する事は出来ないので一部を紹介する。

Page 5: diploma master

plan isome

plan isome

四角形は、4つの頂点と辺を持つ多角形の総称。方形とも呼ぶ。この変形は最も見慣れたフラクタル変形ではないだろうか。この図形は唯一、面の分割数を変化させても変形結果に全く影響がなかった。

tetragon

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4

基本パターン

基本パターンに回転を加える

elevation plan

plan isome

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4

書き換えモデルの高さを 2倍

dodecahedron

plan isome

基本パターン

plan 1 plan 2 plan 3

elevation plan

正十二面体とは、空間を正五角形 12 枚で囲んだ凸多面体である。この図形も回転のパラメーターでは変形後の図形に大きな結果をみる事は出来なかった。また、面の数が多いため、少ない書き換え操作回数で大きな表面積が生まれた。

plan isome

plan 1 plan 2 plan 3

elevation 1 elevation 2 elevation 3

書き換えモデルの高さを 2倍

plan isome

面を分割

u1v1 pl

u1 v1 el

u1v5 pl

u1v5 el

u1v10 pl

u1v10 el u5v10 el

u5v10 pl u10v5 pl

u10v5 el

u5v5 pl

u5v5 el

u10v10 pl

u10v10 el

側面を同じ図形の底面で書き換えた場合

Page 6: diploma master

nejire triangular prism

plan isome

plan isome

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4

基本パターン

elevation plan

書き換えモデルの高さを 2倍

plan elevation

plan 2 plan 3

plan isome

u10v1 pl

u10 v1 el

u1v5 pl

u1v5 el

u1v10 pl

u1v10 elu5v10 el

u5v10 pl u10v5 pl

u10v5 el

u10v10 pl

u10v10 el

面を分割

 三角柱にねじれを加えた図形。側面を異なる図形の底面で書き換えた場合では、回転を加えても基本のモデルと変形傾向に大きな差が見えなかった。もともとの図形がねじれているためか、生成後の図形にも柔らかい印象を受けた。

elevation plan

pentagonal pyramid

plan elevation

 十角錐とは、面が正十角形で、頭頂点から底面に下ろした垂線が底面の中心で交わる角錐である。角錐の場合、どの図形でも変形回数を繰り返す事で花のような形態に変化していく。

plan isome

plan isome

plan 1 plan 2 plan 3

elevation 1 elevation 2 elevation 3

基本パターン

書き換えモデルの高さを 2倍

plan 1 plan 2 plan 3

elevation 1 elevation 2 elevation 3

plan 3

u5v1 el

u5v1 pl

u5v10 el

u5v10 pl u10v5 pl

u10v5 el

u5v5 pl

u5v5 el

u10v10 pl

u10v10 el

U1V1 pl

p1v1 elp1v1 el

plan isome

面を分割

側面を異なる図形の底面で書き換えた場合

Page 7: diploma master

elevation plan

triangular cupola

elevation

plan isome

plan 1 plan 2 plan 3

elevation 1 elevation 2 elevation 3

基本パターンに回転を加える

基本パターン

plan isome

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4

正三角台塔とは、底面が正六角形の立体である。上面が正三角形のものは、3番目のジョンソンの立体である。変形の傾向としては、2つの面に合わせてプロポーションをかえながら変形が起きている。「複数の図形を持つ側面を底面で書き換えた場合」でも回転を加えるパラメータは変形に大きな影響がないことがわかった。

plan isome

書き換えモデルの高さを 2倍

plan 1 plan 2 plan 3

elevation 1 elevation 2 elevation 3

elevation plan

parabigyrate diminished

plan elevation

双側台塔回転欠損斜方 20・12 面体とは 76 番目のジョンソン立体である。半正多面体の一種で、正十二面体または正二十面体の辺を削ったような立体である。ダイアモンドのようなこの図形は変形を繰り返す事で結晶のような状態に変化する。このような面の多い図形は面を分割し、書き換え実験を行うと変形後のボリュームが線的になってしまうため、建築空間への応用には不向きだと言える。

plan isome

面を分割

U1V5 pl

p1v5 el

u10v10 pl

u10v10 el

u10v1 pl

u10v1 el

基本パターン

plan isome

plan 1 plan 2

plan isome

書き換えモデルの高さを 2倍

plan 1 plan 2

plan isome

面を分割

U1V5 pl

p1v5 el u5v1 el

u5v1 pl u1v10 pl

u1v10 el

u10v5 pl

u10v5 el

u5v5 pl

u5v5 el

u10v10 pl

u10v10 el

u10v1 pl

u10v1 elu5v10 el

u5v10 pl

多種類の側面を底面で書き換えた場合

Page 8: diploma master

plan isome

基本パターン

plan 1 plan 2 plan 3

elevation 1 elevation 2 elevation 3

elevation plan plan elevation

donut

 円形の真ん中を丸く抜いて輪にしたもの。「曲面を書き換えた場合」では基本操作で不思議な変形が見られたが、パラメーターを操作する事で変形に大きな影響は見られなかった。しかし、面の分割数を変化させた場合では臓器に近いグロテスクな形態が得られた。

plan isome

面を分割

u1v5 pl

u1v5 el

u10v5 pl

u10v5 el

u10v1 pl

u10 v1 el

u10v10 pl

u10v10 el

elevation plan

plan 1 plan 2 plan 3 plan 4 plan 5

基本パターン

elevation 1 elevation 2 elevation 3 elevation 4 elevation 5

isome isome

plan elevation

 円錐とは、円を底面として持つ錐状にとがった立体のことである。このパターンの基本変形では今まで見る事の出来なかった程初期形状が崩れてとても不思議な形態が生まれた。4-01 ドーナツと同じように面の分割以外のパラメーター操作では大きな変化は見えなかったが、面の分割数の操作によって基本操作とは異なる変形が見られた。

cone

plan isome

面を分割

u10v1 pl

u10 v1 el

u1v10 pl

u1v10 el

u5v10 pl u10v10 pl

ball

elevation plan plan elevation

 球とは、半円をその直径を軸として回転させることによって得られる回転体の一種である。この変形結果もその他の「曲面を書き換えた場合」と同じように予想のつかない変形が生まれた。面の分割数を操作した場合では細胞をイメージさせる形態が生まれた。

plan isome

基本パターン

plan 1 plan 2 plan 3

elevation 1 elevation 2 elevation 3

plan isome

面を分割

u10v1 pl

u10 v1 el

u1v10 pl

u1v10 el

u10v10 pl u10v10 el

曲面を書き換えた場合

Page 9: diploma master

u1v1w2000 pl u1v1w3000 pl u1v1w8000 pl u5v1w2000 pl

u1v1w2000 el u1v1w3000 el u1v1w8000 el u5v1w2000 el

u5v1w3000 pl u5v5w2000 pl u10v1w2000 pl u10v1w3000 pl

u5v1w3000 el u5v5w2000 el u10v1w2000 el u10v1w3000 el

u10v1w8000 pl u10v5w2000 pl u10v5w3000 pl u10v10w3000 pl

u10v1w8000 pl u10v5w2000 pl u10v5w3000 pl u10v10w3000 pl

u50v10w2000 pl

u10v5w3000 pl u10v10w3000 pl

u50v25w2000 pl u50v50w1000 pl u50v50w8000 pl

u50v10w2000 el u50v25w2000 el u50v50w1000 el u50v50w8000 el

surface+folded-plate

elevation plan elevation plan

 曲面と折板の 2つの図形を融合させたものである。このパターンは今まで行った連続的に変形を行うのではなく、面の分割数の変化が結果にどのような影響を与えるかを考察した。結果を見て行くと分割数が多くなると折り板が線状のものに変化し与える素材のイメージが回数が変わるごとに変化していく印象を持った。

isome isome

u100v1w2000 pl u100v1w8000 pl u50v50w3000 pl

u100v100w2000 pl

u100v1w2000 el u100v1w8000 el u50v50w3000 wl

u100v100w8000 pl u50v1w3000 pl

u100v100w2000 pl u100v100w8000 pl u50v1w3000 pl

surface+folded-plate

elevation plan elevation plan

 このパターンも曲面と折板の 2つの図形を融合させたものであるが先程と曲面の向きを反対にしたものである。変形結果の違いは大きな違いは見えないが対象面が反転した事で生成後の図形には違いが見られた。

isome isome

面を分割

面を分割

u1v1w2000 pl u1v1w8000 pl u5v1w2000 pl

u1v1w2000 el u1v1w8000 el u5v1w2000 el

u5v1w8000 pl u5v5w4000 pl u5v5w8000 pl u10v1w2000 pl

u5v1w8000 el u5v5w4000 el u5v5w8000 el u10v1w2000 el

u5v1w4000 pl

u5v1w4000 el

u10v1w4000 pl u10v1w8000 pl u10v5w2000 pl

u10v1w4000 el u10v1w8000 el u10v5w2000 el u10v5w4000 pl

u10v5w4000 pl

u10v5w8000 pl u10v10w2000 pl u10v10w4000 pl u50v1w2000 pl

u10v5w8000 el u10v10w2000 el u10v10w4000 el u50v1w2000 el

u50v1w4000 pl

u50v10w8000 pl

u50v1w4000 el

u50v10w8000 el

u50v10w2000 pl u50v10w4000 pl

u50v10w2000 el u50v10w4000 el

u50v50w4000 pl

u50v50w4000 el

u50v50w8000 pl

u50v50w8000 el

曲面を書き換えた場合

Page 10: diploma master

タイリング的書き換え操作を応用したパヴィリオンの提案 - 公園内を敷地として連続的書き換え操作を応用したギャラリーの提案 - 森の中を敷地として タイリング的書き換え操作+連続的書き換え操作を応用した 2世帯住宅の提案 - 住宅街を敷地として

実験結果

・設計提案 模型写真

 まず、基本書き換え操作など変形を繰り返す操作では変形回数により変形の仕方が変わる事がわかった。書き換え操作は対象面の形状に対応させ立体を変形させるものである。このため変形が起るとその次の段階では変形した面に書き換える事になる。このように変形後の図形が 1つ前の図形の影響を強く受けるものを「連続的書き換え操作」と分類した。異なる傾向として、変数で UVWの座標の操作を行った場合のみ、1度目の変形で数値に対応し大きく姿を変えてしまった。このような事から変形後の図形が 1つ前の図形の影響を受けず変数のみの情報で成立するものを「タイリング的書き換え操作」と分類した。どちらの傾向も、回数や数値が大きくなるとに自然物に近くなっていく印象を受けた。書き換えは操作を幾何学を自然物に近づける操作と言え

るかもしれない。

・連続的変形が起きる書き換え操作

・タイリング的変形が起きる書き換え操作

・自然に見られるパターン

・実験結果の模型写真

 書き換え操作にる形態変化の実験を通し得た、実験の知見についてのまとめである。得られた変形傾向を設計に応用していく。 

実験から導き出した 2つの変形傾向「連続的書き換え操作」と「タイリング的書き換え操作」に敷地と機能を与える事で建築空間に応用していく。

Page 11: diploma master

1

2 3 4

5 6 7

8 9 10

11 12 13

14 15 16

・設計プロセス

敷地は多治見市内の森林地区である。近くには若手陶芸家を教育する専門機関があり、その施設と関連を持たせた陶芸ギャラリーの提案である。全体構成は三角錐の連続的書き換え操作により決定した。三角錐の先端の尖った形態が周辺の木々の景観に合っていると判断したためである。この三角錐の変形を周辺の木々と混ざるように森に沿って一筆書き動線を設定し、動線に沿って操作を行った。生まれた造形は立体的なねじれを繰り返したものとなり、書き換え操作によって生まれた隙間を窓とする事で木漏れ日のような光が生まれた。

・変形のダイアグラム

書き換え操作は三角錐を回転させ、連続的に変化を与えた。

敷地写真

設計提案 1 - 連続的書き換え操作を応用したギャラリーの提案 - 森の中を敷地として

森に沿って一筆書き動線の設定。

変形後に生じた面の隙間を開口部とする。

変形過程。

構造体としてのボリューム。

変形過程。

小さな中庭をつくる。木々に挟まれた空間。

出口。構造体として地面に接地する。変形過程。

Page 12: diploma master

設計提案  外観パース

Page 13: diploma master

ホール

展示室

N0 10

(m)

配置図兼 1F 平面図 1/150N0 10

(m)

展示室 展示室

倉庫

展示室

ホール

展示室

 生まれた空間は床、壁、天井が連続するものであり、書き換え操作により発生する「変形」を体験出来る空間となった。 三角錐が書き換えられた図形の境界面では床の勾配が変わり、空間の連続性を持ちながらも見え隠れが生まれるユニークな空間となった。また、変形により生じた隙間を開口部とする事でスリットのような窓が生まれた。この窓からは木漏れ日のような光が差し込む。この光は一繋がりのチューブ空間を緩く分節する光であり、この光が空間のリズムであり秩序である。

A

B

C

平面図、断面図

A-A' section

B-B' section

C-C' section

Page 14: diploma master

内観パース:三角錐により生まれたひだが空間に見え隠れをつくる。

外観パース:出口を見る。周辺の木々と寄り添う風景。

内観パース:入口。斜めの床を結ぶように階段が設けられる。

内観パース:三角錐形状のひだをつなぐように展示台を設ける。

パース集

Page 15: diploma master

敷地は名古屋市に流れる庄内川の河川公園の一部とした。螺旋形状の 1枚の帯を折板で書き換える事でつるっとした面が岩石のような表情に生まれ変わった。この折板が屋根、壁、床のヒエラルキーを消すように連続し半外部と外部が連続する空間となる。 折板の浮き沈みに腰かける事ができ、仮設のパビリオンとして公園内の休憩所として利用される。

敷地写真

設計提案 2 - タイリング的書き換え操作を応用したパヴィリオンの提案 - 公園内を敷地として

U=5,V=2,w=300 U=5,V=2,w=1000 U=5,V=5,w=500

U=10,V=2,w=500 U=10,V=5,w=500

10.90.80.70.60.50.40.30.20.1

破壊条件 ( 延性のある素

材の場合)

U=10,V=10,w=500

・変形プロセス

・構造解析によるタイリングの決定

 タイリング的書き換え操作を行うにあたり、重要なのはどのタイリングにするか選択する事である。本提案では曲面を用いた書き換え操作実験で得られた基本のモデルに構造解析を行い、構造的合理性、施工性を考慮し、設計提案に応用した。

A A’

A-A’ SECTION  1/100

Roof Plan  1/100

0 5 10(m)

A A’

A-A’ SECTION  1/100

Roof Plan  1/100

0 5 10(m)

・基本モデル

外観パース

Page 16: diploma master

roop plan 1/100

A-A’ section 1/100

A

A’

elevation plan 1/100

内観パース。回転する折板空間。床の折板は家具のような役割を持つ。

0 5 10(m)

床、壁、屋根が 1枚の面の連続で構成されている。大きな帯が外部と絡まりながら空間をつくる。

六角ボルト 3Mトルク締め

発砲ゴムテープ 2mm

耐候性鋼板裸使用 t=1mm

10

20

10

30

接合部詳細図 1/2

六角ボルト 3Mトルク締め

発砲ゴムテープ 2mm

耐候性鋼板裸使用 t=1mm

接着面

接合部アイソメ

スポット溶接で鉄板を溶接した模型

リベット接合で鉄板を溶接した模型

ディティールの提案、断面図、立面図

 通常薄板を支えるためにリブを使う事が多いが今回の提案ではリブを使わず、折板薄板のみで成立する構法の提案を行いたい。そのため、板同士の接着方法を考えるため 2枚の板を溶接で止めた模型とリベット接合した模型を作成し、2つを見比べた。現場での作業のしやすさや仮設建築である事を考慮し、取り外し可能なボルト締めとする事とした。

・薄板折板構法の提案

Page 17: diploma master

1 2

3 4

5 6

7 8

 敷地は名古屋市天白区の住宅街の角地である。この敷地に 2世帯住宅を提案する。全体構成は四角錐台を利用する。全体構成から部分の要素までをまとめやすいためこの図形を利用する事とした。2世帯住宅のため書き換え操作を 2箇所からスタートし、合流した部分を共有空間とした。全体構成は連続的書き換え操作を用い、最後にタイリング的書き換え操作を行い窓を設けた。それらの形状を変化させる事で風景や光に多様性が生まれた。

・変形プロセス

敷地写真

二世帯住宅のため 2つのスタート地点から変形をス

タートさせた。

左側のボリュームは入り口から進行方向に開口部。反

対のボリュームは背後に開口部を作り、外部との関係

性がボリュームを行きかう事で反転する。

2つボリュームが繋がった部分を共用部とした。 プロセスの最後にタイリング的書き換え操作を用い開

口部を設けた。

設計提案 3 - タイリング的書き換え操作 + 連続的書き換え操作を応用した 2 世帯住宅の提案 -

・変形のダイアグラム

Page 18: diploma master

ホールサニタリー

寝室

LDK

LDK

寝室

共有リビング

A

A’

B

B’

C

C’

A-A’ section

B-B’ section

C-C’ section

断面図 1/100

寝室

0 5 10(m)

設計提案  外観パース

Page 19: diploma master

0 5 10(m)

ホールサニタリー

寝室

LDK

LDK

寝室

共有リビング

A

A’

B

B’

C

C’

A-A’ section

B-B’ section

C-C’ section

断面図 1/100

寝室

0 5 10(m)

断面図 1/100

D

D’

E

E’

F

F’

D-D’ section

E-E’ section

F-F’ section

共有リビング

サニタリー 寝室

共有リビング

寝室

ダイニングリビング

サニタリー

0 5 10(m)

LDK

ホールサニタリー

寝室

LDK

LDK

寝室

共有リビング

A

A’

B

B’

C

C’

A-A’ section

B-B’ section

C-C’ section

断面図 1/100

寝室

0 5 10(m)

玄関玄関

サニタリー

寝室

ホールLDK

玄関

サニタリーLDK

吹き抜け

寝室

共有 LDK

吹き抜け

ホールサニタリー

寝室

LDK

LDK

寝室

共有リビング

A

A’

B

B’

C

C’

A-A’ section

B-B’ section

C-C’ section

断面図 1/100

寝室

0 5 10(m)

断面図 1/100

D

D’

E

E’

F

F’

D-D’ section

E-E’ section

F-F’ section

共有リビング

サニタリー 寝室

共有リビング

寝室

ダイニングリビング

サニタリー

0 5 10(m)

LDK

A

B

C

D

E

 四角錐台の変形により生まれた二世帯住宅は北棟と南棟で体験出来る空間感覚が全く逆なものとなった。南棟では進行方向に常に開口部が空けられ広がりのある空間であるのに対し、北棟の進行方向は壁であり、斜めの視線の流れを作っている。この 2つの関係性の違いが真ん中の共用部で混ざり合う構成である。タイリング的書き換え操作により生まれたボリュームを開口部として扱っているが、このタイリングを操作する事で空間の性格を変化させている。大きなトップライトは住宅のいスケールを超越するもので不思議な空間をつくった。

平面図、断面図

A-A' section B-B' section C-C' section D-D' section E-E' section

配置図兼 1F 平面図

2F 平面図

Page 20: diploma master

内観パース:南等リビングの様子。大きなトップライトを 2つの場で共有する。南棟内観パース:玄関から中庭を通し反対のヴォリュームを見る。リビングを通し

共有部を見る。

内観パース:トップライトを見上げる。背の高いプロポーションのを持つ住宅となった。

パース集

外観パース

内観パース:共有部をみる。変形原理により生まれた床はくつろぎの空間となる。 外観パース:北棟入口を見る。様々な方向に風景がある空間。