diphenylphosphoryl azide - jst

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ã‚ž フ ゚ニ ル リン 酾 ア ã‚ž ド å¡© 入 孝 之*・山 田 俊 侀* Diphenylphosphoryl Azide Takayuki SHIOIRI*, and Shun-ichi YAMADA* I. は じめ に タ ン 癜質 の 生 合 成 にお い お,カ ル ボ ン酞 ず リン酞 の æ·· 合 酾 無 æ°Ž 物 で あ るア シ ル ポ ス フ ェヌ ト(RCO2PO(OR')2) が重芁な圹割を果しおいるこずは呚知の事実である。わ れわれはこの型の混合酞無氎物の化孊的性質に興味を抱 き,çš® 々怜 蚎 äž­è¡š 題 に瀺 した新 しい è©Š 薬 を開 発 した13)。 たず 予 備 実 鹓 ず しお安 息 驙 酾 ずゞ ã‚š チル リン酞 ク ロ リ ドを トリ゚ チ ル ア ミン の存 圚 例 反 応 させ お混 合 酾 無 æ°Ž 物 を䜜 り4),こ れにアゞ化 ナ トリりムを反 応 させ た ずころ ほ が 定 量 的 に ベ ンズ ア ã‚ž ドが埗 られ た 。 こ の反 応 にお い お カル ボ ン酞 か ら察 応 す る ア ã‚ž ドが生 成 す る の に二 å·¥ 繋 を芁 した わ けで あ る が,リ ン酞 ク ロ リ ドの か わ りに リン酞 ア ã‚ž ドを甚 い た堎 合,次 の よ うに 芋 かけ䞊䞀工皋で反応が進行するものず予想された。 Bは塩基 そ こ で ã‚ž ã‚š チル リン酞 ク ロ リ ドよ り簡 単 に埗 られ ã‚‹ã‚ž ã‚š チ ル リ ン酞 ア ã‚ž ド5)を,トリ゚ チル ア ミ ン存 圚 例 安 息 驙 酾 ずメ チ レ ンク ロ リ ド䞭 で反 応 させ る ず,予 想 した よ うに 薄 å±€ ク ロマ トグ ラム䞊 ベ ンズ ア ã‚ž ドの生 成 が認 め ら れ た 。 これ に ア ニ リン,n䞀ブ チ ル ア ミ ンを そ れ ぞれ 反 応 させ る ず察 応 す るア ミ ド䜓 が71%お よ び50%の収 率 で 埗 られ る。 た た この ベ ンズ ア ã‚ž ドの メ チ レ ンク ロ リ ド溶 液 に ã‚š タ ノ ヌル を加 え,加 熱 還 流 す れ ば ク ル チ りス転 䜍 が お こ り,ã‚Š レタ ン誘 導 䜓 が収 率58%で 埗 られ た(図 1)。 この最埌のクルチりス転䜍反応は二工皋で進行しおい る が,最 初 か ら安息 驙 酾,ト リ゚チ ル ア ミ ン,ã‚ž ã‚š チ ル リ ン酞 ア ã‚ž ドの 䞉者 を ã‚š タ ノ ヌル 侭還 流 した ず ころ,侀 挙 に転 䜍 反 応 が お こ り りレ タ ン誘 導 䜓 が収 率62%で 埗 られた。 䞊蚘 反 応 にお い お ã‚ž ã‚š チル リン酞 ア ã‚ž ドを甚 い た が, こ の反 応 は リ ン原子 を カル ボ キ シ レヌ トア ニオ ン が求 æ ž 的 に攻 撃 す る こ ずに よ り開始 され る ので,リ ン原 子 侊 に よ り電 子 吞 匕 性 の基 を 有 す る,た ずえ ば ã‚ž フ ェニル リン 酾 ア ã‚ž ドを甚 い た å Ž 合,反 応 が よ り円 滑 に進 行 す る こ ず が期 埅 され る。 ã‚ž フ ェニル リン酞 ア ã‚ž ドは この よ うな 予 備 実隓 な らび に考 察 をぞ お 開 発 さ れ た 新 しい è©Š 薬 で あ る。 II. 合成法ず性質 ã‚ž フ ェニル リン酞 ア ã‚ž ド(以 例DPPAず 略 称)は, ã‚ž ã‚š チル リ ン酞 ア ã‚ž ドず同様 な方 法 で,察 応 す る ク ロ リ ドを ア セ トン䞭 ア ゞ化 ナ トリ りム ず凊 理 す る こ ずに よ っ お90%以 䞊の収率 で埗 られ る。 沞点 は0.17mmHgで157℃を瀺 し,èµ€ 倖 スペク ト ル䞊鋭 く匷い アゞ ドの 吞 収 が2200cm-1付 近 に珟 われ * 東京倧孊薬孊郚薬品補造化孊教宀 ( ) * Faculty ofPharmaceutical Sciences , University ofTokyo ( ) 図 1 666

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Page 1: Diphenylphosphoryl Azide - JST

ã‚ž フ ã‚š ニ ル リ ン 酾 ア ã‚ž ド

å¡© 入 孝 之*・ å±± 田 俊 侀*

Diphenylphosphoryl Azide

Takayuki SHIOIRI*, and Shun-ichi YAMADA*

I. は じ め に

タン癜質の生合成 においお,カ ルボ ン酞 ずリン酞 の混

合酞無氎物であ るアシルポスフ ェヌ ト(RCO2PO(OR')2)

が重芁 な圹割 を果 しおい るこずは呚 知の事実である。わ

れ われはこの型 の混合酞無氎物 の化孊的性質に興 味を抱

き,çš® 々怜蚎 äž­è¡šé¡Œ に瀺 した新 しい詊薬 を開発 した13)。

たず 予備実隓 ずしお安息銙酞 ずゞ゚チル リン酞 クロリ

ドを トリ゚チルア ミンの存圚䞋反応 させ お混合酞無氎物

を䜜 り4),こ れにアゞ化 ナ トリりムを反 応 させ た ずころ

ほが定量的にベ ンズアゞ ドが埗 られ た。

この反応 においお カルボ ン酞 か ら察 応するアゞ ドが生

成す るのに二工皋 を芁 したわ けであるが,リ ン酞 クロ リ

ドのかわ りに リン酞 アゞ ドを甚いた堎合,次 のよ うに芋

かけ䞊䞀工皋 で反応 が進行す るものず予想 された。

Bは 塩基

そこでゞ゚チル リン酞 クロ リドよ り簡単 に埗 られ ã‚‹ã‚ž

゚チル リン酞 アゞ ド5)を,ト リ゚チル アミン存圚䞋安息

驙酾 ずメチ レンク ロリ ド䞭で反応 させ るず,予 想 した よ

うに薄局 クロマ トグ ラム䞊 ベ ンズアゞ ドの生成 が認 めら

れた。 これにアニ リン,n侀 ブチルア ミンをそれぞれ反応

させ るず察応す るア ミ ド䜓 が71%お よび50%の 収率 で

埗 られ る。たた このベ ンズアゞ ドのメチ レンクロ リ ド溶

液 に゚タノヌル を加 え,加 熱還流すればクルチ りス転䜍

がおこ り,ã‚Š レタン誘導䜓 が収率58%で 埗 られた(図

1)。

この最埌 のクル チりス転䜍反応 は二工皋で進行 しおい

るが,最 初 か ら安息銙酞,ト リ゚チルア ミン,ã‚ž ゚チル

リン酞 アゞ ドの䞉者 を゚タノヌル 䞭還流 した ずころ,侀

挙に転䜍 反応がおこ りりレタン誘導䜓 が収率62%で 埗

られた。

䞊蚘 反応 においおゞ゚チル リン酞 アゞ ドを甚 いたが,

この反応 はリン原子 をカル ボキシ レヌ トアニオ ンが求栞

的 に攻撃す るこずによ り開始 されるので,リ ン原子䞊 に

よ り電子吞匕性 の基 を有す る,た ずえばゞフ ェニル リン

酾 アゞ ドを甚いた堎合,反 応がよ り円滑に進行 するこ ず

が期埅 され る。 ゞフ ェニル リン酞アゞ ドは このよ うな予

備 実隓 な らびに考察 をぞ お 開 発 さ れた新 しい詊薬であ

る。

II. 合 成 法 ず性 質

ゞフ ェニル リン酞 アゞ ド(以 例DPPAず 略 称)は,

ゞ゚チル リン酞 アゞ ドず同様 な方法で,察 応す るクロリ

ドをアセ トン䞭アゞ化 ナ トリりム ず凊理す るこずに よっ

お90%以 䞊の収率 で埗 られ る。

沞点 は0.17mmHgで157℃ を瀺 し,èµ€ 倖 スペク ト

ル䞊鋭 く匷い アゞ ドの 吞 収 が2200cm-1付 近 に珟 われ

* 東京倧孊薬孊郚薬品補造化孊教宀 (

)* Faculty of Pharmaceutical Sciences , University

of Tokyo (

)

図 1

666

Page 2: Diphenylphosphoryl Azide - JST

(33) ã‚ž フ ェ ニ ル リ ン 酾 ア ã‚ž ド 667

る,安 定 な非爆発性の取 り扱 い容 易な液䜓で ある。

DPPAは-ヘ キサン,æ°Ž などには難溶 であるが,他

の 有機溶媒 には容易 に溶け,た たそのベンれ ン溶液 を炭

酞氎玠 ナ トリりムあるいは垌塩酞 な ど で 掗 浄 し お も

DPPAは å…š く安定 である。発煙硝酞で凊理 すればニ トロ

化 がおこ り,ã‚ž ヌP䞀ニ トロフ ェニル リン酞 アゞ ドを高 収

率 で䞎 える2,3)。

われわれはDPPAの 有機合成反応ぞの適 甹 を怜蚎 し

おいるが,こ れたでの ずころ1で ふれたよ うに䞀 般 に

ア ミ ド結合 圢成反応 〔1〕な らびに新 しい型 のクルチ りス

転 䜍反応 〔2〕に適甚可胜なるこ ずが刀 明 しおいる。たた

〔1〕

〔2〕

〔3〕

α䜍 に特定 の官胜基 を持぀ カルボ ン酞 では,条 件 によっ

お ぱステル化 のお こるこず〔3〕がわか っおいる(図2)。

以䞋 これ らに぀いお順を远 っお玹介 したい。

III. ペ プチ ド合 成

カル ボン酞 たたはその誘導䜓 ずアミンよ りアミ ドを䜜

る方法 はすでに様 々な方法 が知 られおい る。 ずころが同

じア ミ ドであ るペプチ ドの生成反応 においお は,特 に長

鎖 のペプチ ドを合 成す る堎合 に芁求 されるペプチ ド同志

を瞮合 させ る,い わゆ るフ ラグメ ン ト瞮合 においおはラ

セミ化が倧 さな問題 ずなっお くる。すなわち,掻 性化 さ

、れ たカル ボキシル基 は,例 に瀺す ようにア ミンの攻撃 を

受 けるよ りも速 くオキサ ゟロンに な り易い ので,結 果 ず

,しおラセミ化がお こる6)。

この ラセ ミ化 を防いでペプチ ド結合 を圢成 させ るため

に,近 幎皮々 の詊薬,方 法 が 開 発 されおい るが6'7),今

日最 ã‚‚ä¿¡é Œ され実際に甚い られおい るのは叀兞的なアゞ

ド法(RCON3+R'NHR"→RCONR'R")だ け ずい

っ およい 。 しかしこの方法 は䞀般 に副反応倚 く,収 率 も

良奜 ずはいい難い。われわれはDPPAが このアゞ ド法

にかわ り埗 ない かず考え,ペ プチ ド生成反応 におけるラ

セ ミ化 テス トの うちで,最 も厳 しい こずで知 られおいる

Youngテ ス ト8)を採甚 し,収 率 ずラセ ミ化 の問題を怜蚎

した。

1. Youngテ ス ト13) Youngテ ス トずは モデル

化合 物 ずしおN-ベ ンゟむルヌレ ロむシンずグ リシ ン゚

チル ゚ステル を甚いお,適 圓な瞮合方法で反応 させ,埗

られたN-ベ ンゟむル ロむシルグ リシ ン゚チル ゚ステル

の旋光床 から 〔α〕D×100/(-340)(N侀 ベンゟむルヌL䞀ロ

ã‚€ シル グ リシン゚チル゚ステルの玔品の旋光床)の 匏 に

よっお ラセ ミ化 の皋床 を知 る方法 で あ る(以 䞋の衚で

レ䜓%で 瀺 しおある)。

たず最初 に酢酞 ゚チル䞭でYoungテ ス トを行 なった

ずきの結果 ã‚’è¡š1に 瀺す。DPPAお よび グ リシン゚チ

ル゚ステル を各2倍 モル䜿甚す るこ ずによ り収率89%,

光孊 玔床96%ず 奜結果 を埗 た。

次にペプチ ド合成 に繁甚 され るゞメチルホル ムアミ ド

を溶媒 ずしお甚 いた結果 を瀺 した ものが è¡š2で あ る。

ここで泚 日す べきこ ずはYoungら の提 唱 しおいる"å¡©

玠むオ ン効果"9)(å¡© 玠むオ ンが存圚す るずそ の å¡© 基 性

のためラセミ化 が お こ り易い)が 芋 られないこ ずであ

る。す なわち,グ リシ ン゚チル゚ステル塩酞塩 ず トリ゚

チルア ミン2モ ル(1モ ル は塩酞塩 をフ リヌにす るため

もう1モ ルはカルボキシ レヌ トアニオ ン生成 のた め)を

甹 いお反応 を行 なっおも,フ リヌのグ リシ ン゚チル゚ス

テルを甚い お反応 を行 なった堎合 ず結果 にあた り倧差な

く収率,光 孊玔床共 に良奜 である。そ こで以䞋 の実隓は

図 2

è¡š 1 Bz-L-Leu-OH+H-Gly-OEt

N3PO(OPh)2 in AcOEt

0℃,24hrBz-Leu-Gly-OEt

è¡š 2 Bz-L-Leu-OH+H-Gly-OEt

N2P0(0Ph)2 in DMF

0℃,24hr

Bz-Leu-Gly-OEt

Page 3: Diphenylphosphoryl Azide - JST

668 有機合成化孊 第31å·» 第8号 (1973) (34)

取 り扱い容易 なグリシ ン゚チル゚ステル塩酞塩 を トリ゚

チルア ミンず共に甚いお行 な った。

è¡š3は ゞメチルホルムア ミ ド䞭での反応の枩 床効果 を

瀺 した ものであ るが,予 想 されるよ うに枩 床 を䞋げる ず

収率は䜎䞋す るが,光 孊玔 床の高 い ものが埗 られ る。こ

の反応におけ る溶媒効果 を瀺 した ものが è¡š4で ある。

メチ レンクロリ ド,ヘ キサメチルホスホル トリア ミドな

どでは収率,光 孊玔床共 に良奜ではないが,酢酞 ゚チル,

ゞオキサ ンヌ酢酞゚チル(2:1),テ トラ ヒ ドロフ ランな

どでは収率,光 孊玔床共 に良奜 である。

ちなみに1で のべた予備実隓に甚いたゞ゚チル リン酞

アゞ ドによるYoungテ ス トは,光 å­Š 玔床91%ず 良奜

であ ったが,収 率は28%ず 悪 く,予 想 さ れ たよ うに

DPPAに 劣 るこずが蚌明 されおい る。

2. 反 応機構13) 以䞊 のよ うにDPPAが き わ め

お良奜 なペプチ ド結合 圢成詊薬 なるこずが刀 明 したが,

この反応 の機構 を若 干考 察 しおみたい 。カル ボキシレヌ

トアニオ ンがDPPAの リン原子 を求栞的 に攻撃 した堎

合,ア ã‚ž ド郚 分の぀いた 混合酞無氎物(A)ず,ア ã‚ž ド

郚分の脱 離 した混合酞無氎物(B)の 生成 が考 え られ る。

(A)ず(B)の 問には平衡 関係 が存圚 しよ う。 このお の

お のの混合 é…žç„¡æ°Ž 物にア ミンが反応すれ ばアミ ドが生成

す るわけであるが,ã‚ž フ ェニル リン酞 クロ リドを甚いお

い ったん(B)型 の混合酞 無氎物 を䜜 り,こ れ にアミン

を反応 させた堎合,収 率36%,光 孊玔 床4%でDPPA

を甚 いた堎合 に比べお収率,光 孊玔床共に栌段 に劣 るど

い うこ ずは,(B)に 盎接 ア ミンが䜜甚す る埄路 はあった

ずしおもマむ ナヌ ず考 えられ る。

(A)がSNi型 転䜍 を,(B)が アゞ ドアニオ ンずSN牙

型 の反応 をおこせ ば察応す るカル ボン酞 アゞ ドを䞎え,

これは通 垞のアゞ ド法 の堎合 ず同様 ラセミ化す るこずな

くア ミン ず反応 しおアミ ドを䞎え よう。(A)型 の混合酞

無氎物 にア ミンが反応す る堎合,収 率お よび光孊玔床 に

おいお満足すべ き結果 を䞎 えおい るずころか ら,(C)の

よ うに協奏的 に反応 が進行 しおい るものず予想 され る。

以䞊を図瀺 したのが 図3で あるが,い ずれ の経路が䞻

であるかは今埌 に残 された課題で ある。

(A)

(B)

(C)

3. ペプチ ド合成13,10) 次 に皮々 の偎 鎖 官胜基 を

有す るペ プチ ドの合成 に぀ き䞊蚘DPPA法 を怜蚎 した。

反応 の䞀般操䜜 はN侀 保護 ア ミノ酞たたはペプチ ド1モ

ル ず,ア ミノ酞 たたはペプチ ド゚ステル塩酞塩1.11.2

モルをゞメチル ホル ムアミ ドにけんだ くたたは溶解 しお

おき,0℃ たた はそれ以䞋の内枩 でDPPA1.11.2モ

ル を加 え,最 埌 に トリ゚チル アミン2,12.2モ ルを加

え,0℃ たたはそれ以䞋 の枩床で数時間,宀 æž© で䞀晩 か

きたぜ反応 を完結 させ る。

結果 を è¡š5に 瀺すが,シ ステ ィン,ア ルギニンな ど

を陀いお䞀般に偎鎖官胜基 を必ず しも保護 しな くおも反

応 は円滑に進行 しおいる。

L䞀ピログルタ ミルヌL䞀ヒスチゞンは芖 床 例郹 ホルモ ン

LH-RHあ るいはTRHのN端 のゞペプチ ドであ るが11).

そ のメチル゚ステルはすでにFolkersら によっおL侀 ピ

ログルタ ミン酞 ず レ ヒスチゞンメチル゚ステル よ リ ã‚ž

シ クロヘキシル カルボゞむ ミ ドを瞮合剀 ずしお合成 され

おい るが12),そ の収率は55%で 目的物 ずゞシクロヘ キ

シル尿玠 ずの分離に難 がある。そこで アセ トニ トリル を

溶媒 ずしおDPPA法 にお レ ピログルタ ミン酞 ずL侀 ヒ

スチゞ ンメチル゚ステル を 反 応 さ せた ずころ,日 的 の

レ ピログルタ ミルヌL䞀ヒスチ ゞンメチル゚ ステルが沈 殿

ずしお析 出 し,単 に反応液 を導過 掗 浄す るのみで72%

è¡š 3 Bz-L-Leu-OH十H-Gly-OEt・HCl

N3PO(OPh)2, Et3N (2mol)

in DMFBz-Leu-Gly-OEt

è¡š 4 Bz-L-Leu-OH十H-Gly-OEt・HCl

NsPO (0Ph) 2, EtsN (2 mol)

0℃,0.5hr;20℃,4hrBz-Leu-Gly-OEt

図 3

Page 4: Diphenylphosphoryl Azide - JST

(35) ã‚ž フ ェ ニ ル リ ン 酾 ア ã‚ž ド 669

の 収 率 で埗 られ た 。

た た フ ラグ メ ン ト瞮 合 の モ デル ず しおZ-L-Leu-L-

Leu侀L-Val-L-Phe-OMeを 合 成 した 。 H-L-Leu-L-Leu侀

L-Val-L-Phe-OMeは す で に 溝 口 らに よ っ お抗 レニ ン掻

性 のペ プ チ ドず しお 合 成 å ± 告13)さ れ お い る もの で あ る

が,Z-L-Leu-L-Leu-OHをDPPA法 に おH-L-Va1-L-

Phe-OMe・HClず 反 応 させ る ず87%の 高 収 率 で融 点,

旋 光 床 共 に 文 献13)に 侀 臎 す る もの が埗 られ た。 侀 方Z-L

侀Leu-L-Leu-OMeを ã‚ž メ チ ル ホル ム ア ミ ド äž­ æ°Ž 酾 化 ナ

トリ りム氎 溶液 で け ん化 し,そ の反 応 液 を た だ ち に䞊 蚘

ず同 様DPPAを 甹 い おH-L-VaLL-Phe-OMe・HClず

çž® 合 させ,63%の 収率でZ-L-Leu-L-Leu-L-VaレL-Phe-

OMeが 埗 られ た。䞀般 にフラグメ ン ト瞮 合 においおは

倚 くはい ったん カルボ ン酞 フリヌの状態で ずり出 し,䜕

らか の手段で カルボ ン酞 を掻性化 しお瞮合 を行 な うもの

で あ るが,DPPA法 によれ ばその 必 芁 な く,け ん化 し

た反応液 をそ のた た若干の氎 の存圚䞋,円 滑に ラセ ミ化

す るこずな くフラグメ ン ト瞮合 が進行するのは倧 きな利

点 ず考え られ る。

このDPPA法 の有甚性 を曎 に確 蚌す るため,二,侉

の生理掻性ペプチ ドの合成 を珟圚怜 蚎䞭であ る10)。

IV. 新 クル チ りス転 䜍 反 応

1. 新 クルチ りス転䜍反応1,3,14) たず1.の 予備実

鹓 に甚いたゞ゚チル リン酞アゞ ドずDPPAの, 新 しい

型 のクルチ りス転䜍反応 に察す る 反 応 性 を比范怜蚎 し

た。埪 カプ リル酞 を トリ゚チルア ミン存圚 䞋ゞ゚チル リ

ン酞 アゞ ドたたはDPPAず かブタ ノヌル 䞭還流 する ず

è¡š6に 瀺す よ うに,前 者では転䜍䜓 が54%,埌 者 では

67%ずYoungテ ス トの堎合 ず同様,予 想 どお りDPPA

の方 が秀れ おい るこ ずが蚌 明された。

次 に安息銙酞 に぀いお䞻 ずしおDPPAを 甹 い,二,

䞉のアル コヌルおよびフ ェノヌルを甚 いおこの転䜍反応

を怜 蚎 した。結果 は è¡š7に 瀺す ずお りで,い ずれ の堎

合 もかな りの収 率で転䜍反応 が進行 しおお り,こ の反応

においおは皮 々のアル コヌルあるいはフ ェノヌルの䜿甚

可胜な るこずが 刀 明 した。なお かブタノヌル およびベ

ンゞルアル コヌル䜿甚 の堎合,極 少量 のゞフ ェニル尿玠

の副生が確認 されおい るが,そ の生成機構 に぀いおは次

節 でのべ る。

以䞋皮 々のカルボ ン酞,特 に皮 々の官胜基 が同䞀分子

䞭に存 圚す るものに぀き,か ブタノヌルたたはベ ンゞル

アル コヌル を甚 いお この転䜍反応 を怜蚎 した。 このニ぀

の アル コヌルを遞 んだ 理 由 は,生 成する かブチル りレ

タ ンあ るいはベ ンゞル りレタ ンが,前 者 は冷時酞 で,埌

者 は接觊還元 ずい う緩和 な条 件で容 易にア ミンを䞎 える

か らで ある。

反応 の䞀般操䜜 は,カ ルボン酞,ト リ゚チル ア ミン,

それにDPPAを それ ぞれ等モル 䜿 甹 し, t-ブ タノヌル

䜿甚の揚合 は溶媒兌甚 で倧 過剰甚 い,ベ ンゞル アル コヌ

ル䜿甚の揚合 は等モルたたはやや 過剰甚 い,溶 媒 はベ ン

ã‚Œ ンを䜿甚 した。二,侉 の堎合 を陀いお最初か らすべ お

を混合 しお525時 間還流埌,äž­ 性郚分 よ り転䜍成瞟䜓

である りレタンを単離 した。

結果 をた ずめお è¡š8に 瀺す が,倚 くの揚合 円滑に反

応 が進 行 しおいる。通垞 のクルチ りス転䜍 反応では䜎収

率15),し か もカル ボン酞 を䞀挙 にアミンに導 くシ ュミ ッ

ト転䜍 反 応 にかか らない ずされ おい る16)ピリゞンヌ2䞀力

è¡š 51)

è¡š 6 n-C7H15CO2HEts3N

in t-BuOHn-C71-115NHCO27t-Bu

è¡š 7 PhCO2HN3PO(OPh)2

Et3N, R'OHPhNHCO2R'

Page 5: Diphenylphosphoryl Azide - JST

670 有機合成化 å­Š 第31å·» 第8号 (1973) (36)

ルボ ン酞は高収率で 島 ア ミノ ピリゞン誘 導 䜓 を䞎 え立

䜓障害が予想 されるo侀 ニ トロ安息 驙 酾 におい おも察応

するP侀 ニ トロ䜓同様円滑に転䜍 反 応 が進行す る。 たた

ビバ リン酞 も同様 に立䜓 障害 が予想 され るが,転 䜍率は

必ず しも悪 くない。光孊掻性 なL-セ リン誘導䜓 も容 易

に転䜍 をおこし分子 内で 閉環 したオキサ ゟリ ドンが埗 ら

れるが,そ の光孊掻性 は保持 されおい る。シ クロヘキサ

ンカル ボン酞 においおはt䞀ブタノヌル,ベ ンゞルアル コ

ヌルいずれ を甚いお も日的 ずす るりレタン以倖 に転䜍反

応の䞭間䜓のむ ゜シアナヌ トにアゞ化氎玠酞 が付加 した

ず考え られ るカルバ モむルアゞ ドがかな り埗 られ,わ ず

かなが らではあるが尿玠誘導䜓 も埗 られ る。

レブ リン酞 はシ ュミット転䜍反応 に付す ずカルボ ン酞

郚には反応 がおこらず,ケ トン郚に アゞ化氎 玠酞が反応

した β-アラニンお よび コハ ク酞の混合物 が埗 られる16)

DPPA法 では 日的 ずす る かブチル りレタ ンが27.5%,

カルバモむルアゞ ドが14%で,転 䜍 の総 収率は玄42%

ず若干悪 いが,ケ トン郚 を保護 するこ ずな く転䜍反応 が

進行するのは倧 きな利点 である。 たたこのケ トン郚 をケ

タヌ ルずしお保護 した堎合 には転䜍 の総収率 は91%ず

侊 昇す るが,こ のよ うに酞 に匱い 基 が あっおもDPPA

法 は充分甚い埗 るずい うこずであ る。 なお この堎合 ご く

わずかで はあるが単 に゚ステル化 のお こった もの も捕 え

られおい る。

さらに非垞に反応性 に富む か ラクタム 環 を有す るペ

ニシ リンGカ リりムをt䞀ブタ ノ ヌル䞭DPPAで 凊理 し

た ずころ80%の 高収率で転䜍 した りレタンを埗 た。

2. 反応機構 DPPAを 甹 いる新 クル チり ス 転 䜍:

è¡š 8 RCO2HN3PO(OPh)2, Et3N

R'OHRNHCO2R'

Page 6: Diphenylphosphoryl Azide - JST

(37) ã‚ž フ ェ ニ ル リ ン 酾 ア ã‚ž ド 671

反応 は,カ ルボ ン酞 より䞀挙 にア ミン誘導䜓 が埗 られ る

点で シュミ ット転䜍 反応に類䌌 しおいるが,ペ プチ ド結

合圢成 の機構 の項でのべたの ず同䞀機構で カル ボン酞 よ

りカルボ ン酞 アゞ ドを生成 し,そ れがむ ゜シアナヌ トに

熱転䜍 し,さ らに アル コヌルたたはフ ェノヌル が付加 し

お りレタンになるものず考え られ,反 応機構 の䞊 か らク

ルチ りス転䜍反応 に属す るもの ずいえよ う。䞊述 したよ

うに基質 によっおりレタ ン 以 倖 に,カ ルバモむルアゞ

ド,å°¿ 玠,ã‚š ステルなどが副生す るが,そ れ らの生成機

構はおおよそ 図4の よ うになろ う。

この反応 は通垞のクル チりス反応 よりも工 繋 数 少 な

く,通 垞のシ ュミ ット反応 のよ うに濃硫酞 のよ うな匷酞

を必芁 ずせず,た たホフマン反応 のよ うに匷 アル カ リを

甚いず,ほ が䞭性で比范的緩和 な条件 でカル ボン酞 を䞀

工皋 でアミン誘導䜓 に導 くものなので,合 成化孊䞊応甚

性 の広い反応 ず考 え られる。

V. マ ロ ン酞誘 導 䜓 に 察 す る反 応

1. ゚ス テル生成反応14,17) 䞀般 にマ ロン酞 モノ゚

ステルよ りその゚ステル郚 をヒ ドラゞ ドに し,ア ã‚ž ドを

ぞお通垞のクルチ りス転 䜍 を行 ない α-アミノ酞 を合成

す る方法は,叀 くCurtius18)が 開発 した方法であ るが,

工皋数倚 く収 率よい方法 ずはい えない。䞊 蚘DPPA法

で はマ ロン酞モ ノ゚ステルのカルボン酞郚 を転䜍 させ,

䞀挙 に α䞀ア ミノ酞誘導䜓 が埗 られ るはずであ る。

そ こで たずマ ロン酞 モ ノ゚チル゚ステルをt䞀ブタノ

ヌル äž­DPPAお よび トリ゚チルア ミンず垞法通 り反応

させ た ずころ,予 期 に反 しお埗 られた ものは単 に゚ステ

ル化 されたマ ロン酞 ゚チルt䞀ブチル の み で 日的 ずす る

クルチ りス転 䜍䜓N-t侀 ブチルオキシ カルボ

ニルグ リシン゚チル゚ステル は党 く埗 ら れ

ず,わ ず かにN侀 アゞ ドホル ミル グ リシ ン゚

チル゚ステルを赀倖線 吞収 スペ ク トルで確認

で きた のみであ った。アルコヌルをかえおベ

ンゞル アル コヌルを甚 いた堎合 も同様 ゚ステ

ル化 のみがお こ り,転 䜍 䜓は党 く怜 出され な

かった。䞀般 にDPPAを 甚い る新 クルチ ã‚Š

ス転䜍反応 におい おぱステルは生成 した ず

しお も痕跡皋床 で,前 è¿° のレブ リン酞 ゚チ レ

ンケタヌルの堎合 è¡š8に 瀺 した ように6%

ずやや倚い䜍 であ り,侊 蚘 の結果 はい ささか

予想倖 であった。

さらにベ ンゞルマ ロン酞 モノ゚チル゚ステル,シ アノ

酢酞,マ ロン酞モ ノア ミ ドな どにおいおも è¡š9に 瀺す

ように,DPPAに よ り゚ス テル化 が äž» ずしおおこるこ

ずが刀明 した。すなわち,ã‚š ステル 生 成 反応 は α䜍 に

特定 の官胜基あ る酢酞に特有 の反応 ずい うこ ずができよ

う。

゚ステル の生成機構 は日䞋怜蚎䞭であ るが,シ ア ノ酢

酾 におい おDPPAを 甚いず単 に トリ゚チル アミンを加

図 4

è¡š 9RCH

X

CO2H

N3PO(OPh)2, Et3N

in R'OHRCH

X

CO2R'

Page 7: Diphenylphosphoryl Azide - JST

672 有機合成化孊 第31å·» 第8号 (1973) (38)

えt䞀ブタノヌル䞭還流 しお も原料 のシアノ酢酞 を 回 収

す るのみなので,DPPAが ゚ステル化 に関䞎 しおい るこ

ずは疑い がない。

さらに極 めお興味 あるこずは,コ ハク酞 モ ノメチル゚

ステル あるい は3䞀シア ノプ ロピオン酞 をDPPAお よび

トリ゚チル アミン存 圚䞋,か ブタノヌル䞭還 流 する ず,

クル チりス転䜍䜓が前者では82%,埌 者 では75%の

収率で埗 られ,ã‚š ステル化 はほ ずん どおこ らないこずで

ある。

2. α䞀アミノ酞の合成14) DPPAを 甹 いる新 クル

チ りス転䜍反応 においおは,侀 般 にアル コヌル を最初か

ら共存 させお反応 を行 なっおい るが,IV.2.反 応 機 構

の項 でのべたよ うに,こ の反応 の䞭間䜓 はむ ゜シアナヌ

トであるが,そ の生成 の際 にはアル コヌルを必 ず しも必

芁 ずしない。す なわ ち,ベ ンれ ンな ど適 圓な溶媒 䞭でた

ず生ず るカルボ ン酞 ア ã‚ž ドを加枩 しむ ゜シアナヌ トに導

き,぀ いで アル コヌルを加 えお りレタンに導 けばいいわ

けであ る。そ こでベンゞルマ ロン酞 モノ゚チル ゚ス テル

をベ ンれ ン䞭DPPAお よび トリ゚チル アミン存圚䞋1

時間還 流埌,等 モルよ りやや過剰 のベ ンゞル アル コヌル

を加 え17時 間還流 した ずころ,日 的 ずす るクルチ りス

転䜍 䜓N侀 ベ ンゞルオキシカルボニルフ ェニルアラニ ン

゚チル゚ステルが79%の 高収率で埗 られ た。

以䞋皮 々のマ ロン酞 モノ゚チル゚ス テル に぀ きこのニ

段階操 䜜でクルチ りス転䜍 を行 なった ずころ,è¡š 憩 に

瀺 すよ うに䞻成瞟䜓 ずしお α-アミノ酞 誘 導䜓が埗 られ

た。フ ェニルマ ロン酞 モノ゚チル゚ステルの堎合,転 䜍

率 は34%で やや䞍満足 な結果であ るが,こ れは原料 の

モノ゚ステル が䞀郚塩基 の存圚䞋脱炭酞 反応をおこ しフ

ェニル酢酞 ゚チル゚ス テルにな るためである。

この反応で埗 られた α䞀アミノ酞誘導䜓は,接 觊還元,

加氎分解 などで容易に α䞀ア ミノ酞 を䞎 えるので,こ の

方法は α䞀ア ミノ酞 の新 合 成 法になる もの ずいえよ う。

VI. アル コ ヌル ずの 反 応14)

䞊述 したよ うにDPPAを 甚い る新 クル チりス転䜍 反

応 においおはDPPAず アル コヌルを トリ゚チルア ミン

存圚䞋加枩反応 させ るものなので,こ の 際DPPAず ア

ル コヌルが どの皋 床 反 応す るか,す なわ ち,DPPAの

アル コヌルに察す る安定性が問題 ずなる。そこで゚タノ

è¡š 11

è¡š 10 RCHCO2Et

CO2H

i) N3P0(0Ph)2, Et3N

ii) PhCHZOHRCH

CO2Et

NHCO2CH2Ph

Page 8: Diphenylphosphoryl Azide - JST

(39) ã‚ž フ ェ ニ ル リ ン 酾 ア ã‚ž ド 673

ヌル,ã‚€ ゜プ ロパ ノヌル,か ブタノヌル,ベ ンゞル アル

ロヌルをそれぞれDPPA侀 トリ゚チル ア ミン(等 モル)

ず加枩反応 した ずころ è¡š11の よ うな結果 を埗 た。

す なわ ち,t-ブ タノヌル はほ ずんど反応 せ ず 倧 郚 分

DPPAを 回収す るが,他 のアル コヌルではDPPAは å…š

く回収 されず皮 々の成瞟䜓が埗 られた。 これ らの生成機

構 をベ ンゞル アル コヌル の堎合図瀺すれば 図5の よ う

になろ う。

ずころで実際 にDPPAを 甹 いクルチ りス 転䜍反応を

行 な う堎合 には,最 初 トリ゚ チル アミンは原料 のカルボ

ン酞 ず塩 を圢成 しおお り,反 応 の䞭間状態及び終了 した

時 点ではゞフ ェニ ル リ ン 酾 ず塩 に なっおい るので,

DPPAず アル コヌルの反応 の堎合 よ り若干反応液 の塩基

性床 が䜎 い。たたDPPAず カルボキシレヌ トアニオ ン

ずの盞互 䜜甚,そ れに続 くクルチ りス転䜍 の方 が優先す

るため,満 足すべき収率 でカルボン酞 よ りりレタンが埗

られ るもの ず考 え られ る。

VII. リン酞 ア ã‚ž ドの そ の 他 の 反 応

以䞊われわれの研 究宀で行 なわれた仕事 を䞭心 にのべ

お きたが,DPPA自 身は新 しい詊薬 であるが,類 瞁 䜓

の ゞメチル リン酞 アゞ ド,あ るい はI.で ふれたゞ゚チ

ル リン酞 アゞ ドなどは既知化合 物であ る。これ らを甚い

た反応 はさほ ど倚 くはないが参考たでに図瀺 だけ しおお

く(図6)。DPPAも おそ らくこれ らず類 䌌の反応を行

な うもの ず予想 され る。

VIII. お わ り に

近幎Biomimetic Chemistryが 盛んにな り぀぀あ る21)。

生 䜓内の反応 は高床 に特異的遞択的であ り,し か も反応

条 件は緩和 で,か ぀反応時間 は短い。 この ように秀れた

生䜓反応 ã‚’æš¡ しお䜕 ずか有機化孊反応 も行 なえ ないか ず

い うわけである。DPPAも たた このよ う な 生

䜓反応 をバ ックにおいお開発され た詊薬 である

が,た だただ倚数の合成 反応 ぞの応甚 が考 え ら

れ よ う6た ずえば新 クルチ りス転䜍反応 の展 開

にあた っおは,実 隓䞊の簡䟿 さのため もあっお

もっぱ らりルタ ンを合成 したが,こ の反応 の䞭

間䜓 はむ ゜シアナヌ トなので,適 圓な条 件を遞

べ ば,埓 来反応性 に富み取 り扱いに くいむ ゜シ

アナヌ トを出発原料 ずしおいた反応に,カ ルボ

ン酞 ず適 圓な塩基,そ れにDPPAを 出発 原料

ずしお行 な うこ ずも可胜で あろ う。

その他ただわれわれの未知 なる性質 の発珟 も期埅 され

ようし,た たDPPA類 瞁䜓 の䞭か らDPPAよ りさらに

秀れた諞性質を持぀新 しい詊薬 の出珟 を期埅 し぀぀筆 を

お く。皮々 ご批刀 ご教瀺 たたわれば幞いで ある22)。

本研究は圓教宀二宮邊博孊士 ずの協同研究 ずしお行 な

われた ものであ り,同 君 の力匷 い協力 な くしおは,本 研

究 は進展 し埗なか ったであろ う。ここに蚘 しお厚 く感謝

の意 を衚す る。 (昭和48幎3月30日 受理)

文 献

1) T. Shioiri, K. Ninomiya, S. Yamada, J. Amer. Chem. Soc. 94 6203 (1972)

2) 塩入孝 之,å±± 田俊䞀,第9回 ペプ チ ド蚎論䌚講挔

芁 旚集,p.5(1971.11)静 岡

3) 塩入孝之,二 宮邊博,å±± 田俊䞀,有 機 リン化合物

蚎論䌚講挔予皿集 p.17(1972.1)東 京

4) F. Cramer, M. Wintern, Chem. Ber. 94 989

図 5

図 6

Page 9: Diphenylphosphoryl Azide - JST

674 有機合成化孊 第31å·» 第8号 (1973) (40)

(1961)5) F.L. Scott, R.Riordan, P.D. Morton, J. Org.

Chem. 27 4255 (1962)6) 矢 島治 明,有 合化2927(1971)

7) Y.S. Klausner, M. Bodanszky, Synthesis 1972

453

8) M.W. Williams, G.T. Young, J. Chem. Soc.

1963 881

9) M.W. Williams, G.T. Young, J. Chem. Soc.

1964 3701

10) 塩入孝之,小 沢健志,å±± 田俊䞀,第10回 ペプ チ ド

蚎論䌚講挔芁 旚集,p.15(1972.9)札 幌

11) 有村章,束 尟寿之,銬 堎矩圊,蛋 癜質 æ ž 酾 酵 玠

17 479 620 1972)

12) J. BƒÓbler, J.-K. Chang, F. Enzmann, K. Fol.-

kers, J. Med. Chem. 14 475 (1971)

13) 井手 明雄,重 実桂助,重 実鈎,溝 口富茂,斎 藀枅

侀 ,薬 誌90850(1970)

14) 塩入孝之,二 宮邊博,å±± 田俊䞀,有 機むオ ã‚Š ・リ

ン化合物蚎論䌚講挔 芁旚集p.79(1973.2)京

郜15) H. Meyer, J. Mally, Monatsh. 33 393 (1912) 16) H. Wolff, Organic Reactions III 30717) 二宮邊博,å¡© 入孝 之,å±± 田俊䞀,日 本薬孊䌚第93

幎䌚講挔芁 旚集II-70(1973.4)東 京

18) T. Curtius, W. Sieber, Ber. 54 1430 (1921) 19) M.I. Kabachnik, V.A. Gilyarov, Izvest. Akad.

Nauk S.S.S.R., Otdel. Khim. Nauk 1961 819; C.A. 55 27014d (1961)

20) S. Rengaraju, K.D. Berlin, Tetrahedron 27 2399 (1971)

21) た ずえ ばR.Breslow, Chem.Soc. Rev.1553

(1972)

22) 珟 圚DPPAは 本 邩 に お い お は 互 栄 商 事KK(倧

阪 åž‚ 東 区 å¹³ 野 町3-35)よ り入 手 可 胜 で あ る。 ア

メ リ カに お い お は わ れ わ れ の速 å ±1)が 出 るや 吊 や

Willow Brook Laboratories, IncがDPPAの 補

造 を 開 始,25g$15.00,100g$45.00で 販 売

しお い る。

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