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Diesel for Successful Living: ファッション業界での 高級ライン拡張を目指す ブランド戦略
10/2010-4948
このケースは、Vadim Grigorian(INSEAD MBA 2000)と INSEAD の Assistant Professor of Marketing、Pierre Chandon が
クラス討議の資料として作成したもので、の経営管理の適否を例示することを目的としたものではない。Diesel SpA の Maurizio Marchiori、Antonella Viero、Giovanni Pungetti 各氏のご協力とご助力に感謝申し上げる。
注:INSEAD ケースの注文に関する詳細は裏表紙に表記。許可なくコピーしてはならない。
Translated in full with permission of INSEAD. The translator alone is responsible for the accuracy of this translation.
This translation, Copyright © 2010 INSEAD. The original case is entitled “Diesel for Successful Living: Branding Strategies for an Up-market Line Extension in the Fashion Industry”, Copyright © 2004 INSEAD.
2007 年ヨーロッパ・ケース賞「総合部門」受賞
2006 年ヨーロッパ・ケース賞「マーケティング部門」受賞
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1998 年の夏の終わりだった。あと一月足らずで、StyleLab (スタイルラボ)の初めてのファッションショーが
ロンドンで開かれることになっていた。レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)はこの新ラインのブランド戦略につい
て難しい判断を下さなくてはならなかった。しかもすばやい決断が求められていた。
StyleLab はディーゼルの新しい高級製品ラインだった。ディーゼル(Diesel SpA)はイタリアのカジュアル
ウェア・メーカーで、熱狂的なファンを持つ Diesel ジーンズや何かと話題を呼ぶ広告で有名だった。1990年代に最も急成長を遂げたファッション企業の一つで、ヨーロッパのジーンズ業界では第 2 位につけてお
り、StyleLab に対する期待は高かった。StyleLab の狙いは、カジュアルウェア市場に新たに登場した高級
品区分での成長機会を利用することで、競争相手は D&G(ドルチェ&ガッバーナ)や Miu Miu(プラダ)
などだった。同時にまた、主力のデニムライン D-Diesel がかつてなく普及(ディフュージョン)してブランド
の高級感とステータスを危うくしかねない状況にあり、これに対抗する一つの方法ともとらえられた。さらに、
StyleLab はディーゼルが大切にしているデザイナーたちに、新しい裁断や生地を試して創造性を表現さ
せる機会も提供した。
ディーゼルの創設者で社長であるレンツォ・ロッソは、StyleLab の名称、デザイン、製造、価格設定、流通
について正しい決定を下したと確信していたが、この新ラインに適したブランド戦略をどうすべきかについ
ては、まだ議論の最中だった。選択肢として三つが検討されていた――サブブランド(DieselStyleLab な
ど)、エンドーサー(StyleLab by Diesel とする)、独立(StyleLab のみでディーゼルの名を出さない)。どの
意見を選ぶべきか。そして StyleLab に定めた目標を達成するためには、その新しいブランド戦略をどのよ
うに実施したらよいのか。
会社の沿革
ディーゼルの物語はレンツォ・ロッソの物語と不可分に結びついている。農業を営む両親の元に生まれ、
パドヴァで織物と製造を学んだ後、「イタリアン・カジュアルウェアのパイオニア」として知られるアドリアノ・
ゴールドシュミッド(Adriano Goldschmied)のもとで働き始めた。1978 年にゴールドシュミッドとロッソはディ
ーゼルという会社を設立した。社名は「どの言語でも発音が同じ数少ない言葉の一つだから」1という理由
でゴールドシュミッドが選んだ。2 人は最初から世界を単一のマクロ文化とみなし、会社はこの文化を相手
に一つの製品を作り出して一つの言語、すなわち英語で伝えていくことを考えていた。
1985 年にロッソはゴールドシュミッドの権利を全て買い取り、Diesel ブランドをただのジーンズ・レーベル
から有名ファッション・ブランドへと転換させる活動を開始した。広告業界のさまざまな賞を受賞し、1998年のカンヌ映画祭では「For Successful Living」キャンペーンが「アドバタイザー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
同じ年、イギリスの最も有力な男性ファッション誌『FHM』と『メンズウェア』は、投票によりディーゼルを「フ
ァッション・ブランド・オブ・ザ・イヤー」に選んだ。
ディーゼルはイタリア北部の小さな村モルベナを拠点とし、全世界で 1,000 人以上の従業員を雇っていた。
製品は 1 万の独立小売店と、ニューヨークのレキシントンアベニューやロンドンのコベントガーデンの旗艦
店を含む 40 の直営店を通じて、50 カ国以上で販売した。1997 年の年間連結売上高は 5,030 億リラ(2億 6,000 万ユーロ)にのぼり、そのうち 85%はイタリア国外で生じていた。
ディーゼル流
ディーゼルのデザイン、広告、経営のスタイルに共通するのは、ユーモア好き、創造性、確立されたルー
ルに対する不遜な姿勢だった。レンツォ・ロッソ(社内の人間はほぼ全員「レンツォ」と呼ぶ)は、採用する
社員の約 90%を自ら選んだ。選考基準のほとんどは、ディーゼルに対する共通した情熱だった。一例を
1 Financial Times, 1998 年 8 月 20 日。
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挙げると、2001 年にカンヌの最優秀広告賞である「グランプリ」を受賞するために授賞式に招かれたロッソ
は、4 人のクローン(ロッソに扮したチームメンバー)と共にステージに登場した(資料 1 参照)。
メディア広告
1991 年以前のディーゼルは、典型的な若いデザイン企業だった。エネルギーの全てを新製品(新たに出
す参考商品は年間約 1,800 点)の発売に集中し、一貫したブランド・ロゴすら持っていなかった。1991 年、
広告ディレクターに新任されたマウリツィオ・マルキオリ(Maurizio Marchiori)は、スウェーデンの広告代理
店パラディセット(Paradiset)の力を借りて、全世界に向けたブランド・キャンペーンを社内で企画し始めた。
キャンペーンは 50 年代に広告業界で人気だった「products make better living(製品がより良い生活を生
む)」というテーマを拝借し、それを一新して「Diesel for Successful Living(成功した生活のためのディー
ゼル)」キャンペーンを打ち出した。消費者の楽園というディーゼルのビジョンは、皮肉に解釈することを意
図していた。「success(成功)」というごく普通の約束を誇張し、バカにし、冷笑すらしていた。どうやら真面
目なテーマが広告のあちこちに潜んでいるようだったが、最終的にこれはあくまでもジョークだと認めること
によって、真面目さの度合は弱められた。
ディーゼルの広告キャンペーンは、ファッションの広告にはよくあるように芸術的で、色鮮やかでセクシー
だったが、そのテーマ、複雑さ、過激な皮肉によって他とははっきりと一線を画していた。広告は視覚的に
衝撃を与えるだけでなく、ディーゼルを確立された基準や制度と対比する存在として明確に打ち出してい
た。ディーゼルの広告はたいてい分かりにくく、時には好奇心をそそる部分もあるが、結果として非常に排
他的だった。その意味を判読するにはウィットと深い関与が要求された。多くは結局わけがわからないまま
終わったり、内在する皮肉を見抜けなかったりした。一方ディーゼルのユーモアのセンスを理解した数少
ない者は、真の意味での自分とブランドとの共犯意識を感じることができた。ディーゼルにとってありがた
いことに、こうした理解者の多くは、自分を周りからひときわ目立たせてくれる服を探している裕福なティー
ンエイジャーだった。
例えばいくつかの広告は、ジーンズを履くと格好良く見え、異性を誘惑するのに役立つ、という重要な約
束をばかにしたものだった(資料 2 参照)。もう一つの好例は、「早撃ちで一番になるには」のビデオトロニ
ック・ガイドだ。この西部劇のパロディーでは、Diesel ジーンズを履いたハンサムなヒーローが、特徴のな
いズボンをはいた悪役に撃たれてしまう。最後のシーンは悪役の高笑いをバックに「Diesel, for Successful Living」の文字で終わる。やがて、皮肉はディーゼルに向けられるようになった。例えば、レンツォ・ロッソ
にとってデニムの品質の高さは非常に重要だったが、ある広告ではディーゼルの生地の耐久性と高品質
をからかってみせた(「ファッション企業家になるには」のビデオトロニック・ガイドで「スーパー・デニム」と揶
揄)。その後の広告では、ディーゼルは変な自社広告までもからかった。あるテレビコマーシャル(「服をよ
りきれいに保つには」)は、ディーゼル印の洗濯洗剤をばかげた日本語で宣伝している(もちろん、字幕な
しで)。なお、このコマーシャルを流したところ、ディーゼルが洗剤市場に進出するつもりではないかと懸念
したプロクター&ギャンブルから問い合わせの電話があった。
若者文化とポップカルチャーの専門家、テッド・ポレマス(Ted Polhemus)は、ディーゼルの広告(資料 3の例を参照)について次のように書いている。
「分別のある正しさに対して健全なる軽蔑を示したディーゼルは、今度は「趣味のよさ」も蔑視した。素晴らしい人が素晴らしいことをすることばかりをとりあげることが典型である雑誌では、派手に飾りつけた食卓に置かれた豚の丸焼きを豚たちが大いに楽しんでいる写真や、過剰に鍛え上げたボディービルダー、しわだらけの年老いた日光浴愛好家たち、露出度の高い水着を着て体を金色に塗った老人、拡大した生肉の切り身、目つきがいやらしく明らかに頭のおかしそうな、サングラスをかけた歯医者などのイメージは、控えめに言ってもどれも目立っている。しかし、ディーゼルの広告がこの上なく衝撃的であるほど、たいていは単に人目を引くだけのレベルで終わらずに、社会問題に関する真面目な視点が含まれていること、
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あるいは私たちに人生の意味について考えさせるきっかけをシンプルだが効果的に与えている。このような哲学談義を提示するアパレル会社は他に見当たりそうもない。」2
ディーゼルの皮肉っぽく悪趣味の広告は、時に一般大衆の怒りを買い、公共当局の反応を引き起こすこ
とがあった。例えば、Diesel の広告「Successful Living」シリーズの第 15 弾「Make My Way」(資料 4 参
照)には、このように書いてある。
「子どもに愛と思いやりを教えるには:現代の子どもは、自分で問題を解決する必要がある:殺しを教えれば、子どもが現実に直に対処する役に立つ――だが大人が導きの手を差し出せば子どもたちは格段に速く学ぶ!子どもたちに誇りと自信を持たせるんだ!だいたい、子どもが隣人の脳みそのぶっ放し方も習わないで、この国にどんな未来がある???」
米国でこの広告が開始されると、ディーゼルの事務所に抗議の手紙が押し寄せ、当時ディーゼル製品を
一手に販売していたブルーミングデールの外では、怒りのデモ隊が抗議を行った。レンツォ・ロッソは次の
ように述べた。
「私たちの皮肉なトーンは、最初は消費者をびっくりさせることがあります。私たちはものすごく不適切なメッセージと思われるようなものをしばしば提示します。人種、性の固定概念、唯物主義、薬物乱用、宗教的な不寛容、政治的過激主義といった事柄に紛らわしい表現で言及します。広告を見る人は、私たちの意図が本当は何なのかを理解するために、ちょっと考える必要があります。しかしひとたび時間をかければ、ディーゼルの広告を見た人は、無神経で主観的な声明というよりもむしろ、私たちが共有する世界の現実についてのよりバランスが取れた観察であるという、作品の裏に隠された道理にたいてい気付きます。」3
メディア以外のコミュニケーション
ディーゼル流は他のコミュニケーション形態においても明らかだった。俳優、ミュージシャン、有名人への
プロダクト・プレイスメントには大いに力を注いだ(ただし、ディーゼルはスターにギャラを払ったことはなく、
商品を寄贈したこともほとんどなかった)。ディーゼルの衣類は『ゴジラ』、『リーサル・ウェポン』、『クライム・
アンド・パニッシュメント』、『地上より何処かで』といった多くの人気映画やインデペンデント映画で重要な
役目を果たしている。
ディーゼルは最も早くインターネット展開したアパレル会社の一つで、1995 年にはウェブサイト
(www.diesel.com)を開設した。サイトにはディーゼルの衣服のコレクションとライセンス、全広告を保存し
たアーカイブ、D-Diesel のシーズン・ファッションショーの広範な報告、オンラインショップに関する情報を
掲載した。
1994 年、ディーゼルはマイアミのサウスビーチにペリカン・ホテルをオープンした。ホテルはディーゼルの
哲学を鮮明に表現するものになった。25 室の客室はすべてシュールレアリズム映画のセットにいる気分
になるよう設計され、装飾が施された。各部屋はリサイクル家具で満たされ、それぞれのスタイルに合わせ
て名前が付けられた。例えばサイケデリック・ルーム、Halfway to Hollywood(ハリウッドまで道半ば)、Me Tarzan(僕ターザン)といった具合だ(資料 5 参照)。ホテルはファッション、音楽、出版界で人気を呼んだ。
シンディ・クロフォード、グレース・ジョーンズ、ヨーコ・オノ、ジョン・F・ケネディ Jr.などの有名人が滞在した。
ディーゼルはソニー・プレイステーション、ニンテンドー、パソコン用のビデオゲームの製作にも参加した。
サイグノシス(Psygnosis)のヒット作「G-Police I & II」やアクレイム(Acclaim)の「シャドウマン」および「エク
2 Ted Polhemus, “Diesel World Wide Wear”, 1998。 3 Ted Polhemus, “Diesel World Wide Wear”, 1998 より。
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ストリーム GⅡ」といった新しいビデオゲーム・リリースに、Diesel for Successful Living のロゴやその他のク
リエイティブ・コンテンツを提供した。
ディーゼルのブランド・ポートフォリオ
1998 年に StyleLab を打ち出す前は、ディーゼルのブランド・ポートフォリオは三つの主要製品ライン
――D-Diesel(ライセンスを含む)、Diesel Kids、55DSL――で構成されていた(ブランドとそのロゴの一部
を資料 6 に掲載)。製造のほとんどは中小企業に外注したが、デザインとマーケティングは引き続き社内
で行った。
D-Diesel
D-Diesel は主力事業分野であり、ディーゼル社創設当初からのマスターブランドの一つだった。主に力を
入れるのはメンズとレディースのデニムの「5 ポケット」(従来のジーンズ)、「ボトムズ」(デニムのパンツとス
カート)、「トップス」(ジャケットとシャツ)だった。それでもデニムは D-Diesel コレクションの約 30%を占めて
いるにすぎなかった。D-Diesel は、ブランドの無条件の創造性が表れた斬新で幅広いデニムと遊び着を
顧客に提供した(資料 8 参照)。製品の特徴は極上の品質と耐久性だった。1998 年、D-Diesel ラインは
当初のキャッチフレーズである「Diesel Jeans and Workwear」の代わりに新たに「Diesel for Successful Living」と「D」ロゴを採用した。
D-Diesel のライセンス
顧客にトータルルックを提供するという理想を追求し、D-Diesel ブランドは衣服以外にも多数のファッショ
ン商品に手を広げた。アイウェアの Diesel Shades(シェーズ)、鞄や革製品の Diesel Spare Parts(スペア
パーツ)、Diesel フレグランス(2 種類の香水 Diesel Plus Plus と Zero Plus を扱う)、Diesel フットウェア、
Diesel アンダーウェア、時計の Diesel タイムフレーム、筆記具の Diesel ライティングツールが加わった。
Diesel Kids
Diesel Kids ラインは、子ども扱いされたくない子どもがターゲットだった。「元気あふれる」世代の若者向け
に、色鮮やかでモダンなラインの「元気あふれる」衣類を提供した。
55DSL
55DSL ラインは「冒険心と自由の感覚にインスピレーションを得た、たくましく自立したスポーツウェア・コ
レクション」を表した。衣類は過激なアクションスポーツマニアに照準を合わせたものだった。コレクション
は驚くほど新鮮な色の組合せとプリントが満載の、斬新でコンテンポラリーなスタイルを提供した。
高級品市場の拡大
1990 年代半ばのアパレル産業は、市場細分化が進んでいた。特に一部の消費者は、きちんとした服だ
けでなくカジュアルウェアにも大金を進んで払うようになっていた。流行に敏感なレンツォ・ロッソは、すぐさ
ま高級カジュアルウェアに新たな市場機会を見出した。ロッソは、仕事と余暇の両方でカジュアルな衣類
の魅力が増しているのに気付いた。投資銀行やコンサルティング会社といったフォーマルなビジネススー
ツの砦でさえ、「カジュアル・フライデー」には社員がカーキやポロシャツを着てリラックスすることを認める
ようになりつつあった。トレンディーであることは、生き生きとして明るく、行動的でカジュアルであることを
意味し始めていた。
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レンツォ・ロッソは、高級カジュアルウェアにあるチャンスを新ライン StyleLab でつかむことを決心した。彼
の決定はほぼ 100%が直感に基づいていた。マーケット・リサーチによって将来のファッション・トレンドを
予測するというやり方を信じていなかったからである。とはいうものの、高級カジュアルウェア市場の収益
性の見通しが不確かであることは、彼もわかっていた。 1 本のカジュアルパンツに 150 ドル払うことを十分
な数の消費者に納得させるために、ディーゼルは大いに力を発揮しなければならないだろう。
StyleLab に託されたもう一つの目標は、D-Diesel デニム製品のディフュージョンの拡まりを相殺し、ブラン
ドがコモディティ化する可能性の芽を摘むことだった。このことが特に強く懸念された理由は、1998 年のデ
ィーゼルの広告キャンペーンで、さまざまなフィットを揃えていることや、生地の柔らかさや強さといったデ
ニムと商品の特性を強調しているためである。もちろん、こうした機能性品質の伝え方はディーゼル流を
守っていた(資料 7 の広告キャンペーンと資料 8 の 1998 春夏コレクションの例を参照)。さらにまた、D-Diesel の多方面への水平的拡張がブランドのアイデンティティーを希薄にしかねないという懸念もあった。
何より、経営陣はディーゼルが成功したせいで苦しむことを心配していた。とりわけ恐れたのは、ディフュ
ージョンが進みすぎると、ブランドの高級で型破りなイメージが徐々に崩れてしまうことだった。例えばドイ
ツでは、D-Diesel が年上の消費者で成功したために、反抗的な尖った魅力をすでに失い始めていた。広
告が伝える不遜なイメージと、BMW を運転するやや地味めの 35 才の専門職が Diesel ジーンズを履い
ている図が表すイメージの間には、確かにギャップが広がっていた。
レンツォ・ロッソはまた、StyleLab がディーゼルの最も重要な資産であるデザイナーたちの管理にも役立
つと考えた。ディーゼルは創造性を不可欠な投資とみなし、デザイナーたちに大いに注意を払った。他の
ファッションデザイナーたちとは違い、ディーゼルのデザイナーは競争相手のファッションショーにはほと
んど顔を出さなかった。その代わり会社が費用を出して年間で最高 6 ヶ月間の「研究旅行」を行い、デザ
イナーは旅先で新しいコレクションのインスピレーションを得られそうなあらゆるものを写真に撮ったり買っ
たりした。D-Diesel ラインが相対的に主流の位置づけになっていることで創造性が制約されているとデザ
イナーが感じているのであれば、StyleLab のターゲット設定はより狭いため、デザイナーは自分たちの創
造性を解き放ち、新しいスタイルや生地を試してみることができるだろう。実際、StyleLab という名称の由
来は、デザイナーが新しいアイデアを自由に試すことができる実験室(laboratory)を作ろうという発想から
きていた。ディーゼルはこうした新しいアイデアのいくつかが、最終的に主力の D-Diesel ラインに結びつ
いてくれたらと期待していた。
StyleLab のカテゴリー・マネージャー、ロベルト・ルナルドン(Robert Lunardon)は、StyleLab ブランドを立
ち上げた主な理由三つを次のように要約した。
1. 新しく魅力的な高級カジュアルウェア市場に参入する。
2. D-Diesel ブランドの周囲に一流の雰囲気とファッションを生み出す。
3. ディーゼルのデザイナーに新しい生地や裁断を試す機会を与える。
StyleLab 対 D-Diesel
予定されている StyleLab コレクションの発表によって、ディーゼルは事実上高級市場に進出していた。フ
ァッション業界では下向きのブランド拡張が大はやりだった。ジョルジオ・アルマーニとエンポリオ・アルマ
ーニ、ドルチェ&ガッバーナと D&G、ダナ・キャランと DKNY など、枚挙にいとまがない。高級品へのブラ
ンド拡張はファッション業界では珍しかったが、ないことはなかった。例えば 1980 年代にはラルフ・ローレ
ンが垂直的に拡張し、Ralph Lauren Collection ブランドを立ち上げて女性ファッション市場の最高級層に
参入していた。しかしディーゼルの上方拡張は思い切った行動だった。特に、マスターブランドの D-Diesel と StyleLab ブランドとの関係の微妙なバランスをとることが不可欠だった。StyleLab に対して定めた
目標を達成するためには、ディーゼルの核となるアイデンティティーとの共通の関連性を保持しつつも、
両ラインを明確に差別化しなければならなかった。
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製品
StyleLab は、流行の絶対命令にしたがうよりもイノベーションそのものに魅力を感じる顧客のために、「驚く
べきスタイルを生み出す実験室(a laboratory of surprising styles)」からウェアラブルな衣服を提供した。
D-Diesel とくらべると、より高級で、より洗練され、より高価で、なによりもデザインと素材の使い方がより斬
新だった(資料 9 および 10 参照)。例えば、StyleLab は布を薄いメタルメッシュに編み込んだ生地のよう
な革新的な素材を試した。全体として、StyleLab は D-Diesel よりも「ストリート」色を薄めたルックを提案し
ていた。
ターゲットになる消費者
伝統的な「プロクター(P&G)式」マーケティングはもとよりマーケット・リサーチすら拒否していることからす
れば、ディーゼルが StyleLab のターゲット・セグメントを詳細に定義していないのは驚くまでもなかった。ロ
ッソからすれば、年齢よりもライフスタイルのほうが重要だった。D-Diesel のターゲットは、気分は十代のラ
イフスタイルをとる人々だった。このライフスタイルに興味がある人ならだれでもターゲット顧客になりえた。
D-Diesel の顧客層は、18~25 才のトレンディーな若者が 35~50 才を数で大きく上回っていた。25 才以
上のトレンディーな若者は、多くの場合 D-Diesel は自分たちにとって「若すぎる」とか「ヒップホップすぎ
る」と考えていた。
StyleLab のターゲットには 2 種類の購買層が考えられた。まず、過去に D-Diesel を買っていて今もこのブ
ランドと価値が好きだが、年をとったので着られなくなったと感じている人々にアピールすると思われた。
特に若手プロフェッショナルの場合、例えカジュアルデーであっても仕事に D-Diesel を着ていくと若く見
えすぎることを懸念するかもしれなかった。StyleLab は、D-Diesel が主流になりすぎてアングラ的特徴を失
ってしまったと憂えている、最もトレンディーな D-Diesel の顧客にアピールする可能性があった。次に
StyleLab は、D-Diesel ラインでは見つからない最先端のスタイルを探している人々にもアピールできた。
こうした人々は自分独自のスタイルを作り出す可能性を大事にし、ブランドやファッションの虜にはならな
かった。彼らなら衣服に対する StyleLab の自立した斬新なアプローチに魅力を感じると考えられた。総じ
て、StyleLab の消費者は、一般的な D-Diesel 購入者よりもデザイン志向が強いと思われた(資料 11 に
D-Diesel と StyleLab のターゲット顧客に関する情報を掲載)。
ブランド・アイデンティティー
ディーゼルの経営陣は、D-Diesel と StyleLab は、いくつかの共通するルーツだけを持ちつつ、はっきり異
なるブランド・アイデンティティーを持つべきであることを強調した。どちらのブランドも自由、世界的な展望、
創造性、思慮深さといった価値は共有していた。しかし、D-Diesel がアイロニーと不遜を象徴したのに対
し、StyleLab は洗練と神秘的雰囲気を表していた。もちろん、製品それ自体もかなり異なっていた。Dieselはデニム中心だったが、StyleLab はさまざまな斬新な生地を試していた。
ポジショニングと価格設定
D-Diesel ブランドは「デニムと遊び着」区分の高価格帯に位置していた。競合ブランドは Armani Jeans、Levi’s、Mustang(マスタング)、Calvin Klein Jeans だった。StyleLab は「高級カジュアルウェア」区分の低
価格帯に位置し、Miu Miu(ミュウミュウ)、Prada Sport、CP Company、D&G と競合した(資料 12 参照)。
1998 年には、D-Diesel の定番ブルージーンズのヨーロッパでの価格は平均 67 ユーロ、ジャケットは 72ユーロだった(米国ではそれぞれ 100 ドルと 139 ドル)。ディーゼルは GAP と同じレンジのカジュアルウェ
アをはるかに高い価格で販売していた。ファッション業界の専門家はディーゼルの高い価格設定方針を
しばしば批判したが、ディーゼルの幹部は「永久に長持ちしそうなジーンズに 3 桁の値段を払うことは、理
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不尽ではない」4と主張した。彼らの言い分によると、ディーゼルは製造プロセスがより厳格だということだっ
た。それを例証するために、ニューヨークのレキシントン通りにある旗艦店には洗濯機がどんと置かれ、中
で 1 本の Diesel ジーンズが延々と回っていた。
ヨーロッパでは、StyleLab のパンツは 125 ユーロ、ジャケットは 335 ユーロで売られていた(米国ではそれ
ぞれ 150 ドルと 415 ドル)。次のデータは、1998 年春のイタリアのあるファッション店において、StyleLab と
D-Diesel の価格水準を競合ブランドと比較した数字である。
競争相手価格
(StyleLab = 指数 100)
160
150
130
120
120
110
80
65
60
45
100
MIU MIU
CP COMPANY
STONE ISLAND
STYLELAB
D-DIESEL
GAP
流通販売
当初 D-Diesel の製品は、マルチブランドを扱うティーン向けショップとデパートのコーナーでしか売られて
いなかった。1990 年代の初頭、ディーゼルはニューヨーク、シカゴ、ロンドン、サンフランシスコ、ローマに
旗艦店をオープンするとともに、世界中のさまざまな大都市に Diesel 専門店をオープンした。ディーゼル
は D-Diesel のブランド・アイデンティティーをまるごと活気づける媒体として、旗艦店を利用した。例えば、
シカゴの中心地マグニフィセント・マイルに近い D-Diesel 旗艦店にはトレンディーなソフトドリンクのボトル
が置かれ、来店者はオルタナティブ・ミュージックを聴きながらそれを飲むことができた。また、流行最先端
の「トリップ・ホップ」アルバムの CD を買うこともできた。D-Diesel の製品は、通信販売やインターネットを
通じても販売された。
StyleLab の製品は香港のジョイス、ニューヨークのバーニーズ、ロンドンのセルフリッジズやハロッズ など、
専門ファッション店、ブティック、高級デパートでしか販売しないことになっていた。StyleLab 小売店向けの
カスタマーサービス・ガイドラインには、スタッフは一般的な D-Diesel ショップよりも大人であること、あるい
は大人に見えることを指示されていた。
メディア戦略
メディア戦略は、製品ラインごとに異なっていた。D-Diesel の印刷広告は英国では『フェイス』、『エル』、
『FHM』、『ローデッド(Loaded)』、米国では『マリ・クレール』、『ローリング・ストーン』、『ワイアード(Wired)』、
日本では『セサミ』、『ファインボーイズ』、『ワープ』などの雑誌に掲載された。StyleLab のメディア媒体は、
ファッションに敏感な上級読者を対象とした『Flaunt』、『ヴォーグ』、『ウォールペーパー』、『ダッチ
(Dutch)』、『ID』、『ミクスト(Mixte)』、『MAX』、などの高級誌だった。このように、メディア計画は両ブラン
ドの広告が同じ雑誌に並ばないようにしていた。StyleLab とは異なり、D-Diesel はテレビや映画館でも広
告を流した。通常、印刷広告、ストアカタログ、テレビコマーシャルには同じ創造的アイデアが使われた。
4 Wall Street Journal; 1998 年 12 月 9 日。
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D-Diesel と StyleLab の広告キャンペーンのための創造的アイデアは、別々のチームが開発を担当した。
最初のイメージ重視の段階に続き、D-Diesel の広告はブランドと製品をかなり均等な割合で扱っていた。
これに対し StyleLab のキャンペーンは、主にブランド・イメージの構築を重視していた。
StyleLab の広告キャンペーン
StyleLab のカタログと印刷物によるキャンペーン第 1 弾「ストランディッド(Stranded)」(資料 13 および 14参照)は、1999 年春夏コレクションのために考案された。創作チームは洗練と高級さに関して D-Diesel と
StyleLab の違いを伝えようとした。キャンペーンは、昔の世界がもう存在しないことに途方に暮れている
(stranded)ように見える人々についてのストーリーを土台にしていた。彼らはいろいろな場所(海、地面の
裂け目、洞窟、岩)から現れ、新たな生活をどう始めてよいかもわからないままに、奇妙な超現実的状況を
経験しながら荒涼とした大地を歩いていく。旧世界の遺物はいくつかまだ存在するが(時計、梯子、冷蔵
庫)、文明はもはや存在しない。カタログの最後では 4 人が出会い、いっしょに歩いて海に入っていく。イ
メージの一部は雑誌の印刷広告にも使用することになっていた。
StyleLab の 2000 年春夏キャンペーン向けに計画されたテーマは、謎めいたスパイのストーリーだった。
撮影は 70 年代に旧東ドイツで使用されていた核貯蔵庫で行われ、強いミステリー感覚を映し出した。カ
タログは秘密の調査書類という設定で、12 の StyleLab の写真と機密情報らしきもの(謎めいた英語の手
紙、見知らぬ男のハガキ、裏に奇妙な英語のスローガンが載った日付のないロシアの新聞、わけのわか
らない電子装置のマップ、第二次大戦時の本物のドイツのインボイス)が掲載された。こうしたさまざまな要
素をもとに、カタログを見た人に自分独自の興味深いストーリーを組み立てることを促した。
POP 広告
店頭(POP: Point-of-purchase)広告は、D-Diesel と StyleLab では異なる役割を演じた。後者の場合、目標
はブランドのイメージを発展させることであり、ほぼ必ずと言っていいほど、対応する広告キャンペーンの
創造的アイデアが下地になっていた。これに対し、D-Diesel の POP 広告は売上げを伸ばすための戦術と
して使われ、必ずしも複雑な D-Diesel の広告に由来するとは限らなかった。ディーゼルの小売マーケティ
ング・マネージャーのアレッサンドラ・ペサベント(Alessandra Pesavento)によれば、「D-Diesel の場合、
POP 素材は単純なテーマに基づいていて、主に商品と可愛らしいモデルを柱にしています。こうした
POP 広告は、D-Diesel のメディア広告をベースにした POP 広告よりも最大 50%は効果的です。」
StyleLab のブランド戦略
StyleLab ラインの発売に関する主要な問題は、ほぼすべて片付いていた。デザイン、製造、広告、価格
設定、流通販売の決定はすでに下されていた。唯一まだ議論の続いている主要な問題はブランド戦略だ
った。特に争点となっているのは、D-Diesel と StyleLab の関係性を明確にする必要だった。StyleLab のロ
ゴも、ブランド戦略に関する最終決定を待っている状態だった。
主要ブランド戦略として、「サブブランド」、「エンドーサー」、「独立」の三つが検討されていた(資料 15 参
照)。この三つ(それぞれいくつかバリエーションが提案されていた)は、StyleLab と D-Diesel の関連性の
度合の違いを反映していた。両ブランドに最大の距離を置いているのは「独立」戦略である。その対極に
あたる「サブブランド」戦略は、両ブランドのきわめて密接な結びつきを確保し、Diesel というブランド名を
新ラインの目立つ位置に配置する。
レンツォ・ロッソと彼のチームには、わずか 2 週間ほどの間に次の重要な質問に取り組まなくてはならなか
った。
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1. ディーゼルは会社の拡大にもかかわらず、本来のアイデンティティーに忠実であり続けてきただろうか。
イエスだとすれば、どのように行ったのか。ノーだとすれば、何が変わったのか。
2. 新ラインの成否は何を基準に判断するのか。StyleLab の認知度、イメージ、それとも収益か。ディー
ゼルの認知度、イメージ、それとも収益か。
3. 消費者の意識の中で D-Diesel と StyleLab をどれくらい密接に関連させるべきか。StyleLab にはどん
なブランド戦略を選ぶべきだろうか。StyleLab のロゴはどうしたらよいか。
4. ブランディングの決定は何を基準に行うべきか。マーケット・リサーチは有効だろうか。消費者に話を
聞くことは役に立つだろうか。
5. ディーゼルはファッションの最先端に留まり続けることができるだろうか。いつまでブランドが続くだろう
か。今、何ができるだろうか。
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資料 1 本物のレンツォ・ロッソはどれ?
カンヌの授賞式でステージに上がったディーゼル・チーム
資料 2 ディーゼルの印刷広告、1995 年
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資料 3 ポレマスが挙げたディーゼルの広告
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資料 4 プレス広告、1993 年
資料 5 ペリカン・ホテルの内部
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資料 6 ディーゼルのブランド・ポートフォリオ
ディーゼル(DIESEL SpA)
DIESEL Kids 部門D-DIESEL 55 DSL STYLELAB
(1998年~)
DIESEL
スペアパーツ
DIESEL
アンダーウェア
DIESEL フットウェア
DIESEL
ジーンズ、シャツ、
スウェットシャツ、Tシャツ他
DIESEL
ライティングツール&タイムフレーム
DIESEL
フレグランス
DIESEL シェーズ
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資料 7 Diesel 1998 春夏広告キャンペーン 「Dark」
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資料 8 D-Diesel 1998 春夏コレクション
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資料 9 StyleLab 1998 春夏コレクション
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資料 10 StyleLab 1999 秋冬コレクション
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資料 11 D-Diesel と StyleLab ブランドのターゲット顧客
基準 D-DIESEL STYLELAB
地理的要素
地域 世界 世界
密度 都市 都市
デモグラフィックス
年齢 16~25 才中心 25~34 才中心
性別 男女 男女
所得 中/中高 中高
職業 高校生/大学生/若手プロフェッショナ
ル 専門職、管理職
世代 HIP ジェネレーション ジェネレーション X
社会階層 中流/中流の上 中流の上/上の下
サイコグラフィックス
ライフスタイル メディア露出が高い 大の買い物好き 新快楽主義者 何らかのコミュニティに属する トレンドに敏感
メディア露出が高い 旅行をよくする 世知に長ける
個性 頭が柔らかい 自立している イノベーションを受け入れる 好奇心が強い
自立している 目が肥えている ファッションに敏感 文化的意識が高い
好奇心が強い
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資料 12 D-Diesel と StyleLab のポジショニングと流通販売
ファッションブティック
流通販売
デザイナーショップ
大衆向けデパート
および大型スーパー
マルチブランドの
カジュアルショップ
市場区分
オートクチュール
デザイナー・ファッション
高級カジュアルウェア
デニム&カジュアルウェア
大衆市場
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資料 13 StyleLab 1999 春夏広告キャンペーン「Stranded」
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資料 14 StyleLab 1999 春夏広告キャンペーン「Stranded」
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資料 15 StyleLab ブランドそのバリエーションに対する三つのブランド戦略
リンクのタイプ 手法 例
戦略 1 – サブブランド
Diesel はメインドライ
バー Diesel のロゴが StyleLab のロゴを事実上圧倒す
る。
Diesel はコドライバー 新しいロゴは Diesel ブランドと言葉によるつながり
を維持しているが視覚的つながりはない。
戦略 2 – エンドーサー
強力なエンドーサー Diesel は控えめなドライバーの役割を担う。Dieselという名前は視覚的に StyleLab の名前の近くに置
くが、Diesel のロゴは使わない(StyleLab from Diesel、あるいは StyleLab by Diesel など)。
名前をリンクさせる 共通要素の「D」の文字が暗に StyleLab のエンド
ーサーを示す。
包括(アンブレラ)ブ
ランド D-Diesel と StyleLab ともに新たな企業包括ブラン
ド(Diesel Planet など)のサブブランドとなる。
名目上のエンドーサ
ー StyleLab の伝達情報において、エンドーサーにつ
いては StyleLab のロゴから比較的遠い場所に小さ
なフォントの普通テキストで表示する。
“Inspired by Diesel”
または “Created by Diesel”
戦略 3 – 独立
所有者を認める StyleLab と Diesel は視覚的にはリンクしていない
が、多くの顧客はリンクしていることを承知している
(トヨタの Lexus やリーバイスの Dockers など)。
完全な独立 StyleLab に関する伝達情報のどこにも Diesel につ
いて一切触れない。