covid-19とアフリカ1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015...
TRANSCRIPT
COVID-19とアフリカ・
アフリカビジネスについて再び考える
JETROアジア経済研究所
上席主任調査研究員
平野克己
世界におけるアフリカ
• アフリカはプレ先進国でも、プレ・アジアでもない
• ほぼ中国の勢力圏
• サブサハラ・アフリカだけが近代農業革命から取り残されている
• ゆえに人口転換がおきず、貧困人口も減らない
• したがって、アフリカ人の比率が恒常的に増加し、人類は“アフリカ化”していく
ODAはもつか、食糧供給は?
中国のアフリカ政策は耐えられるか
世界と日本の人口増加率人口転換の終了
-2%
-1%
0%
1%
2%
3%
4%
1600 1650 1700 1750 1800 1850 1900 1950 2000 2050 2100
(出所)国連統計、総務省統計局、日本長期統計より作成
日本 世界
世界各地域の穀物生産性アフリカの食糧生産力は前近代レベル
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
8000
1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
(kg/ha)
サブサハラ・アフリカ
東アジア
東南アジア
(出所)FAO統計より作成
西欧
南米
人口増加率アフリカだけが人口転換を経ていない
-0.5%
0.0%
0.5%
1.0%
1.5%
2.0%
2.5%
3.0%
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
(出所)国連統計より作成
アジア
アフリカ
ラテンアメリカ
米国
欧州
人口増加率予測アフリカは人口転換するか
0.0%
0.5%
1.0%
1.5%
2.0%
2.5%
3.0%
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100
世界
アフリカ
(出所)国連統計より作成
人口比予測人類の“アフリカ化”
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100
先進国 アフリカ
サブサハラ・アフリカ
(出所)国連統計より作成
東アジア
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
東アジアとアフリカの穀物輸入日本及び東アジアの食料安全保障
日本
アフリカ
東アジア
(百万トン)
サブサハラアフリカ
(出所)FAO統計より作成
中国
アフリカ総生産と資源価格アフリカ経済はどうやって成長し、停滞するか
0
20
40
60
80
100
120
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
アフリカGDP合計 原油価格
(兆ドル)
(出所)国連統計より作成
(ドル)
0
50
100
150
200
250
300
350
400
1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017
農産品
鉱産物
(出所)UNCTAD統計より作成
(10億ドル)
アフリカの輸出原油依存
製造業品
鉱物性燃料
日本とアフリカの経済関係
• 対アフリカ貿易投資における日本のプレゼンスは縮小の一途
• 経済関係の衰退はアフリカの問題ではなく、日本の問題である
• それは日本経済全体の退潮と同期している
• アフリカで儲けられるビジネス体質をつくることは、日本経済の再生につながる
0
20
40
60
80
100
1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019
フランス
中国
(出所)World Trade Atlasより作成
(10億ドル)
対アフリカ輸出中国の独走
0
10
20
30
40
1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019
フランス
日本
アメリカ
南アフリカ
インド
(10億ドル)
対アフリカ輸出日本の退潮
韓国
(出所)World Trade Atlasより作成
0%
2%
4%
6%
8%
10%
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
日本の対アフリカ貿易比率輸出入総額に占めてきたシェア
対アフリカ輸出
対南アフリカ輸出
対アフリカ輸入
対南アフリカ輸入
(出所)日本関税協会統計およびWorld Trade Atlasより作成
0
2
4
6
8
10
12
14
1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018
日本アフリカ貿易の主要品目自動車一本足打法
プラチナ輸入
自動車輸出
燃料輸入
(出所)World Trade Atlasより作成
(10億ドル)
日中の対アフリカ輸出比較
中国:一般機械
中国:電気機械
中国:輸送機械
日本:一般機械日本:電気機械
日本:輸送機械
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018
(出所)World Trade Atlasより作成
(10億ドル)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
120%
1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
日本経済の閉鎖性と低成長各国の貿易依存度
中国
日本
インド
韓国
世界平均
(出所)国連統計より作成
ドイツ
0 10 20 30 40 50 60
アメリカ
イギリス
フランス
中国
南アフリカ
イタリア
シンガポール
インド
スイス
マレーシア
日本
対アフリカFDIストック額(2016年、10億ドル)
(出所) UNCTAD統計から作成
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015
世界平均
(出所) UNCTAD統計から作成
FDIストックの対GDP比two types
日本の対外投資
日本の対内投資
日本 世界
アジア 58.5 36.7
中国 19.0 10.0
ASEAN 15.2 6.8
北米 22.3 15.7
アメリカ 19.4 13.2
欧州 12.4 37.2
アフリカ 1.1 2.9
輸出先配分(2017, %)
(出所) UN, World Trade Atlas
日本 世界
アジア 27.7 24.9
中国 7.7 4.7
ASEAN 13.2 6.9
北米 32.6 28.2
アメリカ 31.6 24.8
欧州 27.1 34.7
アフリカ 0.5 2.7
FDIストックの配分(2017, %)
(出所) UNCTAD, Bank of Japan
拠点数 駐在員数
アジア 70.0 62.1
中国 42.8 25.7
ASEAN 16.6 30.5
北米 12.5 20.2
アメリカ 11.4 19.3
欧州 7.7 10.3
アフリカ 1.1 0.5
日系企業の世界分布(2017, %)
(出所) 外務省『在留邦人数統計調査』平成30年
グローバル企業のアフリカ展開
• 輸出
機械類、石油製品、医薬品、食品∋穀物
北アフリカ市場(エジプト、モロッコ、アルジェリア等)
• 欧米資源企業∋再生可能エネルギー
• ビジネス金融サービス∋銀行、PEF
• 通信∋携帯電話プロバイダー、ITサービス
• 建設業
• 旺盛なクロスボーダーM&A
日本企業の課題
• 輸出力と収益力の向上
BOPビジネス手法の復活
新しいビジネスの創造
ex. インフラシステム輸出、アグリビジネス、水ビジネス
世界展開強化による競争力の獲得∋規模の拡大
• そのためのリスクとコストを引き受ける
• グローバル企業としての corporate identity
Africa Rising の真実
• 今世紀初頭資源ブームのなかで、内外資あわせ企業密度が増し、民間経済活動の比重が各段に大きくなった
• これまでアクセスできなかった貧困層市場へのビジネスアプローチが可能になった
• パンデミック下で重要性を増すIT対応力
COVID-19の衝撃
• アフリカは死亡者数を把握できない
• 低所得国はロックダウンに耐えられないので、市場は早く開かれるだろう
• 感染症と共存してきたアフリカ
マラリア死亡者35万人、エイズ関連死65万人
鍵を握るアフリカのICT
• アフリカ人起業家を育んだ携帯電話業界
ボダフォンとDFIDがつくったM-PESA
南アMTNの急成長
モ・イブラヒムと印エアテル
ストライブ・マシイワのエコネット・ワイヤレス
• 中国勢:Huawei, ZTE, Transsion
• アフリカ海底ケーブル
アフリカ進出の戦術
• 日本の弱さをしっかり認識し、アフリカ進出を弱点克服にむすびつける
• 日の丸に拘らない
第三国連携(英米仏、インド、トルコ等)
アフリカ内第三国連携(南アフリカ、モロッコ等)
• 日本人に拘らない
グローバル人材の登用
M&Aを含む果敢な投資
国家と企業の未来
• パンデミックで内向きになる国家と、それでもグローバル化が進む企業とが乖離する
• アフリカでは国家システムが貫徹していない
• あたかも東インド会社のようなアフリカ越境企業が強大化し、集約化が進む
• アフリカ市場において先進国企業はもとより新興国企業、とくに中国企業の能力が試される