covid-19関連の 日常検査における感染対策 · 2020-05-31 · covid-19関連の...
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COVID-19関連の日常検査における感染対策
公益社団法人 愛知県臨床検査技師会 学術部 微生物検査研究班
注意事項
・班員施設の対応を一例として記載しております。
・アンケート集約時点での各施設での対応のため、
最新情報に基づき更新されている可能性があります。
・情報共有と提供だけを目的にしておりますので、
自施設で採用される場合は自施設に見合った運用を
ICT等と協議の上、決定して頂ければと思います。
1.血液系分析(生化学・血液)
2.呼吸器検体(主にイムノクロマト)
3.微生物検査
4.一般検査(尿・糞便)
5.検体搬送
Contents
1.血液系分析(生化学・血液)
血液検体の取扱いについて(日本臨床検査医学会)
日本臨床検査医学会 日常検査体制の基本的な考え方の提言(第1版)https://www.jslm.org/committees/COVID-19/20200413-2.pdf
新型コロナウイルスの陽性を疑う、あるいは陽性が判明している患者由来の検体検査
検査材料:血液、尿など…通常通りの取扱いができる。
⚫ 想定される検体の取扱い=開栓せずに(エアロゾルの発生リスクがない)検査できる自動搬送システムの利用⚫ 日常的に使用すべき個人防護具は、原則、ガウン+サージカルマスク+フェイスシールド(ゴーグル)+手袋である。⚫ フェイスシールド(ゴーグル)は検体の飛散が想定される作業で眼への防護策として使用する
個人防護具の使用を徹底する
通常通りの取扱いとは?
「検体容器の蓋を開ける・検体を分注する操作」=「エアロゾルが発生する作業」
コロナ疑い・確定患者での搬送ラインの利用
回答 回答数
搬送ラインを利用する 4
搬送ラインを利用しない 2
⚫ 密栓状態で搬送に流す
→ 分析終了後、検体は巨大冷蔵庫に吸い込まれ保管
→ 一定日数保管後に自動廃棄される仕様
⚫ 搬送後に自動で栓がされる仕様
搬送ラインを利用する
⚫ 自動搬送で発生する廃棄物(開栓後の蓋シール・分注後のチップ・サンプルカップ)
→ コロナ疑いに関わらず、ビニール袋に閉じ、取扱いに十分注意して廃棄
「搬送ラインの利用」=「人の手が最も関与しないルート」
▶ 最も安全と判断
⚫ 生化学検査担当の判断で、搬送を使用せずに測定
⚫ 安全キャビネット内でPPE(手袋・マスク・アイシールド)を装着し分注
⚫ コロナ疑いの検体:開栓したキャップ、使用したチップ、測定後のサンプルカップ等
→ ビニール袋に入れ、密閉して廃棄
⚫ 測定後の検体は密閉袋に患者ごとにまとめ、コロナ患者用検体ボックスに3日間保存
→ 密閉袋に入れたまま廃棄
⚫ コロナ疑いとそれ以外の検体に使用したチップ・サンプルカップが混在する(搬送ライン)
→ 廃棄する際に周囲を汚染する可能性がある。
⚫ 検体自体の廃棄の際に、他検体と分けることで注意喚起につながる。
搬送ラインを利用しない
血算、生化学等の一般的な血液検査におけるPPE(開栓時) 回答施設数:13施設
PPEの組み合わせ 回答数
サージカルマスク+手袋+安全キャビネット 4
サージカルマスク+手袋+オープンスペース 4
サージカルマスク+手袋+アイシールド+安全キャビネット 2
サージカルマスク+手袋+アイシールド+オープンスペース 2
サージカルマスク+手袋+アイシールド+ガウン+安全キャビネット 1
カッコ内の数字は回答を得られた施設数(重複回答あり)安全キャビネット内での操作
⚫開栓・分注が必要な検査項目がある場合
安全キャビネット内で開栓→分注
2人1組(清潔作業者+不潔作業者)(1)
1人で操作(3)
⚫検体の周囲の消毒(1)
⚫遠心前のパラフィルム(1)
⚫サンプリング終了後の検体保管まで安全キャビネット内で実施(1)
血算、生化学等の一般的な血液検査(詳細)
⚫測定は汎用機のマニュアル測定部で処理(1)
⚫測定後直ちに廃棄(追加項目、外注検査提出は禁止している)(1)
⚫検査終了後に閉栓して保存(通常の検体は蓋をしていない)(1)
その他
血算、生化学等の一般的な血液検査(詳細)カッコ内の数字は回答を得られた施設数(重複回答あり)
2.呼吸器検体(主にイムノクロマト)
開栓時の操作について(日本臨床微生物学会)
臨床微生物学会 新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染(疑いを含む)患者検体の取扱いについて‐注意喚起-http://www.jscm.org/m-info/coronavirus200210.pdf
微生物検査以外の検体=血算、生化学検体が該当
開栓=エアロゾルが発生する作業
→安全キャビネット内で行う
呼吸器ウイルス迅速抗原検査(日本臨床微生物学会)
臨床微生物学会 新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染(疑いを含む)患者検体の取扱いについて‐注意喚起-http://www.jscm.org/m-info/coronavirus200210.pdf
安全キャビネット内での操作
10/11施設
N95マスクの使用
2/11施設
(班員施設アンケート結果)
呼吸器材料の取扱いについて(日本臨床検査医学会)
日本臨床検査医学会 日常検査体制の基本的な考え方の提言(第1版)https://www.jslm.org/committees/COVID-19/20200413-2.pdf
新型コロナウイルスの陽性を疑う、あるいは陽性が判明している患者由来の検体検査
検査材料:呼吸器系材料、便
→ウイルス曝露リスクの高い操作までを安全キャビネット内で取り扱う。
⚫ 呼吸器ウイルスなどの抗原検査での反応液添加までの操作
ウイルス曝露リスクの高い操作とは?
安全キャビネットの外で扱う場合✓ 場所の限定✓ 個人防護具の徹底(ガウン、N95マスク、フェイスシールド(ゴーグル)、手袋)
回答施設数:11施設
PPEの組み合わせ 回答数
サージカルマスク+手袋+安全キャビネット 4
N95マスク+手袋+アイシールド+ガウン+安全キャビネット 2
サージカルマスク+手袋+ガウン+安全キャビネット 2
サージカルマスク+手袋+アイシールド+ガウン+安全キャビネット 1
サージカルマスク+手袋+アイシールド+安全キャビネット 1
サージカルマスク+手袋+アイシールド+オープンスペース 1
呼吸器検体検査(主にイムノクロマト)におけるPPE
安全キャビネット内での検査
⚫2人1組(清潔作業者+不潔作業者)で操作(1)
⚫ 1人で操作(2)
⚫イムノクロマトの抽出液の滴下までは安全キャビネット
判定はオープンスペース(1)
⚫反応中のテストプレートは透明ビニール袋に入れたまま判定
→密閉状態のまま廃棄(1)
⚫検査実施後、使用したすべての物品をビニール袋に入れ専用廃棄ボックスへ(1)
呼吸器検体検査(主にイムノクロマト)について(詳細)カッコ内の数字は回答を得られた施設数(重複回答あり)
“疑い例か?”どうかでの使い分け
⚫感染症病棟からの呼吸器検体は安全キャビネットで実施、それ以外は自家製の
ボックス内で検査(1)
⚫疑い例でなければ検体検査室(オープンスペース)で実施(1)
“勤務時間帯”での使い分け
⚫日勤帯、夜勤帯も安全キャビネット内で操作(2)
⚫夜勤帯は安全キャビネットで行えることを伝達(必須ではない)(1)
⚫日勤帯は細菌検査担当者、夜勤帯は担当者は安全キャビネット内で検査(1)
カッコ内の数字は回答を得られた施設数(重複回答あり)
呼吸器検体検査(主にイムノクロマト)について(詳細)
その他
⚫当直業務を行う部屋と微生物検査室の距離が離れているため、
白衣+手袋+マスク+ゴーグル着用で、
安全キャビネットは使用しない(1)
呼吸器検体検査(主にイムノクロマト)について(詳細)カッコ内の数字は回答を得られた施設数(重複回答あり)
⚫微生物検査室が実施している場合、安全キャビネットにアクセスしやすい
⚫POCTは夜勤帯にも提出される→人数の少ない勤務時間帯で微生物検
査室までのアクセスに時間がかかる
呼吸器検体のPOCTを日常的にどこの部門が実施しているか?
各施設で日常検査に支障が出ない“落としどころ”を考慮する必要性
呼吸器検体のPOCTにおける課題
3. 微生物検査
微生物検体の取り扱いについて(日本臨床微生物学会)
安全キャビネット内での操作
8/8施設
N95マスクの使用
2/9施設
(班員施設アンケート結果)
臨床微生物学会 新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染(疑いを含む)患者検体の取扱いについて‐注意喚起-http://www.jscm.org/m-info/coronavirus200210.pdf
微生物検査におけるPPE(検体取扱)回答施設数:11施設
PPEの組み合わせ 回答数
サージカルマスク+手袋+アイシールド+ガウン+安全キャビネット 4
N95+手袋+アイシールド+ガウン+安全キャビネット 3
サージカルマスク+手袋+安全キャビネット 3
サージカルマスク+手袋+エプロンorガウン+安全キャビネット 1
培養・培地観察時における感染対策の実施状況回答施設数:8施設
回答 回答数
対策なし 6
対策あり 2
“対策あり”と回答した班員施設の実施状況
( )は施設数
⚫ シャーレをパラフィルムで密閉する(1)
⚫ 培地をジッパー付き袋に入れる(1)
培養方法
⚫ 安全キャビネット内で実施
⚫ 同定・薬剤感受性検査は継代培養し実施(2)
培地観察
その他
⚫ 塗抹検査はスライドをUV照射し染色(1)
⚫ 2人1組で清潔操作と不潔操作を分けて実施(1)
4. 一般検査(尿・糞便)
新型コロナウイルスの陽性を疑う、あるいは陽性が判明している患者由来の検体検査
検査材料:血液、尿など…通常通りの取扱いができる
尿検体の取り扱いについて(日本臨床検査医学会)
✓日常的に使用すべき個人防護具は、原則、ガウン、サージカルマスク、フェイスシールド(ゴーグル)、手袋である
✓フェイスシールドまたはゴーグルは、検体の飛散が想定される作業または場所では、眼への防護策として使用する
検体容器の蓋を開ける、または検体を分注する操作は、 エアロゾルが発生する作業
個人防護具の使用を徹底する日本臨床検査医学会 日常検査体制の基本的な考え方の提言(第1版)
https://www.jslm.org/committees/COVID-19/20200413-2.pdf
新型コロナウイルスの陽性を疑う、あるいは陽性が判明している患者由来の検体検査
検査材料:呼吸器系材料、便…ウイルス曝露リスクの高い操作までを
安全キャビネット内で取り扱い、操作中は個人防護具を着用する
糞便検体の取り扱いについて(日本臨床検査医学会)
✓検体の遠心・攪拌・希釈・分注などの操作、 抗原検査での反応液添加までの操作✓日常的に使用すべき個人防護具は、原則、ガウン、サージカルマスク、フェイスシールド(ゴーグル)、手袋である
*安全キャビネットの外で扱う場合✓ 場所の限定✓ 個人防護具の徹底(ガウン、N95マスク、フェイスシールド(ゴーグル)、手袋)
日本臨床検査医学会 日常検査体制の基本的な考え方の提言(第1版)https://www.jslm.org/committees/COVID-19/20200413-2.pdf
一般検査(尿・糞便)におけるPPE回答施設数:8施設
PPEの組み合わせ 回答数
サージカルマスク+手袋+オープンスペース 4
サージカルマスク+手袋+ガウン+安全キャビネット 2
サージカルマスク+手袋+アイシールド+ガウン+安全キャビネット 1
サージカルマスク+手袋+アイシールド+オープンスペース+実験台に
吸水シートを敷く1
一般検査における感染対策の実施状況回答施設数:9施設
回答回答数
尿検査 糞便検査
対策なし 7 6
対策あり 2 3
“対策あり”と回答した班員施設の実施状況
( )は施設数
⚫ 安全キャビネット内で撹拌・分注後測定(2)⚫ 尿沈渣は安全キャビネット内で上清を破棄し鏡検(1)⚫ 尿沈渣の鏡検は陰圧室内の顕微鏡を使用(1)
尿検査
⚫ 安全キャビネット内で実施(3)
糞便検査
5. 検体搬送
推奨される搬送方法は手搬送
資料:日本臨床検査医学会新型コロナウイルスに関するアドホック委員会からの提言(第1版)https://jslm.org/committees/COVID-19/20200301.pdf
しかし手搬送には人員が必要・・・
施設の状況に合わせて運用を決める必要がある*気送子を使用する場合は検体の識別(開ける前に分かるように)や漏出による汚染の対策などが必要
多くの施設が手搬送にて検体搬送を実施
各施設の搬送方法回答施設数:10施設
回答 回答数
手搬送 8
気送子 2
搬送手順1
1.検体採取後、検査室へ連絡が入る。
2.検査室から病棟、外来へ検体の回収へ向かう。
3.袋に検体を入れてもらい技師が手搬送を行う。
(施設数:2)
搬送手順2
1. 検体採取後、検体を袋へ入れる。
2. 技師以外の医療従事者が検体を検査室まで手搬送する。
3. 技師は検査室で受け取る。
(施設数:5)
手搬送の場合(施設数:8)1施設に関して搬送手順不明
1.検体採取後、検体を袋へ入れる。
2.気送子を用いて検査室まで検体を送る。
(施設数:2)気送子を使用する場合
搬送手順
気送子を使用する場合の問題点
• 開封前の識別ができない
• 検体破損によって汚染の可能性
• 送付先間違え等による検体紛失の可能性
使用される二次容器
使用される二次容器 回答施設数 %
専用ビニール袋 2 22
ジッパー付きの袋 3 33
ジッパー付き2重袋 4 45
表:各施設で使用される二次容器
• ほとんどの施設がジッパーつきの袋を二次容器として使用している。
• 搬送時に二次容器に加え、専用移送容器を使用する施設もある。
破損などによる汚染を防ぐために袋などの二次容器を使用することが推奨されている。
検体識別コロナ疑い・確定患者検体は通常検体と防護具などの感染対策が異なるため識別が必要である。
• コロナ関連の検体は「コ」と書かれたジッパー付きの袋へ入れる。
• 検体受け取り時に口頭で聞く。
• 識別用紙を一緒に袋に入れ不用意に開けないようにする。
• 検体ラベルに「コ」と記載する。
各施設の識別方法
番外編検査室の3密回避術
コロナウイルスの感染経路は・・・
接触感染・飛沫感染
上記の3つの条件(3密)がそろう場所が
クラスター(集団)発生のリスクが高いとされている
画像:厚生労働省 3密を避けましょう(ポスター)よりhttps://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000614802.pdf
班員施設において実施されている3密対策
休憩室や職員食堂
・窓やドアを開けなるべく換気する。
・向かい合わせにならないように配置を変更した。
・座席数を減らす。
会議室
・可能な限り会議を減らす(web会議の導入等も)。
その他
・37.5℃以上の発熱がある場合出勤を停止する