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新潟県保健環境科学研究所年報 第 19 巻 2004 70 小児感染性胃腸炎集団発生急性胃腸炎とで検出される ノロウイルスの関連性 西川  眞渡部  香広川 智香渡邉香奈子田村  務 Correlativity among Noroviruses Detected from Infantile Infectious Gastroenteritis Patients and Acute Gastroenteritis Mass Outbreak Cases Makoto Nishikawa, Kaori Watanabe, Chika Hirokawa, Kanako Watanabe and Tsutomu Tamura Summary From the tentative point of view that both food poisoning related acute gastroenteritis and infantile acute gastroenteritis may highly correlated with Norovirus infection, we tried further investigation on them with molecular epidemiological method. For years study from April 2001 to March 2004, we collected 1,412 specimens and detected 448 Noroviruses 394 in 859 stools from patients, in 96 vomitus, 37 in 286 stools from food handler, in 171 foodstufffrom 78 of 122 acute gastroenteritis mass outbreak cases, and additional 132 Norovirus strains detected from 609 stool specimens of infantile acute gastroenteritis patients obtained from sentinel hospitals of infectious disease surveillance for correlation study. In both infantile acute gastroenteritis and mass outbreak case of kindergarten, elementary school, nursing home, hospital and catering place, identical genotype of Norovirus was detected respectively. Moreover, each Genotype was detected around the same time at neighboring place. In several cases, person to person transmission were also observed. The aspect indicates Norovirus as infection source for mass outbreak gastroenteritis exist widely not only in contaminated foodstuff but also symptomatic infant and adult carrier. KeywordsNorovirus, RT-PCR, gastroenteritis, food poisoning, infant はじめに ノロウイルスを原因とする集団食中毒例年冬期間多発する傾向がみられ牡蠣生食起因することが いとされてきた しかしこれまでの当県におけ 事例蓄積ノロウイルスの伝搬牡蠣のみによ らずにヒトからヒトへの伝播推定される集団感染事 なからずめられ以前からカリシウイルスが児急性胃腸炎重要病原因子であることが指摘されてい こととせてわれわれは集団感染未然防止には ノロウイルスの感染環全体らかにし循環経路遮断 することが重要であるとえるに調査めてきたそこで今回対応可能感染環中遮断場所見出べく急性感染性胃腸炎集団感染事例間及びその周辺られた感染症サーベイランス事業感染性胃腸炎患者症 などで検出したノロウイルスを比較検討相互伝播 状況調べることとしたその結果両者間関連性 められ感染予防上重要われる検討したの 報告する材料方法 2001 から 2004 までの年間食中毒及 各種施設等における急性感染性胃腸炎集団感染事例 124 から患者便等 1,412 検体患者便 859嘔吐物うがい 液等 96無症状従事者検便 286食品ふきとり171感染症サーベイランスの定点医療機関採取小児感染性胃腸炎患者便 609 検体計 2,021 検体収集検査材料のうちうがい食品使用水ふきとり 汚染源遡及調査として後日追加採取したものをんで いる検査材料からの核酸抽出及RT-PCR 西川した方法 によったほか2003 年分一部Extragen Toso核酸抽出したPCR 増幅産物ABI PRISM 310 Genetic Analyzer 遺伝子解析ポリメレース領域 220bp 部分について分子疫学的手法により相互関連性 比較した

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新潟県保健環境科学研究所年報 第 19巻 200470

小児感染性胃腸炎と集団発生急性胃腸炎とで検出されるノロウイルスの関連性

西川  眞,渡部  香,広川 智香,渡邉香奈子,田村  務

Correlativity among Noroviruses Detected from Infantile Infectious Gastroenteritis Patients and Acute Gastroenteritis Mass Outbreak Cases

Makoto Nishikawa, Kaori Watanabe, Chika Hirokawa, Kanako Watanabe and Tsutomu Tamura

Summary

 From the tentative point of view that both food poisoning related acute gastroenteritis and infantile acute

gastroenteritis may highly correlated with Norovirus infection, we tried further investigation on them with molecular

epidemiological method. For 3 years study from April 2001 to March 2004, we collected 1,412 specimens and detected

448 Noroviruses (394 in 859 stools from patients, 8 in 96 vomitus, 37 in 286 stools from food handler, 9 in 171 foodstuff)

from 78 of 122 acute gastroenteritis mass outbreak cases, and additional 132 Norovirus strains detected from 609 stool

specimens of infantile acute gastroenteritis patients obtained from sentinel hospitals of infectious disease surveillance for

correlation study.

 In both infantile acute gastroenteritis and mass outbreak case of kindergarten, elementary school, nursing home,

hospital and catering place, identical genotype of Norovirus was detected respectively. Moreover, each Genotype was

detected around the same time at neighboring place. In several cases, person to person transmission were also observed.

 The aspect indicates Norovirus as infection source for mass outbreak gastroenteritis exist widely not only in

contaminated foodstuff but also symptomatic infant and adult carrier.

Keywords:Norovirus, RT-PCR, gastroenteritis, food poisoning, infant

1 は じ め に

 ノロウイルスを原因とする集団食中毒は例年,冬期間に

多発する傾向がみられ,特に牡蠣の生食に起因することが

多いとされてきた1,2,3).しかし,これまでの当県におけ

る事例の蓄積に伴い,ノロウイルスの伝搬は牡蠣のみによ

らず,特にヒトからヒトへの伝播が推定される集団感染事

例が少なからず認められ,以前から,カリシウイルスが小

児急性胃腸炎の重要な病原因子であることが指摘されてい

た4)ことと併せて,われわれは集団感染の未然防止には

ノロウイルスの感染環全体を明らかにし,循環経路を遮断

することが重要であると考えるに至り,調査を進めてきた.

そこで,今回は,対応可能な感染環中の遮断場所を見出す

べく,急性感染性胃腸炎の集団感染事例間及びその周辺で

得られた感染症サーベイランス事業の感染性胃腸炎患者症

例などで検出したノロウイルスを比較検討し,相互の伝播

状況を調べることとした.その結果,両者間に強い関連性

が認められ,感染予防上,重要と思われる点を検討したの

で報告する.

2 材料と方法

 2001年4月から 2004年3月までの3年間に,食中毒及

び各種施設等における急性感染性胃腸炎集団感染事例 124

件から患者便等 1,412検体(患者便 859,嘔吐物・うがい

液等 96,無症状従事者検便 286,食品・水・ふきとり等

171)及び感染症サーベイランスの定点医療機関で採取し

た小児感染性胃腸炎患者便 609検体計 2,021検体を収集し

た.検査材料のうち,うがい液,食品,使用水,ふきとり

等は汚染源遡及調査として後日追加採取したものを含んで

いる.検査材料からの核酸抽出及び RT-PCRは西川が示

した方法5)によったほか,2003年分は一部を Extragen

Ⅱ(Toso)で核酸抽出した.PCR増幅産物は ABI PRISM

310 Genetic Analyzerで遺伝子解析し,ポリメレース領域

220bpの部分について分子疫学的手法により相互の関連性

を比較した.

新潟県保健環境科学研究所年報 第 19巻 2004 71

3 結果及び考察

 3.1 集団感染事例数とノロウイルス検出率の変化

 ノロウイルスによる集団感染事例の発生頻度をより正確

に把握するために,ノロウイルス感染症の症例定義に該当

するものとして探知した保健所から照会のあった全事例に

ついて,ノロウイルスを検査した.症例定義は,①主徴は

嘔吐・下痢,②発熱は軽度(37.8℃未満),③回復は 48時

間以内,に該当するものとした6,7).

 第1年次では,33件の食中毒等集団感染事例で得た患

者便等 362検体と,感染症サーベイランスの定点医療機関

で採取した小児感染性胃腸炎患者便 255検体を検索し,集

団事例では 17件(51%),78検体(患者便陽性 67/検査

数 230,以下同様に,吐物等0/38,従事者便8/48,食品

等3/46),小児事例では 45検体(17.6%)でノロウイル

スを検出した.第2年次は集団感染事例 34件の患者便等

462検体中,19件(57%)158検体(患者便 137/273,吐

物等3/35,従事者便 16/87,食品等2/67),及び感染症サー

ベイランスの小児感染性胃腸炎患者便 225検体中 53検体

(23.5%)で,第3年次は集団感染事例 57件の患者便等

588検体中 42件(73%)212検体(患者便 190/356,吐物

等5/23,従事者便 13/151,食品等4/58),及び感染症サー

ベイランスの小児感染性胃腸炎患者便 129検体中 34検体

(26.3%)で,それぞれノロウイルスを検出した(Fig.1).

 このうち,感染症サーベイランス事業における県内4定

点医療機関での小児感染性胃腸炎患者検出率には大きな変

動は認められなかったが,集団感染事例の検査数は年々増

加し,検出率も上昇した.これは保健所における疫学調査

時の症例定義との照合が迅速に的確に行われるようにな

り,疑わしい事例が絞られるようになってきたことと,調

査事例の蓄積と共に,食中毒関係事例のほか,老人保健施

設等の各種施設内での感染事例の情報探知が早くなり,良

好な検査材料が得られるようになったことによると思われ

た.

 この状況を Table 1に示した.食中毒関連調査における

ノロウイルス検出頻度は,年々上昇しているが,老人保健

施設,保育所,小学校等における食中毒以外の集団感染事

例でのノロウイルス検出率が高い.特に調査第3年次

(2003)には,22の事例が届け出されるに至り,そのうち

の 21事例でノロウイルスが検出された.この高い検出率

は,ノロウイルス感染が汚染食品によって起こるだけでな

く,小児,老人等の集団施設内で増殖したノロウイルスが

新たな感染源となっている可能性を示している.

 3.2  保育所等における集団感染事例と小児急性胃腸

炎との関連

 2002年7月に新潟県の中央部に位置する1保育所で約

1か月にわたり連続的に集団感染事例が発生した.感染者

は園児のほか,保育士,園児の家族に拡大した.患者から

は均一なタイプのノロウイルスが検出され,そのジェノタ

イプは G2,Lordsdale近縁種であった.

 このジェノタイプは,これに先立って 2001年 12月に近

隣市町村の保育所で発生した集団感染事例で検出したもの

と 99.1%の遺伝子相同性が認められた.後者の事例では保

育所での発生の1週間前に,園児の家族に同様の症状が認

められていた.両事例とも,給食等の飲食物を感染源とす

る疫学的証拠は認められず,原因調査中にも同ウイルスに

よる患者発生が相次いだため,ヒトからヒトへの感染が考

えられた.

 2001年2月の牡蠣食による食中毒事例で,発症後2週

間以上にわたり,回復した患者便中にノロウイルスの排出

を認めた経験から,前者では保育所のプールの使用を禁止

し,夏休みに入った結果,感染は終息した.このことは,

ヒトからヒトへの感染遮断が感染拡大防止に重要であるこ

とを示している.

 これらの事例で検出した G2,Lordsdale近縁種は,本

調査期間に先立つ 2000年1月に近隣の感染症サーベイラ

ンス定点で小児急性胃腸炎患者でも検出されていた.この

ノロウイルスのジェノタイプが長期間検出されたことは既

報した5).しかし,今回,ノロウイルスが検出された3地

域は,互いに生活圏が密接に重なる場所ではなく,伝播の

経路は見いだせなかった.

 3.3 食中毒事例と小児急性胃腸炎との関連

 次に,会食後に同時に発症した集団感染事例で,小児急

性胃腸炎検出ノロウイルスと同じジェノタイプが検出され

ていないか,検討した.その結果,2002年1月に,新潟

県北部の学校内での持ち寄り会食による集団食中毒事例

で,同時期に小児急性胃腸炎で検出したものと同じノロウ

イルスを患者 10人中5人で検出した.これは G2,

Snowmountain近縁種であった.会食者には会食に先立っ

て症例定義に該当する症状はなく,会食後に嘔吐,下痢等

を同時に発症した.家族内感染や,この飲食物による他の

場所での事故は報告されなかった.一方,これと 100%の

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 32001

2003

0

4

8 200120022003

Fig. 1 Monthly occurrence of Norovirus outbreaks

Table 1 Detection of Norovirus in two categories

Food or food handler related Nursery, School related

Year Case Positive (%) Case Positive (%)

2001 29 13 (44) 4 4 (100)

2002 27 14 (51) 7 5 (70)

2003 35 21 (60) 22 21 (95)

新潟県保健環境科学研究所年報 第 19巻 200472

相同性をもつノロウイルスが前月の 12月に新潟県中央部

の保育所における集団感染事例で検出された.このジェノ

タイプはこの時期,新潟県の離島(11月)及び新潟県中

央部地域(12月)の感染症サーベイランス定点でも相次

いで検出され,広い地域に存在していることが窺われた.

飲食物の汚染経路は特定されなかったが,同時期に離島を

含む範囲で均一ジェノタイプが検出されたことは,ノロウ

イルスが汚染食品や保菌者を介して広く地域に拡散してい

たことが示唆される.

 このほかにも,2002年7月にキャンプ場で発生した集

団食中毒事例や,同月の旅館での集団食中毒事例では,事

例に先立って乳幼児の下痢が確認され,いずれもその母親

が感染を媒介したことが疑われた.ノロウイルスは母親が

調理したおにぎりや食事を食べたヒトから検出され,特に

旅館の事例では,調理従業員とその後に施設を利用した団

体,調理従業員の家族という順に時系列に沿って患者発生

が認められ,同じウイルスが検出された.

 3.4 ノロウイルスのヒトからヒトへの感染

 これまでの調査で,食中毒で検出されるウイルスのジェ

ノタイプは多様で,かつ,牡蠣に由来する食中毒では,し

ばしば複数のジェノタイプが検出される可能性があること

が報告されている5,8).一方,小児急性胃腸炎で検出され

るノロウイルスのタイプは均一で,地域内流行も認められ

ている5).しかし,これまで,ヒトからヒトへの伝播を推

定する報告はある5,9,10,11)が,分子疫学的にウイルスの

遺伝子相同性で調査した報告は少ない9).そこで,保健所

の協力の下に,集団感染事例発生前後の状況を時間的,空

間的に周辺まで拡げ,疫学的情報とノロウイルスの遺伝子

情報とを照合して伝播状況を検討した.

 2002年1月に新潟県南部の旅館で発生した集団食中毒

Fig. 2  Multi-alignment comparison of Norovirus nucleotides detected from a food handler related case at 222bp of

length in polymerase region.

     Noroviruses were detected separately from a food handler group and two patient groups in three prefectural

laboratory. Additional Norovirus strain with high homology had also detected from stool of food poisoning patient

in 1999(NG99-2188).

新潟県保健環境科学研究所年報 第 19巻 2004 73

では,旅館従業員,宿泊者から均一なタイプのノロウイル

ス,G1,Southampton近縁種 を検出した.時系列に沿っ

た疫学調査の結果,宿泊者の嘔吐物を処理した従業員が発

症し,その後従業員間に症状が見られ,次いで宿泊団体に

集団食中毒が発生した.その後の検便で従業員 12人中2

人と,新潟県内在住の宿泊者で遺伝子相同性が 100%のノ

ロウイルスを検出した.さらに,同施設に宿泊した他県在

住の患者追跡調査で,その地域の2か所の衛生研究所が検

出したノロウイルス遺伝子とこれらを照合したところ,

99%以上の遺伝子相同性を認め,同じウイルスによる連続

感染であったことを確認した.さらには,従業員で検出し

たものと 98%以上の相同性を持つノロウイルスが 1999年

4月に牡蠣を原因とする食中毒患者(No.2188)からも検

出されていたことがわかった(Fig.2).これで,過去に汚

染食品で食中毒を起こしていたものと同じウイルスが,ヒ

トを介しての連続的な感染にも関与していることがわかっ

た.嘔吐物等を介した感染が推定されることはこれまでに

もいくつか報告されており 11,12),これはウイルスを増殖

させたヒトが飲食物を再汚染して感染を拡大させる経路が

あることを示す.

 3.5 均一タイプのノロウイルスの流行

 2003年 10月から 2004年1月にかけて,新潟県内では

保育所,学校,老人保健施設等でノロウイルスの集団感染

事例が多発した(Table 2).時系列に沿った疫学解析の結

果,保育所や老人養護施設では,感染者は園児や入所者に

次いで,家族に及び,特に老人患者移送先の医療機関では

医療従事者に感染が拡大し,その家族にまで感染者が見ら

れた.また,施設内における患者発生の時間経過と順番に

は一定の傾向が窺われ,介護者や患者自身による嘔吐物,

下痢便等の処理とその後の行動に関連して患者の拡大が進

行する可能性が考えられた.なお,表2の事例で検出した

ノロウイルスは,食中毒事例検出株を除き,全て均一な G

2,Maryland近縁種で,検出株間の相同性は 98%以上で

あり,アミノ酸配列では 100%一致していた(Fig.3).

 同時期に得た,新潟県中央部と離島における感染症サー

ベイランスの小児急性胃腸炎患者検出タイプはこれらと同

じジェノタイプであり,この時期にはこの型のノロウイル

スが全県的に流行しており,特に強い感染力を有していた

ことが明らかになった.さらには,これらの集団感染事例

の連続発生した時期は,感染症サーベイランスにおける感

染性胃腸炎患者が増加する時期と一致しており,相互の関

連性が強く示唆された.なお,2002年7月に,県中央部

の保育所集団感染事例で検出した G2,Lordsdale近縁種

との遺伝子相同性は 88%で,これらとの関連は認められ

なかった.

4 ま と め

 2001年4月から 2004年3月までの3年間に,食中毒及

び各種施設等で発生した集団感染事例で検出したノロウイ

ルスと感染症サーベイランスの小児急性胃腸炎患者から検

出したノロウイルスを比較対照しその関連性を検討した結

果,次の知見を得た.

⑴ ノロウイルス感染症は,食品関連の食中毒によるほか,

保菌者または感染者を介した感染事例として多数発生し

ており,これらが新たに次の感染源となる可能性がある.

⑵ 小児急性胃腸炎検出ノロウイルスは,保育所,学校等

で多数に感染し,さらにそれぞれの家庭を介して地域に

感染を拡大している.

Table 2 Outbreaks caused by Norovirus in Niigata prefecture during 4 months from Oct. 2003 to Jan. 2004.

Case Onset date Infection source Onset region* Notes

1 Oct.19 Human Island Kindergarten, School

2 Nov.11 Unknown Central Kindergarten

3 Nov.13 Human Western Nursing home

4 Nov.17 Human Central Kindergarten

5 Nov.21 Unknown Central

6 Nov.27 Unknown Northern

7 Nov.28 Food Northern Oyster related

8 Dec.09 Human Western Kindergarten

9 Dec.10 Unknown Central

10 Dec.15 Human Central Nursing home

11 Dec.18 Human Central Nursing home

12 Dec.25 Human Central Nursing home

13 Jan.03 Food Western

14 Jan.05 Unknown Central

15 Jan.07 Human Southern Nursing home

16 Jan.14 Food Western Oyster related

17 Jan.19 Food Central Oyster related

* in Niigata prefecture.

新潟県保健環境科学研究所年報 第 19巻 200474

⑶ 汚染食品が原因と推定される食中毒事例でも,周辺の

小児急性胃腸炎で検出されるノロウイルスが見いだされ

た.これは感染者が新たな食品汚染を引き起こす可能性

を示す.

⑷ 2003年の秋から冬にかけて,感染力の強いノロウイル

スによると推定される集団感染事例が新潟県内の広い範

囲にわたって認められた.患者搬送先での感染拡大は,

患者が直接,感染源になっていることを端的に示してい

る.

⑸ ノロウイルスの感染防止には,汚染の可能性の高い牡

蠣などの生食を避けるほか,ヒトが汚染を媒介しない予

防手段を日常的に励行することが重要であり,家族の健

康に注意し,手洗いを頻繁に行うなどの行動で予防すべ

きである.

謝   辞

 本研究を進めるにあたり,食中毒関連調査に御協力いた

だいた各地方衛生研究所の皆様,及び御指導を頂いた岐阜

県衛生研究所川本尋義博士,国立感染症研究所西尾治博士,

並びに新潟大学大学院医歯学総合研究科鈴木宏教授に対

し,ここに感謝申し上げます.

文   献

1) Gill O.N., Cubitt W.D., McSwiggan D.A., Watney B.M.,

Fig. 3 Genetic homology among detectde Noroviruses at Polymerase coding region.

    Case number show the case described at Table 2, each Island, Central, Western means region where outbreak

occurred in Niigata prefecture, GE: Infantile gastroenteritis; OB:mass outbreak case, N5 specimen is obtained from

GE patient of neighboring place for a reference.

新潟県保健環境科学研究所年報 第 19巻 2004 75

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