登校しぶりがあり、保護者と登校するが、教室に入るまでに...

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- 90 - 小学3年生(H18) 児童Aの特徴 育てたい力 ターゲットスキル プログラム名 ねらいや留意点 学級活動及び道徳の内容 ○Ⅰ-1 自己理解力 【自分の行動・気持ち・思 考が理解できる力】 ○Ⅰ-3 自己表現力 【言語表現能力】 【非言語的表現能力】 セルフエスティーム (SSTカード) 手の中にあるものは? ありのままの自分を受け入れ、自 信を持つということはどういうこ とかを理解する。気持ちを表出し やすい雰囲気をつくり、カードを 見て、思ったことや感じたことを 表現できるように支援する。 学:(2)-ア 希望や目標をもって生きる態度の形成 2-(ウ) 望ましい人間関係の形成 道:1-(5) 自分の特徴に気付き、よいところを伸ばす。 ○Ⅰ-4 自己内省力 【客観的な観察力】 【自分の感情を受け止め る力】 ○Ⅰ―3 自己表現力 【言語表現能力】 【非言語的表現能力】 ストレスマネージメント (SSTカード) 心配するのをやめよう など カードを見て、思ったことや感じ たことを表現しながら、のぞまし いストレス対処方法を学ぶ。 学:(2)-カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成 道:1-(1) 自分でできることは自分でやり、よく考え て行動し、節度のある生活をする。 ○Ⅰ-3 自己表現力 【言語表現能力】 ○Ⅲ-2 他者理解できる力 友達の作り方 (SSTカード) 《本田恵子・鈴村眞理著(2004) 「SSTカード」クリエーショ ン アカデミー》参照 カードを見て、思ったことや感じ たことを表現しながら、友達を作 る基本的なスキルを学ぶ。 学:(2)-ウ 望ましい人間関係の形成 道:2-(3) 友達と互いに理解し、信頼し、助け合う。 ○Ⅰ-1 自己理解力 ○Ⅰ-4 自己内省力 【自分の感情を受け止め る力】 今日の気分は? (表情ポスター) 《H.S.C(2003)「表情ポス ター」クリエーションアカデミ ー》参照 ポスターを見て、その時々の気持 ちを細かく言語化することによ り、自分の感情の変化に気づく。 学:(2)-カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成 道:1-(5) 自分の特徴に気付き、よいところを伸ばす。 登校しぶりがあり、保護者と登校するが、教室に入るまでに 時間がかかる。入ってしまえば、笑顔で普通に生活できる。 ありのままの自分を受け入れる力 自分の気持ちや考えを相手に伝える力

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Page 1: 登校しぶりがあり、保護者と登校するが、教室に入るまでに ありのままの自分を受け入れる力 … · 学:(2)-カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成

- 90 -

小学3年生(H18)

児童Aの特徴 育てたい力

ターゲットスキル プログラム名 ねらいや留意点 学級活動及び道徳の内容

1 ○Ⅰ-1 自己理解力

【自分の行動・気持ち・思

考が理解できる力】

○Ⅰ-3 自己表現力

【言語表現能力】

【非言語的表現能力】

セルフエスティーム

(SSTカード)

手の中にあるものは?

ありのままの自分を受け入れ、自

信を持つということはどういうこ

とかを理解する。気持ちを表出し

やすい雰囲気をつくり、カードを

見て、思ったことや感じたことを

表現できるように支援する。

学:(2)-ア

希望や目標をもって生きる態度の形成

2-(ウ)

望ましい人間関係の形成

道:1-(5)

自分の特徴に気付き、よいところを伸ばす。

2 ○Ⅰ-4 自己内省力

【客観的な観察力】

【自分の感情を受け止め

る力】

○Ⅰ―3 自己表現力

【言語表現能力】

【非言語的表現能力】

ストレスマネージメント

(SSTカード)

心配するのをやめよう など

カードを見て、思ったことや感じ

たことを表現しながら、のぞまし

いストレス対処方法を学ぶ。

学:(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

道:1-(1)

自分でできることは自分でやり、よく考え

て行動し、節度のある生活をする。

3 ○Ⅰ-3 自己表現力

【言語表現能力】

○Ⅲ-2 他者理解できる力

友達の作り方

(SSTカード)

《本田恵子・鈴村眞理著(2004)

「SSTカード」クリエーショ

ン アカデミー》参照

カードを見て、思ったことや感じ

たことを表現しながら、友達を作

る基本的なスキルを学ぶ。

学:(2)-ウ

望ましい人間関係の形成

道:2-(3)

友達と互いに理解し、信頼し、助け合う。

4 ○Ⅰ-1 自己理解力

○Ⅰ-4 自己内省力

【自分の感情を受け止め

る力】

今日の気分は?

(表情ポスター)

《H.S.C(2003)「表情ポス

ター」クリエーションアカデミ

ー》参照

ポスターを見て、その時々の気持

ちを細かく言語化することによ

り、自分の感情の変化に気づく。

学:(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

道:1-(5)

自分の特徴に気付き、よいところを伸ばす。

登校しぶりがあり、保護者と登校するが、教室に入るまでに

時間がかかる。入ってしまえば、笑顔で普通に生活できる。

ありのままの自分を受け入れる力

自分の気持ちや考えを相手に伝える力

Page 2: 登校しぶりがあり、保護者と登校するが、教室に入るまでに ありのままの自分を受け入れる力 … · 学:(2)-カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成

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小学5年生(H19)

児童Bの特徴 育てたい力

ターゲットスキル プログラム名 ねらいや留意点 学級活動及び道徳 内容項目

1 ○Ⅰ-4 自己内省力

【自分の感情を受け止め

る力】

深呼吸をしよう 感情の高まりを静め、落ち着く。

対話ができる雰囲気をつくるよう

に支援する。

学:(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

2 ○Ⅰ-1 自己理解力

○Ⅰ-4 自己内省力

【自分の感情を受け止め

る力】

今日の気分は?

(表情ポスター)

《H.S.C(2003)「表情ポス

ター」クリエーションアカデミ

ー》参照

ポスターを見て、その時々の気持

ちを細かく言語化することによ

り、自分の感情の変化に気づく。

学:(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

道:1-(6)

自分の特徴を知って、悪い所を改めよい所

を積極的に伸ばす。

3 ○Ⅰ-1 自己理解力

○Ⅰ-4 自己内省力

【客観的な観察力】

【自分の感情を受け止め

る力】

イライラ虫を退治しよう 自分の感情を理解し、表現する。 学:(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

道:1-(6)

自分の特徴を知って、悪い所を改めよい所

を積極的に伸ばす。

4 ○Ⅰ-3 自己表現力

【言語表現能力】

○Ⅲ-2 他者理解できる力

友達の作り方

(SSTカード)

《本田恵子・鈴村眞理著(2004)

「SSTカード」クリエーショ

ン アカデミー》参照

カードを見て、思ったことや感じ

たことを表現しながら、友達を作

る基本的なスキルを学ぶ。

学:(2)-ウ

望ましい人間関係の形成

道:2-(3)

互いに信頼し、学び合って友情を深め、男

女仲良く協力し助け合う。

自己表現が苦手。心を閉ざして固まると、

気持の切り替えに時間がかかる。

自分の気持ちや考えを相手に伝える力

状況を理解し、トラブルを正しい方法で解決する力

Page 3: 登校しぶりがあり、保護者と登校するが、教室に入るまでに ありのままの自分を受け入れる力 … · 学:(2)-カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成

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小学5年生(H19)

児童Cの特徴 育てたい力

ターゲットスキル プログラム名 ねらいや留意点 学級活動及び道徳 内容項目

1 ○Ⅰ-1 自己理解力

自分がリラックスしている姿を

イメージしよう

不安・緊張感が高い、イライラす

る、焦るなど気持ちが落ち着かな

いときに、気持を落ち着かせる方

法を身につける。

学:(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

道:1-(6)

自分の特徴を知って、悪い所を改めよい所

を積極的に伸ばす。

2 ○Ⅰ-1 自己理解

○Ⅰ-4 自己内省力

【自分の感情を受け止め

る力】

今日の気分は?

(表情ポスター)

《H.S.C(2003)「表情ポス

ター」クリエーションアカデミ

ー》参照

ポスターを見て、その時々の気持

ちを細かく言語化することによ

り、自分の感情の変化に気づく。

学:(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

道:1-(6)

自分の特徴を知って、悪い所を改めよい所

を積極的に伸ばす。

3 ○Ⅰ-3 自己表現力

【言語表現能力】

【非言語的表現能力】

○Ⅲ-2 他者理解できる力

四つの窓 自分の心と向き合い、自分らしく

表現する体験をする。

他者の考えや気持ちに興味を持

つ。

学:(2)-ウ

望ましい人間関係の形成

(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

道:2-(3)

互いに信頼し、学び合って友情を深め、男

女仲良く協力し助け合う

4 ○Ⅰ-1 自己理解

○Ⅰ-4 自己内省力

【客観的な観察力】

気になること、さようなら 自分と問題との「間をとる」、心を

整理する。

学:(2)-カ

心身ともに健康で安全な生活態度の形成

道:1-(6)

自分の特徴を知って、悪い所を改めよい所

を積極的に伸ばす。

不登校状態が1年以上続いている。

場面かん黙がある。

ありのままの自分を受け入れる力

自分の気持ちや考えを相手に伝える力

Page 4: 登校しぶりがあり、保護者と登校するが、教室に入るまでに ありのままの自分を受け入れる力 … · 学:(2)-カ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成

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手の中にあるものは? 目 的 自分が両親や友達などから価値観についてどのような影響を受けているかを

知り、どんな自分になりたいかを考える。 準備するもの ワークシート

保健室での対応は個々に違うので、指導案に時間は記入していません。

活動内容 指導上の留意点 資料

①ワークシートに自分の片手を

置き、手の形をなぞってアウ

トラインを書く。

②それぞれの指の内側に記入す

る。

親指;親が大切にしていること

(価値観やよく言う言葉)

人差し指;自分の友達が大切に

していること

中指;自分自身の好きなところ

くすり指;今年の間にやってお

きたいこと

小指;将来の夢

③書いたものをふりかえり、深

める。

・線がつながるように、手首の部分は仮に線

で閉じておくように伝える。

・なかなか言葉を書くことができないでいる

場合は、様子を観察したり、普段のその子

の性格を加味したりして、背景を探る。

・書いた言葉の意味を深める。

例;親が「勉強しなさい。」と言うのは、何を

伝えたいからなのかな?

「頭がよくなってほしいから」と答えたら、

「頭がいいってどういうことかな?」とい

うふうに。

「自分で考えられる人」「ちゃんと意見が

言える人」というように、言葉の背景にあ

る意味に気づくようにしていく。

例;友達や自分のすきなところ・・・なぜ、自

分はそこが好きなのか?を考えさせる。

・ワークシート

*引用文献 本田恵子(2007)

「キレやすい子へのソーシャルスキル教育」ほんの森出版 P.72,73

活動時の介入ポイント!

何を書いていいのか思いつかない場合は、どれ

かひとつの指に注目させて、具体的な例を挙げ

てみる。

活動時の介入ポイント!

「私は、○○さんには、こういうステキなところが

あると思っていますよ。」と、客観的な視点を与え

てみる。

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「手の中にあるものは?」

名前

やり方 1、自分の左手を紙の上におき、えんぴつでなぞってください。

2、それぞれの指の内側に次のことを書いてください。

「親指」 親が大切にしていること(価値観やよく言う言葉)

「人指し指」 あなたのお友達が大切にしていること

『中指』 自分自身の好きなところ

「くすり指」 今年中にやっておきたいこと

「小指」 将来の夢

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心配するのをやめよう 目 的 悪い方へ考える癖を止めて、自分からストレスを作り出さないようにする。

準備するもの

活動内容 指導上の留意点 資料

①不安が不安を呼ぶような悪循

環に陥る考え方があることに

気づく。

②用心深いことと、疑り深いこ

との違いを考える。

③「あきらめたり、逃げたりす

るのが癖になっていないか」

「もし逃げてしまったらどん

な結果になるか」を考える。

④考え方を自分で修正、気持ち

を切り替える方法を見つけ

る。

例) 人前で話す

失敗しないか不安

絶対失敗する 何とかなる

(ア)友達や周囲の人に、緊張

しない方法を聞く。

(イ)原稿を作り、練習する。

・「どうしよう、どうしよう」とパニックになる

スイッチを自分で入れたりしていないか振り

返させる。

・自分にあった切り替え方法を見つけさせる。

*参考文献 本田恵子・鈴村眞理著(2004) 「SSTカード」クリエーションアカデミー

自分を追い詰

める考え方

自分を落ち着

かせる考え方

活動時の介入ポイント!

うまくやれるか自信がなくて不安になるとき、失敗した

経験があって臆病になっているときは、つい悪い結果ば

かり想像してしまいがちであることを、具体的に話す。

活動時の介入ポイント!

「何とかなる」と思えるように、具体的な行

動に関するアドバイスをする。

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今日の気分は?(表情ポスター) 目 的 衝動的であったり、暴力で怒りを表現したりしないで、感情を言語化できるように

する。 準備するもの 表情ポスター・ワークシート

活動内容 指導上の留意点 資料

①表情ポスターを見て、そのとき

どきの気持ちに対応する表情

を選ぶ。

②そのときにどんな考えが頭に

浮かんだか、振り返る。

③表情の変化を追いながら、どの

ように怒りや悲しみなど感情

のレベルが変わっていったか

を検証する。

④自分のパターンに気づく。

・児童が落ち着いてから行う。

・表現しやすい環境、雰囲気づくりを整える。

・時間の経過にそって、トラブルの事実関係を

表にする。

・そのときどきの気持ちと、対応する表情をポ

スターから選ぶように支援する。

・そのときの気持ちを振り返られるように声を

かける。

・そのときの感情を言葉に表せられるように

し、言葉を表に記入していく。

・どんな表現もまず受容し、児童の気持ちに寄

り添う。 ・表を見て、客観的に感情の変化を検証できるように援助する。

・表情ポスター

・ワークシート

*参考文献 H.S.C.(2003)「表情ポスター」クリエーションアカデミー

*参考文献 本田恵子(2007)

「キレやすい子へのソーシャルスキル教育」ほんの森出版 P.48,49

活動時の介入ポイント!

体の変化(頭に血が上る、ドキドキする、震

える、ぎゅっとこぶしを握るなど)も、思い

出せるようなら振り返らせる。

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今 日 の 気 分 は ?

出来事

(何があったか) (例;始め)

その時の気持ちに

一番近い表情

(シートからえら

ぶ)

その時の気持ちや

感じたこと

自分をふりかえって、

思ったことや

考えたことを書いてみよう。

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深呼吸をしよう 目 的 ストレスがあると、体が緊張して硬くなり、リラックスすると体の緊張がゆる

む「緊張―弛緩の感覚」を気づかせる。 準備するもの

活動内容 指導上の留意点 資料

①深呼吸をする。

・体に力が入る感覚と、力が抜け

る感覚を意識する。息を吸って

止めるときには体に力が入り、

息を吐き終わると体の力が抜

けることを意識する。

(ア)すべての息を吐き出す。

(イ)ゆっくり鼻から息を吸う。

(ウ)ゆっくり口から息を吐く。

②4~5回繰り返す。

・静かでゆったりとした環境、雰囲気を整える。

・筋肉の緊張と弛緩の感覚を意識させる。

・初めに息を吐き出させ、お腹をへこませるよ

うに伝える。

・鼻から息を吸うようにさせ、ゆっくり1・・

2・・3・・4・・と数える。

・5で息を止めさせる。

・口からゆっくり息を吐き出させる。6・・7・・

8・・9・・10とゆっくり数える。

*参考文献 本田恵子・鈴村眞理著(2004) 「SSTカード」クリエーションアカデミー

活動時の介入ポイント!

一緒にやりながら、リラックスの方法を体験させる。

怒りが爆発しそうなとき、緊張して心が落ち着かない

ときなどに、やってみることをすすめる。

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イライラ虫を退治しよう 目 的 自分のイライラのもとを理解し、気持ちを変える力をつける。 準備するもの ワークシート・表情ポスター

活動内容 指導上の留意点 資料

①自分の気持ちに近い表情をポ

スターから選び、シートの円

の中に記入する。

②その原因になっているイライ

ラのもとを考える。

③どのような気持ちに変えたい

かを表情ポスターから選び、

記入する。

④イライラのもとに対して、具

体的に何をしてあげればよい

かを提案する。

・勉強のストレス、家でのストレス、友

達関係でのストレスなどから、選ばせ

る。

・何にイライラしているのか見つけるた

めに、いろいろな出来事を思い描くの

を助ける。

・「わからない」「特にない」という子

は、気持を抑圧している場合と、気持

を表現するのが苦手な場合があるの

で、それぞれに対処する。

・ワークシート

・表情ポスター

*引用文献 本田恵子(2007)

「キレやすい子へのソーシャルスキル教育」ほんの森出版 P.52,53

*参考文献 H.S.C.(2003)「表情ポスター」クリエーションアカデミー

活動時の介入ポイント!

「最近、家でいやだなとか悲しいなって思うことあった?」「その

とき、どんなことがあったの?」など、具体的に質問してみる。

活動時の介入ポイント!

抑圧タイプ

「最近気になることだけ書いてみて」と事実レベルで止めておく。

表現苦手タイプ

表情が選べればよい。気持ちのモニタリングをするところから慣れさせる。

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自分がリラックスしている姿をイメージしよう 目 的 不安・緊張感が高い、イライラする、焦るなど気持ちが落ち着かないときに、

気持ちを落ち着かせる方法を身につける。 準備するもの

活動内容 指導上の留意点 資料

①目を閉じて、自分がのんびりし

たり、ホッとしたりするのはど

んなときか思い浮かべる。

②そのときの体の感じ、心の様子

をイメージする。

③イメージすることで、心をリラ

ックスさせることができるこ

とを体験する。

④深呼吸をして、目を開ける。

・ゆったりとした雰囲気を作り、これから気持

ちを落ち着かせる練習をすることを伝える。

・ゆっくりと間をとりながら、ひとつずつ順番

に言葉をかける。

「自分がホッとするのは、どんなときですか」

「そのとき、どんなことをしていましたか」

「体はどんな感じで、リラックスしていまし

たか」

「どんな気持ちでしたか」

「今はどんな気持ちになりましたか。」

*参考文献 本田恵子・鈴村眞理著(2004) 「SSTカード」クリエーションアカデミー

活動時の介入ポイント!

人に知られたくない大事なイメージの場合もある

ので、その内容には踏み込まない。

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四つの窓 目 的 自分の心と向き合い、自分らしく表現する体験をする。 他者の考えや気持ちに興味をもてるようにする。 準備するもの 四つの窓を貼り付けた紙

活動内容 指導上の留意点 資料

①テーマに沿って、四つの窓に絵や暗号を書く。

②書き終わったら、ひとりずつ窓を開けて、メンバーに当ててもらう。

・わからないときはヒントを出す。

③それぞれの絵について、質疑応答をする。

(応用編) ④窓を切り離し、様々な形に切った画用紙に貼り付け、さらにそれを模造紙に貼り、グループで協力して「わたしたちの町」をつくる。

・窓のテーマを設定し、伝える。

(例)好きな遊び 食べたいフルーツ 将来の夢 休みにすること など

・なかなか当たらないときは、書いた人にヒントを出してもらう。

・画用紙は、電車、飛行機、花、家、ビル、動物、昆虫など、さまざまな形に切ったものを用意する。

・自分で好きな形に切ってもよい。 ・「わたしたちの町」をつくる共同作業の楽しさを体験させる。

・窓を貼り付けた紙

・窓を貼る

台紙

・模造紙

*参考文献 本田恵子(2007)

「キレやすい子へのソーシャルスキル教育」ほんの森出版 P.78,79

活動時の介入ポイント!

台紙を選ぶための交渉、町をどのように仕上げるかの見

通し、意見の調整が必要になるので、ひとりひとりが意

見を言えるように配慮する。

活動時の介入ポイント!

絵が苦手で描けない場合は、暗号やヒントを文字で書い

てもよいことにする。

窓は、すべて描かなくてもよいことを伝える。

活動時の介入ポイント!

自分で説明するのは苦手でも、質問に答えるのは好きな

子もいるので、上手な質問の仕方をヒントカードにして

配ってもよい。

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気になること、さようなら 目 的 抱えている問題を一つひとつ思い浮かべながら、安心できる場所へ置いていく

ことで、心を整理する。 準備するもの ワークシート

活動内容 指導上の留意点 資料

①何か気になっていることはないか、自分に問いかけ、ワークシートに書く。

20分 ②書いたものを見て、自分の気になっていることを確認する。

20分

③感想を書く。

5分

・気持ちが落ち着いているのを確認し、「今、

何か気になっていることはないかな?自分にやさしく問いかけてみよう」「何かが浮かんできたら、それを一つずつ風船の中に入れていってね」と声をかけ、ワークシートに記入させる。

・風船の中には、詳しく書かずに、短い言葉で『~のこと』と書くように伝える。

・風船は、飛ばしてしまいたいものは飛ばし飛ばさずに手で持っていたい場合は、ひもを書き足すように伝える。

・安心し、集中して書けるように見守る。

・「もう一度、自分が書いたものを見てみよう」

「今、気になっていることはこんな感じか

な?」と伝え、振り返らせる。

・風船の絵のワークシート

*引用文献 諸富祥彦監修 大竹直子著 (2005)自己表現ワークシート 図書文化 P.58,59

活動時の介入ポイント!

気になっているものを置いていくだけで気持ちは整理され

るが、ストレスが強い場合は、「もっとちゃんと『さよなら』

したい」と言うことがある。

実際に本物の風船を渡して、「気になっていることを全部、

風船に吐き出してみようか」と提案し、ふくらませてもら

い、スッキリさせてもよい。

活動時の介入ポイント! すべての風船に書き入れなくてもよいこと、また、反対に風船を書き足してもよいことを伝える。

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