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© 2014 IBM Corporation グローバル対応における経理・財務の業務改革 -日本企業の課題と改革の方向性- 日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業 戦略コンサルティンググループ アソシエート・パートナー 田村 直也 2014122

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グローバル対応における経理・財務の業務改革 -日本企業の課題と改革の方向性- 日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業 戦略コンサルティンググループ アソシエート・パートナー 田村 直也

2014年12月2日

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IBMレポート 「グローバル経営層スタディー」

パフォーマンス・ アクセラレーター

収益性/経済情勢分析 販売価格の決定・価格戦略 需要計画、予測 製品/サービスの開発支援 合併買収 (M&A) の分析

業務効率化 企業グループ標準に関する 経営理念(方針) 勘定科目の共通化 共通・共用データ定義 およびガバナンス 標準化/共通化された 経理財務プロセス

分析能力(業務計画およびフォーキャスティング) 人材(経理財務部門における人材育成) テクノロジー(共通の予算プラットフォーム・予算作成ツール)の導入

ビジネス洞察力

バリュー・ インテグ レーター

効率的な 報告者

スコア キーパー

従来型 経営参謀

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パフォーマンス・アクセラレーターとバリュー・インテグレーターとして位置付けられた理由の一つとして、経理財務領域の業務効率を改善してきたという事実がある

100%

46% その他の

経理財務部門

100% パフォーマンス・ アクセラレーターと バリュー・インテグレーター

70% その他の

経理財務部門

勘定科目の共通化 標準化/共通化された

経理財務プロセスの適用

100% パフォーマンス・ アクセラレーターと バリュー・インテグレーター

50% その他の

経理財務部門

100% パフォーマンス・ アクセラレーターと バリュー・インテグレーター

43% more more 117%

more

共通・共用データ定義、 およびガバナンスの遵守

経理財務部門での改善の取り組み

出所: 問 CFO4. 貴社の経理・財務部門では、下記の取り組みをどの程度実施されましたか

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パフォーマンス・アクセラレーターは 、企業グループレベルでシェアード・サービスを活用して業務を遂行する傾向が強い

50%

31%

27%

57%

44%

業績分析・報告などを含んだ、 専門組織の導入 59%

グループ企業・事業部を対象に、 経理財務サービスを提供する

シェアード・サービス組織への移行

パフォーマンス・ アクセラレーター

バリュー・ インテグレーター

その他の 経理財務部門

経理財務部門での改善の取り組み

出所: 問 CFO4. 貴社の経理・財務部門では、下記の取り組みをどの程度実施されましたか

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発展への道: 業務効率化

エンドツーエンドの業務プロセスを簡素化・ 標準化・

自動化・集約化。継続的改善を行い業務を最適化

プロセスに業務分析を組込み、新たな変革の機会を見出すため変革をフロントオフィスまで広げ、シームレスに業務をバックオフィスに繋ぐことで、業務モデルの統合をさらに推進

変革の成果を定義し、変革専門チームと共に変革を管理

人材スキルのバランス、パートナーシップの活用、ビジネス支援能力の向上

専門性と規模の経済を生かしたグローバルでのサービス提供を実施するため、グローバルプロセスオーナーを設置し業務を統合

経理財務業務モデルの構築に関する戦略、ロードマップの策定

業務モデルをサポートし、エンドツーエンドの業務遂行を可能とする一つの真実の提供

価値創造

変革に伴う能力の増大

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IBMレポート 「Integrated Business Services 2013」

経理財務分野のリーディングカンパニーで77社に対して調査を実施

本調査に参加した企業のおよそ60%の企業が、最近5年間にシェアード・サービスを利用している

調査の目的:

シェアード・サービスに関する地域特性を明らかにする

競争激化の環境における戦略的なシェアード・サービスの形態について評価する

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シェアード・サービス: より低いコストでより高い効率性を

コスト削減は25%程度という回答がほぼ3分の2であり最も多いが、 25%を超えるコスト削減を実現している企業も38%程度ある

比較的コスト削減率が高い企業では、 SSCの設立から5年以上経っている

間接部門におけるコスト削減 – 計画と実績の比較

計画 実績

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コスト最適化とプロジェクト収益性の関係

多くの企業は、収益性目標を完全には達成できていない。平均で、投資回収期間は3年以上である

導入初期において、業務の複雑性を正しく見極め、成功要因を明確にすることが重要である

継続的な改善と業務集約組織のヘルスチェックを常に実施することが、成功するために重要である

プロジェクト収益性 – 投資回収計画と投資回収を実現した期間の比較

計画 実績

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SSCの導入: チャレンジと成功要因

ロケーションの選択では次の基準が重要である: – コスト優位性 – 労働市場の可能性 – 政治的/経済的な安定

人材管理では次の要因がキーとなる: – 人材開発と処遇 – 従業員の育成 – 改革への気運醸成

ITによる自動化も重要な役割を果たす: – 標準ERPシステム導入 – 全プロセスにわたるワークフロー – 標準レポート

コスト削減を実現しているトップ企業グループは、すべてのIT活用領域で他社よりも20%高い成果をあげている

SSCにおけるIT導入 – コスト削減のトップ企業グループと平均企業 グループにおけるIT化レベルの比較

プロセス分析ツール

ワークロード/パフォーマンス マネジメント・システム セルフサービス アプリケーション ワークフロー

ERPシステム

レポーティング・システム

トップ企業グループ(1=低い、5=高い) 平均企業グループ(1=低い、5=高い)

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ファイナンス部門の社員数は、競合他社の2倍の14,000人

権限分散型組織

異なる会計システムが混在

付加価値の低い業務に 高い比重

適正だが有益性を欠く アウトプット

! 地域ごとに独自の連結 データの種類に一貫性がない 2,000 から 5,000 行のデータ

データの定義に一貫性がない 実績データは、月次決算の時点でのみ

把握可能 業務システムと経理システムが直結して

いない

国ごとに固有のもの データの種類に一貫性がない >5,000 行のデータ

情報が不充分 (600行のデータ、そのうち500行はバランスシート関連)

追加情報の入手は自動化されていない

Operational Systems/ Sources

国別経理 システム

地域別連結

全社連結

連結過程で、重要な情報が欠落

IBMファイナンス部門の変革 - Before

1994年以前、ファイナンス部門は権限分散型組織であり、数多くのシステムが存在した

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IBMファイナンス部門の変革

1990

経理財務コスト3分の1を実現。 会計システムセンター6ヶ所(‘05)

グローバルSSC開始(’03)

1995

国別SSC開始(’99)

決算日数 18日(‘94)

決算日数 8日(’96)

決算日数 7日(’05)

2000 2010

グローバルSSCへ高度専門業務移管開始(’06)

会計プロセス統一(’94-97)

経理財務コスト 2分の1を実現

財管一致システムの導入(’94-97)

日本IBM決算業務クアラルンプールへの移管(’07)

会計システムセンター67ヶ所(‘94)

IBM Finance部門の変革

8つの業務プロセス・チームの編成

外部ベンチマークの使用

IT変革との連携

プロセス改善

3本柱のイニシアティブ

データ戦略

全社共通の勘定科目体系

データベースの集中

柔軟性のあるデータ分析の実現

インフォメーション・テクノロジー

データ・センターの統合

主なアプリケーションの統合

戦略的かつ統合化されたアーキテクチャーの策定

1994年にファイナンス部門の改革にむけて3本柱のアプローチを設定

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IBMファイナンス部門の変革 - After

効果

グローバルに能力を最適化 グローバルのSSC利用率増加:12%(05年)→ 45%(2010年)

より高価値業務への移行 意思決定支援業務の増加:30%(94年)→ 70%(2010年)

経費削減 収益比率の改善: 3% (94年)→1%(2010年)

1994 1996 2005 1994年から

の変化率 ファイナンス・データ・センター 67 15 6 -91%

主要アプリケーション 145 95 44 -70%

決算に要する日数 18 8 7 -62%

ファイナンス経費概算 21億ドル 14億ドル 12億ドル -43%

ファイナンス経費/収益の概算 3.3% 1.8% 1.3% -2.0 ポイント

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ビジネス洞察力を高める「分析能力」へのシフト

業務効率化を高めたことにより、IBMファイナンス(経理財務部門)はビジネス洞察力の形成と実践に、より多くの時間を割くことができるようになった

1993 2010

情報の管理

データ の正確性

計画

財務報告と業績開示における コンプライアンス

業績のレポートと実績管理 財務予算、経営資本の管理

ファイナンスが担当する従来の業務

戦略、ビジネスモデル 投資家の期待へ対応

洞察、問題分析 業績の最適化

戦略的な意思決定の支援

市場への 対応

新規ビジネス への提言

意思決定支援業務 30% → 70%

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プロセスオーナーによるガバナンス

上級役員をプロセス・オーナーに任命することでプロトコル(ルール、プロセス、IT等)の標準化を通じたグローバルな機能統合を目指す

プロセス・オーナーのミッションは、グローバル統合を成功させることであり、担当プロセスのROIで評価される。(ビジネスの責任は事業部長や地域代表などが担い、ビジネスのROIで評価される)

ハードウェア 事業

ソフトウェア 事業

サービス 事業

経理財務

調達

販売管理

人事 ・・・

業務ルール・基準定義

業務プロセス設計 IT構築

IT運用 ルール策定

プロセス・オーナー

•上級役員(副社長級) •グローバルプロセスに責任 •役員会での説明責任 •プロセスのROIで評価 •中央集権的予算 •単純化・標準化を優先 •事業要件よりも優先

(プロセスのグローバル統合責任者)

ビジネス・オーナー

【主なKPI】 •PL:税引前利益 •BS:在庫、売掛金 •CF:在庫、売掛金

正確な情報の提供責任 業務ルール・ 基準の遵守

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ソフトウェア ハードウェア サービス ソフトウェア

IBM 本社

WW ハードウェア

WW サービス

ハードウェア サービス

経理財務SSC

調達SSC

販売管理SSC

人事SSC

・・・

WW ソフトウェア

・・・ SSC: Shared Service Center

日本 ヨーロッパ

IBMのシェアード・サービス・センター

本社部門や事業部門の間接業務を対象に、組織やプロセスを多面的観点で最適化・標準化し、グローバル・レベルでオペレーション・スキルを集約化させて業務の効率化や内部統制強化を実現

事業間・地域間の共通プロセス統合・情報統合・品質管理を横断的に担当

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IBMの主要なグローバルSSCの配置

経理・財務業務機能をコスト、スキル、ビジネス環境、マーケット成長予測等により、世界中で適切な場所を選定し業務遂行を実施。IBMでは2000年より経理・財務機能のGIEを目指した取組みを開始

グローバル/ 欧州 / アジア大洋州経理ヘッドクォーター

:ソマーズ

アジア買掛金処理センター: 大連(中国)

連結決算 クアラルンプール (マレーシア)

グローバル・固定資産/ 欧州買掛金処理センター ブラティスラバ(スロバキア)

グローバル・キャッシュ・マネジメント ダブリン(アイルランド)

Outsourced 業務 Retained

税務調査対応 30% 70%

70%

100%

買掛債務管理

固定資産管理 経費管理

決算業務 原価管理

30%

70% 税申告業務 10%

83% 80% 20%

30%

17%

90%

現在の日本経理業務の アウトソース・オフショア比率

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業務集約化による効果

集約化により、以下の観点で定量、定性的な効果を創出することが可能

品質 業務品質の向上 各社で人材採用を行うことによるスキル・リソース不足の解消

各業務に特化した人材を配置することによる業務品質の向上

業務プロセスの可視化 俗人的な業務の可視化による業務の透明性の向上

業務プロセスの可視化による標準化、効率化余地の発見

高付加価値業務へのシフト 各社の人材が定型業務から解放されることにより、付加価値の高い業務や事業部門の支援が可能

スピード 間接業務組織の早期立ち上げ 地域共通の業務基盤を確立することにより、M&Aや新規子会社設立、事業統合時の間接業務組織の早期立ち上げが可能

リスク 人材高齢化への対応 各社の人材高齢化への対応が可能となり、将来的なリソース不足を回避

ガバナンスの強化 チェック・プロセスの各社との分離、標準ルールに基づいた業務処理によるガバナンスの強化

コスト コスト削減 規模の経済、人件費低減を生かしたコスト削減

継続的な業務改善活動組織の設置による業務標準化、効率化による更なるコスト削減

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集約化検討地域

ある程度の規模の子会社が多く集約化効果が高いと想定される北米、欧州、中国、東南アジアを対象に、集約化を検討する事例が多い

日本は、出口問題の難しさから、海外と比較して集約化の比率が低い

海外は、人件費単価差によるコスト削減を目的として、北米を中心とする英語圏の業務はインドやフィリピンに、欧州の業務は東欧での集約化を推進しているケースが多い。アジアの業務集約化では単価差によるコスト削減は難しく、固定費の変動費化(アウトソーシングの活用)、ガバナンスの強化、海外事業進出への早期対応などを目的とした地域間接業務基盤の確立を目的としている

欧州 北米

東南アジア

中国

日本

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経理・財務業務の集約化適用率と実績例

近年は単純な経理処理だけでなく、決算、資金管理、管理会計領域まで含めて定型化できる業務は集約化組織に移行している。また、海外企業は集約化適用率が日本企業よりも高い

業務プロセス 集約化適用率 他社事例

日本 Global IBM 消費財 (Global)

通信 (日本)

消費財 (日本)

総合電気 (日本)

石油 (日本)

経費立替金精算 90% 95% ● ● ● ● ● ●

支払・買掛金 90% 95% ● ● ● ● ● ●

請求・売掛金 60% 70% ● ● ● ● ● ●

固定資産管理 50% 70% ● ● ● ● ●

決算 40% 70% ● ● ●

管理会計 10% 40% ● ●

資金管理・税務 0% 20% ● ●

全体 30-50% 60-80% 集約化適用率は他社事例の平均

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集約化実現までの全体スケジュール

下記は通常ある地域でSSCを設立する前提でプロジェクトを開始してから稼動させるまでの、全体スケジュール事例。概ね1年から1年半が目安

グローバル全体での集約化を検討する場合は、最初に全体構想策定を実施し、本社がリードし地域別の進め方を検討していく

現状整理及びあるべき姿、実現方法の構想策定

業務及び組織の

移行実施

運用管理と継続的改善

ターゲット業務・組織 モデルの詳細設計

安定稼動 (2~3ヶ月)

移行 (3~6ヶ月)

設計 (3~6ヶ月)

構想策定 (2~3ヶ月)

新モデル定着化▲ モデルの構想▲ モデルの具体化▲ 新モデル稼動▲

詳細ビジネス・データ の収集

業務・組織 モデルの詳細設計

移行計画策定

効果測定

ターゲット・モデルへの 組織・業務の移行

課題の抽出と 継続的改善

安定化・定着化

継続的改善プラン策定 変革実現アプローチ 策定

概要変革モデルの策定 業務改革の実施

概要ビジネス・データ の収集

戦略的ビジネス・ケース の策定

詳細ビジネス・ケース の策定

目標設定とモニタリング

全体構想策定(2~3ヶ月)

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主要検討事項と検討の進め方

集約化を本格的に推進する前に、集約化の実現性とその効果を検討する必要があり、ますは全体構想策定フェーズを実施することで以下の検討を行う

具体的には、各社の現状業務工数のアンケートによる可視化、アウトソーシング・センターの視察による他社事例の調査を行い、全体構想策定を行う

集約化スコープ ・対象機能領域(経理のみか)

・対象業務プロセス

・対象地域、対象会社

ソーシング形態 ・自社SSC設立 or アウトソーシング活用

ロケーション ・集約化組織設置ロケーションとその対象業務範囲 地域固有の問題、言語の問題(特に東南アジア、欧州は各国での個別の対応が必要)

本社管理方針 ・本社/地域のコントロール範囲

効果試算 ・集約化によるコスト削減効果の試算

スケジュール ・集約化組織設立、稼動までのマスター・スケジュール

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© 2014 IBM Corporation 22

まずは経理領域のノンコア業務を集約し、定型業務集約組織を確立。また、必要に応じてコア業務への人材シフトを行い、各社に残る人材は事業部支援など、より付加価値の高い業務に専念

将来的には当該組織に改善し続ける仕組みを構築し、集約組織の更なるスリム化、コア業務支援への業務拡大等の改善を永続

集約化組織の目指す姿

経理組織の 将来モデル(イメージ)

定型業務集約組織 継続的改善期 (STAGE2)

現在の姿 定型業務集約組織確立期(STAGE1)

標準化・集約化

高付加価値 業務へシフト

経理業務変革

ノンコア業務 定型業務

コア業務 意思決定

など

経理・財務部門

事業部 支援

他部門 支援

経理・財務部門 必要に応じて 人材シフト

永続的な 成長と発展

定型業務集約組織

コア業務 意思決定

など

定型業務 +業務改善

リーンシックスシグマなどで 業務改善し続ける体制

必要に応じて 人材シフト コア業務

スリム化 スリム化

業務範囲の 拡大

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事例からの考察:過去の失敗事例・その理由

シェアード・サービス化が単なる業務集約に留まり、標準化に向けた継続的業務改善を支える仕組み作りや、意識改革が十分に行われていないケースが多い

シェアード・サービスによる生産性向上が図りきれなかった理由

グループ会社によってルール、帳票、勘定科目などが異なる

グループ標準化の徹底と 適用における強制力強化

過剰品質な業務サービス提供

リスクに応じた 業務設計

承認業務の重複など 業務デザインに冗長感がある

コスト意識の 醸成

トップピーク対応と要員配備の アンバランス

業務スキルの マルチ化推進

業務運営状況の 『見える化』

集約化による生産性の向上が 把握できない

業務内容に応じた 要員配備

職位に関係なく 全員が同じ業務を実施

関連部門との間の 責任範囲定義が中途半端

受託範囲と責任の 明確化

Time

業務量カーブ

社員数

派遣等

Cost

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SLA(Service Level Agreement)の策定

目次

概要

-サービスのミッション、SLAの目的、締結当事者 主要内容

-SLAの主要項目・内容 -一般的なサービスレベルの設定、労働時間

各組織における業務範囲・役割の詳細定義

-方針・手続の保守、品質の維持 -サービスの牽制機能、サービスの特色

-サービスの阻害要因(システム・組織等) 標準サービスの責任範囲

-サービスレベルのボトムライン

-各組織の責任範囲、依存関係の定義 -サービスレベルのレビュー方法、サービスレベルの改正

課題の解決手順・報告ルート

-課題の詳細定義・優先順位 -課題解決方法と会議体(MTG等)の定義

-サービスレベルの測定方法と報告ルート

-サービスレベル低下の防止策 パフォーマンスの審査・監視方法・体制

業務 サービスの種類 サービスレベル 頻度

目標 責任チー

支払

取引先のマスター情報・変更点の確認、システム情報の編集、証憑保管

受付してからから24時間以内に更新する。 日次

95%

支払 チーム

購買申請書・納品書とSAP上にデータがあるものの請求処理

証憑をスキャニングしてから48時間以内処理する。 日次

95%

外部取引先の問合せ対応 全ての取引先に対して問合せから24時間以内に回答する。最低でも何時回復し、回答できるかを回答する。

随時

95%

収入 送金データの消し込み 送金データを受信後、1営業日以内に処理 日次

95% 収入 チーム

資金

会社の銀行口座開設 承認後48時間以内に銀行口座の開設の了承を得る 随時

95%

資金 チーム

緊急支払

通常支払は3営業日以内の3pmまでに処理する。

特別レートでの支払いはUK時間の12pmまでの分を処理する。

随時

95%

一般 会計

仕訳入力対応 受付してから24時間以内に仕訳入力完了。

期限日は受付後、1時間以内に仕訳入力完了。

随時

95% 一般会計 チーム

決算 時間通りに全てをクローズ 月次決算スケジュールの期限までにクローズする。 月次

100% 決算 チーム

固定 資産

固定資産登録・更新 固定資産登録、資本的支出を受付けてから24時間以内にシステム登録する。

随時

100%

固定資産チーム

固定資産の除却管理 受付けてから24時間以内に、除却した固定資産を会計士に通知するとともに総勘定元帳とも一致させる。

随時

95%

SSCが独立採算のサービス・プロバイダーとして、サービス受託側と委託側との間でサービス・レベルの定義や双方の責任範囲などをSLAを通じて定義する必要がある

SLAの策定に際しては、双方の合意を結ぶという点が非常に重要

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一般経費管理の主な不正スキームと分析ツールの活用

スコアリングによる外れ値の分析 変数を用いた グラフィカル分析

セグメンテーションによる比較

一般経費関連の不正スキーム: – 高額な旅費交通費 – 過剰な交際費、合理性を欠いた日当や飲食手当

– 緊急の消耗品購入 – 二重/過剰申請、バイパス

定量的効果 – 不正削減効果による利益への直接的な影響 – 不正調査や内部監査の効率化、監査コスト削減

定性的効果 – 事後ではなく、発生時点で検知・防止するアプローチ適用により事前に不正を防止

– 発見手法のノウハウ蓄積・改善及びシステム化による不正発見精度の向上

– 不正モニタリングによるアナウンスメント効果とコンプライアンス意識の向上により、社員の不正を抑止し、企業のリピテーショナル(評判)リスクを低減